どこにもいない
どこにもいない、あなたが
あなたがいないのならここにいても仕様がないな、なんて考えてしまった
ひと気のない裏通りや真夜中二時から三時にかけてのあいだには、自分以外の全てのものが世界から消えてしまったんじゃないかと思わせる魔法がかけられている
淋しさを右手いっぱい、こどくを左手いっぱいにもりあわせて

どこにいるのか
どこにいるのか、あなたは
あなたがいないここで私はどうして呼吸をし、この生を謳歌できるだろう
あなたをさがして、そして見つけるためならば世界の果てまでもいってやろうなんて一瞬でも考えて走りだそうとしてしまうのは、あなたのせいか、魔法のせいか
一歩ふみだした右足と、止まろうとする左足は思考より真摯だ