元のスレッド
男装少女萌え【7】
- 1 :名無しさん@ピンキー :2005/12/27(火) 03:17:24 ID:0JBDJIwA
- 前スレ一杯なので立てました。
男装少女萌え
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1114770971/
男装少女萌え【2】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1123336678/
男装少女萌え【3】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1124861558/
男装少女萌え【4】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1126773753/
男装少女萌え【5】
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1128756966/
男装少女萌え【6】 (前スレ)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1132134142/l50
- 2 :名無しさん@ピンキー :2005/12/27(火) 03:19:00 ID:0JBDJIwA
- 男装少女萌え倉庫
ttp://www.usamimi.info/~dansou/
2chエロパロ板SS保管庫
ttp://sslibrary.arings2.com/
- 3 :名無しさん@ピンキー :2005/12/27(火) 04:10:19 ID:rnite4T6
- >>1
乙
- 4 :名無しさん@ピンキー :2005/12/27(火) 13:25:48 ID:uSUYqlHC
- >>1
乙です。
- 5 :名無しさん@ピンキー :2005/12/27(火) 14:42:42 ID:YjFJgJ8/
- >>1
乙〜!
- 6 :名無しさん@ピンキー :2005/12/28(水) 00:55:42 ID:1o6utxVB
- >>1乙!
人いないと思ってたら容量オーバーだったんだね。
誘導入らなかったけど大丈夫かなあ…
て事で、一応あげ。
そして何より、前スレ司氏!GJです。
続き待ってますが、無理はなさらないで 下さいね。
- 7 :名無しさん@ピンキー :2005/12/28(水) 02:12:41 ID:IhXz3Quc
- >>1
乙
落ちてしまわんようにせなあかんな
- 8 :名無しさん@ピンキー :2005/12/28(水) 20:43:46 ID:IhXz3Quc
- ほしゅ
- 9 : ◆aPPPu8oul. :2005/12/29(木) 00:12:58 ID:RCTvDicB
- >1さん乙です
前スレを使いきったことにも気付いていませんでしたお馬鹿さんですこんにちは
ようやっと、なんだかあんまり最終回って感じでもありませんが最終回を投下いたします
最後までお付き合いいただければ幸いです。では
- 10 :司10 ◆aPPPu8oul. :2005/12/29(木) 00:13:40 ID:RCTvDicB
- 隆也もあっさりと服を脱ぎ捨てる。クリスマスのために、久々に冬服を買ったのは秘密だ。
細い腿を割って体を入れて、顔や胸にキスを落としながら茂みの奥へ手を差し入れる。
濡れたそこをゆっくりと撫で、揉んでやる。
「ん……あ、あ……」
漏れる声に気をよくして、ときおり顔を上げては嬉しそうに司と目を合わせる。
「気持ちいい? 」
「ん、きもち、いい……」
口元に手をやって恥らう姿もいいが、もっと乱れて欲しい。
手を取り硬くなり始めた自分の下半身に触らせると、戸惑いながらも手が動き始める。
「先生、いい? 」
根元から先端まで、先走りを絡めて扱く手の動きに、息が乱れる。
「ん、いい、ぞ……司も、な……」
指を潜らせ、絡みつくような肉壁をなでてやると、手が止まり腰が揺れる。
「あ、ん、ぅ……あ、せんせ……」
「うん……気持ちよかったら、ちゃんと気持ち良いって言うんだぞ」
わざとらしく水音を立てながら指を出し入れし、さらに一本を加えて内側をほぐす。
溢れた愛液がシーツを濡らして、いやらしい染みを作っている。
「ん、あ、あぁっ……い、いいっ……きもちいいっ……」
顔を背け悶える司を追い詰めるように、体を倒し乳首を責める。
舌を這わせ吸い上げて軽く歯を立てると、体を挟んでいる足が震え、可愛らしい声が漏れる。
「や、だめっ、せんせぇっ! あ、んんっ……」
自分を呼ぶその声に、ぞくりと何かが走る。
責めの手を止め、息の乱れた司に覆いかぶさって頭を撫でる。
「な……一つだけ、プレゼントが欲しいんだけど聞いてくれるか? 」
紅潮した頬を寄せて目を細めていた司が、不思議そうに目を覗き込んでくる。
「いいけど……何? 」
「名前で呼んでくれないか? 」
「え」
大きな目を丸くしたまま、固まってしまった司に笑いかける。
「もちろん、司が嫌ならいいけど」
「い、嫌じゃない。嫌じゃない、けど……」
「けど?」
「……恥ずかしい……けど、頑張る……」
たかだか名前を呼ぶだけで頑張らなければならないのかと思うと、笑みがこぼれる。
赤い頬をなでて、気が変わらないうちに、と体を起こし司の脚を抱える。
「ひゃっ、せ――……」
言いかけて口をつぐんだ司の口から、いつその言葉が出てくるかと期待に胸を膨らませながら、
いきりたった先端を宛がう。
「……入れるぞ」
ぐ、と腰を押し出すと、受け入れの準備が整ったそこは簡単に男を飲み込む。
飲み込んでおきながら、その狭さと独特の弾力と熱でもって、たまらない責めを味あわせる。
「あ、んぅっ――っ」
奥まで押し込んでゆっくりとスライドさせると、色っぽい吐息が口をつく。
普段ならそこに混じるはずの”先生"という単語が聞こえない。
変わりに名前を呼んでくれるはずが、それもまだ聞こえない。
焦るつもりはない。今日は無理でも、近いうちにそう呼んでくれればいい。
少し意地悪をしすぎたかなと反省しながら、次第に快感を得る作業に没頭していく。
腰を抱え角度を変えて奥を責めると、途切れることなく喘ぎ声があがる。
「あ、んっ、あっ、あっ、あ――」
「つ、司っ……いく、ぞっ……」
ぎしぎしとベットにも悲鳴を上げさせながら腰を振って、目の前に迫った絶頂に向かう。
赤くはちきれそうな陰核をつまむと、びくんと背が跳ねる。
「や、いやっ、だめ、だめぇっ! 」
「んっ、俺、もっ……一緒に、いこう……司っ……っ! 」
腰を打ち付けられ波打つ体が、快感に震える。そのまなじりから涙がこぼれ、喉の奥から声を絞り出す。
「あ、あっ、だめ、あぁっ――せ、た、たか、やぁっ! 」
「っ!! 」
どくん、と際奥に精を放った瞬間、頭の中が真っ白になった。
体で感じる以上の快感があることを、久々に思い出した。
しっかりと最後まで精を出しつくして、抱えていた脚を優しくなでて体を離す。
- 11 :司10 ◆aPPPu8oul. :2005/12/29(木) 00:14:13 ID:RCTvDicB
- 「はぁ、は……せんせぇ……」
結局戻ってしまった司の泣き顔に笑いながらキスをして、熱い体を抱きしめる。
「……司」
呼吸を整えながら名前だけ呼んで頭を撫でると、甘えるように擦り寄ってくる。
「は……あ、やっぱり、先生って呼んじゃう」
「うん。少しずつでいいさ。けど、嬉しかった」
笑顔を作るのではなく、自然と顔がそう、幸せを形作る。
「ん、うん。これからも……できるだけ、名前で呼ぶ」
「うん。それが俺へのクリスマスプレゼントな。司の欲しいものは? 」
頭や背を撫でていると、気持ち良さそうに目を閉じてしまう。
瞼を撫でると、くっきりと大きな目が隆也を捕らえる。
「んー……え、っと、ね」
「うん」
「明日、ずっと一緒にいて。……隆也が欲しい」
言って、司は恥ずかしそうに顔を胸に埋める。
「……うん。お安い御用だ」
口元に笑みをたたえたまま、目を閉じる。
肌の境はもう感じられなくて、鼓動まで重なったような錯覚に陥る。
ゆっくりと夢の中に落ち込んでいく感覚を味わいながら、毛布を手繰り寄せる。
鈴の音もクリスマスソングも、今は心地よい子守唄にしかならない。
静かに、静かに。
来年もこんな日が過ごせるようにと意識まで溶け合いながら、二人は夢に落ちていった。
一年後、十二月二十四日、午後四時半。
『何!? 塾の時間間違えてただぁ!? 』
携帯の向こうで、隆也が間の抜けた声をあげる。
司が参考書を片手に眉をしかめ、溜息をついて視線を教室内に巡らす。
「だから、ごめんってば。センター対策の補講忘れてたから」
『教科は? 日本史なら見てやるぞ』
「たか……都さんじゃ勉強にならないだろ。しかも今日! 」
"男"と"女"を使い分けるのも、"先生"と"三宅隆也"と"高久都”を使い分けるのも、司にはそれなりの労働だ。
隣には塾の友人がいる。隆也の声は聞こえないが、司の声は丸聞こえだ。
『うん。確かに。教える気あんまりないな』
より深い溜息が口をつく。教師の癖に、と言いたいのを堪えて口を開く。
「……じゃ、今から授業だから。都さんの手料理楽しみにしてる」
『はいはい。わかったよ。んじゃな』
通話を終えると、さっそく友人が声をかけてくる。
「なんだよ、彼女とクリスマスイブか? 」
「そ。受験生はお休みします」
言いつつ、次の授業で使う参考書を開く。日本史、それも江戸時代の政治についてのページだ。
「あー、くそ、お前なんで落ちちまえ」
参考書を見ていた司の手が止まり、友人の言葉が耳を素通りしかかる。
「な。糸割符制度が施行された五都市、全部言えるか? 」
ふいに司に問いかけられた友人は、難しい顔で記憶をたどる。
「は? えーと、江戸、堺、長崎、京都……と、どこだっけ? 」
頬杖をついていた司はにやりと笑んで視線を参考書に落とす。
「大阪だよ。お前が落ちろ」
ここだけは絶対に忘れない、とマーカーで線を引きながら、司は数時間後に思いをはせた。
――終り――
- 12 : ◆aPPPu8oul. :2005/12/29(木) 00:17:41 ID:RCTvDicB
- と、いうわけで。
ほんとに、最後なのにこんなんで申し訳ありませんが司を主人公としたお話はこれで最後となります。
十話以上もお付き合い下さってありがとうございました。
また何か書けたらここに投下させていただきます。
もちろん書けなくてものぞいてますw
それでは皆さん、また会う日までノシ
- 13 :名無しさん@ピンキー :2005/12/29(木) 00:49:58 ID:M9lSP1mi
- おおお終わってしも〜た〜(T_T)
司シリーズ大好きでしたよ〜
また機会があれば書いてくだされ
- 14 :名無しさん@ピンキー :2005/12/29(木) 01:12:00 ID:vBJHlHFf
- 今までどうもありがとうございました。
司シリーズ大好きでした。今度機会があればまた外伝でもなんでもいいので是非書いてください。
新作もお待ちしています。
本当にGJでした!!
- 15 :名無しさん@ピンキー :2005/12/29(木) 23:10:02 ID:Ga/Bte89
- >12
>司を主人公としたお話は
って事は、他のメンバーが主人公の話があると考えて良いのですね!?
このシリーズ大好きなので、もしそうなら途轍もなく嬉しいです!!
そして最後に
God Job!!
まさしくネ申の所業です。
だから、これほど素晴らしい作品を「こんなん」呼ばわりしないでくださいよ……。
また次の投下、いつまでもお待ちしております。
ありがとうございました。良いお年を。
- 16 : ◆.Xo1qLEnC. :2005/12/30(金) 23:51:29 ID:8/4j18dq
- >aPPPu8oul.氏
シリーズ完結、お疲れさまでした。
初代スレから続いたシリーズの終了は、寂しいです。
新シリーズ、和風もエルフも楽しみにしてますね!
最後に司シリーズ全てに。
G J ―――――――!!!
てな訳で、良作の後にやりづらさを多少感じながらw投下いってみます。
- 17 :R.m.G-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2005/12/30(金) 23:53:31 ID:9pDljqpn
- 「アイリーディア殿ではございませんか?」
仕事中にいきなり話し掛けられた。
こんな場所で、知り合い?それに、今は男装してるのに…
振り向くと少し脂ぎったおじさんが、驚きを隠せないようにこちらを
凝視していた。
どこかで見た事ある、かなぁ…?
「あの、どちら様でしたっけ」
失礼だとは思うけど、思い出せない。
店内にお客様が疎らなのを確認して、小声で話し掛ける。
「やはりそうでしたか。いや、解らないのは無理もない。私は、
スコット・フォールド。薬の商いをしております」
「ああ…」
なんとなく思い出せた。
うちのお邸に、何度か来たことある人だ。
薬といっても、魔術用のなんだか怪しいのを取り扱ってたっけ。
えーと、ノーア家の名誉の為に猫被りっと。
取り敢えず、余所様用の笑顔を取り繕う。
「こちらの方にお住まいなんですね」
「ええ、普段は商用で飛び回っておりますがね。アイリーディア殿は
如何なされましたか?こんな所で」
媚びるような笑顔が返って来た。
うーん…あまり関わりたくないなあ。正式名で呼ばれるのも気恥ずかしい。
名前負けしてて、嫌なのよね…
「私用でして。ここでは、男となってますので、リドとお呼び下さい。
では…」
一礼してさっさとカウンターに逃げ帰ると、ママが心配そうに待っていた。
「リドちゃん、変な事言われてない?あの人ホモだから、気を付けてね」
「あ、大丈夫です。顔見知りでした」
「まあ、そうなの?」
頬に手を充て目を見開く仕草は、盛り上がった筋肉の大きな体には
不釣り合いだけど、なんだか自然で見慣れると可愛く見えるから不思議…。
この店は、ママのこのキャラのせいでそーゆー人も何か勘違いして、集まってくるらしい。
…にしても、こんな場所で会った顔見知りが、ホモだったとは…
身近にも、わりと居るもんなのね。
それは驚いた事ではあったけど、フォールドさんは大した知り合いでもない。
私はそんな事、すぐに忘れてしまったのだった。
* * *
ここ、ヒュージリアで働き始めて数週間。
なんだか怪しい裏通りにある『レッドムーン』は、宿屋も兼ねてるとは
言っても宿泊客は少ない。
その為、食堂が準備中となるとそれはそれは暇である。
いつも御飯を食べた後は、メイさんと仕込みをしながらお料理を
教えてもらってる。
でも、今日は…
- 18 :R.m.G-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2005/12/30(金) 23:54:39 ID:Zp+Sdmj2
- 「ハッ!」
「っと、あぶねっ」
私の薙は、ギリギリで捌かれる。
でも、バランスが崩れたのは見逃さない!木刀を両手に持ち、突きを狙う。
寸止めのつもりで繰り出したそれは、カチリと小さな音を立てて止まった。
彼の手にした棍が、狙った喉仏をしっかりガードしていたのだ。
「そこまで!」
メイさんの合図で私達は構えを解き、息をついた。
今日も暇な昼下がり。食事は早々に済ませ、ホークに手合わせを
してもらっていた。
赤茶の固そうな髪に、額に今日は深緑のバンダナ。
それと丸首のシャツに、前を一ヶ所紐で止めただけの上着と着古したジーンズはいつもの格好だ。
木刀を手にする私に対し、彼は「ハンデ」と言って短い棍を得物に選んだ。
それは少々不服だったんだけど…
実際に手合せしてみると、経験値の差をひしひしと感じる。
「食後の運動にしては、ちとハードだったな…」
汗を拭いながら、ホークが言う。でも、息はそんなに乱れてない。
私なんか、肺が痛いくらいだというのに。
なんか悔しいな。ベッドの上でも、いつも…
って、違うっ!今そんなの思い出しちゃったら…
「…そうだね」
「食後の運動にしては、ちとハードだったな…」
汗を拭いながら、ホークが言う。でも、息はそんなに乱れてない。
私なんか、肺が痛いくらいだというのに。
なんか悔しいな。ベッドの上でも、いつも…
って、違うっ!今そんなの思い出しちゃったら…
「…そうだね」
なんとか息を整え、平静を保つ。
顔が熱いのは、運動したせい。絶っっ対そう!
「ホークちゃん、ちょっと本気出てたでショ」
「バレたか。だーってリディ、はえーんだもん」
持久力には自信が無いもの。先手必勝が信条!
…でも、ハンデ付きの上、本気もろくに出してもらえなかったのか…。なんか悔しい。
「オレ、いつか絶っ対っに、本気のホークに勝ってやる」
拳を握り、心の底から言い切る。
「大丈夫。リドなら充分イケるよ」
やった、メイさんのお墨付きだ!
「カンベンしてくれよ〜」
「大体、あんたはねぇ!」
脱力してるホークに、メイさんのお説教が始まる。
そりゃあ、私だって好きな人より強いっていうのは微妙だけど…。
おじいちゃんに教えてもらった剣技で、負けたくないもの。
そんな事を考えていると、お説教から逃れるようにホークが話しかけてきた。
「そーいやリディは、魔術使えんの?」
嫌な質問だわ…
魔術は素質の差こそあれ、それなりに練習さえすれば誰もが使える。
魔術士の名家、ノーア家で暮らしてきた私も『それなりの練習』は
した事があるけれど…
「マ、マッチの代わりくらいなら…」
「…?」
絞りだすように答えると、不思議そうな視線が集まる。
「つまり、こう…」
火炎の呪(しゅ)をモゴモゴ唱えると、手の平に収束する熱を感じる。
―ぽふっ
気の抜ける音と共に小さな火の球がヘロヘロと、数cm進んで消えた。
沈黙が耳に痛い。
「笑いたかったら、笑って下さい。そのほうが、オレも救われます」
言うと、皆一斉に吹き出した。
人には向き不向きがあるんだから…ふん。
- 19 :R.m.G-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2005/12/30(金) 23:55:39 ID:ra0hbNVH
- 「ふふっ…と、すまないね、なんか意外だったから」
「お、惜しいわネ。魔術剣士なんて、滅多にいないのに」
一仕切り笑った後に、やっとフォローが入る。
「リディは剣だけで強いから、充分だろ」
それでも、ホークに勝てませんけどねー。
「きゃあっ」
拗ねてたら突然、両足が地面から離れた。
「こんな軽いのに、一撃一撃がすっげー重いんだもんな」
楽しそうな笑顔が下にある。
小さい子がよくやられるように、私はホークに持ち上げられていた。
去ったハズの顔の熱が、一気に舞い戻る。
「お、下ろしてっ」
脇の手がくすぐったいっ!
足をバタつかせると、ストンと地面に下ろされた。
「機嫌直せって」
グリグリと、頭の上を大きな手が往復する。
この人は大きい。
私の身長があまり高くはないのもあって、大人と子供のようだ。
とゆうか、まるっきり子供扱いだわ。
子供には出来ないようなコト、してくるクセに…
なんて思いつつ、口の端が笑ってるのを感じていた。
頭を撫でられるの、嫌いじゃないのよね。結局。
もう、仕方ないなぁ。
「仲良いわネ〜」
そんな私達を見て、ママとメイさんが笑う。
「そういや最近、ホークが男色に目覚めたって、この辺の噂だよ」
「マジかよ…」
私のせいだ。ホークは、よくお店に来て構ってくれるから…。
「アンタ、密かにそのテの連中に人気あるんだから、気を付けなさいヨ」
「うげ…それヘコむわ。女にゃモテなかったのに…」
「そうなの?」
思わず、聞いてしまった。
「リディ…そこはツッコまないで…」
あらら、落ち込んじゃった。聞いちゃいけなかったかしら。
まあ、モテない方が安心だけど、それはそれで淋しいかなー…なんて。
でも、男の人にモテるって…それは、どう取るべきなのかしら。
「リディ、明日休みだろ?」
「あ、うん!」
思考を遮るホークの言葉に、男の子のフリも忘れて浮き立つ。
「じゃあ、朝迎えに来るよ」
「うん、待ってる!」
この町は宿場町なので、いろんな地方の商人が立ち寄り、小さな市なら
毎日のように立っている。
今度のお休みは、それに行く約束だった。
市には珍しいものが沢山あって、すごく楽しみ。
- 20 :R.m.G-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2005/12/30(金) 23:57:41 ID:aS/cGBWz
- 「休日くらい、女の子の格好で出掛けたら?」
メイさんの提案に、ホークの表情が明るくなり、少し焦る。
「あの…実は、そういう服は売っちゃったんです。路銀の足しにするつもりで…」
と、いう事なのだ。
こっちで女の子の格好するなんて、考えてなかったなぁ…。
「アラ、勿体ない〜!なんならアタシ達の娘のお古、あげるわよー?」
「い、いえ、結構ですっ」
折角だけど、この人達の前で女の子らしくすると思うと何故か気恥ずかしい。
「俺は、どんな格好でも構わないよ。ま、見てみたいけどな。
リディのそーゆー格好も」
…ホークの前では開き直れるよう、頑張ろ。
そういえば、たまに話は出るけど、ママ達の娘さんには会った事が無いなぁ。
* * *
そして、約束の朝。
髪に念入りに櫛を通し、ツヤをチェックする。
色は地味でも、お婆ちゃん譲りのストレートは密かな自慢。
こんな格好じゃ、そんなの関係ないけど。女の子の格好、かぁ…
昨日の事を考えながら、鏡を覗く。
いつもどおりの男物シャツにジーンズ、顔を隠すためのキャスケット。
女の子らしさには程遠くて、少し落ち込む。
………今日、服も見にいこうかな。ホークはどんなのが好きだろう。
髪を縛って立ち上がり、傍らの剣に手を伸ばしかけて止まる。
…いいか。ホークと一緒だもんね。
カウンターに座り、準備万端でホークを待つ。
なのに約束の時間を過ぎても、彼は来なかった。
「ホークちゃん、遅いわね…」
「そうですね」
ママが心配そうにトレイを抱える。
ホーク、寝起きは良いはずなのにな…どうしたんだろ。
その時、お店のスウィング扉が音を発てた。
反射的に振り向く。
お店に入って来たのは、薄汚れた服を着た子供だった。
えっと、確かティムっていったっけ。ホークと仲の良い、浮浪児の子だ。
「あら、ティム。どうしたの?」
ママが声をかけると、ティムはこちらに駆け寄ってくる。
その手には封筒が握られていた。
「兄ちゃん、リドっつったよな。ホークさらわれたぞ!」
「ええ!?」
慌てて封筒を受けとる。
内容は…
- 21 : ◆.Xo1qLEnC. :2005/12/31(土) 00:03:44 ID:x+76Q1yS
- 今回は短めに…
携帯変えたばかりで、操作に慣れられず、年内完結なりませんでしたorz
改行ミスに誤字脱字、ありましたら申し訳無いです。
明日もできたら投下しますが、エロは来年だと思います。
では念のため、皆さま良いお年を…
- 22 : ◆.Xo1qLEnC. :2005/12/31(土) 00:08:16 ID:8JEbhnzo
- てか、一行空けの改行がことごとく反映されてない!?
本当にごめんなさい…。以後気を付けます……
- 23 :名無しさん@ピンキー :2005/12/31(土) 17:29:43 ID:D+WiSJGk
- >>22
GJ!!そして続きが待ち遠しい!!ワクテカしながら待ってまつ!
- 24 :名無しさん@ピンキー :2006/01/01(日) 00:46:07 ID:TElr9KhF
- >22
あけましておめでとうございます!
そしてGJ!
ワクテカしながら待ってます。
- 25 :名無しさん@ピンキー :2006/01/02(月) 01:39:52 ID:ykUvzy61
- ワクテカ的保守
- 26 :名無しさん@ピンキー :2006/01/03(火) 00:58:43 ID:k4Xar1lJ
- いやはや、前スレがdat落ちして初めて今のスレの存在に気がついたよ
いつのまにか、司氏の完結してるし。遅ればせながらGJ!
- 27 :名無しさん@ピンキー :2006/01/03(火) 01:42:57 ID:ATRrgV88
- 誘導が無かったし新スレたってるの知らない人が
多いかもしれないからageときますね。
- 28 :名無しさん@ピンキー :2006/01/03(火) 18:12:09 ID:M1j2itVd
- 司タン、長い間楽しませてくれて有難うでした。
最初から最後まで、楽しくて可愛くてエロエロでした。
あー終わりかと思うと感想もうまく出てこないや。
健も元気でがんばれよー。
>>22
メール送っていただけましたら、まとめサイトだけでも
改行、対処いたします。目欄後半、(at)→@
続きももちろんワクテカ正座でお待ちしていますともさ!
- 29 :名無しさん@ピンキー :2006/01/04(水) 13:15:00 ID:H2Oj/8Ct
- ガンダム種を見直した。
話はつまらないがカガリに萌えた。
同じ顔でも野郎のキラには萌えない。
あれは男装のつもりではなく周囲が勝手に男だと思い込んでいただけだが、
実は胸が大きいのにも萌えた。
- 30 :名無しさん@ピンキー :2006/01/04(水) 23:14:11 ID:/E0wvLgr
- >>22
かなり遅くなってしまいましたがGJです。続きを待ってます!
- 31 :狂介と有紀 :2006/01/05(木) 15:18:48 ID:Uhkpr8/u
- 【新スレ乙&新年一発目行きます】
「有紀、あけましておめでとう。」
「あけましておめでとう狂介。」
「よし、初詣に行くぞ。」
「うん。」
『年初めより姫始め』
と、まあこんな訳で狂介と有紀は初詣に行くことになった。
途中いつものメンバーがあれよあれよと合流した。
藤澤「あけおめ!!ことよろ!!」
園太郎「今年もヨロシクっす。」
詠子「・・・どうも。」
升沢「俺、人ゴミ嫌いだ。」
レオ「ハイハイ。この子と一緒にお参りするんでしょ?」
升沢「そうだった。ヨシヨシ、パパと一緒にお参りしましょうね〜。」
升沢娘「バブバブ。」
ここで一つの疑問が・・・
狂介「そういえば升沢さん、子供の名前決まったの?」
升沢「モチロン。」
狂介「なんていうの?教えてよ。」
升沢「葵(あおい)だ。空よりも青くて綺麗になって欲しいと思って付けた。」
狂介「いい名前、しかもちゃんとした理由つき・・・アンタ本当に元・ジャンキーか?」
葵「バブバブ(私もそう思う)」
もはや初登場時の面影は升沢には残っていなかった。まあイイコトだけど。
- 32 :狂介と有紀 :2006/01/05(木) 15:20:16 ID:Uhkpr8/u
- さて、長蛇の列の波に乗り、やっと賽銭箱の前まで来た『ネバダ』ご一行。
それぞれのお参り内容はと言うと・・・
有紀「(狂介のお嫁さんになれますように。)」
狂介「(有紀と・・・有紀と・・・ムフフフフ)」
詠子「(園太郎の女グセの悪さが直りますように。)」
園太郎「(ハーレムランドが作れますように。)」
藤澤「(いい加減、貞子(問題あるならサダコ)とカップリングが成立しますように)」
升沢「(攻め受け逆転出来ますように・・・・イヤ、本当マジで!!)」
レオ「(葵が無事成長しますように)」
何この男性陣の不純なお願いは!?
狂介「さて、おみくじとか福袋とか買っていこうか。」
狂介達は販売所の方へと向かった。
???「いらっしゃいませ〜」
狂介「萌さん!?何でここに居んの!?」
なんと巫女さんの格好(普段からだけど)をした萌がおみくじとか飾り物を売っていた。
- 33 :狂介と有紀 :2006/01/05(木) 15:22:39 ID:Uhkpr8/u
- 萌「あっ、狂介君いらっしゃい。アルバイトだよ。」
狂介「なんか納得・・・兄貴は?」
萌「ご主人様はアソコにいるよ。」
狂介「アソコって・・・・・なぬ!!!」
狂介の視線の先には宮司の格好で売子をしている正樹の姿があった。
萌「ご主人様は何を着ても似合うなぁ〜。」
狂介「(ノロけてるよな・・ノロけられてるよな・・・チクショー!!)」
新年早々、狂介に兄に対する憎悪の炎がメラメラと燃え出した。
萌「有紀ちゃんにはコレをあげるね。」
そういうと萌は有紀に大きな紙袋を渡した。
有紀「何ですかコレ?」
萌「お家に帰ったらあけてみて。」
有紀「はい。」
有紀が何を貰ったかは後でのお楽しみという事で、『ネバダ』達のおみくじの結果を見てみましょう。
有紀「やった!!『大吉』だー!!」
詠子「私も『大吉』です。」
レオ「私は『中吉』。まあこんなもんでしょうね。」
男性陣「「「「・・・・・『大凶』・・・・。」」」」
藤澤「なんじゃコリャー!!」
園太郎「陰謀だ!!コレは何かの陰謀だ!!」
升沢「納得いかねー!!」
狂介「つーか俺の奴、字が間違ってるし。何だよ『大狂』って!!」
男性陣「「「「抗議だ!!」」」」
当然、抗議に言った先には正樹が待ち構えており、全員返り討ちになったのは言うまでも無い。
- 34 :狂介と有紀 :2006/01/05(木) 15:24:37 ID:Uhkpr8/u
- 「クソーー兄貴の野郎、本気でやりやがって・・・。」
あの後、各自現地解散となり狂介と有紀の二人は帰りの途についていた。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃないけど心配しないで。」
不安げに自分を見つめる有紀の瞳に狂介は少し動揺した。
「ならいいけど。ねぇ狂介、後で狂介の所に行ってもいい?」
「ん?あぁいいけど。」
「じゃあ荷物置いたらすぐ行くから。」
「と、言われて待つこと一時間・・・遅い。」
狂介は帰宅し、有紀が来るのを待っていた。しかし、いくら待っても有紀が来る気配が無いのだ。
「なんかあったか?」
いい加減狂介も痺れを切らし始めてきた。
と、その時!!
「えい!!」
「イテッ。」
突然狂介の頭にペシッ!!と衝撃が走った。
「有紀か?いきなりなにを・・しああdぎあうgUaDVQうYふぇQWDV」
なんか前にもあったパターンだけど狂介は有紀の格好にド肝を抜いた。
その格好はどう見ても巫女だ。なんと狂介の目の前には巫女さんの格好をした有紀がいたのだった。
「そそそそそ・・その格好は一体・・・?」
「萌さんから貰った袋の中に入ってたんだよ。」
「あれか・・・。」
そう、先ほど有紀が萌から貰っていた袋にはコレが入っていたのだった。
- 35 :狂介と有紀 :2006/01/05(木) 15:26:57 ID:Uhkpr8/u
- 「ねぇ狂介、似合う?」
有紀は巫女の衣装をはためかせながらヒラリと一回転した。
「モチロン似合ってるよ。ただ・・・」
「ただ?」
「巫女さんは基本的に処女がやるもんだろ?いいのか?有紀は非処女・・えygどぇいcぐqwyf」
言い切る前に有紀は手に持っていたお払いをする時に持つ棒で狂介の
鳩尾を突いていた。
「そういう事言わないでよ!!だいたいその処女を奪ったのは誰なの?」
「グハッ・・・オレデス。スイマセンデシタ。」
狂介はそのまま鳩尾を押さえ込んだまま沈み込んだ。
「萌さんから貰ったってのは分ったけど、着てきたのには理由があるのか?」
「うん。この衣装と一緒にこの手紙が入ってたの。」
有紀は手にした手紙を狂介に見せた。
『有紀ちゃんへ
この格好で狂介君に会いに行けば
狂介君はきっと喜ぶし、厄払いにも
なるよ。』
「だって。」
「な〜るほど・・・。」
狂介の目がピカーンと光った。しかし、今回ばかりは有紀もソレを見逃さなかった。
「来たな!!狂介に取り付く煩悩!!」
「ガハハハハ!!巫女よ、貴様にこの私が倒せるかな?」
「絶対に倒してみせるんだから!!」
なにやら三文芝居が始まりましたな・・・。
- 36 :実験屋 :2006/01/05(木) 15:34:37 ID:Uhkpr8/u
- あけましておめでとうございます。とりあえずここまでです。
今年もこのスレの発展を楽しみにしてます。
>>aPPPu8oul.様
司シリーズ本当に乙かれさまでした!!
新作楽しみにしてます。
>>Xo1qLEnC.様
GJ!!です。続きが楽しみな展開・・・待ってます!!
- 37 :名無しさん@ピンキー :2006/01/05(木) 16:29:36 ID:b1plerod
- み、巫女さん……
(;´Д`)ハァハァ
実験屋氏GJ!!&明けましておめでとうございます!
性なる巫女さんパワーで有紀が勝つか、それとも性欲を持て余す狂介が勝つか!?
目が離せないぜ!!
- 38 : ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 02:42:33 ID:mBEt/OJs
- 皆様、明けましておめでとう御座います!
>実験屋氏
大狂www
そういや、升沢はジャンキーでしたっけ。
本当に、見る陰もなく更正して…ホロリ
凶介達は相変わらずだなあw
姫始め、ワクテカしてます!
>>28氏
お手数おかけしますorz
後程、メールさせて頂きますね。
では投下。
- 39 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 02:45:52 ID:UD/4JZOb
- ―親愛なるアイリーディア様
この度は、大切なお話をお聞き頂きたく、急の便りを失礼致します。
しかし、人目を憚る内容により、直接お会いしたいと思っております。
つきましては、4番街の倉庫にお越し願い申し上げます。
重ねて申します。大切なお話なのです。貴女に不安を与えぬよう、客人も
招きました。
客人のためにも、どうぞご憂慮なさらぬよう…
スコット・フォールド―
* * *
文面は丁寧だけど…
私は、スコットに関する自分の記憶を引き摺りだす。
といっても、私が知ってるのは、数日前に見た媚びた笑顔と、おじ様には
あまり信用されてなかった、という事だけ。
…マトモな用件じゃなさそう。
「ホークが歩いててさ、声かけようと思ったら、いきなり倒れて
連れかれちゃったんだ。で、知らんおっちゃんに、これ渡されたんだけど…」
ティムが教えてくれる。
「なんかあったの?」
心配そうに覗き込んでくるママと、異変を察知して出てきたメイさんに
手紙を預け、私は剣を取りに立つ。
手紙の「客人」って、ホークの事だわ。
何が目的か知らないけど、行かなきゃ…
- 40 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 02:46:39 ID:7ydkXbSH
- 部屋から戻ると、ママとメイさんが真剣な面持ちで待っていた。
「リ、リドちゃん、行くつもり?」
「ええ。オレをご指名のようなんで」
「どうせ、油断してとっ捕まったんだろ?ほっときゃいいのに」
「そ、そういうわけにも…」
思わず苦笑する。
メイさん、人道的にそれはどうかと…。
それに、ホークとの約束を邪魔されたのは腹立つのよ!
何かあっても、私は戦えないわけじゃない。
きっと大丈夫…
手にした剣の感触を確かめる。
「すぐ、うちの手のモンに後追わせるから。無茶するんじゃないよ」
私の行く気が失せないのを見て、溜息つきながらメイさんが言った。
…少し心強いな。
考えてたって仕方無い。行こう。
「じゃ、行ってきます」
「待った!」
走り出そうとしたら、呼び止められた。
聞き慣れない、ハスキーボイス。
「話、聞こえちゃったんだけど、一人で行くなんて危ないよ。俺で良ければ、
手伝うよ?」
男の人が近寄ってくる。
同い年くらい…かな?美形だし、ホーク程じゃないけど背も高い。
ママ達は、その人をビーと呼んだ。
「え、でも…」
「君、最近入ったばかりの子だよね。倉庫の場所、解るの?」
…そうだった。
沈黙を肯定と受け取った彼は続ける。
「案内ぐらいは必要だろ?ママ達は店、離れらんないだろうし」
どうしよう。無関係の、全然知らない人を巻き込むのは…
「そうだね、アンタがいりゃ、多少は変わるかね」
「メイさ〜ん、もちっと評価してよー」
同い年か年上に見えた彼の、メイさんの言葉に崩れた表情は少し幼い。
悪い人じゃ、なさそう。
「オレ、リドっていいます」
「俺は、ビー。同行は、許してもらえたかな?」
握手を求められる。
その手を握り、返事をする。
「お願いします」
ホークは助けたいし、一人はやっぱり不安…
メイさんの口振りなら、大丈夫だよね
「よろしくね!」
彼は嬉しそうにニコニコして、両手で手を握り返してくる。
このヒトも、アッチのヒトなのかしら。
カッコイイのに勿体ないなー。
…なんちゃって。
- 41 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 02:47:13 ID:mBEt/OJs
- * * *
-intermission 1-----
ん…なんだ?埃臭い…
頭が痛ぇ。
えーと、俺はどこにいるんだ?
確か、今日はリディと約束していて…リディ!?
ハッとして顔を上げると、薄暗い倉庫らしき風景が飛び込んでくる。
体が動かない。
俺はロープに何重にも巻かれ、座る形で柱に縛り付けられていた。
両手の感覚は柱の向こう側。ご丁寧に、手首まで縛ってあらぁ。
投げ出した足は自由だが、どう考えても捕まってますな…俺。
そうだ。レッドムーンに向かう途中、急に目の前真っ暗になって…
確か、首の辺りが痛かった気がする。麻酔薬塗った吹き矢か?
そーいやローズに、今日は気を付けろ、とか言われたっけ…
暴れても縄は緩む気配もない。
リディ、待ってるだろうな…クソッ!
イラつきのままに床を蹴る。
と、ギシリと床が軋み、一人の男が目の前に立った。
コイツ、見た事ある。多分、レッドムーンの客だ。
「お目覚めですね、ホーク君…」
太った男は顔の肉を歪ませ、ニタリと笑った。
嫌な笑いだ。
「俺になんか用かよ」
「ええ、まあ。アイリーディア殿と話をつけるのが先ですが。…貴方達は
大変仲が良さそうだ。彼女はすぐにでも駆け付けてくれるでしょうね」
リディの名を知ってる!?
「テメェ、何だ?リディになんの用があるってんだ」
「先ず、自己紹介いたしましょう。私はスコット・フォールド。
魔法薬の商人…まあ、魔術士の端くれです」
ムカつくほど丁寧に頭を下げられる。
「アイリーディア殿はノーア家で、実の娘の様に育てられていると聞きます。
つまり、彼女を手に入れる事。つまりノーア家との繋がりを作る事が私の
目的なのですよ」
魔術士の間ではノーア家は特別なのだ、と足し付ける。
「テメェ…」
「ふふ…あの年ごろの女性なら、多少可愛がってあげれば、すぐ言いなり
でしょうな」
この時、倉庫の中に数人の気配がある事に気付く。
「そんな立場の女性が、一人で出歩いてるなんて、不用心ですよねぇ」
「ンの野郎…」
っとーにムカつく。
それなら、俺が守ってやればいい。
早く縄から抜けねーと…。
- 42 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 02:48:10 ID:Rqv+Bsn6
「それが、第一の目的」
「まだなんかあるのか?」
策を練ろうとしたが、不気味な笑顔のスコットが近づいてくる。
…て、おい、近付き過ぎじゃね?
「君は、私の好みなんですよ」
うぎゃーっ!!!!耳元でハァハァすんなーーーーーーー!!!
ケ、ケツが薄ら寒い。なんとか逃げっ、逃げっ逃げっ…
「お前達、外に出ていろ」
スコットが命令すると、俺の後方にあった気配が移動する。
男が3人。ガタイもいい。
外に見張が1人いたとして、最低でも4人。このデブオヤジ含めて5人…
武器は奪われてる。体力は温存しといた方が良さそうだ。
「これで、ふ、二人っきり…だね…」
ぐわぁあああっ!大腿をさするなぁーーーっ!
落ち着け!
ピンチだが、チャンスだ!背後からの目がなくなったんだ、今のうちに…
スコットに抵抗しながら、袖口に隠した剃刀を振り落とす。
なんとか、これで…
よし、手首は自由だ。
後は、この縄を切っちまえば…
この間にも、スコットのハァハァは加速しているッ!
俺を柱に縛り付けている、縄の一部を切る。パラリと音がし、縄が緩む。
おっしゃ、逃げ…
「ぐっ…」
立ち上がろうとするが、体は動かなかった。
依然体を縛り続ける縄に、愕然とする俺を、イラつく笑顔が見下ろしている。
「ふふふ…無理ですよ。縄は5、6本使ってますから。袖口に隠してた剃刀で
脱出するのに、どれだけ時間が掛かるでしょうね…」
「クソッ…」
バレてたのか…
「地獄の中に光明を見いだし、その先にまた絶望を突き付けられる。
そんな、顔がたまらない。君は良い目をしますね…泣かせるのが、楽しみだ」
コイツ…真性のSだ。
正直言って泣きたいよ、もう…
--------------------
- 43 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 02:52:20 ID:UD/4JZOb
- * * *
「やーれやれ、狙いはリドってトコだね」
ビーは、針に付いた血を振り払いながら言う。
4番街の入り口で、絡んできたのはガラの悪い男達。
もう、その人達は全員倒れてるけど。
人数は多いものの、本気ではなかった。
こっちの体力を削るのが目的ってとこね。
あーあ、この呼び出しも益々怪しくなってきたわ。
「ビーって、針が武器なんだね。そんな人、初めて見た」
普通より長いだけの針。
それで刺すだけで、大の男が倒れていく様はホント珍しかった。
「だろ?東の方の、古〜い技なんだぜ。…俺に興味持ってくれた?」
彼は針をジャケットにしまいながら、嬉しそうに笑う。
「え?」
「だって、リドは俺を全然知らないのに、名前以外聞いてこないし」
「あ、ごめん…」
謝るべき、なのかな?
「そんなにホークが心配?」
「え、えぇ!?」
突然、その名を出されて動揺する。
別に動揺する理由も無いのになー…
「最近、噂だもんなー。ホークがウェイター目当てで、レッドムーンに
通ってるって」
探るような目がこっちを見る。
や、やっぱ、アッチの人なのかなぁっ。
私も同類って、誤解されてる!?
…バラしちゃった方がいいよね。悪い人じゃ無いし、少なくともホークに
対する誤解は解いてあげたい。
「あ、あのね、ビー。わ、私、本当は女なんだ」
「え?」
意を決した告白に、ビーが止まる。
「レッドムーンにいる時は、護身のために男装してるんだけど…」
「マジ…?」
「ま、まじ。」
頷くと、ビーは信じられないといった風に頭を掻く。
私、そんな男らしかったとは、思わないんだけど…
「そ、そうか。あ、いや、ちょっと驚いただけだから、気にしないでくれ。
そうか、女の子かー…って事は、もしかしてホークとは本当に?」
「う、うん…」
う〜、なんかビーの顔が見れない…。
俯く目の前に、手が差し伸べられる。
「そっか。教えてくれてありがとう。改めてよろしく」
チラリと目線をあげると、ビーの笑顔があった。
一緒に来てもらって正解だったわ。
緊張が少しほぐれる。
私達は再び握手を交わす。
「俺の事も、沢山探っていいよ」
「じゃあ、ビーはホークと仲良いの?」
「いきなりそれぇ?」
最初に飛び出したビーへの質問が、ホークに関する事だったからか、彼は苦笑する。
「ま、いーや。アイツとは腐れ縁だよ。俺は最近、遠出してたからリドとは
今日がハジメマシテ」
そんな会話をしながら、私達は先へ進んだ。
- 44 :R.m.G.-ひみつのくすり- :2006/01/07(土) 02:54:36 ID:u9nSnrNI
- * * *
4番街は倉庫街だった。
どっか外国の会社の持ち物らしいけど、倒産し、その後はほったらかしなのだ、
というのは、ビーの情報。
その一番奥。扉に1と刻まれた倉庫の前に、男が5人立っている。
私もビーも、迷わず進んで行く。
男達は無言で扉を開け、私達を中へと誘った。
目に飛び込んできたのは、横に広いおじさんの後ろ姿…と、ソレに
くっつかれてるホークっ!?
「ホークっ!」
「リディっ…!」
うわー、ホークが涙目になってる。…ちょっとかわいい。
って、喜んでる場合じゃない。
扉の閉まる音が響く。
扉の前には5人の男。帰す気無さそう…
倉庫の中は、木箱が山積みのままで、
立ち回りには少し狭いかもしれない。
でも、私になら有利だ。
「チッ、いいトコだったのに…」
スコットがゆっくり振り向く。
何がいいトコよっ!ホークは……私の…なんだからっ。
こっちの気に障ってるのも気にせず、スコットは私達を軽く一瞥する。
「おや、招かれざる客がいるようだ」
「俺の事かい?仕方ないだろ、アンタ、手紙に地図も付けてないし」
「うっ…」
人数はこっちが不利なのに、ものともしないビーの突っ込みに、スコットが
黙り込む。
「それに、こんな可愛いお嬢さんを、一人で危ない目にあわせらんない
じゃないか」
いうなりビーは、静観していた私の肩を抱き寄せた。
え、ええっ!?
「ち、ちょっとっ…」
慌てて振り払おうとするけど、抱き締められるように、更に引き寄せられる。
「ビー!人の目の前で、なにサラすかテメェっ」
「へっへーんだ、悔しいだろー」
「あ、あのぉ…」
な、なんか、鳥肌が。
冗談だろうけど、ホークが怒ってるし、離れてほしいんだけど…。
急に場がピタリと静まった。
「っ!」
ちょっ…ちょっと何する気!?
スコットが手にしたナイフを、ホークの顔に押しつけたのだ。
そして、ビーを睨みつけながら彼は言った。
「もう用は済んだ筈。あなたは出ていってもらいましょうか」
私は焦ってビーを見るけど、彼は冷静にスコットを睨み返している。
…それよりいい加減、離れて?
- 45 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 02:58:48 ID:UD/4JZOb
スコットの視線がこちらに移った。
「その男が出ていかないと、ホーク君は失明しますよ」
「俺としちゃ、ホークがどうなろうが関係無いんだが…」
駄目だってば!
ビーの冷たい声に、必死で首を横に振る。ホークを傷つけたくない。
ビーは私から離れると、諦めた顔で踵を返す。
「リド、充分気を付けて」
去り際に彼はそう耳打ちし、一瞬だけ私の手を握って行った。
…うん。大丈夫、頑張るよ。
* * *
「お話とはなんでしょう」
ビーの消えた倉庫内で、私はスコットに向き直る。
スコットは咳払いをすると、うやうやしく、そして不適なほど大仰に
私の前で跪く。
役者の様な動き。
その中、瞳にだけはその心中から滲み出る、暗い火が灯ってるようだった。
「アイリーディア殿。貴女には、私の花嫁となって頂きたい」
「はぁ!?」
告げられた言葉は、思いがけないもの。
あまりの事に二の句を継げない。
「私はゲイですが、愛が無い訳では御座いません。男装姿の貴女を見て、
胸が高鳴った。貴女なら、女を受け付けない私でも、一緒に暮らせると
思えるのです」
かなり嬉しくない。
「勝手な事ばかり…」
「もちろん、こちらのホーク君とのご関係は存じております。ですので、
お二人で私の屋敷においで頂いて結構ですよ。私も、その方が嬉しい…」
目!目がいやらしいっ!ホークに向ける目がっ!
「冗談じゃありません!今すぐホークを解放して、私達を帰らせなさい。
そうすればこの件、おじ様には内密で済まして差し上げます!」
「ふっ…貴女さえ手に入れてしまえば、ノーア家の頭領など…」
諦め悪っ。
そんな簡単なら、私達の苦労は無い。
「あのレオンおじ様が、それくらいでおとなしくなるとお思いですか?」
「交渉決裂ですな。残念です」
しばし睨み合った末、スコットが握ったナイフに力を籠める。
ホークの頬から、朱が垂れた。
「何をっ!」
思わず、剣に手を掛けるけど、スコットは涼しい顔で言い放つ。
「おとなしくしていて下さい。私は本気です。ホーク君を守りたかったら
抵抗は考えない事です」
「………」
ナイフをホークの目の下、ギリギリに突きつけられる。
私は剣から手を離し、諸手を上げるしかなかった。
「馬鹿っ!リディ、逃げろっ」
「でも…」
ホークの頬に浮かぶ赤い筋に、視界がぼやけそうになる。
「貴女が私の花嫁になるしかないと、解らせて差し上げます。
少し乱暴な手ですが…」
背後の男達に、好色な顔で取り囲まれる。
これは私でも、何をされるのか予想がついた。
- 46 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 03:01:32 ID:mBEt/OJs
「やはり、ホーク君を目の前にしてしまうと、私は貴女では勃ちませんな。
その人達で我慢して下さい」
「リディ!逃げるんだっ」
…嫌だよ。
この人のお嫁さんになるのも、あなたがひどい目に合うのも嫌。
「まず、剣をこちらへ」
腰のベルトから鞘ごと剣を外し、スコットの足元へ滑らせる。
「おいっ」
ホークの切羽詰まった声。
無手勝流は自信無いけど、大丈夫。私はホークに笑ってみせた。
怯えるもんか。手は尽きてない。
…そんな心配そうな顔しないでよ。
「次は?」
「気丈ですな。では、貴女に少しでもお楽しみ頂けるよう、私からの
プレゼントです」
男の一人が近づく。
身構えた瞬間、霧状の何かが視界を覆った。
「な、なに!?」
男の手に霧吹きの様な瓶が見える。
吸い込んじゃった…凄い甘ったるい。
なんかの薬?
