仮面ライダー ルキフェル(非エロ)
シチュエーション


「変、身ッ!」

その男、大河内達也(おおこうち たつや)が低く唸った。
つぶやくその声にあわせ、腰に巻いたベルトのスイッチを入れる。
通常のベルトとは異なり、バックルの部分にいろいろな機能が詰め込まれたボックスがついている。

機能、それは、この「変身」の機構も含む。

スイッチを押されたボックス、その全面についたインジケーターがめまぐるしく明滅し、装着者のコンディションを素早くチェックする。
そして装着者が間違いなくこの青年、大河内達也であることを確認したとき、無機質なマシンボイスが発せられ、変身機能が実行される。

その間、僅かに1秒。

ベルトを中心に、体表上を無数のナノマシンが覆い尽くし、決められたパターンの装甲を形成していく。
衣服は分解され、その異形の姿をさらす。
赤い、赤い、深紅のボディ。

そう、この姿こそ。

「仮面ライダー、ルキフェル!!」

いま、戦いの幕が開く。


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「ライダーキック!!」

「ぎゃああああああっっ!!」

叫び声を上げて怪人「トカゲセーラー服」が爆死した。



「大丈夫だったかい?」

敵を倒したルキフェルは、とらわれの子供たちを解放した。
その子らは、ルキフェルの異形におびえることもなく、皆感謝の言葉を返してきた。
そしてすべての子供たちが立ち去ったあと、ようやくルキフェルは変身を解除した。

「達也さん!!」

変身を説いた達也の元に駆け寄る美少女、赤峰さやか(あかみね さやか)。
彼女は、達也の恋人だ。

お嬢様風の美少女であるさやかに比べ、達也はあまり美男とは言い難い。
がっしりとした体躯、2m近い大柄な男であり、イケメンではないがたくましい風貌をしている。
それでもさやかが惹かれるのは、達也の心にある正義の炎が熱いからである。

「ひゅーひゅー、見せつけてくれるなぁ♪」

寄り添う二人を、口笛で囃したのは赤峰小太郎(あかみね こたろう)、中学生になる、さやかの弟である。
弟にからかわれて赤面し、達也のそばから半歩離れた姉に代わって、小太郎が達也に近づいた。

「達也さん、がんばって、奴らを倒してくれよな」

小太郎はそういって、達也の手を取った。

「ぜったい、由美ちゃんの仇を取ってくれ!」

小太郎が、思いを込めて言った言葉。
大河内由美(おおこうち ゆみ)は達也の妹である。同時に、小太郎の幼なじみであり、想いを寄せる相手であった。
しかし数ヶ月前、達也の父が開発していた「ルキフェルシステム」を狙って襲いかかる謎の組織によって、父と、母と、妹の命は失われた。


達也の戦いは、失われた命に捧げる復讐の戦いなのだ。


%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%


ここは、達也の住む、秘密基地の一室。
簡易なベッド、テーブルが置かれた、寝室である。

その部屋に備え付けられた簡易なバスルームに一人、大河内達也が立っていた。
彼は、一糸まとわぬ全裸である。


「解除(イジェクト)!」

達也が、小さくつぶやく。
すると、彼の身体に変化が起こった。

ばくん、と大きな音を立てて、彼の胸板が観音開きに開いた。
同時に、胸の中に満ちていた大量の赤い液体が当然のごとく、ぶちまけられた。

赤い液体、それは血液か、と問われれば、否、である。

液体が失われ、達也の大きく空いた空間に、なにやらうごめくものがある。
続いて、方が大きくせり上がり、背中に反り返る。当然人間の動きではない。
そして背骨の下方、腰のあたりから大きくくの字に曲がり、背後にドサリと倒れ込む。

もうおわかりであろう。
この身体は人間の身体ではない。
内部を精密頑強な機械で構成された、義体である。

その義体の中から現れたのは。

「ぷはぁーーーーっ、疲れたーーーー!」

窮屈そうな姿勢から大きく背伸びした、全裸の少女である。




彼女の名前は、大河内由美。
そう、死んだとされている大河内達也の妹である。

実は、組織によって襲撃された際、死んだのは父、母、そして兄の達也なのである。

本来、「ルキフェルシステム」は、兄である大河内達也のサイズに合わせて製作された。
そして彼の、暗号化された特殊な生体情報を認識して起動するシステムなのである。

開発者である彼らの父は、万が一のために、妹である由美のためにもシステムを開発しようとしていた。
しかし、少女であり肉体のか弱い彼女ではシステムの負荷に耐えられないこともわかっていた。
そこで考案されたのがこの義体。
由美がこの義体を装着することによって、達也本人に成り代わり「ルキフェルシステム」を装着することができるようになる。
いわば、由美は二重に変身をしているのだ。

「うう、あいかわらず、さやか姉さんを騙すの、気が引けるなぁ・・・。
それに、小太郎も・・・。
ごめんね、二人とも」


彼女が親しい二人を謀ってまで兄の達也を演じるのには訳がある。
それは、この「ルキフェルシステム」を守るためだ。

装着者にすさまじい戦闘力を与えるこのシステム、当然のことながら悪用されてはいけない。
故に開発者である父は、特殊暗号化生体認識システムを採用した。
この試作品は、第1号被験者である達也でしか装着できない。
父である博士の死とともにオリジナルデータが失われたいま、変身ベルトは他者誰も解析できず、機密は万全であるはずだった。

「それにしても、お父さんのおっちょこちょいったら・・・」

そう、博士が間抜けにも犯してしまった過ち。


妹の装着するこの義体は、簡単に解析できるのだ!!


つまり、この義体を調査し、調整さえすれば、達也の暗号化された生体情報を奪い取ることができる。
ついでに言えば、由美よりも小柄なものならば、そのまま入れ替わりなりすますことだって可能となる。



シャワーで身体を洗い流した由美は、肌着も着けぬままベッドに飛び乗った。
そしてぐったりと身体を脱力させる。

「ああ・・・早くあいつらを倒さなきゃ・・・」

けだるげにつぶやく彼女。
もうすぐ、父の残した義体も使用不可能になる。
それまでに敵を壊滅させ、誰もシステムを狙わぬようにしなければいけない。
彼女に残された時間はあまりないのだ。


ゆけ!戦え!大河内由美!!
システムを守り抜き、悪の組織を壊滅させるのだ!

胸とおしりがふくらんで、義体に収まらなくなってしまう前に!!






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