埋めたい夜中の冷たい肌を何かが通り抜けていく
とおい西洋のまぼろしがいくつか、やりきれないぼろぼろの思いがいくらか
迷子は回る、くるくる回る
もうどこにも帰れない
すべてを表面に飾り立てた淋しがりの、まったく空でない裏側をだれも見られない
赤い炎のようにあたたかい呪いの言葉
長い廊下のはるか向こうでささやかれた魔法
仮初めにかけてくれた声と指が渦をまく、かすかなまぼろしの匂いを
追って走るしかない足はもつれながら、けれど確かに伝っていく
たとえ時間の流れがおどろいても頭が涙を流させても腕はちゃんと無残と無様を選ぶ
心は前を見上げる
どんなに知っていても深く大きな海に足は怯えて竦む
広大な思考は安全とやわらかい秘密を守ることを強く求めるから、腕が服をかたくつかむ
心が顔を背ける
たえまない昼夜の連続のなかで、翳りがしのびよることに迷子のきみは気づかない
悪い魔法がささやいている
もう一度偽物が欲しいなら