シチュエーション
時は過ぎて金曜日の夜、結局ハルキはアキトと一緒に宿直室へ来るはめになった。 しかも半強制的にだ。 そもそも何でこんなことになったかと言えば―― ******************** ――木曜日・授業中 「はーい、今日は試験も近いですし、小テストを行います」 結衣の授業において、ブーイングなど出ない。 比較的真面目な校風とはいえ、新任にしてこの事実は明らかに脅威の表れだった。 プリントを列ごとに配る中、生徒は皆一様に緊張の面持ちであった。 ハルキはさっそく問題に取り掛かるが、一目見て思わず唸る。 (……? 難しいぞ) とにかくやたらと難解である。 数式や方程式を知っていれば解けるレベルではないのは当然としても、 応用の連続と範囲の広さに、そもそもの問題の意味がわかるまで時間がかかる。 記憶が曖昧なものもあり、形のいびつなパズルのピースを無理矢理はめていく気分だった。 結局半分もできないうちに時間切れとなった。 プリントが後ろから回収されると、他人の回答を見て愕然とする。 正解かどうかは判別できないが、全部書き込まれている。 (俺はここまで……頭が悪かったか?) 最前列のハルキは教卓までプリントを持っていく。 なぜか結衣ににっこり微笑まれ、悪寒がざわめいた。 案の定予感は的中し、放課後結衣に呼び出された。 「ハルキ君、とってもと〜ても言いにくいんだけど」 結衣の喜色満面の表情に、まるで説得力がわいてこない。 「今日の小テスト全然ダメ。 試験近いから、アキト君に言われてる秘密特訓に必ず出ること。いい?」 「……はい。……でもアキトと俺だけなんですか?」 ハルキは小声で他の人に聞こえないように質問する。 「そうよ」 「それってまずくないですか」 「それは?」 「とても私情が入ってると言うか、平等性に欠けてると言うか」 「そんなの当たり前。私が贔屓してる生徒だから」 「言い切りましたね……」 こうして金曜夜の特別補習に絶対参加することになった。 後でわかったことだが、わざわざハルキだけ問題用紙を難しいものに変えたそうだった。 ******************** そうした事情があってか、ハルキは先回より明らかに熱意があった。 結衣も普通に教師としての腕を振るってるため、教わるほうも真面目に取り組む。 生業だからと言ってしまえばそれまでだが、教える者として充分な才能を持ち合わせている。 「……でね、ここは……」 「ああそっか。なるほど。それならこっちも解ける」 「意外に、と言うよりもやっぱりと言った方が良いかしら、ハルキ君は物覚えがいいわね」 「いやはははは、それほどでもあるっす」 「謙遜しろよ……」 アキトが呆れ気味に呟くと、耳ざといハルキはにやにやと笑う。 いわゆる、からかうぞモードに入った顔だった。 「ほらほら結衣先生、アキトが褒めて欲しいってさ」 「な、なに言ってるんだよ」 「いや〜、あんまり羨ましそうだったからな」 「ふふ、アキト君は〜、いつも頑張ってるよね。 後でご褒美してあげるよ……また、ね」 結衣がアキトの頬を人差し指でつつくと赤面しながらうつむいてしまった。 ここにきて、素直に羨ましいと思ってしまったのはハルキの方だった。 「ねえ、そろそろ休憩する?」 「そうしましょう。さすがに疲れました」 「はい、おやつに甘いものあるわ」 ハルキは存外早いとは思いつつも、密度の濃い内容に疲れているのは同意せざるをえなかった。 結衣が台所に向かい冷蔵庫から、包みを取り出し切り分ける。 暫くして持ってきたのはカステラだった。 「はい、紅茶もね」 「わお、ありがとうございます」 「いただきま……す」 カステラを一切れ手に取り、硬直する。 なかなかに強いお酒の香りがした。 いわゆるブランデーケーキだろう。 ハルキは思案する。これは罠か? 第一にアルコールを摂取すると、全部がそうと決まってるわけではないが、基本的に眠くなる。 つまり、ハルキを眠らせて結衣はアキトとイイコトをする。 規格外淫行教師結衣が考えることだ、あえて自分が眠るとなりで事をいたすのが楽しいのかもしれない。 だがアキトですら、ハルキの酒精に対する体質を知っているか微妙なところだ。 ならアキトをほろ酔いさせて、お持ち帰りしようとする魂胆だろうか。 こちらの方がわかりやすいし、エッセンス程度の小道具なんだろう。 そう結論付けたハルキは、躊躇することなくカステラを口に入れる。 少しでもアキトの食べる分を減らそうと思い、一人で半分超をたいらげた。 当然ハルキは酩酊する。 「んく、結構高い酒つかってませんか。美味しい……ですよ」 なぜか不可思議なことに、ハルキは二人の行く末を邪魔しようとすることばかり考えていた。 けれど、もし何も知らない人間が見れば、少しも不可思議ではない。 ごく単純でありふれた感情の産物だからだ。 「はいはい、お腹いっぱいなところで勉強するのも効率悪いから、ちょっとしたゲームをしましょうか」 結衣はトランプを取り出し、シャッフルを始める。 「さすがに将棋だと気軽に、っていかないしハルキ君はわからないだろうしね」 「何をするんですか?」 「そうね。お手軽で運と実力が適度なツーテンジャックにしましょう。 おまけとして張り合いがでるように、一位は賞品としてビリに質問する権利ね。 もちろんされた方は拒否権なし、誠意を持って答えてね」 いわゆる告白ゲームにハルキはげんなりした。 これは、いかにも結衣が好きそうな特典だ。 俄然負けるわけにはいかず、やる気を出さざるを得ないが、 如何せん手持ちのカードを覚える瞬発的な記憶力、駆け引きと読みは、 この面子の中では自信を持てと言う方が無理な話だった。 残るは運否天賦と、己の善行をかたに神頼みであった。 だが仮に自分が神様だったら結衣に肩入れするだろう。 言葉で表現しにくいが、結衣はそういう目に見えない寵愛を受けるタイプだった。 カードは配られゲームが始まる。 ここからが真の勉強の幕開けだった。 最初はアキトが順調にトリックを獲得していく。 序盤も過ぎれば場と相手のカードを覚える技術、 カウンティングが出来るほうが有利になるが、三者ともほぼ完璧にこなしていた。 アルコールの影響が避けられないハルキだが、 場を支配する軽い緊張感のせいか気分が高揚する程度に抑えられていた。 終盤に差し掛かり、アキトのワントップだったが、 獲得してもマイナスになるカードにもかかわらず、 結衣が強引にトリックを決めると流れが傾いていった。 (やばい。これだと俺が最下位か) とハルキが対策を練る暇もなくゲームは終了してしまった。 