「解放されたくなったら、お言いなさい。私の屋敷へ御招待致します。
なるべく長く頑張れば、もしかしたらホーク君だけでも逃げられる
かもしれませんよ…」
「そう」
ホークだけでも。それで良い。
だけど、ホーク以外の人に体を許す気も無い。
勝算が無い訳じゃない。頑張ればきっと、なんとかなる。
その時、目眩に襲われた。
「リディっ!」
ホークの声だ…あれ?
私は、自分でも気付かないうちに床に倒れていた。
落ちていたのは、一瞬だろうか。起き上がろうとする。
「……ッ!?」
体が、変…。熱くて、ムズムズするような…。気を抜くと倒れそうになる。
力が入らない…
さっきの薬のせい…?もう一度、ゆっくり起きて、立ち上がる。
「ほう…立ち上がれるとは。素晴らしい精神力だ」
相変わらず、ホークにナイフを突き付けたままのスコットが言う。
早く、ホークを助けなきゃ。
もう少しアイツがホークから、離れてくれれば…
ボヤける頭で、解毒の呪文を必死に紡ぐ。…成功率は低いけど。
「解毒の呪ですか。私の薬は、そんなモノではどうにもできませんよ」
なんでもいい。チャンスの時まで、集中力を保てれば、それで…
- 47 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 03:05:42 ID:ORKlzRGY
体の中心から沸く疼きの波に襲われ、また膝をつく。
帽子が落ちた。
この感覚、ホークに触らてれる時みたい…
思い出してしまうと、全身が熱くなる。
「へー、ガキかと思ったら、美人のネーチャンだ」
「キモいおっさんに耐えた甲斐あったな」
「取り敢えず、剥いちまおう」
男達がにじり寄ってくるのを、私は待つ。
逃げろと叫ぶ、ホークの声が聞こえる。
気を抜けば疼きに支配されそうな意識を、ホークの声を聞きながら支える。
ホーク…あなたに、抱き締められたいよ…
うずくまる私の肩を、知らない男の手が掴む。
…今だ!
おじ様の使い魔に、魔法を発動させる。
閃光が視界を覆った。
立ち上がり、全力でホークに駆け寄る。
精神を集中させ、限界以上のスピードを引き出す『神行法』。
おじいちゃんから引き継いだ、私の切り札。
スコットは反射的に目を覆い、ナイフはホークから離れている。
床に落ちたままの剣を拾い、抜きざまに柄でスコットの顎を突く。
そのまま、ホークを縛る縄を斬り…
集中力は途切れた。
- 48 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 03:08:15 ID:mBRk9R2C
- * * *
-intermission 2-----
「リディーっ」
なんで逃げねえんだ!
にやけた顔の男が、リディに触れる。
クソッ!あいつら全員、殺す…っ
焦れば焦るほど、刃先が滑る。
次の瞬間、閃光が視界を埋め尽くした。
気付けば、スコットは顎を押さえて倒れ、俺の体は自由になっていた。
なにが起こったのかは解る術もない。
ただ、目の前にはリディが立ちすくんでいた。
目に宿る鋭い光は見たことの無いもの。
その目もスッと閉じられた。
―カラン
剣の落ちる音と共に、崩れ落ちる体を受けとめる。
紅潮した頬。薄く開いた唇からは荒い息が漏れていた。
「リディ…」
呼ぶと嬉しそうに笑う。その顔はいつになく妖艶で、引き込まれそうになる。
「サンキュな。後は任せとけ」
リディを横たえ、上着をかけた。
惜しい状況だが、片を付けるのが先だ。
男達は、軽く気絶してただけなのか、すででに逃げ出していた。
当のスコットも出口に近づいている。
「逃げんなっ」
追い掛けようとした途端、荷物の陰から生えた足につまづいて奴は倒れた。
素直に出ていったと思ったら、どっかの窓から忍び込んでたのか。
足の持ち主、ビーはつかさずスコットの首筋に、針を突き刺す。
「逃げようなんて思うなよ。その針を抜けるのは、この辺じゃ俺だけだ」
ビーの針は延髄ギリギリまで刺さっている。
かすかな手のブレでも、やばいだろうな。
- 49 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 03:10:56 ID:UD/4JZOb
しっかし…
「ビー!お前、居たならさっさと助けろよ!」
急に怒りがこみ上げてくる。
俺がどーでもいいなら、さっさとヤツらをシメりゃいいだろに!
「ごめんごめん。リドが何か狙ってたみたいだからさ。いざとなったら参加…
じゃなかった、助けるつもりだったって。それより、ほら。薬のコト
聞き出さないと」
コイツ…いつかシメる。
「さて、スコットさん。こっちが聞きたいことは解るよね〜?」
「言ふっ!何でも言ふっ!は、はの薬は、ひゃい淫の術ふぉ込めた物で、
ひゃい眠術と変わらんっ。ひゃんとした方法で、解ひょすれは、問題無ひっ」
ビーが針に手を掛けると、ふがふがと答えるスコット。
リディに顎、割られたな。
「で、その方法って?」
「ひょ、ひょれは…」
おーい、マジか?
スコットの返答に絶句する。
催眠みたいなものって事は、下手打てば精神に支障が出るわけで。
つまりはソレを実行するしか無い、と…
取り敢えず殴ろう。
ビーも無言で針を抜く。
-―…
「おい、ビー。コレ持って早く帰れや」
一仕切りボコッた後、ぼろ雑巾のようになったスコットをビーに差し出す。
「ホークばっかずるい」
「ずるいも何も無い!大体、お前がいても無意味だろ!」
「ちぇーっ。いいなぁ…」
ったく、女なら見境無しか!
それでも渋々、スコットの襟首を掴む。
「ついでに俺の馬…」
「ああ、ここの脇に繋いであったよ」
「解った」
そうして、ビーはスコットを引きずりながら、名残惜しそうに消えた。
--------------------
- 50 : ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/07(土) 03:17:50 ID:wu8GX24D
- ああっ、注意入れるの忘れた…
今更ながら、ホモネタ注意です。
前回に続き、もう本当に…
一回吊って、出直して来ます。
でわ、また。
- 51 :名無しさん@ピンキー :2006/01/07(土) 21:34:03 ID:VQR61i7I
- いいねぇ
しかしここからの展開がきになる
- 52 :名無しさん@ピンキー :2006/01/07(土) 22:27:34 ID:gihltxR5
- >>50
GJ!グッジョブ!!
- 53 :名無しさん@ピンキー :2006/01/07(土) 23:57:21 ID:DIKDiNYI
- >実験屋氏
巫女さんGJ!
有紀タン引き出し多いなw
>>38 .Xo1qLEnC.氏
メール拝見いたしました。
失礼ながらメール返信に替えてここでご報告を。ご確認下さい。
ttp://www.usamimi.info/~dansou/ss/rmg/07_017.html
スコット、何故かジャバ・ザ・ハットとだぶる・・・
- 54 :名無しさん@ピンキー :2006/01/11(水) 06:02:43 ID:PTlWeaTA
- 誰か〜
誰か〜〜〜?
生きてますかー
- 55 :名無しさん@ピンキー :2006/01/11(水) 22:20:36 ID:KC+Q8Vse
- とりあえず職人さん待ちage
- 56 :名無しさん@ピンキー :2006/01/12(木) 00:01:26 ID:XOaANGt+
- デ○ズニーのムーランに勝る男装少女は無し
- 57 :狂介と有紀 :2006/01/12(木) 01:29:22 ID:/1Ug+/Z8
- 【続き投下します。】
『煩悩魔人 狂介』VS『巫女戦士 有紀』の戦いの火蓋が斬って落とされた。
「えいっ!!」
有紀はお祓い棒を振りかぶって叩き付けた。
「フフフ・・」
しかし狂介は余裕の笑みで笑って返した。
「まだまだ、えいっ、それっ!!」
有紀は何度も狂介の胸板を叩く。しかし、狂介にはまったく効いていなかった。
「な、なんで?」
「ヌハハハハハハ!!まだ分らないか?」
そう言うと狂介は有紀からお祓い棒を奪い取った。
「あぁ・・・返せ!!」
有紀はお祓い棒を奪い返すために狂介に組み付いた。
「返してよぉ〜。」
狂介をポカポカ叩いてお祓い棒を奪還しようとする有紀。
と、その時!!
「おりゃー!!」
「きゃっ!!」
狂介は有紀を抱きかかえながらベッドへと倒れこんだ。
「やだ・・・ちょっと・・・いやっ・・・」
マウントポジションをとり、仰向けの有紀を組み伏せた狂介。
「俺に取っちゃ有紀の攻撃は気持ち良い以外の何物でもないのだ!!
初めから有紀に勝ち目は無かったのさ。ハハハハハハハハハ!!」
「そんなぁ〜・・・」
「さて・・・それでは。」
狂介は両手を合わせた。戦いに敗れた巫女さんの末路は一つ・・・
「いただきマンモス!!」
- 58 :狂介と有紀 :2006/01/12(木) 01:31:50 ID:/1Ug+/Z8
- 狂介は有紀の巫女装束に手をかけた。
「あんっ、やっ・・!!」
白い羽織を肌蹴させ上半身を曝け出す。下着は付けていなかったが
有紀はいつものサラシを巻いていた。
「さてさて」
狂介の手がサラシを取り去りにかかる。
「いや・・・やめっ・・・」
有紀の瞳から涙があふれてきた。
「!!」
(狂介の頭の中)
理性「バカ野郎が!!有紀を泣かせてどうするんだよ!?」
煩悩「悪い、調子に乗り過ぎた。どうしよう、どうしよう?」
理性「このままやるって訳にもいかないしな・・・」
オンディー「・・・(キャンディ舐めてる)」
理性・煩悩「「謝るぞ!!」」
「有紀・・・。」
狂介は有紀の耳元でそう囁くと頬にそっと口付けた。
「あ・・・」
「ゴメン。有紀が嫌がることは絶対しないから・・・もう止めようか?」
- 59 :狂介と有紀 :2006/01/12(木) 01:33:48 ID:/1Ug+/Z8
- 「えと・・・その・・・」
有紀はいきなり態度の変わった狂介に戸惑った。
「だからさ・・・・泣かないで。」
そう言った狂介は有紀の頭をなでおろした。
「・・・・ゴメンなさい。」
「ん?」
謝り返された狂介は聞き返した。
「わかってはいるんだ・・・狂介ももっと・・・エッチな事したいって・・・・
でも、僕のせいで・・我慢させてるんだって・・・・だから・・・。」
「イヤ別に・・・」
否定はするものの少しだけはそう言った趣向も求めている自分がいるため最後まで言い切れなかった。
「こういう格好したら・・ちょっとでも・・・そんな事が出来るかなって思ったんだけど。」
徐々に顔を高潮させながら有紀は俯いていく。
「僕・・狂介が大好きだから・・狂介が望む事は何でもしてあげたいの・・・・
それなのに・・・いつも、いつも・・・狂介に我慢させて・・・・ゴメンなさい。」
俯いたまま有紀は何も言わなくなった。泣いてはいないものの身体は怯えて震えていた。
「はぁ〜・・・」
狂介はため息を一つつくと有紀の頭をポンポンと撫でた。
「確かにそういう気持ちはあるよ・・俺も男だもん。でもさ、お互いの気持ちがOKで初めて
そういうのってやるべきじゃない?有紀がいやなら怖がらせてまではしないよ。」
「狂介・・・」
有紀が不安そうに見上げてきた。狂介は笑顔でそれを見つめる。
「有紀の巫女さん姿、キレイだよ。」
その一言で有紀は決心したかのように叫んだ。
「僕・・もっと頑張る!!」
- 60 :狂介と有紀 :2006/01/12(木) 01:35:49 ID:/1Ug+/Z8
- 「ゆ、有紀?」
「狂介が褒めて優しくしてくれるのに、僕は何もしてあげてないもん。
怖くない、怖くないから・・・・狂介・・・お願い。」
「有紀・・・」
有紀の一生懸命な視線に狂介は観念した。
「わかった。でも無理そうなら、すぐ止めような?」
「無理じゃない、怖くないもん!!」
「ちょっ・・あぶな・・!!」
「きゃ!!」
勢いよく起き上がった有紀は体制を崩しベッドから転がり落ちそうになった。
バタン!!
「いってー・・・マジ痛い・・・」
「ゴ、ゴメン狂介。」
狂介は有紀を抱きかかえながら床へ落下した。
「有紀ケガ無い?」
「僕は大丈夫。狂介こそ・・」
「安心なさい。俺は鍛えてますから。」
「良かっ・・・た・・・あんっ・・」
「どうした?」
有紀の様子がおかしいと感じた狂介。顔を起こしながら有紀の方へと顔を向けた。
「ゲゲッ!!」
なんと、狂介のズボンから膨れ上がりはちきれんばかりになったアレが有紀の巫女装束の赤い袴の
股間にジャストフィットしていた。
まぁ・・・騎乗位だよね・・・・格好は。
- 61 :狂介と有紀 :2006/01/12(木) 01:37:37 ID:/1Ug+/Z8
- 「わわわわ、悪かった。今すぐ・・・イテッ!!」
起き上がろうとした狂介が顔を歪めた。
「どうしたの?」
「・・・・腰打った・・・。」
作者と同じく若くしてヘルニア持ちに・・・イヤイヤ、どうやら腰の打ち所が悪かった狂介。
有紀を上に乗せたまま動けないという醜態を晒してしまっている。
「大丈夫!?動ける?」
「なんとか・・・。」
痛みを顔に浮かべる狂介を心配した有紀は起き上がろうとした狂介をそのまま組み伏せた。
「オイ有紀・・何を・・・」
「僕が動くから狂介はそのままでいいよ。」
「はい?」
いまいち状況が把握できない狂介。そんな狂介を尻目に有紀は狂介の股間をなぞり始めた。
「巫女は神様に仕えてるけど、僕は狂介に仕えたいから。」
「うくっ・・・待てって・・そんなにしたら俺のイージスがジャスティスに・・・うっ!!」
そう言ってる間に狂介の社会の窓からジャスティスになったイージスが・・つーか
完全にインフィニットジャスティスなったセイバーが有紀の手によってお目見えした。
「よいしょ。」
有紀は袴の帯をはずして袴を半分だけ脱いだ。案の定何も穿いていなかった。
「ノーパンだったのかよ。」
「ウン。だって何も穿かない方が着やすかったし。」
「にしてもさ・・・昔ならさ・・・ふんどし・・・ぐはっ!!(鼻血)」
ふんどし姿の有紀を想像して鉄分の香りが鼻腔を支配した。
「もう・・・バカ・・。」
有紀はそんな狂介をほっといて、ゆっくりと秘裂を狂介の亀頭にあてがった。
「あぁ!!うぅ・・・ん!!」
いつもとは違った異物の混入感に戸惑いながらも有紀は狂介の肉棒を飲み込んだ。
「はぁ、はぁ、全部入ったよ。ほら見える?ココ全部くわえ込んでる・・・」
「言わんでいい。でも・・・気持ちいい。」
下から突き刺すのではなく、上から咥え込まれるという初めての感触に狂介の肉棒は
すぐに反応を示した。
「うぁ!!・・・狂介のが・・僕の中で・・・どんどん大きくなってる。」
- 62 :狂介と有紀 :2006/01/12(木) 01:39:03 ID:/1Ug+/Z8
- それこそインフィニット(無限)に膨張を続ける狂介の肉棒。
「有紀のが気持ち良いからだよ。動いてみて?今回は俺もあんまし動けないから。」
「う、うん。わかった。」
狂介の期待に添えるように有紀は腰を動かし始めた。
「あ、あぁぁぁ・・・んっ!!・・・はぁぁ!!」
分らないながらに有紀は腰を振って快感を求めた。
「うっ、・・・いいぞ有紀・・・もっと強く。」
「やっ・・・あぁぁ・・あんっ!!」
有紀の秘所が狂介の肉棒を思い切り締め付ける。
「んぅ・・ひゃぅ・・ふぅぅ〜・・・きょ・・う・・すけぇ・・・」
腰を振り乱しながら虚ろな瞳で狂介の名前を呼ぶ有紀。
「有紀・・・」
狂介はさまよう有紀の両手を掴み、しっかりと握ることでその呼びかけに答えた。
「はぁぁぁ〜、いいの、凄く気持ち・・いいの!!・・狂介・・は・・?」
「俺も・・気持ちいいよ。」
「あぁ・・よかっ・・た・・・はぅぅ・・んぁ!!」
有紀の締め付けが強力になった。どうやら絶頂を迎えたらしい。
「は・・はぁ・・・はぁ・・・・あんっ・・・あぁ〜」
有紀は狂介と繋がったまま狂介の身体へと倒れこんだ。
「イったみたいだな。」
「うん・・・でもまだ大丈夫だから・・・。」
有紀は再び行為を再開しようと身体を起こした。
「ちょい待ち・・・ふんっ!!」
狂介は強引に身体を起こしながらベッドの端に寄りかかった。
「狂介、無理しちゃダメだよ・・。」
「この位なら平気、平気。」
狂介はそのまま有紀を抱えるような体制に構えなおした。
「後はヨロシク。今の俺はコレが精一杯。」
「うん。いくよ。」
狂介の首に手を回して有紀は再び腰を動かし始めた。
- 63 :狂介と有紀 :2006/01/12(木) 01:42:13 ID:/1Ug+/Z8
- 「んんっぁ!!ああああっ!!ふっ・・・くぅ・・あぁん!!」
絶頂を迎えたばかりでまた動いた為に今度は痛みも有紀に襲い掛かる。
「あぁぁ・・・んぅぅ!!・・やぁ・・くぅ・・」
「有紀。」
「んぅ!!」
有紀の痛みを感じ取った狂介は有紀をそのまま抱きしめてキスをした。
「うむ・・ふぅぁ・・ん・・きょ・・うすけ・・・んあ・・」
狂介の舌が有紀の口腔内を縦横無尽に這い回る。有紀の口腔もそれを受け入れて
思うがままにされている。
「むぅぅ・・んぅぅ〜・・あん。」
「動けるか?」
狂介が心配そうに有紀に聞いた。
「あぁ・・う、ん・・・ぼ・・く・・・・頑張るから・・・ああぁ!!」
有紀はただ上下に腰を振るのではなく狂介の肉棒を根元から咥え込む様に横にも
腰を捻りながら狂介を堪能する。
「ひぁ!!うぅぅ・・・はぅ・・・くぅ・・・」
「いいぞ有紀。俺・・・イク・・・限界・・が・・」
狂介の息遣いがどんどん荒くなっていく。
「きて・・狂介・・・いっぱい・・いっぱい・・僕に出して・・・あぁぁ!!」
「ぐっ・・・あぁ・・有紀!!」
怒号とともに狂介が肉棒から精をぶちまけた。
「あぁぁぁん!!・・・きた・・・狂介のがいっぱい・・・・い・・っぱ・・い。」
有紀は力を使い果たしたのかそのまま狂介の胸へともたれ掛かった。
- 64 :狂介と有紀 :2006/01/12(木) 01:43:36 ID:/1Ug+/Z8
- 「あぁ・・・コレは気持ちいい。」
一勝負終えた二人。今は狂介が有紀のひざに頭を乗せて膝枕をしてもらっていた。
「フフ、よしよし。」
有紀は狂介の頭を撫で髪をすいた。
「いや〜今回は俺の完敗だ。すっかり巫女さんに浄化していただいて。」
「狂介が喜んでくれたなら、僕はそれだけで嬉しいよ。」
「そうか?ハハハハハハ・・・・ハハハ・・・ハ・・・」
とか言いながら狂介の手は巫女装束の羽織の隙間に伸び、サラシに覆われた
有紀の胸を触っていた。
「うーーん。コレもなかなか気持ちがいい。」
「って、全然浄化されたないじゃん煩悩!!」
有紀は狂介の腰に手を入れると思い切り持ち上げた。
「ぎゃぁぁぁぁ!!!!!!!イデデデデ!!!腰が・・腰がぁぁぁ!!!」
この後、大事には至らなかったが一週間のコルセット生活を余儀なくされた狂介だった。
〜おしまい〜
〜おまけ〜
(レオの胸にしゃぶりついている葵を見ながら・・・)
升沢「俺も片方飲みたいな・・・」
レオ「・・・葵ちゃん、ちょっと待っててね。(ベッドに葵を置く)」
レオ「バーンナックル!!」
升沢「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!二度もこんなオチかよ!!」
〜ほんとにおしまい〜
- 65 :実験屋 :2006/01/12(木) 01:49:36 ID:/1Ug+/Z8
- 以上になります。正月ネタなのにもう十二日・・・スイマセンです。
狂介シリーズは今、未来編や過去編(どっちも構想中)考えてました。
『Z』の続きも製作中でしたので出来たのから投下していく予定です。
では、お目汚しですがどうぞ。
>>.Xo1qLEnC.様
乙です。リディとホークの相思相愛っぷりが
なんとも言えずGJ!!です。
- 66 :名無しさん@ピンキー :2006/01/12(木) 02:55:10 ID:QnQMAtTs
- >>65
おおネ申降臨!GJです。Great Job!!
- 67 :名無しさん@ピンキー :2006/01/12(木) 22:06:41 ID:C+OHQQ5M
- レオは母になってもすげえなw
- 68 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 01:01:28 ID:+hgETCms
- 3日後、涼が迎えに来たので、早速他のメンバーと待ち合わせしているという喫茶店へと向かった。
「響兄ぃ、ギターウルフの新作聴いた?」
ちなみに、男装がバレたら面倒なので、涼には、外では「ひびき」ではなく「きょう」と呼びように言っている。
「あぁ、アレメチャメチャカッコいいな。前作も、かなりのものだったけど今作はそれ以上だわ。」
「今度ツアーするらしいよ」
「ホントか!んじゃライブ見に行くぞ!」
「うん!」
そんな風に、適当に話をしながら歩いていると『ブライアン』という看板の付いた小じゃれた喫茶店が見えてきた。
「涼、喫茶店てあの店か?」
「そうだよ、んじゃ入ろ。あっ、そうだ!」
涼はドアを開ける寸前で、急に何かを思い出したかの様に歩みを止め、言いにくそうに喋り始めた。
「いい忘れてたけどさ…、みんな妙にキャラが濃いんだよ。だからさ、あんまり引いたりしないでね。」
「大丈夫だって、変な奴は見慣れてるよ」
そういって涼は、安心したようにドアを開けた。
俺はこの時こう思っていた。男装なんかして、暮らしてる奴以上に変な奴なんて、そうそう居ないと…。
だが、この五分後には、俺は自分の考えが間違っていたと気付く。彼らは、想像を遥かに超えた変人達だったのだ…。
- 69 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 01:02:08 ID:+hgETCms
- 店の中に入ると、店の外は外でよかったが、中は中で、まるでロンドン街のカフェ(行ったことはないが、たぶんこんな感じだろう)
のようにまた雰囲気がよく、そこのカウンターの中で、これまた雰囲気の良いオジサンが、涼に話しかけてきた。
「おお、涼、あいつらなら一番奥のボックス席にいるぞ」
「あぁ、ありがとねマスター。…あとさ、この間折ったモップ二本今度弁償するよ」
「いやいいって。お前らに酒を勧めた俺がいけなかったんだよ」とそのオジサンは、やたら渋くため息をついた。
どうやら、涼達は、この店の常連らしいが、モップを二本折ったというのが、やたら気にかかった。
俺はぼんやりと考えこんでいたのだが、涼が「龍二兄ちゃん、こっち来てよ。紹介するから」といわれ、我にかえった。
涼の方へ行くと、奥の席に座っていた男が、俺の存在に気付き、席を立ち挨拶をしてきた。…が、俺は一瞬彼が怖すぎて後ずさりしてしまった。
(何でこんなヤバそうな奴が、涼なんかの知り合いにいるんだよっ!)
今まで本能だけで生きてきましたよ、とでも言わんばかりの野生の猛獣のようなギラギラとした目つき。
手の甲から、腕、胸はもちろん首まで、ギッシリと彫りつくされた刺青。
そして、何よりも目を引くのが、肩や胸など至るところにある無数の刃傷。
後で、涼に聞いた話によれば、ライブの時興奮しすぎて、自分で切りつけたものらしい。
「西園寺雷太です。ドラムやっとるんだ。よろしくね」
「あっ、ああ。神無月龍二です。いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」
とりあえずこのように挨拶したものの、俺は、明らかに固くなってしまっている。
すると「だ〜から、いったよね〜。兄貴は、最初に挨拶しちゃ駄目だって」といいながら、ショートカットの元気よさそうな女の子が出てきた。
「いや、一応一番年上なんだから最初に挨拶すべきかな〜、と思ってさ」
「兄貴がいつもそうやってシャシャリ出てくるから、みんな怖がって逃げちゃうのよ」なるほど、メンバーがなかなか見つからなかったのは、コイツのせいか。
「んなこと言ったってよ〜」
「もういいから。黙ってて」あ、ホントに黙った。
「あっ、私は西園寺神奈っていいます。一応このバンドのリーダーとベースをやらせてもらってます」
「神無月龍二っていいます。よろしくお願いします」
「すみませんね〜。こんなヤクザみたいのいきなり出てきて」
「ちょっと待て、ヤクザは言いすぎだろ、ヤクザは」
「黙っててと言ったんだけど」あ、また黙った。
- 70 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 01:02:47 ID:+hgETCms
- すると、俺たちの様子を見ていた涼がふと気付いたように、言い出した。
「あれ、右京は?」
「ああっ!そういえば!また遅刻ね、あのバカ。今度はどんな制裁を喰らわしてやろうかしら」
「涼、右京って誰だ?」
「僕達のバンドのボーカルだよ。まあ落ちつこうよ神奈ちゃん、もうすぐ来るかもしれないし」
「まあそうね、少しくらい待ってあげようかしら」
・・・・・十分後・・・・
「ま、まだなのかしらねぇ〜、あの糞ボケは」
「神奈ちゃん、落ちつこうよ〜」
「涼さんがそういうなら落ち着きますけどねぇ〜」
・・・・・二十分後・・・・・
「あのドグサレがっ!とりあえず来たらレバーに5,6発打ち込んで、その後ブツブツブツブツ」この子もなんかおかしい。完璧にSの目してるし。
「か、神奈、とりあえず落ち着こう。なっ?」
「あぁっ!?黙ってろよ、糞兄貴がっ!」
「ひぃっ!」この人見かけに寄らず妹に弱すぎ。
すると、カフェのドアが勢いよく開き、男が一人入ってきた。
「…ふぅ…まっ、間に合った…」
「間に合ったじゃねーよ!間に合ったじゃよー!てめーはどこの写真部だっ!」彼女はそう叫びながら、その男に飛びつき、
ニー○・ウィリアムズばりに間接技を極めてゆく。
「いっ、痛いよっ!痛いよ神奈!ちょっと聞いてよ!よ、用事があったんだって、用事が!」
「なにぃ〜、用事だ〜?」
「いっ、いやね、こ、ここに来る途中猫がいてね」
「あぁ、それでどうした?」
「そっ、その猫が、可愛かったから付いていったら、ま、迷子になっちゃった」
ブチッ、ブチブチブチッ
「迷子はなぁ〜、用事って言わねーんだよっ!」
雷太さんが「終わったな」と呟いたのと、彼のアゴに神奈ちゃんのアッパーがきれいに決まったのは、同じタイミングだった。
- 71 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 01:07:38 ID:+hgETCms
- それから十分してやっと右京君は意識を取り戻したので、涼が俺のことを彼に紹介し始めた。
「え〜っと、この人が前々から言ってあった神無月響だよ」
「よろしくお願いします」
「えっ…、あっ、その、よ、よろしく…」
「だ〜めだよ、涼。右京どもり激しいうえに、人見知りするんだから」えっ、ボーカルなのにそれって最悪じゃん。
「まあいいわ。そろそろ予約してた時間だから、スタジオいくよ」神奈ちゃんがそういうと、みんな移動しはじめた。
ブライアンを出ると涼が俺にこっそり話しかけてくる。
「響兄ぃ大丈夫?」
「大丈夫じゃねーよ、大丈夫じゃ。あそこまでイかれた奴ら始めて見るよ…」
「でもみんな基本的にいい人たちだよ」
「いや例えいい人たちでも、腕は大丈夫なのかよ、腕は?雷太さんだっけ?あの人はまだ大丈夫そうだけど、右京君とかドモリの上に
人見知りでボーカルできるの?」
すると涼は、なにか嬉しそうに笑いながら「そう思ってるなら響兄ぃは、さっきよりもっと驚くことになるね」と言った。
そして涼のその言葉は、まさしくその通りになった。
スタジオの入り楽器をセットし始めると急に皆の顔つきが変わった。雷太さんは下らないジョークを言うのをやめ、ドラムを入念にチェックし始め、
涼、神奈ちゃんはギターとベースのセッティングを念入りに合わせている。右京君は部屋の隅の椅子に座り目を瞑っている。
まるで、試合前のアスリートのようだ。
「龍二兄ちゃん、A、D,、Bマイナーで行くから付いてきてね。」涼がそういうと、雷太さんがカウントを始めた。
「んじゃ、いくぜ。1,2,3,4!」
その瞬間…俺は、本当に度肝を抜かれた。
雷太さんのドラムが響く。彼は、本能丸出しでドラムを叩きつける。まるでアフリカの原住民のような強靭なビートだ。
そして、そこに神奈ちゃんの、その小さな体から出してるとは思えないとてつもなくゴッリゴリの、それでいてメロディアスなフレーズの
ベースが絡む。兄妹だけあってこの二人はうまく絡み合い、とてつもなくドロドロとしたリズムを生み出している。
そしてその上に右京君のボーカルが乗る。さっきまでとはまるで違う。彼の声は生まれつきか、タバコの吸い過ぎか知らないが、かなりのハスキーボイスだ。
そしてその声で、どもり癖があるのが嘘のようにがなる。するとまるで声にディストーションが掛かっているかのようになり、とてつもなく迫力のあるものとなるのだ。
そして一番驚かされたのは、涼のギターだった。物凄く独特な音の紡ぎ方で、多彩なフレーズを生み出し、セッションに色をつけてゆく。
かと思えばドラム顔負けのリズムを刻み、ビートをより強靭なものにしてゆく。響姉ちゃん、響姉ちゃんとなついてき、頼りなかった涼
がここまでやるとは。涼の成長を目の当たりにし、喜ぶべきはずなのに俺の心はなぜだか複雑だった…。
俺も彼らに負けじとサックスを吹き集中していたため、セッションが終わったときには、一時間も経っていた。
終わると雷太さんが嬉しそうにしゃべり始めた。
「いや〜よかったわ!普通涼のギターとかにビビっちゃう人多いんだけどよく付いてきてたし。久しぶりに熱くなったわ!」
「うん、すごいよかった!」
「お、俺も、…よ、よかったと思う」
「おおっ、右京が褒めた!すごいよ響兄ぃ!右京は滅多に人を褒めないんだから」
「そ、そうなのか?」皆に褒められて嬉しいが、こうまで言われるとさすがに恥ずかしい。
「それじゃあ響さん、私達のバンドに入りませんか?私達はあなたを歓迎しますよ」
「いえ、こちらこそよろしく」
「ヒャハッ、や〜っと決まったわ。うし今日は飲むか!なあ右京、涼」
「駄目に決まってるじゃないのバカ兄貴。涼さんはまだしも右京は、まだ未成年なんだから」そういいながらも神奈ちゃんもとってもうれしそうだ。
そして見ると涼もすごい嬉しそうにしてる。俺はそんな涼の嬉しそうな顔を見てると、なんだか…とても気持ちが暖かくなるようだった。
だがそんな俺の心の平穏も次の雷太さんの一言で破られることになる。
「あっ、そうそう響君。言い忘れてたけど来週ライブね」
「えっ?!」
- 72 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 01:08:21 ID:+hgETCms
- 一週間後、都内のライブハウス。収容人数は五十人ほどだが恐らく百人近くいる。超満員だ。
「いや、デッドマン(俺達のバンドのこと)ライブ久しぶりだから、マジ楽しみだわ!」
「右京君のボーカルもそうだけど、涼君のギターも早く聴きたいね!」
「神奈たんハァハァ」
…最後変な会話が混じったが、久しぶりのライブだけに楽しみにしていた人が多く、皆すごく嬉しそうな顔をしている。
そしてそんな客達とは対照的に俺はかってないほどの緊張感の真っ只中にいた。
「一週間ってのがまず間違いだろ…」俺はそう言いながらため息をつく。あの後三回ほど集まりリハをしたお陰で曲は何とか全部覚えたが
人の前で演奏するということが、久しぶりなのでステージに立つとあがってしまいそうだ。
(顔でも洗って落ち着こう)俺はそう考えトイレへ向かった。
バシャバシャバシャ 顔を洗い終え鏡をふと見ると自分の顔が映る。(また肌のつやが悪くなっている)
それはそうだ。男装をしているせいでストレスが溜まる。それを消すためタバコを吸う。またストレスが溜まる。またタバコを吸う。
こんな悪循環をくり返してれば、悪くなって当然だろう。(俺は…なんで男装なんかしてるんだろう。)
「ああっクソッ!」俺はそういいながら洗面台を蹴る。緊張のせいでどんどんネガティブ思考になっている。
(まあいいや、そろそろライブだから楽屋に戻んないと…)そう考えながらトイレのドアを開けようとすると前の廊下を歩く客の声が聞こえてきた。
「お前知ってる?今回からデットマン、サックス入るらしいよ」
「マジで?でも今までのメンバーでもう完璧だろ」
「あぁ、でもそうするとかなりすごい奴なんだろうな、そのサックスは」
やめろ…、やめてくれ!もうこれ以上、これ以上俺にストレスを与えないでくれ!
彼らが行ってしまったのを確認すると俺はそっとドアを開ける。ふと横を見るとそこは出口だった。
唐突に逃げ出したい衝動に駆られる。俺は駄目だから、俺が居なくたって彼等はうまくやっていける。俺がいない方が、彼等は喜ぶだろう。
俺が居ない方が涼は喜ぶだろう。俺が居ない方が、俺が居ない方が!…皆喜ぶだろう
- 73 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 01:10:36 ID:+hgETCms
- 「響兄ぃ!」思わずビクンとする。振り返ってみると涼が居た。
「響兄ぃ、そろそろ始めるよ。…どうしたの?すごい顔色悪いよ」
「あぁ、涼…俺、俺やっぱ駄目だわ」
「えっ?」
「いや、なんだかすごい緊張しちゃってさ。ほら、手なんかこんなに震えてるし、こんなんだったら皆の足引っ張っちゃうと思うし、
それに「響兄ぃ!」」涼は俺の手を急に掴むと自分の胸に当てた。
「なっ、なにすんだよいきなり!」
「いいからっ!」涼の剣幕に押され、胸に手を当てたままにしていると、今にも飛び出しそうなくらいの心臓の鼓動が伝わってきた。
「涼、お前も…」
「うん、もう百回くらいやってるけど、ライブの前はいつもこうなんだ。特に最初の頃なんか酷くて何回も逃げ出しそうになったよ。
でも、でもさ、こういうのは逃げないで何とかして立ち向かわなきゃ駄目なんだよ。それにライブってやってみるとわかるけど、血が沸騰する感じがして凄い楽しいんだ!
だから…だから響兄ぃも頑張ろ?」
「………」
「だ、駄目かな?」
「…涼」俺がそっと呟く。
「お前、本当に大きくなったんだな…」
「えっ?」
俺は、急に恥ずかしくなって、頭を思い切り涼にぶつける。
「痛った〜!なにすんだよいきなり!」
「うっ、うるさい!早く行くぞ!もう時間ないんだろ?」
「はいはい」涼は渋々そう言いながら楽屋へ歩き始める。でもその顔は…とても嬉しそうだった。
「遅いですよ、二人とも!もうすぐで、店員が呼びに来るんですから」
「ごめんね神奈ちゃん、ちょっと用事があってね」
「まぁ、間に合ったからいいですけどね」
するとタイミングよくそろそろ始めるから用意してくれと声が掛かった。
ふと手を見ると震えは、すっかり収まっている。
「よっしゃ、ロックンロールしようぜ!」雷太さんがそう楽しそうに声を上げる。
ステージに上がると、沢山の客が歓声を上げる。俺達は各々の楽器を持ち、演奏を始めた。
正直言ってサックス吹くのに精一杯だったし、途中から涼の言った通り熱狂の渦に巻き込まれてしまったのでライブの内容はあまり覚えていない。
でもひとつだけ確かなことがある。それはこの日は俺が男装を始めてから―もしかすると人生の中で―もっとも楽しい日だったということだ。
- 74 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 01:21:45 ID:+hgETCms
- だいぶ時間がかかってしまってすみません。
ちょっとヘルニアで入院したり、風邪にかかったり、看護婦さんに浣腸されたりしてたので中々時間が見つけられませんでした。
この話は後一回の投稿で終わらせるつもりですので、もう少しお付き合いください。
あと作中で響が男の名前で呼ばれるとき「龍二兄ちゃん」となったりしていますが「響兄ぃ」に脳内変換しといて下さい。御手数かけて申し訳ございません。
- 75 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 14:06:47 ID:gsmH7Qqe
- 大変でしたね、ご自愛ください。
- 76 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 17:39:17 ID:VpgQYAt0
- めっちゃいい!!!!
GJです
続き楽しみにしてます
- 77 :名無しさん@ピンキー :2006/01/13(金) 22:07:07 ID:eDuZYp0g
- >>74
自分もかなりいいと思います。平たく言えばGJです。
続きも期待して待ってます!
- 78 :名無しさん@ピンキー :2006/01/14(土) 00:00:26 ID:sGX1K8GW
- 光画部ワロス
体調気を付けてください。待ってますのでごゆっくり
- 79 :名無しさん@ピンキー :2006/01/14(土) 00:10:00 ID:qWoUdihp
- >>74
GJです!
今何故かギルティギアのヴォーカルバージョンが頭の中で鳴り響いているのは、カッコよさが近いからかなぁ。
>看護婦さんに浣腸されたり
!?
kwsk!
- 80 :名無しさん@ピンキー :2006/01/14(土) 10:36:21 ID:BlDkX5AF
- >看護婦さんに浣腸されたり
この体験が作品に生かされることを期待するっ!!
- 81 :Z :2006/01/14(土) 19:14:12 ID:twDdqJ5v
- 【『Z』久々投下します。長いので飽きたらスルーどうぞ。】
俺はずいぶんと弱くなったようだ・・・。
『Z〜第9話〜』
「ゼットだ!!ゼットが出た!!」
いつものように前線へと躍り出る俺。目の前には数百の敵兵が武器を片手に
臨戦態勢となっていた。
「・・・人をバケモノみたいに言いやがって・・・気に入らねぇ。」
前もって練っておいた呪文を解き放つ。一瞬の後に目の前に炎の壁が大波となって
敵軍を飲み込んでいく。炎が敵本陣まで辿り着く中、あちらこちらで敵兵の絶叫が
木霊して行った。
ヒュン!!
「くっ・・!!」
突然肩に激痛が走った。見れば柄の短い矢が左肩に突き刺さっていた。
「チッ・・クソッ。」
己の油断から負傷したことを忌々しく思いながら矢を引き抜く。
「ガハハ!!参ったかゼット!!」
「ん?」
品の無い笑い声の先を見やると白い甲冑に身を包んだ恰幅の良い中年の男と
その男を守るようにして囲む白装束の集団がいた。人数は見たところ10人程度だろうか。
「我こそは王国軍白騎士団のゲント様だ。」
「あっそ。」
とりあえず、相手の名前が分ったので光熱波を相手に打ち込んだ。
「甘いわ!!」
「!?」
ゲントとか言う男の声と共に奴を囲む白装束の集団が連携して防壁を展開した。
どうやら連中は魔導士のようだ。連携技とはいえ俺の攻撃を受け止める防壁の
強さ、展開速度の速さを見る限り結構な猛者とみた。
「ガハハ。驚いたかゼット!!こやつ等は魔導隊と言って今日まで温存してきた
王国軍の切り札だ。」
「どうりで結構強いわけだ。」
とはいえ、そんな切り札が何者かを暴露してしまう所を見るとあのゲントと言う男、
大した事無い奴なんだろうな。エリスが言うには貴族のボンボンが親の金だけで白騎士団に
入る事もあるそうだ。家柄の品質の保持らしい・・・・金持ちの考えることは分らないな。
- 82 :Z :2006/01/14(土) 19:15:57 ID:twDdqJ5v
- 「ゼットよ、貴様の傍若無人もここまでだ。やれ!!」
ゲントの命令で魔導隊が一斉に詠唱を始めた。次の瞬間、魔方陣が浮かび上がり
ほかの次元と直結した。
「召還魔法か・・・。」
以前、ドランから聞いた話では王国には単独で魔方陣を描ける人間はいなかった、と聞く。
どうやら複数の連携でそれを可能にしたようだ。
「ギィィ!!」
陣の向こう側から出てきたのは巨大な竜人だった。とは言うもののその姿はかなり異形で
三本ある指の爪はすべて鋭利に伸びた剣状の形をしており、呪文で覆われた軽装の鎧を身に着けていた。
恐らくはあの鎧の呪文で竜人を制御しているのだろう。
「ガハハハ!!どうだゼット、貴様にこいつが倒せるか?」
「問題ないね。」
俺は至って余裕の笑みでゲントを見返した。
「フン、生意気な。やれ!!奴を殺せ!!」
「ギィィィァァ!!」
ゲントの命令で竜人が方向をあげながら突進する。
「チッ。」
矢を引き抜いた時から肩にかけてあった回復魔法による治癒が思ったよりも進まない。
先端の矢じりに毒が塗ってあったのだろう。解毒を優先している為に回復が間に合わなかった。
「ギギィ。」
竜人の爪が俺の喉を目掛けてくる。
「よっと。」
直前まで爪を引き寄せ、身をかがめてそれを回避する。同時に魔力を込めて威力を増したパンチを
竜人の腹部に向けて殴りつける。
「ギャャャ!!」
俺の攻撃に腹を押さえて苦しむ竜人。その隙に地面を蹴りながら後ろへと下がる。竜人が体勢を立て直す
前に奴に光熱波を打ち込んだ。
「くたばれ。」
光熱波が竜人を包む。
「ギィッ!!」
「何!?」
突然竜人が翼を展開し身体を覆い隠すように丸まった。
ドオォォォン!!
光熱波が命中しても翼が完全に光熱波の威力を相殺し竜人は無傷だった。
- 83 :Z :2006/01/14(土) 19:17:37 ID:twDdqJ5v
- 「ガハハハ。なんだなんだ、そのザマは?」
ゲントが勝ち誇った顔で俺を見下す。
「口の割に大したこと無いではないか。これで貴様も終わりだ!!」
竜人が今度は翼を大きく広げて地を這うような低空を飛びながら俺に向かって切掛かって来た。
「俺をなめるな!!」
真正面から竜人の頭を受け止めて竜人に飛び乗り、共に直進したまま飛ぶ。
「おらよ!!」
竜人の背中に零距離から光熱波を押し当てた。
「ギィィィ!!」
「うわっ。」
激痛にのたうつ竜人。しかし、竜人は尻尾を伸ばして俺を捕らえると地面に叩き付けた。
ズガガガガ・・・
竜人も俺の攻撃に耐えかねて地面へと追突する。
「はぁ・・はぁ・・クソが・・・」
思いもよらない竜人の猛攻に余裕がなくなってくる俺。こんなに追い込まれたのも久しぶりだ。
それ故に対処の仕方は物凄い悪い。
「ギィギィ!!」
「うぐっ・・・・!!」
先に回復した竜人がいきなり跳躍するとそのまま頭突きの体制で突っ込み、俺の左肩に命中した。
「うっ・・・くっ・・・」
完全に直りきっていない左肩に喰らった竜人の頭突きはかなり答えたようで左腕全体が大きく痙攣した。
「ギィ!!」
「クソッたれが!!」
これに俺も少しキレた。竜人の足元に魔方陣を展開させると竜人の足元が沼のように沈み込み
竜人の動きを抑える。
「オラッ!!」
すかさず光熱波を連射し竜人の顔面と首の付け根に命中させる。さらにそのまま竜人に接近し
竜人の頭部の角を捕まえると魔法陣の沼から引き抜き地面に叩きつける。
「これでどうだ!!」
さらに地面に突っ伏した竜人を思い切り蹴りつける。竜人は20m程ぶっ飛んでうつ伏せのまま倒れた。
「ギ・・ガガ・・ギィ・・・」
「・・・終わりだ。」
新たに魔方陣を展開する。今度は消滅魔法の魔方陣だ。竜人を中心に展開した魔方陣が
動けない竜人を消し去ろうとする。
- 84 :Z :2006/01/14(土) 19:20:07 ID:twDdqJ5v
- ボン!!
「!!」
いきなり俺に向かって光弾が放たれる。ゲントを守る魔導隊が放ったものだ。
「貴様の相手は奴だけではないぞ。ガハハハ!!」
ゲントの笑い声と共に魔導隊の連中が次々と光弾を発射する。
「チッ・・」
攻撃自体を避けるのは簡単だがこのままでは竜人が・・・・
「ガガァ!!」
「しまった!!」
光弾を避けている間に復活した竜人が魔方陣から抜け出し俺に目掛けて突っ込んできた。
魔導隊の方向に左手で大きな光壁を展開し、右手から光熱波を竜人に向けて放つ。
しかし、単調な攻撃しか出来ずに竜人はヒョイヒョイと俺の攻撃を交わす。その間にも
竜人との距離がどんどん詰まっていく。
「(受けるしかないな・・・。)」
竜人の攻撃を正面から受けようと身構えた。
ヒュン!!
「ギギィィィィ!!!!!!!」
いきなり竜人が奇声を挙げて墜落した。
「なっ・・!?」
状況が掴めずにうろたえてしまう俺。しかし、見てみれば竜人の右目に小型のスローイングダガーが
深々と突き刺さっていた。
「これは・・・?」
「ゼット様!!」
身なりの良い礼服を来た金髪の少年・・・いや少女が俺の元に駆け寄った。
「・・エリスか。」
「はい!!」
エリスは返事をすると俺の負傷した肩に手をやった。
「今すぐ治療を。」
「あぁ・・・スマン。」
肩に暖かい光が当てられ、みるみるうちにケガが塞がっていく。
- 85 :Z :2006/01/14(土) 19:21:59 ID:twDdqJ5v
- 「ギギギギギ!!」
目からダガーを引き抜いた竜人か怒り狂って突進する。
ババババババ!!!
「ギャギィィ!!」
竜人が自分目掛けて放たれた電撃をすんでの所で交わす。
「・・・避けたか。」
「ヘタクソだね〜。」
「黙れクソガキ。」
貴族の服を模した戦闘服を着た二人が現れた。
「ドラン、キノイ。」
「久々ですね。コマンダーが苦戦してるというのも。」
黒い戦闘服に袖の無いロングコートを纏った黒髪の長髪長身の青年、ドランが皮肉を込めて言う。
「うるさいな、嫌味か?」
「モチロンです。」
副官と言うポジションをエリスに渡してから僻みか、遠慮が無くなったのかドランは最近、こう言った
物言いが多い。
「まぁまぁ、いいじゃないですか。」
ドランと同じ形の戦闘服、しかしこちらは丈や袖に白いラインが入って半身のみを覆うマントを
身に纏っている緑色の髪の少年、キノイが横から茶々を入れた。
「過小評価して痛い目見ただけだ。もうこんな失態はせん。」
エリスの治療が終わり、大きく肩を振り回す。
「ゼット様、あまり無茶をなさらないで下さい。」
「あぁ・・分ってる。ありがとうエリス。」
礼を言うとエリスは安心したように微笑んだ。
「ウルフとフランは?」
「「ここに。」」
転移用の魔方陣が展開し、真っ赤な戦闘服にそれに負けないような赤い髪を逆立てた青年ウルフと
それとは逆に白い戦闘服にフードのついたローブを纏った銀髪の青年フランが現れた。
こいつ等が俺の腹心の四天王だ。
- 86 :Z :2006/01/14(土) 19:23:22 ID:twDdqJ5v
- 「さて・・・ここは我等が貰い受けてもよろしいですかな?」
脇に携えた片刃の長刀を引き抜くドラン。
「コマンダーを手にかけた輩と戦ってみたいです。」
何も無い空間から巨大な蛮刀を取り出し手に持つウルフ。
「いや、死んでないから。」
マントに隠された半身から二本の短刀を取り出すキノイ。
「直接戦闘は好みませんが・・・。」
一息ついて袖口からカタール(手甲に付いた諸刃剣)を両腕から出すフラン。
「いいだろう。ただ竜人は殺すな、面白いことを考えたんでね・・・いけ!!」
「「「「承知!!」」」」
一斉に散開した四天王は竜人を囲むように陣形を取った。
「フン!!いくら増援が来ようが無駄な事だ。殺せ!!」
ゲントが命令すると竜人はまず、ウルフ目掛けて突進した。
「その程度のパワーで・・・」
ウルフは蛮刀を大きく振りかぶった。
「ギギギィ!!」
「俺は倒せんぞ!!」
バキィィ!!
