ここに溶けない砂糖と衛星船と言葉がある
僕だけと絶えず宇宙の満ち欠けを見ている
果てや極点さえも捕まえたあなたとがある
野に出でても遊泳する思念には僕しか見つからず、膨大な海もなく、一層を突く椎しかない
やみあがりの霧は、放りかけの明け方を悪意しか想いだせないままに起こしてしまうから、開かないドアしか出現しないのだ
ここでしかないここでもあなたと僕くらいは、閉じこめられた悪運も晴らす……晴らさない、思い通りの絵画を眺めていたい
水よりも油よりも重く永遠にも程近い展示会を僕だけじゃなく見ている
確かなゆめ、幻のはしで
いつも引き留めるのはあなた以外の誰かが
あなた以外には居ないあなたを引き留める
いつか滅ぶアパートの隅の世界で、誰かが
消失へ踏み出す、そのたびに悪夢と想像した頁数がふえていったのを誰かが責めることはできない
僕が欲しかったものをいつだって誰か、他の誰かが大切にしていたせいで、僕だけのものじゃない物語がいつになったって終らないままだった
正しい終わらせかたがあったのに、あなたの裸足の指先に触れている新しい方法に委ねてしまうのが、たぶん悪い癖だった
僕の微かな気の迷いよりも、僕のささやかな震えのほうをあなたは気にした
にじみ、滴り、墜ちるだけの水滴は涙とも汗ともいえず、額が熱を孕んだ
僕しか隣にいないことに気がついた時には
離れないでと叫んだこともうやむやにして
六月が終った夏の盛り、七月頃にあなたは