「はい、僅差で一位は私、それじゃあハルキ君に質問ね」 「うへぇ〜……わかりました。お手柔らかに」 嫌な予感がするが、勝負に負けたい以上覚悟を決める。 「アキト君からお料理がとっても上手って聞いたけど本当なの?」 「えっ……。あぁはい、まあ得意ですね」 意外に普通な質問で驚く。 結衣ならきっとプライバシー保護そっちのけで、突っ込んだことまで聞いてくるかと思っていた。 「たとえばどんな物?」 「そりゃ色々で一概に言えないですけど、まあ和洋中一通り。 個人的に作ってて好きなのは中華ですね。何と言うか、一番料理してるって感があるから」 「ふーん、機会があったら食べてみたいな。ハルキ君の手料理」 「お安い御用ですね」 「はい、それじゃ次いくわよ」 結衣がカードをシャッフルして配る。 ゲームの流れは主に結衣が握る場面が多かった。 そして負けるのはハルキが多かった。 とはいえ、質問の内容は、 「最近読んだ本は? 好きな作家もいれば」 「スポーツは何かしてるの? 応援してるチームとかある?」 「そういえば聞いていなかったわ、普通に趣味とか何かな?」 「自分を動物にたとえると?」 「好きな芸能人は? ――ぷっ、それって単純に好みってこと?」 といったもので、ほろ酔い加減のハルキは揚々と答えていく。 普段はこういった自分のことをべらべら喋るのはあまり好きではなく控えるが、 ゲームということもあってか、それほど抵抗はなかった。 おそらく生を受けてからずっと一緒である、アキトすら知らないことも話したと思われる。 酒の影響もあったのかもしれない、 だが自己のことを嘘偽りなく、自分なりのこだわりや考えを加えて伝えるのはとても楽しく心地よかった。 次第に深く、静かに陶酔していく。 きっと相手が良いのだろう、 むしろ言いたい、伝えたい、知ってもらいたい。 器に入った意識の蓋が外れて流れ出していく。 自我が境目なく混じり溶け合う、無限に広がっていく感覚は本当にとても心地よかった。 それぞれの思惑はよそにゲームは続く。 「それは、これで勝てる」 「……む? 俺が最下位か」 ハルキがトリックをお獲得して、これでゲームは終了になる。 一位が結衣で、最下位がアキトになった。 アキトは二位を軸に、たまにトップをとるスタイルで、 大きく崩れることはあまりなかった。 「アキト君に質問か。結構知ること知ってるからね。 そうね……アキト君から見たお兄さんの性格は?」 「うぇ〜、間接的に俺が負けたのと同じ気分になる質問だな」 ハルキが小言を言うが、内心は口調とは裏腹に穏やかではなかった。 聞きたいような聞きたくないような。 「兄……ハルはねぇ……」 突然出た昔の愛称に、ハルキはどきりとする。 「名前とは違って秋、それも落ち葉舞い散る晩秋って感じかな。 明るくさばさばしてるけど、どこか寂しさをにおわせる」 「なんだよそりゃ」 いくらか自覚がある分、始末におえない。 「うん、男の子にとてもモテそうないい性格だよ。 料理は最高、世話焼きで甲斐甲斐しいしね。くっ……ははは〜」 「うわぁ、お前覚えてろよ」 「いや、はは、俺はハルキにメロメロだよ」 「ば、馬鹿ヤロウゥ、死ね」 己の半身とも呼べる存在に真顔で言われて、ハルキは照れ隠しに悪態をつくのが精一杯だった。 普段ならいじられ役のアキトだが、ここぞとばかりの攻めに立場が逆転していた。 次のゲームも結衣が一位、最下位はハルキだった。 「そうね、今ハルキ君って誰かとお付き合いしてる?」 ハルキは前までとは違う質問内容に驚いたが、来るべくして来た感じもあった。 酩酊のまま、心は冷静に語り始める。 今なら言える、むしろ知って欲しかった。 「今は……誰とも付き合ってないよ」 「前は誰と、と聞くのはさすがに失礼ね」 「いえ、別に。けど名前は言うのはちょっと……」 「ふふん、ハルキは結構色んな女子と付き合ってるんだろ」 ここでアキトが口を挟んだ。 「……まあね」 「名前は言わなくていいけど何人?」 「質問するのはお前じゃないだろ」 アキトはぺろりと舌を出す。 「次のゲームは俺が勝つって」 宣言したとおり、アキトが一位、最下位はまたしてもハルキだった。 「さっ、素直にゲロしてもらおうか」 「はいはい、お前の執着心にお兄さんは脱帽です。……四人ほどだよ」 アキトは驚きつつ呆ける。 「全然……気がつかなかった。始めはいつ頃?」 「うっ、……今の学校に進学してからだよ」 「てことは、約一年と半年で……四人かぁ……。ちょっと節操がなさ過ぎないか」 「悪いが説教なら間に合ってるぞ」 「いやいや、別にいいよ。それもまた人生だ。 ハルキは変なところで優しいから、断れなかったんだろ。ま、次いこう」 ハルキは安堵の心地と嬉しさに包まれる。 潔癖の気があるアキトには少なからず軽蔑されると思っていただけに、 理解を示す優しい態度が暖かかった。 罪は許され背負う物が減る、それは計り知れないほど大きな解放感があった。 結衣はハルキの表情が緩むのとは逆に、 これがゲームと称して聞きだせるぎりぎりの範囲に感じられた。 それでも予想したとおり、おぼろ気ながら見えるものの肝心の部分がわからない。 多数の女子との付き合いがアキトに対する負い目としても、 最初に行った結衣に対する仕返しが繋がらない。 兄弟愛をいささか超えるほど、アキトの幸福を願う理由としても足りない。 そう思いつつも、無理に問いただしハルキの反発や反感を買うのは論外であった。 少しずつ心を解きほぐし、ガードを緩めたところで仮面を一枚一枚取り払う。 微量なりに酒の力を借りたのも良かった。だがいつかは覚めるもの 今が一番無防備な時、詰めるなら今しかないだろう。 種や仕掛けがあっても、本人自らが告白で以て話すことに意義があるのだ。 結衣はアキトにさり気なく合図をした。 こんな時でも、こんな時だからこそ楽しかった。 カードは配られる。 三人の内、二人が結託して一人を勝たせないようにするのは難しくない。 そして結託した二人の内、一方を最下位にするのはもっと簡単だった。 「トリック獲得!」 「あれれ、今回はカード運が悪いわ〜」 アキトとハルキが競り合う形となり、結衣は最下位であった。 最後にアキトが追い抜き、一位になった。 「やった、これを楽しみにしてたんだ。俺が一位、先生がビリ」 「お手柔らかにね」 アキトは本当に嬉しかった。 これまでの計画はほとんど結衣が立てている。 そしてアキトは結衣の計画を全面的に信じている。 「先生にも聞きたかったんだ。