振り下ろした蛮刀と竜人の爪が激突し竜人の両手の爪が粉々になった。
「ギッ・・・ギギガガァァ!!」
キレた竜人が四つん這いになり尻尾を突きつける。 しかし、
「ギァァ!!」
竜人が痛みに身を屈める。
「隙だらけだ。」
音も無く竜人の後ろに回り込んだドランが竜人の尻尾を何枚もの輪切りにした。
「あらよっと!!」
その隙に竜人の背中にキノイが飛び乗り翼の付け根に短刀を差し込んだ。
「ギャッ・・・・ギ・・・・」
戦意を削がれたのか竜人はそのまま地面に伏して動かなくなった。
- 87 :Z :2006/01/14(土) 19:24:31 ID:twDdqJ5v
- 「ええぃ!!何をしておる魔導隊。さっさと奴等を殺せ!!」
ゲントの命令で魔導隊が俺に向かって光弾を放った。
「・・・美しくない攻撃だ。」
フランが俺の前に立ち指を軽く弾いた。すると的の光弾が宙に霧散していった。
「美しい攻撃とはこうするものだ。」
フランはそう言うと両手を前に差し出し雷にも匹敵するような電撃を放電した。
「ふ、防げ!!」
腰が引けたゲントが命令し魔導隊が防壁を張った。
「なかなか頑丈な結界をお持ちで・・・では・・。」
フランはさらに電撃の威力を増した。
「そ、そんな・・。」
ゲントは驚愕した。完全に魔導隊の結界が押されているからだ。
そして、
「面白そうだな。」
ドランが加わり電撃を放ち。
「どれくらい持つのかな〜?」
「あんなもの簡単に消し去ってくれる。」
キノイとウルフも攻撃に加わった。
「「「「はっ!!」」」」
バババババババババ!!!!
四天王の電撃が魔導隊の防壁を破壊し、ゲントを含む相手側全てに命中した。
「ま・・魔導隊の結界が・・・・バカな・・・」
瓦礫の中から比較的軽症だったゲントが這い出てきた。
「魔導隊よ何をしておる!!さっさとワシを守らんか!!」
倒れている魔導隊を叩き起しながら自分の身を守るよう命令するゲント。その姿は滑稽だった。
「ヒィィィィ!!」
「殺される!!」
「た、助けてくれ〜」
立ち上がった魔導隊はそう叫びながら散りぢりに逃げ出していった。
- 88 :Z :2006/01/14(土) 19:26:44 ID:twDdqJ5v
- グサッ!!
「グワァァ!!」
ゲントの足にエリスが投げたスローイングダガーが命中する。
「それで白騎士ですって・・・情けない。」
エリスは冷ややかな侮蔑の視線でゲントを見下した。
「な・・なにを・・!!・・・貴様はエリック!?」
目の前にいるのが、かつての同僚と知りゲントは驚いた。
「貴様なぜ・・・裏切ったのか!?」
「アナタ達とは信じる物が違った・・・ただそれだけよ。」
「さっきから女言葉を・・・ん?・・・まさか・・オマ・・エ」
ゲントは先ほどから感じていた違和感の正体に気づいた。目の前にいる元同僚は
格好こそ男のものだが良く見れば・・・。
「エリスに触るな。この愚物が。」
エリスが女と察し手を伸ばしたゲントの手を俺は払いのけた。
「貴様・・・女だったのか?」
「エリス、騎士団の中に知っている奴はいたのか?」
「いいえ。誰にも言わないで隠していましたから。」
「そうか・・・隠し通すなんて凄いな。」
そっとエリスの髪に触れ撫で下ろす。
「こっちは終わった。オーイ、ここへ来なさい。」
俺はある者を呼び寄せた。
「ギギィ!!」
「なっ!!」
ゲントは恐怖の色を顔に浮かべた。魔導隊が召還した竜人が俺の横に立っているからだ。
「昨日の敵は今日の友。コイツ、お前等の呪文に括られてて可哀相だったから開放してやった。
怪我も直して、改めて契約をし直したら『ぜひ俺のために戦いたい』そうだ。」
魔導隊が竜人を制御するために着せていた呪文が刻まれた鎧はすでに脱がせてある。
「ヒッ・・ヒェェ・・・」
「本来召還は契約して使うものだろ?無理やり操っちゃあ卑怯ってもんだ。」
竜人の肩をポンポン叩きながらゲントに言う。
「た、たしゅけて・・・お願・・・ぎゃ!!」
ゲントが言い切る前にエリスのダガーがゲントの左肩に突き刺さった。
「ゼット様の身体に傷を付けておいて助かろうなんてふざけてるわ。」
「・・・だそうだ。ちなみにこの竜人、名前は『ギーガ』というらしい。」
俺はゲントを指差しながらギーガに話しかけた。
「ギーガ・・・・あれ食事ね。」
「ギギィ!!」
「ひ・・・ギャァァァァァァ!!!!!!」
こうして、白騎士ゲントは俺の新たな友人のランチになった。
- 89 :Z :2006/01/14(土) 19:27:43 ID:twDdqJ5v
- 「コマンダー、怪我の方は?」
「心配するな。もう痛くもなんとも無い。」
「一応肩貸しますか?」
「いいから。心配しすぎだ。」
本陣へ戻る最中、四天王が俺を気遣い声をかけてくる。嬉しくは思うが甘やかされている様で
何ともうっとおしい。
「ゼット様・・・」
エリスが心配そうに俺を見つめる。
「大丈夫だから、そんな顔するなって。」
「でも・・」
「エリスの治療が良かったからな。もう全快だ。」
「・・・・はい。」
これ以上いっても俺が無理して振舞うと思ったのか、エリスは何も言ってこなかった。
「(・・・悪いことしたかな。)」
不安げな顔を浮かべたままのエリスに俺の心がチクリと痛んだ。
- 90 :Z :2006/01/14(土) 19:29:39 ID:twDdqJ5v
- それから三日して・・・
「はぁ〜。」
自室のソファーに横になりながら俺はいろいろ考えていた。この間の戦い、昔の俺ならば
一人で勝てたはずだ。油断していたのは認めるし、もっと効率の良い戦い方があったのに
感情をむき出しにして戦い結果、逆に追い込まれてしまった。
「弱くなったもんだ。」
原因・・・と言えるかどうかは分らないが、理由ならば察しは着いた。エリスだ。
言い方が悪かったが、エリスにかつて自分が行った仕打ち、あの時に見せた俺の冷酷な顔を
戦いの中で浮かべると嗚咽しむせび泣くエリスの顔が頭に浮かんでしまうのだ。
(まったく・・・ここまで誰かを好きになるなんて思わなかったな。)
今俺の心の中でエリスが占める割合は大きい。エリスには笑っていて欲しい、エリスには幸せで
あってほしい、エリスには俺だけを見ていて欲しい。そんな感情が常に心の中にある。
取り分けエリスに嫌われたくないと言う感情は何よりも大きい。もし、エリスがいなくなって
しまったなら俺は今度こそ完全に壊れてしまうだろう。
「どうしたものか・・・。」
冷酷になればなるほどエリスに嫌われてしまう恐怖心が大きくなり、冷酷さを無くす程
かつての戦い方が出来なくなる。タチの悪い八方ふさがりだ。
どんどん時間は流れて外を見ればすっかり夜もふけている。
トントン
ドアをノックする音がした。
「ん?だれだ?」
「エリスです。」
相手がエリスと知り俺は急いでドアまで駆け出した。
- 91 :Z :2006/01/14(土) 19:30:54 ID:twDdqJ5v
- ドアを開けるとエリスが立っていた。
「申し訳ございません。こんな夜中に。」
「イヤ、気にするな。」
俺はエリスを部屋へと招き入れた。
「何か用事か?」
「・・・・・」
エリスはその問いに答えず俯いていた。
「エリス?」
「え・・あっ・・はい!!」
「どうしたんだ?」
何か様子のおかしいエリスを不振に思い声をかけてみた。
「すみません・・・えと・・・その・・・あ・・・」
「ん?」
「あれから・・・えっと・・・抱いて・・・いただいてないので・・・」
「え?」
「すみません!!失礼します!!」
エリスは顔を真っ赤にしながら駆け足で部屋から出て行こうとした。
「エリス!!待てって!!」
俺は出ていくエリスの手を急いで掴んだ。
「あ!!」
俺の手に何かが触れた。
「・・・・涙?」
エリスの顔をみればエリスは目を赤くして目尻に涙を溜めていた。
- 92 :Z :2006/01/14(土) 19:32:30 ID:twDdqJ5v
- 「・・やっぱり私じゃ・・・ご不満ですか?」
「エリス・・・」
「最近・・・抱いていただいてないし・・・・」
あれから・・俺が過去を思い出しエリスと肌を合わせた時、確かにあの時から俺はエリスを
抱いていなかった。でもそれには訳があった。
俺はエリスと身体を重ねるたびにエリスを泣かせてしまっている。陵辱、犯していたのだから
泣くのは当たり前だ。だが、エリスを抱くたびに彼女を泣かせる、傷つける、という刷り込みが
出来上がってしまい、最後の一線を越える事を恐れて逃げてしまっているからだ。
「私じゃ・・・ゼット様の傍にいるのに相応しくないのかなって思ったり・・・
もう・・愛してないのかなって思ったら・・・私・・どうしていいか・・・」
「・・・すまなかった。」
俺はエリスを抱き寄せしっかりと抱きしめた。
「そういうつもりじゃなかったんだ。俺がエリスを愛してないわけ無いだろ。」
「ゼット様。」
「ただ、エリスを泣かせるのが怖くて・・・エリスを傷つけたくなくて・・・。」
「ありがとうございますゼット様・・・でも。」
エリスは俺の顔を見つめて言った。
「前にも言いました。嬉しくても涙は出ます。今の私が流す涙はゼット様に愛されて
嬉しいから流す涙です。だから・・・いっぱい泣かせてください。」
「エリス・・・」
「それとも・・・そんな泣き虫は嫌いですか?」
「いや・・・」
俺はエリスの正面に顔を移した。
「大好きだ。これからも俺のために・・・泣いてくれ。」
そして、そのままエリスに口付けた。
確かに俺は弱くなった。でもこういう弱さなら大歓迎だ。
- 93 :実験屋 :2006/01/14(土) 19:36:52 ID:twDdqJ5v
- ホント長くてスイマセン。続きが残ってるので
もう少しお付き合いください。
>>74様
GJ!!です。続きを楽しみにしてます。
看護婦さんに浣腸されてと見て意味も無く興奮してる自分は負け組みでしょうか?
- 94 :名無しさん@ピンキー :2006/01/14(土) 23:36:38 ID:O+M8tEId
- >>93
GJ!!続きも楽しみにしてますよ〜
- 95 :名無しさん@ピンキー :2006/01/15(日) 01:04:09 ID:8s5Cl/HY
- 実験屋氏とても良かった!正直ちょっと涙も出てきた…
Zは続きを今か今かと待ちわびていた作品だったので
続きが読めて幸せいっぱい胸おっぱいです。
次の投下を心より楽しみにしてます、GJ!
- 96 :名無しさん@ピンキー :2006/01/15(日) 18:51:23 ID:DyPPSt2X
- GJイイヨイイヨ!!
- 97 :名無しさん@ピンキー :2006/01/15(日) 20:35:57 ID:TVp56MtZ
- GJ!
ゲームにしてみないか?
- 98 :名無しさん@ピンキー :2006/01/15(日) 23:30:17 ID:AYU/odl7
- >93
実験屋氏超GJ!
>97
ツクールシリーズを駆使すれば何とかなるかも。その場合必要な物がたくさんあるな。
通貨単位と円に換算した時のレート、
世界の地理、
魔法、魔術、呪術、各種剣技や体術の流派、
どんな魔族や動植物がいるか、
魔族と人間の関係、
etcetc……
俺が以前作ろうと考えた時はこれ位は決めておいた。
- 99 :名無しさん@ピンキー :2006/01/17(火) 00:35:48 ID:0ssIlWCJ
- >実験屋氏
膝枕…ハァハァ
狂介君、腰はお大事に。見せ場が減ってしまうぞw
Zも続き待ってました!
続きも、テカりを必死に隠して待ってます。+
袴って、本っ当ーにイイですねぇ。(失血死寸前)
>>74
か、看護婦さんに浣腸…っ!?
あ、いやその、御自愛下さい。
そしてまさしくGJ!
やってた音楽のジャンルは違えど、青春時代を思い出して涙しました。
響たんとバンドメンバーにもGJ---!!!
こっそり神奈様のSっぷりに萌えつつ。
続きはいつまでも待ってますので、養生して下さい。
- 100 : ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:36:56 ID:0ssIlWCJ
- 間が開いてしまいました…
投下、いきます。
- 101 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:38:23 ID:goiJVEmX
- * * *
喉が乾く。
体に残された温もりが、熱へと変わっていく。
掛けられた上着から漂う、ホークの匂いに頭がクラクラする。
ギュッと上着を引き寄せても、その薄く軽い感触は空虚さしか
与えてくれない。
体中をうねる疼きに、おかしくなりそう。
もう耐えられない。
気付かぬうちに私の手は、自分の秘所へと伸びそうになっていた。
やだっ、何考えてるんだろう。
自分でなんて…やだやだやだ!
いつ、ホークが戻ってくるか解らないのに…
「…っ」
それでも、どんどん熱は増し、息が上がっていく。
両手を握り締め、唇を噛んで耐える。内股に力が入ると、ソコが
湿っているのがわかる。
苦しい…
じわりと、体の中から熱がまた湧きだした。
もう、やだ…
―ビクッ
勝手に体が跳ねた。
パサリと上着が落ちる音で、私は抱き上げられている事に気付く。
「っ…ほーく」
覗き込んでくる、優しい笑顔。頬に浮かぶ、赤い傷。
あれ、私、泣いてるのかな…
「っく…ホー…っ…うっ」
「大丈夫。大丈夫だから…」
子供みたいに、ただ泣く私を、ホークは抱き締めてくれる。
大きな体に包まれるのはほっとして、嬉しくて、せつない。
私は、ただ彼の胸に縋る。
額に暖かい物が触れた。
床に広がる上着に下ろされ、シャツのボタンが外されていく。
こ、こんな所でぇ!?
「ちょっと、乱暴にするけど…ごめん」
止める間もなくホークは落ちてたナイフで、サラシを切り裂く。
「やっ…あっ…」
素肌が外気に晒されるれると共に、呼吸が少し楽になった。
宥めるように口付けされ、ズボンも下着も剥ぎ取られる。
「や、やぁ…だ…」
力が入らない。
出る声は自分でも信じられないほど、甘い。
「大丈夫。誰も来ないよ」
そういう問題じゃないッ!
でも、なんの抵抗も出来ないまま、ホークに横抱きにされてしまった。
少しカサつく指が頬に触れると、それだけでゾクリとする。
思わず、ホークを押し退けようとした。
体はそうされる事を望んでいる。
でも、でも…怖い。
薬のせいでおかしくなった自分の体が怖かった。
- 102 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:38:59 ID:21l7d0Ts
- 抵抗する腕は捕まえられ、耳に唇の感触。
「好きだよ」
「あ…」
噛み付くように囁かれ、抱き竦められると一気に力が抜ける。
逃げられるわけないんだ。
いつだって、この人に求められるのは嬉しいんだもの…
髪が解かれる。そして、深い口付け。
彼の手が私の頭を捕まえ、髪をクシャクシャにしていく。
何度も角度を変えては、唇を吸われ、噛まれ…私は、自ら舌を
差し入れる。
もっと。
からかうように逃げる舌を追いかけ、ホークの奥へと誘い込まれていく。
やっと追い付くと、絡め取られ思い切り吸われる。
その感覚に意識を奪われていると、彼の舌は私の口腔内を蹂躙していく。
その間も、待ちきれないというように、私は体をホークに擦り付けて
しまっていた。
胸に零れ落ちた唾液が、体を震わせる。
唇が離れていく。
もっと繋がっていたいのに…
淋しい一心で身を起こし、その首筋にしがみついた。
もう一度、自分から唇を重ねていく。
暖かい手が胸に触れ、体がビクリと跳ねる。
円を描くように動く手の平が、痛いほど立ち上がった先端を掠る度に
甘く痺れた。
息苦しい程の刺激に飲み込まれていく。
それでも離れるのは嫌で、何度も荒い息をつきながら、唇を重ね続ける。
もう一方の手は、脇腹から腰までを、猫でも撫でるように往復する。
それはもどかしく、いつしか舌を動かすのも忘れて、体を捩り続けていた。
すり合う内腿は、自身のソレでヌルヌルと滑る。
唇が離れ、耳に熱い息を感じた。
耳たぶにそっと歯が触れ、優しく舌が這う。
「あぁ…」
熱いのに、背筋がゾクゾクする。
胸の手は擽るように、先端の周囲をなぞる。
勝手に腰が揺れる。
「も…ああんっ…」
自分でも何を言おうとしたのか解らない。
出かけた言葉は、先端を強く摘まれ中断させられる。
私の口から洩れるのが喘ぎだけになると、再び焦らすような優しい
愛撫に戻ってしまった。
「や、ホーク…ぅ」
彼のシャツに掴まり、力の入らない体を起こす。
目の前の喉仏、その上の顎のライン、シャツの向こうの厚い胸板。
何もかも私とは違う、男の人。
愛しくて、首筋に口付けを繰り返した。
服も殆ど剥がれ、こんなに乱れさせられているのに、服を着たまま
落ち着いた表情の彼が、淋しい。
確かめたくて彼自身へと手を伸ばすと、それは確かに固く熱を
持ち始めていた。
そっとさすってみると、固さは増して嬉しくなる。
- 103 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:39:37 ID:u/R+wtEL
もっとメチャクチャにして、全身で感じさせて欲しい。
胸にあった手がゆっくりと下がり、私の意識はそこへと集中していく。
お臍を擽られ、体の中心へと。
絶え間なく零れる声も、大きくなっていくのが自分でも解った。
足は勝手に開き、それを待ちわびている。
でも、下腹に辿りつくと、動きはピタリと止まってしまった。
期待を裏切られ、目を開けると、真剣な瞳と目が合った。
「リディ、もう無茶はしないって約束する?」
「え…?」
「ああいう場合は、さっさと逃げるんだ」
その言葉に、体中が凍りつく気がした。
「…嫌よ!」
「駄目だ」
速答で私の返事は突っぱねられ、彼の手は腿をそっと撫で上げてくる。
心臓がドクドクと重い音を立て、全身が粟立った。
「っ…い、嫌っ…」
「下手したら今頃、こうしてるのは他の男だったんだぞ」
「んぅっ…!」
腿にあった手が上ってきて、割れ目をそっとなぞる。
その手を追うように腰は動くけど、ホークは手を離してしまう。
切ない苦しさに、涙が零れてくる。
嫌。こんなの嫌だけど、絶対に折れない。
「…ホークが、ひどい事されるの、嫌…だもの…」
家族を失った夜の記憶は、今でも消える事はない。
大切な人が傷ついて、自分が無事なんて、もう…。
気付けばまた、嗚咽を漏らしていた。
「リディ…」
諦めたような溜息が聞こえた。
「俺は、他の男がリディに触るのも、お前が泣くのも嫌だ。それだけは
覚えていて」
「ひぁっ!」
肩を強く引き寄せられたと思うと、いきなり大きな手が奥へと
入り込み、体が仰け反っていた。
敏感な部分を二本の指で攻められ、押し寄せる悦楽は、渦巻く感情を
全て掻き消していった。
首筋を舌が這い上がり、耳を噛まれる。
背中から回された手は、胸をメチャクチャに揉みしだく。
再開された愛撫は激しくて、気が狂いそう。
指が侵入してきた。
中をほぐすように弄り、弱い部分を何度も刺激され、私はどんどん
昇り詰めていく。
「ホーク…っ」
少し紅潮した頬。
真剣で、どこか惚けたような表情は、すごく色っぽくて、ドキドキする。
「……て…」
…れてほしい。
「入れて…あなたが、欲しいのっ…」
恥ずかしいとか、はしたないとか、そんなのどうでもいい。
一緒に、いきたい。
彼は、りょーかい、といつもみたいに笑った。
- 104 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:40:18 ID:uB4aG4eo
- ズボンが下ろされ、屹立した物が出てくる。
私はそれから目を反らせなかった。
「おいで」
柱に寄り掛かるように座ったホークが差し出した手を取る。
ホークの足を跨ぐように膝立ちさせられると、腿を液体がつたい身体が
震えた。
彼は私の腰を持ち、ゆっくり下ろしていく。
「位置、調節して」
言われた通りに、彼のものに手を添えると、それはピクリと動いた。
凄く、熱い…
「場所、解る?」
「ん…」
私の一番熱い所…ヒクヒクと震え、彼を待ち続けてるから、解る。
期待で鼓動が速まる。
硬い先端が当たり、私を押し広げて侵入してくる圧迫感。
待ち望んだ感覚に、息がつまり、背が反る。
倒れないよう、そのガッシリした肩を掴む。
引っ掛かりがある一点を通過した途端、頭が真っ白になった。
頬をペシペシと叩かれて気付くと、ホークの上に座り込んでいた。
達してしまったのだろうか。
「はえーよ」
間近で笑われ、体の中心が縮まるのを感じる。
私の中の、ホークの脈動が伝わってくるみたい。
身じろぎしただけで息が漏れた。
やっとで体を揺すれば奥で擦れ合い、体中を悦びが支配する。
「は…あ、ああ…ホーク…」
見上げると、朽ち葉色の瞳に私が映っていた。
悦楽に溺れ、だらしなく開きっぱなしの口元。
繰り返す口付けで零れた唾液も拭っていない。
やだな…今、すっごい可愛くない顔してる…
見られたくなくて、広い胸に顔を埋めると、また中心は窄まり、
体内の脈打つ彼の存在をより強く感じる。
ホークの手が、うなじをなぞり背筋を下る。
「ん…ふあっ…あんっ、」
ふいに突き上げられ、バランスを崩す。
甘い痺れに全身を支配されていく。
振り落とされないよう、しがみついていると太い腕に抱き締められる。
自分の重みで沈み、いつもより深くを突かれる。
開いたままの口から、獣のように流れる唾液は舐め取られ、
飛び出ていた舌をくわえられる。
私…ホークに食べられてるみたい。
このまま食べ尽くされたい。
気付けば、私は自分で自分の胸を掴んでいる。
やだ、見られてるのにっ!
でも、止める事はできなかった。
中で動く、ホークの形がはっきり感じ取れるほど、私は締め付けて
しまっている。
何度も突き上げられ、揺さぶられ、意識が白く染められていく。
追い詰められる感覚に、広い背中を抱きし、彼の腰に脚を絡める。
もっとこうして、ホークを感じていたい。
なのに確かに今、その瞬間を待ちわびてる自分もいる。
ホークの動きが激しくなっていく。
矛盾する気持ちも、快楽の渦に消えた。
- 105 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:42:51 ID:uB4aG4eo
- …もう…だめ…
「やぁ…ほーくっ、ほーくうぅぅっ!」
体がガクガクと揺れる。
もう、狂ってるのかもしれない。
ただ彼の名を呼び、その背中に爪を立てる。
「イッちまえよ」
低い声が聞こえた。
腰を掴まれ、強く突き上げられる。
いや!このまま、もっと、このままで…!
しがみつく腕に渾身の力を籠めた。
「 」
弾けていく意識の中。自分の叫ぶ声と、体内に広がる熱い迸りを感じていた。
霞みがかった意識の中、ズルリと、ホークが出ていくのを感じる。
その感触に喪失感を覚え、また体は求め始める。
「っ…ぬいちゃやだぁ…」
手が空をさまよう。
私は抱き上げられ、背を預けるように、ホークの足の間に納まった。
「うん。でも、その前に…」
ゴツゴツした指がいきなり秘所に潜りこんだ。
「あああっ」
粘る水音を発て、中が掻き混ぜられる。
与えられる快楽に貪欲に食らい付く。
でも、足りない。
欲しいのは、違う。
腰の辺に当たる塊は、硬さを取り戻し始めている。
悶える度にそれが擦り付けられ、大きくなる。
指が折り曲げられ、ぐるりと回された。
「やああぁぁっ」
また、絶頂の波に襲われ、腰に回された腕を掴む。
「リディ、舐めて」
目の前にはホークの指があった。
滴りそうに絡み付く、少し泡立った白い液体は私とホークのが混ざった…
じわりと、また溢れる。
私は舌を伸ばした。
変な味…
喉にへばりつくような感触も、良いとは決して言えないけれども、
我慢して飲み込む。
ピチャピチャと音が響く。
もっとして欲しい。
そのためだけに、こんな事をしている自分がたまらなく恥ずかしい。
それでも、身の内の衝動には逆らえなかった。
ぬるぬるした指がだんだん唾液でベタベタになっていく。
更にその手を掴んでくわえ、舌を絡めしゃぶる。
- 106 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:45:47 ID:goiJVEmX
やがて、指が口から出ていった。
あれ?なんだろ、気分が落ち着いてきた。もしかして…
「今のが、解毒…薬?」
「そ、頑張ったな」
変な気恥ずかしさに苛まれながらも、振り返ってみると、大きな手に
頭を撫でられた。
誉められた…。
嬉しくて後ろに体を預けると、二本の腕に抱き締められる。
暖かい。ホークの鼓動が伝わってくる。
私も少しずつ、でも確実に鼓動が速くなる。
媚薬のまやかしなど無い、私の気持ち。
ホークを大好きな、私の鼓動。
「…ね、ちょうだい…」
「リディ?」
少し恥ずかしいけど…
「"解毒薬"は効いたわ。だけど、ううん。だから。いつもみたいに…
して…ほしいの」
「かしこまりました」
笑いを含んだ声が聞こえ、押し倒された。
ホークはシャツを脱いで、覆い被さってくる。
「ホーク、大好き」
「俺も。大好きだよ、リディ」
みつめると返ってくる笑顔に、体が暖かくなる。
抱き寄せて、自分からその唇をついばむ。
彼の腕に頭を抱えられ、何度も繰り返す軽いキスは、深いものへと
変わっていった。
ホークの、味。
互いの唾液が混じり合い、飲み込まれていく。
それは恥ずかしいとか汚いとかじゃなくて、嬉しい。
「んぅ…ふっ…」
熱い手が体に触れれば、自然と息が漏れる。
好き。
好きで好きで仕方ないから、何度伝えても充分な気がしない。
あなたに抱かれているから、心も体も気持ち良くなれるんだよ。
伝わってるといいな…
- 107 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:47:40 ID:xu8hp5On
- * * *
目を覚ましたら、見覚えのある天井が見えた。
背中には柔らかい感触。そして、暖かい。
ここは…ホークの家の客間だ。
前も気失って、ここに担ぎ込まれたっけ。
…という事は、あのまま私…
起きあがると、ホークがベッドに頭だけのせて寝ていた。
その寝顔を見た途端、頭に血が昇る。
もうやだ。記憶、消えてれば良かったのにっ!!
も、もう少し、寝たフリしよっ。
「あ…起きた?」
もう一度横になり、頭から布団を被ろうとした瞬間だった。
起きちゃった。
なんかニコニコして、機嫌良さそうだなぁ…。
大好きなはずの笑顔を見てられなくて、毛布を顔までずり上げる。
「う…うん」
「体、大丈夫か?後遺症も何も無いってアイツは言ってたけど…」
強いて言うなら、体のいろんなトコが痛いです…。
そんな事言えないから、黙って頷く。
「そっか。異常があったら、早く言えよ。中で出しちまったし…」
あーっ、言わないでっ!!
私が思いっきり、しがみついてたせいじゃない!
その後だって、私が…
体を強ばらせた瞬間、ドロリと何かが出ていくのを感じた。
…ホークのだ。
私はもう、コクコクと頷くのがやっと。
ホークは何も言わない。視線が突き刺さる。
喋んないから、怒ったのかな…
恐る恐る毛布を下げると、真剣な瞳がこちらを見据えていた。
目が合うと、いつもみたいに笑って頭を撫でられる。
「おやすみ」
それだけ言うと、出ていってしまった。
心臓がまだドクドクしてる。
深呼吸してから、まず自分の体を確かめる。
体は清められ、自分の寝巻を着ていた。下着も新しくなってる。
ホークがやってくれた…んだよね?
- 108 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:50:18 ID:Kpfiq+Fr
- ヒュージリアに来て、もうすぐ1ヶ月。
ホークの家には、こうして私の着替えが揃ってしまってる。
天井を見上げながら、『初めての夜』を思い出していた。
あの時は不思議なくらい、男の人に抱かれる事に恐怖心は無かった。
ホークから離れてしまう事の方が怖かったから。
あれから何度も、ホークと肌を重ね、最初の頃は酷かった痛みも、
だんだん薄れていった。
本当は喜ぶべきなんだろうけど、私はそれが少し淋しかった。
翌日も辛いような痛みは、それだけホークが強く体に刻み込まれてる
気がして…。
痛くても嬉しいというのはおかしいのかな。
でも、ホークにされる事だから、痛くても嬉しい。
私にとって、ホーク以上の媚薬は無いんだわ。
そういえばまたお礼、言い忘れたなぁ。
でもさすがに今回は、彼の部屋まで乗り込む勇気は無い。
窓の外は澄んだ星空。この町の夜は、冷え込む。
………。
やっぱり行っちゃおうかな。
きっと、ホークは笑って迎え入れてくれる。
そして同じベッドで、手を繋いで…
駄目。やっぱ無理。
一度は起き上がりかけた体を倒し、枕に火照った顔を埋めた。
あーあ。明日になったら、まともに顔を見れるかしら。
- 109 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:52:11 ID:21l7d0Ts
- * * *
- epilogue ---------
あれから5日。
レッドムーンの午前は相変わらず閑散とし、客も俺達以外は誰もいない。
「なんか、イロイロ大変だったみたいだね〜」
クリスは軽く言ってくれる。
俺が誘拐された事件のあらましは、クリス達の耳にも入ったらしく、
スコットとノーア家の取引は断絶が決定したらしい。
「まあな。でも、今日はお前が大変そうだったな」
今朝訪ねて来たクリスは、店に踏み込むと同時にリディに捕まえられ、
彼女の部屋と引き籠もること小一時間。
俺がここに着いた時は、クリスがヘロヘロと部屋から出て来た
トコだった。
なんでも、この前の無責任行動についてずっと正座で、説教を
くらい続けたとか。
「今日のはそうでもないよ…。足はまだ痺れてるケド」
神妙な顔で、少年はジュースを啜る。
「で、アレはどうしちゃったのさ」
「あ〜、アレなー…」
愉快そーに視線をリディにやるクリスに苦笑する。
リディは今、カウンターの横でコチラが視界に入らない角度に
立っている。
近くに座るローズが時折何事かを話しかけるが、口数は少ない。
俺は声をひそめた。
「…スコットのその後は聞いたか?」
「ううん」
「あれからなー、男も、男らしい女も懲り懲りだって、おとなしい
貴族の嫁さん探してるらしいぜ…」
「あ、なるほど」
クリスからは堪えきれない笑いが零れている。
要するに、自分がそれ程スコットに恐怖心を与えた事が
ショックだったらしい。
その話を聞いたから時、かなり落ち込んでるご様子で…。
- 110 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:54:20 ID:goiJVEmX
- それより重大な問題がある。
頼れる者はクリス以外にはおらず、俺は姿勢を正して咳払いする。
「ところで、クリスさん。事件後、俺は何故かリディさんにまともに
口を聞いて貰えてないんですが…」
近寄ればそそくさ逃げるし、話しかけても、返ってくる言葉は
一言、二言。
ワケも解らずこの5日間、ストーカーのようにリディに付きまとっては
口説き続けている。
原因は全くワカリマセン。
もう、淋しくて限界…。
なのにクリスの笑いは加速し、机に突っ伏し肩を震わせている。
なんかムカつく。
「クリス、てめー…」
「っ…ご、ごめんごめん」
ヒーヒーいう息を整えるが、その顔はまだ笑いを堪えている。
「まあ、もーちょっと待ってあげてよ。怒ってるってより、
照れてるんじゃないかな。リディは怒ったら説教だもん。
キミ、何したのさ」
―ぶふっ
その問いに茶を吹き出した。
な、何したって、ナニしか…もしかして、原因はソレか?
「催淫効果の解除方は、精液を飲ませる事」なんてスコットが
ほざいた時は殺意が湧いたが、俺的にはそーとーオイシイ
役回りだった。
俺だって年頃のオトコノコだ。
そりゃあ、いろーんな妄想が駆け巡ったさ。
それでも、一番無難な手を選んだつもりだったんだが。
…まあ、そうだな。イロイロ刺激が強すぎた、と。
しかし、俺の指を舐めてたリディの顔を思い出すと、今でも
ゾクゾクする。
「心当たり、あった〜?」
ニヤニヤしながら、聞いてくるクソガキの足を軽く蹴る。
「うりゃ」
「〜〜〜っ!卑怯者!!」
痺れの残る足を抱え、クリスが呻く。
- 111 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 00:56:01 ID:/9tNkxwr
その時、無意味に陽気な声が響いた。
「ちぃーす!おや、皆様お揃いで」
「あら、ビー」
「何か用かい」
入ってきたのはビー。
笑顔で迎えるママに対し、メイさんは一瞥した後すぐ視線を逸らす。
「メイさん、冷た〜い!用も何も、自分ちに帰って来ただけじゃん」
「え?自分ち…?」
そこまで沈黙していたリディが声を上げる。
あれ?リディ、知らんかったのか。
「ふっふっふ。俺こそメイとスネイルが一人娘、ビーでっす」
「え?ええ!?」
Vサインなど出しながら、歩み寄るビーをリディは唖然とみつめている。
「すまないねぇ…。本当はあの時、言っとくべきだったんだけど」
「ごめんなさい。言い出しにくくて…」
口々に謝るメイさん達の恥ずかしげな表情は、滅多に
見れるもんじゃない。
そう、ビーは正真正銘の『女』。
俺とは幼馴染みのよーなもんである。
趣味は女遊び。
そんなで、ママ達も人(特に女)には紹介したがらないから、
リディが知らなかったのも無理は無いか。
自分が男装してるからって、他人もそうだとは思わんだろうしな。
「ちなみに好みのタイプは、可愛い女の子。どお?これから
デートしない?」
当の本人は、んなことほざきながらリディの手を握ってやがる!
俺なんか、ずっと触ってねーのに…
が、メイさんがビーの首をホールドしたのは、俺が立ち上がるより
早かった。
「お前は!盛ってばかりないで、たまにゃ親を手伝いな!」
そのまま、ビーをカウンター内へと引きずり込んでしまった。
「リド、今日はお休みでいいよ」
「あ!じゃあ、俺がリドのステキな休日をプロデュース…ぐげっ」
めげないビーの戯言は、メイさんの絞め技により鎮圧された。拍手。
「あ、あの…」
リディがやっと我に返ったようだ。
「この前は散々だったんだから、ゆっくりしてきなさいよ」
「は、はい。ありがとうございます」
メイさんとママに一礼し、リディの動きが止まる。
「そういえば…ビーは、私が女だって気付いてたの?」
「んにゃ。なんで?」
「だって、あなた初めて会った時から…」
言いながら赤面し、俯いてしまったリディを、ビーは
楽しそうに見ている。
俺がいない間に何があったんだ!?
「ああ。いやさ、久しぶりにこの街に戻ったら、ホークが
うちのウェイターに手ぇ出してるって噂じゃん。んで、興味津々で店を
覗いたら、かーいい子が居る。これなら俺でもイケるかもーって」
- 112 :R.m.G.-ひみつのくすり- ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 01:00:37 ID:Kpfiq+Fr
「お前もスコットと大して変わんねーな…」
俺がツッコむと、ビーはムッとして振り向いた。
「失礼な。リドを横取っちゃえば、俺は普通のレンアイできるし、
ホークを直の道に戻す手伝いもできて一石二鳥!
そこまで考えてたんだよ?」
「まず、変な噂を真に受けんな!」
コイツは、思慮が有るんだか無いんだか。
「ま、リドを可愛いと思ったのはホントだし。女の子でも問題は
全然無いわけ。ってコトで、ホークに飽きたらいつでも言ってね。
あいつよりも、気持ち良くしてあげるよ〜」
「あ、あはは…」
満面の笑みで乗り出すビーに、リディも退き気味だ。
「リディちゃん、あっち行きましょ」
見かねたローズに手を引かれ、気まずそうにリディがやってくる。
「ローズちゃんも、大きくなったらヨロシクねー」
「覚えてたらね」
ローズは呆れたように吐き捨て、こっちのテーブルに着いた。
俺の隣にはリディが。
彼女から近寄ってきてくれるのは久しぶりで、嬉しくなる。
(ローズの強制でも!)
「リディ、なんかモテてるね」
「こういうのも、モテてるっていうの?」
楽しげなクリスに、憮然とリディが返す。機嫌悪そー…
「さあ。でも、男運がないのは確かじゃない?ねえ、ローズ」
「かしらね」
んの、クソガキ共が。でも、ローズに言われるとなんかヘコむ…
「やっぱそう思う?」
うわ、ひっでぇ…リディまで、さらっと…。
しかし、その言葉には続きがあった。
「ホークに会えた事で、男運使い果たしちゃったんだわ」
「…ノロケはいーよ」
クリスが生温い笑いを浮かべ、立ち上がる。
「ローズ、皆忙しいみたいだから、町でも案内してよ」
「おっけ〜」
二人は連れ立ち、出掛けて行った。
気ぃ効いてるんだかなんだか…
俺はというと、さっきのリディの言葉に舞い上がって何も言えない。
もう、許してもらえた…かな?
「…あの、リディさん。そろそろ、ご機嫌直していただけました?」
「えーとね、ホークが遊びに連れていってくれたら、直る」
よっしゃ!
「んじゃ、早速行くか」
立ち上がり、リディを引っ張りあげるどさくさに、耳に一瞬口付ける。
「っ…」
上げかけた悲鳴を飲み込み、目を見開いた真っ赤な顔がみつめてる。
5日間ほっとかれたんだ。これくらいは、悪戯させて頂きマショ。
「なにボーッとしてんだ?行こうぜ」
握った手を引っ張ると、ばか、と呟きが聞こえる。
いつもどおりの反応に、小さな手の感触。
やっぱ、こうじゃないとな!
今日こそはリディを独り占め出来る。
ビーには明日も働いてもらうとしよう。うむ。
-end-
- 113 : ◆.Xo1qLEnC. :2006/01/17(火) 01:09:19 ID:0ssIlWCJ
- 以上っす。
お付き合い頂いた方々、誠に感謝です。
>姦理人様
修正、有難う御座いました!
もう、いつもいつも本当にお疲れ様です。
倉庫のアドレスは宝物ですよ。
置き土産
つhttp://g.pic.to/6jrpk
- 114 :名無しさん@ピンキー :2006/01/17(火) 01:28:47 ID:pJC/pUxw
- かわええ…
GJです
僕には両方女の子にしか見えませんありがとうございました
- 115 :名無しさん@ピンキー :2006/01/17(火) 19:17:49 ID:dQlfRENE
- >>113
GJです。もうGJしか言えません!
- 116 :名無しさん@ピンキー :2006/01/18(水) 00:01:54 ID:bW1QeN0l
- すげーっす。GJっす。保存したっす。
- 117 :名無しさん@ピンキー :2006/01/18(水) 09:45:34 ID:tw8G53ID
- 昨夜まとめサイトで過去ログ見たんだが、
2から3のあたりの職人の投下頻度は異常だな
- 118 :名無しさん@ピンキー :2006/01/19(木) 21:58:38 ID:wox9EM+J
- 住人の七割が職人さんとか言われてた品w
- 119 :Z :2006/01/21(土) 13:10:36 ID:q+Wf8QcA
- 【Zの続きです。最後まで投下します】
「エリス、質問があるんだけど?」
「え?・・・なんでしょう?」
エリスをそのまま抱きかかえて寝台まで運ぶ。ついでに、ふと思ったことを聞いてみた。
「エリスから見て俺はどうなんだ?」
「どう・・と言いますと?」
「んーーと・・・まぁなんだ、カッコいいとかステキとか。」
言ってて恥ずかしくなってきた。他人目など気にしないタチだが俺はどういう人間に見られてるか
知っておくのもまた一興・・・なんて思っただけなんだが、失敗だったかな。
「・・・ゼット様は温かいです。」
「温かい?」
「はい。私はゼット様の温かさに触れるだけで身も心もいっぱいになります。」
「そうか?自分で言うのもなんだが俺は冷酷な人間だぞ。」
「そんな事無いです。王国軍にいた頃の私は寒くて辛くてたまりませんでした。
力だけが物を言う白騎士団で私が一つだけ寒さを凌げるのが、小さい頃に会った
ゼット様の手の暖かさの思い出だけでした。」
「エリス・・・。」
「両親を亡くした私はずっと心に寒さを抱えていました。だから温かさが欲しくて・・・
ゼット様に会いたくて・・・私は白騎士団に入りました。彼等がゼット様の仇とも
知らないで・・・。」
「もういいよ。」
エリスが俺の王国への憎悪を知り、自分が白騎士団に入った事を後悔している事は知っていた。
だからその件に関して必要以上に詮索する事は避けていたのだが・・。
俺はそっとエリスの頬に手で触れた。
「よりによって会いたかったゼット様の敵に・・・でもゼット様は私を愛してくれた。
またこの温かさを私にくれた。」
俺の手をそっと握り返すエリス。
「ワガママですけど、この温かさを失いたくないです。」
「・・・わかった。」
「ん・・・」
横たわるエリスに覆い被さり口づける。
「こんなんでいいなら・・・いっぱいあげるよ。」
- 120 :Z :2006/01/21(土) 13:11:51 ID:q+Wf8QcA
- 「ふ・・・うぅん・・・」
お互いの舌を絡め合いながら俺はエリスの服を脱がしにかかる。
「あっ、んぅ・・あん・・・」
シャツを脱がし乳房を隠していたサポーターを取り去る。
「うぁ・・そこは・・ひゃぅ!!」
舐める矛先を胸へと変える。
「あぁぁ・・・うぅぁ・・んぁ。」
左の胸を舌で舐めまわし、右胸を手で優しく揉みしだく。初めはただ戸惑うばかりだった
エリスの声が次第に熱を帯びた甘い声へと変わっていく。
「んぅぅ〜・・・ゼッ・・トさまぁ・・・お・・っぱ・・いが・・・
気持ちい・・・い・・ですぅ〜・・・あぁぁ・・・」
エリスの声に応えて胸への責めをさらに強くする。
「ふあぁぁぁ。」
エリスが恍惚の声を上げる。
「ゼット様・・・もっと・・」
「ん?」
「もっと・・・エリスに触ってください・・・おっぱいだけじゃなく・・・いろんなトコ・・」
「ああ・・・わかった。」
顔を真っ赤にし、涙目になりながら懇願するエリスに興奮した俺はエリスの臍や脇腹まで
舐めまわす。
「やぁぁ、あっ、あぁぁ!!いいのぉ・・・気持ちいいの!!」
エリスの声も話半分に俺はエリスの腰を持ち上げズボンからベルトを引き抜く。
ダボついた瞬間を狙って一気にショーツごとズボンを脱がした。
「きゃっ、あぁぁ・・」
下半身を剥き出しにされて襲ってくる肌寒さにエリスが小さな悲鳴を上げた。
「ここ・・もう濡れてるぜ。」
エリスの秘所からはヌメりがかった蜜がトロトロと流れ始めていた。
「言わないでください・・・あぁ・・」
ワレメをそっと指で撫でるとエリスは恥ずかしがりながらも上ずった声を上げる。
- 121 :Z :2006/01/21(土) 13:13:18 ID:q+Wf8QcA
- 「エリスのここ、ヒクヒクしてる。可愛いな。」
秘所に指を滑り込ませ中をゆっくりとかき回す。
「ふぁぁ!!あぁぁ・・・んぅぅぅ」
「俺の指に絡み付いて・・・気持ちいいの?」
ちょっと意地の悪い質問をぶつける。
「ゼット様のだから・・・ゼット様のじゃないと・・・ふぅ!!」
その答えに嬉しくなってエリスの唇を奪う。
「くぅ・・・んぅ、むぅむ・・」
舌を絡めながら俺もエリスの”温かさ”に酔いしれる。俺自身の温かさはどんなものか
分らないが、今俺がエリスに感じている温かさと同じものならば俺も絶対に守りたい。
「ちゅっ、んっ・・・むぅ・・んんっ。」
エリスも俺の顔に両手で触れてキスに応える。
「うぅ・・はぅっ!!」
エリスの秘所から指を引き抜く。
「指じゃなく、ちゃんとエリスと繋がりたい。いいか?」
「あぁぁ・・・はい・・私もゼット様と・・・一緒に。」
快感に酔うエリスを愛しいと思いながら俺も服を脱いでいく。
「・・・・・」
興奮して大きくいきり立った俺の肉棒をエリスの秘所にあてがう。だが、挿れるのに躊躇いが生まれて
しまう。エリスを泣かせてしまう・・・本当にいいのか?
「・・・ゼット様・・・」
エリスは俺の頭の後ろに手を回してしっかりと固定した。
「大丈夫です・・・だから、お願い・・・」
「・・・あぁ。」
エリスの一言に勇気をもらった。俺は覚悟を決めてゆっくりと己の分身を刺し込んでいった。
- 122 :Z :2006/01/21(土) 13:14:21 ID:q+Wf8QcA
- 「あぁぁぁ!!」
挿入すると同時にエリスが身体を大きく反らして叫んだ。
「!!」
俺自身に緊張が走る。このままエリスを傷つけてしまう恐怖が全身に行き届く。
「・・・いです。」
「・・・え?」
「気持ちいいです・・・ゼット様の・・おちんちん・・とっても・・・」
エリスが痛みをこらえて微笑んだ。
「動い・・て・・ください・・・」
「いくぞ。」
出来るだけエリスに痛みを与えない様にゆっくりと、そして慎重に腰を動かす。
「んっ!!・・・ふっぅ、あぁぁ!!」
エリスは声をあげて俺を受け入れる。
「あっ、あんっ・・・んっ・・・はぁっ!!」
エリスの声に熱っぽさが増していく。それに負けじと俺も腰を動かすスピードを速めていった。
「あぅ、はぁん・・・・いい・・・きも・・ちいい・・ですぅ・・・」
背中に回されたエリスの手に力が入った。
「あぁぁ・・・すみま・・・うぅんん!!・・ゼット様・・・背中に・・・傷が・・ふぅあ!!」
「気にしないでいいから・・・もっと動くぞ。」
エリスが心配してくれた事に心が満たされる。その礼に俺も応えなくては。
「きゃぅ、あぁぁっ・・・んぅん・・・あっ!!」
力を込めた俺の一撃一撃にエリスは身体を大きく揺らせた。
「んぅぅ・・はぁ・・あぅっ、くぅ〜・・・んっ」
快感に喘ぐエリスに俺は口付けた。
「うむぅぅ・・・んぅ・・・はぅむ」
驚きや抵抗も無くそれを受け入れるエリス。そんなエリスにもっと自分と言う
存在を刻み込みたい。
- 123 :Z :2006/01/21(土) 13:15:35 ID:q+Wf8QcA
- 「ふぁっ・・・はぁっ・・・ゼットさまぁ・・・わたし・・わたしぃ・・・」
エリスの身体が小さく痙攣し始めてきた。
「イッていいよ。俺が傍にいるから。」
「は・・・はい・・・」
エリスも自ら腰を動かして迎え来る絶頂に備えた。
「くぅ、あっ・・・んうぅ〜・・・ひゃ、あぁ・・・」
一心不乱に動くエリス。そんなエリスの肉襞が俺の肉棒を刺激して俺も絶頂に導く。
「エリ・・ス・・・きもちいいよ・・・俺も・・・イキそうだ・・」
「きてください・・・わたしといっしょに・・・はぅ・・・はぁぁ・・・」
互いの息遣いが荒々しくなっていく。
「ゼットさまぁ・・エリス・・・エリス・・イッちゃう!!」
しがみついてきたエリス。そのまま小刻みに震えると俺と結合している秘所が大きく締まりだした。
「エリス!!」
その刺激に耐えられず俺もエリスの中へと今まで溜め込んだ全てをブチまけていった。
「あ・・あぁぁ・・・」
膣から俺の精液が流れ込む感覚に下半身を捻るエリス。
「よかったよエリス。」
そんなエリスの唇に舌を這わせる。うっすらと乾いた唇が潤うまでペロペロと舐めまわした。
「んぁ・・あぁぁ・・・ゼット様・・・」
俺の舌にエリスが自分の舌を絡ませてくる。
「む・・・んぅ、ううぅ・・・うぅぅ・・むぅぅ」
舌同士の戯れが次第に貪り合う激しいキスへと変わっていく。
「ううん・・はぁぁぁ・・・」
キスを止まないまま俺達は眠りにつくまで互いを求め合った。
- 124 :Z :2006/01/21(土) 13:16:14 ID:q+Wf8QcA
- そして、
「おらっ!!」
巨大な火球を敵に放つ。
「ん!?」
攻撃の網目をくぐって敵の光弾が俺に襲い掛かる。
バシュッ!!
