黒き娼婦と白き王子 四章
シチュエーション


華やかな飾り付けされた広間、だが長年商人貿易商しか立ち寄らない不毛の国。
もし他国の者がパーティーに招かれたらどう思うだろうか。
おそらく初の異国人が、セドル王子の横で立ちすくむシーフゥだった。

とりあえず生誕の祭典行事は一通り終え、立食と社交の場だ。
セドル王子は取り巻きに対して挨拶し、紆余曲折しながら主賓へと向かう。
当然シーフゥも付いて行くが、行く先々で好奇の目を向けられ神経をすり減らされていた。

「ほら、来なよ」
「……王子は偉いですね」
「なにが?」
「僕は檻の中にいる動物の気分で……」
「ははは、金銀財宝を持って凱旋するんだろ。これからが正念場じゃないか」
「それはサウラさんだけですって……」

シーフゥが思うに、豪華絢爛すぎて逆にそんな気にならない。
この広間は黄金と灯り、そして紅玉を中心に飾り付けされた、
通称太陽の間、であった。
シーフゥにしてみれば太陽などタダで、当たり前すぎるほど存在する物。
この広間は名前の通り、金銀財宝が当たり前すぎるほど存在し、
ありがたみそのものが薄れている感すらある。

「ほら次の番だよ。しっかりしてね」
「は、はい」

次に王妃に謁見するのは自分たちとわかり、シーフゥは気を引き締める。

***********************

アズメイラ王妃は座って、次から次へと来る祝辞を聞き、お礼を述べる。
全員の顔と名前を一致させ、ちょっとした近況を混じえた返答を考えなければならない。

チュルハン王は最初に顔を出しただけで、そそくさと去っていった。
サウラにかかりきりで、アズメイラに対して興味を失っているとまことしやかに囁かれていた。

「あら、お子様は5歳になられたとか。お元気でいられるかな?」
「はい。王妃の覚えもよろしく、今も部屋の中を駆け回ってます」
「それはそれは。この寒い中、逞しくてなにより。だが風邪をひかぬように」

たがが祝辞だが大勢の手前、お互いの無難に済ませなければならない。
意外に難儀で気を遣うものである。


「ふぅ。次は」
「はい。セドル王太子に……えっと……」
「どうした?」

アズメイラは口ごもる侍女に問い返した。
侍女のメモには官職名が書かれていない。

「シーフゥ・ルオ……特別侍従……です」
「はあ?」

それはなにと言おうと思ったら、二人が歩み寄って来る。
一人は金髪碧眼白皙の肌に、白で統一された礼服に、王族ならではの赤い肩掛けで締める。
もう一人は長い黒髪をストレートに下ろし、
黒い目に褐色の肌を黒衣で統一した礼服で参じた。

「……ほぅ」

感嘆のため息を漏らしたのは侍女だった。
さもありなん、タイプの異なる美男子二人そろっての登場だった。
二人がそろって礼をした後、シーフゥは跪き、セドルが一歩前へ出て挨拶を述べる。

「このたびは、つつがなく生誕の日を向かえられたこと、お祝い申し上げます」
「ありがとう。セドルも健勝でなにより。それで……その者は」
「はい、このたびは私の友人を是非王妃にも紹介したいと思いまして」

シーフゥは面を上げ、初めてアズメイラ王妃を間近で拝見した。

(はぁ……綺麗だなぁ。でも……王妃というより……)

一目見て思うのは、まず間違いなく美人であったこと。
さすがは自ら討って出て、王妃の座を射止めただけはある。
豪奢なプラチナブロンドを黄金の髪飾りで散りばめ、まるで高価なドールのようだ。
そう、お人形のよう。言い換えれば小さい。150cmもないか。
厳かな口調とは裏腹に、その小ささと愛らしい容姿から、
アズメイラは10年若く見られてもおかしくない。

(お姫さまだよなぁ……)

王子は英才教育もあって、公式の場での立ち振る舞いには申し分ない。
そのセドルが畏まっているので、王妃としての尊厳は周囲にも伝わっているが、
知らぬものが見たらさぞ滑稽だろう。
兄が聞き分けのない妹に一芝居打っている風にも感じられる。

「おぬしは、シーフゥ・ルオといったか」
「はい」
「ふむ……」

アズメイラは特に語らず、じろじろと無遠慮な視線を投げかける。
シーフゥはシーフゥで、本当に10近くも歳が上かと王妃を見る。
お互いの視線は交錯するが、思惑はまったく違う。

「お、王妃……?」

侍女が控えめな声をかけた。

「どうしたか」
「ええっと……」

それは自分の台詞なのだが、と侍女は思った。
勿論声には出せないが。

「ふむぅ……。歳はいくつかな」
「セドル王子の一つ下、18であります」

本当は四つ下だが、あらかじめ用意した嘘をつく。
あんまり子供と思われても困るという作戦だった。
年齢不詳なのはお互い様なため、
そこら辺でちょっとした親近感を持ってもらえればと思うが、
王妃はその台詞を聞いて唇の端を吊り上げた。

「ふふ……わざわざ難儀よのう。
皇国に流されたおかげで、私にまで媚を売らねばならぬと見える」

シーフゥはセドルと一緒に立てた計画を脳裏に展開する。
敵を知り、己を知ればなんとやら。
一番可能性が高いパターンにきた。

「いえ、このような試練もまた、将来省みれば良いものと思うことでしょう。
今のこの身ですら、けっして悪いことばかりではありません。
皆に一命を助けられ、恩返しにと微力ながらお力添えするのは嬉しくもあり楽しくもあります。
また、不相応ながらアズメイラ王妃のお目にかかれて、このような身に余る大変な光栄です。
長であるパザンに代わりまして、数々のご助力にお礼申し上げます」

歯の浮くような台詞だったが、嘘偽りを言ったわけでもない。
だが王妃には効果が薄いようだった。
冷笑を浮かべながら頬杖をつく。

「そうであったの。
だが助けられた身、その身体でもって礼をするとはさぞかし蛮族の考えそうな事よ」

シーフゥは軽い怒りを覚えた。
サウラを揶揄しての台詞だろうが、そういうことをなりわいとする者はどこにだって居る。
今まで交易のために色々な国を渡った上での経験、世界の実情を知るシーフゥにとっては、
この閉ざされた国を一歩出ないで、その所業を蛮族とは何を、と言いたい。
皇国だってきっと身体を売る女性は居るはずである。
それをもって決め付けるのなら、自身もまた野蛮な者の一味であるとは王妃にも言えるはずだ。

「今は何も持たぬ身です。
せめてそれぞれ立ち寄った国の特産など持ってこれれば良かったのですが、
なにぶん不慮の事態になって、海の底に沈んでしまいました。
交易で得た他国の情報など、一歩も出ることが叶わぬ皇国には不要でしょうし」

ここでシーフゥはわざとらしく溜め息をつく。

「たがが情報ですが、信用あるものにとっては多額の取引にもなるのです。
たとえば小麦が豊作なら安くなるのは目に見えるため、買うのを控えておくよう助言したり、
戦争が起こりそうな地域では追いはぎも増えますから避けるよう、輸送団に売ったりと、
様々なところで生き物のように変化するからこそ貴重なもの。
黄金に勝るとも劣らない価値があります」

あなたの知らない世界を知っている自分を、
蛮族と言えるのかとばかりにシーフゥは次々とまくし立てる。
帳簿の管理も勉強しただけに、
採算という概念を知ってからは取引にはうるさくなった自信がある。
寄る先々での必要物資の補充は、最近シーフゥの受け持ちになっていた。
引いては交渉、弁舌の鍛錬にもなる。

それでも王妃は冷笑を絶やさない。
所詮は雛のさえずりといったところか。
シーフゥは心の中でこのロリババァと毒づく。

「アズメイラ王妃」
「なにか?」

話が一段落したところで、セドルはにっこりと王妃に呼びかけた。
アズメイラも王子が意外に紙一重な性格と知っているだけに、
この笑顔にも油断はしなかった。
普段は協力関係にあるように見えるのは王族としての一種の協定であり、
今は間違いなく協定外の事項だった。

「私はですね、シーフゥと仲良くなって将来の国益への布石になればと思っております。
ですからここは友好の証として、広間にてシーフゥとダンスを踊ってもらえませんか」
「はあ?」
「お、王子?」

突然の提案に当事者二人は驚く。
今の雰囲気をどうとれば友好的になるのかと。

「王妃、シーフゥは陛下の客人であり、国賓であるのですよ」
「……」
「将来かの国との交易の道が開ければ、きっと国益になります。
そこでまず特待ではありますが、王妃が率先して皆のお手本と」
「わかった」

アズメイラはこれ以上聞いてられないと、セドルの口上を断ち切った。
さぞ座り心地のよさそうな椅子から立ち、シーフゥへと近づいていく。
自分が王妃としての務めが重要視されているのは、
セドルの勤勉振りからも、ある種の物差しとして計られているの感じていた。
ここで国益を持ち出されては、逃げるわけには行かない。

アズメイラが息のかかりそうな距離で、シーフゥの顔をまじまじと凝視する。
なんだかんだ言っても、相手は高貴な身分だ、
シーフゥは硬直しながら、その視線を甘んじて受け入れた。
さらには鼻をくんくんと鳴らして、匂いを嗅ぐ。

「ふうむ。意外に良い匂いがするぞ……ふふ、日の光のような……」

どうしてこの人はこんな笑い方しかしないのだろうか。
面白ければ、もっと大きな口を開けて笑えばいいのに。

「よかろう。さっ」

アズメイラは左手を掲げた。
シーフゥはその手を取り、恭しく跪いて接吻をする。
基本的な礼儀作法はセドルによって叩き込まれていた。
エスコートをするシーフゥを、今度は広間全ての衆目を集めることとなった。
どこか高揚する気分とは裏腹に、
冷静な心がゆっくりと薪をくべ、慎重にふいごを吹く。

シーフゥは最初、良くしてくれるセドル王子に対して恥をかかせないようにとしか考えていなかった。
だが今は違う。
そんなことは全て吹き飛び、嘲り冷笑を浮かべ蔑むこの女を、
どんな手を使ってでも羨望なり尊敬の眼差しを自分に向けさせてやる、などと考えていた。
そのためにはベッドに連れ込んででも、と半分本気だった。
それは間違いなく罪であるが、知ったことではない。
サウラが言ったとおり、成立してしまえば問題ないのである。

中央に来ると、シーフゥは一礼した。
音楽が鳴り始め、双方が型どおりのステップを踏む。
アズメイラはファーストレディの名に恥じぬ、一部のすきも無い足運びに体捌きだった。
対してシーフゥも軽やかに踊り、ときとして先導する。
誰もがたった一週間程度での成果とは思うまい。

奇妙すぎる取り合わせだが、肩書き上の格を見ればなんとか釣り合う。
そう意識してシーフゥは気後れのないよう、堂々と大胆にリードをした。
時折身体を抱き寄せて密着するが、意外にもアズメイラは抵抗せず嫌がるそぶりも見せない。
ひらひらとスカートをはためかせ、気持ちよさそうに踊る。
もともと一たび火がつけば高炉のような情熱的な性格の持ち主だが、
シーフゥもまた南国の生まれ育ち特有の情熱を持つ。
タイプは違えど、次第にその熱情に感化されていく。

暖房も不要になりそうなほど汗ばむ。
観衆も我知らず胸をときめかせ鼓動を強くさせる、
破綻の一歩手前でぎりぎり保つようなスリリングなせめぎあいが生じていた。
アズメイラは本来シーフゥを蹴落とす気分で踊り始めたが、
意外に粘り強く、次第にリードさえおぼつかない状況になっていたし、
シーフゥは一矢を報いるというレベルで事を済ますつもりはまったくなくなっていた。
二人の思惑はまったく相反していたが、それが返って甲をそうした形だった。
意地と感情の凌ぎ、せめぎあいが芸術の火花を散らしていた。

メロディとリズムとを一つにして身体を動かせば、
自然と心も通わせられるものだとセドルは思っていた。
少なくとも傍目から見る分には、成功への一歩のように感じられた。

