彼女は変わった
シチュエーション


高校生の時の話だ
その頃、俺には好きな女の子がいた
その子はいつも自分の席で本を読んでいるのに、他人の変化には敏感で誰の体調が悪くなったら、真っ先に気づくのはいつもその子だった
引っ込み思案で恥ずかしがりやだったけど、困っている人は見過ごせない性格で、テストではいつも学年順位一桁以内に入っていた

でも、高校三年の夏休みが明け、彼女は変わった
髪を金髪にし、煙草を吸うようになった
夏休み前は授業中でも私語を慎み、先生の話を聞いてノートもしっかり写していて、授業を休んだことは一度もなかったのに、授業中に教室にいることの方が珍しく感じるほど彼女は授業に出席しなくなった
噂では、彼女は夏休みに他のクラスの奴らに脅され、何度も何度も犯されたらしい
そして、夏休みが終わる直前、彼女はついに壊れた
彼女は他のクラスの誰かの家に呼び出され、犯されている最中に突然何事か叫びながら逃げ始めたのだという
彼らが彼女を見つけた時、彼女は包丁を持っていて、彼らを視界にいれた途端襲いかかってきたらしい
彼らの中には腕とかを切られた奴はいたらしいが、致命傷となるような傷や顔などの目立つところへの傷はなかったらしい
彼女は彼らが彼女を脅すために使っていたらしい写真やネガを燃やし、データが保存してあったパソコンのチップも砕き、彼らのパソコンすら破壊した
すべての脅迫材料を消すと、彼女は最後に彼らの財布を「わたし……いや、あたしの身体を抱いた代金だ。でもこれだけじゃ足りない。痛めつけられたくなかったらあたしの奴隷になりな」といって奪っていったらしい
そして彼らは彼女の奴隷……まあ、いいなりになっているのだという

彼女がそんな風になり、誰もが敬遠して近づかなくなっても、俺は彼女が好きなままだった
なぜなら、彼女は時折寂びしそうな顔を見せて涙を零していたからだ

きっと、彼女はまだ戻れる

俺はそう思った

だから、俺は何度も彼女に話しかけた
彼女に殴られても、蹴られても、クラスの全員から無視されるようになっても、小学校以来の友達が離れていってしまっても、俺は彼女に関わることをやめなかった

卒業を控えた三日前、彼女が突然卒業式の練習中に体育館に乱入してきて、俺を空き教室まで無理矢理に連れ込んだ
そして、いいなりのやつらに俺を裸にして四肢を拘束させ、彼女は俺の逸物を頬張り、俺のが吐き出した精液を嚥下し、騎乗位で俺を犯した

俺と彼女の交わりは、陽が暮れ、いいなりどもが全員いなくなるまで続いた
すべてが終わると、彼女は呆然としている俺にキスをした
でも、俺はキスする直前の彼女の顔を見た瞬間にすべてが吹き飛んだ

その顔は、何度も見かけた、あの、寂びしげな表情をしていた
俺は、俺と舌を絡めている彼女を抱きしめた
すると彼女は、俺の行動に驚き、突き飛ばそうとした
でも、俺は彼女を離さなかった
そして、まだ俺の口内にある彼女の舌を俺の舌と絡めた

……優しく、慈しむように
彼女はその間ずっと抵抗していたが、運動部に所属していた俺の腕力に元々華奢で運動も苦手だった彼女がかなうわけもなかった
そして、呼吸が苦しくなった俺が唇を離して一息つこうとした瞬間、彼女は俺に頭突きをかました
頭突きを食らった俺がひるんでいる合間に、彼女は俺の腕から逃げ出した
教室から出て行く瞬間の彼女は、泣いていたように見えた

そして、三日後の卒業式

俺を犯した日以降学校に来なかった彼女は誰もが予想していなかった格好できた
その格好は、夏休みの前の彼女そのものだった
制服の着方も、髪の色も、手にハードカバーの分厚い本を持っているところまで同じだった
まあ、卒業式に本はいらないが
俺が彼女に話しかけると、式が終わったら屋上に来て欲しいと言った
式が終わり、俺は屋上へ向かった
屋上への扉を開くと、すでに彼女はいた
俺は、彼女のいるその場所を見て驚いた
彼女は、屋上の金網の反対側にいたのだ
俺は、彼女に金網のこちら側に来るように必死に説得した
しかし、彼女は首を振るだけでこちらに来ようとはしなかった
そして、彼女は話し始めた
自分が知らない同級生に脅され、犯されていたときの恐怖と無力感
そいつらを自分に屈服させたときの達成感と高揚感
変わってしまった自分に対する侮蔑と嘲笑
そして、諦めずに自分に関わろうとした俺に対する僅かな期待と微かな恋慕
でも、彼女はとうに気づいていた
自分がもう戻れないことに
だから、彼女は言った

「このまま迷惑をかけ続けるくらいなら、もう、わたしなんて死んだ方がいいのかもね」

俺は、そんなことないと叫ぶ
でも、届かない
届かなくても、叫ぶ
彼女への気持ちのすべてを

気づくと、彼女は泣いていた
俺は彼女の涙をみて思った

綺麗だ……と

彼女の涙が止まり、俺と彼女は再び向かい合う
彼女はすべてを吹っ切ったような表情をしていた
彼女が口を開く

「嬉しい」

そう微笑んだ彼女はこの瞬間、この世で一番綺麗な存在だったと確信できた

「好きだよ」

最後にそう言って、彼女は屋上から落ちた

月日が経ち、俺は社会人になり、会社に就職し、退屈な、変わり映えのない毎日を送っている
この日々は簡単に忘れてしまえるものだ
けど、俺は忘れない
俺が死んだとき、彼女の手から零れ落ちてしまった日々を、彼女への土産話にするために……






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