しかし、その光弾は俺に当る前に弾かれた。
「ゼット様。」
「エリス、ありがとう。」
エリスが敵の攻撃を結界を張って防いでくれた。
「さて・・トドメといきますか!!」
「はい!!」
意気揚々と正面から敵陣に向かう。
今の俺は弱いかもしれない。だけどそれを支えてくれる仲間が、そしてエリスがいてくれる。
それだけで俺は誰にも負ける気がしなかった。
第9話 〜完〜
- 125 :実験屋 :2006/01/21(土) 13:22:49 ID:q+Wf8QcA
- 以上になります。
ギャグテンポで書けないので以外に手間どるZだったりします。
>>.Xo1qLEnC.様
GJ!!!です。リディが可愛すぎます。
>>113のリディにKOです。
- 126 :名無しさん@ピンキー :2006/01/21(土) 18:33:14 ID:xplX18DK
- >>125
GJです!!これでZは終わりでしょうか?Zはかなり好きな作品なので、
もし終わってしまうとしたら悲しいです(´・ω・`)
- 127 :名無しさん@ピンキー :2006/01/22(日) 04:03:18 ID:FcIdByLb
- グッジョブ、グッジョブ!!
- 128 :名無しさん@ピンキー :2006/01/22(日) 13:48:21 ID:Fd5w0llJ
- センター試験にボクっ娘が・・・
- 129 :名無しさん@ピンキー :2006/01/22(日) 20:13:47 ID:GSdUhcOp
- センター?
…貴様年齢詐称しておるな(゜Д゜;)
まだ受験終わってないでしょ
勉強しなさい(゜Д゜;)
- 130 :名無しさん@ピンキー :2006/01/22(日) 20:32:18 ID:G0YtNhNt
- >129
いや、朝刊読んでみ。朝日なら20面。
- 131 :名無しさん@ピンキー :2006/01/22(日) 22:19:03 ID:GSdUhcOp
- えっそんなのでてるのか?
- 132 :名無しさん@ピンキー :2006/01/23(月) 04:57:56 ID:TuTErU+2
- 個人的に、読後感の気持ち悪さは過去最高だ。
思い上がったガキが自分の平凡さに気が付いて絶望したー、って内容(?)っぽい。
- 133 :名無しさん@ピンキー :2006/01/23(月) 13:14:02 ID:aD8C+syN
- >132
そんなに気持ち悪いのかと興味を持って新聞あさったがなかった
>Z
乙!敵には冷酷のエリス萌
- 134 :名無しさん@ピンキー :2006/01/23(月) 21:00:19 ID:mD3rZvOL
- >>128
センター試験の会場でボクっ娘がコメントした記事があったのか?
- 135 :名無しさん@ピンキー :2006/01/23(月) 21:36:59 ID:ttCGEV5Q
- 弟がセンター受けたので聞いてみたら物語問題の主人公の女子高生があえて僕という言葉を使うことで世間に縛られたくない純粋な自分の魂を確立させたい
みたいなよーわからん内容だったらしい
男装には関係なかったみたい
弟その物語満点取っていて喜んでた
- 136 :名無しさん@ピンキー :2006/01/23(月) 22:05:07 ID:mD3rZvOL
- 「僕はかぐや姫」でぐぐるといろいろ出てくる模様
- 137 :名無しさん@ピンキー :2006/01/25(水) 21:42:47 ID:Qb7A9Wtk
- hosyu あげ。
- 138 :名無しさん@ピンキー :2006/01/25(水) 22:42:34 ID:x8p5wCGQ
- 自分は小説が太宰治の年に現代文合計95点取ったな。
漢文も満点だったが古典で撃沈したさ。
- 139 :名無しさん@ピンキー :2006/01/26(木) 01:21:50 ID:+8SMS2hs
- 新聞に載っていたセンター試験の現代文を読んでみたが、痛すぎる文章だった。
あんなのが試験に出た受験生テラカワイソス。
- 140 :名無しさん@ピンキー :2006/01/26(木) 16:45:01 ID:61mBaOqX
- そろそろ8838氏来るかな?
- 141 :名無しさん@ピンキー :2006/01/27(金) 00:19:17 ID:159QKvba
- ゴッドファーザーズ氏、最近来ないなあ…
職人さん達がここ、見失ってないと良いんだけど(´・ω・`)
- 142 :名無しさん@ピンキー :2006/01/27(金) 01:18:20 ID:ItZbUNVI
- 前スレ誘導忘れてたからな。
とりあえず目立つようにageる。
- 143 :名無しさん@ピンキー :2006/01/28(土) 22:08:15 ID:3Di+4Qpl
- 二重奏の続きを待ち望んでいる俺ガイル
- 144 :名無しさん@ピンキー :2006/01/30(月) 02:29:30 ID:pxY8zIT8
- 職人さん達が降臨するまで保守する。
- 145 :名無しさん@ピンキー :2006/01/31(火) 12:22:35 ID:2+YSKUkB
- 保守
- 146 :名無しさん@ピンキー :2006/02/02(木) 07:45:43 ID:RxahjNn5
- 保守
- 147 : ◆aPPPu8oul. :2006/02/03(金) 02:08:20 ID:Y7UpFBPA
- お久しぶりです。
あまりにもスレが寂しいんで冒頭だけ投下します。
次の投下が一ヵ月先か二ヵ月先かわかりませんがねw
- 148 :常緑1 ◆aPPPu8oul. :2006/02/03(金) 02:09:46 ID:Y7UpFBPA
- 「若様。おかしな娘を捕らえました」
美しい綺羅の衣を纏った男が声をかけるのは、これもまた美しい綺羅をまとった若い男。
二人はどちらも白い肌と美しい金髪を持ち、整った顔立ちをしている。
「おかしな?」
聞き返した若い男が振り返ると、耳にかけた長い髪が揺れる。
その耳の先は普通の人間とは違い、とがっている。
「はい。男の……野伏のような格好をしていまして」
答える男も同じく耳の先がとがっている。
人間よりも背が高く細身で美しい顔立ちをし、聡明で魔法に長け、美しいものを愛し森の中で生きる。
エルフと呼ばれる種族。
若様と呼ばれた男は、そのエルフの中にあっても格別に美しい。
「人間か?」
程よい厚さの唇から発せられる声は、歌うように低く耳に心地よい。
「いえ、ダークエルフです」
「そうか。会おう。手荒なことはしていないな?」
「はい」
歩き出した男の名はエルヒア。エルフのみなず、ドワーフや人間の国にもその名を轟かす、戦士であり王子。
剣、弓の扱いたるや一騎当千、魔法の知識は専門の研究者のそれに等しく、政治においても歴史上のあらゆる王に
劣ることはないとされている。
並ぶものなき天才と、人々の羨望と畏敬の念を向けられる男。
エルヒアそれでいて、おごり高ぶることもない人格者でもあった。
彼の守る館は他のエルフたちの住処と同様、美しい森に囲まれている。
それでいて技術の粋を尽くしてほどこされた装飾の華美さは人間などのそれとは比べ物にならない。
かすかに翡翠の色を匂わせ太陽の光を取り込んだ眩い白い館を進み、エルヒアは一つの部屋に入る。
そこには薄い鎧を身にまとった二人の若いエルフと、彼らに押さえつけられた一人のダークエルフがいた。
報告どおり野伏の格好をしたダークエルフの娘は、人間に例えれば15,6歳ほどに見える。
ダークエルフ特有の褐色の肌と艶のある黒髪、吊り上った深紅の瞳が強気にエルヒアを捉える。
「あんたは?」
娘の慇懃な口の利き方に、部下達の表情が険しくなる。
「控えろ。こちらは常緑の館が主人、エルヒア様だ」
「あんたが……」
驚きに目を見開き言いかけた娘はきっと口を閉ざし、頭からつま先までエルヒアを眺める。
その視線にも顔色一つ変えず、エルヒアは落ち着き払った様子で娘の前に歩み寄り、髪を一房つかむ。
「このような美しい髪を持った娘が、何故わざわざ野伏の真似事などする。
大人しくしていれば客人として迎えるものを」
途端、娘はエルヒアをにらみつけ、男たちを振り払って腰の短刀を抜いた。
「おい!」
男達の制止の声も聞かず、娘は自分の髪を一つかみにし、ばっさりと切り捨てた。
あまりのことに呆然とする男たちの前で、娘は再びきっぱりと口を開く。
「お前みたいな男は嫌いだ」
床に落ちた美しい髪を眺めていたエルヒアは顔を上げ、娘の視線を穏やかに受ける。
「嫌いでかまわん。まずはここに来た理由を教えてもらおう」
落ち着き払った態度に娘は閉口し、部下達も平常心を取り戻す。
「若様がお聞きだ。答えろ」
「……目的なんてない。俺は一人で旅してるんだ。たまたま通りかかったらエルフの匂いがしたから」
「それで何か、私の部下に捕らえられるようなことをしたのか? 」
「ここが常緑の館だと聞いたから、物珍しくて歩き回っていただけだ」
物怖じしない娘の答えにエルヒアは満足そうに頷く。
「そうか。それは私の部下が失礼をした」
娘の後ろに居た若いエルフが不満げな表情を見せたが、エルヒアに気を使ってか口を開くことはない。
「別に良いさ。おかげで常緑の若君も見れたし、俺をここで開放してくれるならそれで満足だ」
自分の意志を尊重されたことに気を良くしたのか、娘の口調がいくぶんか柔らかくなる。
「ああ。すぐにでも開放させよう。唯一つ、聞いてもいいか? 」
娘は答えず、その真紅の瞳でエルヒアを見上げる。
「名はなんと言う」
「アルト」
その名の通り、耳に心地よく響く声で答え、少女はエルヒアの瞳を見据える。
満足げに頷いたエルヒアは、わずかに口角を吊り上げる。
「そうか。良い名前だ。しかしこのところこのあたりは物騒でな。夜になるとオークどもが騒ぎ出すのだ。
若い娘一人を歩かせるのはちと忍びない。とはいえ君の自由な身を私が拘束することもできない――」
- 149 :常緑1 ◆aPPPu8oul. :2006/02/03(金) 02:10:57 ID:Y7UpFBPA
- まわりくどいエルヒアの言い様に、アルトはいぶかしげな視線をむける。
「何が言いたい」
「君さえよければこの館に留まって欲しい。余計な面倒ごとが増えるのは嬉しくないからな」
エルヒアの申し出に、アルトは年頃の娘らしく驚きの表情を作ってみせる。
「――良いのか? 俺は客人でも何でもないし、第一アンタの知り合いですらないんだぞ」
「かまわんさ。ダークエルフならば同胞も同然だ。気が済むまでいると良い」
「若様」
止めようとした部下を手を振って制止して、エルヒアは微笑む。
「食事も好きなときに言いつければいい。ただ夜中の外出だけは控えてくれ。あとで世話をさせる女給を呼ぼう」
破格の扱いにその場にいた全員が口を開いたが、まともな声を出せたのはアルトだけだった。
「――いいだろう、しばらくいてやるよ」
- 150 :名無しさん@ピンキー :2006/02/03(金) 08:34:08 ID:9NXe0788
- 神降臨にGJ!!!!とマンセーーーーーー!!!!
- 151 :名無しさん@ピンキー :2006/02/03(金) 11:26:05 ID:s3gwoJHg
- >147 乙です
ところで慇懃と開放は素?
- 152 :名無しさん@ピンキー :2006/02/04(土) 10:05:34 ID:qHnmx4wG
- 遅ればせながら乙です!!
正直、最近の過疎ッぷりが寂しくて仕方がなかったっす。つづきが見たいでし。
- 153 :名無しさん@ピンキー :2006/02/05(日) 02:00:20 ID:8CsCIg9z
- うは
敏感そうな耳だw
- 154 :名無しさん@ピンキー :2006/02/06(月) 21:23:03 ID:EavxbVaY
- いきなりスレ住人の方に質問ですが
初めて「男装」を知るきっかけになったキャラを教えてほしいです
自分は幼いときに見たアニメ三銃士のアラミスだったり…って歳ばれますね
- 155 :名無しさん@ピンキー :2006/02/06(月) 21:45:50 ID:BFvKdvCa
- >>154
お前は俺か!?
- 156 :名無しさん@ピンキー :2006/02/06(月) 22:12:12 ID:npUShTym
- 10年以上前にガンガンで連載されてた一本木蛮のマンガ「最強無敵!ド根性一家」。
親の手違いで女人禁制の男子校に通う羽目になった男装巨乳娘が
毎回胸のさらしと学ランをひん剥かれる場面がツボだった。
- 157 :名無しさん@ピンキー :2006/02/07(火) 19:20:28 ID:E1b238Ch
- 第三子が女児であれば
男子として育てればいいわけで。
- 158 :名無しさん@ピンキー :2006/02/07(火) 20:07:12 ID:vrh//1ln
- >>157
お父さん!!娘さんを僕に下さい!!
- 159 :名無しさん@ピンキー :2006/02/07(火) 20:43:10 ID:0lmS12by
- >>157
そしてどこぞの男児を女子として育てて結婚させれば何事もなく……良いのか?
- 160 :名無しさん@ピンキー :2006/02/07(火) 20:49:04 ID:ETOKQTWZ
- 男装を知ったのオスカルだが
男装による萌えを自覚したのはFFのファリスだ
- 161 :名無しさん@ピンキー :2006/02/07(火) 22:23:40 ID:t/PSN8PK
- >>157
重臣に男装をあばかれて追放されるけれど
最後には女の心を取り戻して隣国の王子と結婚するんだっけ?
- 162 :名無しさん@ピンキー :2006/02/07(火) 23:19:17 ID:iTedhzH9
- >>161
隣国の王子はまずいだろwwwww
気を病んだ妻を守るため、宮内庁とも一族とも距離を置く東宮。
侍従や他の宮家が弟宮に期待を寄せる中、時の首相に働きかけ、
娘を皇位につけるための算段をするなか、
皇統を守るため、弟宮は東宮と袂を分かつことを決意。
ついに世継ぎの男児をもうける。
それから十数年───
姉宮二人に劣らず、その美貌を称えられる弟宮。
人目をはばかり汗ばんだシャツを着替えているところを
男が覗き見てしまう。
こういう話だよw
覗き役は学友でも若い臣下でもお好きにどうぞ。
- 163 :161 :2006/02/09(木) 00:21:24 ID:E0ldOYIn
- >>162
あ、ごめん、上のほうの「男装を知ったきっかけ」と絡めて
リボンの騎士をパロったんだ。
「隣国」でつっこみが入るかとも思ったけどやっぱ入ったか。
- 164 :名無しさん@ピンキー :2006/02/09(木) 19:45:30 ID:ZrDOeLRL
- エロゲーのプリンセスワルツのクリスに萌えてる(現在進行形)
そういえばまだ発売もしてないけど人気だなw
- 165 :名無しさん@ピンキー :2006/02/11(土) 18:53:11 ID:fnJnKPCh
- >>139
ああ、あのボクっ娘の問題か。
俺あの大問だけ満点だったよ。
- 166 :名無しさん@ピンキー :2006/02/11(土) 21:23:49 ID:g7pbx1sl
∩___∩
|ノ ヽ
/ ● ●| 21以下は出ていくクマ!
| (_●_) ミ
彡、 |∪| 、`
(ぃ9ヽノ/
/ /ヽ
/ ∧_二つ
| \
/ /\ \
/ / > )
/ ノ / /
`/ / ( ヽ
(__) \__つ
n__n
ノ" ヽ
i ● ●l、
メ、 (_●)ヾ 浪人その他だったらごめんクマ!
(ぃ9 U〈
/ ∧つ
/ \
`/ /⌒~~> )
(__) \_つ
○_○
(・(エ)・) クマ-
゚( )−
/ >
- 167 :名無しさん@ピンキー :2006/02/11(土) 23:58:58 ID:9T0ybEQ7
- クマAAにさらし巻いてくれる職人さんはおらんものか
「さらし? クマ、お前・・・
「Σ(゚д゚lll)クマー
「ごめん!! ガラピシャ(扉の向こうで)ドンガラガッシャーン
「あ、あの、さっきのことだけど、そのクマー・・・
「な、何のことだ?
「えーと、その、俺、怪我してるんだクマー
大したことないのに、あんな包帯、大げさだクマーよね、ははははは
「何のことだよ。俺、何も見てないから。本当に見てないから!
クマは俺の大事な友達に変わりないから!
「・・・うん、ありがとクマー
「なんだよ、泣くことないじゃんかよ
男だろ、こんなことで泣くんじゃねーよ、な? な?
「ん・・・クマー
- 168 :名無しさん@ピンキー :2006/02/12(日) 00:28:35 ID:f3Cqp1zP
- やば、どうしよ。
家帰って早々このスレ覗きに来て167読んだら、胸にきゅんと来た。
と思ったら、まだお風呂にも入ってなかったから
サラシ巻きつけたままだったおwwwどぅりで痛ぃ訳だwww
- 169 :名無しさん@ピンキー :2006/02/13(月) 21:38:16 ID:JrVtMrIT
- >>167
いいね。GJ。
- 170 :(1/6) :2006/02/14(火) 15:22:49 ID:leLTRkfj
- 二月十四日。
私立の男子校、最神学院に通う榊大輔(さかき だいすけ)は、教室に入る
なりいきなり頭を抱えていた。髪を短く刈り込んだ、中肉中背の少年だ。
「……か、帰りてえ」
机に突っ伏し、呻くように呟く。
その言葉に反応して、机の中に教科書を入れ終わった高円寺陸(こうえんじ
りく)が、心配そうに振り返った。
柔らかい茶色の癖毛、小柄でやや幼い顔立ちが可愛らしい。着用している学
生服は丈が合わないのか、少し大きかった。
大輔の幼馴染でもあり、また学生寮でのルームメイトでもある。
「どしたの、大輔。気分悪いの? さっきまでは、元気だったのに」
「そうだな。気分が悪いといえば悪い」
テンションも低く、大輔は陸の方に顔を向けた。
ふむ、と陸は首を傾げ、おもむろに大輔の額に自分の額を合わせた。
「んー、熱はないみたいだね」
「って、こ、こらぁっ!」
触れたのはほんの数瞬、反発した磁石よろしく、大輔は椅子に座ったまま大
きく後ずさった。後ろの席が強引に圧縮され、席に座っていた男子達は当然巻
き込まれて悲鳴をあげる。
「い、いきなり額をくっつけてくるな!」
- 171 :(2/6) :2006/02/14(火) 15:23:45 ID:leLTRkfj
- 「何だよぅ。体調が悪いのかどうか、ちょっと調べただけじゃないか。失礼だ
よ」
心配してあげたのに、と陸は不満そうに唇を尖らせた。
「し、し、失礼とか、そういう問題じゃなくてだな……ああ、もう」
頼むから、一応男子同士である事をもう少し自覚してくれ、と思う大輔であ
った。
「んー……それはあれ? 二人っきりの時にもがもが」
言葉の続きは、大輔が陸の口を押さえたため、くぐもってしまう。
「……分かってるんだったら、教室でやるな教室でっ!」
「ぷはっ! りょ、了解」
大輔の手から解放された陸の返事に、彼は大きく息を吐き出した。
まったく……本当に分かっているんだろうか分かってないんだろうなぁ。
一見女の子のように見える小柄な陸は、実は正しく女の子である。
本来男子にはないはずの膨らみは(ささやかながら)あるし、ついているは
ずのものはついていない。
が、それはこの学院では、決して表沙汰に出来ない秘密の事柄だ。
その理由は単純明白である。
男子校だからだ。
が、その単純な事を本当に忘れているのか、全然気にしていないのか、陸は
小動物のように首を傾げる。
- 172 :(3/6) :2006/02/14(火) 15:24:27 ID:leLTRkfj
- 「で?」
「何だよ」
「帰りたい理由、聞いてない」
「……陸、ここは男子校だ」
何度も言っているんだが、と心の中で念を押す大輔である。
「うん、知ってるよ?」
だったら、さっきみたいな事はやめろと大輔は言いたかったが、話が続かな
いのでここはグッとこらえた。
「つまり、女は限定されている。一部の教師と食堂のおばちゃんぐらいだ」
「購買部のお姉さんは?」
「ああ、それもいるな。とにかく、女性はほとんどいないといってもいい。な
のにだ」
大輔の握り拳がふるふると震える。
「うん」
陸の返事に、大輔は机に向かってその拳を叩きつけた。
「……なんで、下駄箱やら机の中やらにチョコレートが入っていて嬉しそうに
驚いている男子生徒が何人もいるんだ! おかしいだろうが、どう考えたって!!」
「あ、柔道部の部室前でチョコレート手渡ししてる人いたよ?」
「ぬがー! 異常だ異常! ここは魔界かー!」
たまらず立ち上がり、絶叫する大輔であった。
- 173 :(4/6) :2006/02/14(火) 15:26:40 ID:leLTRkfj
- すると、後ろからクールな声音の突っ込みが入った。
「朝から騒々しいなと思ったら、やっぱり大輔か」
大輔が振り返ると、両手に紙袋を下げたクラスメイトがこちらに近付いてく
るところだった。
うなじの辺りで一括りにした長い黒髪に、凛々しく端整な顔立ち。
黒一色の学生服の中、一人だけジッパー式の白ガクランの映える理事長の孫、
最神清夏(もがみ せいか)だった。
「あ、せーか。おはよう。うわ、すごいね。どうしたの、そのチョコの山」
陸が、清夏の紙袋を覗き込んで感心する。
清夏は、陸の隣の席に座った。
「うむ。登校途中にもらったのだ。……僕には既に心に決めた人がいると断っ
たのだが、どうしてもというのでな。無碍にもできず、受け取ってしまった」
「ははー、なるほど、まあ、せーか、格好いいもんね」
「それはそれで実に複雑な評価なのだが……陸の可愛さに比べれば、僕程度、
大した事はないと思うぞ?」
「そんな事ないよぉ。あ、ボクも用意してきたよ、はい、せーかの分」
陸は、ラッピングした包みを鞄の中から取り出して、清夏に手渡した。
「……ありがとう。家宝にする」
感無量、といった響きの礼をいい、清夏はうやうやしくその包みを、自分の
鞄の中にしまい込んだ。
- 174 :(5/6) :2006/02/14(火) 15:27:58 ID:leLTRkfj
- 「するな。あと周り、変なテンションで騒ぐな、うるさいから」
大輔は、こめかみに血管を浮かせながら、周囲に突っ込んだ。
なんで、同性しかいないはずの教室で、嫉妬の視線を浴びなきゃならないん
だ。
「あ、大輔が拗ねてる。大丈夫だよ。大輔にもちゃんと気合入れたの作ってあ
るからね、はい♪」
嫉妬と憤怒の視線は、大輔にマックスで集中した。
「だーかーらー、どうしてお前らは、そんな殺気を込めた目で俺を見るんだこ
らぁっ!!」
陸からもらった包みを手に、大輔が立ち上がりながら周囲に怒鳴った。
「まあ、無理もないだろう。……事情を知らないとはいえ、彼らの怒りは的を
射ている正当なものだ」
大輔以外に唯一、陸が女の子である事を知っている清夏が、冷静に言う。
「……事情を知らないから、おかしいつってんだろうが。大体、お前がチョコ
もらう事自体、間違ってないか?」
そう、陸だけでなく清夏にも秘密がある。
大輔は、それを知っている。
で、これを考えた場合、陸から清夏というのは、ここが男子校である事を差
し引いても変なのだが。
「そんな事は、正しく認識しているとも。だから、お前にもちゃんと用意して
ある」
てい、と清夏は大輔の机に包みを置いた。
- 175 :(6/6) :2006/02/14(火) 15:29:18 ID:leLTRkfj
- おお、と教室の中が湧いた。いや、教室の外にも、いつの間にか野次馬が出
来ていた。
「……だから、そういう問題じゃなくてだなぁ」
たまらず脱力する大輔であった。
「心配するな。大輔のは二番目だ。本命は、こちら」
大輔に対してのものより数倍気合が入ってるっぽいリボンつきの包みを、清
夏は陸に渡した。
「あ、ありがとー、せーか」
満面の笑みを浮かべる陸に、清夏ははにかむような笑みを返した。
「うむ、どういたしまして。どうした大輔。頭痛か?」
「……ああ、本格的にひどくなってきた」
本気で帰りたくなってきた大輔であった。
(終)
現実逃避に投下。
即興、思いつきで書いた。
もう少し、萌えられるモノを出せればよかったのですが。
とりあえず、今は修羅場なのでこれを乗り切らないと、どーにもなりません。
あと、一ヶ月ぐらい……で、いけるかな。
もうしばらくお待ちください。
- 176 :名無しさん@ピンキー :2006/02/15(水) 01:22:49 ID:CG+9oAWN
- >>175
新手の職人さんですか?GJです!続きも期待してますよ。
- 177 :名無しさん@ピンキー :2006/02/15(水) 01:28:35 ID:QT+Tu2Rx
- 初期男装スレの神復活!!!
- 178 :名無しさん@ピンキー :2006/02/15(水) 21:43:25 ID:z3VlMHrs
- 今時ジッパー白ランワロス
白ランで男、黒ランで女に変わる乱馬体質だったりして
大輔がんばれwww
- 179 :名無しさん@ピンキー :2006/02/17(金) 05:10:39 ID:xuAaGDAO
- ずっと前から続編期待してたシリーズがキターーー!
待ち続けていますから、頑張ってください。
- 180 :名無しさん@ピンキー :2006/02/17(金) 05:58:45 ID:W19aCA/4
- >179
どこの話ですか?
- 181 :名無しさん@ピンキー :2006/02/17(金) 20:04:50 ID:rFhRJAT0
- >>180
探し出したぜ!
男装してる美少女にハァハァするスレ
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1020794488/
の653から。
WebArchive
ttp://web.archive.org/web/*/http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1020794488/
2chエロパロ板SS保管庫にまとめられている。
ttp://sslibrary.arings2.com/
→オリジナル・シチュエーションの部屋その2
→男装してる美少女にハァハァするスレ Part2
→651様: 男子校ガクラン少女らぶこめ風味
- 182 :名無しさん@ピンキー :2006/02/18(土) 07:34:07 ID:KxO5fTRT
- あ、ここの前身のスレだったのか
やっとコメントの流れがわかった
ありがと
- 183 :名無しさん@ピンキー :2006/02/19(日) 10:04:14 ID:qgjyYlUW
- で、清夏の「秘密」と言うのも既出なのじゃろうか?
- 184 :170 :2006/02/19(日) 21:14:07 ID:DUL/9caI
- や、お待たせしてすみません。
とりあえず今は、他の職人さん、私もお待ちしております。
>>183
いや、出してませんです。
が、大体察してもらえるとありがたいです。
登場するキャラは、攻略対象です、ということで。
- 185 :名無しさん@ピンキー :2006/02/22(水) 18:48:33 ID:jwU61Dc7
- 保守ってageなくちゃ意味がないんですかね?
sageじゃあ保守にならない?sageで駄目ならageますけど。
- 186 :名無しさん@ピンキー :2006/02/22(水) 20:32:23 ID:P2FeIVgn
- >>184
> 登場するキャラは、攻略対象です、ということで。
なんと素敵なことでしょう。
すべての登場キャラが攻略可能!
いつも周りでにらんでる男子どもですら!
……って、実は女子高!?
- 187 :名無しさん@ピンキー :2006/02/22(水) 23:44:28 ID:KmALoY1z
- >>186
落ち着きなはれ
- 188 :ひょこ ◆13unNQzqXw :2006/02/23(木) 01:53:10 ID:SJZngTqv
- 「男子校に通う主人公、だが実は主人公がその学校唯一の男子だった!!」
うむ、面白いかもしれない。
とりあえず、オレは二重奏の続きを早く書きたいと思っております。
悦司が悪いんです、無駄に動かしやすくて書いてると本筋からそれまくる彼のせいなんです。きっと。
- 189 :名無しさん@ピンキー :2006/02/23(木) 03:16:17 ID:42QEWa1M
- 待ってるよん。
- 190 :名無しさん@ピンキー :2006/02/23(木) 23:53:06 ID:SrQjdRlA
- 誰か>>185に答えてあげなよ……。
sageでも保守は成立するよ。
だけど保守ageするのはよほど人がいないときだけにした方が無難。荒らしがくる可能性が高くなる。
- 191 :185 :2006/02/24(金) 14:12:00 ID:HrgvxufM
- >>190
教えてくれてありがとう。
- 192 :名無しさん@ピンキー :2006/02/25(土) 07:18:46 ID:C4/vWEmb
- >>186>>188
そうなると教室の空気からして本来の男子校とは違うだろうな
- 193 :名無しさん@ピンキー :2006/02/27(月) 14:38:13 ID:3inq1DjT
- ほしゅ〜
- 194 :名無しさん@ピンキー :2006/02/28(火) 00:32:12 ID:mZeundBn
あの、ファンタジー物とかはOKですか?
よかったら投下してもいいかなと思っています。
あと、コテの付け方、誰か教えてください。マジスンマソンorz
- 195 : ◆z1nMDKRu0s :2006/02/28(火) 00:50:37 ID:xwsQPjAI
- >>194
全然良いと思います
つか投下しろ
いや、投下して下さい
ちなみにトリのつけ方は#(必ず半角で)の後に好きな文字を入れるだけであら不思議
↑みたいなコテがついちゃった〜
- 196 :名無しさん@ピンキー :2006/02/28(火) 00:51:19 ID:goXLpnw+
- >>194
オーイェース!! カマーン!!
トリップは名前欄に半角#の後に好きな文字列。今は全角でも大丈夫のはず。
例:#sarashimoe とか、#荒川に踏まれたい とか。
心配なら初心者板の該当スレで練習してみて。
◆トリップテスト◆part332
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/qa/1140968979/l50
- 197 :名無しさん@ピンキー :2006/02/28(火) 00:52:45 ID:goXLpnw+
- かぶった。>195さんごめ。
>194さんお待ちしています。
- 198 :194 ◆kNYi2powNw :2006/02/28(火) 01:12:11 ID:mZeundBn
出来ましたー。
只今、執筆中であります。
近い内に投下るのでしばしお待ちをー。
- 199 :194 ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 00:43:31 ID:zSV7xbaK
すみません。度々申し訳ないです・・・
絡みの相手をふたなりっ娘にするか、それとも男にするかすごい悩んで
おります。私的にふたなりっ娘がいいかなと思ってるんですが・・・
ふたなりっ娘OKならラオウのように問答無用で書きます。
- 200 :名無しさん@ピンキー :2006/03/01(水) 00:51:45 ID:4AqdlRRU
- >>199
こちらとしてはどちらでも。
あなたの書きたいように書けば良いと思います。
あと、後々の事を考えるならコテはレス番名乗るのではなく、HNの方が良いかと。
- 201 :名無しさん@ピンキー :2006/03/01(水) 01:00:36 ID:PXzp6AMZ
- >199
どこのスレでもそうだと思うんだけど、特殊なシチュやプレイも書くのは自由。
読むのも読まないのも自由。
ただし前置きなしで投下されてうっかり読んで気分を悪くして責任取れコノヤロー、は見苦しいので前置きだけヨロ。
- 202 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 01:09:21 ID:zSV7xbaK
- >>200>>201
サンクスです。
前置きの指摘、ありがとうございます。
あ、HNはまふまろです。ご迷惑お掛けしました・・・。執筆に戻ります。
- 203 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 02:01:15 ID:zSV7xbaK
や、やっとこさプロローグ編書きました。
思ったより長くかかりました。ハラホロヒレハヘ
前置き:この小説は多少流血有ります。
あと、登場はまだですけどフタも出ます
そんな物は、見ぬ!萌えぬ!省みぬ!と言う方はスルーして下さい
では投下
- 204 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 02:02:19 ID:zSV7xbaK
- ―――――――――――――――俺は番人―――――――――――――――
――――――――――――――この城を守れと命じられた、一人の番人―――――――――――――――
――――――――――――――ただ、城を守れと――――――――――――――
『仮面麗人』
- 205 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 02:03:54 ID:zSV7xbaK
- 「おい、もうそろそろ引き返さねぇか?」
「馬鹿野郎!ここまで来て今更そりゃねぇだろうが!」
「よぉ、もうそろそろだ。ヘヘヘ、お宝お宝・・・っと」
身なりからして、いかにも盗賊と言える三人組の男達。
彼らがいる場所は、彼らが風の噂で知ったとある廃城の入り口付近。
「でもよ、本当にあるのか?金銀財宝ザックザックてよ?」
「俺の馴染みの酒場で知ったネタだ。間違いない!」
「よし、じゃあ開けるぞ・・・そらっよ・・・っと!」
ギギギギギイイイイィィィィ・・・・・・・
重々しい音を立てて扉を開け、中に入る三人組。
・・・・三人組はそろって中を探索した・・・・しかしなかなか宝は出てこない。
しばらくして、一人が何かに気づき二人に呼びかける。
- 206 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 02:05:58 ID:zSV7xbaK
- 「ん?おい・・・あれ・・・・」
「あ?何だよ・・・・?」
「どうした・・・・お?」
後の二人も呼び声に反応して後ろを振り向いた・・・・
・・・・それは、顔の半分を仮面で覆っている一人の若者。
端正な顔つきで、身長も少年並みであり
そして妖しな美しさを匂わせていた・・・・。
「フ、ヒヘヘ、ヘ、可愛らしい顔だぜ」
「ああ、ここんとこ溜まってたし、いっちょ可愛がろうぜ」
「ヒヘヘ、いいねぇ、それ」
ここしばらく女をしばらく犯していない三人組は、日頃に溜まった鬱憤を晴らそうと
少年のような若者に近付く。
三対一、数もあり、力もそれなりにあるので殴れば言うことを聞くだろうと
この時の三人組はその考えが命取りになるとは知らずに・・・
- 207 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 02:07:53 ID:zSV7xbaK
- 「ヘヘヘ、おい小僧。悪いこたぁ言わねぇから、ちと来な」
三人組の一人が乱暴に腕を取ろうとした瞬間、素早い動きで若者が男の腕を振り叩いた。
「イテッ!てて・・・何しやが・・・」
「汚い手で俺に触るな」
若者の凛とした声で言ったこの言葉に男達は徐々に逆上した。
三人組は懐の短剣を取りだしじりじりと若者に近付き、睨みつかせて威嚇した。
「何だとこのガキ・・・・」
「あんま舐めてっと怪我すんぞ、おぉ?」
「構わねぇ、犯っちまおう!」
三人組は一斉に若者へと飛びかかる。
- 208 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 02:08:59 ID:zSV7xbaK
―――――――――――――――数刻後―――――――――――――――
若者は血にまみれても尚も妖しい美しさを匂わせていた。
血塗られた指を赤ん坊の様にしゃぶり、啜り、舐り、吟味し、生の実感を味わう。
ズズッ ズッ チュプ・・・チュ・・・パ・・ァ・・・
レロ・・・・レロ・・・ズズッ・・・ム・・・チュッ・・・ゥ・・・
―――――――――――――――俺は番人―――――――――――――――
―――――――――――――――この城を守れと言われた―――――――――――――――
―――――――――――――――・・・あいつが来るまでは・・・―――――――――――――――
『仮面麗人』プロローグ編完
- 209 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/01(水) 02:10:29 ID:zSV7xbaK
以上です。
続きは後日、お楽しみに
- 210 : ◆.Xo1qLEnC. :2006/03/01(水) 10:23:04 ID:wv+HmTV1
- >>209
猟奇エロは苦手ですが、普通の猟奇(wは割と好きなので、続き待ってます!
で、便乗して質問です。
携帯鯖の移転で、当方の書き込み環境が変わってきました。
そのため、
A.1レス分の文が極端に少なく、レスを多量消費。
B.1レス分は今までどおり。ただ、投下を行う時間が今まで以上に
かかってしまうかもしれない。
以上の2択を迫られてるわけなのですが、どちらが読みやすいでしょうか。
どっちにしても、ある程度の時間はかかってしまうので、投下する時は
平日深夜など人の少なそうな時間帯を選びますが。
参考までに御意見頂けたら、と思います。
では、>>195あたりに物欲しげな視線を浴びせつつ…
- 211 :名無しさん@ピンキー :2006/03/02(木) 01:03:22 ID:cIvThFMC
- >210
俺は携帯ユーザーなので特にどちらでも構いませんが、PCユーザーの方の事を考えると、Bの方が読みやすいかと。
- 212 :名無しさん@ピンキー :2006/03/02(木) 23:30:41 ID:c3JGCJEs
- >>209
続きが楽しみです。
>>210
どちらかというとBのほうが良いですね。
- 213 :名無しさん@ピンキー :2006/03/03(金) 01:51:43 ID:luCJ+LlX
- 自分もB案支持。
- 214 : ◆.Xo1qLEnC. :2006/03/03(金) 20:35:02 ID:738nZvfg
- レスありがとうございました。
圧倒的にBのようなので、その方向で行きます。
では何時になるか解りませんが、また会う日まで〜。
- 215 :名無しさん@ピンキー :2006/03/03(金) 22:41:32 ID:suRUCiC1
- とりあえず
>・・・あいつが来るまでは・・・
みたいなのは三点リーダーにした方がいいと思われ
- 216 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/05(日) 02:12:13 ID:ILAZ98tL
ハイ、まふまろです。
前置き:今回はエロ無しです。
まだ続きます。
スンマソン
では開幕
- 217 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/05(日) 02:12:53 ID:ILAZ98tL
『ファーストコンタクト』
「ここね……」
ザッ・・・
赤い服に胸に胸章を付けた女が地図を見て確認し
廃城の門前に立って、一言漏らし中に入る。
廃城の中は質素ながらもそれなりに城の雰囲気が出ている。
しばらく探索する女、すると……
「おい」
「!?」
驚いて振り向くと、そこには少年のような若者が立っていた。
黒一色の喪服のような格好で顔半分は仮面で覆われている。
- 218 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/05(日) 02:13:35 ID:ILAZ98tL
「女、今すぐここから出て行け」
「嫌よ」
「出て行け」
「嫌」
「………ならば死ね」
シャキィン! シャキィン!
バッ!
若者の両手から仕込み爪が伸びだし、女に襲い掛かる!
「くっ!」
ガキィン!
女はすんでの所で、若者の爪を自分の装備の鉄杖で防御した。
二人はお互いの武器を押し合い、間合いを詰める。
「ほう、少しはやるな」
「そりゃどうも…」
「その胸の胸章……どこぞの犬か?」
「さぁ?どうでしょうね?」
「…………答えないか……死ね……」
ギギギギ……
間合いをギリギリに詰め、女の首の肉に爪が刺さりかける……
と、
「+*//*-@!」
パァァァァァァ!!
女が短く叫ぶと同時に女の体が閃光に包まれる。
- 219 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/05(日) 02:15:02 ID:ILAZ98tL
「うぉぅ!?」
一瞬若者が怯んだ。女はその瞬間を逃さない。
鉄杖を若者の胴に打ち込む!
ドッ!
「うぐ!?」
「/*-:@<+!」
バチチチッ!バチッ!
女はまたも短く叫ぶと同時に、鉄杖から電撃が走り
若者の躯は大きく跳ね上がり、やがて動かなくなった。
どうやら気絶したらしい。
「フゥーーー……危なかったー…
もうちょっと踏み込まれたらヤバかったわ……」
そして女は若者を抱き上げて
城の一室へと運んでいった……。
つづく
- 220 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/05(日) 02:17:03 ID:ILAZ98tL
以上です。
お粗末様でした。
- 221 :名無しさん@ピンキー :2006/03/05(日) 09:22:57 ID:F7JdehJi
- 本当に粗末ですね。
推敲はしてないんですか?
- 222 :名無しさん@ピンキー :2006/03/05(日) 17:12:37 ID:M5kc2tnv
- >220
乙。
ただ、無意味な改行は携帯ユーザーには非常に見ずらいと思う。
中そろえ等もしかり。
表現自体についてもちょっと。
まずメインのキャラになるだろう女の容姿が服装しかわからないし、若者との体格差もわからない。
表情、声の調子などについても言及されておらず、イメージがわきにくい。
全体的に地の文が淡白かなーと思った。が、これは持ち味とも取れるのであんまり気にしなくていいかも。
ともあれ職人さんが少ない状況下で投下してくれるのはありがたい。
続き待ってるよノシ
>221
生産的でない批判はよろしくない。
どこをどう直せばいいのかくらい書け。
- 223 :名無しさん@ピンキー :2006/03/06(月) 00:56:37 ID:5H1JZIRa
- どこをどう直せばいいのか……?
考えるのめんどくせ。
とりあえず無駄な改行と不適切な擬音無くして、地の文に状況描写入れれば良いんじゃね?
台詞ももうちょっと考えた方が良い。ここまでわざとらしいと共感できねー。
独り言とかも止めた方がキャラへの好感湧くかも。
素人目にも手抜きに見えたから次から推敲ぐらいはした上での投稿をオススメする。
上の文章4、5回ぐらい読み返して何の問題も無いと思ったのなら、一度適当な本をゆっくり読め。
- 224 :名無しさん@ピンキー :2006/03/06(月) 09:00:27 ID:saFEud22
- 「めんどくせ」と言いながらも、ちゃんと考えてる>>223に萌えた。
- 225 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/06(月) 11:19:43 ID:L8hjkCDY
- >>222>>223
ご指摘ありがとうございます。
次の作品を書いてる途中ですが、『ファーストコンタクト』の手直しも
チョイチョイやっています。
投下るのに、まだ時間がかかってます。スンマセン。
本はリウイを今、読んでいます。
まだ未熟者でスンマセン。
長文失礼しました。
- 226 :名無しさん@ピンキー :2006/03/07(火) 05:56:47 ID:GXRJ0Qs9
- >225
もしや21未満?
- 227 :名無しさん@ピンキー :2006/03/07(火) 09:21:55 ID:2iPLzV31
- >225
とりあえずここ熟読しとけ
ttp://www2.cds.ne.jp/~macride/
- 228 :まふまろ ◆kNYi2powNw :2006/03/07(火) 12:35:55 ID:LjMo/Kmv
- >>226
ああ、いえいえ書き方が未熟と言うことです。
誤解させてすみません。
>>227
ありがとうございます。
皆さんの世話になりっぱなしでホントすいません。
長々レスるのも何なので執筆に戻ります。失礼します。
- 229 :名無しさん@ピンキー :2006/03/08(水) 16:22:45 ID:52PIyS2h
- ゴッドさん、生きてる?