「はっ、はあ……ふぅ」
「どうした、息を切らしおって」
「それはお互い様ですよ、アズメイラさま。
ステップの足がたまにもつれているようですが、お年を召されましたか」

身分を知れば恐ろしくて言えないようなことをさらりと口にした。

「ふん。まったく口だけは達者と見える」
「ほほう、つまり私は口先だけだと」
「その通りだ。シーフゥ・ルオ、15歳。
本当はセドルより4つ下のくせに何故歳を偽ったのだ」

シーフゥはぎくりとして少しリズムを崩したが、すぐに持ち直す。
音楽は最終楽章へと入った。
ここで失敗しては全てが水泡と化す。

「ふふ、どうした。なぜわかったかそんなに不思議か」

別にバレたからといって、たいしたことではない。
己に言い聞かせながらステップを踏む。
お互い見つめあい、観衆からは良い雰囲気にも見えることだろう。

「なぜならサウラが教えてくれたからな」
「……はあ?」

予想だにしなかった名前が飛び出し、今度こそ完璧にリズムを崩した。
足と足を絡ませて、アズメイラがしりもちをついたが、
どちらが失敗したか一目瞭然だった。

「す、すみません」

相手の策にはまったとはいえ、己の失敗を痛感しているだけに、
これまで持っていた気概やくやしさも吹き飛び素直に謝った。
考えようによっては充分相手に責任があるのだが、
これまで築き上げた有意義な数分を瓦解させたのは本意ではなかった。
音楽が最高潮を迎える中、アズメイラに向けて手を差し出す。
濁りのない黒い瞳に見つめられ、義務を重んじる気高い心の持ち主は顔を背けた。

「……」
「まだ音楽は終わっていませんよ」
「……ふん、まったく。二度目はないぞ」

アズメイラは渋々シーフゥの手を取り、再び踊り始める。
今度は静かに、そしてやはり情熱的に。
残り短い時間だったが無事に最後まで踊り終え、観衆からは自然と拍手が起こった。

だがそれを苦々しく思っている一派もいた。
褐色の青年にご苦労だったと声をかけるアズメイラ王妃の顔は、
誰が見ても楽しく満たされた表情のためだった。

*********************

翌日になり、セドルはチュルハン王、アズメイラ王妃と晩餐をともにすることとなった。
勿論と言うべきか、シーフゥの名もでていた。
当人は昨日で一仕事終えたと思っていただけに、少々くたびれた気分になっていた。
ダンスの時のように、火花散らす対立はさすがに無いだろうが、
サウラとはまた違うアズメイラの威圧感は避けれるなら避けたいものである。
当然断る選択権などないのだが。

セドルと共に侍女に案内され、用意された食卓の間に入る。

「えっ!?」

すでに座って待っていた面子を見て驚いた。
シーフゥはセドルの顔を見たが、やはり同じようにとても驚いた顔をしていた。
つまりは王子も知らなかったようだった。

「よくぞ参った。さ、今日は特に堅苦しいことはない」
「ふふ、シーフゥよ。今宵も年齢相応に可愛いぞ」
「ほらほら、突っ立てないでさっさと座りなさいよ」

呆然とする二人は、驚きの発生源から声を掛けらるが反応すらできなかった。
王と王妃はこの場に居て当然だ。
だが何故サウラが同席しているのだろうか。
諸所の疑問は脇にどけ、セドルは気を取り直して席に座ることにした。
理由はわからなかったが、望むべき理想の状態と言ってよかった。
これでパザンたちに対する差別意識も薄れていくはずだ。

席順だが、王を上座として、曲がって横に王妃が座り、その隣にサウラが座っている。
つまりセドルは王の横で王妃の対面、シーフゥがセドルの隣でサウラと対面だった。
さらに若手二名を困惑させるのは、アズメイラとサウラが仲良くおしゃべりをしていることだった。
困惑しているのは若者だけでなく、チュルハン王は少し居心地の悪そうにも見えた。
普通愛妾と王妃が晩餐に同席することはないから当然だろう。

王の今日の糧への感謝を述べた後、一同杯を掲げ一口飲む。
シーフゥもとりあえず形だけ一口含んだ。
なかなか強いアルコールの感覚が食道から胃へと流れ落ちていく。
だが嫌な予感は流れ落ちない。
セドル王子のように仲のよさそうな二人を素直に喜び、
会食を楽しめればいいのだろうがそうはいかなかった。
サウラはこちらを見て笑みを見せるが、明らかに何か企んでいる目をしていた。

「どうしたシーフゥよ。口に合わぬか?」
「い、いえ。とんでもありません。ちょっとお酒がきつかったもので」

アズメイラの意外な配慮の言葉に慌てて反応した。
ちなみに王が日頃の労をねぎらうが、これは右から左へと抜けていく。
コックが腕を振るった様々な料理が運ばれるが、
これも右から左へと流していく感じだった。

格式ばらない会食ということもあり、楽しげに談笑する中、晩餐はつつがなく終了した。
だがシーフゥには味など判るはずがない、そのくせ時間だけは濃厚であった。
そしてその後、王は抜けてティータイムとなるが、
シーフゥにはなぜか場に僅かばかり残っていた重石が消えてしまった感覚に襲われた。
末席に居る自分はそそくさと抜け出すわけには行かない。
隣のセドルが楽しそうであるのを見て、いよいよこれはまずい気がした。
この状況はいつかの時とよく似ている。

失敗して、慰め程度に良いことがあって、その後にサウラが出てくる。

********************

シーフゥは随分前にあった事件を思い出す。

一週間ほどパザンがどうしても外せない用事のため、シーフゥが代理として先方に赴いたのだが、
どうしても手持ちの金が足りないとのことで、不足分は物々交換にしてもらえないか、
というをお願いされた。
物自体は高価で貴重品な胡椒だった。
不足金額分に色をつけての量を提示されたため、シーフゥは独自の判断で了承した。
これを売りさばけば、通常より得になるはずと見積もった。

宿に戻ると丁度良いことに翌日は市が開かれると聞いて、
シーフゥは早速売り出すことにした。
おおよその相場より少し安くすれば、即完売になると考える。
敷き物と日よけの傘、重量を量る秤を持って手際よく準備する。
そして商品である胡椒を並べたのだが、周りから怪訝な目で見られた。
その後、数分もしないうちに、その国の治安維持関係の職種と思われる人が近づいてきた。

いま振り返ってみれば、まったくもって馬鹿なことをしたものだと思う。
胡椒は国策の下、栽培されており、納入先も然るべきところと決まっているそうだった。
普通の市で出されれば当然横流し、もしくは盗品ということである。
さりとてシーフゥも取引先に迷惑をかけることもできず、交換したとは言えなかった。
まさに絶体絶命であった。

数日して話を聞きつけたパザンが役人と交渉し、シーフゥと面会する。
その時に黙秘していたシーフゥは、全てをありのままを伝え、独断で取引、商売したことを謝った。
「後は任せて、ゆっくり落ち着いて休みなさい」
パザンは怒ることなく、シーフゥに労わりの声を掛けた。
そして役人に金を握らせ、家庭用保有分を小金欲しさに販売しようとした、
という風に処理をしてもらった。
現物は参考品として没収されたが、わずかばかり返してもらえた。
このときの帰路、シーフゥは悔しさと己の愚かさに初めて泣いてしまった。
パザンが頭をなでつつ、「これが世の中を知るということさ。
シーフゥよ、悲しむ事はない。お前は一つ成長したのだ」と慰めた。

このときの宿は、外食か自炊が必要な安宿である。
サウラは安宿に泊まるなど願い下げとばかりに別行動であった。
パザンの提案の下、どうせなら手元に残った胡椒で料理を楽しもうということになった。
もともと航海中防腐用に控えはあるので、それならばと取り掛かる。
料理担当のグーリーが肉料理に、普段は味わえない挽きたてで質の良い胡椒をまぶす。
ほんとうに僅かだったが、独特の香味とともに肉の美味さを味わった。
こうしてこの事件は終わった、かのように思えた。

翌日サウラが宿へ来た。
安宿にひどく不似合いな、高級そうな装束に装飾品は明らかに場違いであったが、
そんなことをサウラはまるで気にしない。
他の客がちらちらとサウラの組んだ長い脚を見ていく中、
わざわざ挑発するように左右を組み替えたりもした。
何人かがそれだけで前かがみになるのを面白そうに見ていた。

「はあい、相変わらず貧乏臭い宿ね。
いい物が手に入ったからあげるわよ。たまにはまともな料理に使いなさいよ」
「……」
「………」

グーリーは基本無言である。
だが他の二人も無言であった。

「なんだかたくさん手に入ったから、
特別にあげるって言われて貰って来たのよ。
別に盗品でもなんでもないから安心しなさいって」

この場の誰もが嘘を言っていないとわかる。
普段なら冗談の一つでも言いたかったが、
参考品として没収された物そのままに返ってきては反応のしようがなかった。

「今から昼食の支度するんでしょ、私の分も頂戴ね。
どうせ貰いものなんだからたっぷり使いなさいよ」
「あの……」
「なに? 文句でもあるかしら」
「いえ、なんでもありません」
「そうよね、なにしろシーフゥちゃんがへまをしたおかげで〜、
無くなっちゃったようなものだものね〜」

シーフゥにもなけなしのプライドがあったが、いきなり崩壊してしまった。
この頃は多感な少年よろしく、さり気にサウラのことを軽蔑していただけにダメージは大きかった。

「景気づけにパーっと使ったら。
いっつも船の上なんだから、新鮮な胡椒なんて味わえないしね」
「ぼ……僕は……遠慮しておきます……」
「ふふ、お小遣い目当てで売っちゃダメだよ。シーフゥちゃん」

再起不能であった。
なぜ事件のことをわかったのか、どういう手口で返してもらったのか、
シーフゥは聞きたくもあったが、聞かない方が良い気がした。
きっとまともな方法ではないはずだし、
ここで詮索するほど空気の読めない行動はとりたくなかった。

********************

シーフゥは腹をくくり、流れに身を任せ、企みがあるなら乗っていく気分になる。
これが試練なら、進んで受けてたつ。
そしてきっと悪い方へは流れない、はず。
手元に注がれた器を持って、一気に煽った。

「ん……あ、あれ? これお酒じゃないですか!」
「何を言うか。紅茶を火酒で割ったものだ」

それは酒です。そう言いたかった。

「ふふ、シーフゥよ。そなたの昨日の気概はどうしたのだ」
「そうよね〜。昨日は見ていて感動したわよ。スリリングで白熱した応酬」
「えっ、サウラさんも見ていたのですか」

セドルが興味深そうに加わる。
シーフゥを肴する仲間が増えたのが嬉しいらしい。

「そうよ。小姓に扮してお忍び。もちろん王妃さまの協力あってだけどね、バレなかったわよ」

これでシーフゥにはある種の確信が生まれる。
間違いなく、ダンスに失敗したことについて、
フォローに近い追い討ちをかける気なのだと。
胡椒の一件で遺憾なく発揮された、天然の嫌がらせ能力、獲物に止めを刺す急所への嗅覚、
知る限り右に出るものはいない。
知りたくもないが。

「でもやっぱりシーフゥは失敗したわね」
「ふふ、当然であろう」
「で、ですがあれは……」

言い訳をしようとすると、女性陣二名はにやにやと顔をあわせる。
学習しない自分に対して呆れてしまった。

「ですが……なによ。その先もはっきり言わないとダメよ」
「そうであろう。そなたのその負けん気、嫌いではないぞ」

反論するのも織り込み済み、といったところか。

「第一なんで僕の年齢がバレてたんですか」
「おや、サウラが教えてくれたからだと言ったであろうに」
「いや、その……単刀直入に聞きますけど、いつの間にそんな仲になったんですか?
はっきり言いますけど、王妃にとってサウラは邪魔者のはずですが」

シーフゥは受けて立つその決意の余勢をかって、一気に確信に触れた。

「ふむ。サウラよ、まだ言ってはならんだろうな」
「ダメですよ。まだまだ内緒で」

一蹴されてシーフゥはうなだれる。
理由を知ろうが知るまいが、どっちにしても今のシーフゥには恐怖のコンビだった。

「まあね、内緒にするほど難しい話ではないのよ。
でもわざわざ公言するのはちょっとね、そんなところよ。
ところで殿下は王妃と私が仲良くするのに何か問題あるかしら?」
「は、はあ。私的には勿論、公的にも問題はありません。
けど……正直なところ面白くないと考えてる輩はいますね」

とは言え、面と向かって逆らう者はいないだろう。
王妃と愛妾が仲良くするのが悪いなどという法もなければ言われもない。

「あはは、いるわねぇ。でも大した問題ではないわ」
「ふふ、そうよのう」

シーフゥが段々とアズメイラ王妃の人となりがわかってきた。
とにかくこの場を無事に逃れる手段としても、色々と考えなければなかった。
わざわざ己を呼び出したところからして、これは危機なのだと自覚をただす。
必ず特異点である二人の仲から推測が可能なはずだ。脳細胞をフル回転させる。

(も、もしかして僕と差し出す代わりに……いやそれだと王妃は納得しない。
取引として考えると割が合わない。なら本当に何だろう。
お互いの性格からして、ただ単に気が合うだけな訳がない。
いや、それも絶対条件だけど、さらに利害の一致が絶対的に必要。
そしてどちらも得をする……双方が勝つ……交渉の基本……説得は論外……)

今まで培った交渉術を思い返し、性格を模擬実験して追い進めるが、
その尻尾をつかめそうでつかめない。
交渉に慣れていても、陰謀に疎く拙い性格なのも足を引っぱっていた。

(王妃のにとっての得……これは立場上比較的わかりやすいけど、
サウラにとっての得……これがわからない。
享楽的快楽至上主義者で、その上計算高い……。
わからない、というか読めるか!)

