メロディ2015年10月号「可視光線」第1話感想
多分今回限りだと思いますが、メロディを読んだ感想を書いてみます。表紙について
二人のポーズは「見える、見えない」という、今回のテーマである「可視」を意識してのものでしょうか。絵のタッチが少し変わりましたね。リアル寄りというか、凄みを感じます。
元々ジャンルがサスペンスですし、内容に沿っていていいんじゃないでしょうか。
2巻、3巻が表紙の雰囲気と内容のギャップが大きいなと感じていたので、あえての路線変更かなと思いました。
もちろん2巻、3巻は清水先生らしくて個人的にはとっても好きな表紙でしたが。
(雑誌付録の栞が美しすぎて使えません!)
それにしても薪さん、タッチが変わっても相変わらずお美しい……。
隣りの青木が老け顔過ぎて「誰?」って感じなので、余計に目立ちますね。
巻頭カラーについて
薪さんの喉仏が大きく出ていたのに「おっ」てなりました。他にも新章になってから薪さんの体に厚みが出てきたと言うか、男っぽくなった気がします。
清水先生、以前は中性的に薪さんを描かれてましたが、何か心境に変化が出たのかなって思いました。
もしかしたらエンドゲーム以降、過去の因縁やしがらみから吹っ切れて、
精神的に健康になったからかもしれませんね。
薪さんが不幸でなくなったのなら、もうそれだけでいいです。
事件について
気になったのが、冒頭のモノローグで出てくる「身体に妖怪の印をつけた私」が誰かということです。素直に話を読み解けば、和装の女性が強姦の被害に遭い、結果子供を産んだのでしょう。
その子供こそが桜木であり、彼は父親である永江から遺伝した、可視光線以外の光を見る特殊体質を持っていた。
ゆえにシンポジウムでの青木の発表にもあれほど過敏に反応した(8巻の初登場時の山本のように)。
と、いうことになるのでしょうか。
実際に黒谷由花里が殺されていた現場で、桜木はなかなか彼女の顔を見分けることができませんでした。
ここから彼が視覚に何かしらの障害を持っていたことが考えられます。
また輪郭、髪の生え方など、桜木の顔の造作は永江を思わせます。
家族写真でも桜木一人、他の家族と似ていませんでした。
桜木が永江の子供であると見て、恐らく間違いないでしょう。
しかし、ここで引っかかるポイントが二つ出てきます。
まず「身体についた妖怪の印」が何であるかということ。
「妖怪」とは即ち血縁上の父親であり、忌まわしい犯罪者の子供である「印」を、
身体のどこかに持って生まれたということになります。
ところが今の所、桜木に身体的な特徴は見当たりません。
額についた傷は、彼が十歳の時に巻き込まれた事件で付けられた後天的なものです。
二つめのポイントは些細なことですが、桜木の家族の写真です。
母親と兄は冒頭のシーンと同一人物に見えるのですが、姉だけはなぜか別人のように見えます。
もちろん桜木が生まれて数年経過してからの写真ですから、
髪を染めたり、成長して雰囲気が大人っぽくなることは十分に考えられます。
冒頭で中学受験していた当時、小学六年生だったとして、写真立てに映っていたのが高校三年生なら
桜木は五歳。五歳児にしては少し大きいような気もしますが、ギリギリ間に合います。
なのでこれは誤差の範囲ではあります。
一つ目のポイントに戻って、これを解決するために三つほど案が浮かびます。
@桜木にはちゃんと身体的な特徴があるが、服に隠れているので現時点では確認できない。
A可視光線以外の光が見える特殊体質のことを、あえて「妖怪の印」と表現した。
B「身体に妖怪の印をつけた私」は桜木とは別人である。
@、Aなら何も問題はありません。
ですがBだった場合、「私」は誰なのかということになります。
例えば桜木の婚約者である黒谷由花里。彼女の左眉の上には特徴的な黒子があります。
恐らく先天的な物でしょう。しかし年齢が合わないので、この線は却下していいでしょう。
他に「私」の候補はいます。
桜木と黒谷のデートを監視していた黒髪の人物。
また黒谷が殺害されていた現場に倒れていた男性。
このどちらか(もしくは同一人物)が「私」であるケースも考えられます。またはまだ登場していないか。
つまり、永江の子供で40歳になる人間が桜木の他にいるということですね。