- 230 :名無しさん@ピンキー :2006/03/08(水) 17:14:42 ID:BXzsfJvh
- 実験屋さん、アヒルさん、投下してクダセイ。
- 231 :名無しさん@ピンキー :2006/03/08(水) 18:39:38 ID:++oJDzpr
- >>228
最初は色々と大変だと思うけどガンガレ。応援してるよ。
- 232 :名無しさん@ピンキー :2006/03/09(木) 20:14:21 ID:BFfIAbMM
- リウイ…('A`)
- 233 :名無しさん@ピンキー :2006/03/09(木) 22:14:05 ID:TKdQLNHh
- はじめまして。
中世ファンタジー風味?の舞台設定で
話を投下します。剣も魔法も全然出てきませんが。
- 234 :灯り1 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/09(木) 22:26:08 ID:TKdQLNHh
- 「っと、こんなもんかな。」
最後の一塗りを満足げに見やって、イマーク・トーレはこてを下げた。
はかったようなタイミングで礼拝堂と住居を繋ぐ扉が開き、中から緑色の頭巾が突き出される。
この小さな教会の主、キーリ・メイユ修道士だ。
「お茶を入れたのですが、一休みしませんか?」
「ああ、ちょうど塗り終えたところだったんだ。」
イマークが梯子を降りている間に近寄ってきたキーリはこてと壷を受け取りながら、
漆喰が塗られたばかりの礼拝堂の壁と天井の片隅をニコニコと見上げた。
「素晴らしいです。これで染みもカビともさようならですね。」
「どうかな。下から見たらそれなりに見えるけど、間近でみたら結構ひどいもんだよ。」
充分です、とやはり嬉しそうな表情のままキーリは礼拝堂のあちこちに目をやった。
「窓も、扉も、床も直していただいて。これ以上贅沢をいうことなんてありません。」
窓はいくらかましになったとはいえ未だ風の通り道だし、扉も一応戸口を塞いではいるが
閉めるにはコツが要るし、床は真っ直ぐに歩けるようになったけれど年寄りには手が必要だった。
それでも至極幸せそうな修道士の様子を見ていると、素直に彼の言葉を受け止めれば良いかという風に思えて、
イマークはあえて口をつぐんだ。
イマークの本職は辺境砦の弓兵である。
数週間前に辞令を受け、街道沿いの哨所の補充員としてやってきたのだ。
そしてその際ついでに、明らかについでに、
『哨所そばの礼拝堂に坊主が来るらしい。あの建物は傷みが激しいので修理を手伝うように』という命令を受けた。
妙なところで出し惜しみをする砦の指揮官サー・ジョンは、聖教会からいちゃもんをつけられるのを防ぐ程度の事で工房の人間をよこす気にはならなかったらしい。
- 235 :灯り2 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/09(木) 22:29:59 ID:TKdQLNHh
- 午後の柔らかな日差しが差し込む部屋には、時折炉の火がはぜる音以外に、ただキーリがペンを走らせる音だけがさらさらと静かに流れている。
客間と台所と書斎を兼ねる小さなこの部屋は、質素ながらも隅々まで磨き上げられた居心地の良い空間だった。
たっぷりと注いでもらった濃いお茶を飲みながら、イマークはここ数週間の事を思い出していた。
哨所の遠見塔では少人数で交替しながら街道の見張りを務める。見渡せど湿地と荒野しか
目に入らない哨所からは砦も街も同じぐらい遠く(というか哨所はその丁度中間にあった)、
同じ弓兵の兄や気の置けない仲間達との気楽な砦暮らしから、一回り以上年の離れた面子の中での、
様々な面で余裕のない哨所詰めという異動は実際気が重かった。
しかし意外なことにこの数週間は楽しかったのだ、と思い至って、改めてイマークは目の前でせっせと写本に励んでいる修道士に目をやった。
「お代わり注ぎましょうか。」
イマークの目線にそう応じたキーリを手で制する。
「いや、もう十分頂いたよ。ごちそうさま。キーリこそ飲めばいいのに。」
私は、と首を横に振るキーリを見やって、そういえば、とイマークは言葉を継いだ。
「キーリが飲み食いしてるところって見たことないな。その被り物は人前で外しちゃいけないとかいう決まりがあるのかい?」
キーリは最初に彼らの前に姿を見せた時からずっと、濃い灰色のリンネルの修道衣に身を包んでいる。
頭全体と顔の下半分は頭巾と、そこからゆったりと首の下まで垂れる布地に覆われていてキーリの容姿を今ひとつ不確かなものにしていた。
キーリの、時に赤色に見える明るい茶の瞳と、すっきりとしているらしい鼻筋から察するに
わりと整った顔をしているのではないかとイマークは心ひそかに考えていたが、
それを見せることもなく、乙女達からも遠いこの地では20歳だというこの若者の青春はもったいない話だと、
保護者めいた惜しい気持ちになるのだった。
多少背が低くても、物柔らかで優しい気性の男は案外もてたりするものだ。
- 236 :灯り3 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/09(木) 22:32:28 ID:TKdQLNHh
- 「そういうわけでもありませんけれど。」
そう応える声もくぐもっていて、おそらくよく通る爽やかな声なのだろうが、それもまたもったいないような気がする。
「一応私は沈黙の誓いを立てていますから。」
「…。」
「し、信じてないんですね。本当ですよ!イマークさんとはよくお話をするから、信じてもらえないのは分かりますけど、普通は殆ど喋らないんですよ。」
「あ〜。そういえばおやじさん達は、愛想のない修道士だとか言ってたっけ。俺も最初はえらく堅苦しいと思ったな。」
それでも修理の指示を受けているのはイマークだけだったし、さっさと済ませてしまおうと
足繁く教会に通ううちに自然と年の近いこの修道士と打ち解けるようになったのだ。
最初はトーレ殿だったのがイマークさんに、修道士殿だったのがキーリに変わるまでにそう時間はかからなかったように思える。
「イマークさんはその…お話が面白いですし。喋らずに居ようと思っていても、つい…。」
「じゃ、君の沈黙の誓いってのは、面白いヤツがいたらそっち優先になる程度のものなのかい。」
「…。ええまあ。…単なる口実です。」
奇妙な答え方だとは感じたが、妙に慎重なその口調にイマークはあえてそれ以上は追求しなかった。
数週間の付き合いで分かったのだが、この若い修道士はそう敬虔な聖職者、というわけでもないようだった。
熱心に古書の写本に取り組んでいるが、それは歴史の空白を埋めるための作業で、聖人の言葉や
奇跡の記述は一切省みられていなかったし、週末以外は礼拝に訪れる人が全く居ないという事実も
大して問題視していないようだった。
- 237 :灯り4 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/09(木) 22:35:15 ID:TKdQLNHh
- 「明日はケボルンに行くんだろう。俺も午前中に食料なんかを買いに行くから馬車を出すよ。」
話題が変わったことに明らかにホッとした様子を見せながら、キーリは小さくかぶりをふる。
「カーナボン候が明日はいらっしゃらなくて。蔵書は前回多めにお借りしてきたので、
しばらくは大丈夫です。それに、特殊な薬の依頼が入っているので明日はそちらに取り組もうと
考えているんです。残念なんですけれど。」
ああ、残念だ。と、一瞬確かに感じた失望は、単に単調な道行きを楽しい時間にしてくれる連れが
得られないからなのだと、イマークは自分に言い聞かせた。
お互いの用事が終わった後で落ち合って、街を出る前に露店を冷やかして歩いたり、
懐具合が常に良くないらしいキーリのために気の張らない小さなもの、例えば砂糖菓子とか、
替えの羽とか、割れの入っていない器なんかを買ってやったときの、
この若者の目に溢れる喜びが見られないから、ということではないのだと、重ねて自分に言い聞かせる。
暇を告げたイマークを見送るために戸口まで付いてきたキーリが、ふと思い出したように口をひらいた。
「街はいま春祭りの準備で賑やかなんでしょうね。もう来週ですか?ケボルンの花祭りは華やかだと聞いています。」
楽しみですね。と目を細めるキールがやけにかわいらしく思えて、イマークは深く考えずに言葉を返していた。
「祭りのうちの一日は休みをもらえるから、一緒に行くかい?俺はケボルンの春祭りは三度目だから、あちこち見所を案内できると思うよ。」
「でも…。春祭りは恋人達のお祭りと聞きました。…イマークさんはよい人居ないんですか?」
イマークの脳裏を金髪のライアやグラマラスなジュゼの姿がよぎったが、祭りに誘いでもしたら
どんな期待を抱かせるか、たまったものではない。ただでさえ、『砦の傭兵さん』というだけで必要以上に付け狙われている気がするのに、だ。
- 238 :灯り5 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/09(木) 22:36:43 ID:TKdQLNHh
- 一瞬の沈黙を「是」と捉えたのかキーリは励ますような仕草で
「私のことは気にせず、その方を誘うべきですよ。折角のお祭りなんですから。…女性にとってはお祭に好い人と一緒に行けるというのはこの上ない喜びだと…思いますよ。」
「それはまあ、男にとってもだろう。キーリは?目星をつけてる乙女は居ないのかい?あの、しょっちゅう薬の処方を頼みに来てる栗色の髪の子は?」
「ち、違いますよ!彼女は好きな人が居るんです。それに、今回の急な依頼だって本当は…」
と言い募ったキーリの表情は良くはわからないが辛そうで、イマークは不意に胸が締め付けられるのを感じた。
「ま、まあ、ほら、でもキーリはいい男だから、きっと今に良い子が見つかるよ。なんていっても…」
「そんなこと!ありえません!」
半ば叫ぶような甲高い声でイマークのせりふを遮って、キーリは彼を見上げた。その視線にイマークの体が固まる。
ヤバイ。
イマーク・トーレ、24歳。そこそこ真面目な恋愛から不真面目な恋愛、駆け引き、それなりの修羅場もくぐってきた。その経験からくる勘がヤバイと告げる。
潤んで今は殆ど赤に見える瞳が訴えかけてくるものが…。
間違いない、これはヤバイ。ヤバイとこつついたかも、と声がささやく。そういえば聞いたことがある。修道院は男ばっかりでナントカカントカ…。
咄嗟に一歩、それから二歩下がり、キーリから身を引く。
何か言わねば、と口をついて出たのはどうにもまずい言葉だった。
「いや、あの、俺は衆道には関心は…どっちかっていうと、ていうか確実に女が好きで…。」
「…っ!」
ヒュッと吸い込んだ息は鋭すぎて、ほとんど悲鳴のようだった。目の縁まで、その瞳の色と同じほどに染まる。
凄まじい勢いで閉められた扉のこちら側で、イマークは安堵か恐怖か、深いため息を漏らした。
- 239 : ◆eQLTg8kqiw :2006/03/09(木) 22:38:49 ID:TKdQLNHh
- 今日はここまでです。
見難くてスミマセン。
- 240 :名無しさん@ピンキー :2006/03/09(木) 22:40:23 ID:VbQ6G4fG
- 乙!
続きも期待してますぜ
- 241 :名無しさん@ピンキー :2006/03/10(金) 09:47:47 ID:hdQxb3KP
- 乙。続きがんばれ!
- 242 :ひょこ ◆13unNQzqXw :2006/03/11(土) 05:17:05 ID:45gS9RlY
- お久しぶりです。
自分の文体忘れてたりとか、プロット段階での書き直しとかやってたらえらく間があいちゃいました。
ってなわけでエロなし、ギャグうす
『二重奏』第4話お送りいたします。
- 243 :ひょこ ◆13unNQzqXw :2006/03/11(土) 05:21:32 ID:45gS9RlY
- 時は少しさかのぼり…
まったく何やってるのよあのバカナデは。
早く行きたいから、トイレ行くついでに彼を呼んで来いっていったのに、なんで二人して公園なんかにいるのよ。
…まあ、あの子が私以外の、しかも男の子と仲よくしてるんだし歓迎すべきかしらね。
ソウマくんもなかなか楽しい人みたいだし。
授業中や映画館でのカナデとのコンビを思い出すと、自然とニヤニヤしてしまう。
ソウマくんはカナデを、男だって思ってるみたいだしね。
つき合ってるかって聞かれたとき、つき合ってるって言った方が面白かったかしら。
…流石にそれはカナデも怒るか。
あの子がここまで入れ込むのは『おねえさま』以来か。
あの子ったら単なる学ラン好きなだけじゃないでしょうね。
自分で着るぐらいだし。
……ドドドドドドドド!!
ん、何か近づいてくる?
「お前に!!ラブ、ハ――トッ!!」
ドドドドドドドド……!!
な、何よアレ。
エプロン付けて、ランドセル背負ったゴッツイ男の人が歌いながら駆け抜けていった。
え〜っと、気にしないようにしよう。
春だし変なのも増えるわよね。
うん、アレに比べたらカナデの学ランも可愛いものよね、似合っているし。
そんな風に自分に言い聞かせていると、ベンチに一人座っているカナデが見えた。
ソウマくんは一緒じゃないのかしら。
- 244 :ひょこ ◆13unNQzqXw :2006/03/11(土) 05:24:05 ID:45gS9RlY
- 「カ〜ナデ、あんた一人なの?」
「ハコちゃん、ゴメンネわざわざ来てもらって」
少しうつむき気味にカナデが謝ってくる。
「私はいいんだけど彼はどうしたの?もしかして帰っちゃったの?」
「ううん、ソウくんは今顔洗いに行ってるの」
手の中のペットボトルを転がしながら、ため息をつく。
「どうしたのよ、ずいぶんと暗いじゃない」
ケンカでもしたのだろうか、不安になり顔をのぞき込むと、どこか疲れたような顔であたしの顔を見てくる。
「あのね、ソウくんがね、私のこと男の子だと思ってたんだって」
なんだ、もうバレたのか。
「あら、カナデってば気づいてなかったの?」
「ハコちゃんは気づいてたの!?」
すごく驚いた顔で聞き返してくる。
「彼、私たちがつきあってるって最初に思ってたでしょう?」
「だ、だってほら中学の時ハコちゃん後輩の娘に告白されてたでしょ?」
あ〜、あれか。
「それ以前にあんた、学ラン着てたじゃない」
その当たり前の指摘にカナデは思いつきもしなかったって顔をさせて、視線をさまよわせる。
「だっておねえさまが…」
「だいたい男と思われてたとして何か問題があるの?」
すこし意地悪に聞いてみせるとカナデは、パーカーの紐をいじりながらこっちを見る。
「だって、ソウくん私が女の子だったら友達になってくれなかったかもしれないし…」
「今はもう友達なんだから、気にすることないわよ。むしろ男って思われてたのはラッキーじゃない」
「だけどだけど、なんか女の子っぽくないって見られるのもいやだし…」
後半どんどん声を小さくしながらカナデはうったえてくる。
ふ〜ん、このカナデの態度、これはなかなか面白い事になるかもしれないわね。
「かなで〜、っと乃木さんもう来てたんだ」
顔を洗ってさっぱりしたのか、爽やかにソウマくんが駆けよって来る。
そして、ハンカチを洗って返すとか何とか初々しい会話をカナデと交わす。
うん、私の感が当たってるならこの二人の組合わせはは面白いわ。
「やっと来たわね、おなか減ってるんだから早く行きましょ」
カナデの手を引いて立ち上がらせ、私たちはパスタを求めて歩き出した。
面白い事が好きで、親友の事が大好きな少女が手を引いて歩き出す。
これはそんな恋の物語。
- 245 :ひょこ ◆13unNQzqXw :2006/03/11(土) 05:29:38 ID:45gS9RlY
- ってな訳で短めになりましたが、4話をお届けいたします。
いつもより説明くさいのが……次頑張ります。
- 246 :名無しさん@ピンキー :2006/03/11(土) 12:39:15 ID:UGoxmDCQ
- >>ひょこさんGJ!!
続き待ってました。
- 247 :ちまめ ◆eQLTg8kqiw :2006/03/12(日) 00:29:35 ID:x1e6MmZ7
- 『灯り』の続きです。
声援をありがとうございます。チカラみなぎります。
エロはみなぎりません…。次こそ。
- 248 :ちまめ ◆eQLTg8kqiw :2006/03/12(日) 00:30:44 ID:x1e6MmZ7
- 姿を隠す直前の肥えた太陽が、地上を赤く染めている。
昼からの当直を先ほど交替したところだが部屋に戻る気にもなれず、イマークは塔のてっぺんからぼんやりと
地平を眺めていた。
昨日はあれから夜番でその後も良く眠れず、呆然としたままケボルンへ買出しに行ったものの、案の定分量を
間違えたり買い忘れたりで散々だった。一番年の近い(といっても10歳上だが)ニケルに小言を言われている
間も、昨夜から脳裏に浮かびっぱなしのキーリの事が離れず、しまいに頭に手刀を喰らう始末だった。
そういうことも思い出しつつ、昨日から何度目になるか数える気も起こらないため息を漏らす。
『…いくらなんでもあの言いようはまずかったなぁ…。』
『だいたいが俺の目の錯覚だったかもしれないわけだし。』
『錯覚どころか全然そうじゃなかったかも…』
『でもあの目は…』
『いくらなんでもかわいそうだったなぁ』
『いやいや、ほだされてるぞ、ダメだぞ。』
『これからどうしたもんかな。会いにくいよな。』
『あ、修理も終わったことだし、別に会わなくても良いのか。』
『あれ?今寂しいとか感じた?』
いい加減、不毛な思考にうんざりしてイマークはまた荒涼たる眺めに目をやった。
そして、違和感を覚えた。目をこらす。
丘の向こうにちらりと見える石造りの館からは、面白いように毎日同じ時刻に夕食の支度なのだろう、
細い煙が上がるのだ。そしてほぼ同時につましい灯りがともる。
哨所の近くに建つとはいえ教会の裏手には広大な湿地が広がっていて、頼りない若者の独り暮らしは
決して安全とはいえないのだ。だから毎夕、丘の向こうに小さな灯を確認して何とはなしに安心すると
いうのがイマークの日課となっていた。
今日に限ってそれが見えない。不意に胸騒ぎを覚えて、イマークは立ち上がった。
一足飛びに階段を駆け下り、外套も取らずに裏口を目指す。
「お、晩飯は教会か?」
食堂裏でぶつかりそうになった今週の炊事番のバルロウが声をかけたが、返事をするのももどかしく
手を振って後も見ずに駆け出した。
- 249 :灯り8 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/12(日) 00:31:50 ID:x1e6MmZ7
- 「ふぅむ、仲の良いことだねぇ。」
バルロウが食堂に集まった何人かに、イマークが変な身振りで大慌てで『どうやら修道士に会いに』
出て行ったということを報告すると、皆口々に好きなことを言い出した。
「まぁ、ワシらからしたらイマークは下手したら息子ほども年が離れてるからな。同じ年頃同士、
気が合うんだろう。」
「イマークも、こっちへ来てからしばらくのことを思うと、えらく気楽そうになったと思わんか。
慣れたというよりは、あの、メイユ修道士の存在があると思うんだが。」
「あの修道士、愛想はないが、なんというか、真面目で初々しい感じだしねぇ。薬師としては
なかなかの腕前のようだし。悪い感じではないねぇ。」
「いっそ坊主なんか辞めて、哨所詰めの薬師になってくれんかな。平均年齢も上がって、活気が
出ると思うんだが。」
あ、それ良いねぇ。
などと勝手な議論が交わされているとは露知らず、イマークはひたすら駆けて行く。
- 250 :灯り9 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/12(日) 00:33:36 ID:x1e6MmZ7
- 教会は静まり返っていた。礼拝堂の扉は閉ざされ、館の裏口も鍵が掛かっている。
裏口から覗き込んでみるが、人の気配はない。回り込んで隣の部屋、薬草室の丸硝子越しに
覗き込んだ時、イマークは心臓が止まったかと思った。薄暗い部屋の中、調剤台の向こう側に
横たわった足が二本、突き出されているのがかろうじて見えたのだ。灰色の衣装はほとんど闇に
溶けていたが、あの小さな革靴は間違いなくキーリのものだ。
「キーリ!キーリ!」窓を突き破ろうかと考えたが、すぐに思い直して、裏口にとってかえす。
樫の木の扉は一見頑丈そうに見えるが、これも自分が付け直したのだ。
遠慮のない蹴りの二撃目でそれはあっけなく破られた。
「キーリ!大丈夫か!」
修道士は冷たい石床の上に仰向けに倒れていた。傍に膝をつき、焦りに震える手で調剤台にあった
燭台に火を着けると、キーリの様子を検める。
荒い息をして、目は半分閉じていたが、意識はあるようだった。
「キーリ!キーリ!どうした!何があった!返事をしてくれ!」
ぼんやりとしていた瞳がイマークの顔を認めたのか、少し見開かれた。
「イマーク…さん。どう…して…。あ…ダメ…です。」
と言ったのは、イマークがキーリの呼吸を少しでも楽にしようと口元を覆う布を取り去ろうとした
からだったが、時既に遅く、一瞬でそれはひきむしられた。
「!―」
- 251 :灯り10 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/12(日) 00:35:05 ID:x1e6MmZ7
- イマークはあらわになったキーリの顔を見て一瞬息を呑んだ。想像していたよりもずっと華奢で
優しい顎のラインで、唇の開き方などは成人男性の範疇を逸脱した艶かしさをたたえている。
『実は超絶美青年?いやいや、女だっつっても分からないような綺麗な顔してるなぁ。』
そういう思いはとりあえず『衆道』や『男色』と書かれた領域に押しやっておいて、イマークは掌を
キーリの額に押し当てた。ひどく汗ばんで、熱いように思う。
「すぐ薬師を呼んでくる。ちょっと待ってろ。」
そう言って立ち上がりかけたイマークの服の裾をキーリが弱弱しく掴んだ。
「薬師は―いり…ません…。だいたい―私が薬師…です。病気では…ない…から。」
「病気じゃないって…。」
「大丈…夫です。少…し…、休ん…で―いれ…ば、治りま…す…から…。」
はぁはぁと荒い息のどこが大丈夫なのだと、険しい顔つきになっていたのだろう、
キーリは怒ったような、拗ねたような表情を作り、ぷいと横を向いた。
「大丈夫です…から…放っておいて…下さい…。」
「そういうわけには行かないな。っと。暴れるんじゃない!」
とりあえず寝台に寝かせるか、と担ぎ上げようとしてキーリの激しい抵抗にあう。
「こんな所に寝てたらよくなるものもよくならないだろう!」
暴れてはいるものの、すっかり息の上がった小柄な修道士など押さえ込むのはた易いことで、
やがてイマークはぐったりとしたキーリを二つ折りにして肩に担ぎ上げることに成功した。
- 252 :灯り11 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/12(日) 00:36:01 ID:x1e6MmZ7
- 「君は軽いんだな。」
立ち上がった時に肩で感じた意外なまでの軽さと華奢さに覚えた動揺をはぐらかそうと、軽口とともに
手のひらで軽くキーリの腰の裏を叩く。
「っん―!」
「!」
イマークは心臓が止まったか、はみ出したかと思った。余りに甘く切ないため息は空耳か?
一瞬の早業で体の一部に血液が集まってきている。
『男色』の文字が迫ってくる。
しかし、それを何かが否定している。
そう、腰の奥の熱ではなくて、さっき腰を触った掌が…。感じた丸みが…。
イマークはもう一度、そっと腰に手を押し当てた。
今度は直ぐには離さず、ゆっくりと探るように動かしてみる。
「!っ…な…に…―っやっ!」
甘い声を聞くまでもなく、イマークには確信が持てた。
しっかりと抱えなおすと、大股に薬草室を横切って、奥の寝室に向かう。きちんと整えられたシーツの
上にそっとキーリを降ろす。
枕元の小卓に燭台を乗せ、イマークはキーリの顔を再び覗き込んだ。熱に浮かされたような瞳がじっと
彼を見返している。手のひらに残るのはまろやかな体の輪郭。
もう間違えるはずもない。
- 253 :灯り12 ◆eQLTg8kqiw :2006/03/12(日) 00:36:52 ID:x1e6MmZ7
- 「君は…女性だったのか…。」
キーリは答えなかった。ただ、目尻から涙が一粒転がり落ちた。
「…わたしは―」
「いや、今は何も言わなくていいから。…良くなるのが先だろう。」
動揺しているはずなのに、静かな声が出た。そのことに少々驚きながらも、イマークは穏やかな
手つきでキーリの涙を拭った。
しかし…本人は病気ではないと言ったが、この様子はただ事ではない。どうしたものか。
見守るうちにも彼女は、きゅっと眉根を寄せ、こらえ切れないらしいうめき声をもらしている。
「俺が…なにか力になれることはない?」
冷えた手をキーリの熱い頬に押し当てると、閉じた薄い瞼がふるふると痙攣する。
「くすりを…つくっていたんです…。」
目は閉じたまま、はぁぁ、と熱いため息といっしょにやっと、と言った感じで口から言葉を押し出す。
「誤って…大量に吸ってしまって…。」
「!―毒、かい?」
イマークの問いかけにキーリは力なくかぶりをふる。
「助けて…ください。あなたに―触れられてしまったから…もう…耐えられない…。」
- 254 :ちまめ ◆eQLTg8kqiw :2006/03/12(日) 00:39:35 ID:x1e6MmZ7
- 今日はここまでです。
げ。灯り7、うっかりHNのままでした!反省。
- 255 :名無しさん@ピンキー :2006/03/12(日) 19:32:28 ID:crepTZZE
- なんかメチャいいとこで終わってんぞ!?
続きw☆k☆t☆k☆
- 256 : ◆z1nMDKRu0s :2006/03/13(月) 05:35:06 ID:4UApEBwI
- やっと……書き込めるようになった……
お二方激しくGJ……
少し寝かせてくれ……
- 257 :名無しさん@ピンキー :2006/03/13(月) 14:52:26 ID:XCT3Zl4L
- ゆっくり眠って、そして萌えを提供して下さいな。
なんなら子守歌でも。
(´∇`)ボェ〜♪
- 258 :名無しのアヒル :2006/03/13(月) 17:20:02 ID:t9d1fZrL
- お久しぶりです。私生活で非常に忙しくて全然書けなかった上、これからも更に大変になりそうなので、
あまり定期的にではありませんが、ぼちぼち投下させてもらいます。そこで質問があるのですが、
これから一回の投下に対してレスの数を増やそうと思っていたのですが、そう思った矢先に私生活が忙しくなり
投下を停止させた原因の一つになってしまいました。これから投下する「浜屋道場に行こう!」は
普段より長めに書いたのですけど、それを見た上で、これからの投下は
1.これまで同様、一回の投下で2〜4レス
2.今回の浜屋道場位の長さ(7〜8レス)
のどちらにした方がいいのかアドバイスをお願いします。
そのついでに「偽りの城」の男装少女が誰かという質問も募集してみたり(ぼそっ)。ちなみにいきつくまで時間かかりそうです。
今から謝っておきます。すみません。
前置き長くなりましたが、「浜屋道場に行こう!」。エロないです。久々なのにほんと申し訳ありません。
- 259 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 17:21:08 ID:t9d1fZrL
- 余計な話しまくりでなかなか事(エロ?)が進まなかったが、よーやく入門試験の準備が完了し
(普通の)防具姿で正座する二人。
「では、お願いします。」
「こちらこそ。」
二人は真面目に一礼すると、竹刀を構えた。
「手加減はなしだよ!!」
今までのアホアホな雰囲気とは一変して、ただならぬ闘気を発する寿丸。
「わかりきったことを・・・。参る!!」
菊之丞は少し微笑んだ後、刀を構え、素早い動きで寿丸へ向っていき、竹刀を振る。
『早いっ!!』
寿丸は菊之丞の素早い動きに驚きつつもその剣撃を受け止める。
しばらくググッっと鈍い音を響かせながら竹刀を合わせたが、そのうち菊之丞がはじかれる様に下がった。
「力勝負ではオレの方が有利みたいだね。」
「・・・・・。」
菊之丞は自分の弱点を見抜かれても、顔をしかめるどころか、むしろ楽しそうな顔を防具の下から浮かべた。
「寿丸殿、師範代だけあって実力は本物みたいだな。」
「あっ、疑ってたでしょ。」
「・・・ばれたか。」
「ひどーい。ま、今に始まったことじゃないけどぉ。菊ちゃんこそ華奢そうなのに結構やるじゃん。
見た目どーりっていうか、力はないみたいだけど。」
「まぁな・・。でも、動きには自信があるつもりだが。」
そう言うと菊之丞は再び竹刀を構えた。
「そうだね・・・・・。」
闘気を発する菊之丞に今までとはまるで別人の様に真面目に応える寿丸。菊之丞の言う通り、彼の動きは
侮り難いものがあると寿丸は見抜いていた。
『力ではオレが勝ってるんだから・・・あの動きに翻弄される前に勝負を付けなきゃな・・・。』
寿丸は冷静に戦況を分析した。ほんとにあの自分の名前を間違える程バカな奴とは思えない姿である(ひどっ!)。
「・・・・・。」
菊之丞は寿丸の思惑に気付いたのか、再び素早い動きで寿丸の懐に入り込もうとする。
「わぁ!・・・させるかぁ!!」
寿丸は突然の剣撃に驚くが、寸前のところで竹刀を受け止める。
「くっ!」
菊之丞は受け止められ、不利と感じたのか自分から後ろに下がる。
『『できる・・な。』』
- 260 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 17:23:19 ID:t9d1fZrL
- 前回のダジャレに漢字間違いに落書き防具、そして実験屋様が公式に認めてくれた道頓堀カーネルの起源とは
うって変わった真面目な展開に作者も驚きです。
「嬉しいよ、菊之丞。実力は申し分なさそうだね。」
寿丸は嬉しげな声を上げた。
「合格・・か?」
寿丸の言葉に菊之丞は試験の結果を問いただす。
「まだ内緒。もうちょっと勝負させてもらうよ。」
寿丸は「はぁとまぁく」が付きそうなお茶目な言い方をすると、それとはうって変わって真面目な表情に変わる。
「成程。勝負は最後までと言うことか。」
菊之丞は寿丸の表情に合わせる様に本気の表情になる。
「せっかくの試合だからね。いくよっ!!!」
今度は寿丸から先手を打ち、菊之丞の方へ向っていく。菊之丞は微動だにせず向ってくる寿丸を見つめている。
そんな菊之丞に向って渾身の一振りを寿丸が振るおうとした瞬間、菊之丞はまるで瞬間移動でもした様に
素早く寿丸の剣撃を避ける。
「まずいっ!!」
そうは言いつつもある程度は予想してたのか菊之丞の動きを冷静に目で追い、反撃の剣撃を受け止める。
「!!!」
三度剣撃を受け止められ、流石に顔色を変える菊之丞。寿丸の力攻めから逃れる為に菊之丞は再び後ろに下がろうとする。
しかし寿丸はそれをさせずまいと、渾身の力を籠め、菊之丞の動きを食い止める。
『くそっ!!まずい!!』
力の差は歴然なので菊之丞にとってこの状況は不利である。隙が出来る危険を覚悟しながらも菊之丞は一気に
寿丸の竹刀を合わせていた自分の竹刀に籠めていた力を抜き、後ろに下がろうとする。
「逃すか!!!」
予想されていたのか、寿丸は後ろに下がろうとした菊之丞に向けて素早く竹刀を振った。
「くぅ!!!」
菊之丞も隙をつかれることを予想していたので竹刀を必死で構える。しかし、元々の力の差と先程までの
手加減ない寿丸の力攻めで疲労が出始めていた為、ついに菊之丞は大きくはじかれてしまう。
「くああっ!!」
「隙あり!!!」
はじかれ、隙が出来た菊之丞に寿丸は胴に一太刀入れる。
――パアンッ
道場内に音が響いた。
「・・・・参りました。」
防具の上から感じた寿丸の鋭い剣さばきに菊之丞は竹刀を下ろし、寿丸に降参の礼を述べる。
その言葉に応える様に寿丸は道場の真ん中まで移動する。菊之丞もそれに合わせて移動をし、試合開始時同様、向き合う。
「・・・ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
二人は礼を交わした。
- 261 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 17:23:59 ID:t9d1fZrL
- 「・・・負けてしまったな。・・やはり不合格・・・か?」
菊之丞は防具を脱ぎながら残念そうな声を上げた。その顔は少し不安げだ。
「やっだなー。そーんな顔しないでよぉ!菊ちゃんカワイイからさー捨て犬見てるみたいじゃん。」
試合が終わった途端、真面目な雰囲気は失せ、元のおどけた雰囲気に戻る寿丸。
「この子を拾って下さい。名前は菊之丞です。オスです。・・・菊ちゃんって男だよね?」
昔の漫画風に捨てられている犬の様子を菊之丞に当てはめて見る寿丸。箱に入れて捨てられてる犬猫なんて
見たことある人いるのかって思われそうだが、作者は箱に入れられた状態で捨てられた猫を見たことがある。しかも二回。
「人を動物、しかも捨て犬扱いしないでくれ・・。お、男に決まっているだろ・・・・。」
そうは言っても動物好きなのか動物扱いは嫌そうではない菊之丞。しかし、自分を男だと告げる声は心なしか戸惑っていた。
「ほんとかなぁ〜。」
戸惑う菊之丞を見て、顔を近づけからかう様な言い方をする寿丸。
「・・・・・・。」
その視線に顔を赤らめる菊之丞。
――やばっ!ほんとにカワイイ・・・。
照れる菊之丞を見て自分まで照れてきた寿丸。近づけてた顔を離した。
「ちょっとぉ、菊ちゃん、オレを男色家にする気?女の子とも付き合ったことないのに。」
「そ、そうなのか・・。」
「うん、彼女いない歴十七年だよ。」
「安心してくれ、私もいない歴十五年だから。」
そう言って菊之丞が微笑みかけた。
「えー、菊之丞も彼女作ったことないの?もてそうなのになんか意外ー。」
「あ、ああ・・・。剣の修行に入れ込んでて、そんなの・・考えたことなかったから・・。」
菊之丞は指を合わせながらもじもじした。やはりというか、その手の話には疎い様である。
「よし、今度はどっちが先に恋人を作るか勝負してみる?」
寿丸は意気揚々と言った。
「遠慮願いたい・・・。今度・・と言うことは?」
菊之丞は寿丸の言葉が気になり、顔を上げる。
「やる?でも、菊之丞相手じゃ負けそうだなぁ。」
「いや、そうではなくて・・・・・。入門試験の結果を・・。」
前回程バカ話はしてないものの、やはり話が逸れてしまい、大事な話が後回しになってしまっていた。
「ああ、ごめんね、菊ちゃん。忘れてたよ。だってさ、結果は言うまでもないじゃん。」
「・・・やはり・・。」
菊之丞が沈んだ声を上げた。
「合格!!」
「・・・え?」
寿丸の通告に菊之丞は意外といった声を上げた。
「なんでそんな声上げんのさー。菊之丞の実力ならとーぜんじゃん!!」
「しかし、試合には・・・。」
「勝敗だけじゃないって!つーか元々新しい門下生が欲しかったんだしー。」
「そうじゃ!!」
「「えっ?」」
その場に寿丸とも菊之丞とも違う低い声が響いた。
「親父!」
- 262 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 17:24:37 ID:t9d1fZrL
- その場に現れたのは寿丸の父で浜屋道場の師範、薙丸であった。寿丸によく似た顔をしているが
少年ゆえかあまり背は高くない寿丸に比べて、体格がよく、たくましい身体つきでいかにも武芸にたしなんでいるといった
感じであったが、息子譲り(←逆)のおどけた雰囲気も醸し出していた。
「ん!寿丸!お前普通の胴着を使ったのか!!」
「げぇ!!まずい!」
父に約束を破ったことがばれ、顔色を変える寿丸。
「罰だ!!明日衛門君とポッキーを端っこから食べ合う、内兵衛からもらった南蛮の甲冑を着て町内一周する、
相撲取り数人が無人島で遭難する漫画を描くの内どれを選ぶ!!!」
「ひ、ひえーーーーー!!!!」
罰則の厳しさに悲鳴を上げる寿丸。ちなみに明日衛門とは道頓堀カーネルの起源と言われる「土座衛門に謝れー!!!」を
あみだした力士のことで、内兵衛とは薙丸のマブダチの商人のことである。つまり、薙丸はデブ・・・おっと失礼
巨漢とよく合コンやお水なんかで見かける(どっちも行ったことないけど)両端からポッキーを食べ合い、
場合によってはちゅーになるアレをやれって言ってるのである。そりゃいやだわ。えっ、時代考証?
そんなもの今までの話を見ればわかるでしょう。
「ちょっと待てよ親父!!男装少女萌えスレで、主役(男)がデブとポッキー食い合って、しかも接吻すっかもしれないとか
デブ数人が無人島で鯖威張る(時代物らしい(?)当て字)ネタとか、んなモン見せちゃやばいだろ!!!」
確かに男装スレに限らず、そんなもの見せるのはやばいでしょう。文章な分まだマシだろうけど。
それでも男がデブとポッキー食べ合いっこやデブのみの無人島サバイバルなど、我々男装萌えの敵(?)腐女子すらも
受けつけないでしょう(全国のデブ・・じゃなくて太めの方および腐女子の方すみません)。
「俺だってデブとポッキーの食べ合いっこやデブのみの鯖威張る漫画執筆なんてやりたくないっ!
やりたくないことをやらせるから罰なんだ!」
「うわっ!ごもっとも!!でも、勘弁してーーー!!!」
寿丸が必死で哀願すると菊之丞が口を開く。
「あの、どうか寿丸殿を許してやって下さい。拙者が普通の胴着を使う様言いくるめたのですから。」
「き、菊ちゃん!!!」
寿丸は自分に助け舟を出そうとしてくれてた菊之丞にすがる様な視線を向ける。
「おおっ!君が入門希望の!先程の試合見させてもらったよ!」
「親父、見てたのかよ!!」
「ああっ!菊之丞君だったね。俺からも合格を授けよう!今日から君はここの門下だ!」
「あ、ありがとうございます・・・。」
師範直々の合格通知に頭を下げる菊之丞。
「寿丸、新しい門下生が出来た記念に勝手に普通の胴着を使ったことは許してやる。」
「ほんと!やたーーーー!じゃ、ついでに普通の胴着に使用許可も出して。いっつもじゃ大変だから。」
「よし!今の俺は機嫌がいい!!でも、時々は使えよ!何度見ても面白いから、あれ!」
薙丸が寿丸に落書き防具を使わせてた理由は罰というより、見ててお気に入りだったかららしい。流石寿丸の父。
なかなかのアホである。そんなアホ親子のやり取りを少し呆れながらも微笑みを浮かべ見つめる菊之丞。
「ところで菊之丞君、君は佐助の子供だろう?」
「えっ!父のことを・・・。」
父親の名前をずばり言われ、少し驚く菊之丞。
「そりゃあ知ってるさ。俺と佐助は親友だったからねぇ。これからは俺が佐助に変わって、保護者として
弟子として大事に扱わせてもらおう。ここに住み込みでいいよね?」
「あっ、はい・・。ここに来るまでは旅をしてたので、家はないですから・・・。」
「わーい!菊ちゃんここに住むんだぁ!嬉しいな!」
寿丸は浮かれながら、菊之丞の肩を掴んだ。
「ちょ・・寿丸殿・・・。」
菊之丞は再び肩を掴まれる感触に照れくさげな声を上げた。
「はっはっはっ!仲良きことはいいことってな!!」
寿丸と菊之丞の様子に薙丸は息子とM・Kさんと同じ発言をしながら豪快に笑った。
- 263 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 17:25:30 ID:t9d1fZrL
- 「さ、ここが菊之丞くんの部屋だよ。」
菊之丞は、薙丸に今日から暮らすことになる部屋に案内された。
「はい・・、ありがとうございます。」
菊之丞は薙丸に礼を言うと、部屋へと入り、辺りを見渡した。
「気に入ってくれたかな?」
「はい・・。いいのですか?居候の拙者にこんなちゃんとした部屋を与えたりして・・。」
「全く気にすることはないさ。この家、部屋数多いし、居候というより、れっきとした家族だと思ってるつもりだからな、俺は。」
「オレも、オレも!きょーだいが出来たみたいで嬉しいぞ!」
薙丸の言葉に寿丸が明るく反応した。
「かたじけない、寿丸殿、薙丸殿、・・いや、師範。」
「いやいや、稽古とか以外は名前でいいぞ。菊ちゃん。」
「な、薙丸殿!その呼び方は・・・・。」
寿丸に続き、薙丸にまで『菊ちゃん』という呼び方をされたことに照れの混じった声を上げる菊之丞。
「ハハハ、よいではないか!佐助のことも『さっちゃん』って呼んでいたからな。」
「さ、さっちゃ・・・・。」
「バナナが好きそうな呼び方だなぁ。」
父の軽い調子のあだ名を知って少し戸惑う菊之丞を尻目に、寿丸は都市伝説や怪談で有名で
ちょっといわくつきなあの歌の話を持ちかけた。
「本当に遠くに行ってしまったしな。菊之丞くん、父のあだ名とはいえ、あの歌は間違っても夜中に歌ってはダメだぞ。
バナナを枕元におかないと殺されるからな。」
「ひえー!さっちゃん、怖いよー!!ぜってー夜中には歌わないぞ!」
薙丸の怪談話に寿丸は大げさに驚いた。
「・・・大丈夫だと思うぞ、寿丸殿。夜中に歌った程度で殺されるならその犠牲者は洒落にならない人数になってると思うぞ。
所詮ただの噂さ。」
「そうか、そうだよね!そりゃそうか。口裂け女だって人面犬だって件(くだん)だって実在しないし
志村○んだってつ○やきシローだってちゃんと生きてるし、ドラえもんやサザエさんの最終回は作風に似合わない
現実的でダークなものじゃないし、升沢だってユウタンだって黄色い救急車に連れてかれる心配ないもんね!」
相変わらず江戸時代離れした知識(?)を見せ付ける寿丸。ちなみに件とは江戸時代から伝わる人面犬の先祖の様な妖怪で
一言で言うと人面牛。妖怪のくせに寿命が数日で、虫並みに短いが予知能力があるらしく、太平洋戦争のとき
「日本が負ける」と予言したとか。以上どうでもいいムダ知識(○リビア?)でした。
「ところで、菊之丞くん、この部屋は君にとって特別な所なんだぞ。」
ずれまくりな話をぶった切って、薙丸が意味深なことを言い出した。
「えっ?」
「なにそれ!知りたい、知りたい!!」
当事者である菊之丞より、話に食いついてきて薙丸に迫る寿丸を押さえ付けながら、薙丸は口を開く。
「内緒だ。ま、その内わかるから、それまでの楽しみにしといてくれ。」
「親父のいけず!(京都人か、お前は) せめてオレだけにも教えてくれよ!」
薙丸に抑え付けられながらも、寿丸が声を上げた。
「だーめ。お前も菊ちゃんと同じく、楽しみに待ち続けろ。」
「はいはい、わかりましたよ。なー菊ちゃん。一緒に待とうか。」
寿丸はあっさり薙丸から離れると、菊之丞のそばへと近寄った。
「ああ、そうだな・・。」
菊之丞は薙丸の言葉が気になりながらも、笑顔を浮かべながら答えた。
- 264 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 17:27:06 ID:t9d1fZrL
- 「あんたが新しく入門した菊之丞君かい。いや〜、かっわいいねぇ。おまけに賢そうで、ウチのバカ息子とはえらい違いだよ。」
菊之丞を見て豪快に笑いかける女性は薙丸の妻で寿丸の母の美江(みえ)である。非常に恰幅のいい
いかにも肝っ玉かあちゃんといった感じである。
「はい、美江さん、これからよろしくお願いします。」
菊之丞は美江に丁寧に挨拶した。
「あら〜。ウチの寿丸より二コ下だってのにちゃんとしてるねぇ。さっちゃんは真面目だったからねぇ。
ホラ、寿丸も見習うんだよ!」
美江は真面目な菊之丞の態度に感心すると、息子に厳しく諭す。
「なんだい、なんだい。バカ息子ってさ。他の子と比較する親はロクなモンじゃないぞ。」
寿丸は拗ねながら反論した。
「じゃああんたは外で感心される様なことやってるんかい。茶屋で門下生と団子食べてるとき、大声出して相手が視線を逸らした隙に
残ってた団子食べたのはどこの誰だい?」
「うっ!!!」
ずばり自分の悪事を指摘され気まずくなる寿丸。
「寿丸殿、そんなことしたのか・・。」
「そうだよ、菊之丞君もこいつと外で食べるときは気をつけるんだよ。」
「ちょ・・おふくろ!!!食いもんのことでは人の事言えるのかよ!!オレ、知ってるんだぞ!!おふくろが
某忍術学園の学園長みたいに台所の戸棚や自分の部屋にお菓子を大量に隠してんの!!!
で、オレや親父の目を盗んでこっそり食べてんの!!」
「そんなこと人前で言うんじゃないよ!!!」
美江が寿丸の頭をげんこつで叩いて、『ごち―――――ん!!!』と勢いのよい音を鳴る。
「て―――!!!なにすんだよ!!!しんちゃんみたいなたんこぶが出来ちまったじゃないか!!!」
「ははは、寿丸殿、少し背が高くなったな。」
しんちゃんのごとくな寿丸のたんこぶを見て菊之丞が笑い出す。
「ちょっと菊ちゃん、そりゃないよー。」
「フフフフフ。」
「はっはっはっはっは。真面目そうに見えてなかなか面白いこというねぇ。」
寿丸の情けない言葉に菊之丞と美江は関を切った様に笑い出した。
「なんだい、二人してオレを笑いものにしてさ、ちきしょー。」
「さて、すっかり菊之丞君とも打ち解けられたし、そろそろ夕食の準備でもしようかね。今日はご馳走だね!」
「わーい。そういや一試合したから腹減ったな。菊ちゃんは?」
「私もだな。少々疲れたし、さっきの話で甘いものが食べたくなってきたな。」
「じゃあ、茶屋にでも行ってきな。夕食にはまだ時間があるし。はい、お金。」
「わーい、ありがとうございまーす、世界一美しい母上。」
「こんなときだけ調子のいいこと言ってんじゃないよ。菊之丞君のお菓子を騙して取るんじゃないよ。」
「ちょ・・・おふくろぉ!」
「大丈夫です。気をつけますから。」
「菊之丞は笑いながら美江に答えた。
「もおー菊ちゃんまで・・。」
どこまでも主人公らしからぬ情けなさの寿丸なのであった(昔話風)。とっぴんぱらりのぷう。
- 265 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 17:27:42 ID:t9d1fZrL
- とっぴんぱらりのぷうと前回、読者に誤解されそうな言葉を書きましたが、まだまだ続くのじゃ。
話の都合で既に茶屋に着いた寿丸と菊之丞。
「菊之丞、何頼む?オレは団子にする。」
「そうだな、私もまず団子だな。取られたら困るし。」
菊之丞は笑いながら答えた。
「もう、菊ちゃんのいけずぅ(口癖?)。あれ、『まず』って?」
「次は・・、饅頭と大福と・・後、羊羹も。それとかすていらと桜餅と柏餅も。」
「ちょ、ちょっと菊ちゃん!!そんなに食べんの!!?」
「うん。」
菊之丞は臆面もなく返事をした。
「晩飯前だしさぁ、そんなに食べると太るよ。せめて2、3種類に絞れば?」
「おやつはいつもこれぐらい、場合によってはこれより食べてるから平気さ。」
「・・・・(-∇-;) 」
寿丸の驚いた表情を顔文字で表してみましたがどうでしょう。
「ま、甘いものは別腹ってとこかな。」
菊之丞、極度の甘党である事が判明。やっぱりお○な○子は甘いものが好き。
「・・・・・。」
寿丸は菊之丞の前に置かれたお菓子を前に言葉を失う。自分は団子のみなのに対して菊之丞の目の前にはそれを今すぐ
すべて食べるつもりとは思えない位、かなりの種類のお菓子が並べられていた。しかもどの皿も最低2、3個のお菓子が置かれ
多いものでは5、6個位置かれており、普通の人なら一皿分で十分の量である。その大量のお菓子を菊之丞は
すべて一人で食べるつもりなのである。
「さて、いただきます。」
菊之丞は幸せそうな笑みを浮かべながら、まず団子に手を付ける。
「あ、おいしい。今まで食べた団子の中でも一番かも。」
満面の笑みを浮かべて団子を頬張る菊之丞。今までになく楽しげな菊之丞の笑顔に、寿丸は団子に手を付けることも
忘れて見とれていた。
「どうした?寿丸殿。食べないのか?」
団子を頬張りながら菊之丞が口を開いた。寿丸はその言葉にはっとする。
「いやぁ、菊ちゃんがあんまりにもおいしそうに食べてるとこ見てるだけでおなかいっぱいになりそうでさー。」
「ははは、そうか。じゃあ寿丸殿の団子、拙者が貰おうかな。」
「えっ!?まだ食べれるの!!?はー、すごいね、菊ちゃん・・。じゃあ、二本だけあげる。その代わり
かすていらと柏餅一個ずつちょーだい。」
「わかった。」
二人はそれぞれ団子二本とかすていら・柏餅を取り替えた。
――交換とはいえ、オレから団子を盗まれるどころかオレの団子を取ってしまうとは・・。菊之丞、恐ろしい子!!!
寿丸は菊之丞から貰ったかすていらを頬張りながら、七十年代の少女漫画調の顔になりそうな台詞を思い浮かべた。
「寿丸殿につられてかすていらを食べたけど・・、これもすごくおいしい!ここの菓子職人はかなりいい腕だね。」
菊之丞は寿丸の密かなギャグ(笑)も知らず、無邪気にかすていらを味わっていた。
- 266 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 17:28:14 ID:t9d1fZrL
- 「美江さん。おかわりお願いします。」
「あいよ!でも・・大丈夫かい。もう四杯目だよ・・・。」
菊之丞、極度の大食いであることも判明。
「・・・・・。」「・・・・・・・・・。」
薙丸と寿丸は菊之丞の細い外見からは想像も出来ない食欲に驚いていた。茶屋で一緒にお菓子を食べた寿丸は特に・・。
「流石菊之丞くんとでも言うべきか・・・・。」
「流石って、菊ちゃんの親父さん、佐助さんだっけ。その人も大食いだったのか?」
「いや、佐助は普通だったけど・・・。でも・・・。」
「『でも』って何だ?教えてよ、親父!」
薙丸の発言が気になった寿丸は薙丸に詰め寄った。
「な・い・しょ。」
「またかよ!つーかいい年こいた親父がそんなお茶目な言い方してキモいちゅーねん!!」
「父親に向かってキモいとはなんだ!!キモいとは!!!」
「あんたら!!食事のとき位静かに出来ないのかいっ!!」
美江は騒がしい薙丸と寿丸を怒鳴った。
「「すんません・・・・。」」
「ごめんねぇ、菊之丞君、騒がしい家でさ。」
「いえいえ、楽しいですよ。ご飯もおいしいですし。美江さん、料理上手ですね。おかわりいいですか?」
「いやねぇ、菊之丞君。料理の大天才だなんて(←そこまで言ってないがな)。がつがつ意地汚く食べるだけの
ウチの男共とはエライ違いだよ。」
美江は菊之丞の言葉に喜びながらご飯をよそう。
「もう五杯目だ・・。すげぇ・・・・。」
「食費、大丈夫かな・・・。」
「こらっ!あんた達、全然箸が進んでないじゃないか!!お残しは許しまへんでぇ!!!」
「美江、その台詞似合いすぎ(笑)。」
「体型が体型だけになー。」
「失礼な!!これでも昔は華奢な美少女が売りだったんだから!!!」
「けっ、ありえねー。」
母の言葉に更に失礼な態度を重ねる寿丸。
「いや、それはホントさ。美江があんまりにももてるから、何度ヤキモチ焼いたことか・・・。」
そう言って薙丸は席を立ち、美江の肩を抱く。
「ちょっと!食事中に席を立つんじゃないよ!!早く食事済ませな!!!」
美江にきつく諭され、ちょっと傷ついた顔ですごすごと席に戻る薙丸。
「月日の流れは残酷ってか・・・・。おふくろの場合、見た目も性格もだろうな・・・。」
甘い雰囲気など微塵もない態度の美江を見て、気の毒そうに薙丸を見つめる寿丸。
「美江さん、まだおかわりありますか?」
騒がしい浜屋一家を尻目に六杯目のおかわりを要求する菊之丞。見た目によらず色気より食い気な様である。
「色気より食い気」と言っても書くものは書くのでご安心を(そのうち)。
- 267 :浜屋道場に行こう! :2006/03/13(月) 19:04:12 ID:t9d1fZrL
- 以上です。ひょこ様、ナサ◆QKZh6v4e9w様、実験屋様、 aPPPu8oul様、Xo1qLEnC.様、6_237様、そしてz1nMDKRu0s様ら常連の方々もさることながら
元祖「男装してる美少女にハアハア」スレの神降臨(当時から見ていたので過去の作品も拝見しました)、まふまろ ◆kNYi2powNw様、ちまめ◆eQLTg8kqiw様といった
新たな職人様降臨で活気が戻ってきて ありがたいです。
>>まふまろ◆kNYi2powNw様
誰もが最初は素人、批評を受けてこそ成長も出来るものなのでこれから頑張って下さい。
主人公(?)の城の番人の若者が何者でこれからどうなってしまうのかが非常に気になります。ファーストコンタクトの女も非常に気になりますね。
>>ちまめ◆eQLTg8kqiw様
男装の修道士という設定が斬新でいいですね。キーリがかいだ薬は媚薬なのではと予想www
- 268 :名無しのアヒル :2006/03/13(月) 19:05:20 ID:t9d1fZrL
- メ欄が「浜屋道場」のままでした。すみません。
- 269 :名無しさん@ピンキー :2006/03/14(火) 17:51:36 ID:0DyW0iD6
- いいんですけど漫画だったらおもしろいですね。
- 270 :名無しさん@ピンキー :2006/03/14(火) 19:25:34 ID:lE5cNW4u
- アヒルさんキターーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!