とりあえず自分を差し出す件については可能性が薄れ、
シーフゥは気休め程度に安心する。
そのシーフゥの思惑はよそに、普通に歓談は進み、
情報交換やこれまでの旅での出来事を話す内に時間は過ぎていった。



卓に伏せたまま、サウラが寝息を立てていた。
シーフゥは酒に弱かったのかと疑問に感じた。
前に酒場でサウラを酔い潰そうとした連中を、ことごとく返り討ちにしたのを見ていた。

「ふふ、サウラも眠ってしまったし、今日はここまでにしてお開きにするか」

アズメイラは人を呼んで片付けさせる。

「さて、サウラを部屋まで送らねばな」
「それなら僕が……」
「シーフゥだけだと難しいよね。協力するよ」

アズメイラはならんならんと手を出して止めさせた。

「セドルは明日は早いだろう。先に帰って休め。
シーフゥもそうだろうが、悪いが片づけを手伝ってやってくれ。
女手ばかりでな、すまぬが頼む」

そう言われて、セドルもシーフゥも同意せざるをえなかった。
特にシーフゥは、まさか頼むなどと言われるとは思っても見なかった。
食器はすでに下げられているが、
ティーポットにカップ、どちらかと言えば主役だった火酒を運ぶ。
これら全て、無駄に貴金属製のためなかなか重い。
洗い物はお願いして、戻って掃除をする。
そういえばいつの間にかサウラがいない。
ひょっとして片づけを手伝うのを嫌がり、狸寝入りだったのかと考える。

テーブルクロスをたたみ、床を拭き清める。
暖炉の火はすでに消えるに任せているため、凍てつく夜の寒さがきつい。、
雑巾を水に浸す瞬間、ザムーラとは違い、まるで敵対してくるみたいに体温を奪う。
それでも少々酒精が残っている所為か、あまり気にならないのは幸いだった。
とりあえず一段落を付け、後は専門の方にまかせて戻ることにした。

「ふうぅ、はあぁ……」
「あっ、シーフゥさま。お疲れさまです」
「はい。お疲れさまです」

白い息で手を温めてると、王妃の侍女が呼び止めた。
なぜかさま付けで呼ばれているが、こそばゆいことこの上ない。

「寒いでしょう、こちらに暖をとってますので、どうぞ休んでいってください」
「えっ、いや今日はもう部屋に戻って寝ようかと。明日も早いですし」
「安心してください。侍従長に言って明日はシーフゥさまを休暇にしてもらいましたから」
「それは、ありがとうございます。でも良いのですか?」

シーフゥの思わぬ喜びの顔を見て、侍女も嬉しいらしく笑顔で頷く。
待ちきれないのか、シーフゥの手を取って部屋へと駆け出した。

「さっ、王妃もお待ちですわ」
「……ええっ?! な、なぜ」

問いかける間もなく一際装飾の凝った扉を開けると、確かにアズメイラ王妃がいた。
そして他にも二名、王妃付きの侍女と思われる人がいた。
シーフゥは無理矢理に押し込まれると、背後で扉の閉まる音と、鍵を掛けられる音を聞いた。
妙に物悲しい音に、背筋に悪寒が走る。

「ふふ、すまぬなシーフゥよ。侍女たちがお前に興味があるそうでな」
「あ〜アズメイラさまったらずるいです。それじゃあ私たちの所為みたいですわ」
「確かに興味がありましたけど、アズメイラさまも同じ」

話が見えないが、別のものは見えていた。
侍女二名は透けて見えるナイトガウン一枚のみのあられもない格好。
王妃もランジェリーにガーターベルトにストッキングの出で立ち。
確かに暖を取らねばならない状況だ。

「も、もしかして……売られた」
「安心しろ。借りるだけだ」

まったくもって安心できない台詞だった。

「サ、サウラさんが? と、取引ですか?」
「うん? サウラは関係ないぞ。……まあ味見くらい勧められたがな……。
侍従長には私が話をつけておいた、ということだ」

そうか、取引でないなら自分の予想は完全に外れてはいなかったのかと、
やはり安心できなかったが、そう考えた。
だが懸念したとおり、サウラは野生の勘で最後の最後に止めをさしてくれた。
おそらくベッドの中で名誉挽回などと非常に余計な気を利かせてくれたのだろうが、
きっとサウラも三名相手にするとは思ってなかったはず。

「ふふふ、今夜は寝られぬと思え」
「「いただきますぅ〜」」

侍女二人が呆然とするシーフゥを捕らえ、苦もなくベッドへと運ばれた。

「言い忘れたが抵抗しようと思うなよ。
アシュリンとリリアベスは私の護衛も兼ねているからな、
腕のほうも並の男では束になっても太刀打ちできん。
ふふ、痛い目にあいたくないだろ……」

アズメイラはうっとりしながら述べるから非常に怖い。
実際シーフゥは怯えて目を潤ませる。

「い、痛いのは……いやです……」

ショタ趣味がなくとも破壊力抜群の仕草に女性陣は生唾を飲む。

「わかってますわ!」
「うふふ、極楽へといかせてあげますぅ〜」

それって殺すって意味なのだろうかと頭の片隅でシーフゥは思った。
脅迫が効いて抵抗などまるで考えない少年を、アシュリンとリリアベスは嬉々として脱がしていく。

「わお、船乗りだけあって見かけによらず逞しい」
「これは思わぬひろいもの!」

下着一枚のみを残しひん剥かれたシーフゥは、左右からムチムチの厚みを押し付けられる。
その上にアズメイラが圧し掛かる。こちらはムニムニの感触だった。

「ふふ、ん……ちゅる、んは」
「んん、んはぁ! はああぁ! そんなところ舐めないで……んん」

アズメイラが唇を奪う中、脇の二人は乳首を舐めたりへその周りに舌を這わせていた。
唾液で濡れ光り、褐色の肌が際立つ。
下半身は布に包まれた男根が苦しげに起きていた。
リリアベスは目ざとく勃起した性器を布の上から掴む。

「んんん!!」
「服が汚れてはいけませんわ」
「はいはい」

シーフゥは脱がしてくれるのかと思ったが、
ただ自分の下着を脱いだだけだった。
それぞれタイプの違う、燃えるような赤髪、ふわふわの金髪、
流れるような銀髪に白い裸体が取り囲む。
目も眩むような光景だった。

「あらあら、シーフゥさまのここ……もうガチガチに準備してますわ」
「シーフゥさまったら、いやらしいですの」
「あ、あうぅ……」

当然の現象だが、もはや形無し。
恥辱のあまり両手で顔を覆い隠した。

「ふふ、そうしょげるでない。ほれ」

アズメイラは手を取り、自分の胸へと宛がう。
小ぶりながら形の良い乳を揉んで愛撫する。
周りから円をを描くように、そして中心へと揉みしだく。
その手から伝わる柔らかさだけでも気持ちよかった。

「ん、んん……よいぞ」
「シーフゥさまの髪、黒くって艶やかでしなやかです。今度三つ編みにさせてください」
「アズメイラさまだけでなくって……ちゅっ」

眼前におっぱい、唇は舌を絡ませ、手は別の女性の果実を味わう。
そして今度は容赦ないアズメイラの手が股間をまさぐる。
先端から滲む汁が下着に染みを描いていた。

「ふふ、シーフゥ……苦しそうだな。それとも気持ち良いか」
「んちゅ…れろ、じゅるる、んく……、ぷはぁ……。
はあっはあっ、あうぅき、気持ちイいです」
「脱がせて欲しいか」
「はいい!」
「ふふ……女に脱がせてもらって恥ずかしくないのか」

もともと赤面してるシーフゥはさらに顔を真っ赤にする。

「はうぅ……」
「よいぞ。セックスしたくてたまらない……我々を犯したくてたまらない……そうだな」
「はっ……はい!! セ、セックスしたくて……堪らないです」
「やあん、シーフゥさまったら、そんなことを考えてたなんていやらしい」
「不潔です。ケダモノですわぁ〜」
「ふふ、しかたないな。直々に脱がしてやろう」

アズメイラは徐々に焦らすように脱がしていく。
一刻も早く取って欲しいあまり、シーフゥは腰を浮かして脱がしやすいようにした。
それすらも嘲笑の的とになるとわかっていても、身体が動く。

「へぇ〜、下の毛も黒いですわ」
「はあはあ……ぼ、僕も、皆さんが……その……髪の色と同じで驚きました」
「亀頭は可愛らしいピンク色してます。ちょっと皮被ってますけど立派ですわ」

まじまじと観察されるが、プライドなどずたずたなシーフゥにはどうでもよかった。
アシュリンがそそり立つ男根を握り、皮をずり下げて敏感な部分にキスをする。

「んくぅ! はあはあ」
「あ、いいな〜。それじゃあ私は……舐めてもらえますか」

リリアベスはシーフゥの顔に跨り、自ら秘所を開いて窺う。
選択権などないが、それでも問うのは礼儀というより立場を教えるためだった。
シーフゥは舌を伸ばして膣口の周りから愛撫し、潤いを見たらその穴へと差し込んだり、
露わにしたクリトリスへと舐めあげる。
奇しくもサウラとのやりとりを思い出し、徐々に冷静になっていく。

「あっ、ふあぁ……シーフゥさまぁ……んふ、お上手です」
「んちゅ……ここも準備万端ですわ。それならベスからしますか」
「はあはあ、よろしいんですの? アズメイラさまも」
「うむうむ」

リリアベスは寝転がり、シーフゥは起こされて誘導される。
さすがに騎乗位は彼女らも恥ずかしいのだろうか、シーフゥには疑問だった。

「さあ、来てください」
「ほ、本当にいいの?」

この期に及んでも罪悪感があった。

「勿論ですわ。シーフゥさま……女に恥をかかせないでください……」

シーフゥはその台詞に重ねて疑問を抱かずにはいられなかった。
だが彼女の言うとおりかもしれないと気を取り直す。
太腿を抱いて、局部へと視線を注ぐ。

「いくよ……うん!」
「あっ……はああぁん!」

挿入に手間取るかと思ったが、意外に一回で果たし、
予想外の衝撃に身を捻じらす。

「あ、あれ。痛かったですか」

充分に濡れていたから大丈夫かと思っていた。

「あは……うふふ」
「ふふ、違う。気持ちよかったのだよ。さあ、シーフゥよ遠慮なく動け」

アズメイラはシーフゥの背後から抱きつき、耳元でささやいた。
背中に当たる胸の感触も手伝って、情欲に火がついていく。
腰を前後に動かし、揺れる豊満な胸の突起を責めた。
習ったとおり、緩急や角度をつけて膣を抉り、貫く。