今までどれくらいお付き合いがあったの」 この質問にハルキは苦笑する。 あまりに女心を知らない、デリカシーのない質問だった。 結衣なら笑って許してくれるだろうが、普通の女性なら嫌われること請け合いである。 「普通に交際するってことなら、一人だけよ」 「へ〜、意外です」 アキトの反応とは逆に、ハルキにとっては意外でもなんでもなかった。 結衣は高嶺の花すぎるのだ。手を出すほうが難しい、手を出す前にあきらめる。 「でも、その、関係のあった人は、他にもいるんですよね」 一瞬アキトの口を塞ぎたい衝動にかられる。 無神経にもほどがある質問だった。 「ふふ、そうね……。知りたい?」 「勿論です」 「うんとね……四人」 意外に少ないように思えた。 あの激しさから思うに、もっと多いのかと。 それともアキトに対して配慮をした数字なのだろうか。 「一番最近だと……この学校の人」 「えっ」 「え〜、誰ですか? 問題なければ教えて欲しいです」 これには俄然、ハルキも聞きたかった。 もしかしたらアキトのライバルになるのかもしれない。 今アキトの武器になるようなものは、将棋と将来性くらいなものだ。 もしもの時は、全力で対応しなければならない。 先の告白で、ハルキはアキトと結衣の邪魔しようなどとは毛ほどにも思わなくなった。 許してくれたアキトに報いるのは勿論、酔った勢いで崇拝すらしていた。 「問題ないと思うわ。……だってハルキ君だもの」 「…………えっ…………」 「へえぇぇ」 ――だってハルキ君だもの 結衣が言った言葉が頭の中に反響する。 理解を拒む頭が一瞬を永く引き伸ばす。 時間が熱せられた鉄から鋼板を作るように、巨大なローラーで押しつぶされる。 「い、いやそれは……」 「それは?」 結衣は冷静に問う。 「違う。違うんだ!」 「まあまあ、落ち着けって」 声を張り上げるハルキに対して、アキトは自然に、いつもと変わらないよう振る舞う。 あらかじめ聞かされていたことであり、何も問題はなかった。 自慢の兄が、自慢の女性と結ばれる。 嫉妬などするはずもなく、初めて知った時から喜ばしいと思っていた。 「なあハルキさあ。別に俺は怒ったりしないよ。 前から言っていただろ、ハルキの方がお似合いだって」 演技でもなく、率直な言葉だからこそハルキには響く。 「ハルキが幸せになってくれるなら、俺も嬉しいってことさ」 「俺は、俺こそアキトには……幸せにって……」 「勿論羨ましいけどさ、素直に祝福するよ」 それはハルキが言うべき台詞だった。 「それは……それは違う」 意識も遠く、うわ言のように呟いた。 アキトはそんな兄の様子を見ながら口を開く。今、本当に言いたい全てを。 「俺が再三言ってたけど、本当はハルキだって結衣先生のこと好きなんだろ? こういうのは結構わかるって。血は争えないって言うし。 俺に気を遣って色々手を回してくれたんだろうけどさ、 どうも最近変なのは、自分押し殺して結局無理してたんじゃないのか。 そんなことされても嬉しくないだろ、ハルキだってさ。 昔から色々そういうことしてたの、何となくわかってるんだぜ。 正直言うと、ハルキの料理好きだって怪しいもんだと思ってる。 親が離婚してから、俺に美味いもの食べさせようと無理矢理上達した感じがあるし。 でもあえて今言うけど、感謝してるよ。飯は美味いし、それ以外も色々さ。 少ない家族の中、そこに居るってだけでも充分救われてるぜ。 もう一度言うけど、俺はハルキに感謝してるし、祝福するって。なっ、素直になって言いなよ」 懸命な問い掛けにもハルキは応じることができない。 もともと行為に及んだ理由は、好意とは程遠い感情だった。 「違う。俺は……先生のことが好ましいと思うが、愛情めいたものはない。 だから、アキトに黙っていたことは謝るよ。ただ興味があったから……」 今になって気付く。 アキトが冗談のように言った、好きかどうか確かめたいとは本当のことだったのかと。 「ハルキは……いくらなんでも興味本位だけで、レイプまがいのことをする奴じゃないだろ……」 「っ!」 その一言だけでも、包み隠さず結衣から話が伝わっているのがわかった。 無性に涙が溢れそうになるも必死でこらえる。 アキトに嫌われるのはまだしも、軽蔑されるのは耐えられない。 だが耐えるしかないのだ、もうここまで来てしらを切るのは返ってまずい。 ターニングポイントは当に通過している。 ならば、せめてアキトには気持ちよく軽蔑してもらったほうが良い。 兄はろくでもない奴だと正義感を持ってもらえれば、 これから先の二人の手向けにもなるはずだから。 「それは……買いかぶりすぎだ。俺だって男だぜ。 本人を目の前に言うのもなんだけど、先生みたいな……」 結衣を責めるつもりはなく、逆に感謝して良いくらいだった。 お互い過剰に依存しあっていたのかもしれない。 ここまでされれば、お互いきっぱりと道を分かつことができるのだ。 薄々考えていたことだが、己が耐えられるか怖くて実行できないことだった。 「……すごい魅力的な身体を見てなにも思わないわけないだろ。 へへ、実際すごく良かったし、アキトだって……知ってるんだろ」 この後ハルキは、どれだけ素晴らしかったか詳細に述べた。 大人とどこかあどけなさが共存する美貌、 さらさらの髪、ぱっちりとした目元に長いまつ毛。 背は高くモデル体系のくせに出るところはしっかり出てる、 ほど良く肉付きがあって、引き締まってるけどやせ過ぎてない。 胸の大きさは文句なしだ、それ以上に形が綺麗だから揉んだり吸い付きたくなる。 そして実際行為に及んだことまで話し出す。 とても魅力的だった胸に挟んでしごいてもらったこと。 あんまり気持ちよくて顔に射精したこと、 整った容貌を汚す背徳感が堪らなく淫猥だった。 白く濁った精液がべっとりと付いて垂れる姿にまた勃起したこと。 その後の性交についても包み隠さず、時に手振りも加えて話した。 ハルキは初めて酒に弱い体質に感謝する。 とてもじゃないが、酔っていなければ言えないことばかりだった。 自傷による自虐のための告白だったが、もっときついのはアキトだろうと同情する。 せめて結衣に対して、まったく気にしなくてよいのが不幸中の幸いだ。 ふとその結衣を見ると、笑顔のままこちらを見ていた。 自分の進む方向が間違っていないと、不思議に勇気付けられる笑みだった。 「今までのセックスがおままごとに思えるほど素晴らしかったんだ。 俺が求めて止まなかったのが、こんなところにあったんだって思ってしまったよ」 求めていた熱さ、灼熱に満たされたひとときだった。 