- 271 :上を向いて歩こう :2006/03/15(水) 00:34:44 ID:X4OOkutv
- 「なにやってるんだお前?」
アパートの部屋の前にうずくまる物体に男は声をかけた。
「え?」
「え?じゃないよ。ソコ俺の部屋なんだけど・・・。」
「あぁ、そうだったんだ・・・ごめんなさい。」
物体、では無くうずくまっていた少年は寄りかかっていたドアから数歩横にそれて
再びうずくまった。
「どうぞ。」
「どうぞって・・・何だお前、家出か?」
「!!」
男の質問に少年はギクリと震え俯いた。
「ドンピシャか・・まぁ理由は分んねぇけど帰れるなら帰ったほうがいいぞ。」
「うるさいな・・・アンタには関係ないだろ。」
「そうだ、まったく関係ない。」
あっけらかんと男は言い切りポケットから鍵を取り出しドアを開けた。
「・・・・・」
「あーーー・・・何だよ?」
突き刺すような少年の視線に苛立った男は少年に問いかける。
「・・・・別に・・・。」
少年はプイッと横を向いてむくれた。
「・・・・・・・上がってくか?」
「え!?」
男の提案に少年は驚いた。
「安心しろとって喰ったりしないから。警察に届けたって家が割れてるんだ、後で報復されるヤだし。」
「そんなことしないよ。」
「なら安心だ。で、どうすんの?」
「・・・・」
少年は返答に困っているようだった。
「ちなみに今夜は冷えるらしいぞ。氷点下だってさ。明日の朝、家の前に凍死体なんて困るんだけど。」
「・・・・お邪魔します。」
可愛げは無かったが少年はペコリと頭を下げた。
- 272 :上を向いて歩こう :2006/03/15(水) 00:37:36 ID:X4OOkutv
- 男は台所でゴソゴソと料理する準備を始め、少年は居間のテーブルにちょこんと座っていた。
「俺は今から飯だけど、お前どうする?」
「どうするって?」
「喰ってないなら作ってやろうかって言ってるの。」
「いいの?」
「一人分も二人分もそんなに変わらないからな。」
「えと・・・うーん・・・」
グウゥゥゥ・・・
考え込んでいた少年のお腹から腹の虫が元気に返事を返した。
「・・・・いただいてきます。」
「はいはい。」
「今日は臨時収入が入ったんでな。少し豪勢だ。」
30分の後、テーブルの上にはスキヤキが美味しそうに煮えていた。
「でもお肉豚じゃん。」
「うるさいな、牛なんて高級品が食えると思ったのか?」
「だって豪勢だって言ったじゃないか。」
「・・・普段は肉すら入ってないんだが・・・・グスン。」
「あっ・・・その・・・ごめんなさい。」
「まぁいいさ。ホレ、食っていいぞ。」
「ウン。いただきます。」
- 273 :上を向いて歩こう :2006/03/15(水) 00:39:00 ID:X4OOkutv
「そういえば・・・。」
「ん?」
食後に男がふと疑問に思ったことを口にした。
「お前の名前聞いてなかったな。なんて言うんだ?」
「・・・草薙巽(くさなぎ たつみ)。」
「巽か・・・俺は大上辰斗(おおがみ たつと)だ。よろしくな。」
「アンタっておかしな人だね。」
「なんだいきなり失礼な。」
「普通、家の前にいた不審者を中に入れる。家出を装った泥棒とか考えないの?」
「あ〜、そういうのもありだな。」
「ありだなって・・・そんな人事みたいに・・。」
「だって別にお前泥棒じゃないんだろ?」
「それは・・・そうだけど・・・。」
「だったらいいじゃん、ヘタに疑うのもなんかイヤだし。」
辰斗はスッと立ち上がりなべや食器を片付け始めた。
「僕も手伝うよ。」
「そうか、じゃあ鍋とか洗うから閉っといてくれ。」
「うん。」
「おつかれさん。ホレ、コーヒー。」
「ありがと。」
片付けも終わり一服する辰斗と巽。
「ところで巽。」
「なに?」
「家にはなんて言ってるんだ?」
「ヴッ・・・・」
家の話をした途端に巽は顔をしかめた。
「そんな顔すんなって。一応連絡くらいは・・・」
「いいよ別に・・・連絡したって誰も出ないし。」
巽は辰斗と目を合わせずに横を向いた。
- 274 :上を向いて歩こう :2006/03/15(水) 00:40:51 ID:X4OOkutv
- 「ワケありなのね・・・じゃあ泊まってくか?」
「えぇ!!」
辰斗の提案に巽は声を荒げた。
「イヤそんなに驚かなくても・・・。」
「だってさ、部屋に上げてくれたり、ご飯ご馳走してくれたりしてくれて感謝はしてるよ。
でも、泊まっていけなんて・・・辰斗どれだけお人好しなの!?」
「なんか言い方にいちいち毒があるよなお前。」
辰斗は気分を害したように眉間にしわを寄せる。
「・・・だって・・・。」
「見た感じ遊び半分って訳じゃないみたいだし、モチロン遊び半分のプチ家出なら即効家に
送りつけるけどな。覚悟あって家出した奴を見捨てるってのもいい気分じゃない。」
「辰斗・・・。」
「それにさっきも言ったけど今晩冷えるってよ。明日のニュースでお前が凍死体で発見なんて
シャレにもならねーじゃんか。」
辰斗は床にあぐらをかいたままタバコに火をつける。
「で?どうする?」
「宿代を身体で払えなんて言わないよね?」
「言うかバカ!!俺は男に興味なんてねーよ。」
「・・・・・・・ボソ ・・男・・ね・・・。」
「ん?どうした?」
「イヤイヤなんでもない。」
巽はあわてて手を振った。
「じゃあ・・お言葉に甘えて。」
「ハイハイ。クソガキ一名様ご案内〜。」
「クソガキって言うな!!」
これが辰斗と巽の最初の出会い。
- 275 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/03/15(水) 00:47:35 ID:X4OOkutv
- お久しぶりです。実験屋です。
再就職活動が一段落したのでまた投下させていただきます。(+プチ改名)
今迄のシリーズから一新して新作になります。どうぞ御賞味下さい。
- 276 :名無しさん@ピンキー :2006/03/15(水) 01:58:35 ID:8zRj9ma8
- 頂きますた。
続きを期待しております。
- 277 :名無しさん@ピンキー :2006/03/16(木) 22:24:55 ID:L+z5TMvm
- GJ!!待ってますた。
- 278 : ◆z1nMDKRu0s :2006/03/16(木) 23:26:11 ID:LsKfjFD1
- アヒル氏実験屋大GJ!!
旧職人も戻ってきて活気づいてきましたなw
さて当方ライブがあるため四月頃まで投下できなさげです
今まで待たせといて何やってんだコノヤロウ!! という批判もあるとは思います
そのお詫びも含め、四月に一気に投下致します
皆さん本当に申し訳ありません
- 279 :上を向いて歩こう :2006/03/17(金) 14:34:53 ID:wHvcZqJ6
- 「辰斗〜。いる〜?」
いるいない関係無しに辰斗の部屋に上がりこむ巽。
「巽君。一応呼び鈴くらい押そうよ。」
我が物顔で家宅侵入する巽に辰斗は呆れた顔をして巽を迎えた。
巽と知り合ってから半月ほどになる。すっかり辰斗(限り無く辰斗の部屋)を気に入った巽は
ちょくちょく現れては好き放題している。
「勉強みてほしいんだ。辰斗大学生でしょ?高校の問題くらい簡単でしょ?教えてよ。」
「教えるったって・・・俺工業系の高校だから普通高校の問題なんて分んねーぞ。」
「何だよ期待してたのにー・・使えないなぁ。」
「ムカ(怒) んだとコラ!!やってやろーじゃねぇか。問題見せてみろや。」
巽に上手くのせられて問題集と対峙する辰斗。
「これでどうだ!!」
「えーと・・・凄い全部あってるよ!!」
「見たか俺の実力!!」
「これで宿題お終いっと。」
「あっ!!巽お前ハメやがったな!?」
「ぜ・ん・ぶ 解いてくれてありがとうございました。」
「チクショー!!」
テーブルを思い切り叩いて悔しがる辰斗。
「怒らないでよ辰斗。お礼にコレ・・・」
「ん?・・・ぬおぉぉぉぉぉぉ!!!それは!!??」
驚愕する辰斗。目の前には牛肉を持った巽が後光をまとっていた。(もちろん後光は牛肉から)
「控えおろぉ!!グラム200円のすき焼き用のお肉だぞ!!」
黒地に金縁のパック。それはまさに高い肉の証明。
「ははぁぁ!!!」
悪代官よりも床に頭を擦り付けながら辰斗はひれ伏した。
- 280 :上を向いて歩こう :2006/03/17(金) 14:35:58 ID:wHvcZqJ6
- 「はぁ〜幸せだ。」
至福、と言う気持ちをあらわに満面の笑みですき焼き(つーか牛肉)を頬張る辰斗。
「ハハ・・喜んでもらえて何よりだよ。」
その姿は巽的にはドン引きだった。
「また、買ってこようか?」
「いいのか?やったぜベイベー!!」
「ベイベーってオイ。」
「あっそうだ!!」
「どうしたの?」
「来週俺誕生日なんだ。お祝いって事で・・・ダメか?」
「来週か・・・分った、楽しみにしててね。」
「そりゃもう!!」
辰斗の目は牛肉と言う文字で光り輝いていた。
「ねえ辰斗、他に何か欲しいものある?」
「イヤ別に。ソコまで気を使わなくてもいいぞ。」
「でもさ、辰斗にはいつもお世話になってるし・・・。」
「気持ちだけありがたく頂戴するさ。」
「・・・・・・・・ウン。」
「?」
含みのある巽の返事。だが辰斗にはそれが何なのかまだ分らなかった。
- 281 :上を向いて歩こう :2006/03/17(金) 14:37:32 ID:wHvcZqJ6
- 誕生日当日。辰斗はウキウキしながら巽が来るのを待っていた。
「肉!!肉!!肉!!肉ゥゥゥゥゥゥ・・・ヒャッホゥイ!!」
すでに鍋や野菜、つまりは肉以外の全てを完備した状態で辰巳が来るのを今か今かと
半ば殺気立ちながらまつ辰斗。
そして、
「辰斗〜。お誕生日おめでとう。」
「キターーーーーーー!!」
巽というか肉が来た事に喜ぶ辰斗。
「ハイお望みの品。」
「グハァァァ・・・。」
木目調の丸いパックに入った霜降りの肉。
「すげえ・・・こんな肉見たことねえよ。」
見切り品で半値になった豚肉しか普段知らない辰斗は霜降り肉という未知の世界に絶句した。
「よし早速喰っちまおう。」
「食い気の塊だね辰斗は・・。」
「なんとでも言うがいい。今日にかける意気込みはただならぬ物なのだ・・見よ!!」
辰斗はおもむろに卵を一個取り出した。
「卵がどうしたの。」
「ヌフフフフ、なんとこれは”ウコッケイ”(漢字忘れた)の卵なのだ!!」
「ええ!!それって安くても一個500円はする高い卵じゃん。」
「この卵は今日と言う日に懸ける俺の想いの結晶なのだ。」
「・・・・だったらそれでもっといい肉買えばいいじゃない。」
「・・・・・・・・・・・・ハッ!!」
「今気付いたの!?」
「ま、まあなんだ。早く喰おうぜ。」
「立ち直りと切り替え早!!」
「お前のためにもう一つ卵用意してるんだぞ。」
「おぉー!!用意がいいね。」
二人は鍋を囲んだ。
「では改めて、お誕生日おめでとう辰斗。」
「あんがとさん巽。」
- 282 :上を向いて歩こう :2006/03/17(金) 14:38:41 ID:wHvcZqJ6
- 「あぁ〜〜喰った喰った。」
少なくとも5人前はあった肉をほとんど一人で平らげた辰斗。
「幸せそうな顔しちゃって・・・殴りたくなっちゃうぜ。」
呆れ半分の顔でそれをみる巽。
「構わんよ〜今の俺は気分がいい。何したっていいぜ。」
食ってる最中ビールも飲んだせいか寄った勢いでかなり調子に乗ってる辰斗。
「・・・・本当に?」
「あぁ。どんとこいよ、ハハ。」
辰斗は気が付いていなかったが巽の表情は笑顔から徐々に真剣なものへと変わっていった。
「辰斗・・・。」
「なんだ?」
「もうひとつプレゼントがあるんだけど。」
「プレゼント?」
「もらってくれる?」
「くれるって言うんなら有難く頂くけど、前にも言ったけどあんまり無理しなくてもいいんだぜ。」
「全然・・・無理なんかしてないよ。」
そう言いながら辰斗の方へと近づく巽。
「そうか?ならばいいんだ・・・が・・・んんっ!!」
辰斗は酔っていた事もあり状況判断に苦しんだがこれだけはハッキリと理解できた。
巽に・・・・キスされている。
- 283 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/03/17(金) 14:55:51 ID:wHvcZqJ6
- 今日は以上になります。なかなか製作がはかどらないッス。
>>アヒル様
お久しぶりです。浜屋道場に笑わせていただきました。
投下ですが無理なさらずにアヒル様のペースに合わせての投下が
一番と思います。
>>まふまろ様
遅ればせながらGJです。どういった展開になるのか楽しみです。
>>ひょこ様
待ってました!!大木先輩がジャンプのもて王の杉音を想像してしまって
お腹がよじれそうです。
>>ちまめ様
萌えてくる展開がサイコーです!!自分も媚薬を作っていたと思っていますが
真相は・・・?続きを待ってます!!
>>z1nMDKRu0s様
レスどうもです。四月の一気に投下が待ち遠しい!!
メイドロバに襲われたユウタンはどうなるんだー!!
- 284 :名無しさん@ピンキー :2006/03/19(日) 15:14:56 ID:vkStTZWz
- どれもこれもつづきが見たい。
- 285 :名無しさん@ピンキー :2006/03/21(火) 18:43:34 ID:sh6mW8LY
- 「土曜日の情事」の瑞希は、普段ショートヘアにスーツ姿ってことで
個人的にFateのバゼットのような容姿を勝手に想像してるんだが。
実際のところはどうなんだろ?
- 286 :名無しさん@ピンキー :2006/03/23(木) 20:04:20 ID:chGKTuYF
- 寂しい。
- 287 :名無しさん@ピンキー :2006/03/25(土) 01:26:31 ID:2iBR+/L7
- 続きがみたい(;ω;)ウッ
- 288 :名無しさん@ピンキー :2006/03/27(月) 18:59:56 ID:1YYMZ5DK
- 安西先生、8838氏の作品が読みたいです。
- 289 : ◆z1nMDKRu0s :2006/03/28(火) 20:05:46 ID:YcgWJWMZ
- やっと…………
やっと明日でライブが終わる…………
明日書くので投稿はそれ以降になりそうです
以下チラシの裏
今日気づいたけど俺のバンドのボーカル一応男装系だ
- 290 :名無しさん@ピンキー :2006/03/28(火) 22:06:16 ID:YuThleK8
- >>289
恋の花が咲きますな
- 291 : ◆z1nMDKRu0s :2006/03/28(火) 22:10:09 ID:YcgWJWMZ
- 咲かせる為に今日4000円もする美容院逝ったし
頼まれてたキングダムハーツの中古情報集めに駆けずり回ってますた
- 292 :名無しさん@ピンキー :2006/03/28(火) 22:21:24 ID:YuThleK8
- >>◆z1nMDKRu0s氏
俺は努力するお舞を強く応援する
がんばれ
がんばれ
- 293 : ◆z1nMDKRu0s :2006/03/29(水) 15:31:23 ID:8fUoOkuN
- とりあえずライブ終了
で、件のボーカルからメアドゲットし、そのメール
「暇だなぁ……」
さて諸君
これを解読してくれたまえ
- 294 :名無しさん@ピンキー :2006/03/29(水) 20:54:29 ID:yuxzq068
- 翻訳
前向きver.:かまって〜かまって〜☆
普通ver.:暇つぶしになんかない?
後向きver.:あんたの相手しててもつまんない。
好きなのどぞ。
- 295 :名無しさん@ピンキー :2006/03/29(水) 21:56:57 ID:AdTEGjLW
- ここはリアルで男装女萌えをする◆z1nMDKRu0sを生温くヲチするスレになりますた
- 296 : ◆aPPPu8oul. :2006/03/29(水) 22:09:54 ID:j8j74BIy
- >293
解読してどう出てくるのかさぐっている、に1票。
平静を装って遊びに誘うべし。
- 297 : ◆z1nMDKRu0s :2006/03/29(水) 23:00:02 ID:8fUoOkuN
- >>295
確かに傍目から見たらそうだよな
スレ違いスマソ
- 298 :名無しさん@ピンキー :2006/03/30(木) 22:22:38 ID:/cRMX5te
- >>293
そこで面白い話題をメールすれば恋の花が咲いたかもしれないぞ
- 299 :名無しさん@ピンキー :2006/03/31(金) 13:25:16 ID:2yNlScrI
- ちょ
マジがんがれ
詳しい状況がわからんのでなんとも言えんが
とりあえず普通に遊びに誘え!!
- 300 :名無しさん@ピンキー :2006/03/31(金) 23:02:24 ID:RZYXjOFz
- 一つ質問なんだが、バンド組んだのいつ頃なんだ?
おいらはバンドメンでねーから分からんのだが、結構長くやっててメアドげとが今っつーコトなら脈が無うわ何をするやめr
- 301 : ◆z1nMDKRu0s :2006/03/32(土) 21:31:58 ID:o7qQujIS
- あ〜花見で酔いまくって頭痛ぇ〜
>>300
説明してなかったが、俺はその男装娘バンドのベースが辞めたから急遽ヘルプとして呼ばれた
そんでボーカルに会ったのが27日だから実質二日でメアドゲット
脈はあると信じさせてくれ
頼むから信じさせて
- 302 :上を向いて歩こう :2006/03/32(土) 23:52:23 ID:DHI+7C/V
- 「ふぅ・・ん・・」
巽の舌が辰斗の口腔内を這い回る。
「くっ・・あっ・・・まて・・たつ・・み・・・うぅっ・・・」
抵抗しようとするも巽は辰斗の頭をしっかりと掴んで離さない。
「(一体何がどうなってるんだ!?巽の奴?)」
徐々に思考回路が回復してきた辰斗は力を振り絞り巽を跳ね除けた。
「いい加減にしろ巽!!」
「あっ・・・」
突き飛ばされた巽はそのまま床へと倒れ伏す。
「オイ、一体どういうつもりなんだ!?」
「・・・・」
辰斗は声を荒げて問い詰めるも巽はそれに答えず着ていたトレーナーに手をかけた。
「聞いてんのか!?巽!!・・・・んな!!」
またしても辰斗は声を失った。
巽はトレーナーの下になにも身に着けておらず、それに加えて・・・・
「え・・・巽・・・おま・・・お・・ん・・・・女?」
辰斗は巽の裸体をみて驚いたソコにあるのは間違いなく男には無く女にしか存在しない
二つの膨らみだった。
「ど・・どういうことだ・・・お前・・・女だったのか・・・?」
「辰斗・・・お願い僕を抱いて。」
巽はにじり寄るように辰斗に近づき、その手を掴み自分の胸に触らせる。
「おい、やめ・・!!」
手を放そうと思った矢先、またしても巽に唇を奪われる。
「んぅ・・ぷはっ・・・ねぇ、辰斗。気持ちいい?」
「いい加減にしろ巽。この際お前が女だったことは不問にしてやる。でも何故?」
「今までのお礼・・・辰斗こういう事嫌いじゃないでしょ?」
そういうと再び行為を再開しようとする巽。
しかし。
パシンッ!!
「ふざけるな!!」
- 303 :上を向いて歩こう :2006/03/32(土) 23:53:32 ID:DHI+7C/V
- 辰斗は巽の頬を平手で叩いた。
「バカにするなよ。俺が女なら誰でも抱くような男だと思ってたのかオイ!!」
怒りに満ちた表情で睨む辰斗。
「違う・・・辰斗・・・」
「女だって事は今の今まで知らなかったけどよ。前にも言ったよな別に身体が目的じゃない!!
お前をウチに入れたのはお前が・・・・・」
そこまで言うと辰斗は急に黙り込んだ。
(俺は巽を・・・どうしたかったんだ?)
もっとも大切な答えを辰斗は言うことが出来なかった。
「クソッ・・・・もういい、出てけ。」
「え?」
「出てけって言ったんだよ。」
辰斗は巽のトレーナーを掴むと巽に投げつける。
「お願い・・・話を聞いて・・・辰斗・・」
「うるさい!!さっさと出てけ!!二度と来るな!!」
「!!・・た・・つ・と・・・」
巽の瞳から大粒の涙が零れた。
「・・・・ごめんなさい。」
辰斗から逃げるように巽は部屋から出て行った。
「・・・クソッ!!」
怒りが納まらないまま辰斗はベッドに転がり込んだ。酔いと怒りが混ざり合い
頭痛となって辰斗を苦しめる。次第にそれが納まってくると共に辰斗は眠りについていった。
- 304 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/03/32(土) 23:58:21 ID:DHI+7C/V
- 新しい職場になじめなくて四月なのに五月病です。まいった・・・。
やっとこさ投下に漕ぎ着けましたけど次の投下までもう少しかかりそうです。
ご勘弁を・・・。
>>◆z1nMDKRu0s様
リアル男装少女萌えとは羨ましい。あなたの前でその方が
女の部分を見せているのなら脈はあるかと思います。ガンガレ!!!
- 305 :名無しさん@ピンキー :2006/04/02(日) 11:49:49 ID:n9/mOF+t
- >>304
実験屋氏来てター!!!GJだす!!
新しい職場で大変なようですけど、無理しないでくださいね。
環境が違えば戸惑うことは当然なんですから。
- 306 :名無しさん@ピンキー :2006/04/03(月) 12:40:25 ID:/b4yyvEn
- GJです。
- 307 :名無しさん@ピンキー :2006/04/07(金) 10:35:16 ID:VWpaQ2xQ
- GJ!!
深夜、チャンネルを適当に回してたら桜蘭高校ホスト?なるアニメがやってて、主人公が男装美少女だった…モエス
- 308 :名無しさん@ピンキー :2006/04/08(土) 13:51:12 ID:bm8R/eI4
- age
- 309 :名無しさん@ピンキー :2006/04/12(水) 08:44:42 ID:Ml/2On/C
- ふむ。ゴッドのバンドネタは実生活からきてるのか。
- 310 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 18:47:48 ID:CUZOumq5
- ようやく準備が整いパソコンで超豪華版投下
ユウタンの処女の保障はありません
こ・・・怖い
メイドロバが・・・
メイドロバがユウタンを食おうとしているーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!
誰かーーーーーー誰かこいつを止めろーーーー!!!
「あら?」
メイドロバ、ユウタンの胸の存在に築いた模様!!
で一方ユウタンはってーと・・・
胸がバレて既に諦めモード入ってんなこりゃ
これでユウタンの男装を知る人物がまた一人増えますたな
なんかのエロゲのネタにされなきゃいいけど・・・
「細いからって無理に鍛えなくってもいいのに
だからこんな風に胸ができちゃうのよ」
おいおい体鍛えたら胸ができちゃいましたなんて鈴玉先生のエロマンガ以外に見たことないぞ
しかも普通に考えてそんなことあるわけないだろこのヴォケ
それともこれはアレか?
作者の陰謀か? ご都合主義という名の陰謀か?
あーあーあーあーユウタン既に涙目状態だよ、メイドロバのバカさ加減に泣いてんのかわからんが
「どうしたのちー君? 泣いてちゃカワイイ顔が台無しよ」
るっせぇバカ、てめぇが泣かせたんだろが
だからそのアホ面でユウタンの涙を舐めとるな
「さぁちー君、お着替えの時間よ」
んふ、、とか笑いながら取り出すな
ってそのコスプレは、そのコスプレはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!
- 311 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 18:48:18 ID:CUZOumq5
- いっぽうそのころ
さりげなく修羅場なとなりの状況など全く知らない男子陣は……
「貴様ときメモ、アリプロに続き崇高なVIPと伝説の帝国歌劇団まで汚すかこの愚民がぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
「何すんだッラァ!!!!!! 飲めえ!!!!!!!!!」
またやってるよ義明の首絞めアタック、しかも真に
で、今度は何? 何に対して怒ってるんでございましょ
サクラ大戦の単語が出ているあたりからアレか? 真の携帯の中に入ってるニュー速VIP団のことか?
人の携帯勝手に見て暴れるなよキモオタ、例え酒が入っていてもだ
酒乱は人に嫌われるぞ、と
でも絞める人を間違えないなんて義明にとっちゃすごい進歩
でも酔ってる間限定なのが玉にキズ
真も真で焼酎の大瓶もって暴れるなよ、近所の人に迷惑だ
この学校の関係者にはまともなのがおらんのか? まったく
「何をするおまいはwせdrftgyふじこlp;@lーーーーーーーーー!!! 」
争ってる内に真所有の焼酎の大瓶が義明の口腔にヒット、あいつの胃に大量の焼酎が入り込むーーーー!!!
「てめぇ飲まねぇでゴチャゴチャうっせぇんだよ!!
飲めオラァ!!!」
そして酒乱がもう一人
あーやばいやばい義明がタオル必死で投げてる必死で投げてる
そろそろ許せ真、リアルで死ぬぞ義明
「くそっ!! 童貞の癖になんてことしやがる」
「はぁ? お前童貞じゃなかったのか?!!!」
なんかサラリと爆弾発言だこのオターーーーーーーーー!!!!
いやマジでこんなやつに彼女なんてできるのか?
秀峰高校一デブなオタ義明に?
嘘だといってくれ
「フ、俺は既に愛しの恋人に童貞を捧げ、そして処女をもらった男だ
貴様ら愚民と一緒にしないでほしいねぇ、ンーーーーー?」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
「だったら証拠見せろ、テメェの彼女の写真とかよ
本当だったら持ってんだろ」
おぉ真、酒入ってんのになんて判断力
「フ、写真など持っておらんよ、常に我らは一心同体だからな」
まさかこいつ「俺の彼女は右手です」なんて言い放つんじゃねぇだろうな
「見るか? 俺の愛しの人」
「だったら見せてみろ、フザけてたら殺すぞ」
「ついてこい、隣の部屋にいる」
隣の部屋? まさか…メイドロバ?
- 312 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 18:48:52 ID:CUZOumq5
- で、隣の部屋、つまりメイドロバとユウタンが絡んでる部屋に来たわけです……
えーとまずメイドロバとユウタンは大混戦中、埃が舞って何をやってるのかわかりません
その一方、真は義明の彼女を見て愕然としてやがる
「フゥーハハハハハハハハハハハハハハハハハハ、見たかシャーリーン、真のヤツ愕然としてるぜ」
あぁ……確かに彼女だな間違いなく彼女だな情けなくなる程彼女だな
で、そのアメリカ海軍の奴が自分の銃に勝手につけた名前みたいな彼女さ……
「それ、マジで言ってんのか……」
どう見てもさ………
「当然だ、なぁシャーリーン」
ボンテージなリアルドールにしか見えないのは目の錯覚か?
「・・・・・・お幸せに・・・・・・・」
もう、そうとしか言えないよ
お幸せに・・・・・・
「ハァ・・・・・・仕方がねぇか」
おぉまことよ そのためいきの あとの ぎらついためは なにごとだ?
「ッッラァ!!!!」
……とうとう強行手段に出たか……
真お前酒瓶で義明とクーを殴るなよ… いくらプラスチック製のアレといえど殺傷能力はあるぞ
今の一撃でドールの頭ヘコんだし
「シャーーーーーーーーリーーーーーーーーン!!!!!!!!」
義明、クーの頭のヘコみを確認しショックで再起不能(リタイヤ)
「・・・・・・よし」
真はわずかに上がった息を整え、さっきっからバタバタと物音のする方へと目を向ける
そこには持ってたネコミミをつけられ、もがきながらも無理矢理黒と紫のポロシャツをきせられかけてるユウタン
思い出したがツィーってアーケード板でピンクの波動を振りまくブリジット2号だったな
「さぁツィーくん、勃てても別にいいのよ、、でもイクときは『姉さん僕爆発しちゃう!!』って言ってくれると凄いうれしいな」
消してーーー♪ リライトしてーーー♪
「いやっ・・やめてっ・・んっ」
ユウタンも胸攻められて何熱っぽい声出してんだよ・・・
「フフフ、ツィーくん女の子みたい・・・・・・」
だから女だと何度言ったr(ry
真は同じ部屋にいる、とーぜん声も聞こえる、とーぜん何やってるか簡単にわかる
数秒の硬直、その間も続く自覚なき百合な花園
「ああああああああああああああああああアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
暴走を確認!! 真です!!
酒瓶持ってエヴァ量産型のごとく暴れ出すアホゥに気付かず絡んでいた女二人のうち、上になってたメイドロバが撃沈
ついでにユウタンのシャツが巻きついた鏡台もぶっ飛ぶ
ひとしきり暴れたところで正気に戻る真
「…はあ…はあ…はあ…はあ…」
そしてこの件一番の被害者は……
真がもぞもぞ動くものを見てみりゃ縛られたTシャツをほどこうとしてるけど固くて中々ほどけなくて悪戦苦闘するユウタンハケーン
少し涙目、パイチラ追加な。
あ、こっち見た、顔真っ赤になった、椅子ブン投げた
「見るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
- 313 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 18:50:15 ID:CUZOumq5
- 「申し訳ありませんでした」
あれから酔いつぶれた、または真が殴り倒したオタク共を窓から放り出していつもの静けさを取り戻したあごはずれ荘の真の部屋
ユウタンかなり怒ってます
主に
- 314 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 18:51:32 ID:CUZOumq5
オ・ッ・パ・イ
- 315 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 18:52:29 ID:CUZOumq5
- 見られた件でな
そのことで情けなくも土下座し謝る真
「本当に申し訳ありませんでした」
ユウタン窓のほうを向いてあぐらかいて何も言いません、むしろ口を聞いてません
「なんであんなことしたの? それに……み…………みた?」
ようやくしゃべった、ムム? 顔の赤みが当社比20%増
「ホラ、あいつら何かと暴走するから邪魔だろ? だから酒飲ませて黙らせようとしただけで決して見ようとしたわけではそりゃたしかに俺もオトコだけど………」
おまいのやったことの真意はよ〜〜〜〜〜〜〜〜くわかった
後半墓穴掘ってることに気付け
「もういい!!」
あ、ユウタン逃げた
「おい待てよ!!」
飛び出すユウタンの腕を掴み、引き止める真
「だからアレ見ようなんてことは少しも思ってなかったんだってマジで!!」
「じゃあさ、責任とってくれる?」
なんか物凄くイヤそうに一言
>じゃあさ、責任とってくれる?
>じゃあさ、責任とってくれる?
>じゃあさ、責任とってくれる?
>じゃあさ、責任とってくれる?
>じゃあさ、責任とってくれる?
>じゃあさ、責任とってくれる?
>じゃあさ、責任とってくれる?
ムオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
- 316 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 18:54:15 ID:CUZOumq5
- さあどうなるユウタン
どうなる真!!?
ここで童貞処女交換の儀式かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
投稿糸冬 了
つかほとんど前と変わらんな、スマソ
- 317 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 19:12:14 ID:kV8Z5788
- しょっぱなからミス発見
クー→シャーリーンです
推敲しろよ俺orz
- 318 :名無しさん@ピンキー :2006/04/18(火) 19:17:22 ID:A8TKyds2
- 交換してどーするよー!!(爆笑
ゴッドさんオ柄レさんですGJ!
待ってたよー
続きに期待
- 319 :名無しさん@ピンキー :2006/04/18(火) 20:26:04 ID:DMGfmTMJ
- ちょ お願
早く突入してエロ
男装美少女の前身スレからこのスレにいる自分にとって
このゴッドファーザーズという作品で(夢オチ以外の)エロがよーやく、
よーやく見られるかーーーーー!!!!!!?
マジ楽しみ!
それはそれとして豪華版!!超GJ!!
今回も禿ワラタよ。いつも面白い作品ありがd!
- 320 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/18(火) 21:13:31 ID:kV8Z5788
- 待ちきれないという方もいるようなので今日中に携帯から投下します
ヤベ、CDの返却今日だ……
明日でいい?
- 321 :名無しさん@ピンキー :2006/04/19(水) 00:25:03 ID:6EB7PzMu
- 俺が、デッドマンに入ってから、ちょうど一ヶ月が過ぎていた。ようやく皆のことが、少しづつだが、わかってきた気がする。
みんないい人達ばかりだ。この前飲みに行ったとき、右京君が電柱によじ登り始めたのは、さすがにびっくりしたけど……
彼はどうやら酒を飲むと性格が一変するらしい。でも、…でもそんなのまったく気にならないくらい、皆純粋で…、信頼できる人達だ。
俺は、このバンドで久しぶりに、安心できる居場所を見つけられた気がする。
だけど…最近やたら涼のことが、気になる。どうしてなのか、まったくわからない。でも、気付くと涼のことばかり考えているんだ…。
そして涼の声や、顔を見るだけで、とっても幸せな気分になれる。…俺は、この気持ちがなんだか、うすうす気付いている。
でもこの気持ちを涼に伝えることはないだろう。こんな俺には涼にそんなことを、伝える資格なんてないし、涼だって俺みたいなのに
そんなこと言われたら嫌だろう。それに変なことを言って気まずくなるなら、いつか終わると、わかっている…
でも今までの姉弟のような関係でいたほうがいい。
……だけど、その関係のままでいるには、涼の笑顔は眩しすぎる……
- 322 :名無しさん@ピンキー :2006/04/19(水) 00:25:59 ID:6EB7PzMu
- そんなある日、俺は神奈ちゃんに呼び出された。相談事があるらしい。待ち合わせの喫茶店に着くと,
彼女は窓際の席で紅茶を飲みながら、ちょこんと座っていた。
「あっ、響さ〜ん!こっち、こっち〜!」俺を見つけると、彼女は子犬が尻尾を振るみたいに手を振った。
「あっ、待たせた?」
「ううん、私も今来たとこですよ」彼女のコーヒーの量を見ると、15分ぐらい先には来ていたのだろう。
俺を気遣って、今来たところだと言ったのだ。こういう時、ほんとに神菜ちゃんがかわいくなる。
「んで、どうしたの、相談事って?」俺はウェイターに、コーヒーをブラックで頼むとそう切り出した。
だけど彼女は「そ、それがですねぇ〜」とか言いながら恥ずかしがって喋ろうとしない。
このままじゃ、らちがあかないので冗談半分で、俺はこう言ってみた。
「ねぇ、もしかして恋の相談?」
「そっ、そんなことは!」……どうやら図星みたいだった。顔が林檎みたいに真っ赤になってる。
(神奈ちゃん、ウブで可愛いな〜)……俺は少しイタズラしてみることにした。
「ねぇ、相手は誰なの?」
「そっ、そんな!言えませんよ、そんなこと…」
「んなこと言ったって、言わなきゃ始まらないよ〜」
「うぅ〜……」神奈ちゃんの顔が、ますます赤くなっていく。
「ほら、ほら」
「………です」
「んん〜、聞こえないな〜。」
「…ょうです」
「えっ〜?」
「右京です!!!」…少しからかいすぎたらしい。彼女が立ち上がって、
大声で叫んだので、店中の人が、どうしたのかとこっちを見ている。
神奈ちゃんは周りの視線に気付くと、爆発しそうなくらい赤くなっていた顔を、
さらに赤くしさっと席に座り込み、ぽつりぽつりと喋り始めた。
- 323 :名無しさん@ピンキー :2006/04/19(水) 00:27:41 ID:6EB7PzMu
- 「私達、家が隣同士で家族ぐるみで付き合いが、昔からあるんですよ。だから右京とも、ほんとにちっちゃい頃から遊んでて……
でも!その頃は異性として好きとか、そういうのはまったくなくて…。
血のつながっていない仲のいい弟ぐらいにしか思っていなかったんたんです…。
でも高校に入って、それまで物凄い頼りなかったのに、急に逞しくなって…、
それに一緒にバンドやるようになって、右京が歌っているところ見たら、
どんなアイドルよりもカッコよくて…、そしたら……そしたら急に右京のこと、好きで、好きで、好きで、好きでたまらなくなって……」
「告白しようとはしなかったの?右京君に」
「しました、何回も、何回も、何回も、何回も!
でも…もし右京は、私のことを、ただの姉のようなものぐらいにしか考えていなくて、
それで……、振られでもしたらって考えると、堪らなく怖くなって……」
彼女は、まるで迷子の子犬のように心細そうに見えた。
「そっか……。ねぇ、ちょっと一服吸っていい?」
「タバコですか?いいですよ」
俺はタバコを一本取り出すと、口にくわえ、火をつけた。
ラッキーストライクの、毒々しい煙が広がる。そしてゆっくり大きくタバコを吸い、そしてまたゆっくり大きく煙を吐き出す。
「……神奈ちゃんは、右京君のことを大好きなんだよね?だったら、すぐに伝えるべきだよ、その気持ちをね。
俺はね、神奈ちゃん、誰も未来のことなんか、わからないし、もしかしたら明日死んでしまうかもしれない……。
だからこそ、人は、自分の気持ちに素直で、そして純粋に生きていかなきゃならないと思っているんだ。
もし神奈ちゃんが、ここで傷つくことを恐れて、右京くんに告白しなかったら、神奈ちゃんは一生後悔し続けると思うんだ。それにね……」
- 324 :名無しさん@ピンキー :2006/04/19(水) 00:28:51 ID:6EB7PzMu
- 「『それに……』なんですか?」
「神奈ちゃんみたいな可愛い子だったら、右京君も気にしてないはずないよ。」
途端に神奈ちゃんの顔が、また赤くなる。
「かっ、からかわないでください!」
「い〜や、からかってなんかいないよ。もしも神奈ちゃんが右京君を好きじゃなかったら、俺が食べちゃいたいくらいだもん。」
「た、たたたた食べちゃいたいって!そんなバカなこというんじゃねぇですよ!」
「……やっと、いつもの神奈ちゃんに戻ったね。」
「ふぇ?」
「神奈ちゃんは、そうやって明るくないとらしくないってことだよ。
大丈夫だよ、いつもの夏の向日葵みたいな笑顔を使って告白したら、右京君なんてイチコロさ。」
「……本当ですか?」
「本当さ」
「本当に、本当ですか?」
「本当に本当さ」
「……わかりました。私頑張ります!!」
「そうこなくっちゃ!よっし、今日はタイミングよく土曜日なんだから、晩御飯でも誘って告白しちゃいな」
「きょ、今日ですか?!ちょっと急すぎません?」
「いいんだよ。こういうことは、勢いがあるうちにやらなくちゃ」
「そうですね…」
「ほらほら、そうと決まったら行った行った〜」
「響さんは、まだここに残るんですか?」
「うん、ここのコーヒー結構うまいから、あと一杯飲んでいくわ。」
- 325 :名無しさん@ピンキー :2006/04/19(水) 00:29:35 ID:6EB7PzMu
- 「そうですか。……響さん。今日は、本当に、本当にありがとうございました。
私、きっと響さんに相談してなかったら、告白なんてできなかったと思います。」
「いいよ、そんなこと。……神奈ちゃん、頑張ってね」
「はい!!」
神奈ちゃんはそう元気よく返事すると、ふかぶかとお辞儀して勢いよく喫茶店を飛び出して行った。
……きっと神奈ちゃんの恋は実るだろうし、右京くんとはお互いを想い合う、いいカップルになるだろう。
(それにしても……)俺はさっき言った事を思い出す。
(『人は、自分の気持ちに素直で、そして純粋に生きていかなきゃならないと思っているんだ。』か……。)この言葉を思い出すと、
俺は笑いが止まらなかった。面白いからなんかじゃない。
俺が、…たった今、自分に嘘をついているこの俺が、こんなことを言ったかと思うと、滑稽で堪らなかったからだ。
(俺はまるでピエロだな)そう考えると俺は、また笑いだした。
周りの客や店員が変な目で俺を見ている。それでも俺のこの笑いは止まらない。
少しして笑いが収まると、俺はタバコを大きく吸い、すっかり冷めてしまったコーヒーを飲み干すとその場をあとにした。
俺はこの日、気持ちを落ち着かせるため何本も、何本もタバコを吸った.
けど結局自分を嘲る気持ちを抑えることはとうとう出来なかった。
- 326 :名無しさん@ピンキー :2006/04/19(水) 00:46:20 ID:6EB7PzMu
- SS投下するのが大変遅くなってすいません。本当は前回の投下の三週間以内のうちには続きを出そうかなと考えていたのですが、
ノルウェーに旅に行ったりバンドで忙しかったりして、なかなか書き上げることができませんでした。
このSSは次の投下でしっかりと話を落として、一区切りをつける予定です。
もちろん今までの投下の中になかった分ぬっとりぐっちょりとしたエロシーンもしっかり書く予定ですので、どうか長い目で見守ってください。
次の投下は二週間以内にします
- 327 : ◆z1nMDKRu0s :2006/04/20(木) 01:08:25 ID:pxg2fpi5
- すみません、少しの間ちょいと用事があって投下できなさげです
本当に申し訳ありませんでした
つかTよ
俺がいつ正式に貴様のバンドに入った?
遅れましたが>>321GJ!!
そうか……あんたもバンドメンかい(ニヨニヨ
男装スレ住人としては響タンを応援すべき何だがいつのまにか神奈ちゃんを応援してる自分がいる……………………
- 328 :名無しさん@ピンキー :2006/04/26(水) 18:16:36 ID:BN49NcKU
- hasu
- 329 :名無しさん@ピンキー :2006/04/28(金) 07:45:05 ID:VNiJPBpg
- 捕手
- 330 :名無しさん@ピンキー :2006/04/28(金) 08:58:32 ID:YMZ/AZp1
- 僕の右手を知りませんかー?
- 331 :上を向いて歩こう :2006/04/28(金) 15:54:48 ID:wZwYO8Xx
- 「・・・・はぁ。」
巽が家に来なくなってから1週間が経過しようとしている。その間、辰斗の頭の中から
巽のことが消えることは無かった。
家に帰り冷蔵庫を開ける。中にめぼしい物はほとんど無く、
巽と一緒に豪勢な食事をしていた日々を思い返す毎日だった。
「俺は・・・」
その間一向に答えが出ない問題があった。なぜ『巽を家に入れたか』である。
「(男だと思ってたんだ、やましい事は考えてなかった。でも・・・・)」
純粋に自分が巽をどう思っていたかと言うことに明確な答えが出せずにいた。
グゥゥゥ〜・・
辰斗の腹の虫が大きく鳴り響いた。
「・・なんか買ってこよう。」
気だるい身体に鞭打って辰斗は部屋から出て行った。
「そういえばアイツにあったのもこんな日だったな。」
買出しを終えてスーパーの買い物袋を片手に帰宅の途に付く辰斗。
一月前の今頃、やはり買出しに出ていた辰斗。巽に会ったのはその帰りだった。
「(よく考えると俺って巽のこと全然知らないんだよな・・・。)」
家に頻繁に顔を出し、住み着いていると言っても過言ではなかった巽。しかし、巽の
家庭の事やどこに住んでいるか、それら一切を辰斗は知らなかった。
「(今更だけど・・・よくそんな奴家に上げてたよな・・・本当に今更だけど・・・)」
何処からとも無く笑いがこみ上げてくる。
- 332 :上を向いて歩こう :2006/04/28(金) 15:57:40 ID:wZwYO8Xx
- 「辰斗?」
「ん?」
ふと名前を呼ばれて振り返る。そこには・・・
「・・・巽。」
巽が初めて会った時と同じ格好で立っていた。
「(また家出でもしたのか?)」
辰斗の脳裏に家出をして自分の部屋の前でうずくまっていた少年の姿を思い出す。
「お買い物?」
「ん?ああ。」
「そう。」
辰斗も巽もギクシャクした会話を繰り返す。
「俺・・・帰るから。」
いづらい空気に耐えかねた辰斗は踵課をかえす。
「あっ!!」
巽が何か言おうとする前に辰斗は走り去っていった。
「辰斗・・・。」
消えて行く辰斗の後姿を見ながら巽は涙を流した。
「なにやってんだろ俺。」
自分に悪態をつく辰斗。部屋に駆け込んだときには腹を空かせていた事もすっかり忘れていた。
「巽・・・。」
さっき会った巽の姿が頭から離れない。小さい仔犬のように周りに怯えて
それでも助けを求めようとしない姿。
そのまま放っておけば消えてしまいそうなその姿を思い出すたびに辰斗の心が痛んだ。
(今夜も冷えるって言ってたな・・・・巽大丈夫かな?)
(家には帰ってるのかな?・・・・飯はちゃんと食ってるのか?)
寒さにうずくまる巽の姿が離れない。
「(巽・・・俺は・・・お前を・・・)」
- 333 :上を向いて歩こう :2006/04/28(金) 15:59:11 ID:wZwYO8Xx
- 「はっ!!」
急に目が覚めた。いつの間にか眠ってしまったらしい。
「巽・・・。」
クシュン!!
「!!」
玄関の前からくしゃみが聞こえた。しかもこの声は聞き覚えがある。
辰斗は玄関へと走った。
「巽!!」
勢いよく扉を開ける。
「辰斗・・・。」
初めて会った時とまったく同じ姿でうずくまっている巽の姿がそこにはあった。
「巽・・・・。」
「えと・・・その・・・ごめんなさい・・・。」
そういって巽は俯いた。もう来るなと言われたのに来た事に対する謝罪だろうか。
そっと、巽へ手を伸ばす。
「やっ!!」
辰斗の手が巽の頬に触れようとした瞬間、巽が身を強張らせる。
「(そうか・・・俺はこの手で・・・)」
巽を叩いた。
呵責からくる痛みが辰斗の心を疼かせる。自分に怯える巽の姿ほど今の自分に
堪えるものは無い。
「(でも俺は・・・)」
そのまま巽の背後に回り込むと辰斗はスッポリと包み込み抱きしめた。
「辰斗・・・・・」
「今晩は冷えるってさ・・・明日の朝、家の前に凍死体は勘弁だ。」
「辰斗!!!」
振り返り辰斗に抱きつく巽。
「お願い辰斗・・・一人にしないで・・。」
「巽・・・。」
巽を抱きしめる力を強める辰斗。
「(俺は巽を暖めてやりたかったんだ。)」
答えを見つけた二人の影が月明かりに照らされて揺れていた。
- 334 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/04/28(金) 16:03:52 ID:wZwYO8Xx
- 仕事やめたい。何も無い山奥で農業でもして生活したい・・・
などと最近思い始めてます。
仕事が忙しくてサッパリ話の続きが書けなくて参ってます。
次の投下も遅くなりそうです。申し訳ないです。
- 335 :名無しさん@ピンキー :2006/04/28(金) 21:06:25 ID:2WCccfB8
- >>330
行方不明になりましたか?
>>331
続き期待。
>>334
其処が踏ん張りどころかと。
仕事頑張ってくださいね。
- 336 :名無しさん@ピンキー :2006/05/01(月) 00:42:15 ID:0TGiVljn
- ふと思ったんだが、今までの男装少女ってのはなんか和風テイスト薄めだよな。
日本人とかそれっぽいのが出て来ても、皆バリバリの現代っ子か妖怪だし……。
これって何でだろう?
- 337 : ◆z1nMDKRu0s :2006/05/01(月) 01:12:17 ID:Q9f9QOmW
- SSも書けてないのに貼り付いてるコテハンが思うに、男装娘の心理って読みにくいんだよな
例としてボーカル男装娘の話になるが許してくれ
あれから結構メールのやりとりしてGW中にデートする約束取りつけた
だけど未だに異性として付き合うべきか同性として付き合うべきかわからない
作中に最近出てこない昌姉ぇみたいなのはキャラ想像しやすいから書きやすいし、リアルで会っても心理が読める
だけど男装少女とリアルで恋愛する確率なんて相当低いじゃん
昔の本にだってあることはあるが体外「適地に潜入」とかだから参考にできるデータがない
データがないから書きづらい
書きづらいから少しでもヒロインの心理を読みやすくするために現代で書くのが精一杯
とかそんな感じだと思う
>>334
実験屋氏もとうとう就職してそんなこと感じるくらいになったんですか…………
そんなときにSS書ける精神力を見習いたいです……
GJ!!