「はあっ、ひぃん! シーフゥさま顔に似合わず激しいですわ」
「だ、だって……はああっ! 僕、気持ちいいから」
「こんなの見せられたら堪りませんわ……。
ちゅ、じゅるる、んふ。リンのここも弄ってください」

アシュリンは接吻をしてシーフゥの手を取り、自らの濡れた性器へと持っていく。
舌を絡ませて唾液を味わい、腰は蕩けそうな快楽に律動するまま、
片手で順番を待つ女の潤いをもたらしていく。
膣口へずぶりと中指で入れ、締め付ける肉襞を擦る。
愛液の増加に安心し、もう一本指を入れて腹側を擦って親指で時折肉芽を探った。

「んん! ちゅ……はあぁ、ああぁ! んんん!」
「じゅるる、ちゅ……んん、んくぅ」
「はあぁ、ひゃん! シ、シーフゥさまの、中で大きくなってます」
「あっ、あっ! うんん!!」

シーフゥは途中で抜く。
前からさんざん弄られたおかげで、もうそろそろ出てしまうことがわかった。

「シーフゥさまはそのままに。リンがその苦しみから解放してさしあげます」

今度はアシュリンが男根を握り、しごきながら亀頭を舐めた。
背筋を逸らして引こうにも、後ろでアズメイラがしっかりと押さえていた。

「ああん。ずるいですわ。私もします」

リリアベスも近づいて、竿の付け根で揺れる陰嚢を愛撫する。
やわやわと揉み、舌を合わせ目に這わせたり、睾丸を愛でるように転がした
本当に極楽へと持って行かれそうな快楽にシーフゥは怯えて後ずさるが、
背後から胸の膨らみが鮮明になるだけだった。

「こ……こんなの……もう……で、出る!」
「きゃっ」
「わおぉ」

勢いよく鈴口から噴出する精液が、アシュリンとリリアベスの顔を汚す
白い肌に濁った体液が飛び散るのを避けようともせず、興味津々に見つめていた。

「ふふ、すごい勢いだな」
「はあぁ。やっぱり精液は白い色ですね」
「なにそれ。ベスは黒っぽいかと思ったの」

無邪気に頷くが、シーフゥは同じ人間に見られてないように感じてちょっぴり傷ついた。

「でも安心しました。ふふ、先っぽからまだ出てますわ」
「私がぺろって舐めますの。んん、ちゅ」
「ああぁ! ん、汚いですよ……ん!」

敏感にな亀頭を舐められて悶える初々しい反応は、
返って火に油を注ぐようなもの。
萎える暇もないほど、睾丸ごと含む勢いで舐めしゃぶり、
すでに回復への起立を果たす。

「じゅるっ、じゅるん、んん……はあぁ」
「若いなあ。もうそそり立っているぞ」
「やあぁ……。恥ずかしいです」
「ふふ、何を恥ずかしがるか。若々しくて良い」

アシュリンは次は自分に挿入する男根を見つめて赤面する。
嬉し恥ずかしのあまり、シーフゥに抱きついて豊満な胸を押し付ける。

「ん、むぐぅ」
「シーフゥさま。ふふ、今度は私、お願いしますわ」

胸の谷間に挟まれながら身震いされ、股間はぐいぐいといきり立つ。
隠れた獣の衝動に、乳を鷲掴みして押し倒した。
両手に広がる感触の酔い、ついつい荒っぽい手つきで愛撫する。

「はあ……ん、はあはあ。我慢できないんですね」
「う、うん」
「いいですわ。リンにもくださいま――ん、はあぁ」

最後まで言わせないまま挿入する。

「あっ、はあっ、ン、イい!」

一回目の挿入が復習なら、今回の趣旨はすでに飛び級。
言いなりなってばかりではダメだと、少しずつ反撃の狼煙を上げる。
それでも肉襞に挟まれてしごかれる気持ち良さに陶酔していく。
こうなると、不思議と相手が愛おしく感じた。

「はあっ、気持ちいい……アシュリンさん。キス……ん」
「んん! ちゅるる、シ、シーフゥさまぁ……こんな、こんな……ひゃん!」

覆いかぶさって接吻をするが、当然のごとく腰を止めない。
潤沢に蜜が湧き上がる疼きの源泉を、年少の男にことごとくやられる快楽。
アシュリンもシーフゥの背中に手をまわして抱きしめた。
重なる部分が多いほど気持ちが良くなる。

「わあ、何だか妬けますわ」
「ふふ、ここはシーフゥを応援してやろうではないか。……ここなどどうだ?」

アズメイラはアシュリンの腹を撫でてつつ、
ピストン運動の邪魔にならぬよう徐々に下へと手を伸ばす。
目的の場所へたどり着いたら、さっそく実行した。

「んああぁ! アズメイラさまぁ、今そこは……本当にダメです」
「す、すごく締まる」
「おやおや。諸刃の剣だったか」

にやにやしながら結合部の周りを弄くる手を止めない。
シーフゥだって動くのを止めない。
牡を誘惑する熱い吐息を交わし、
ぴったりと吸い付いてくる肉壺に、白と褐色の肌も交じり合う。

「ヌルヌルも……すごい、気持ちいい。で、出ちゃいそう」
「イい……はあっ、ああぁ。んぁ! そのまま、ん、中に出して」
「はあ、はあ……本当に良いですか」
「はあぁっ、んぁあ、イ、いいの! 中にィ、いっぱい出して!!」

アズメイラは少々おいたが過ぎたかと思ったが、
燃え上がる二人はもう止まるはずがなかった。
勢いを増していく中でも、その美味しそうな乳房をほお張り、
シーフゥは着実に快楽を重ねていく。
アズメイラのちょっかい、一回射精してできたゆとり、
やられっぱなしにはならない決意からの力強い律動、
アシュリンにはこの上ない愉悦として喜びを覚えるばかり。

「ああァ! はあっ、もう……もう」
「リンたらずるい、イイトコ取りしてます」
「ん……ひっ、ああア!! やあぁああ!!」
「ぐぅっ! んん」

しっかりとアシュリンを絶頂に引っ張り込み、
搾り取ろうとする膣内の締め付けの中、挿入を繰り返した。

「んはあ! はあ、ふあぁ!!」
「はあっ!! ごめん、もう少し……ん、んん!!」
んっ、ああぁ!! もうすぐ……はああぁああ!!」
「んん、はあはあ、くるぅ、んん!!」

アシュリンの下半身はぐしょぐしょに濡れ、全身が波打つほど震えた。
期待以上の働きによって身体は弛緩し、射止められたまま膣奥まで射精される。

「はあぁぁ……どっくんどっくんいって、シーフゥさまの子種、奥に当たってますわ」

力強い奔流が流れ込むたび
ゆっくりとオーガズム後の余韻に浸り、息を吐く。
心地よいまどろみの中でも、
敏感な身体は激しく飛び散る精液を感じて震えた。

「んちゅ……んん。はあ、すごく気持ち良かったです」
「ん、そ、そう言ってもらえると嬉しいです。やっと……」

これで一勝一敗の五分に持ち込んだ。

「シーフゥよ。お前は見所があるぞ」
「そ、そうですか?」

横に控えて囁かれるが、自然と身体が引いてしまった。
アズメイラは指をパチンと鳴らすと、
二名の侍女はゆっくりと起き上がりシーフゥの肩を掴む。

「認められたみたいですぅ」
「よかったわね」
「えっ!?」

シーフゥは座った状態にもかかわらず、
尾てい骨のあたりを前に押され、肩に軽く加重が掛かけられるとあっさり倒された。
それぞれ左右で押さえ込まれながら脚を抱えられ、仰向けで固定される。

「ええっと、なにを……」
「決まっておるだろう。今度は誰の番か」
「それはさすがにマズイ気がしますけど」
「ふふ、わかっておる。だから私が上になってやろうというのだ。
さもなくば、シーフゥよ、おぬしは首を刎ねられても知らんぞ」
「……」

一応気を遣ってくれているらしいが、とてもそうは感じられない。
まかり間違えば、彼女を押し倒す可能性があったことを思い出して身震いした。

「まあそれでも一生幽閉の可能性もありますけど」
「去勢されてね」
「……え? ま、待って……」
「ふふ、大丈夫だ。万が一このことが外に漏れたら……の話しだ」

力を込めてもびくともしない。
左右に挟まれ、体術もあるのか完璧に押さえ込まれていた。
だが悲しいかな。
すべすべむにむにとした感触、上気した汗と熱気、
発散されるフェロモンが若い牡を元気にさせる。
絢爛たる女性陣によって、今日は不夜城を約束されていた。

「ぜ、絶対に口外しません!!」

嬉しいのやら悲しいのやら、シーフゥはそう叫んだ。

*********************

別の所では宮殿内、真夜中を千鳥足で歩く女が一人。
サウラは付き添いを連れず、歩いて自室へと向かっていた。
久々に気持ち良く酔い、ご満悦であった。
もともと酔うことも酔わないことも自由自在なため、
普段は強いと思われがちだがそんなことはない。

(あ〜、メイはきっと楽しんでるんだろうな〜。
セドルとシーフゥに送ってもらいたかったな……)

などと考えながら遅々として前に進まない。
酒に火照る身体を抱え、挙句は自慰をしようかと真剣に悩む。

(やん。送ってもらって3Pしたかったなあ〜)

セドルに馬乗りになってシーフゥの男根を口技することを想像する。
後背位で突かれながら、強引に口を犯されるのもイイ。
立ったまま前と後ろ同時に入れられるのもサイコウだ。
きっと二人ともアナルセックスなんて体験したことないはずだから、
まとめて一緒に教育してヤリたい。
どれも捨てがたいが、全部順々にヤッてしまえば問題は解決する。

などと桃色に爛れた妄想をしつつ、壁にもたれながら歩く。
さり気に周りへと勘を働かせるが、監視の目がないのは解せない。
アズメイラの話だとそろそろだろうと聞いていたが。
まったく無防備に酔っている今日こそ絶好の機会だというのに。

そうこうしている内に前から足音が聞こえる。
見るとサウラの部屋の侍従だった。
心配そうな顔をして、サウラを確認すると小走りに近寄る。

「遅いので心配しました。大丈夫ですか」
「ううん〜、あんまり」
「こんなところでは寒いです。早く戻りましょう」

そう言って侍従はサウラの肩を持って、力強く前へと連れて行く。
サウラは胸を密着させて、小悪魔っぽい誘惑を振りまくが反応は薄い。
しかも部屋についてサウラをベッドに寝かすと、そのままそそくさと去っていった。
もしかして東方で聞きし宦官制度でもあるのかと思った。

(ちっ、玉なしが)

誤解もいいところだった。
彼、そして彼らはしっかり玉を持っている。

********************

目を覚ますと両腕が動かない。
縛られてベッドの囲いに括り付けられていた。
どうやら酔って寝ている間に、どこかへと運ばれたらしい。
自分の自由度、相手の様子、部屋の雰囲気を総合的にみて判断する。
どう考えても捕らえられて痛い目にあう悲劇のヒロイン、
それがサウラの自分に対する客観的な感想。
シーフゥが見たら天罰覿面と思いそうな状況だった。

「ぐふふ、当分ここからは出られんぞ」
「あら、私が居なくなったら不審に思うんじゃないの?」
「安心しろ。風邪でも引いて療養中だと言っておいてやるよ」
「ほら、来るんだ」

後ろに控えていたのは、サウラの部屋専属の侍従だった。
おどおどした、どこか落ち着かない様子をさせていた。

「ふーん、そういうことね」

簡単な話、脅して口裏合わせるようにしたのだろう。

「そういうことだ。覚悟しな」
「まあ別に命まで取ろうって訳ではないさ」
「ぐふふ、まずは……これを飲むんだ」

青々とした奇妙な薬品らしきものを持って、サウラの目の前に突き出す。
シーフゥが知ったら自業自得と思いそうな代物だった。
サウラは鼻を摘ままれ、強制的に開けられた口に流し込まれた。