そうなると二つ目のポイントも解決されます。
似たような家族構成の、二人の被害者がいたのだということになります。
仮に、その人物が黒谷の殺害に関わっているのだとしたら、
それも桜木を陥れて婚約者を殺させるという惨い方法を取ったのだとしたら
「身体に妖怪の印をつけた私」という禍々しい表現も相応しいように思えます。
(ただし現時点では本当に桜木が黒谷を殺したのかは不明。
自分が殺したんだと犯人によって勘違いさせられている可能性も)
しかし別人とするには、あまりにも桜木の母親と冒頭の女性が似通いすぎているとも思います。
なので深読みすることなく、素直に@かAで受け取ってもいいのかもしれませんね。
ここまで長々と書いておいてなんですが、
オリジナルシンで薪さんが青木の怪我を見て動転したシーンのモノローグで、
「僕が判断を誤ることはなかった〜」が実はミスリードで、大した意味はなかったじゃないですか。
だから今回のモノローグもそこまで真剣に捉える必要はないのかもしれません。
他、事件に関して気になったこと
桜木が額に傷を負った「隣家の一家惨殺事件」に永江との関連はあるのか。永江は2024年の「佐賀の資産家一家惨殺事件」から始まって、十二年間もの間犯罪を犯しています。
地理的にも年代的にも十分当てはまります。
また桜木家の隣家もそれなりに裕福そうなので、永江が狙いそうな家と言えるでしょう。
桜木が十歳だったのが2036年。また永江が捕まったのも2036年。
この二つの年号が重なることに意味はあるのでしょうか。
薪さんについて
科警研所長という役職は「飼い殺し」だったんですね。好きなだけ第九の仕事に関われるので、薪さんには天職のようですが。
正直出世して現場に携われない方が薪さん的には「飼い殺し」だと思うので、
このまま定年まで飼い殺しされ続けた方が本望なんじゃないでしょうか。
黒谷嬢の持ってた写真でも、自然に笑ってましたね。お得意のアルカイックスマイルじゃなく。
多分今が一番楽しいと思うんですよ。
好きなだけ捜査に加われるし、科警研所長として他所とも交渉できるようになったし、
手塩にかけて育てた子供たちは、全国に散らばって元気にやってるし。
飼ってた犬にわんわん追いかけ回され始めたのだけは、正直予想外だったでしょうけど(笑)。
青木について
今回は青木の萌えポイントが非常に多かったです!まず新米室長ってからかわれてた姿に一萌え。
舐められまくってる感が大変よろしいですね。
その後の発表で、ちゃんと聴講者たちを見返してくれましたし。
何より薪さんが青木の功績を認めてくれたのが嬉しかったです。
聴講者たちがざわっとなった瞬間、薪さんも「おっ!」ってなったんでしょうね。
その後対面した時に、青木の顔をはたく前の笑顔は偽物でしたが
青木の「ありがとうございましたァ!」に対して返した笑顔は、紛れもなく本物でした。
青木がちゃんと頑張っているのが分かって嬉しかったんだろうな。
それにしても薪さんったら随分攻め攻めしくなられて!
実にいいですね。私は男前な受けが好きです。
そして今回一番重要なポイントが、青木の薪さんラブがいよいよ重症化していること!
廊下で薪さんを見かけた時、青木の目が完全に 恋 をしてましたね。間違いありません。
今まではただ飼い主に尻尾振る犬だったのに、彼が薪さんを見て赤面する日が来ようとは……。
よくぞここまで成長してくれたと、私も感無量です。
犬が人間に進化した瞬間を見たなって感じでした。
最後に小池に頭ぐりぐりされるために、わざわざ身を屈めてる姿にもう一萌え!
岡部について
とうとう公式で岡部お母さん説が認められちゃいましたね。ていうか自分で言っちゃいましたね。
いやー、皆薄々は感じていたと思うんですが、
清水先生自ら明言されるとなると、こう……来るものがありますね。うん。
もういい、このままの貴方で行ってください。
くれぐれも九州の女児にすっ転んだりしないように。
そして……岡部は薪さんに結婚してほしいんだろうか?
私はてっきり岡部が薪さんの気持ちを知っていて、
二人の微妙な関係を理解していたように思ってたんですが、
その辺りが彼の中でどういう風に整理されているんでしょう。
岡部の目から見たら、二人の関係は進展しそうにないということ?
