サイボーグ009怪獣戦争

 調子に乗って旧ゼロ二本目。どうでもいいですが、ついつい「怪獣戦争」と読んでしまいます。
 前作が原作の誕生編ベースなら、こちらはヨミ編ベース。基本ストーリーにヘレナ(ミュートス編のヘレナとは、役回りがほぼ同じ)、0010(ただし、劇中での名称は都合上“0011”)などを織り交ぜています。といっても、ヨミ編のダイジェストにしているのではなく、別個のオリジナルストーリー。「どこ落ち」もないですしね。

 さて、話は夜の海に浮かぶ豪華(たぶん)客船で踊り狂う若者たちから始まります。これなんて言うんでしたっけ。ゴーゴー?
 乗客が楽しんでいるか心配する船長。その姿に中間管理職の哀愁が伝わってくるような。しかし、超音波を発する謎の怪獣が襲来!船は爆発炎上してしまいました。
 その超音波怪獣は世界各国にも出現し、あっちこっちを破壊して回っている模様です。車中でそのニュースを聞く島村を、謎のヘリが攻撃してきました。直接ヘリに乗り込んだ島村が目にしたのは、なんと仲間の004。「相変わらずだなあ」という台詞から察するに、いつもこんな挨拶ぶちかましてやって来るのでしょうか?
 そして、4に連れて行かれた先はギルモア研究所。

 何というでかさだ。博士、あなたいったいいつの間にこんな代物を。

 ふよふよ浮いたゆりかごに乗って現われた001に驚く島村。そうか、1の超能力は前作ではなかったのね。じゃあどうやって喋っていたのだ、と謎が残りますが。「精神の力、観念動力」という説明に、時代を感じます。まだ超能力と言う言葉が一般的じゃなかったんでしょうね。

 呼びかけに答え、まずやって来たのは007と006でした。しかし6よ、「相変わらず可愛いネ」ってヒーローに言う台詞かい(笑)。
 アメリカの002はアメフトの試合に出場中。その最大の特徴たる鼻が、ヘルメットのフェイスガードから見事に飛び出ています。どうやってかぶったのでしょう。疑問がわき起こります。
 2と5のアメリカ組を迎えに行ったのは7の役目でしたが、003のところへ来たのは009でした。始めは躊躇する3も、結局ついてくる…というところは原作と同じですね。3のボンジューゥル♪って妙に本場っぽい発音だ。

 で、研究所に向かう二人の車と、今回のマドンナであるヘレナが運転する車とが衝突事故を起こしました。時間がなかったろうとはいえ、よく知りもしない女の子を連れて来るのはどうかと思います。
 案の定、出発したドルフィン号に乗り込まれてしまいました。超音波怪獣は両親の仇だ、と語る彼女を、置いていくわけにもいかないし、ということでヘレナも同行することに。
 しかし7の「女は云々」のくだりはお主本当に子どもなのかと聞きたくなるほど文句たらたら。今作ではやたら女性に風当たりが強い(笑)台詞が多い7ですが、こんなガキがいたら心底イヤン。
 夕日の中で、早速ヘレナと語り合うことになる9。なぜ戦うのか、とヘレナに問われ、「地球上の50億の人たちの幸せのため」というのが奴の答え。ううむ、ヒーロー的な台詞です。
 そういえば前作でも、「自分のためでなく、他人のために戦う」という台詞があったなあ。こんな台詞が新鮮に聞こえるのは、平ゼロの9が言いそうにない台詞だからかも。

 と、通りすがりの船を今にも襲おうとしている超音波怪獣を発見!しかし頼みの対超音波兵器が故障し、やむなく潜行して逃げるドルフィン号ですが、とうとう追いつかれてしまいました。超音波を受け、船体にひびが入ります。あやうし!ドルフィン号!

 「船体分離!」

 しかし9が指示した瞬間、ドルフィン号はさながらスペースシャトルのごとく一部を残して分解しました。
 素敵ギミックです。

 これぞまさしく空蝉の術。あわやというところで爆発四散の難を脱し、さらに追いすがる怪獣から逃げに逃げます。しかし、やはり怪獣の方が速さで勝るのか、追いつかれてしまいました。今度こそ絶体絶命のピンチかと思われたそのとき、001がその力を使ってドルフィン号をテレポートさせました。なかなかに手に汗握る展開です。