「ん…ん……」
「いい飲みっぷりだな」

そんなことをされなくても、素直に飲むつもりだった。
故あって、本来サウラは古今東西あらゆる薬が効かない体質。
だいたい何を飲まされたか想像つくが、舌と胃に流れる成分を吟味する。
(何かの葉? ……ジギタリスの亜種かしら。
強心剤に……色々と滋養強壮のものをシロップでまとめたものね)
いくつか媚薬としての成分が含まれているのを感じながら、
これを心拍数を上げて循環させ、興奮させようと狙った物だろうと思った。
それならば『意識して』吸収し、張り巡らされた血管、神経、細胞へと運ぶ。

「思ったより甘いわね」

皇国ではハチミツも砂糖も取れない。
ここまでくれば、黄金と同じ重量で取引できるのかもあやしい超高級品だ。

「身体の調子はどうだ」
「ん……」

言われるまでもなく、サウラは身体の異変に気付く。
全身に熱が広がり、心臓の鼓動が強くなるのを感じた。
数回血流が隅々まで行き渡ると、ある特定のポイントに神経が集中し過敏になる。
後頭部付け根から始まり、下腹部に直結するように意識がリンクされた。
乳首は布地に擦れるだけで硬く尖り、服の上からでもはっきりと確認できる。
徐々にむず痒く、切ない感情が大半を占めていた。

「はあ、はあ……。ねえ、切ないわ」

高級娼婦の気高い美貌が上気した表情で何かを訴える。
その求める仕草に、その場の誰もが股間を熱くさせる。

「ふふ、どうした」
「むずむずして、切ないのよ。ああぁ」

手を出さずとも身悶える美女に、部屋に熱気がこもる。
男たちの獣気が満ち、今にも溢れそうだった。

「もっと具体的に言わんとわからんぞ」
「欲しい……わ。はあはあ、ん〜」
「何をだ?」

何が欲しいのか、その面で答えて欲しい。
妖しく美しいその顔で、火照った内股を擦り、
涎を垂らし涙ながらに訴えて欲しい。

「オチンポ……ほらぁ、みんな立ってるじゃない。
その硬いチンポでぇ……サウラの……こ・こ・を・ね」

サウラは我慢できないといった風に大きく脚を開く。
太腿も露わな短い腰布しか身につけていない下半身。
そこの付け根には小さな三角形の布がむっちりとした尻肉に食い込み、
濡れた染みを張り付かせていた。
透けて見える秘所に男たちの視線が布を破りそうな勢いで差す。
ぶち犯したい、そんな叫びが聞こえてきそうだった。

「ずんずんてぇ、太いの欲しいのよ」

実も蓋もない台詞に男たちは一様に下卑た笑いを発した。
しかしどこか余裕が無い。

「ここじゃあわからねえな」
「そうそう、淫売なんだから俺たちに教えてくれよ」

サウラは下種な男もまた、大好きだった。
被虐の快楽である。

「うんもう〜、オマンコよ。焦らしちゃダメ、ホントに切ないのよ」
「そうかそうか、つまり慰めて欲しいわけだ」
「違うわよ。犯して欲しいのぉ」

男たちは苦笑した。
頭のねじが緩みすぎて飛んでいってる。
どうやら薬が効きすぎたように思えた。

「あ、ごめんなさ〜い。一方的はダメよね。
そうよね、サウラのオマンコでみんなのオチンチンを慰めるのよ。
だから頂戴、ムチャクチャにね、犯して欲しいの。
そこから出る白くって臭いチンポ汁でぇ、サウラを汚してよぉ」

男らは我慢ならずバックルを外し、ズボンを脱ぐ。
そこから跳ね起きる男根を、サウラは愛しげな視線をおくった。

「いいぜ。そこまで言われたら、やらんでもない」
「三日三晩犯してくれるわ」

さらにシーフゥが聞いたら因果応報と思いそうな台詞をはいた。
今のサウラには願ったりかなったりであったが。

「ま、まずは私から……」

蚊の泣くような声で訴えたのは、先ほどの侍従。

「しかたねえな。ほら、まあ約束どおり先にしな」
「あら? 取引だったて訳ね。私と陛下、両方裏切ってまで私が欲しいんだ」
「だって、サウラさんがいけないんじゃないか! いつもこ、こんな……格好して」

普段のサウラの格好といったら、
南国にいたころのままの装いに薄いヴェールかガウンを羽織っただけである。
首と腰を始点として帯状の布をクロスし、胸当てを背中に回して結ぶ。
へそや胸の谷間が丸見えのまま歩く人間など皇国にはいない。普通寒い。夏でもどうかと思う。

男は胸当てを引きずり下ろし、飛び出す美乳にむしゃぶりつく。
片手で揉んで、吸い付いてその柔らかさを堪能する。

「あん! はあぁぁ、ねえ下も寂しいよ」

男はごくんとつばを飲む。
惜しげもなく晒していた長い脚を、付け根に向かうように舐めた。
短い腰布の中に頭をつっこみ、布の上から興味津々といった風に指で押す。
そこは湿り気はおろか、指に糸が引くほど濡れていた。

「脱がして。はあぁ、そこ、そこ直で触ってよ」
「うん……」

腰にある結び目を解き、最後の砦を引き剥がす。
立ち込める性臭に男は夢中で舐めて、蜜を啜った。
膣口をなぞり、滾々と湧き立つ愛液をすくい、その上でひくひくする肉粒も舌で愛でる。

「ああぁ! いいよぉ、入れて、突いて!」
「へへ、いいよがりっぷりじゃねえか」
「堪らねえ。こっちが我慢できねえよ」

そう言って、震える乳をもみしだき、先の愛撫で敏感になった乳首を弄る。
他の男たちも、サウラの身体に群がっていく。

「ん……ちゅるる、んはあ、ん〜!」

全身を隈なく男の舌が這いながら、サウラは夢見心地のまま熱い接吻を迫られる。
勿論拒む理由などない。舌を絡ませて流し込まれた唾液をたっぷりと味わい飲み下した。
口角にたれた唾液も舌で拭い、さらには別のものも催促する。

「はあはあ、いくよ、サウラさん」
「きてきて! 今日は私が、お世話をする番なの」

遠くて近い下半身から声が聞こえると、秘唇に熱いものが宛がわれた。
ようやく待ちわびた凌辱の時間にサウラは歓喜の絶叫を上げる。

「はあああぁあぁぁ!」
「あぁ! き、きついよ」

ここだとわかったポイントを、一気に挿入する。
飢えた牝孔は涎を垂らしながら獲物に喰らいついた。
その密着する膣の熱さに負けず、牡は快感を生む摩擦を起こす。
潤滑液に満ちた蜜壷に、ときめきにも似た相互扶助が成り立つのは至極当然だった。

「あふん! これよ、これが欲しかったの!」
「はあぁ、はあはあ。……こんなに気持ち良いものだったなんて」
「へへ、こいつ初めてだったのかよ。どうよ淫売、童貞のチンポはよ」」
「いいよぉ、すっごく。はあはあ、童貞の初々しいオチンチン最高!」

男はサウラの嬌声に一層激しく腰を前後させた。

「あん! 硬くてぇ、あっついの。あっ、また大きくなってるぅぅ」」
「嬉しい。こんな夢みたいな」

中でびくんびくんと跳ねながら、膣内を楽しげに往復する。
一層硬く、大きくなるのをサウラは感じた。
もうすぐイキそうなのだと、切なそうに女性器に訴えていた。

「ふああぁ、イク! で、出そう」
「ひゃあ、はあ。っ私も……。あん、来て!
はあはあ……オマンコの奥に……んん、ぐっって入れてドピュドピュって出してぇ」

全てを投げうってまで交わった女の懇願は、想像の斜め上をいっていた。
鬱屈が全て晴れるような開放感。
これは合意なのだと、成立してしまえばなんてことはないのだ。
制御を利かせる必要の無い解放感は筆舌にしがたい。
もう男はサウラの膣内に己の精をぶちまけることしか考えられなかった。

「あっ……ん……ヤ、うぅ! アあぁ!!
それいい! オマンコ溶けちゃいそうなほど、んあぁ!」

牡の雄渾が牝の身体を内部から責めたてる。
子宮口すら打ち抜かれそうな、
直接脳髄まで響く怒張の突き上げに、サウラはただ喘ぐことしかできない。
それでも脚を男の胴に絡ませて自ら引き寄せ、
言葉にならない感情を、意志を伝える。

「だ、ぁっっ! 来て……はあはあ……出してよ!!」
「ううぁああああああぁぁ!!」

命の限り絶叫して、新たな生命の元を発射する。
堰を切って流れ込む熱い濁流を感じながら、サウラは絶頂に昇る。
限りなく至福の時にも、湧き上がる渇望感が脈動する男根を吸い上げた。
男はただ酔いしれながら、睾丸から彼女の子宮を自分の遺伝子で埋めるという行為に没頭した。

「はっ……んん」

サウラは息を止め、自分の中で脈動し、生殖に励む男性器を感じた。
子種が弾丸のようにぶち当たる衝撃に火花が散り、精神を焼き尽くす。
より深い肉棒との交合を深めようと、巻きつけた脚に力をこめて引き寄せた。
牡が与えた膣内射精という最高のプレゼントに、
受精を待ち望む子宮が亀頭とのディープキスを求めていた。

「あっ……熱いの。いっぱい……どろどろで……子宮が蕩けちゃう……」

渇きを癒され、女の悦びに満ちた表情は万感の思いに彩られていた。

「おいおい、一発目から中出ししてたら速攻で孕むぜ」
「そうそう、なんせ童貞野郎の思いつめたあまりの暴走。
この日のために溜めてたからなあ」
「はん! ごめんなさい。ん……いけないのは私、私なのね」
「そうそう、こんなエロい身体で毎日誘惑。道を踏み外した哀れな子羊が一匹」
「だからさ、神様に代わって俺たちが罰を与えてやるよ」

周りは含み笑いを漏らすなか、
後ろに回っていた男がサウラの太腿に手をかけ片足を上げる。
だが肉棒が宛がわれた箇所は、後ろの穴だった。

「ああん! そ、そんなところも」
「けけけ、普通に入って行きやがる」
「さすが淫売だな。すでに教育済みとは恐れ入るよ」

身体を仰け反り、退こうとするものの、
男の腕が肩を押えられては逃れられない。
男根が全て埋め込まれ、ぴったりと尻に密着した。

「くぅ〜、ぐいっと締め付けやがる」
「あっ、かはっ……。ふはぁぁぁ、う、動くの? 動いちゃうと……」
「……ふ、はっ」
「やぁぁ、ひゃん! お尻で……きゃん、い、感じるぅぅ」

言葉より直腸に深々と侵入する男根の方がはるかに雄弁だった。
圧迫する尻穴を跳ね除ける勢いで掻き回し、鋭く抜いてはゆっくりと挿入する。
その度にサウラはぴくぴくと震えながら、もう一つの肉穴から白濁とした液を飛ばした。

「けけ、さっき中出ししたザーメンがたらたら漏れてるぜ」
「ひゃあぁぁ、ダメよ。あん!」
「まだ足らないんだろ」

男はいきり立つ肉棒をサウラの口元に持っていくだけで、
何も言わなくともおしゃぶりを始める。
緩みきった表情のまま、美味しそうに舐める姿は果てしなく淫猥だった。

「んん〜。ぷはぁ、もっともっとぉ。ちゅるる」

そう言って、付け根の袋にキスをする。
舌でくすぐられれば、男の腰が浮き上がっても無理はない。

「ふ、はあはあ」
「ここに溜まってる精、まだたくさん注いでよぉ」
「畜生が。いいぜ、望みどおりってな!」

後ろの男がサウラを抱え上げ、ねっとりと肛虐を続けながら脚を開かせる。
ひくつく淫液滴る秘洞へと、絡みつく膣襞を押し広げながら亀頭を突き進める。
のたうつ女体に合わせて、黄金や珠で作られた皇国製のネックレスやイヤリングが跳ねた。
高価な宝飾が、淫靡な女の魅力をより引き立たせていた。