いままで付き合ってきた女子たちともセックスしてきたけど、 比べ物にならないくらい結衣とのセックスは素晴らしかった、気持ちよかった。 ひとしきり喋った後、沈黙が降りる―― ――かと思ったが違った。 「な〜んだ、俺の言ったとおりだったじゃん」 「……はぁ?」 「それって結局先生が好きだってことだろ」 「……え? ど、どこをどう聞いたらそうなるんだ。 お前は俺に幻滅して、軽蔑していいんだぞ」 「えっと、最初に怒らないし、祝福するって言ってなかったか?」 ハルキは頭を抱える。 今の話を聞いて、どうしてこうなるか理解できなかった。 将棋と勉強ばかりしすぎて、情操面でおかしくなったかと三割程度本気で思う。 「だ、だけど! 百歩譲ったとしても、レイプしたらいかんだろ! 好きとか興味があるとか、そんなので犯罪を犯してよい理由にならんだろ!」 「そうね、理由にならないわね」 意外な方向から救いの手が来た。 結衣からこの手のまともな反応が返ってくるとは思わなかった。 ハルキ君がするなら相手も嬉しいから良い、とか言いそうな人である。 「ほらそうだろ」 「だから、ハルキ君は、好きとか興味ということで、レイプしてよい理由にならない。 そういうことよね」 「……? は、はい。当然ですよ」 異様なプレッシャーに気おされながら答える。 「それなら、ハルキ君はどんな理由で、私と無理矢理しようとしたのかしら? 実際問題実行したのだし、ハルキ君がする理由、もっと言うと、して良い理由って何?」 ここにきて、ハルキは完全に絡め手で捕らえられたのを感じた。 ここから先は誰にも伝えず、墓に下まで持っていく領域だった。 もっとも墓穴を掘ったのは当人自身だったが、この歳で入るわけにはいかない。 「くっ……」 「答えたくないかしら。……アキト君を汚されたのが気に食わなかったのよね」 「そんな汚されただなんて……」 アキトが不満気に言葉を漏らす。 「ごめんねアキト君、私も清廉潔白とは言いがたい人間だしね。 一晩で関係を持ったように思われれば、ハルキ君がそう考えるのも無理もない話。 だけどそれが意趣返しまで思いつめるのは、どう考えても不自然だわ。 これがアキト君は女性、私が男性ならすごくわかりやすいけど、現実は逆。 逆鱗なんて人それぞれだけど……確認しておくけど、アキト君から見ても変よね」 アキトは肯定の意をとった。 真実ならば、そこまで兄から想われていたとは考えもしなかった。 なるほど、深い恩か負い目があると言うのも頷ける気がする。 「これをハルキ君がアキト君の母親代わりってことで見ると……」 「どうして皆……。俺をあんな奴と一緒にしないで……くれ」 突然涙声を上げたハルキにアキトは驚いた。 どこからどうやっても暖簾に体当たりするような、 言いたい奴に言わせておけを地で行く飄々とした性格であり、涙を見るなど初めてだろう。 兄は喜怒哀楽の内、怒と哀の感情が極端に欠けてる人間とすら思っていたくらいだった。 「ごめんね。アキト君との話で、君には傷つく一言だって予想してたけど……。 そう見ると、それほど不自然じゃなくなるの」 「ハルキは……母が嫌いだったのか」 ハルキは涙を拭いて静かに頷いた。 今までアキトのために行ってきたことが、 よりにもよって母親と同一視されるのが悲しかった。 そして父が言ったとおり、確かに母と性格が似通っていたのも嫌だった。 「別に嫌うほど悪い人でもないだろ」 アキトが思うに、離婚したとはいえ憎まれる理由はないはずである。 そもそも兄が人を憎むなどと、負の面で執着的なこと自体違和感がある。 触発され思い出したが、離婚した折どちらに付いて行くか、 強硬に『二人とも』父に付くと主張したのはハルキだった気がする。 「俺には俺で、どうしても許せないことがあったんだ」 もう黙っていられなかった。 心の内に秘めるどろどろのマグマが沸き立ち、出口を求めてさまよう。 ハルキは深く溜め息を吐いた後、幼少の頃の盗み聞きした両親の会話の内容を話す。 あの後、子供ながらにアキトを守ると誓ったことも含めて。 生命と経済を秤にかけた重い内容に加え、 普段表に出ない両親の事情に今度こそ沈黙が落ちる。 「俺はまだいいさ……長男だから。けどあんなこと言われてアキトはどうなんだよって思ったんだ。 たかが数分数秒早く生まれただけでこんな差別、存在意義まで問われるなんて許せねえよ!」 アキトはここまで感情の起伏が激しいハルキを見るのがつらかった。 普段の素振りと乖離しすぎて、自分を見失ってるのがうかがい知れる。 何か言いたくもあったが、かける言葉が見つからない。 なぜならハルキがここまでひた隠しにしてきた事実、 それを知らされたショックなど、アキトにとってはハルキが思い悩むほどではなかった。 自分が生きて今ここにいることは、自分自身が一番よくわかっている。 今ここに自分がいると、声高らかに言えるのは兄のおかげもあるだろうが、 感謝するとでも言うのは明らかに違う気がする。 過去を振り返って心にも無い謝辞を述べるくらいなら、 先を見据えて―― 「なんだ、ストレス知らない人間だと思ってたけど、違ったんだな」 「茶化すなよ」 アキトはハルキの手を取って語り始めた。 ちょっと変わった面白い光明があるのだから、過去に囚われずこの先の未来を見据えて欲しい。 「まさか。真剣に憂うくらい、いつも明るくて適当で羨ましかったくらいだぜ。 だからさ、そんな昔のことでくよくよ悩んでないで、適当にうっちゃっておけばいいんだよ。 どうせ解決できるような事象でもなけりゃあ、過去に戻るわけにもいかない。 それなら忘れるか洗い流すのが一番だろ。 中国だと解決できない問題も無問題って言うって話しだし、それくらいのパワーを見習えよ」 「……いや、それは違うと思うぞ」 「うむ、俺もちょっと違うと思う。 だいたい草津の湯で直すタイプの病なんだから、そんなもんで良いってことを言いたかったんだ」 「……意味がわからん」 「そうか? 俺はいつもの兄キに習ってるつもりだから、すごくわかりやすいと思うぞ。 まあ俺は医者でもないけど、俺の手のぬくもりが温泉よりは良い薬なはず。 だから気色悪いのも我慢して、こうやって手を取り合ってるんだぜ。 ほらほら、俺はここにいるだろ。それ以上でもそれ以下でもないんだよ」 取った手をぶんぶん振ってアピールすると、ハルキは照れくさそうにそっと手を抜く。 あまりにも脳天気な気の遣いように馬鹿らしくなってしまった。 抜いた手が冷えると同時に、心も落ち着くのを感じた。 「わかってるよ……。 