 おお、逆に自分たちを襲った怪獣のあとをつけ、いかにも怪しげな地下トンネルへと侵入しましたよ。ですが、その行動もBGには全てお見通し。誘導された所に待ち受けていたのは、双子のサイボーグ0011でした。
 彼らの電撃に苦戦する00ズですが、9は機転を利かせてショートを起こすことで、0011を倒します。
 しかし、戦闘のどさくさに紛れてヘレナが姿を消してしまいました。他のメンバーを残し、一人探しに出かけた9は触手がうねうねした、何かヤバゲな植物に捕まっていたヘレナを発見します。
 勝手に出歩いてごめんなさい、と助けたヘレナに対し、9は厳しい態度で臨みます。何と、9はヘレナがスパイだということに気付いていたと言うのです!!な、なんつー唐突さ。これまで怪しむ場面というか、それっぽい描写が少しもなかったっつーのに。
 しかし気付いていたんなら、最初から何とかしなさいよ。あんたヒーローでしょうがよ。
 と、思わずぼやいていると、その間に運命に涙しつつヘレナが変装をといていました。ポニーテールをかぱっと外し、高く飛び上がると白い服に衣替え。ミュートス編ヘレナと同じ衣装ですね。
 どう見ても変装時の衣装に収まらねえ布の量ですが、それよりも気になるのは髪の毛です。それまでヘレナはポニーテール、おそらくヅラなのでしょうが、まるでレゴブロックでしたとでも言いたげな外し方。音がしそうです。「かぱっ」って。

 ヘレナこと0010は指輪ビームで攻撃をかけてきましたが、地盤がゆるいために地下トンネルは崩壊を起こし、ヘレナは地割れに落下してしまいます。いや、仮にも本拠地なんだから地盤がゆるいことくらい把握した方が良いんでないの?
 とはいえ、こんな場面を黙って見過ごすことのできないのが9という人。ヘレナを落下から救いますが、「女の子は、女の子らしくした方がいいよ」と言って去ろうとします。

 このときの「負けた…負けたわ…!」は予想以上に衝撃的だったことを書き記しておきます。い、いちはらえつこー。

 ともあれ。ようやくBGの基地にたどり着いた00ズですが、その前に再び例の怪獣が立ちふさがります。1もテレポート以降眠っており、今度ばかりは逃げ切れず、とうとうドルフィン号は破壊されてしまいました。
 脱出したメンバーを置いて、9は一人怪獣の口の中へと突入。実はロボット兵器だった怪獣の体内で、縦横無尽に大暴れしまくります。
 んなことしていたら危ないんじゃ、と思っていると、やっぱり爆発に巻き込まれて海底に沈んでしまいました。いや、だから後先のことは考えた方が…と余計な心配をする必要もなく、どこからともなく現われたヘレナによって、9は無事救い出されました。
 一方その頃、残りの00ズは捕まってしまい、ヘレナもまた9を助けたことがばれてBGのボスに処刑されそうになります。ですが世の中は持ちつ持たれつ、助け助けられ。今度は9がヘレナのピンチを救いました。人という字は、互いに支えあうことでできているのです。
 しかし、BGボスは捕らえていた00ズを人質に取り、ロボットのアキレスを差し向けてきました。苦戦する9ですが、ヘレナの助言もあって倒すことに成功。弱点であるかかとを撃った瞬間、そりゃもう豪快に崩壊します。もう豪快。すごく豪快。とにかく豪快。
 ご立腹のボスに撃たれたヘレナは、残る力を振り絞って00ズを解放します。助け出された00ズは、今までのヘレナに出番を取られていた鬱憤を晴らせとばかりに基地中を破壊して回ります。ここで4の両肘両膝ミサイル同時発射を見ることができます。見どころ。
 サイボーグマン兵士に追いかけられる7は、スカンクに変身。屁をこいて追い払いましたが、おかげでは辺り一帯に充満しました。
   前作で自分が操っていた3の誤射というアレなやられ方をしたせいでしょうか。BGのボスは岩製っぽい魔神像に身を包んでいるのですが、が余りに臭かったのでしょう。思わず身悶えしていました。像なのになめらかに動いてますが。

 基地は壊滅状態に追い込まれ、めでたしめでたしと思いきや、ボスは基地に自爆装置を仕掛けて消え去ってしまいます(から逃げたに違いない)。これがまた、地震を発生させて火山の噴火を起こすという代物。
 進退窮まった00ズですが、虫の息のヘレナが息を引き取る間際、脱出用ロケットの存在を告げ、00ズは崩壊しゆく基地を駆け抜けていきます。
 しかし、これで安心といかないのが今作。ロケットを目前にして天井が崩落してしまいました。あやうし!00ズ!
 ですが、ようやく目覚めた1が全員をロケットの中へとテレポート。噴火する溶岩に追いかけられながら、何とか脱出を果たすことができました。

 夕日を眺め、00ズは平和への念を新たにします。「地球上の50億の人たちの幸せのため」死んでいったヘレナへの想いを噛みしめて。