「はぐぁ! う……っ! はあぁはあ、上下に挟まれて……んん!
ぁア、激しく愛されてる……ステキ、ああぁぁ!!」 
「おっ、おお。締まる締まる、気持ちいいぜ」
「くそぉ、二本差しされてよがりやがって。この淫乱が!」
「けけ、ほらしっかり見ろよ」

一番ヤリの侍従が目を逸らしていたのを、
男の一人が無理矢理前へ引っ張り出す。

「へへ、おめえの懸想してた女は淫乱、俺らのチンポでよがり狂ってるぜ!」
「かははっ、いい様だな! ほれサウラ、気持ちいいか? いいんだろ?」

サウラをサンドイッチに犯す男たちは、
息を合わせ、身体を弾ませながら交互に挿入する。
仰向けのまま抵抗できるはずもなく、
両側からの責めに媚粘膜は悦楽の刺激を走らせる。

「いいの、いいの!! 皆さんの逞しいの……感じちゃう」

嬌声を上げ、褐色の肌を珠の汗が流れ落ちた。
実に良いよがりっぷりに男たちも意気盛んに犯す。
絡みつくだけではなく、奥へと先導するままに先を進めれば、
より濃密な蜜と肉の輪によって愛を昂ぶらせた。
求めて止まない官能的な牝器官の蠢きに、憑かれたように男たちは腰を突き動かす。

「へ、へへ。こりゃ持つわけねえ」
「まったくだ。俺も中に出してやるぜ」
「ぅうあっ、ア、はあはあ。くぅん、切ないよぉ。奥にいっぱい……くはぁ、注いで」

サウラは無我夢中で男に抱きつく。
厚い胸板に乳房を擦りつけ、種付けをねだる。
男も普段とは違う、異国情緒溢れる美女との性行為にいつにも増して興奮していた。
これから何度も嬲るのだと思うと、長く持たせようなどと考えず、
むしろ出したくて出したくて堪らないといった風だった。

「はあはあ、イクぞ!」
「きてきてぇ!! ああん!!」
「うぐぉっ! し、締め付けやがって! そんなに欲しいならくれてやるぜ!!」

これ以上の余力を残す必要などない。
女の身体を挟んで、両方の穴をいきり立つ肉棒で何度も抉る。
サウラも陸に打ち上げられた魚のように跳ね上がった。
活きの良い魅惑の肢体に、その勢いに任せるまま射精した。
膣内にも肛門にも男の劣情を受け入れ、恍惚の表情を見せるサウラに、
男たちは達成感に満たされつつ、さらに注ぎ込んだ。

「あふぁ、ん……もっと……」
「うん?」
「もっと欲しいの。前も後ろも……今度はお口もおっぱいも犯して。
ふふ、黒い肌が汚らわしいならぁ、みんなの精液で内も外も白くしてよ」

サウラはいつの間にか解け、自由になった手で聴衆に招く仕草をした。
男二人に挟まれながら誘う妖しさといったら、見ているだけで射精しそうなほどだった。
取り囲む幾重もの壁の熱気に、すぐその願いはかなえられていく。

********************

王妃を含めた三人に弄られるはめになったシーフゥは、
夢のような地獄のひと時を終え、ぐったりと横になっていた。

「ふうぅ、なかなか良かったぞ。次は」
「む、無理です……」

シーフゥは虫の息で答える。
サウラからの修行がなければ死んでいたかもしれない。

「ならまた次回ですかぁ〜」
「残念ですわ」
「じ、次回って……」

アシュリン、リリアベスに3発ずつ、アズメイラにもしっかりと2発。
特にアズメイラには侍女二名による拘束の上での行為とあって、
もはや拷問の域に達していた。

「ふふ、こんなに出しおって。
アシュリンにリリアベスも満足できたようだし、今日のところはこれまでとしようか。
シーフゥよ、頑張りに免じて何か褒美を取らそうか」
「そ、それなら……サウラさんと仲良くなった理由を教えてくださいよ……」

アズメイラは意外そうな顔をした。

「おぬし、意外に鈍いな。もっと聡いかと思ったぞ」

シーフゥはムッとした。
わからないものはわからない。

「それは買いかぶりでしょう。色々考えましたけど、結論はでません」

アズメイラは言うべきか、どうしたものかと顎に手を当て思案した。
シーフゥを背にしてベッドから降り、侍女から身を清められ、服を着せられていく。
奉仕される側にも慣れが必要なら、それは熟練の域に達していた動作だった。
やがて身繕いが終わると、シーフゥの方へと振り向いた。
一部の隙もない完璧な佇まいへと瞬時に戻り、ただただ圧倒される。

「端的に言えば、サウラは確かに邪魔な存在だ。
最初から話せば……まあ自分で言うのも何だが、私は田舎貴族出身でな、
王妃という地位が欲しかったのだ、一族の希望としてもな。そして手に入れた」
「あの時のアズメイラさまは涙ぐましい苦労をされました」
「ファーストレディとしての礼儀作法、学問は言うに及ばず。
詩や弁論、弓に狩、色恋にアレコレ、様々されましたのよ〜」

侍女がご丁寧に補足してくれた。

「浮気したり妾を囲うのはかまわん。
だが私がもう少し歳をとって地位を確立してからにしてもらいたい。
今されてしまうようでは、威厳、威光と言うべきかな、それが下がってしまう。
それにサウラは異国の者、これは特に困る」

このロリコン趣味なら耽溺必至な容姿と体型で、
歳の話をされてもいかがなものかと思った。
この調子なら、10年後も本当に変わらなさそうだ。

「だから王さまから離れろと言ったんですね」

ここまでなら、利害関係から読むことは可能だった。

「ふふ、だが陛下の命令は絶対。求めるなら断る手はないだろう」
「うっ……だけど……」
「まあ正解に近いがな。さて話を進めようか。
仮におぬしの言うことが実現できるとして、
サウラにとっては後ろ盾がなくなる。これはまずいのではないか」

そのとおりである。
シーフゥも考えたが、取引と仮定した場合これでは一方的で交渉の余地もない。
地位をかさに立てて迫る手もあるが、それこそ王の後ろ盾があれば難しい。
強行手段をとるにも、執着を見れば強い反発にあうのは必至。

「な、なら……王妃自らが後ろ盾になる……のは信頼関係からして無理ですし、
納得できる条件ではありませんね。
なら代わりに後ろ盾を用意する……。ああ、そうかあ。なるほど」
「ふふ、理解が早くて助かる」
「だけど、それは難しいのでは。
言ってしまえば王さまの代わりになるわけですから」
「はたしてそうかな。
本人の心積もりでどうとでもなるだろうさ。
なぜなら、ここが重要な点になるが、サウラに公式な地位はない。
もしも正当な理由が用意されたなら意外と簡単に話は進む。
まだまだシーフゥは駆け引きを知らんと見えるな」
「ひとつ気付いたんですが、新しい後ろ盾が王さまに諦めさせれば一石二鳥ですね。
それにサウラさんは乗り気だったでしょう。目に浮かびますよ、本当に」

アズメイラは高笑いをした。

「そうそう、勘違いするなよ。今や私はサウラの後ろ盾だぞ。
良き友と言ってもよい」

鬼に金棒、さてどちらが鬼でどちらが金棒か。
シーフゥは、鬼に例えるならサウラだろうなと漠然と思った。
なぜなら、王妃は利用してるつもりで、
絶対サウラに利用されてると感じたからだった。

「でもどうやって本人には、その気にさせるのですか?
こんなこと、サウラさんに気があるとしてもなかなかやろうとは思いませんよ」
「ここから先は秘密だ。今までの会話の内容もまた然り、口外してはならん。
ただな、上手く行けば一石二鳥どころか三鳥にもなるだろうと言っておく。
シーフゥよ、お前は身近にいるからわからんかもしれんが、サウラを侮ってはいかんぞ」

最近を思い返して侮ったことなどあっただろうか。
だがシーフゥの考えたことは、アズメイラが言いたかったこととは方向性が違っていた。
それは私人と公人の意識の差でもあった。

********************

もう一方は果ての無い凌辱劇に入っていった。
サウラは二つの穴、口、両手両足も使って男たちに奉仕し、輪姦されていく。
まさに地獄のような夢のひと時を味わっていた。
濃厚な精液を浴びるようにすすり取って、肌になすり付けられていく。
時には男らが一緒に達しようと調整し、膣に肛門、口に乳房や顔と同時に射精された。
白い汚液にまみれながら、なおも休むことなく男と交合する。
双方とも飽くことの無い、底なしの沼へとはまっていく。

「頂戴! ハっ、んん……ちゅるる、あぶ。オチンポもっとぉ」

硬いものが手に当たれば進んで握り、口に突きつけられれば自ら含む。
サウラは背後から乳房を揉まれながら、膣も肛門も男性器をくわえ込んでいた。
前後を犯す男の動きが激しくなり、うめき声を上げながら奥まで挿入した後、動きを止める。

「んん! あ、当たってる! ひゃぁん、すごぉい、中で出てるのわかる!
あっ、熱いぃ! はああぁあん、奥、やけるよぉ!!」
「はあ、はあ……こいつすげえよ」

びゅるびゅると子宮に新たな男の精子を注ぎ込まれた。
すでに何人、何十回射精されたかわかるはずがない。
それでもサウラは悦びをあらわに、肉襞を収縮させて吸い取っていく。
それは前も後ろも同様だった。

「ふぁあ、抜いちゃやだよ」
「はは、手がおろそかになってるぜ」
「あん。んちゅ……はあはあ、ちゅぱ。ぢゅるるぅ……ちゅ、ん、はあ」

両手にそれぞれ男根を握り、しごいていく。
そうしてる内に、いつの間にか反り返った肉棒が横たわって用意される。
自ら犯すまでもなく、進んでその上に乗ってくるのだった。
サウラは肉穴をほじられる快楽に浮かれながら、
握っていた男根が射精して真っ白なザーメンを顔に浴びた。
男はかけるだけでは飽き足らず、まだ硬さを保ってる肉棒で汚液を塗りたくる。

「けけ、ほら王妃さまみたいに白い肌ってな」
「アホかおまえ」

周りで笑い声が起こった。
サウラは青臭い精臭にまみれながら、
べっとりと顔にかかったものもちゅぷちゅぷと啜りとる。
ピンクの舌が顔に付着した分も舐め取っていく。

「へへ、美味いか? 美味いだろ?」
「はい、チンポミルク美味しいの。苦くて……大人の味よね」
「いいぞ。そろそろ下からも美味いミルクを恵んでやるぜ」
「ああん! すごい、激しいよぉ。射精直前の勃起チンコでオマンコ壊れちゃうぅ!!」

男の腰を抱える手が強くなった瞬間、肉がぶつかる音が高くなった。
膣奥まで穿ち、張り出したエラが中に溜まっている古い他人の精液をかき出し、潤滑剤がわりにする。

「おらぁ、腹に溜め込んだザーメン零してんじゃねえよ、この肉便器が」
「はあはあ、ごめんなさい。こぼれた分また注いで」
「ふうぅ、肉便器らしく、しっかり肉壷へ子種を溜め込むんだぞ」
「あ、あっ……はい。皆さんの精液をいっぱい貰って、子宮の中でどろどろに味わうの」

牝の本能が、そろそろ射精の時が近いとわかっているのだろう、
すでに何人もの怒張を慰め静めてきた淫肉が再び蠢き、
重なる肉体に添うようにして悦楽の摩擦を生む。
男は上下に揺れて誘惑する乳房をすくいあげて、挿入部から少しでも気を逸らした。

「へ、乳首もビンビンにさせて。こうしてやるよ」
「それ、いい! おっぱいイジメながら犯して!」
「ああ、そら! イくぜ、中出しだ! 帰る前に、その腹に仕込んでやる!!」
「けけ、孕ませて、ただでは帰れねえ身体にしてやるよ」
「ああん、私も……イク、イクよぉ!! 頂戴、精液きてぇぇ!!
いいよぉ、妊娠してもいいから、そのまま奥にいっぱい出して!!」