彼が手紙の内容を知っているかどうかで、台詞の意味合いが激しく変わってきますね。
いえ、人の手紙を勝手に読む人じゃないってのは分かってるんですが……。
今井について
なんか幸せになったそうですね。それ知って、真っ先に出た言葉が「くそっ」でした。
普段あれだけ「薪さんが幸せになりますように」って祈ってるのと同じ口で。
人の心って複雑ですね。
いえいえ、別に今井が嫌いなわけじゃありませんよ。95/100点ぐらいには好きですよ。
ただ今井にはプチ不幸が似合うなって思ってるだけです。
ちなみに他のキャラの好き度がこんな感じです。
薪さん100/100+α、青木100/100+α、岡部100/100、曽我99/100、山本98/100、小池97/100、宇野96/100。
雪子さんは98/100ぐらいかな。スガちゃんとのニコイチだと100/100になります。
薪さんと桜木の関係を小池に説明しているシーンはちょっと面白かったです。
ちょっと天然入ってるというか、薪さんの美貌に見慣れて今更何も感じなくなっちゃったんですね。
そう考えると小池の方がまだ感覚が常識人寄りなのかな?
第九ファミリーについて
スピーチがちゃんとできたから褒められる演者(注:28歳男性、役職「室長」)って!しかも褒められるポイントが「最後までできた」「泣かなかった」って!(注:28歳男性、役職「室長」)
ちょっと過保護すぎやしませんか? しかも実際は泣いてたしな(笑)。
いやもう、旧第九メンバーが完全に「一家総出で末弟の授業参観に来た家族の図」で、大層和みました。
二人の対面を皆で見守るシーンの公式感がすごかったですね。
ほら、お前の大好きな人がそこにいるぞー、みたいな。
まあ8巻の「居酒屋号泣事件」で、青木の薪さんラブが公認されてるわけだから、今更っちゃ今更ですね。
ところで清水先生、私のお気に入りキャラの山本はどこでしょう?
そして顔もまだ見ぬ斎藤さん(四国地区室長)は?
今後の展開について
薪さんにはもう二度と人を撃ってほしくない。撃たせないであげてほしい。清水先生、どうかお願いします……。
その他、どうでもいいこと
黒谷嬢が薪さんにぽーっとなってるのを見て思わず、「お嬢さん、彼には他に好きな男がいるんですよ」って忠告してあげたくなりました。
だってほら、絶対に報われない片思いって気の毒だし……。
それで言うなら、冒頭で殺されてる時点で相当気の毒なんですが。
そういや私の桜木さん予想、かなりの割合で当たってました。
当たったって言っても、「薪さんと同期なら見た目は老けてるだろうなあ」とか
「東大出のエリートなら出世欲強いだろうなあ」とか
「当然外見は薪さんには遠く及ばないだろうから、薪さんのこと大嫌いだろうなあ」とか
それぐらいですが。(小太りはさすがに予想外でした!)
さー今回の考察がどれぐらい当たってるだろうなあ。
いや、むしろどれぐらい明後日の方向に外れているかに期待ですね。
シーズン終わりにこのページを見て、
「うわーこんなこと考えてたんだ。全然違うじゃん。恥ずかし!」
ってなるのが今から楽しみです。
(追記)
そういえば最初に読んだとき、ここにひっかかったのを思い出しました。
「ゼイタクは言えないでしょ」
「身の程を知りなさい」
そう母が言ったのかと思ったが
それは私の声だった
黒谷由花里が自分に言い聞かせた「身の程」って何なんでしょう?
彼女は前都知事の娘で、桜木が出世の足掛かりにするだろうと
周囲に噂されるほど強力なコネクションを持った女性です。
眉の上に小さな黒子があるぐらいで、十分美しいと言える容姿ですし、
年齢も薪さんより五つ下で、むしろお似合いだと思います。
薪さんも戸籍上は名家の出なので、家の格も釣り合っています。
薪さんの写真を飾るぐらい、薪さんへの恋心を募らせていた彼女のこと、
その気になれば父親に見合い相手の変更をお願いすることぐらい簡単にできたはずです。
なのに彼女はそれをしなかった。
自分では薪さんに相応しくない、「ゼイタク」だと考えて、桜木で妥協した。
彼女にもまた秘密が、引け目を感じるような何かがあったのでしょうか。
実はバツイチとか?