そして長文スマソ
- 338 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/01(月) 17:49:53 ID:S4+SlwL6
- >>336
自分は和風もの書きですが、あまりリアリティのある話を書いてないからなぁ。わざと「和風ファンタジー」と定めてるから
なんですけど。本格的なのは時代考証や話し方などで資料必須だからなぁ。だから敬遠されてるのかも。
自分が考えてる和風ファンタジーも洋風ファンタジーと比べてゲームや漫画でも少ない気がするし。それが増えない
原因かもしれないですね。自分としても増えてほしいですね、和風物。
- 339 :名無しさん@ピンキー :2006/05/01(月) 20:43:14 ID:H5KxBVVI
- 男装してお小姓さんになりすましても戦国武将に掘られてしまう。
- 340 :名無しさん@ピンキー :2006/05/01(月) 21:30:02 ID:wmFfCVik
- >>337
リアルで男装している、というか男に媚びる格好していない時点で
中身を重要視する人だと思うので
異性として同性としてじゃなく、人間としてのレベルを求められてると思う。
変に格好つけなくていいから嘘だけはつかずにがんばれ。
>>336
時代考証もさることながら、信長以降の月代はビジュアル的に
アレだからなぁ…。
上杉謙信女説はおいしいと思うが。
- 341 :名無しさん@ピンキー :2006/05/01(月) 22:26:10 ID:j0XnUHL2
- >>337
リアルならこっちで相談した方がいいよ。返事があるかどうかわからんが。
男装といっても、どういった意図でしてるのかすごい幅があるから。
FTM希望から、普通の女の子よりずっと女らしい子まで様々。
女や男とかより人間としてつきあっていけばいいんじゃね? という自分は多分バイ。
過激な恋愛板
【おなべ】男装女性が好き・総合スレッド【FTM】
http://love3.2ch.net/test/read.cgi/kageki/1060514355/
- 342 : ◆z1nMDKRu0s :2006/05/01(月) 22:44:54 ID:Q9f9QOmW
- ただリアルな例を出すために男装娘の話題をだしたのだが……
ここのスレ住人は優しいな……
- 343 :名無しさん@ピンキー :2006/05/01(月) 23:06:17 ID:0TGiVljn
- >>337-340
サンクス。
和風ってむずかしいんだな。
簡単に質問した俺は軽率だった。
- 344 :名無しさん@ピンキー :2006/05/02(火) 00:22:40 ID:ox31R3Ye
- 和で男装といえば「とりかへばや物語」
- 345 :名無しさん@ピンキー :2006/05/02(火) 00:45:26 ID:7EW+lrxy
- 和で男装といえば単独スレありだが
(´・ω・`)ノ■←×箱ゲー・御伽百鬼
巨乳美女陰陽師(;´Д`)ハァハァ
- 346 :名無しさん@ピンキー :2006/05/02(火) 01:47:38 ID:w7sJ0DjE
- 「とりかへばや物語」と似ているが「有明の別れ」もはずせない
- 347 :名無しさん@ピンキー :2006/05/02(火) 02:07:41 ID:ox31R3Ye
- 「有明の別れ」で検索したら友達がそれを研究していたことが判明した。
びびった。
- 348 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/02(火) 13:30:09 ID:8JJqm4ks
- >>343
いえ、話題が出来てよかったですよ。
>>339
ありえそう・・。男色は戦国はもちろん、平安(源氏物語)にも江戸あったらしいです。ファンタジーと定めてるとはいえ
小説書いてるときはそのことが頭に浮かぶんだけど、自分はホモは受けつけないし、男装キャラの相手が両刀って
なんだか男として好きなのか、女として好きなのかわからなくなってしまいそうだから衆道の習慣はないと頭から
定めてます。
>>340
確かに漫画やゲームのキャラ(特に若くて美形)は剃った頭にされない。自分もあの頭はあまりかっこよくないと
思いますね。下ろしたら落武者だし。謙信女性説って実はかなり信憑性が高い説なんですよね。でも、謙信より
義経の方が女性化ネタが多いのは何故。
実験屋様同様、トリップを付けてプチ改名しときました。
- 349 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/05/02(火) 16:14:52 ID:tD8XkJRC
- 前に一度和モノを試し書きしたことがあったんですけど
水戸黄門ぐらいしか身近に和モノの参考が無く挫折しました。
逆にファンタジー系だとゲームなりアニメなり生活様式や国のあり方
の参考が結構あって自分的には作りやすいってのはありますね。
まぁ何かあったら魔法でどうにでも出来ちゃうってのが一番の利点ですが。
もともと2ちゃんねら〜だった狂介が手から電撃だしちゃうような話
を書いてる自分が言うのもなんですが・・・反省。
- 350 : ◆z1nMDKRu0s :2006/05/02(火) 20:46:42 ID:msrkdsDJ
- とりあえず吉良ークイーンは時代考証がよくわからないので悪代官チックな感じにするか
流石にエジプト行って刀振り回したりはせんがwww
- 351 : ◆aPPPu8oul. :2006/05/02(火) 21:27:53 ID:fGDVWigp
- なんか盛り上がってるので混ぜてもらおうw
自分は和モノ書きかけたけど陵辱苦手なのでちょっと設定に苦労した
エロまで持っていくのが普通の男装少女以上に難しいよ
貞操観念とか考えるとともう書けないんじゃないかとw
- 352 : ◆.Xo1qLEnC. :2006/05/02(火) 23:03:40 ID:jVou9do1
- 便乗w
サラシと着物の組み合わせは自分の中で最強なんですが…。
着物の合わせをバッと開くと…とか。剣よりも刀が好きだし。
あかほりさとるチックな、メチャクチャな世界観でなら書ける気がします。
(ラジオドラマしか知らないが「セイバーマリオネット」みたいな)
ただ、崩した世界観もやはり元を知ってないと辛い部分があるんですよね…orz
>z1nMDKRu0s氏
自分も似たような環境で片思い中。男装は関係してないけどw
頑張って下さい!
- 353 :名無しさん@ピンキー :2006/05/03(水) 03:09:46 ID:wYIukqCQ
- 何処のサイトか忘れたが以前、男装侍のSS読んだ
ただ、内容は百合物だったがな
- 354 :名無しさん@ピンキー :2006/05/03(水) 09:25:38 ID:qTt4JHNm
- >>353
>>341の晒してるスレにオナベ(失礼)が本物の男にレイプされて悩んでるってあったな
やっぱり体は女、心は男だから百合に走りやすいのかね
- 355 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/03(水) 12:10:05 ID:nx0ktq/F
- 需要はあるけど敷居が高いんですね、和モノ。
>>魔法でどうにでも出来ちゃうってのが一番の利点ですが。
和モノでも呪術とか妖術とかアリですよ。やはり魔法に比べたら少ないけど。
>>ただ、崩した世界観もやはり元を知ってないと辛い部分があるんですよね…orz
全くもってその通りですな。今はインターネットという文明の利器があるから調べられるけど・・。自分もファンタジーと
割り切りつつ脱線しすぎない様心掛けてます。
- 356 :名無しさん@ピンキー :2006/05/08(月) 19:54:18 ID:HZcsgnyD
- あげ
- 357 :名無しさん@ピンキー :2006/05/09(火) 18:33:55 ID:xWpWxivK
- あげ
- 358 :上を向いて歩こう :2006/05/10(水) 23:35:19 ID:gq9hOt7E
- 「ほれ。」
「・・・・ありがとう。」
辰斗にコーヒーの入ったカップを渡される巽。
「・・・・・・・・」
だが巽はそれに手をつけずジッとカップの中身を見つめていた。
「どうかしたか?」
疑問に思った辰斗が問いかけた。
「あのさ・・・やっぱり・・・話した方良いよね・・僕の事。」
「ん?・・・あぁ。」
最初は何を言われたのか理解出来なかったが、すぐに巽が男のふりをしている事に
ついてなのだと理解する。
「でも、無理に言いたくなかったら言わなくても・・・」
理由があるのだとは思う。しかし、根掘り葉掘り聞いて巽を苦しめたくないと思った。
「ううん。騙してた訳だし・・・怒らせたりしちゃったし・・・」
巽の手が小さく震える。
「巽。」
辰斗は自分の手を巽の手にかぶせた。
「言えば巽はスッキリするか?」
「・・・・・・ウン。」
「よし、俺も覚悟を決めた。話してみ?」
「あのさ、『草薙財閥』って知ってる?」
「工業、農業分野問わずに参入して成功してるトコだろ?・・・ってまさか!?」
「アソコの当主は僕の父親。」
「じゃあ巽って良いトコのお嬢様?」
「それは無いよ。本妻の子じゃないんだもん。」
「え?」
- 359 :上を向いて歩こう :2006/05/10(水) 23:38:15 ID:gq9hOt7E
- 「僕の母さんはあの家の使用人だったんだ。父親・・・僕はそう思っちゃいないし向こうも今は
そう思っていないだろうけどね。その人は本妻との間に子供が無くて手当たり次第に女の人に
手を出してたんだ・・・・そして、その結果が僕。」
はぁ、と小さなため息をつく巽。
「その時点では唯一自分の血を引く子だからって僕のことを可愛がったんだよ。
でも一つだけあのひとが気に入らなかった事がある・・・僕が女だったこと。
男尊女卑も良いとこだよね。結局僕は男の子として育てられる事になったんだ。
そして・・・・」
自嘲とは言え笑っていた巽の顔が曇りだす。
「父親と本妻との間に男の子が生まれた・・・・・僕は要らなくなった。」
「巽・・・。」
「それからは手のひらを返したかのような扱いさ。僕に関ることに一切お金を払わなくなった。
あからさまに母さんと僕を追い出すような態度をとり始めたんだ。」
辰斗の中に怒りがこみ上げてくる。自分の子供を物扱いするその父親に対して憎悪の感情が
生まれてきた。
「当然すぐに二人して屋敷を出て行ったさ。本妻の人と母さんは学生の頃からの友人で
最初のうちは援助もしてくれたんで生活に困ることはそんなに無かった。でも、その人は
身体が丈夫じゃなくて・・・しばらくして帰らぬ人になったんだ。
それから母さんは生活のため、僕を学校に行かせるため昼も夜も関係なく働いた。
そうして・・・・母さんも死んだ。」
「もう言わなくていい。」
辰斗は巽をそっと抱きしめた。
「もう・・・・僕には誰もいない。何もかもが嫌になってた所で・・・辰斗にあったんだ。」
辰斗はあの日の巽の姿を思い返した。
「あんなに優しくされた事無かったし・・・・だから・・・だから・・・」
「悪かった・・・ゴメンな巽。」
巽を抱きしめる力を強くする。巽のそんな気持ちも知らずに自分の怒りを一方的に
ぶつけた自分に辰斗は罪悪感を覚えた。
- 360 :上を向いて歩こう :2006/05/10(水) 23:40:56 ID:gq9hOt7E
- 「いいの、何も言わなかった僕がいけなかったんだし。」
そう言いながら辰斗の視線の先に顔を向ける巽。
「でも、辰斗には僕を受け入れて欲しかった。」
辰斗の手をとり自分の胸へと押し付ける。
「僕をこんなにドキドキさせてくれる辰斗に・・・僕の全部をあげたかったの。」
言い切ると巽は顔を真っ赤にさせて俯いた。
「でも・・・こんな軽薄な男女じゃイヤだよね・・・だから辰斗怒ったんだよね・・・あっ!!」
涙声になりながら縮こまる巽を辰斗は半ば強引に押し倒した。
「た、辰斗?」
「今の俺の気持ちを教えてやろうか?」
「え?」
「男だろうと女だろうと関係ない。草薙巽を俺のものにしたい。」
「辰斗・・・」
辰斗の指が巽の唇に触れる。
「この唇にしゃぶりついて・・・」
首筋にキスをする。
「首だけじゃない。体中に俺の物だって証を刻み込んで・・・」
髪をすき自分の口に近づけて。
「この髪の一本一本に俺を知らしめて・・・」
服の上から胸を揉みしだき。
「俺以外にココがときめかない様にしたい。」
正面から巽を見つめる
「その瞳に俺だけしか映させない。」
「たつとぉ・・・・」
歓喜に震える声で巽が擦り寄る。
「一度傷つけちまったお前の心を一生かけてなおしてやりたい。」
「僕でいいの?」
「拒否権は無いぞ。もう離すつもりは無いからな。」
「うれしい・・・辰斗・・うぅむ」
巽が言い切る前に辰斗は巽に口付けた。
「あぁぅあ・・・うぅぅん。」
先ほど宣言した通り荒々しく吸い付く辰斗。
「この間は途中でやめちまったっけ・・・今夜は最後までやるが、覚悟は?」
「はぁ・・はぁ・・もちろんOKだよ。」
「ハハ。」
「エヘヘ。」
いつもの調子に戻った二人はそのまま身体を重ね合わせていった。
- 361 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/05/10(水) 23:52:57 ID:gq9hOt7E
- 本格的に農業をはじめようと思い農家の親戚に
相談したら本気で歓迎されて田畑を幾つか貰う
約束をしました。なんか気力が溢れてきてます。ガンバルゾ!!!
「上を向いて〜」の続きと「Z」・「狂介」それぞれ新作製作中ですが
投下は時間がかかりそうです。どうかご勘弁を。
- 362 :名無しさん@ピンキー :2006/05/11(木) 01:58:40 ID:Iob4Qfwi
- 農家は農家で大変だけど頑張れ。
のんびり待ってるから。
- 363 :名無しさん@ピンキー :2006/05/11(木) 03:59:11 ID:AaLmvhP/
- 実験屋氏>
がんがれ!
- 364 :名無しさん@ピンキー :2006/05/12(金) 21:55:38 ID:fg2FWWQ2
- 一つの作物を育て上げるのに、時間と手間隙はかかるけど
成長し出来上がった作物は、どんな形格好であっても可愛いものです。
天候等、人の力ではどうにもならないこともあり、
それらをひっくるめて、苦難や困難の壁に当たることもあるとは思いますが
どうか頑張って下さい。
実験屋氏にとって、農業が良い職業となりますよう祈っています。
- 365 :名無しさん@ピンキー :2006/05/12(金) 22:36:53 ID:KBvIQRHV
- >>実験屋
萌え燃えGJ!!&ガンガレ!!!
- 366 :名無しさん@ピンキー :2006/05/13(土) 01:55:37 ID:VFrHz/66
- 保守
- 367 :名無しさん@ピンキー :2006/05/16(火) 15:20:24 ID:7jjFKv5k
- 真とユウタソの本番を待ってます。
なにより龍司と瑞希を待っています。
いつか落ちてくるだろうと信じ、今日も空を見上げてます。
空はどんより曇ってるけど。
「他にすることねーのかよ(怒)」と神様が言ってる気がするけど。
- 368 :名無しさん@ピンキー :2006/05/17(水) 08:01:44 ID:vO/fqB19
- 保守
- 369 :名無しさん@ピンキー :2006/05/18(木) 00:46:18 ID:AFskRaZC
- ホシュアゲ
- 370 :名無しさん@ピンキー :2006/05/18(木) 08:08:01 ID:vAqU9xbl
- 漏れも龍司と瑞希を待っています・・・・。
- 371 :名無しさん@ピンキー :2006/05/18(木) 20:55:53 ID:aryvfNEB
- ↑同意
- 372 :名無しさん@ピンキー :2006/05/19(金) 11:52:53 ID:OIpMnwgc
- 同じく待ってます…
- 373 :名無しさん@ピンキー :2006/05/19(金) 13:39:15 ID:W3mbeo86
- それまで萌え談義でもしませんか?
- 374 :名無しさん@ピンキー :2006/05/19(金) 20:51:55 ID:4/T2pDlU
- そろそろレイエが見たい
- 375 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/19(金) 23:30:50 ID:SuStLscR
- 今までの萌え談義
さらしの率が高い
純愛、陵辱、レズ、どれがいいか
意外に転校生設定がないことについて(話が出てから結構経つけどあったっけ?)
男装少女の髪形と胸に関して
ロングヘアや巨乳の男装娘は好きか?
男装キャラの顔立ちや体格、性格はどんな組み合わせが萌えか
↑の素材を自キャラで当てはめる
陵辱は好きか嫌いか
男装少女の相手役はどんなタイプが好きか
和風物談義
などかな。これらの話をまたするか、それとも新たな話を考えるか。
ちなみに久々のまとめ
版権物 二作 現代・学園物 十四作 そのうちレズ 二作 洋風・ファンタジー 八作 中華物 一作
和風物 五作
合計三十作 気がつけば増えたなぁ。
- 376 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/20(土) 05:06:01 ID:6btEAyle
- 萌え談義ではないけど・・。
少し前に実験屋様が狂介が2ちゃんねらーだったことを言ってたけどその設定を覚えてる人はどれくらいいるのか。
この前「狂介と有紀」の初期の話を見返したばかりだから思わずにやっとなってしまいました(笑)。
ゴットの真も義明によりこのスレを知ってしまった設定ですね。
それと男装少女といえば男のときの凛々しさと女のときの可愛さのギャップが萌えのポイントですよね。
そのせいか男装+ツンデレが好きな方が多い様で(自分も結構好き)。前に遠井家で投票したとき
ツンデレ希望で夏希に票が集まってたし(その割に夕顔は少なかったけど)。そのスレだとツンデレと
最初からデレデレ(?)なのは・・半々位かな?
・・・でもどんな男装少女よりも升沢と園太郎の変貌の方がすごいと思うwww
変貌といえば成幸も当初はサドだなんだと言われてたのに後半になって同情される様に。
でも升沢と園太郎には負ける気が。
やたら長い雑談提供すみません。
- 377 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/20(土) 05:11:04 ID:6btEAyle
- ×「そのスレだと」→○「このスレだと」
すみません、間違えたので訂正。
- 378 :名無しさん@ピンキー :2006/05/20(土) 10:41:26 ID:O7w14qvx
- ツンデレも良いけど甘えっ娘も捨てがたい。
- 379 :名無しさん@ピンキー :2006/05/21(日) 02:20:25 ID:gSzDwZS+
- このスレは本当にとてもレベルが高いと、倉庫を読み返して再確認
ギャグもシリアスも萌えもエロスもよりどりみどり……こんな贅沢なスレがあっていいのか!?
初代スレ50あたりから住人やってるが、こんだけコンスタントにネ申が降臨し続けてるなんて
本当に奇跡だよ… 古参のネ申も、新たなネ申も、崇拝してます。マジで。
色んな事情もおありでしょうが、どうぞまたガツガツ降臨してやってください、本当に。
>378
ツンデレも良いけど甘えっ娘も捨てがたいけど、個人的に
主人公のために密かに男装・女で居て欲しい(が、男装の意図も理解しているので止められない)という葛藤シチュエーションとか萌え。
誰か書いてくれないかな…
- 380 :名無しさん@ピンキー :2006/05/21(日) 03:33:01 ID:VGFBlUnN
- >>379
それはつまり、
主人公のことを好きな少女が、彼と同じ立場で接したいから男装。
主人公は、普通にその子が好きで、女の子としていて欲しいが、自分のためにしているので止められない。
ってことかな?
- 381 :名無しさん@ピンキー :2006/05/21(日) 13:57:20 ID:9jjAX6gm
- >>380
ソレイイネ!!!!!
- 382 :名無しさん@ピンキー :2006/05/21(日) 16:32:14 ID:FmnNbcpA
- ファンタジー物とかで
主人公は貴族とかの跡取り。
男装少女は主人公の家に代々仕える護衛。
父親が急逝した、男子が生まれなかった等の理由で、彼女は主人公の護衛を務めていて、任務のために男装している。
主人公は彼女のことが好きだけど、男装しているのは自分を守る為だから「男装やめて、自分の傍にいてくれ」なんて言えない。
彼女も女の姿に戻ったら、彼を守れないと考えているから、男装やめる気はさらさらない。
みたいなのを想像した。
- 383 :名無しさん@ピンキー :2006/05/21(日) 23:12:26 ID:VGFBlUnN
- >>382
そのアイディアいいな
使わせてもらっていいならSS書いてみようかな…
- 384 :名無しさん@ピンキー :2006/05/22(月) 01:45:05 ID:j5D3WDgM
- マジですか!?
こんなアイディアでよければ、バンバン使ってください!
あともう一つ考えたのが、病弱or大怪我した親兄弟の代わりに騎士団(傭兵・自警団)に入る少女。
少女の働いた金で家族は暮らしていけている。
ひょんな事からそれを知ってしまった同僚。
危険な仕事だからやめさせたいけど、やめた後の彼女の家族の事を考えるとそうも言えない。
彼女も彼女で、仕事に対して生きがいを感じているから、同僚はなおさら言えない。でも、本当はやめてほしい。
みたいなのもいいなと思った。
そんな自分は葛藤シチュ好き。
- 385 :名無しさん@ピンキー :2006/05/22(月) 03:18:17 ID:ioIADbxb
- 葛藤ネ申期待age(…る度胸はなかった)
葛藤も甘々、ツンデレも期待してまつヽ(゚∀゚ )ノ
- 386 :名無しさん@ピンキー :2006/05/22(月) 12:55:24 ID:UmxJ3F0k
- >>384
ありがとう
今試験期間だから書き始めるのはもう少し後になってしまうけど…
- 387 :名無しさん@ピンキー :2006/05/22(月) 22:04:01 ID:w1zQKi7k
- そういや、今頃の大学生は前期中間試験か……。
- 388 :名無しさん@ピンキー :2006/05/23(火) 23:19:25 ID:r9tx5mwN
- 382に近い感じで今萌えている二次創作ネタで
主従(主君×参謀)というのがあるんだが…
原作では両方男なのだが参謀の方が男装のおなごなら
禿しく萌えだと思って脳内変換している。
そういうのはやっぱりTS系スレに逝くべきか…?
しかも元ネタがメル欄だけにこの板で良いかどうかが既に怪しいorz
- 389 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/24(水) 06:06:15 ID:ymuaPjXL
- ふと思いついたんですけど、男装少女の周囲に女らしい子がいて男装少女はその子と仲良くしながらも
複雑な感情を抱くシチュってどうでしょう?女しか生まれなかったことで男装させられて他の姉妹と複雑な関係とか、
おしとやかな姫に仕える護衛が姫の女らしさを見て・・とか、学園もので仲のいい女友達がいて・・とか。
でもピンチのときは身を挺して女の子を守ろうとして、普段の考えを捨て男らしく振舞う。
- 390 :名無しさん@ピンキー :2006/05/24(水) 17:46:21 ID:qJIkcSji
- >389
その場合、男装少女のお相手は仕えているお嬢様の婚約者でおk?
泥沼展開キタコレ
- 391 :名無しさん@ピンキー :2006/05/24(水) 18:49:04 ID:GrGMReOh
- >>388
それは女体化スレ向きじゃまいか。女体化ならこの板でおけ。ってTS系総合スレしかないのか。
BLゲー疎いので、設定細かく書き込んでくださったら、ここでも大丈夫かも。読んでみたい。
TSついでに、ヒカ碁女体化スレのまとめにある「刻印」「刻印U」お勧め。
男装じゃないけど、オレッ娘なヒカルがエロかわいい。女体化に対する偏見が消えた。
寝取られ物で、「司」シリーズに匹敵する修羅場の盛り上がりっぷりがよかったです。
>>389-390
それいい!男装だと逆ハーレムが多くなりがちだけど、
女の子との三角関係なんかがあると新鮮でいいなー。
とりかへばやにも、女として生きていたらさぞかしって、複雑な心境の描写ありますな。
>>386
気長に待ってるお。試験がんがれ。
- 392 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/24(水) 23:39:03 ID:VxG8rjVT
- >>389に更にエロネタらしく(?)こんなネタを追加してみました。
男装娘と女の子が敵(不良も可)に捕まる。
↓
女の子が襲われそうになり、男装娘が庇おうとする。
↓
男は引っ込んでろという敵に男装娘は自分が女であることを告げる。
↓
本人に自覚はないが男装娘もかなりの美少女なので男も喜んで手を付けようとする。
こんなのどうでしょう。
- 393 :名無しさん@ピンキー :2006/05/25(木) 01:35:55 ID:WlocprWG
- >>392
男たちの好奇と、少女の驚愕と困惑が混じった視線の中、
生まれたままの姿にされた男装娘は悔しさに唇を強く噛んだ。
下衆な視線が厚ぼったい服に隠れていた女の丸みを、
垂れこぼれた蜂蜜を舐め取るように意地汚く犯してゆく。
おぞましかった。
直接手を触れられたわけでもないのに、全身が粟立つような悪寒に苛まれている。
少しでも気を抜けば、すぐにでも身体中が震えてしまいそうだった。
……怖いのだ。目の前の男たちが。
自分は男として振舞ってきたが、結局それは『男の真似』でしかなかったのだと、
所詮お前は男にはなれないのだと、偽らざる現実を突きつけられた気分だった。
だから無意識に乳房と陰部を腕で隠してしまったのは、女としての本能だったのかもしれない。
しかし、男たちにはたまらなく不愉快な行動でしかなかった。
「おらっ、手ぇどけろよ。全部見えねえだろーがよッ!」
「おめーが見せたくねえならよ……こっちのお嬢ちゃんに交代してもらおうか。なぁ?」
「やっ、やめ……て……くださ……い……」
いつものように男らしく怒鳴ることは出来なかった。
「ちゃ、ちゃんと……手、離します……離しますから……その子には……何も……」
矜持も何もかもかなぐり捨てて、上ずり震える声音で男装娘は懇願した。
懇願することしか出来なかった。
ココまで妄想した。
ちょっと力尽きた。あとは宜しく頼む(パタリ
- 394 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/25(木) 02:29:47 ID:+c6i8Ecs
- >>393
非常に萌えさせていただきました。描写が素晴らしいです。ぜひともストーリー仕立てににしていただきたいです。
完全に女の子になってしまっている男装娘萌えw
ついでに久々の遠井家投下。エロはなしです・・。
- 395 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/25(木) 02:30:33 ID:+c6i8Ecs
- 「ねえねえ、甥鳴山って聞いてなんかおいなりさんが食べたくなっちゃた。明日どっかで食べない?」
「そうですね。お土産もおいなりさんにしますか。」
絢と春希は先程まで艶事に興じていたとは思えない程、のんきな会話を繰り広げていたがそのとき。
ドタドタドタ・・・・ドンッ!!!
「きゃあっ!!」「ひゃあっ!!!」
誰かが廊下を駆けて来て、絢と衝突した。
「あ、絢!!あ・・・。だ、大丈夫ですか!?」
春希は一瞬、絢を呼び捨てにしてしまったことにドキッとしたがすぐ気を取り直し、絢に呼び掛けた。
「う、うん・・。平気。たいして痛くないし・・。」
春希は絢の様子に安心すると、ぶつかってきた相手に声を掛ける。
「そちらは大丈夫ですか・・?真夜中なのですからお静かに・・・。って夕顔丸さん!?」
『きゃあっ!!』という悲鳴から相手は女だと思って穏便な言い方をしたが、春希にとっては男である夕顔であったことに驚いた。
「あ・・・。ごめ・・・すまなかった・・・。」
興奮や照れで男の演技をするのもままならない夕顔だったが、必死で低い声を出し、男口調で謝った。
「何があったのかは知りませんが、真夜中に走るのは感心しませんね。夕顔丸さんらしくもない。」
春希は彼にとっては男である夕顔に少し厳しく諭した。夕顔の方はと言うと、夏希に瓜二つな春希の顔を直視出来ず
男の演技もますます気が入らない心情になっていた。
「・・・・。ごめんなさい・・・。いや・・・・すまぬ・・・。」
夕顔の声は女としての本性を隠しきれなくなっていた。あまりの夕顔の変貌ぶりに絢も春希も困惑した。
「夕顔丸、どうしたの・・?なんかいつもとは別人みたい。まるで女の子の様な・・。」
夕顔の表情は完全にか弱い少女のもので、更に長い髪を下ろしたままなのでどんなに男の扮装をしていても
男にはとても見えない姿になっていた。
「・・少し言い過ぎましたね。すみません・・。立てますか、夕顔丸さん。」
なんだか女の子を責めた様な気になった春希は夕顔に謝ると、尻餅をついたままな彼女に手を差し伸べた。
「・・・・・。」
夕顔は無言で春希の顔を見ない様にしながら彼の手を握り、起き上がった。
「え、えっとすみませんでした・・・。わた・・いや、俺はこれで!!」
夕顔は起き上がるやいなや、必死で謝るとほうほうの体で走り去っていった。
「どうしたんだろ・・。夕顔丸。ほんと女の子みたいだったね・・。そういや、ぶつかったとき、身体が柔らかかった様な・・。」
「私も・・手を握ったとき、夕顔丸さんが女性の様に細い指をしてたのに驚きましたね・・。」
「まさか・・ボクと同じ・・いや、そんなはずないか。」
「そうですね・・。」
そうは言ってもどう見ても女にしか見えなかった夕顔の姿に二人の驚きは治まらない。夏希がいる部屋に向いながら
二人はあることにふと気がついた。
「さっき夕顔丸さんが走ってきたのは私と夏希の部屋の方からでしたね・・。」
「ほんとだ・・。」
- 396 :遠井家の人々 :2006/05/25(木) 02:31:15 ID:+c6i8Ecs
- 「夏希、今戻ったよ。」
春希は夏希に呼びかけながら襖を開ける。夏希は布団に篭っていたが、春希の声を聞くと勢いよく起き上がる。
「あああ兄貴!!あ、絢様も・・・。」
「夏希?」「なっちゃん?」
夕顔との情事の興奮が治まっていない夏希は動揺が隠せない声を上げた。
「どしたの?なっちゃん。夕顔丸だけじゃなくてなっちゃんまで様子がおかしいなんて・・。」
絢の口から夕顔の名が出たことで夏希は顔を真っ赤にした。
「夏希、夕顔丸さんと何かあったのか?」
夕顔の名が出たことで夏希が顔を赤くしたのに気付いた春希は夏希に問い掛けた。
「な、なななな何でもねぇ!・・・よ・・・。」
『『絶対なんかあったな・・。』』
夏希のあからさますぎる様子に絢と春希はそう確信した。
「夕顔丸さんと喧嘩でもしたのか?」
「ち、ちげーよ!!そ、そんなことするわけ・・・・・。」
夕顔の名前を出されるたび、彼女の艶姿を思い出してしまい、夏希の緊張は更に高まっていく。
「あ、明日は早いんだから、オレ、もう寝る!!!おやすみ!!!」
動揺を隠せない夏希は絢と春希の質問攻めを避けるべく、布団に覆いかぶさった。
「・・・じゃあ、ボク戻るね。はーちゃん、おやすみ。」
「おやすみなさい、絢様。」
絢はこれ以上夏希に何かを問うのは無粋と思い、部屋に戻っていった。そんな絢を見送り、襖を閉めた春希は夏希に話し掛けた。
「夏希。」
「なんでもないって言ってるだろ!!!」
夏希は布団の中から声を張り上げた。
「わかったよ・・。これ以上何も聞かないよ。」
そう言うと春希は着替えを始め、寝る準備をした。
――夕顔・・・・。
――夏希さん・・・。あっ!
「わあぁ!!」
夏希は叫び声を上げながら勢いよく起き上がった。
「・・・夏希、どうしたんだ・・・。」
夏希の叫び声に目を覚ました春希が少し不機嫌そうに声を掛けた。
「あ、兄貴、わりぃ・・・。」
「顔が真っ赤だぞ、夏希。風邪でもひいたんじゃないだろうな?」
春希は起き上がると夏希の額に触った。
「熱はないな。ん、夏希、なんか色事の夢でも見てたのか?勃ってるみたいだぞ。」
「えっ!?」
春希の指摘に驚いて布団をめくると、確かに夏希の男根は勃っていた。
「ほんとだ・・・。あーよかった・・。でもさっきはなんで・・。」
「? さっきってなんだ?」
「わー!!なんでもない!!なんでもない!!!」
その頃の夕顔。
「あっ!夏希さん!!!」
夏希同様の夢を見て、同様の反応を示す夕顔。
「わたしってばまたあんな夢・・・。」
夕顔が夏希と情事をいとなむ夢を見たのは一回ではなく、もう何度も見て何度も飛び起きていた。
「早く寝ないと・・。明日から旅なのに・・・。・・・普通に振舞えるかしら・・?」
夕顔は夏希との情事と絢と春希に示してしまった自分の女の態度を思い出しながら恥ずかしげな声を上げた。
- 397 :遠井家の人々 :2006/05/25(木) 02:36:45 ID:+c6i8Ecs
- 四人(特に夏希と夕顔)にとって色んな意味で長かった夜が明け、まだ朝早い辰の刻(午前八時頃)城を発つ準備が整い見送られている。
「じゃあ、絢ちゃん、頑張るのですよ。」
絢に話し掛けているのは絢の母である珠子である。絢と瓜二つで、可愛らしい容姿をしているが、活発な娘とは違い
かなりおっとりでにこやかな女性なので雰囲気は随分違って見える。
「うん、母様、父様をよろしくね。」
そのそばでは春希が両親と対応している。
「では父上、母上、行ってきます。」
「がんばるのよ!春希!」
春希に豪快に話し掛けてるのは母親の季佳(きよ)である。顔は息子二人に受け継がれた美貌を持ち合わせているが
性格はいたっておおらかである。そんな季佳の後ろに隠れる様に小さく「頑張れー。」って言ってるのが父親の吉彦である。
妻と息子達と違い、見た目も性格も目立たない人物である。
「ところで夏希はどうしたのよ?」
そう言って季佳は夏希に視線を向けた。夏希はぼやーとしてて、いかにも寝不足といった状態になっている。
実は少し眠るたび夕顔と情事に営む夢を見てしまい、そのたび興奮の余り目を覚ましてしまい、ほとんど眠れないまま
朝を迎えてしまったのである。
「そういえば、夕顔丸さんも同じ状態になってますね・・・。」
そう言って春希は夕顔の方を見た。夕顔も夏希と全く同じ理由で寝不足になり、かなりぼんやりした顔になっていた。
季佳はそんな夕顔に近づき、春希達に会話が届かないところまで離れて、夕顔に話し掛けた。
「ちょっと、夕顔ちゃん、そんな顔してせっかくの美人が台無しよ。いつも規則正しい生活してんのにどうしたの。」
実は季佳は夕顔の正体を知っていた。季佳だけではなく、真琴も珠子も吉彦も知っていた。その事情は後ほどで。
「その、あの・・。き、今日のことで緊張して・・・。」
夕顔は寝不足でぼんやりとした頭を必死で働かせながら言い訳をした。しかし、季佳の目はごまかせなかった。
おまけに夏希も夕顔と同じ状況になってることから季佳はピンときた。
「夕顔ちゃん、夏希となんかあったでしょ。」
「えっ!!!!」
季佳の的を射た言葉に夕顔は思わず声を上げてしまった。
「しっ!夕顔ちゃん、聞かれるよ。」
「あ、す、すみません・・。」
「気にすることないわよ。あの子、ようやく夕顔ちゃんの正体に気付いたんだね。なるほどー。夕顔ちゃんにつっかかったり
夕顔ちゃんの文句を言ってるの見るたびわが子ながら鈍いなーって思ってたのよ。でも、あの子、夕顔ちゃんに
惚れたんじゃないかって最初の様子見たときから思ってたんだけど、大当たりだったようね。」
流石は母親というか、季佳は夏希の思惑を完全に見抜いていたようである。
「後、夕顔ちゃんも夏希のこと気になってたんでしょ。」
「!!!」
季佳に今度は自分の考えを当てられた夕顔は顔を真っ赤にした。
「あはは、やっぱり。で、昨日の夜になんかあったのね。ふふふ、旅から帰ってきたら詳しく聞こうかしら。
その間に夏希と進展あるといいわね。楽しみに待ってるわ。」
季佳はおどけた調子で夕顔に言った。
「き、季佳さん・・・。」
季佳のあけすけな言葉に夕顔は恥ずかしそうな声を上げた。
- 398 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/05/25(木) 02:52:48 ID:+c6i8Ecs
- 最初だけ「名無しのアヒル」のままでした。すみません。
>>実験屋様
不器用な辰斗と生意気な様で寂しがりやな巽が可愛いです。エロ展開も楽しみにしてます。
>>321様
遅くなりましたがGJです!自分と似た境遇の神奈の相談に乗って矛盾した自分に憤る響が
この後どう動きか非常に気になります!レズだった筈がすっかり涼への思いに目覚めてますね。
- 399 :名無しさん@ピンキー :2006/05/25(木) 21:01:55 ID:wmbA3mu1
- 男装かあ。
最近、ブックオフでLOVEってテニスのマンガ(BBの続篇)
を立ち読みしてるんだけど
たまたま偶然このスレを見つけましたよ。
イイですねえ。
- 400 :393 :2006/05/26(金) 11:40:29 ID:hChOLDym
- >>398
名無しのアヒル様
初々しい夕顔が可愛いっす。GJです!
駄文をお褒めいただき恐縮です。
陵辱モノは書いたことが無いのですが、ちょっとトライしてみます。
ストーリー案お借りいたしますね。
- 401 :かつふじ ◆rILbXfEgzQ :2006/05/26(金) 12:13:18 ID:6fWZtoyy
- 試験終わったので本格的に書いてみたいと思います。
何分、初心者なので色々おかしい点も出てくるかと思いますが、よければどうぞ、お付き合い下さいm(_ _)m
- 402 :名無しさん@ピンキー :2006/05/26(金) 20:20:31 ID:Dv+2jx0i
- >>398
乙です!!遠井家は続きを楽しみにしていた作品だったので
感動しました。
- 403 :名無しさん@ピンキー :2006/05/30(火) 00:02:14 ID:qy4Pi1+1
- SS執筆に疲れたので保守
- 404 :名無しさん@ピンキー :2006/06/01(木) 12:09:01 ID:5TrSEney
- ホシュアゲ
- 405 :名無しさん@ピンキー :2006/06/05(月) 18:51:19 ID:L6y14u6g
- age
- 406 :名無しさん@ピンキー :2006/06/05(月) 22:53:41 ID:QMPn+VmP
- 男装少女には立ちションが似合うと思う?
- 407 :名無しさん@ピンキー :2006/06/10(土) 06:19:28 ID:JqPMnvnI
- >>406
個人的には思わない。
でも立ちションしないと男じゃないとばれるというシチュで無理に我慢して隠し通すというのは萌えるかもしれない。
- 408 :名無しさん@ピンキー :2006/06/10(土) 17:15:34 ID:0BPt1g+N
- そこで立ちションして見せるというのも萌えるのではないか?
- 409 :名無しさん@ピンキー :2006/06/11(日) 06:37:52 ID:aOTvrin6
- 夢のない話をすると、
ttp://d.hatena.ne.jp/annojo/20050513/p2
みたいなものをつかって、立ちションする男装女性がいそうだ。
- 410 :名無しさん@ピンキー :2006/06/11(日) 23:56:14 ID:jC8tAcTo
- 萌え談義かと思ったら立ちション談義っすか。
しかしこれもも萌えるね。
- 411 :名無しさん@ピンキー :2006/06/12(月) 18:55:44 ID:n3Aopoib
- 何に萌えるの?
- 412 :名無しさん@ピンキー :2006/06/15(木) 22:57:09 ID:PCVNo44b
- どんな事情があるのかわからないけど
どの書き手さんも話は最後まで仕上げてほしいよ
- 413 :名無しさん@ピンキー :2006/06/17(土) 15:34:15 ID:tD7UDBi9
- イヴァンとナタリーの話がまた読みたいなあ。
- 414 :名無しさん@ピンキー :2006/06/17(土) 22:18:28 ID:Y+9YufK7
- >>413
姫スレに何篇か投下されてるよ。
もう知ってたらゴメン。
- 415 :名無しさん@ピンキー :2006/06/19(月) 13:01:42 ID:ksqDbESY
- ほす
- 416 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/06/20(火) 00:23:04 ID:0SdioW86
- お久しぶりです。田植えが終わって少し一段楽しました。
「上を向いて〜」の投下です。一応最後までです。
どうぞ。
- 417 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/06/20(火) 00:25:22 ID:0SdioW86
- 「よっと。」
辰斗は巽をお姫様抱っこで抱きかかえるとベッドまで移動する。
「そうだ巽。」
「ん?」
「俺からお前に関白宣言。」
「関白宣言?」
「俺より先に寝てはいけない。俺より後に起きてはいけない。」
「何だよそれ、横暴だ。」
突然の関白発言に憤りを隠せない巽。
「お前の為に言ってるんだぜ。よく考えてみろ。今言ったことが実際に
我が身に降りかかったら・・・。」
「え〜と・・・・」
辰斗が起きている傍で寝ている自分。
・・・
・・・・・
・・・・・・・
乙女のピンチ!!!!!!!!!
「辰斗のエッチ!!変態!!」
「言ってくれるじゃねーか。そうさ、Hは変態の頭文字だぜ。」
「うぅぅ〜〜襲われちゃうよ〜。」
「・・・ボソ だから寝る時は一緒に寝ようって遠回しに言ってるんだけどな。」
「えっ!?」
「言っても分らない奴はこうだ!!」
辰斗は巽の服に手をかけた。
「や・・・あふぅ・・」
自分の体型よりも大き目の服を着ている巽を剥くのは簡単で襟元から上着はスッと脱がされ
ズボンもベルトを軽く緩めるだけで自然にずり落ちた。
- 418 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/06/20(火) 00:27:28 ID:0SdioW86
- 「うぅ〜〜ハズい・・・」
そこに現れたのは真っ白で珠のような裸身だった。
「男の格好してるのに下着は女物なんだな。」
巽は飾り気の無い揃いのブラジャーとショーツを身に着けていた。
「なんだよ悪い?・・・色々あるんだよ!!」
「色々ってのはこういうのかな?」
辰斗はブラの上から撫でるようにして乳首に触れた。
「うわぁ・・・!!」
巽は身震いしながら身体をくねらせた。
「こっちもかな?」
さらに秘部をゆっくりと撫でる。
「ひゃう!!」
それだけに止まらず辰斗は脇腹やうなじを指で触れ回し胸元や頬に口付けた。
「巽・・・」
「・・・辰斗」
二人は見つめ合いどちらからとも無くキスを交わした。
「んっ・・」
最初は唇が触れ合う程度だったが次第に舌が絡みあって互いを
激しく求め合うキスへと変わっていった。
「ちゅ・・・んぅ・・あぁ辰斗ぉ・・・」
「巽の唇は甘いんだな。」
「そんな・・・・」
顔を真っ赤にして巽は俯いた。そんな巽の頬を両手で掴み正面を向かせる辰斗。
「俺はもうお前を傷つけない。」
心なしか辰斗の手は震えていた。
「この手も・・・お前を守るためにある。だから・・・安心してくれ。」
巽はその言葉が辰斗が自分を叩いた時の謝罪だと察知した。
「うん。」
笑顔でそう返すと辰斗は再び巽にキスをした。
- 419 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/06/20(火) 00:28:53 ID:0SdioW86
- 「辰斗お願い、僕をもっと辰斗でいっぱいにして。」
「あぁ分った。」
辰斗は巽の胸に手を伸ばしその乳房を揉み出した。
「ひぁ!」
巽は可愛らしい声をあげた。
「あ、あんまり大きな胸じゃなくてごめんね・・・。」
辰巳がすまなそうな顔をした。
「確かに大きい胸はいいもんだけど・・・」
「・・・そうだよね。」
辰斗の期待にそえない寂しさに涙が出てきそうになる。
「だ・け・ど。」
「ふぇ?」
「俺はそれよりも好きな胸ってのがあってさ・・・」
「どんなの?」
「巽の胸。」
「う、ウソ言わなくても・・・ああぁっ・・・」
快感に悶えながら巽はそっぽを向いてしまう。
「ウソじゃないよ。誰よりも大切な巽のだから好きなんだ。」
「あ、ありがとう辰斗・・。」
寂しさで溢れかけていた涙が一瞬にして嬉し涙へと変わっていく。
「こっちは?」
辰斗は空いていた手を巽の秘部へと伸ばした。
「ひゃあ・・そ、そこは・・・あぁん!!」
キスや愛撫で昂っていた巽のソコはグッショリとぬれていた。
「感じてくれてたんだ。」
「だって・・・辰斗がしてくれてるんだもん・・・。」
「そう言ってくれると嬉しいね。」
辰斗はショーツを脱がせ直に割れ目をなぞる。
「ふわぁ・・や、あぁ・・・」
何度も指が自分の秘部を這い回る度に巽は身体をのけぞらせた。
- 420 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/06/20(火) 00:30:52 ID:0SdioW86
- 何度か巽の秘裂をこね回す。巽のソコは愛液でドロドロになり
時折、ヒクヒクと痙攣していた。
「巽、そろそろ・・・」
「うん・・・お願い・・・きて・・・・」
辰斗は巽に覆い被さる様にして肉棒を挿入していく。巽に痛みを感じさせないように
ゆっくりと挿れたのだが、秘部を押し開きながら肉棒が通過する感覚に
巽は苦しげな声をあげた。
「ん!!」
「痛いか巽?でも少しだけ我慢してくれ。すぐに気持ちよくさせてやる。」
「ふあぁ・・・た・・たつ・・・とは・・気持ち良いの?」
「気持ち良いよ、すごく。」
そう言って頷くと巽は安堵の表情を浮かべ、同時に膣内が大きく蠢いて
辰斗の肉棒を締め付けた。
「はぁっ・・・あ・・・辰斗・・・」
「じゃあ動くぞ。」
健気に身体を動かす巽に優しく微笑むと辰斗は腰を動かし始めた。
「ふぅ、うぁあ・・・あぁぁ・・んんっ・・」
ゆっくしと出し入れを繰り返してる内に巽の声から苦痛の色が消えてきた。
結合している部分に目をやれば破瓜の血が流れ辰斗の分身を薄い赤に染めていた。
「痛いか?無理してないか巽?」
不安になった辰斗は巽に問いかけた。
「んあぁ、う、うん・・・大丈夫・・・すごく気持ち良いよ・・・はぅ!!」
快感に溶けた様な表情を浮かべる巽に安心した辰斗は腰を動かすスピードを
徐々に早くしていく。巽もそれに応えるかのように辰斗にしがみ付き身体を
大きく揺らした。
「あぁぁ!!辰斗のがすごく熱くて・・・んぁぁぁ!!」
「巽も気持ちよくて・・・くっ・・」
巽の膣内は快感を求めてどんどん蠢いていく。辰斗の肉棒もその刺激に
触発されて大きさと硬さ、熱を増していく。
- 421 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/06/20(火) 00:31:58 ID:0SdioW86
- 「巽・・・そろそろいいか?」
「はぇ?」
「限界が近い、辰巳の中で果てたい。」
辰斗は真剣な顔で巽に問いかけた。
「・・・うん。」
巽はおぼろげになった瞳で辰斗を見返す。
「中に・・・出して。辰斗の好きにして。」
「!!」
巽の笑顔に理性の一部が消し飛ぶ。辰斗は腰の動きを今までに無く激しく、
強いものにすると一気に溜め込んだ全てを流し込んでいった。
「あぁぁ!!・・・あ・・・たつ・・とのがいっぱい・・・僕も・・・イッちゃう!!」
巽も同時に絶頂を向かえ果てる。その身体は小さく痙攣し大ききその身を仰け反らせたかと
思うと辰斗へともたれ掛かった。
「巽・・・」
辰斗は巽を抱きしめながらベッドへと倒れこむ。
「辰斗。」
「ん?」
「・・・・後でもう一回しない?」
「オイオイ・・・・・・喜んで。」
二人の睦まじい声が消えることは無かった。
- 422 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/06/20(火) 00:34:09 ID:0SdioW86
- 〜1ヶ月後〜
「巽、起きなさい?」
「むーー・・・・・」
「朝ですよ〜?」
「・・・・むにゃ・・・・」
「・・・・・関白宣言・・・」
ガバッ!!!
「チッ、今日は起きやがったか。」
「そう何度も襲われてたまりますか!!」
目の前の関白にファイティングポーズを決める巽。
ちなみに1週間に2〜3回は関白宣言の餌食となっている。
「でも、まぁなんだ。」
巽の両手を捕らえ抱き寄せる辰斗。
「襲わなくても、いいよな?」
「・・・バカ。」
そう呟いた唇が辰斗によってふさがれる。
「気分がいい。今夜はスキヤキだな。」
「食後に僕も食べるくせに・・・。」
「ハハハ。」
「フフ。」
暖かくなった日差しが窓の外から二人に注ぎ込まれていた。
- 423 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/06/20(火) 00:42:10 ID:0SdioW86
- 以上です。最初の投下からものすごい時間がかかって申し訳ない限りです。
タイトルも実験屋のままだし・・・反省します。
今後は単発をメインで以降かな?そのときはお楽しみに。
あと私事ですが、農地を貰った親戚の娘さんが男装系なんですよね。
男に憧れがあるらしくて、でも性格はノーマル。おばさんにも
婿殿とか言われちゃってるし勘違いするべきか・・・どうしよう?
まぁ、それだけです。
- 424 :名無しさん@ピンキー :2006/06/20(火) 02:10:28 ID:S3NgkSCC
- GJ!