ただ、一方的に許されて安穏とする自分の立場が……アキトに対する負い目が強かったんだ。 ふう……。まっ、エサやったり世話してるうちに、色々積み重なったのもあるんだろうな」 ハルキは肩の力を抜いて、冗談を言いながら無理矢理気味にへらへらと笑う。 本当なら今こそ涙を流すべきなのだろうが、生憎それは両者とも望んでいなかった。 「うんうん、私感動してちょっと涙が出たよ」 「なんにせよ、色々と黙っていて……悪かったと今なら思う。 後は先生と上手くやって幸せにでも何でもなってくれ」 結衣とアキトは顔を見つめあう。 二人とも妙に照れくさそうに微笑む良い雰囲気だ。 「それはちょっと無理かな?」 出てきた結衣の台詞は、雰囲気からは正反対のものだった。 ハルキのこめかみの部分がぴくぴくと動く。 「……ここまで言わせておいて……大人なら責任の取り方って物がありますよねぇ」 「あらら〜。私が本当に大人なら、きっぱり諦めなさいって言うわよ。 先生と生徒の立場、性格の違い、エッチだって…… いつか私はアキト君を、アキト君は私を遠ざけてしまうかも」 「……自重……できませんか?」 にっこり笑っているが、ハルキからは威圧感がひしひしと感じる。 あなたにとって一番重要なのは最後の理由だけで、 他のはハードルでも何でもないくせに、と声無き会話であった。 結衣は臆することなく、実に爽やかに目元を拭う。 「それにハルキ君を放っておけないわよ。アキト君抜きで君は君の幸せを見つけられるの?」 「そうそう、ハルキは俺と、俺たちと一緒にいるのが一番自然だって」 「おいおい……」 ハルキは先ほどまでの問答はなんだったんだろうかと考える。 真実を知ること、道を分かつことが目的でなかったのだろうか。 嬉しくもあるが、こうも引き止められるのは未練が尾を引きよろしくない。 こんな時でもハルキは自分がアキトより大人だと思っているため、 心配を掛けられている立場だと気付かなかった。 こうまでしてハルキが隠しているものを白日の下に晒したのは、そもそもハルキ自身のためであり、 アキトも、結衣も、ハルキを救済することが真の目的なのだ。 結衣は救済とは別の目的も大いに含んでいるが、これはこの際どうでもよい。 この場合三方とも一両損をさせるどころか、得をするが結衣の目的だからだ。 「そんなに面倒見切れないぞ」 結衣はとても可笑しかった。いや、微笑ましかった。 ハルキの今の言葉はまさに願望なのが明らかにわかる。 「大丈夫よ。見れるわ」 あなたは迷える子羊、私は狼で牧師さんだから。 彼は幼少の頃から滅私奉弟が身に染み付いており、 もはや自分の幸福の追求を忘れていると言っても過言ではなかった。 そして彼が善人であればあるほど、それはとても悲しい事だった。 結衣の思想信条から見れば、言語道断の仕儀に当たる。 「だって私と、アキト君と、3Pすれば全てが丸く収まるから」 「……………え?」 明らかに場に似つかわしくない台詞が飛び出して、 ハルキは思考回路が瞬間的に凍結した。 「こんなところでかまととぶっても意味ないぜ」 「ふふ、ハルキ君。まさかアキト君を裏切ったりしないわよね」 ハルキは肩に手を置かれたかと思ったら、背中に二つの膨らみが押し付けられる。 暖かく柔らかいが、はっきりとした自己主張を持っていた。 「えっ、えぇ?!!」 解凍した後沸騰する。 前門にアキト、後門には結衣。 アキトは傍観してるだけだが、背後から羽交い絞めにされて身動きは取れなかった。 「せ、せんせ! あっ……ああ、そんなところダメ……」 「可愛い声、女の子みたい」 ハルキは後ろから抱きつかれたまま、細く長い指で下唇をなぞられる。 もっとまずいのは、もう一方の手は股間をさわさわとまさぐられていることだった。 すでに硬く屹立したものが、ズボンの中で悶えていた。 「ダメだよ……俺はセンセイのことが……」 「もう、私の身体が欲しいくせに。この口がいけないのね。ん……ちゅ」 結衣は強引にハルキの顔を抑え、後ろに向けさせて接吻をする。 すぐさま唇に舌を割り入れ、顔を傾け横咥えに口腔全てを味わう。 無駄な抵抗を止めた歯が開いたら、踊る舌を絡めて唾液の交換と一緒に溜まったものを飲み下す。 貪るような激しい接吻だった。 「ん、ちゅ、んん……じゅるる……あっん、ちゅ、はあはあ」 「んん……ふふ、いい顔。ねっ、安心してハルキ君、私が惚れさせてあげるから。 そのかわり全部、あなたの全てをもらうわ、アキト君も一緒に。 だから二人で私の全てを受けとめてね」 「今ここで?」 「そっ、鉄は熱いうちにね」 唾液の橋が架かる中、ハルキは夢うつつのままもう一度唇を重ねる。 例えるならそれは、氷河が真夏の太陽によって溶け出す感じ。 内にわだかまる業も流れ、憑き物が落ちていくようだった。。 今更好きですだなんて、恥ずかしくてとても言えない。 ******************** ご丁寧にアキトは布団を敷いて、その上に結衣は押し倒された。 ハルキはブラウスの上、アクセントに結ばれてるリボンを解き、 ボタンとブラを外し、飛び出すように弾ける乳房を口いっぱいに含む。 口の中で硬くなる乳首に重点的に吸い付き、もう一方を円を描くように愛撫する。 アキトはアキトで、先ほどのキスに触発されて唇を重ねる。 「んん、ぷはぁ……先生……本当は、またこうしてできるとは思わなかったんだ」 「ん、アキト君たら」 アキトは大胆に手をタイトスカートの中に入れて、下着の上から割れ目のあたりを撫でた。 荒くなる結衣の呼吸に合わせて、湿り気も帯びていく。 胸の巧みな愛撫に加えて、稚拙ながら感じる下半身からの刺激に結衣は震える。 「はあはあ……。二人からなんて、初めて」 「もっともっと……んちゅ」 「スカート、外すよ」 結衣はこくりと首を縦に振る。 もどかしくベルトと留め金を外して、結衣が腰を浮かすのに合わせて下ろす。 うっすらと滲む純白の下着に目もくらむようだった。 白磁のような尻の丸みを撫で、さりげなく秘裂にそって擦る。 「はあ、はあ、もう濡れてる」 「ああぁ……もう脱がして。直にして欲しいの」 最後の砦に恐る恐る手をかける。 腰に当たる布を掴み、ゆっくりと引き下ろす。 薄い茂みの下はすでに濡れて光っていた。 アキトは堪らず秘所に直接口付けして、ヴァギナへと舌を挿入する。 「んん……そこ」 「アキト、もう少し上の部分も」 アキトはハルキに言われるまま、膣口の上も舐める。 ぷっくりと膨らんだ部分を見て、これがクリトリスかと気付いた。 そっと舌で突くと、反応があってか吐息と共に身体が震える。 