シチュエーション
誰もいなくなった運動場で、野球部員の山田誠司は玉拾いをしていた。空が黄金色 に染まり、寒気が肌を刺してくる中、他の部員と共にバケツへせっせと玉を放り込む。 まだユニフォームすら着せてもらえぬ一年生だが、いつかは甲子園の土を踏みたい などと思っていると、背後からマネージャーの岩田真紀がやってきた。 「誠司」 「どうした」 「悪いけど、先に帰ってて。私、用事残してるの」 「わかった」 真紀はそう言って踵を返し、部室がある方へ走っていった。同い年の幼なじみで、野球 好き。かつてはリトルリーグのチームでエースの看板を背負っていた真紀も今は野球 をやめ、選手を管理する道を選んでいる。 小柄な真紀はリトルリーグでしか通用せず、中学ではソフトボールへの転向も試みた が、選手として光る物は無かった。一方、誠司は中学に入るなり、野球部へ入った。夢 を諦めざるを得なかった真紀の代わりに、自分が頑張ろうと思ったからだ。そして、名門 といわれる野球の強豪校へ真紀と共に進んだ。それからまもなく一年が過ぎようとして いるが、誠司は今も玉拾いの位置に甘んじている。 運動場を均した後、誠司は一年生を代表して部室に後片付けが済んだ事を報告に行っ た。部室は狭く、ロッカーを利用できるのはレギュラーのみで、誠司のような者が中に入 る事は許されていないが、例外的に一人だけ自由に入れる人間がいる。 「山田です。後片付け終わりました」 部室の前で報告すると、中から誰かが帰ってよしと言った。誠司は扉の向こうに一礼し て、部室の前から去った。 去り際、部室の中から笑い声が聞こえた。レギュラー達の大声と、もうひとつは女の 声だった。この野球部でレギュラー以外に部室へ入れるたった一人といえば、真紀 しかいない。そして週に一度か二度、真紀の帰りは遅くなる。誠司はそのまま帰ろう とはせず、裏口へ回った。壁をよじ登り、明かり取りのある場所へへばりついて誰に も悟られぬよう部室の中を覗いた。 狭い部室にレギュラー部員が数人、真紀を囲むように立っている。真紀は裸で、部 員も裸。膝をついた真紀は両手に男根を握り、可憐な唇にも男根を含んでいた。 部室には真紀の物と思しき衣服が散乱し、使用済みの避妊具がそこいらに放って ある。明かり取りから覗く誠司の耳にも真紀が男根を啜る音が届き、部員達の嘲笑 が脳に刻まれる。 「おらおら、手がお留守だぞ」 「あはっ、ごめんなさい」 男根を握っている部員に叱咤されると、真紀はおどけてみせた。 「おしゃぶりに夢中になっちゃって」 「お前は俺達の玩具なんだから、しっかり頼むよ」 「すみません」 真紀は部員達に媚びるような上目遣いをし、再び三本の男根に奉仕を開始した。 その間、手持ち無沙汰となった部員たちは真紀の乳房を弄った。華奢な体の割りに は二つの山は小高く、餅のような白い肌は揉み解されて紅に染まっている。 「おお・・・出るぞ、真紀」 口唇愛撫中の部員が腰をわななかせると、真紀は目を細めて男根を絞るように唇 を窄めた。そして、ごくり、ごくりと男根から放たれた子種を飲む。 「ふーッ・・・凄く濃いね」 男根と唇を粘液が繋ぎ、真紀の口元は淫らに輝いている。子種を一気に飲み干した 幼馴染の姿を見ると、誠司は心臓を掴れるような悪寒に襲われた。 「俺もいくぞ」 「俺もだ」 手で愛撫されていた部員たちも達し、一時に白濁液が全身に注がれると、真紀は嫌 がる素振りも見せずに笑った。 「あはは。凄く出てる!笑っちゃうくらい出るね」 「真紀の手コキが巧みだからさ」 「もう、私の体に飽きてきたのかな、なんて思ってたけどね」 真紀は立ち上がり、短めに揃えた髪を手で梳いた。 「飽きるもんか、この体に」 部員が背後から真紀を抱きしめ、下半身を密着させた。真紀は自ら腰を前後に動か すと、淫らに笑う事で部員の望みに応えようとする。 「なあ、今日はケツの穴でやらせてくれよ」 「いいけど、これで甲子園に出られなかったら、承知しないわよ」 「やった。この前は嫌がってたもんな」 「あまりいい気分じゃないもの、あれ。でも、嫌いじゃないわ」 「よくわからないが、OKって事だよな」 「はまりそうで、ね。怖いのよ」 真紀は床に四つんばいとなり、尻を部員たちの方へ向けた。すぼまりはしっかりと 閉じており、まだ穢れを知らぬように見える。 「ゴムだけはお願いね」 「心得てるさ」 部員の一人が真紀の尻に乗り、腰を突き出した。 「うッ・・・」 「入っていくぞ」 「ああ・・・恥ずかしいけど、いいわ」 避妊具を装着した男根は、大した抗いも受けずにすぼまりの中へ埋まっていく。 この時、壁にへばりついていた誠司の力はつき、明り取りから下に落ちた。しかし、 「ああ、いいッ!全員で、お尻を可愛がって・・・ああ・・・」 という真紀の叫びを聞き、中で何が行われているかを察する事は出来たのであっ た。 しばらくして一年生部員の間で、妙な噂が流れるようになった。 「マネージャーがこの前、男子トイレに連れ込まれる所を見たんだ」 ある一年生が、男子生徒数人と真紀が一緒に男子トイレに入って行く姿を見たと 言うのである。それを聞き、誠司の胸は痛んだ。 「そういえば、最近、顔出さないな、マネージャー・・・」 「不良の玩具らしいぜ・・・」 誠司自身もこの所、真紀とは顔を合わせていない。気にはかけていたが、レギュラ ー部員たちとの荒淫を見て以来、話しかける気には到底、ならなかった。 そしてある日、誠司がいつもの通り玉拾いをしている時の事。 「誠司」 背後から自分の名前を呼ぶのは、制服姿の真紀であった。 「ああ」 誠司には言葉がない。ただ、玉を拾うしかなかった。 「最近、どうしてるんだ。部に顔も出さずに」 「ちょっとね。またそのうち・・・」 しかし、誠司はその言葉を信じられなかった。むしろ、別れの挨拶のようにすら思 える。 「誠司は野球頑張ってね」 「ああ」 それだけ言葉を交わすと、真紀は校門の方へ走って行った。その先には改造バイク が何台も並び、見るからにやさぐれた輩が何人も立っている。そして真紀はそのうち の一台にまたがり、男と一緒に去って行った。 「くだらねえ!」 玉を拾っていた誠司は急に何もかもが嫌になった。玉の入ったバケツを放り出し、 運動場で大の字になると、流れて行く黄金色の雲ばかりを見ていた。 SS一覧に戻る メインページに戻る |