幼い年月を追い詰めてみて、なにか変わっただろうか
胸の骨の目を吹き荒んでこぼれたものが、火星の表面の床に小さな砂丘をつくっている
東を臨めとあけはなたれた窓
この日だけをとばかりに燃え盛る湖の決壊を誘うように、乾いた明日が吹いてくる
東を臨みたいとあけはなたれた二つの覗き窓
にぎりしめたい手の指のあいだから、あなたが砂が漏れていく
ひとつかみで掬いきれたことが一遍でもあったなら、わたしはきっと救われただろう
月の衛星の数よりも少ない数字よ
すでに呼吸をしている概念のかたち
血がわたしの手のひらの下にも通るなら、わたしのそれにも流れよ
海岸幅の周期にあわせ西から砂糖の香りが回る
よれた家に
思いやるわたしに
解ったことが山ほど、胸底で潮騒に似た音をたてて騒いでいる
その失態を横目に、解らなかったことが床の上で縮こまり永遠を呟いている
うそのように真っ白な
没落はまだ現実で見えないかわりに香りを連れてやってきて、そして連れていく
わたしのかわりに香りを