あまりの淫猥さに、自らしごいていた四方からも精液が飛ぶ。
下から性器を犯す男もサウラのくびれた腰を掴んだ。
結合部が外れぬよう固定され、無条件で中に射精する。
ぴったりと宛がわれた子宮への入り口へと注ぎ込まれ、
熱い歓喜がうねるようにして全身を満たした。
男の動きはそれだけにとどまらない。
牝の肉体へと己の遺伝子を深く打ち込み、卵子へと追い求める精子の数を加速度的に増やしていく。
自分が優秀な牡とでも誇示するかのごとく、腹筋を使って腰を跳ね上げ、
快楽に喘ぐサウラとその見事な肢体に見惚れながら存分に生殖を果たす。
身体の奥底から表面まで不浄にまみれながら、いっそ神々しいまでに輝いて見えた。

「あふン……気持ちいい……」

がっちりと子宮口まではめながら、どくどくと注ぎ込まれる愉悦の時。
迎合ではない真実の呟きなのは、表情からも表れていた。
ようやく男が終わったと思い、名残惜しみながら尻をなでる。
サウラが腰を浮かし、寝転がる男の目の前にくると肉穴を指で開かれた。
男は女性器の隅々まで蹂躙の痕跡を観察する。
肉壷を開いて奥まで覗く、その妄執じみた眼差し。
全てをさらけ出す恥ずかしさと、命令を遂行した誇らしさにサウラの胸が高鳴る。

「女、馬乗りになって男をいかせたな」
「はい……自分からも腰振って、気持ち良いところにたくさん突いてもらいました。
孕ませてもらえると思うと身体中熱くなって、
そして中出しされたまま……一緒にイきました。
言われたとおり、深いところまでオチンチンを感じて、降りてくる子宮に受けましたの」
「くく、本当にわしの種汁を全て喰らったと見える。
あれだけ出したのに見当たらんな」

全て胎内まで受け入れたのか、膣口からぽたぽたと垂れる程度であった。
ならばサウラの子宮はどういう状態か、想像するだけで愉快で堪らない。

「へへ、そんなにイキ面晒してよぉ、まだまだこれからだぜ」
「あ、硬いのステキぃ……。サウラのここ……欲しくてぴくぴくするの」

次の男がすでに復活している怒張を見せ付けた
男どもの下劣さゆえか、その余りある性欲の強さにサウラは陶酔する。
進んで四足で歩み寄り、口技を施す。
亀頭に張り付く口腔の感触にざらりとする舌が加わり、
今度は男の方が喘ぐ番だった。
声を抑えようとサウラの髪をなで、形のよい耳を擦る。
二、三度すました分、感度が良いだけに、
裏筋を舐められるだけでも背筋がぞくぞくと浮き上がる。

「も、もういいぞ」
「あん……反り返ってますわ」
「ふ、今度はそのまま尻をこっちに向けな」

もの欲しそうな目を一物に向けたまま、かぶり振って下半身を男に差し出した。
ランプの明かりが美味しそうな褐色の尻を浮き上がらせる。
炎の揺らめきにも似た、牡を誘惑する扇情的な動きが男を昂ぶらせた。

「いい眺めだぜ。気の利いた台詞でもはきな」
「犬みたいな格好で、おねだり……させる気なのね。
いいわ、はあっはあ……発情牝犬みたいにお尻上げてる淫乱なサウラに、
その逞しいチンポを咥えさせてくださいませ。
そして隅々まで味わさせてください。
はしたないサウラはきっと先にイクきますが、。
それでも、何度でもこのまま種付けしてください。
身も心も服従する牝犬のサウラに、その証として膣奥で射精して、
どうぞ情けとして白い肌の赤ちゃん宿らせてください」

人の矜持をかなぐり捨てた誘いに男は挑みかかる。
尻を打擲する勢いで挿入して、衝撃が加わるたびにサウラは歓喜の表情をつくった。
官能のサイクルに背筋を反らし、突き出した乳房が楽しげに揺れ動く。
だが男が髪をつかんで頭を押さえつけ、這い蹲らせたまま犯した。
肌の色が違うくせに、どこか高慢にふるまうサウラが気に入らなかった。
ずたずたに引き裂いたプライドをさらに踏みにじる、またとない優越感。
挿入するたびに痙攣する濡れた女体がサディズムを満たす。

「ふん、はああぁ! けっ、何度やっても飽きない、いい締まりだぜ!
くぅ、くく。ここももの欲しそうにしてるぞ。そら」
「や、やああぁ……そこも……ああん! はあっ」

近くにあるもう一つの穴へと指を入れた。
蕩かすような膣壁の摩擦が灼熱感をも帯びていく。
ただでさえ絶品の器が吸い上げんばかりの勢いになり、
恐れて指を抜こうとするとサウラは手首を掴んでそれを止めた。

「もっと…もっとしてして! お尻の穴弄りながら犯して欲しいの!!」
「お、おう! くそっ、指増やしてやるよ!!」

今度は二本の指を菊座に入れて抜き差しした。
熱い波が押し寄せるのも構わず、腰を前後させて膣奥まで挿入を繰り返す。
子宮口まで悠々と届く獲物に、
満遍なく腹側を刺激された所為か、結合部から潮をふいて達する。

「そ……それ、最高だわぁ……。んん、あふぅ、次は……また二本差しにしましょう」
「へへ、いいぜ。まだ元気のある奴は余ってるよ」
「そら、そおら! 出す、中出しだ! お望みどおり種付けしてやるぜ!
お前のマンコも欲しくて欲しくてよがってるよ!!」
「ああん! やっ……ンんあ……そ、そうなの!
みんなのチンポ奴隷……オマンコに咥えこんだらイクまで離さないのよ。
はあっ、あっ、奥までぐりぐり当たってイイわぁ」

周りには結合部をしげしげと注視しながら、男根を握っている者がいた。
その準備万端な様子と、これから行われる種付けへの熱いまなざし。
サウラは羞恥によって、全身に駆け巡る熱いうねりが一層強くなる。

「あん! あん! 見て…しっかり見てくださぁい。
発情中のサウラに種付けするところ……はああぁ!
進んでお尻を与えて、お尻の穴も穿られながら、んん!!
たっぷりと中出されて受精する瞬間を見てください!!」
「いっ……イク!! くぉおおああぁ!!」

二つの穴を奥深くまで受け、そのまま尻に密着して男の動きが止まった。
男は肛門を二本の指でかき回しながら膣内射精をする。
生殖器の結合だけで動かずとも、女の下半身は肛虐からの刺激で悶えて蠢く。
膣への静かな充足感とは裏腹に、子宮口は剛直に押されながら、
底に潜む果実へと照準を定めるがごとく集中砲火を浴びた。
どちらの穴の快楽で達したのかわからない、両方だったかもしれない。
サウラが絶頂に果て、種付けをされ、観察された事実に変わりはない。
男の指は休まず抽挿し、生殖器は受胎を請う美しい女体にじっくりと子種を植えつける。

「ふぁ……それ……ステキ……お尻弄られて……ドピュドピュって中出し……」
「はあはあ、犯ってやったんだ。礼の一つでも言いな」
「汚らわしいサウラに種を付けていただき……ありがとうございます。
お尻の穴も気持ち良くて……二度もイクほどですの。
……それに熱くて新鮮な精液を注いで交尾を無事に終えられましたわ」

男が結合を解き、手を離すと尻も落ちた。
満足のいく責めと交尾だった言いたげに背中が上下する。

「ガキが女だったらまた俺たちで可愛がってやるぜ」
「へへ、一回で白い肌にならんだろうからな、孫曾孫の代まで延々と犯してやるよ」
「性欲処理の家畜として、品種改良にも協力ってな」

下種な発想に男たちが自画自賛する。
だが今のサウラには先のことより現在の快感が全てだ。
セックスできるなら、それに勝る優先事項はない。

「うふふ、いいわそれ……皆に飼ってもらっていっぱいエッチしてもらって。
はあん、もっともっと〜」
「おう、わかってるぜ」

待っていた男が寝転がるサウラの両脇から腕を入れて起こした。
ベッドから降ろして、テーブル近くで密着した。

「次はご希望通り。ほら待ってるぜ」
「んはァ!」

後ろから尻穴へとめり込む男根、
そしてその前にはもう一人自らしごき上げて立たせる男が一人。
サウラの片脚を抱え上げ、男女の体液によってしとどに濡れる割れ目へと、そそり立つ肉槍で貫いた。

「あっ……あっふ……」
「どうだ。ご希望通り二本差しだぜ」
「いいわ……熱いものが二つも同時に私の中に入ってるって……。
動くとどうなるか、楽しみだわ。あん、はあ……やん、いきなり動かさないでよ。
はあっはあっ、ん……やっぱりイイわぁ、き、キモチいいのよ。
薄い壁を挟んで、はあはあ、硬いのでごりごりって擦られるのサイコウ……。
ああぁ……うふ、ん、はあはあっ、遠慮しないでもっと激しくしていいのよ。
そう、そうよ! はあっ、あん、あっ、タイミングぴったりでくるぅぅ!
オマンコもお尻の穴も許しちゃってずんずんて頭まで響くわぁん。
ねえ、二人とも奥までハメて。あっあん、二本ともそこまで届くのぉ!」
「がぁ、うっ、エロ過ぎだぜ!」
「はあはあ、顔こっちに向けてキスさせろ。舌、舌だしな」

サウラは顔を後ろに向けて、尻穴を犯す男と舌を絡ませる。
その蕩けた表情にも股間の一物はよりいっそうの勃起を促した。
後ろから乳房を持ち上げて乳首をこりこりと揉みながら、
タイミングを調整して奥まで肉棒を挿入する。
息の合った動きにサウラはむせび泣く。

「はあ、はあ……アはん、それもうダメぇ」
「何言ってやがる。中はとろとろに絡み付いてチンポを離してくれねえぜ」
「そうよ。離したくないから。だからもっと、んん、もっとぉダメにして!
前も後ろもずぼずぼって気持ちいいよぉ。二本のチンポでもっとイジメて!!」

動くのを忘れるほどの締め付けが刺激を生む。
だがそれに反逆したくなるのが男だ。
肉棒に絡みつく膣の具合の良さは最高であり、
髪を振り乱して悶えるサウラの姿はこの上ないほど扇情的だった。
侵入を拒むような締まりにも負けず、最奥まで抉る。

「んふぁ、はあぁ! イク、イクのぉ……。
サウラの穴、硬いの二つでぴったりイかされちゃうの!
来てぇ……。あっ、アん! 出して! 奥まで白いのでキレイにして!!
サウラを雪みたいに真っ白にして、してぇ!!」
「はあっ、本当に惚れ惚れするよ……。
よし、イクぜぇ! 中に出して、腹にガキ仕込んでやるよ!!」
「オラあ! ケツ穴でも孕みな!!」

男の強い意志を持った動きにサウラは達する。
怒張から噴出する牡の獣欲がつまった粘液を浴びて、さらなる頂へと押し上げられる。
腸や子宮へと同時に濃厚な子種を注がれ、
立ったまま責めぬかれた尻と膣は至福のひと時に悦び、わなないた。

「くぅぅ、睾丸から吸い取られていくぜ」
「穴が嬉しそうに飲み込んでくるんだよ。
へへ、俺たちの種が欲しくて欲しくて仕方がない感じだぜ」

男たちは一滴も残らず放出して、白く濁った子種汁で隙間なく牝穴を埋め尽くす。
予想以上の量に、満足感が半端ではない。
肛門を犯した男が抜くと、どろりとした粘液が流れ落ちた。
結合していた性器も目的を完遂して自然と抜ける。

「あっ……ん。ダメぇ」
「へへ、やっと音をあげやがったか」
「ふうぅ、もう俺は立たねえよ」

サウラはテーブルに置いてあった残りの媚薬瓶を奪い、口に当て逆さに飲む。
それを見て男の方が何人かひっと恐れる声を上げた。
ごくごくと喉を鳴らして嚥下するさまは確かに恐怖を感じさせた。
全部飲んだとジェスチャーするように瓶を振るうと、
潤んだ瞳で男たちを一人一人を観察する。

「ふふ、音をあげたんじゃなくてぇ、
オチンチンが抜けてザーメン零しちゃったのが、ダメ、なのよ。
ねぇ〜、またお仕置きちょうだい」
「はあ……はあ……」
「あ、あぁ……」

