消し飛んだ惑星の匂いがする
どこにでもある世界の真ん中でまだ笑っているか
光溢れる行き場も無い街で地に足がついているのか
壊れた常識はもう元に戻せない
隙間に撃ちこまれた感情の弾丸がもう誰にも取りだせないように
君があの日あの時に笑ったのは
やさしい君の知らないふりか無情な君の知っているふりなのか
僕にはかけらも解らないように
そのうちに君は滑りだし、走りだした
どこにもない道すじを、人々の惑う視界の端を
教えられない秘密の嘘っぱちと数え切れない空回りの螺子たち
全部抱えあげたはしから捨て去って
どこかに行ったのかどこにも居なかった
僕はさいごまでなにも解らなかったから
そのせいだろうと君の名前を一度呟いた
宙に浮かぶ塵は消し飛んだ惑星の匂いがする
君がどんな心引かれる笑い顔で僕に話しかけても
一度気づいてしまった僕は何一つ望めないんだろう
君がおこす嵐のなかで君はふと無表情になる
空白をもてあます僕が笑い顔で君に話しかけたら
弾幕じみた不可視の雨が一時弱まり可視圏を広げる
振り向かずともこの一瞬だけは解るのだ
僕はただ見ている
楽しそうに
君はまた笑うだろう