「あぁ……ん、いいよ」 「ここ、感じるんだ。嬉しい」 「そ、敏感な部分だから優しくな」 ハルキはしつこいほど乳房を愛撫しながらも、徐々に全身へ舌を這わしていく。 脂ののった女体からかもし出される、魅惑のフェロモンに酔いしれる気分。 結衣はゆっくりと嬲られながら、溶けそうな情念に焙られる。 四本の手と二枚の舌だけでもこれほどなら、 更に身体を重ねたらと思うと押さえが利かなくなりそうだった。 「はあっ、ああぁ……もう……来て、ひと思いに」 散々に陰核と膣をほぐしていたアキトはハルキに目配せする。 「えっ、俺?」 「そっ、誰がどう見たってハルキ」 「い、いや……」 ここまでやっておきながら、ハルキは恥ずかしくて顔から火が出そうだった。 もどかしげに身体を揺らす結衣はハルキに抱きつく。 「ふふ、どっちだっていいけど、確かに今日はハルキ君だよねぇ。 アキト君、ほら協力して」 「アイアイサー」 「ええぇぇ……ちょっ、おま……んん」 逆にハルキを組み敷いて、手際よく服を脱がしていく。 アキトまで率先して協力されては、大人しくするしかなかった。 「ハルキ君はMだもんね。犯されるのが好きだから」 「やっ……あぁ。そんな……」 結衣は露わになった男根を握りながら、息を吹きかける。 びくびくと刺激に跳ねるが、竿を下から亀頭先まで舐めると一層硬く反応する。 こんな立派なモノを見せられて、もう我慢も限界だった。 自分を愛し、受け止めてくれる二人。 もうこれから先、きっと我慢する必要なんてなくなる。 そう思うと頭の中で何かが弾け飛ぶのを感じた。 「ああぁ……これよ、これが欲しかったの……」 「はあはあ、結衣……」 結衣は後ろ向きになって、天を仰ぐ怒張へ腰を落とす。 ずぶずぶと沈みこむのとは反対に、駆け上がる充足感に震える。 全部収まったら腰をひねって、その大きさを奥まで感じとっていた。 湧き上がる甘い刺激が結合部を満たす。 「ほら、ほらほら、ハルキ君のでいっぱい」 「うわぁ、エッチです」 結衣は両手をついて腰を上下させるが、 負けじとハルキも下から突き上げるため、全身が踊るように跳ねる。 力強い動きに合わせて乳房も扇情的なダンスを演出した。 ハルキは背面から上に乗る結衣の首にかぶりつき、重力と合わせて膣を貫き存分に責めたてる。 「はあはあ……んぁあ、ああぁ」 「先生、ほら上の口でさ……」 「んん、ちゅっ、ん、ん、はあぁぁ……もうすごい」 結衣は突きつけられたアキトの肉棒も手と口で愛撫した。 後ろからたっぷりとした膨らみを持ち上げられ、突起をこりこりと摘まみながら、 下半身は密着する臀部に肉棒が女性器へと擦り込まれる。 性器の内、熱く熟れる内部は愛液をしとどに絡ませながら貪る。 先端が奥まで到達するたび、性感帯が女の悦びを伝えた。 「はあぁ、ん、じゅるる、あはぁ、硬いのいっぱい奥までごりごりって来るの!」 「はあはあ、先生、ハルキのいいんだ」 「うん、いいよ、すごく。まだくるよぉ」 ハルキは悶える結衣を激しく責める。 多少動きが制限される体位であっても遠慮なんてしない。 気を抜くとすぐにでも射精してしまいそうな快楽の中、 精を求めんと膣の蠕動に合わせるよう一心不乱に突き上げる。 「あふ、く、もう……もたないかも」 「ん、んん、来て、ハルキ君の全部もらうよ。 身体の奥が熱くて疼くの。そこに、はあはあ……そこに欲しい!」 ハルキは結衣の腰を押さえて膣奥を小刻みに前後させる。 下腹部に感じる疼きを刺激され、結衣は堪らずむせび泣く。 ひくひくと痙攣して、軽く絶頂に達してしまっていた。 「ひゃん……もうそんなにして……やぁダメだけど……いいよ。 そこっそこに……出して。中で出して、熱い精液をどっくんて浴びせて欲しいの」 「先生、もう気持ちよすぎて堪らないって表情だね」 「はあはあ、はあ、結衣が感じてくれて……俺も嬉しい。俺もそろそろ……限界」 結衣が腰を落とすと、ハルキもまた突き上げる。 怒張が何度も肉襞を摩擦し、勢いをもって貫く。 背筋を走り抜ける快楽に、女性器は悦びの涙を流して奉仕する。 生殖を催促する甘美な奉仕の連続に、ハルキは最奥まで挿入して射精した。 陰嚢から込みあがり、尿道を駆け抜ける快感に咆哮する。 「ぐっ、ああぁぁぁ! はあ、はああ」 「ああぁ、私もイク、イっちゃう! 中出しされながら……」 結衣は膣内射精を受けながら腰を打ちうけられる激しさに容易く屈する。 落ちるところを狙い済ましたように、牡の器官はこれでもかと精をはきかける。 そのまま直に白熱した体液は膣粘膜にかかり、更にその奥へ下腹部を満たす。 「やあぁ……すごくたくさん……出てる」 「俺……はあはあっ、一週間近く何もしてないからね……」 そのまま結衣は後ろに倒れ、ハルキの上に仰向けになる。 女性器との交合を堪能し、たっぷりと精を注ぎ込んだ男根は役目を終え、 体勢の変化と共にずるりと抜ける。 結衣は背後にいるハルキの肩の上に頭を乗せ、横にある顔とキスをして余韻を楽しんだ。 「すごい、先生のココからハルキの精液が溢れてる」 アキトは倒れこんだ二人を下半身側から見渡して、一点に視線を集中した。 ひくつく割れ目からは栓が抜けたように、粘液がとろとろと垂れる。 尻を伝い、シーツに染みが広がっていた。 「やぁ……見ないで」 結衣は脚を閉じようとするが、ハルキは手で抱え隠すのを許さない。 「ダメだよ。しっかり見てもらわなきゃ。中出しされたってさ」 「見えるよ。今度は俺の番だね」 「あっ、もう、くる。さっき出されたのに、もう硬いのがくるの!」 結衣はハルキによって脚を抱きすくめられたまま、次にアキトの怒張によって犯される。 いっぱいに広がる性器からの充足感に、熱い溜め息を吐き出す。 一人をいかせたら、次にもう一人いかせる、 結衣の肉体の奥底、下腹部からくる熱い疼きは久々に満足な時を迎えられそうだった。 貫かれながら後ろからは舌と指が愛撫で応援を送る、二人の愛を感じながらそう思った。 「いいよ、アキト君のオチンチン感じる。結衣の子宮までずんずんくるぅ!」 ハルキは結衣のくびれた腰に腕をまわして押さえ、 秘所を貫く衝撃が吸収されることなく、ぬらつく器官へ伝わる。 その間も片手は美乳を弄ぶように、上向く突起を摘まんではひっぱる。 不規則に蠢く内部に、きゅうきゅうと搾るのを合わせ官能の溜め息が漏れた。 「くうぅっ、前よりキツイ気がする」 「はあはあ、さっきイったばかりだから、ああぁ! 今度はぁアキト君のチンポで犯られてる! 深いところ当たる!!」 「だけどもう中はどろどろ。