まだ残り火がくすぶる身体が、潮流に乗ったように引き寄せられる。
男たちにとって彼女自身が媚薬であり、同時にそのはけ口であり、
その関係性は変わらない。
だが目的がすでにあべこべになっていた。

一部の男たちはサウラの身体を求めた。
組み敷いては犯し始め、サウラは手と口を使ってまた奮い立たせた。
接吻をして、乳房を捏ねくられ、犯され、嬲られる。
全身を飾る牡のにおいに満ちた粘液に陶酔しながら、体内は欲望の迸りをいただいた。
男たちは次第に意志の介在しない肉人形と化しながらも、
快楽にはしっかりと反応を見せるのが面白い。
まるで宝探しの感覚で反応を引き出していき、そしてその反応が自身の快楽につながる。

飲まず食わずでの交合に、憔悴した男は命を削りながらまた交わる。
ここには命よりも大事なものが存在した。
一瞬のきらめき、ただそれだけだったが、それが今の全てだった。

********************

終わりの見えない輪姦劇にも、日がまた上がる頃にはようやく解放された。
サウラはうずくまる男たちを眺めながら、久々の多数との相手に満足な顔を見せた。
学習したとおり、押し引きは重要だと裏付けできたのはとても良かった。
指に付着した体液を舐めながら、
少々自分の中の影の部分が強くなるのを感じ、どうしようか思案する。
そんな時、鐘の音が鳴り、今日一日の始まりを知らせた。
その発信源を窓越しに眺め、静謐な音とは裏腹に歪んだ気がこもっている風に見えた。

サウラは本当に人というものは面白いと感じた。
穢れを知らないうぶな心が、教義と石造りの聖堂に守られているが、
その実、清浄であるはずが澱みと化している。
清流に住む魚が泳ぐのを忘れ、ただ沈んでいき身を潜めている。
あらゆるところに根を張り、汚濁にまみれ穢れまで吸収してこそ、
大樹へと成長するには必要な養分のはずなのに、
生を受けてから遠ざけているようで、これでは善を称えるのも悪を戒めるのも滑稽に思えた。
清流も濁流へも泳いでこそ、説法にも説得力を増すというもの。

「そうよねぇ……ここは私が教えてあげなきゃ。
シスターサウラの課外授業、
良い子には、どれくらい自分が悪い子か知ってもらわないとね。
ふふ、こういうのは物差しがないから興味深いわ」

当初の目的が何かあったような気がしたが、そんなことはもうどうでもよかった。
出口の扉は外から鍵が掛けられている。
窓を開け凍てつく空気が入り込むが、その清涼さに目を細め、胸いっぱいに吸い込む。
そしておもむろに窓辺に足をかけて飛びおりた。
雪と一緒に強風が吹き荒れる中、気にすることも無く屋根を歩いていった。
降り積もった雪に小気味良い音と足跡を付ける。
仰々しい扉を開け無言で立ち入り、ひとり祈りを捧げる男に近寄った。

濃厚な牡精を注がれたサウラは以前にも増して艶だっていた。
もはや妖艶などと片付けるには足らず、
命無き物すら欲情してしまいそうなオーラに満ちていた。
ましてや同じ人なら抗うことも不可能だ。
禁欲を旨とする敬虔な聖職者であろうと、
その褐色の肌身に触れられるのなら罪を背負うのも辞さないだろう。
巻きこまれた者にとっては、人災よりも天災に近いかもしれない。

保護を求める女性に対して、神の御使いを自称する者は匿い、事情を聞いた。

「そうですか。それは苦労されましたね……」
「はい、だけどまだ、ん……」
「わかりますよ。まだ誰かが追ってくる可能性があります」

怖がるサウラをなだめる。
しなだれかかるその身体を抱きとめるが、相好を崩すのは避けられなかった。
役得だと思えればまだ良かったのだあろうが、
そもそもそういう発想こそ戒めるべき思考の持ち主。

「どこかに、かくまってくれませんか」

神官は背が低くサウラの方が長身なため、乳房の谷間に顔が埋まる。
薄着だからこそはっきりとわかる押しつけられる胸の感触に、
無意識のうちに手がそこかしこと触れていた。
とうとう大胆にも尻の肉を捏ねくる時、男の象徴を女に押し付ける。
それだけでも痺れるような快感だった。

「わかりました、貴女の安全のために一肌脱ぎましょう。
追われる者を救うため、隠し部屋があります。
そこで暫く休まれていくと良いでしょう」
「ああ、ありがとうございます」

神官はサウラの腰を抱いて連れて行く。
まともな状態ならまず行わないが、現状を一言で表すなら素で狂っていた。
性欲を押さえ込むストレスが神経に過負荷をかけ、
まともな感情を切断して回路を断っていた。
なけなしの外聞も小部屋に入り、後ろ手に鍵を閉めればたちまち雲散霧消する。
部屋を眺めるサウラを後ろから抱きすくめた。

「あん……神官さまの硬くなったアソコが、サウラに当たってますわ」
「そうです。これはとても罪深いこと。ですが覚悟はできています。
怯えるあなたを慰めるため……私は決意しました。
ふうぅ……一つになりましょう。そうすれば怯えることもありません」
「ああ、神官さまぁ……。サウラは嬉しいですわ」

そのまま服の下へと手を伸ばし、乳房に触れる。
当然初めての感触であり、魅惑の柔らかさだった。
瑞々しい生命力に満ち、神秘的な活力が湧き上がる。
先端にある乳首にも指を添えて擦った。

「ぁん、う……ん」

次に思ったことは、この乳房に口付けをしたいということだった。
だが彼女の前に出たくなかった。
己の醜態を晒したくないこと、背が低いコンプレックスも手伝って、
向かい合うことを全身から恐れていた。
額にかかる吐息に、サウラが顔だけ振り向いていることに気付く。
少し乱れた前髪が目元までおおい、艶かしい唇がいやに鮮明だった。
魅了の源へとただ重ねあわせたい衝動に顔を近づける

「ふうふう……うむ」
「ん……ちゅ、あん……ここも」

サウラがスカートを捲り上げると、細い布が頼りなげに付いていた。
くっきりと浮かぶ割れ目をなぞるように、布地の上から指で擦る。
舌を絡めながら、片手は乳房を、片手は性器を愛撫する。
さまざまな箇所から伝わる女の感触、そして匂いに熱がこもる。
神官は最後の一枚を恐る恐る取った。

「はあん……硬いのがお尻に当たってます。
サウラには嬉しい温もりを感じます。
さあ、今ここに神官さまのものを納めください」

サウラは身を屈め、上半身を両手で支えた。

「おお、なんたること。ふうぅ、獣のような体位で交わるとは」

破戒の味は格別だった。
一度味わってしまえば、抜け出すこともかなわない麻薬。
男が小さいだけにそそり立つ物をうまく挿入できないとわかるや、
サウラは尻の高さを調整した。

「どう……ですか」
「はあはあ、くぅっ!」

尻を抱える手の力が強くなると同時に、勢い良く結合を果たす。
風きり音が聞こえてきそうな鋭い腰つき、熱い性器同士の摩擦がお互いの身体を火照らせる。
サウラは崩れ落ちそうな両脚を支え、小男に尻を捧げるポーズを維持した。

男はそんな健気な様子を省みることはない。
抗うすべを持たぬ性衝動をサウラにぶつけ、極上の身体を貪った。
一突き毎に肉棒を包む膣襞の感触は強くなり、
鎧を持たぬ無防備な急所を攻めて責めまくる。
王をも酔わすその身を、己の怒張で蕩けさせるのだ。

「はあっ! はあっ! もうそろそろです!」
「あぁ、ください! サウラにこれを……」

サウラは片手で器用に上半身を支え、一方の手を結合部、男の精袋へと持っていく。
やわやわと撫でられる不思議な心地に、男は奥まで挿入し動きを止めた。

「ここにつまってます子種を……罪深いサウラの子宮へ注いでくださいませ……」
「くく、わかるぞわかるぞ。そちのここも欲しがっているのが」

男も拙い性知識を活かし、結合部へと手を伸ばして芽を出した肉粒を弄んだ。
女の身体が震えた後に弛緩し、また震える。
同調する締め付けに、男がいらうように腰を合わせ味わう。

「はん! あアぁ……ダめぇです。そんな、はあぁ!」
「そちのここは、とても悦んでいるぞ。下の口は正直者と見える。
まっことけしからん限りだ」

再び律動を始めた。
肉打つ音に混じって、サウラのむせび泣く音が響く。
熱く爛れた胎内には一刻も猶予がなく、そこへの肉の隘路は激しく吸い取ろうとする。
精子を受ける準備が整っていると、牝の身体が哀切の涙を流していた。

「ほほ、天への門が開いておるわ」
「はああぁ、ああん!」
「それっ、そなたもイクのだぞ。共に高みへと駆け上がるのだ!
浄化の一撃で清め祓い、実を結ぼうぞ」
「はいい! ください! 発情中のサウラに、
その淫らな罪を神官さまの愛で救ってください!!」

男の精をねだって揺れる美尻に、そして愛を誓った子宮へと射精した。
牡の本能がより受精の可能性を高めようと、奥底にまで進入して撒き散らす。
サウラも直立になりそうなほど背筋を反らして、閃光煌く快感にわななく。
精幹と子宮が直結し、熱い波動が絶え間なく押し寄せる官能のひととき。
膣内でびゅくびゅくと脈動するたび、サウラは熱い満足感に浸っていた。

「くぅぅ……こ、これで神の愛が届きましたか?」
「は、はい……熱いのが広がっています。きっと届いたはずですわ」
「ですがあなたの身体はもっと欲しがっている、違いますか」

サウラは首を振るう。

「いいえ、違いませんですの」
「ふふ、よろしい。今日はあなたのために捧げます。
さあ、恐れることはありません。身を委ねなさい」

一度事をしてしまったせいか、自信に満ちた声だった。
恐れなど過去のこと。
卓上に仰向けにさせ、サウラは自らの秘所を両手で開いた。
そこは愛液と精液に濡れそぼり、先ほどの性交の激しさを物語っている。

「はあはあ。ここへ……教義と愛を注いでくださいませ……」

白濁の体液を淫らにも飲み込む。
だが誰もが躊躇することなく入っていく。
サウラに覆いかぶさり、腰を動かす。
後ろで見る分には滑稽なほど、必死に思えた。
背後からくる足音にも、ノックの音も耳に入るわけがなかった。

「うん? おい、何をしている!」

来訪者に呼びかけられて、ようやく男は気付いたがすでに遅かった。
サウラから離れて、息を整える暇もなくあたふたと着衣を直す。
だが問い詰めるまでもなく、何をしていたかわかりきっていた。

「えっ! あ、これはその、違うんです」
「言い訳など不要だ。失せろ!! ……追って沙汰を出す」

聞く耳を持たぬ烈火の叱責に、正気に返った男は慌てながら全力で立ち去った。
サウラも身を起こし、卓上に座ったまま脚を組む。
残った男は威厳に満ちた視線でサウラを凝視した。
服装からして同じ神官だが、格上のようだった。

「巷間で噂のサウラとはおまえか」
「あら、噂だなんて光栄ですわ」
「ふん、見れば見るほど淫らな身体をしおって。
神の教えしか興味がないあいつが狂うのもわかるぞ。
女に一生縁がないから、この道に入ってきたような男なのにな」

男の目が爛々とし、やはり後ろ手に鍵を閉めた。
自由にもてあそべる女が居て、無傷で返されるなど幻想もいいところだ。

「あなたも狂ったのかしら」
「まさか。いつもどおりさ。
俺は楽しむすべも、女を喜ばせるすべも知っている。
さっきのつまらん奴だけで、満足なんてしてないだろ」

男の言うとおりだった。
サウラは靴を脱ぎ捨てて、男に近寄る。

「ねえ、ここもいいけど、聖堂でしてよ。
ふふ、静かで音が響きそうでステキだと思うの。
それに神さまが見てる前でするって気持ち良さそうだわ」
「……俺にはお前の方が狂ってると思うがな」

そもそも聖堂は石造りなだけに、長時間居れば凍死しそうな寒さだ。
サウラには関係のないことだったが。






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