ささやかな優しさの残照を見せてくれるな
揶揄にこめられたものに気づいてくれるな
この考えは正しい、正しい
崩壊寸前の自意識に浮かんだ王国にまだ座りこんでいる
細かく罅われた鏡の外はどこもかしこも私も罅われているから、たち上がれないでいる、まだ居る
麦いろの星のその軌道に私は居ないと知っても、こんなに鼓動がうるさい
迷いの道をすすめている、近代には程遠い執拗な血があなたの胸中を蝕みたい
かちりと凍えるかぐるりと焼けるか、いずれにしても死んで終わるしかない
それだけの出会いに、それだけの価値があるのか
私が心を浮かし、心を鋼鉄にさえできるのか
動けるか、動きたいのか
動くか、動くのか
秀でた額が、素晴らしく何よりも美しい
珍しい、と前時代の遺物が笑うささやかな背景を通り過ぎて、後ろだけ見ていようか
序章のまま本懐に行かれない現実のはじまりの中、耳鳴りが警笛染みている
疑うひとに爪がある、疑わないあなたに筒抜ける風は冷たい
これだけ生きるためにどれだけのお別れをしてきたのか
そんな問いがまるで無意味なように
何だって、知らないままでいい
壊したくない勘違い
まだ、壊れたくはない