ほら溢れてきた」 結合部の隙間から白くあわ立ち、膣内で留まる精液がかき出されていく。 ハルキの精を迎え入れた膣を容易く奥まで突き上げ、 次は自分の番を主張するように何度も抉りこんだ。 びくびくと蠕動し、締め付ける肉襞に抗い、さらに激しく腰を前後させる。 精を吸い上げようとする女性器の歓喜に対して、射精感が急激に増す。 「いくぅ! ああぁあ!!いってるのに、いかされてる!! きてぇ、アキト君の精液を、結衣の中に出してぇぇ!!」 「はあはあ、一緒に」 「一緒、そう欲しいよ、ああん! 出したらぁ子宮の中で、ハルキ君のと混るの。どろどろに」 双子とはいえ、別々の個体から受ける性行為。 双方とも結衣に快楽をもたらすには充分であり、 さらにそれ以上のものへと徐々に昇華させる。 膣が生き物のように動き、苦しそうに渇望の締め付けを行使する。 義務を果たすのに対し、権利を要求する牝の嘆きだった。 「はあぁ、すごい……気持ちいい。もう……イク、このまま……」 アキトも彼女の願いを聞き入れ、存分に欲望の奔流を注ぎ込む。 鈴口から弾け、勢いよく走り抜ける快感により深い交合を目指し、 脚を大きく開かせ膣奥まで捻り込み余すところなく射精する。 結衣は意識して感覚を結合部へ向け、待ち望んだものを詳細まで感じ取っていた。 「はうぅ、アキト君が中に出してるの、感じるよ……」 膣内で大きく脈動するとともに、子宮口へとこつこつノックして先端から熱く太い一閃を浴びせる。 肉体にある真っ白なキャンパスを、新たな遺伝子が塗り込められる。 「く、うっ、まだ……出る」 「はあん! まだ硬いさきっぽから、ビュクビュクって出てるよ」 「どう、アキトのザーメンの味は」 「いいわ、すごくいいよ。アキト君も、ハルキ君も最高! 量も勢いも。愛を感じるの。きっとどろどろでとっても濃いのよ」 胎内を満たす精液を嬉々として悦び、断続的に続くたびに白い尻を震わせた。 アキトが腰を引くとき、結衣は自ら恥丘を開いて膣内を見せる。 白濁とした液は肉棒にもまとわりつき、抜いた先にある肉壷まで糸を垂らしていた。 結衣はとろとろと股に流れる粘液をすくって口に運ぶ。 指先を舌でねぶり、吟味するように唇を閉じる。 「ん……精子もすごく元気そう。結衣を……ふふ、受精させようと頑張ってるのね」 「はあはあ、それ、すごくエロいですよ」 時を置かずして、二人の男とのセックスに中出しされる背徳感にも深い陶酔を覚える。 そして腰の辺りには、後ろで抱きかかえるハルキの硬いものを感じていた。 アキトが腰を引けば、一息つく暇もなく横倒しからうつ伏せにされる。 腰を高く抱えられ、後ろから貫かれるとわかった時に、声にならない声を上げた。 予想は現実となった今、事後承諾に変わられる。 「っ! ぁん! あぁ!!」 「今度は、どうです」 「んあぁ、これ! あっ……もう、おかしくなるの。 逞しいオチンチン、ハメっぱなしで、ああん、 お、奥までぐっ、てあたっちゃうのが気持ちいいよ!」 亀頭が膣のざらりとする腹側を擦り、更には角度を付けて深々と突き刺さる。 結衣は感じるポイントをじっくりと責められ、四つんばいのまま進んで下半身を掲げる。 荒々しい余韻もそのままに、丁寧で巧みな動きに翻弄された。 「結衣にはもっと感じて欲しいんだ」 「ん、はあぁ……そう、あっ、あんっ!」 兄との性交で蕩ける結衣の表情を見て、アキトのものも自然といきり立つ。 引き締まっていながら適度に肉付きがあり、 女性特有の柔らかさに加えて瑞々しい弾力が生殖行為とともに揺れてはじける。 汁のつまったはち切れんばかりの果実を二人で独占していた。 「はあはあ。ごめん、我慢できないんだ」 「はあん、いいよ。舐めてあげる」 アキトは結衣の目の前に腰を突き出し、舐めて欲しいと催促する。 ハルキは弟のサディスト気味な行為に苦笑するが、結衣は一に二もなく口に咥える。 唾液が絡む舌なめずり、ぐちゅりと粘液がはじける音を交互に鳴らす。 上と下の口を完全にふさがれながら、ともに男性器をねっとりとした粘液を絡めてしごく。 「あぁ、すごく締まるよ、先生のココ。アキの咥えるとさ、きゅぅっってきつきつになって気持ちいいんだ」 「んふぅ、ちゅるる、あっはぁ、アキト君も、ハルキ君も、すごいよ」 「ん……先生もハルもいきそうな顔してる。見てるこっちが恥ずかしいぜ」 「オマンコ、勝手に締まるよぉ。大好きだか離れたくないの!」 冷静に観察できる分、アキトは揶揄できる立場にあった。 気にしてる余裕も無いハルキが、もう一押しとばかりに膣奥まで抽挿を繰り返すたび、 結衣は勢いのあまり咥えた肉棒が喉元まで当たる。 全身が連動するように走りぬく刺激が、それぞれの性感帯へ作用する。 怒張をしごかれる肉襞の責めに、過剰なまでの締め付けが加わる。 きつい摩擦の快楽に、溢れ出る愛液が潤滑を遠慮なく加速させた。 腰にあたる臀部の感触に合わせて、亀頭が膣を押し広げ先端が子宮口までぶつかる。 「ん、ちゅっ、じゅる、ん、はあん、イク、いいよ。ああぁ我慢しないでぶちまけて! 膣内で出して、熱い精液でぇ結衣の子宮をいっぱいにして!!」 「はあぁっ、気持ちいいよ。だけど我慢して、溜めてから出す。 イって、結衣がイってから、んん、溜めた分出してあげる。はあはあ、その方がたくさん」 結衣はがくがくと首を縦に振る。 「ああん、それでもいい、いいよ。はあぁもう、赤ちゃんできるのぉ。 何度もイかされて、二人のとびきりの精液、出しされて!」 肉打つ音の感覚も次第に短く、高くなっていった。 膣粘膜に震えに弄ばれながらも、持たないことを覚り腰を掴んで引き寄せる。 長いストロークで入り口から最奥まで勢いよく腰を前後させる。 後ろから犯す体位の征服欲も加わり、 怒張は鉄柱のように硬直し、媚粘膜を容赦なく蹂躙する。 結衣が積極的に白い尻をなすり付けると、 ハルキは片手で乳房を愛撫しながら膣口をなぞり、クリトリスと乳首を同時に摘みあげる。 「ん……あああぁあぁ! すごいよそれ、オマンコいっぱいんでぇ、乳首もクリもイクよぉ!!」 たまらず肉棒を口から放し、嬌声を発しながら大柄な女体が悶え鳴く。 ぎちぎちと搾り取る圧力に晒されながら、 何度か最奥まで割り入れるような挿入の後、欲望の堰を解放した。 ねっとりと絡みつくように、子宮まで蕩かすような子種を浴びせる。 「くぅぅぅあぁ! はあ! 結衣の中で……出す。膣内射精だ」 「やああ、オマンコの……中に出てる、溢れるくらいすごいの。 こんなに濃いの、何度も……ん絶対妊娠するよぉ」 「はあ、はあ、今日のうちにきっと受精させてあげるさ」 「うん……させてよぉ。アキト君とハルキ君で……種付けして」 膣内でびくびくとはねながら熱い生命のエキスが注入され、 結衣は性交中すでに幾度となく達しながらも、幸福感に果てる。 腰を抱える手で結合部上の陰核を刺激され、熱い吐息と共に肉襞は震えながら締め付けて吸い取る。 甘美な誘いに便乗して幾度となく性器の結合を深め、一滴も残らず実を結ぶために移しかえた。 「はああぁ、んあもう……こんなの初めて。 こんなにたくさん……初めて。それにまだかたいね……」 依然硬度を保ったまま、じっくりと舐るような動きに口から涎をたらし喘ぐ。 「まだできるけど……」 「ハールー」 「わかってるって、先生も、っさ」 「あん、抜いちゃうの」 「次は」 「あん、アキト君……もう待ちきれないのね」 結衣はアキトの上に乗って天を向く肉棒に自らを穿つ。 互いに腰を浮かせ、結衣は身を躍らせた。 美しい豊満なバストが揺れるたびに、牡の劣情を煽り立てる。 「先生もアキトのが欲しかったんだろ」 「ああぁ……あは、そうよ、これが欲しかったの。 ぺろぺろ舐めながら、次はこれって思ってたわ」 圧し掛かられながら何度も腰をぶつけ合う。 肉打つ音に混じって、ぐちゅぐちゅと溢れ出る精液と愛液が快楽に拍車をかける。 どろどろに入り混じった膣に、はっきりと境目がわかる硬く熱い男根によって貫かれていた。 子種を求めて発情する肉体は、生殖器を擦り合わせ、入り口との接吻に悦びの蜜を垂らす。 「あはぁん、腰、止まらない! 私、エッチだから……我慢できなくて生徒を犯してるわ!」 「はあはあ、先生、先生、俺、エッチで淫乱な先生が大好きです」 ハルキが後ろから抱きすくめ、胸を揉み首に舌を這わせる。 ぞくぞくと身悶えする女体に制御が利かない。 「それならハルさ、ここ、」 「や、そんなところ……」 アキトは尻を押さえつけ、尻肉を掴んで左右に開く。 結合した生殖器の後ろの窄まりを指で円を描くようになぞった。 「あっ……んん……そんなところ……」 指を一本ずぶずぶと入れていくが、圧力はあるとはいえ思ったより抵抗が薄かった。 「あふぁ……お尻に……いいよ、もうなんでもして欲しいよぉ。全部の穴使って」 「大丈夫? ほらハルキ、ここ」 「お前は本当にサドだなぁ」 ハルキは苦笑を込めるが、結衣も乗り気なら悪い気はしなかった。 尻肉を掴み、奥に潜む窄まりへと侵入する。 きつい抵抗も最初のうちだけか、結衣が力を抜いてるのがわかると奥まで入った。 「二人の、薄いお肉挟んで、両方ごりごりって、かっ、感じる!」 「はあはあ、でも締め付け……きつい」 それでも腰の動きは止むことなく、歓喜に溢れる淫らな二孔を何度も貫く。 どちらも異物を排除するきつさではなく、迎え入れる暖かみがあるため、 交互に悦び、楽しみ、媚肉は歓待に満ち溢れていた。 「あはぁ、前はアキト君、後ろはハルキ君で挟まれてる」 「まだ、まだいけるよね。もっと……」 アキトは結衣のくびれた腰に腕をまわし、激しく突き上げる。 「ぅひん、あは、激しい!」 ハルキは加速するアキトのサディストぶりに苦笑する。 だが二人の意向に沿って、自分も尻孔を穿ち、後ろから結衣の上半身を抱きかかえる。 快楽にのたうつ女体を押さえつけながら、そっと耳朶を舐めた。 何度激しいオーガズムを迎えても、三人の交わりは止まるところを知らない。 「あっ、あっ!」 「ほら、アキトもういきそうだよ」 「あん、あっ、わかるぅ。 すっごい熱いオチンチンがびくびくしながらぁ結衣のオマンコ突いてる!」 「今度はアキトが中に出すよ。 愛してるから、たっぷりとね、もう真っ白でどろどろのやつ、結衣のために」 「結衣のために……はああ、嬉しい。ここに……ん、あ、ああ、頂戴」 ハルキが上から体重かけると、アキトも跳ね返す勢いで腰を上下させる。 膣奥まで容赦ない狼藉に晒されながら、じっくりと嬲る後ろの孔の肉棒が深い。 きつく気持ちの良い締め付けに、男性側にも余裕が消える。 「あう、くぅん、もうダメ……」 「まだ……まだだから」 「もう、結衣は欲しいの……。あぁ、二人の熱いザーメンが感じたい」 重力に従って内より流れる体液が、性交のたびにかき出される。 ぐちゅぐちゅと粘液の攪拌する音に、肉の音と男女の喘ぎが混ざる。 「あん、せっかくもらったのに、落ちてくる」 「はあはあ、また、新鮮な精液。先生のためにあげるよ」 「ん、きゃ、嬉しい。遠慮なんてしないんだから、注いでちょうだい。 ああぁ! オマンコに白くてこってりした液、一番奥に出して!」 溢れ出る粘液も気にせず、更には肉襞に塗りこめるようにして男根を往復させる。 あらぶる若い牡の激しい行為に、結衣は全てを委ねる。 ハルキは結衣の上半身を抱え、振るえる美乳を捕らえて、 揉みしだき、乳首をこねながら奥まで腰を突き入れた。 「っ! あっ!! はあっ! 私……おかしくなりそう……」 「んん……でも、これぐらいがいいんですよね」 そのまま耳たぶを甘噛みして囁く。 汗で濡れて光る肢体が悶え、零れる涎が乳の上に落ちる。 「ん、ぃいいよ……すごくて、最高な感じ……もうイクの。 二人のオチンチンに犯されてイっちゃう!」 「はあっはあっ、俺らも……くっ、そろそろ」 「きてきて! 身体の奥から欲しいの! あっああぁ!!」 感極まった女性器の内で、責めたてる怒張も全てを解放した。 子宮口から打ち込まれる迸り、粘度に比例して密度ある精液に想いの熱さが感じられた。 全てが真っ白に染まる中、ほぼ同時にハルキも射精する。 結衣の身体を起こして、乳房を揉みながら、その豊かさに喜び勇む。 両方の孔でびくびくと脈打つごとに熱い精が注がれる。 「ああ……アキト君も、ハルキ君も……すごい、出てる……」 陶然とした表情で、牡の絶頂の証を体内で受けとめる。 良く馴らされた肉体を手懐けるべく、ハルキは腸内へと存在を知らしめ、 アキトは子宮深くへと射精でもって誇示する。 白濁としたマグマの噴流を感じるたび、牝の本能が括約筋をわななかせた。 結衣は二人に挟まれ拘束されたまま、結合した下半身が揺れ動き絶頂の余韻を味わう。 「や、まだ抜かないで。このままぎゅってして」 「はいはい」 「ん……結衣先生……もう俺たちから離れられない?」 「うん、とっても良かった……。もう私の方が二人から離れられないかも」 「俺も」 ハルキとアキトは目を合わせてうなずく。 「俺も、結衣のこと愛してるよ」 「世界で一番エッチで最高な先生にね!」 SS一覧に戻る メインページに戻る |