食後のデザート夢浪漫。
実験屋さんの人生が素敵な方へ転がってる……( ; ゚Д゚)
- 425 :名無しさん@ピンキー :2006/06/21(水) 17:38:06 ID:UVAXVnyW
- GJです
実験屋さんの話はいつもなんだかとても楽しい
農作業お疲れ様です。日焼け止めは完璧にな
- 426 :名無しさん@ピンキー :2006/06/24(土) 20:45:30 ID:nmwieYZ2
- 圧縮よけカキコ。
- 427 :413 :2006/06/26(月) 01:21:42 ID:I0RNetB1
- >414
知らなかったよ。教えてくれてサンクス。
- 428 :名無しさん@ピンキー :2006/06/28(水) 18:58:10 ID:73jI1KgO
- あげ
- 429 :名無しさん@ピンキー :2006/06/28(水) 22:24:03 ID:Mhl/OVy5
- ガイシュツだったらスマソ。
山本周五郎「あんちゃん」
中の菊千代抄が男装。時代劇です。
・・・・ツンデレ物もあった。
周五郎、萌えポイントが近いな、俺らと。
- 430 :名無しさん@ピンキー :2006/07/02(日) 00:27:30 ID:nrSCT1mp
- ガイシュツだったらスマン
「女騎兵の手記」
まだamazonとかで買えるみたい?
「十九世紀の初め、ロシアに少年のような騎兵将校がいた。
ナポレオン軍を相手に手柄を立て、皇帝から勲章を拝受、
総司令官の伝令も務めた。
二十余年後、その将校は「手記」を刊行し、
女性ながら戦場に立ったことを発表、ロシア社会を驚かせた。」
・・・・・さすがロシア。なんでもありやな。
- 431 :名無しさん@ピンキー :2006/07/02(日) 07:26:42 ID:09jXUTfA
- >>430
ロシアの女ってことは10代のころならともかく年取ると樽体型になったのかもな
- 432 :名無しさん@ピンキー :2006/07/03(月) 15:12:28 ID:Nk7SsXw3
- 適当に描いてみたが導入部だらだら……・。
エロまで入って、かつ気が向いたら投下するかも知れない運転。
- 433 :名無しさん@ピンキー :2006/07/03(月) 19:17:46 ID:N4DvBB1i
- 出来てる部分だけ投下して自分にはっぱをかけたらどうよ
- 434 :名無しさん@ピンキー :2006/07/04(火) 13:38:15 ID:CYtj8Mto
- >>433
確実にコケる。
俺、そういう人間。
学園物って導入部がどうしても説明っぽくなってイヤだ。
でも、がんばる。意見サンクス。
- 435 :低脳 ◆8KNKvnEIhA :2006/07/04(火) 13:45:34 ID:CYtj8Mto
- 不定期、書くの気分しだいだから遅い、俺自体どう終わるか考えてない。
以上でおkなら…まぁ、ぼちぼち投下するですよ。
ただしエロパートまでまだかかりそうだ。一応、鳥付けとく
- 436 :名無しさん@ピンキー :2006/07/04(火) 21:20:39 ID:g3fBxEWT
- >>432
結末まで決めてないなら投下なんかするな
- 437 :名無しさん@ピンキー :2006/07/05(水) 00:22:46 ID:IN6388ty
- >>429
周五郎いいよね。
切ないけどほっとする話が多い。
大店の娘×手代とかの主従パターンも多くて萌える。
「あんちゃん」も探して読んでみよう。
- 438 :低脳 ◆8KNKvnEIhA :2006/07/05(水) 16:56:10 ID:ITs5GR78
- >>436
了解した。
- 439 :名無しさん@ピンキー :2006/07/06(木) 01:37:27 ID:U63Klt+l
- ドナ・W.クロス著, 阪田 由美子訳の『女教皇ヨハンナ (上下)』がおすすめ。
男社会で異端視された聡明な少女が
学問を続けるために死んだ兄に扮して教会に入り込み
能力を認められて教皇に選ばれる話。
民間伝承に基づいた歴史小説。
支えてくれる男との純愛仕立てになってて萌える。
ちょっとエロあり(その頃にはけっこういい歳になってるけど)。
お高い本だけど図書館とかにも入ってるだろうから読んでみて。
- 440 :名無しさん@ピンキー :2006/07/06(木) 09:10:57 ID:1HIuBCkn
- 上巻は面白かったけど
下巻がなぁ…
- 441 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/07/06(木) 17:35:24 ID:z/NkMrpK
- >>低脳 8KNKvnEIhA様
確かに結末は決めてから書くのが一番ですが、物語というものは書いてみて初めて展開や設定が思いつくことも
多いですから展開がダラダラとか導入部が説明くさいなどとは言わず、まずは投下できる量だけ書いてみて
推敲してみるのが一番かと。ある程度続きの展開を書き溜めてからというのも手です。連載ものだったら
一度に多目に投下するのがお勧めです。保管庫の都合もありますし。書き物はまず書いてみるのが何より
一番ですので頑張って下さい。
z1nMDKRu0s様や実験屋様がリアルで男装系の女性と出会ったという話をしてましたが仰天ニュースや
アンビリーバボーで60年間男装してたロックミュージシャンの話を知ってる方はいらっしゃるでしょうか?
まさに事実は小説より奇なりと痛感・・・。小説や漫画では60年間も一人の人物にスポットが当たらないとはいえ・・。
それと手塚治虫先生の「どろろ」のどろろは性別論争とか起こったのだろうかと気になってます。今の時代だったら
雑誌やインターネットで語れるけど当時は少なかっただろうし。漫画や雑誌を読んでて怪しいと感じたキャラを
ネットで調べてみると該当だったり性別論争が起きてたりと結構あるので今の時代は便利。コスプレでも
胸を潰しやすくする矯正下着やシャツがあるみたいですし。でもやはり絵的にはさらしが一番ですね。
最後に長文すみません。
- 442 :名無しさん@ピンキー :2006/07/06(木) 19:07:40 ID:txG11BDY
- 一行目だけ読んであぼ〜んしかけた。
- 443 :名無しさん@ピンキー :2006/07/07(金) 15:57:16 ID:8EKosxS1
- age
- 444 :名無しさん@ピンキー :2006/07/07(金) 21:00:55 ID:wxaszL1F
- どろろは萌えない
- 445 :名無しさん@ピンキー :2006/07/09(日) 15:20:17 ID:KYEq19uS
- でもそれを「けっこうかわいい」っていう百鬼丸には萌える。
- 446 :名無しさん@ピンキー :2006/07/09(日) 19:02:29 ID:K5rJBTf8
- どうでもいいけど、名無しのアヒルさんは俺より上の世代だな
- 447 :名無しさん@ピンキー :2006/07/09(日) 19:15:26 ID:ATWyQNRs
- >>446
なにが?
- 448 :名無しさん@ピンキー :2006/07/09(日) 23:38:17 ID:JC0L4n5k
- 年齢以外に何があるんだろう
- 449 :名無しさん@ピンキー :2006/07/12(水) 20:58:41 ID:IMwXmrvG
- 戦争を知らない♪子供達さ♪
- 450 :名無しさん@ピンキー :2006/07/15(土) 13:02:35 ID:hm4c35wX
- hosyuage
- 451 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/07/18(火) 15:47:21 ID:agZqLXEj
- 3日〜4日以内に狂介シリーズ投下しようと思ってます。
とりあえず自分でキャラを思い出すための紹介を投下します。
- 452 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/07/18(火) 15:48:06 ID:agZqLXEj
- 登場人物紹介・・・と書いて作者の思い出しと後付け設定
山崎狂介 主人公。描写が無くても2ちゃんねら〜。戦闘力は高く
ヤムチャでは勝てない。有紀の事が大好きで有紀の身に何かあれば
暗黒面に堕ちる。相手をSATUGAIする。など何でもありになる。
逆に有紀に嫌われようものなら周囲を巻き込んで大暴れする
どのみち迷惑に変わりない奴。しかも基本はいい人なので
かえって始末が悪い。
必殺技は『道頓堀カーネル』『摩天楼ウィンドゥ』他ノリと勢いで何でも出来る。
南有紀 ヒロイン。狂介の強さに隠れがちだが「狂介のバカー!!」で
狂介を行動不能に出来ることから決して弱くは無い。
ヤムチャなんかじゃ手も足も出ないだろう。
常識人かと思いきや裸エプロンやったりするくらいだから
紙一重だと思う。狂介のお嫁さんになりたいと言ってる位だから
狂介の事は当然大好き。どこに惚れたんだろう?
藤澤秀平 狂介と有紀のマブダチ。初登場時はイカれたキャラだったけど
のちに山崎夫妻、ヤスコ、正樹が現れてすっかり霞んでしまっている。
貞子をはじめホラー映画の著名人と仲がいい。
近いうちにメインスポットを当てていこうかなと思ってます。
ちなみに狼牙風風拳は見切れる。
苑田園太郎 狂介の後輩。新キャラ作るのめんどくさいのでエキストラとして
採用。その後イケメン化、カップリング用意、銃の魅力に
取り付かせてキャラを肉付けした0からの男。繰気弾は効かない。
ハーレム計画してるし、もう常識人じゃないんだろうな〜・・・。
- 453 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/07/18(火) 15:49:41 ID:agZqLXEj
- 升沢啓 このシリーズ初の悪役。すぐ消す予定だったけど使い勝手のよさから
レギュラー化した。番外編では主人公になった位、作者的に気に入ってる。
ジャンキーから更正して社会復帰、父親の鏡と人は変われるという事を再現した。
カミさんの尻に敷かれていてSかMかときかれたらMと答える可愛い奴。
升沢レオ ↑の奥さん。旧姓は橘。元は旦那と同じで素行の悪い人間だったが見事に更正、
結婚後は旦那を飴とムチで管理する一児の母となる。
本編で書くことは無いと思うが啓を毎晩、ハイヒールで踏みつけたり
調教している。
升沢葵 ↑の二人の娘。これ以上に書くことが無いので『未来編』と題して
この子が主人公の話でも作ろうかと思ってます。
でも相手をどうしよう・・・。
田中詠子 園太郎の彼女。狂介に告白して有紀を嫉妬させると言うネタの為に
出しただけだったけど後半を書く間のレスで園太郎とくっつける
というレスがあったのでインスパイヤした後付けの申し子。
何気にヤムチャより強い。
- 454 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/07/18(火) 15:51:13 ID:agZqLXEj
- 山崎正樹 狂介の兄。ハッキリ言って変態でロリコン。しかし、狂介を含む上記の
男性陣が束になっても軽くあしらえる程に強い。当然ヤムチャでは(以下同文)。
よく考えたらこのひと大人なのに収入源が不明だな・・・どうするべ・・・。
山崎萌 正樹の妻で狂介の義姉。旧姓は天王寺。元エロチカ5(後述)のメンバー。
敵であった正樹の”身体を張った説得”で改心、正樹の妻となる。
常時巫女さんの格好をしている。想像できない方は幼女が神風怪盗ジャンヌ
のコスプレをしていると思っていただければ幸いです。
山崎父・母 狂介&正樹の両親。名前は後々・・・。狂介たち兄弟の親だけあって
とんでもない調子っぱずれである。歳を考えない盛りっぷりからして
若い頃は息子達カップルを足したくらいにバカップルだったのだろう。
南父・母 有紀の両親。狂介の両親と古くからの友人で常識的な面を備えつつも
基本は山崎家と変わらない。父に関しては娘とあれだけヤリまくってる
狂介に対して理解をもってるので只者ではないだろう。
- 455 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/07/18(火) 15:53:03 ID:agZqLXEj
- ヤスコ 本名ジョセフィーヌ・ヤスコ。腐女子集団「腐女子のフはショタコンのシ」
略して「ドドンガドン」のメンバー。衣装が旧型スク水という視覚的に
問題ありなババア。
エロチカ5 「ドドンガドン」の精鋭軍団。クリスティーヌ・ヨシコ、ザマス・カトリーヌ3世
綾小路玲子、ゴッデス・トメからなる。萌もかつてはメンバーだった。
狂介たち「チーム・ネバダ」と対決し倒される。よく考えたら腐女子ではなく
ただの変態だよね。
以上で紹介おしまい。(分ってると思うけど彼等はみんなヤムチャより強い)
- 456 :名無しさん@ピンキー :2006/07/18(火) 16:01:49 ID:ktdi0V8q
- 何で基準がヤムチャやねん。後誰が男装少女や。
- 457 :名無しさん@ピンキー :2006/07/19(水) 14:35:14 ID:rPw3q0Rj
- 南有紀
- 458 :名無しさん@ピンキー :2006/07/20(木) 14:53:48 ID:0SlAIcXX
- 期待age
- 459 :名無しさん@ピンキー :2006/07/21(金) 18:11:36 ID:c5B1mZT7
- 流血女神伝ってのを読んだ。
びみょーだった。
- 460 :名無しさん@ピンキー :2006/07/21(金) 19:15:27 ID:mlNXneKw
- >>459
あれは最初の二冊のみだよ男装萌え的には
それよりも
クーデルカ(漫画版)
ウルトラレッド
パンプキンシザーズ(マガグレ最新号)
超常機動サイレーン
あたりがオススメだ。
サイレーンは正確には男装じゃないが好きだ。
- 461 :名無しさん@ピンキー :2006/07/21(金) 23:41:33 ID:tO83o3Wc
- クーデルカって岩原裕二のだよね?
絶版なので、興味もった方は普通の本屋ではなく古本屋に行ったほうがええよ。
amazonのマーケットプレイスで一円から売られてるので入手はかんたん。
- 462 :名無しさん@ピンキー :2006/07/22(土) 06:49:39 ID:88PoNYUo
- >>459
男装萌えとしては帝国の娘部分が一番とはいえ、
ファンタジー小説が好きじゃないとそれ以降はちょっと読めないだろうな。
漏れなんかは、大唐風雲記の麗華にさえ萌えたぐらいだから、
守備範囲が広い可能性もあるが。
- 463 :名無しさん@ピンキー :2006/07/22(土) 07:44:40 ID:c3Bj3oaz
- 田中芳樹の「風よ、万里を翔けよ」はまだ出てない?
病気の父親の代わりに徴兵されて
滅亡寸前の隋帝国で活躍する少女の話。
ラノベ色が少し強めの中国歴史小説。
- 464 :名無しさん@ピンキー :2006/07/22(土) 14:28:14 ID:FObXxtiY
- 『ガラスの艦隊』という現在放送中のアニメも男装萌えに入る。
もう折り返し地点過ぎてしまったけどね。
単語で検索して公式の次で上位にくるサイトが紹介としては最適かと。
信者って言われそうだから、名前だけ出しとくよ。
- 465 :狂介と有紀 :2006/07/22(土) 17:38:54 ID:h5bYUnf2
- 「じゃあ狂介、行ってくるね。」
と言って有紀が家族旅行に出かけて3日目。
・・・狂介は限界だった。
『禁断症状の果てに・・・』
狂介たちが通う学校の校庭で・・・
「ゆぅぅぅぅぅきぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!」
有紀の名前を叫びながら目の前の集団に襲い掛かる狂介。
先日、”山崎狂介の様子がおかしい”という噂が流れた。挙動不審になり気の抜けた
炭酸のように萎んでしまっているからだ。この噂を聞きつけた、かつて狂介に叩きのめされた
珍走団やチーム、カラーギャングの類が今がチャンスと結託し狂介に襲い掛かってきたのである。
しかし、実際のところ「有紀欠乏症」の狂介が家族旅行で不在の有紀に会いたくて
暴走しかけてる為、彼等の行動は死地に自ら飛び込む危険なものだったのだ。
「有紀ィィィィィ!!!」
片手で簡単にバイクを持ち上げて投げ飛ばす。その先には狂介を倒しに来た輩が
大勢いた。
「ぎゃあぁぁ!!」
「全然強いじゃん!!」
「噂はウソだったのか?」
「お助けーーー!!!」
予想外の狂介の強さに”山崎狂介やっつけ隊”の面々は我先にと逃げ出していく。
- 466 :狂介と有紀 :2006/07/22(土) 17:40:51 ID:h5bYUnf2
「・・だからって逃げれるとは思わないんスけどねぇ。」
狂介の暴走を少し離れた朝礼台に腰掛けて見学する生徒が数名。
「しかしバカな連中だ。様子がおかしいからと言って弱くなった訳でもあるまい。」
ワンカップ片手(校則違反)にスルメをかじる男、藤澤秀平。
「とりあえず拝んでおきます?」
哀れな”やっつけ隊”に念仏を唱える少女、田中詠子。
「暇なんで狂介先輩に加勢しますね。」
と言いながらライフルで”やっつけ隊”を狙撃(弾はゴム弾)する苑田園太郎。
「俺も、俺も。」
藤澤もピコハン型の本物のハンマーを投擲し”やっつけ隊”に命中させていく。
やがて最後の一人が狂介によってプールに投げ込まれた。
「終わったみたいだな。」
「ええ。」
「そうみたいっすね。」
三人の視線が狂介に向く。
「ユウキィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!」
狂介は”やっつけ隊”が持ち込んだであろう”ロードローラー”の上でそう叫んでいた。
その姿は今にも時を止めそうで非常に怖かった。
「「「・・・・あぁ、今日も平和だ。」」」
藤澤たちはそう呟いた。こんな事があっても平和と取れる位に彼等『チーム・ネバダ』の
日常は殺伐としているのだった。
- 467 :狂介と有紀 :2006/07/22(土) 17:41:50 ID:h5bYUnf2
- 狂介たちの住む町に新しい喫茶店がオープンした。その名も『喫茶 マリファナ』。
オリエンタルな味と香りを重視し、近い将来レーシングクラブでも主催しようかなと
思ってるこの店のマスターは・・・
「へいらっしゃい!!・・・ってなんだお前等か。」
「客なんだからそんな言い方しないでくださいよ、升沢さん。」
そう、この店のマスターは升沢だった。一念発起で脱サラし自分のお店をオープンした
のである。
「コーヒー1杯で10時間粘る連中を世間では客とは呼ばないと思うんだが?」
「うっ・・・それを言われると・・・」
「じゃあなんか食べ物も注文するからさ、邪険にしないでよマーシーvv」
「マーシーって言うな!!」
升沢はマーシーと呼ばれる事を極端に嫌がっていた。理由は・・・言わなくても分るか。
「あれ?そう言えば詠子は?」
詠子の姿が見えなくなった事に気付いた園太郎は周囲を見回した。
「おまたせー。」
「詠子、どうしたのその格好?」
詠子はマリファナの制服とエプロンを身に着けて店の奥から出てきた。
「私ここでバイトしてるのよ。似合う?」
「もちろん!!」
二人の世界を作り始めた園太郎と詠子。それを見た升沢は
「いやいや、若いってのはいいね。ピチピチの若い子は可愛くて・・dsycづくぅ」
突然後ろから首を掴まれた。
「可愛くてどうなのかな〜続きを聞きたいな〜」
升沢の後ろには彼の妻レオが笑顔で立っていた。しかし目は笑っていなかった。
「そ、そりゃもちろん『可愛くて良いけどウチのレオの方が可愛い』って言うつもりだったんですよ。」
「まったくもう!!」
そう言われて升沢は自由の身になった。
- 468 :狂介と有紀 :2006/07/22(土) 17:43:07 ID:h5bYUnf2
- 「ウヒャヒャヒャヒャ!!」
「笑うな藤澤!!」
「ワリィワリィ、しかし見てて傑作だったぜ。」
さらによく見ると升沢の首が多少変な方向に向いている。確実に折れているのであろう。
「ところで・・・」
升沢の視線は狂介のほうへと向いた。
「山崎の奴どうしたんだ?」
見れば狂介はカウンターに顔を伏せ完全な無気力人間と化している。
「ユーちゃんが家族旅行でいないんだよ。」
「・・・なるほどね。」
二人の間柄を理解し、かつて横槍を入れて殺されかけた升沢は現状を理解した。
「ゆぅ・・・・きぃ・・・」
狂介の目の前に置かれたクリームソーダは完全に混ざり合い濁った汁になっている。
「おーい狂、クリームソーダ飲まないのか?ほれ、アーンして。」
「やーだ。」
「オイオイ・・。」
「有紀がアーンしてくれなきゃ何も食べたく無いんだモ〜ン。」
頬を膨らませてプイと横を向く狂介。ハッキリ言って可愛げもクソも無い。
「こりゃ末期症状だな。」
升沢は狂介のダダっ子に小さくため息をついた。
「ただいまー!!」
店の扉が開くと同時に有紀が現れた。
「「「「「おぉ!!!(やっと帰って来た!!)」」」」」
「みんなにお土産買って来たよ。」
有紀が土産袋を床に置いた瞬間。
「有紀!!!!!!!」
「きょ、狂介!?」
目の色を変えた狂介が有紀に向かって突進した。
「え、何なの?狂介?」
「とう!!」
狂介はルパンダイブでパンツ一丁になるとそのまま有紀へと・・・
「って待てやコラ!!」
「先輩、いくら何でもそれはいけないッス!!」
「店の真ん中で裸になりやがって、営業妨害だぞ!!」
狂介は男性陣総がかりで取り押さえられた。
- 469 :狂介と有紀 :2006/07/22(土) 17:44:07 ID:h5bYUnf2
- 「ウガーーー!!!離せーー!!殺すぞーーー!!」
狂介はもはやケダモノを化して暴れまくっている。
「カクカクシカジカ・・・と言う訳でして。」
その間に有紀は詠子から事情を聞いて現状を把握した。
「・・・狂介。」
有紀は取り押さえられて簀巻きにされてる狂介の前にしゃがみこんだ。
「有紀?」
「ハイ、お土産の八橋だよ。アーンして?」
「アーン。」
狂介はさっきまでのバカ丸出しがウソのような笑顔を浮かべた。
「おいしい?」
「ウン、おいちい。」
「僕がいない間いい子にしてた?」
「ウン。」
「暴れてたみたいだけど、みんなに迷惑かけちゃダメだよ?」
「ウン、僕いい子にしてたよ。」
「「「ふざけるなぁぁぁ!!!」」」
さすがに頭にきた男性陣は狂介に制裁を加えた。しかし、ボコにされてる筈の狂介は
なぜか終始笑顔だったと言う。
- 470 :狂介と有紀 :2006/07/22(土) 17:46:20 ID:h5bYUnf2
- 「イテェ・・・あいつ等マジで殴りやがって。」
『マリファナ』から追い出された狂介は有紀と一緒に帰宅の徒についていた。
「自業自得、詠子ちゃんから僕がいない間どうだったか全部聞いたよ。」
「ウッ!!」
「まったくもう・・・狂介。」
有紀は狂介の正面に立って両手を頬に当てた。
「有紀?」
思いがけない有紀の行動に狂介は驚く。
「僕だってね・・・寂しかったんだよ。」
「有紀・・・」
「毎日狂介に会いたいって思ってたんだよ。」
「ハイ。」
「それなのに狂介だけあんなに暴れてズルイよ。」
「ゴメンなさい。」
有紀に怒られて狂介はすっかりヘコんでしまった。
「だから、今夜は・・・・ね!」
「!!」
有紀の意味ありげな台詞の真意に気付いた狂介は歓喜に満ち溢れそのまま有紀に抱きついた。
「有紀!!やっぱり有紀は俺の事分ってるぜ。愛してるよ!!」
「ちょ、狂介ってば!!」
狂介に抱きしめられる有紀、しかし本気で嫌がってはいない。
「狂介は甘えん坊さんなんだから。」
「はい、ぼくは甘えん坊です!!」
男はニートだった。働いたら負けと思っていた。彼は意味も無く外を歩いていた。そして彼は見た。
学校の制服と思わしきブレザーを着た少年とトレーナーとカーゴパンツ姿の少年が抱き合ってるのを。
後者の少年は小柄な体格と幼さが残る顔立ちから女の子にも見える。
「・・・・まさかね。」
根拠が無いため彼はそれを即座に否定する。そして彼はこう結論付けた。
「・・・・ホモ?」
「誰がホモじゃぁぁぁーーーーーーー!!!!!!!」
制服姿の少年の鉄拳が鳩尾にめり込む。痛みを感じる前に体が地面から離れていく浮遊感に包まれる。
視界から地面が遠のいていく。雲が自分の足元に広がっている。地球の青さが良くわかる。
そして彼は星になった。
- 471 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/07/22(土) 17:48:43 ID:h5bYUnf2
- すいません、残りの部分を保存し忘れてしまいました。
何とか書き直して投下します。申し訳ないです。
>>456
確かにその通りです。ご指摘ありがとうございます。
- 472 :名無しさん@ピンキー :2006/07/22(土) 19:25:35 ID:Z2enXPGM
- >>460-464
Thanks.
今度探してくる。
- 473 :名無しさん@ピンキー :2006/07/22(土) 20:26:45 ID:xnfie6lM
- GJ!!!!
狂介バカだw
- 474 :名無しさん@ピンキー :2006/07/23(日) 19:23:31 ID:TJxEsfL1
- gj!!!
- 475 :名無しさん@ピンキー :2006/07/25(火) 19:02:53 ID:2aGy/Dv3
- 灯り◆eQLTg8kqiwさんの続きが読みたい、キーリたんはどうしたのかな?
・・・と書いてみる………
- 476 :名無しのアヒル ◆cMbDanmESk :2006/07/25(火) 19:29:38 ID:fu8tPigi
- >>実験屋様
GJです!久々の狂介シリーズ、登場人物紹介含め、実にバカバカしいですね。狂介ヤバすぎwww
それにしても升沢すごいですな。勤め始めて大して経ってない筈なのに脱サラして店オープンって。
でも「マリファナ」はないだろw 最後の脈絡のないニートの件にも笑わせてもらいました。
>>登場人物紹介
ヤムチャは噛ませ犬ですからね。女が苦手という初期設定を覚えてる人もほとんどいなさそうだし。
ヤムチャ以外も突っ込みどころ満載ですな。特に萌の「正樹の”身体を張った説得”」のところが。
葵の相手はベタですが狂介と有紀の息子なんてどうでしょう。
>>475
同じく。自分も気になってたので・・。
- 477 :名無しさん@ピンキー :2006/07/26(水) 01:47:02 ID:Qm2sXsXm
- 実験屋さんGJです
狂介アホすぎて笑いました
あとマリファナは全ての麻薬(煙草含む)の中で一番健康に良いみたいですよ
一キロ1000円と財布にも健康的ですし
あと初めての上に携帯からですが投下してもいいですか?
- 478 :名無しさん@ピンキー :2006/07/26(水) 02:02:29 ID:K1Aml/Pu
- >>477
ttp://www.city.yokohama.jp/me/kenkou/eiken/health_inf/marijuana1.htm
これを読む限り、健康に良いなんて思えんが。
健康に良いというソースを是非示してもらいたい。
それと、タバコは合法、大麻は違法。
よその国の事は知らんが、それが日本のルール。
禁制品を称揚するのは、軽率の謗りを免れん。
- 479 :名無しさん@ピンキー :2006/07/26(水) 02:12:07 ID:Qm2sXsXm
- すみません、タバコに比べて健康的というだけです
どうも書き足りなくて申し訳ありません
因みにソースは「アブないお薬」という本です
禁制品を奨める発信により空気を悪くしちゃったみたいなので去ります
どうもすみませんでした
- 480 :名無しさん@ピンキー :2006/07/27(木) 23:03:38 ID:YQjf/9Mi
- ( ・∀)人(∀・ )通報しますた!
というのは嘘だけどやってそうだなぁ479
- 481 :1/4 :2006/07/28(金) 23:26:48 ID:Va7LPDb1
- まあ夏厨と思われてやむなしなことを聞くのだけれど、
たとえばこんなんはこのスレ向け?
↓
おれ――じゃなくて、ぼくがあの人の従者になったのは十四の春。まだ少し肌
寒い日だった。
聖アレゥ教会所属聖騎士団。アレクースト大陸全土をまもる、至強の守護騎士
団。
領地も持たぬ弱小貴族の末弟だというぼくは、捨てるに近い形で騎士団に預け
られたと知ったのは十の頃。ようやく、腰につるした剣を鞘から抜けるだけの筋
力がついた頃。だからかぼくは両親の顔も知らず、どこにいるかも不明確。
悲しい悲しい孤児は、せめて立身出世をして実家を見返そうと心に決め。足に
血豆、手に剣ダコをつぶしての修行生活。
それをアラゥ神様が見ていたかは知らないが、ぼくは十二の時にファイエス教
国首都防衛部隊の一つに小姓として預けられ。隠居してから語りたいような苦労
や、語りたくないような苦労を経て、ぼくはとうとう従者として先輩騎士に従く
こととなったのだ。
ウワハハハ、これで先輩騎士から帯剣許可さえ降りれば、剣を吊ったまま町中
を歩けるぜ。
しかし、その人が誰なのか。第一、従者を任される場合。親戚筋から、という
のが妥当な筋立てで。親の顔すら知らぬぼくは、従者にしてくれそうな先輩騎士
に心当たりなどなかった。一体どんな人だろう
- 482 :2/4 :2006/07/28(金) 23:28:11 ID:Va7LPDb1
- おれ――じゃなくて、ぼくがあの人の従者になったのは十四の春。まだ少し肌
寒い日だった。
聖アレゥ教会所属聖騎士団。アレクースト大陸全土をまもる、至強の守護騎士
団。
領地も持たぬ弱小貴族の末弟だというぼくは、捨てるに近い形で騎士団に預け
られたと知ったのは十の頃。ようやく、腰につるした剣を鞘から抜けるだけの筋
力がついた頃。だからかぼくは両親の顔も知らず、どこにいるかも不明確。
悲しい悲しい孤児は、せめて立身出世をして実家を見返そうと心に決め。足に
血豆、手に剣ダコをつぶしての修行生活。
それをアラゥ神様が見ていたかは知らないが、ぼくは十二の時にファイエス教
国首都防衛部隊の一つに小姓として預けられ。隠居してから語りたいような苦労
や、語りたくないような苦労を経て、ぼくはとうとう従者として先輩騎士に従く
こととなったのだ。
ウワハハハ、これで先輩騎士から帯剣許可さえ降りれば、剣を吊ったまま町中
を歩けるぜ。
しかし、その人が誰なのか。第一、従者を任される場合。親戚筋から、という
のが妥当な筋立てで。親の顔すら知らぬぼくは、従者にしてくれそうな先輩騎士
に心当たりなどなかった。一体どんな人だろう
……その答えを聞いて自分の人生を呪いたくなった。
毎年、聖都で行われるトーナメントの準優勝者。
小姓だとか、従者だとかの壁などみず、実力だけで騎士号を与えられた。
嫌になる、ああまったく。
腕っ節が強いだけで騎士になり。しかも眉目秀麗、女にすら嫉妬される美しさ。
やんなるね。天は二物を与えず、ってのは嘘なのかよ、不公平しないでくれよア
レゥ神様よぉ。しかも
「馬にはおまえが乗れ」
遠征からの帰り道、与えられた屋敷へと戻る最中。
歩き詰めで前後不覚に陥りかけたぼくに、そんなことを提案してきたのだ。
無論、従者の身分でそんなことができる訳なく。「大丈夫です」と風前の灯火
すら消せない語力でいうと。
「いや、そうじゃなくて。歩くのも鍛錬の内だが、姫から頂いたこの駿馬は、背
中に重さを感じていたほうが歩きやすいそうだ。だから、おまえが重石になって
くれないか」
なんて爽やかに言いやがる――じゃない。
なんて、恐悦至極な言葉を言われ。
ただ、その言葉通りに馬に乗れば。怠け者な従者と見られてしまう可能性も、
無きにしもあらず。立身出世を腹に抱えた身としては
「では、わたしも」としか答えようがない
- 483 :2/4 :2006/07/28(金) 23:29:51 ID:Va7LPDb1
- しかし、そう言うと。
「そうか」と楽しげに笑う。
二人と一頭並んで屋敷まで帰った。
腕は強く、美麗な容貌、ちょっと文字に弱いが、それに性格も爽やか過ぎるが
悪くない。仕えるにたる人物といってもいい。
ぼくは、そんな先輩騎士――カリス・ホークの元で、小さな戦すら起こらない
平和な日常を過ごしていた。
そんなある日。
朝食前の日課である、庭での素振りをおこない。刃が削られて丸くなった訓練
用の剣で、三本ほど試合い。ぼくがボロ雑巾になった頃ようやく、
「汗を流したら朝食にしよう」となる。
いつもとなんら変わらない朝――しかし、カリス様が落とされた長い金髪をま
とめるための、地味だが高そうな髪留めを拾い。
なくては汗を流した後に困るであろうと思い、それを届けるため。屋敷の室内
に設けられた、カリス様用の水浴び場へ向かい。
木造の扉を開け――目を疑った。
「きゃっ」
短い悲鳴。
流れる光のような金の髪。
体を動かした後だからだろうか、白磁のような肌には朱みが差し、ほんのり白
桃色に染まっている。
使い込まれた剣のように、均整が取れ研ぎ澄まされた筋肉だが。女性的なライ
ンを崩すことなく引き締められていて、本来なら小振りと言うべきツンとした乳
房も、実際の大きさよりも強調されてみえる――胸?
「へ……?」
おかしい。ぼくは、あるべき物を探すため視線を走らせる。
「ない……」
髪と同色の薄い陰毛に隠されているわけはなく、脚は肩幅に開かれているため
挟んで隠すことなどできるわけはない。
つまり
「おんな」
嵐のような腕力で首を掴まれ、引き寄せられる。薄い着衣がありがたい、服越
しに感じる胸の弾力に背中がよろこぶ。
「みたな」耳元で脅迫。しかし迫力はない。
ぼくが頷くと、カリス様は小さく舌打ちし。
「……頼みがある」
「頼み?」
「黙っていてくれないか、このことを」抱きしめが強くなり、女性的な臭いが微
かに鼻腔をくすぐる。
「おまえが、教会からの見張りとして私についているのは知っている」
「……ん?」
「だが、無理を承知で頼みたい。このことを教会へは報告しないでくれ。頼む」
なるほど。
ぼくはスパイだと思われていたわけか。
そんな馬鹿なと否定することもできたが、ぼくは
- 484 :3/4 :2006/07/28(金) 23:31:15 ID:Va7LPDb1
- 「いいですよ――」
「本当かっ」
「――ただし。条件があるのですが」
ぼくの言葉にもカリス様は安心しきった様子で「なんだ?」と訊いた。笑顔な
呼気が耳にくすぐったい。
ぼくはニヤリと邪悪な笑いを浮かべて、
「女である証拠を確かめさせてください」
なんて冗談のつもりで言ったのだが。
カリス様はまじめすぎる性格が災いしてか、ぼくの冗談にも、真面目に。
「いいだろう」
そういって腕を解いてくれ、直立不動のまま、顔だけはぼくから逸らし。
「は、はやくみろっ」
そう言われたので、道に金貨でも転がっていたように、遠慮なくみようとした
が、下からのぞき込むのでは見にくいため。
「寝転がって、脚を開いてください」言うと。
「調子に乗るなっ」と怒鳴ったが。
ぼくがバラすと言うだけで黙り、一瞬視線が下へと向けられた後。
ゆっくりと頷いた。
「……少しだけだからな」
腰を降ろし、仰向けに寝る。それだけの動きでも様になる。無駄な脂肪などつ
いていない脚は、のろのろと開かれていく。
ソコには確かに男性の象徴はなく、綺麗な秘唇が深い溝を刻んでいるだけ。
使用された形跡のない肉土手。指で触れたい衝動を押さえながらも、ぼくは
「なんで、こんな」喉に唾が絡まる「男装なんてことしてるんです? 余所の宗
教なら、それだけで死罪ですよ。虚偽は」
カリス様は「答える義務はない」とそっぽを向く。それが少し愛らしかった。
ぼくは答えやすくするために、優しくカリス様のクレバスを指の腹で撫でてさ
しあげた。
「――アっ」かすれるような呻き。さわった感触は弾力に富んでいて、顔を埋め
たくなってしまう。
「や、やめろッ……そこは、ン――まだ、汚いから」
「汚いから、なんですか?」ぼくは優しく微笑み、顔を秘唇へと近づける。鼻い
っぱいにカリス様の臭いを吸い込み、重ねるようにして、キスする。
「やめっ……やめろ。ダメだ、そこはダメなんだ」
身をよじらせて必死に喘ぐカリス様に「なら、答えてください。こんなに美し
いのに、なぜ男装などしているのか」
「そっ、それは……」
まだ言い淀む。
「言わない限り、やめませんよ」
ぼくは僅かに苛立ち、舌先で割れ目をなぞってさしあげた。
カリス様の体が大きく揺れる。
- 485 :4/4 :2006/07/28(金) 23:34:03 ID:Va7LPDb1
- 顔を両手で隠し、いやいやと首を振っている。裸になっただけでこうも性格が
変わるとは……ちょっと楽しい、かも。
謹厳実直で爽やかなる騎士、カリス・ホーク。
乙女のようなカリス・ホーク嬢。
結びつかないイメージ、それらを結びつけるのは、
「兄様たちに、実家の兄様たちの鼻をあかすにはこうする他」という思い。
「騎士として出世して、お兄さんたちに認められたい、ってことですか」
なんだ、ぼくと同じじゃないか。
ぼくはいじわるをやめると、体を離し。水浴び場から退室しようとした。
しかし、
「まってくれ」
呼び止められた。「なんですか。食事の用意を手伝わないと、ニナに叱られるのは僕なんですけど」
「いや、その……」カリス様がごくりと唾を飲むのが、ハッキリと聞こえた。
「このまま、その、しないで、いいのか」愛眼するような瞳――違う、そうじゃ
ないだろ。ぼくはふっと笑う。
「ぼくは出世するために騎士団にはいったんです。だから、貴方にはしっかりし
ていてもらわなければならない」
突然の話題転換にきょとんとするカリス様。
「ですから。姦す、裸になれ。くらいのことを言ってみてくださいよ」
ぼくは笑った。
途中重複してたり、一時間程度で文章化したから荒いけど、
気にしないでくれたらありがたいが。
こんなんはここでいいんだっけ?>従者×男装の麗人
- 486 :名無しさん@ピンキー :2006/07/29(土) 00:26:04 ID:+K6I4roy
- GJ
ここでいいですOKです
続きも期待してまっす
- 487 :名無しさん@ピンキー :2006/07/30(日) 23:57:12 ID:c5IGSeqW
- GJ!!タノシミデツ
- 488 :名無しさん@ピンキー :2006/07/31(月) 08:50:45 ID:i4+XirYw
- 竜司と瑞希こないかな・・・
まとめサイトで読んで萌え再燃した。
- 489 :名無しさん@ピンキー :2006/08/01(火) 19:31:25 ID:P2rbXNZ1
- ↑最後の投下から半年ぐらい過ぎてるよね。
ずーっと待ってるんだけどさ・・。
- 490 :名無しさん@ピンキー :2006/08/02(水) 01:38:20 ID:Xb1JPRe0
- ↑お前らだけじゃない俺も待ってる
しかしこのスレには多数のネ申が降臨し数々の新作に萌え、ハアハアし、
しかも待たされプレイまでありで全く贅沢な良スレだよホント
>481
GJ!ハアハアしますた(*´д`)今後もヨロシゥー
- 491 :名無しさん@ピンキー :2006/08/02(水) 11:29:38 ID:b02I2n85
- じらしプレイなのか?
- 492 :名無しさん@ピンキー :2006/08/02(水) 12:43:55 ID:3TceZ3ap
- >>486-487>>490
金曜には投下に来ます。
(´・ω・`)ほんまかいな、俺
- 493 :名無しさん@ピンキー :2006/08/02(水) 18:19:55 ID:l2lFovim
- 居はするが、忙しくて書けないノシ
- 494 :名無しさん@ピンキー :2006/08/02(水) 18:59:36 ID:Bn72nVw0
- >>490
書き手の皆さんもそれらとはまた別種のプレイを堪能なさってる希ガス
- 495 :名無しさん@ピンキー :2006/08/04(金) 11:27:01 ID:tjSd+z4a
- 一応、ほしゅあげ
- 496 :名無しさん@ピンキー :2006/08/05(土) 00:00:03 ID:DGNpJ0gQ
- >>495
きみとは気が合いそうだw
>>486からの続きABCD*4-1の15分割
続きだけならC以降のみで、おk
んで投下
- 497 :Apart1/4(1/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:01:40 ID:DGNpJ0gQ
- 427年前、大陸中の大工を集めて建てられた、この国、この大陸の象徴であ
る大聖堂。
聖都の中央に位置するこの聖堂は、贅を尽くし、当時考えうる最高の技術が使
われているおかげで。今も朽ちることなく、その偉様を誇っている。
側を通り過ぎていった、観光客の一団の言葉に。184年前に建て直されたん
じゃなかったっけ? そんな疑問を漠然と浮かべた。
ぼくは正門前広場のベンチに、一人腰掛けている。
騎士団に預けられる前に居た修道院では、耳が腐るほど聞かされたけれど。覚
える気のないことを覚えているのは無理なわけで。今となってはあの頃のことも、
まだ5年しか経っていないというのに、思い出すことも少なくなってきている。
それが良いことなのかは分からないが、日々が充実しているからだから致し方
ない。出世した暁には錦の一つでも送ろう。
「すまない。待たせたな」
歯切れの良い言葉にはっとして、視線を上げる。ぼくは立ち上がり、おそらく
だらしなくなっていたであろう顔を引き締め。3歳年上の俊英騎士に向き合い。
「すみません」と、主たる騎士へ深く頭を下げた。
主から声をかけられてようやく、その存在に気づくなど。従者として、あって
はならないこと。
けれど、寛大なる美麗の騎士は、まるで花に話しかけるような声色で。
「謝ることじゃないさ。私が遅れてしまったのがいけないんだ、だから顔をあげ
てくれないか」くすっとした呼気「話にくいからさ」
「すみません」その言葉に甘え、顔を上げた。
中にチェインメイルを鎧っているとは思えない痩躯が纏う、白と赤が目に鮮や
かな法衣を模した聖騎士団衣。
法衣と違い、布地はゆったりとしておらず、体型が露わになるほど身体にフィ
ットしている。それは教会内で、騎士団がもっとも下位に座しているためである。
つまり、上位の者はゆったりとしすぎた服を着ているということなのだが。一度
見た教皇猊下は、布お化けのようで、歳もいっているせいで歩くのすら大変そう
に見えた。だから、というわけではないだろうが。
カリス様は、団衣を動きやすいと評価しているが。ぼくは、団衣は無駄を省き
すぎていると思う。
鎧として役立つのは、中に纏ったチェインメイル。肘までの鉄甲。金属板が動
きの邪魔にならぬよう打ち付けられたブーツくらい。
- 498 :Apart2/4(2/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:02:37 ID:DGNpJ0gQ
- 長年敵対しているロンギとの戦では、どんな重層な鎧でも意味をなさないため。
無駄な重さを払った結果だそうだ。
いつかはこれを纏いたいが、まだ先は長そうだ。と考えていると。
「あまり、ジロジロ見るな」カリス様は少し声をうわづらせて言った「日も高い
うちから」と。
その言葉と、照れに緩められた相好は、聖騎士姿に似合わぬほど、あいらしい
が。こんな姿をほかの騎士に見咎められては、困るので。ぼくはこほんと咳をし
た。
「それより、聞かせていただけるなら。ハミルバーグ隊長殿からの用件を聞かせ
ていただきたいのですが」
「ン、ああそうだな、歩きながら話そう」そういって歩み始めたこそばがゆい程
甘い香りに惹かれ、ぼくも歩き始める。
カリス様の歩きかたは静かで、陽炎がゆらめくより自然。ただ、ブーツの踵が
石畳を蹴る音、鎖が擦れる音。当人は気にならないのかもしれないが、斜め二歩
後ろを歩く身としては、とても気になってしまう音だ。
「不敵にも、ゴブリンが郊外の洞窟に巣をつくったらしい。それを討伐する」
「それだけ、ですか」
「ああ、そうだが」
平然と言ってのけるのは凄いと思うが、
「数は」
「十匹までは確認されているそうだ」
「……まさか、それをおひとりで?」
「ああ、そうだ」
そんなっ。と声を出しそうになったがこらえ。直ぐに理解した。
「他の騎士たちは、ゴブリン退治なんて名誉にもならないことはしたくない。け
れど誰かがしなければならない――だから、ですか」
この言葉にカリス様は声なく笑い、
「ああ、まだ、信用されていないようだ」
「しかし、」ぼくがまだ汚い言葉を吐こうとするのを、カリス様は身を翻し、唇
に人差し指をあて。
「しかし、私は聖騎士だ。民のために剣を取る、それだけのこと。わざわざ複雑
化して考える必要はないさ。正しき行いの為に剣を振るっていれば、いつかは認
められる。違う?」
こともなげに言う。
まったく、そんな自信たっぷりに言われては反論のしようもないじゃないか。
<2>
馬を跳ばして四半日、リグリス公国への街道を一本逸れ、なんとか道の様相を
呈している獣道を分け入り。イニアルクト山の麓、焦げ茶色の断面にぽっかりと
開いた小さな洞穴。以前は灰色熊が住んでいたらしいが、今はゴブリンの巣穴に
なっている。
- 499 :Apart3/4(3/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:03:19 ID:kGv3GT0m
- 灰色熊は腹が空かない限り人を襲わず。鹿や野兎といった動物に、近くに小魚
が泳ぐ清流があり。餌には不自由しないため、そんなことはなかったのだが。
腹が空いていなくとも、金品目当てに人を襲うゴブリンが住み着いては、街を
行き来する行商人や旅人にとって重大な危険になりかねない。
それにゴブリンの繁殖力は人間のそれ以上に高く、半年も放っておけば、倍に
まで増えている。それにゴブリンの牝は稀少であり、ゴブリンは繁殖する場合。
通常、エルフやドワーフといった他の妖精族、そして人間の女性を襲い孕ませる。
「ということらしいが、実際に人間の女がゴブリンを出産した所を目撃した者は
いない」
カリス様は装備を確認しながら、そんなことをぼくに教えてくださり。
「おそらく。それも関係してるのだろうな。女みたいな私が、本当に男なのかを」
そういってくすりと笑い「もしかしたらバレているのかもな」
そうだとしたら冗談にもならないが、そうではない自信があるからだろう。カ
リス様の落ち着いた顔つきに、ぼくはでかかった言葉を引っ込める。
団衣の帯から長剣と短剣を吊して、ボウガンと矢筒を背負い。鉄甲を締め直す。
ぼくはそれを手伝いながらも、見張りとして立っていると思わしき、ゴブリンへ
と視線をちらちらと向けていた。
夕刻だからだろうか、見張りのゴブリンは眠たげにあくびを繰り返している。
その赤色の肌は、油でぬらぬらと光っており。暇そうに振り回している短剣は、
血と鉄錆のせいで刃が土色になっている。あれでは切れ味もないだろうが、ゴブ
リンが使う剣は大工の鋸のように、刃がギザギザになっていて、毒が塗られてい
るという。
ただぼろぼろなだけかもしれないが、それで切られれば痛いでは済まないだろ
う。なにより不潔な刃に塗られた毒が肉を裂けば、そこから肉が腐る。
そんな相手とカリス様が戦うと思えば、怖気がする。
それが顔に出ていたのか、
「ボウガンは使えたな?」
「……へ?」虚を突かれ、間抜け返事しかできないぼくに。カリス様は背負って
いた矢筒とボウガンを握らせ。
「よくよく考えれば、狭所戦闘にこんな物は要らなかった」
「は。しかし」
「飛び出してきたゴブリンを、これで掃討してほしい。できるか」と聞かれれば、
できます、としか答えようがないわけで。
それにカリス様の役にたてるのなら、その方が良いに決まってる。
- 500 :Apart4/4(4/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:04:31 ID:kGv3GT0m
- 「分かりました」
「うん、頼む」ぼくの答えに満足してくれたのか、カリス様は優しい笑顔を浮か
べ。ぼくの頭に手をおくて、3往復ほど頭を撫でてくださり後。
「祝福をくれないか、ゴブリンといえど数は多い、勝利のための祝福を」
冷たく堅い鉄甲の感触が頬をなぞる。
ぼくは周りに誰もいないというのに、一応確認してから。
一段背の高いカリス様の袖を掴んで引き留めると。んっと、小さくつま先立ち。
その頬にキスをした。
チェインメイルの鉄と油の臭い、森の空気、カリス様の香りが混ざりあってぼ
くの鼻腔を刺激する。
触れた頬の感触に、ぼくの唇はカリス様の唇と交わりたいと素直な欲求をおぼ
えるが。カリス様は離れ、背を向けてしまわれると。
「では、言ってくるよ」
その横顔がわずかな朱に染まっていたのは、おそらくぼくの思い違いだろうが、
その背へ
「続きは帰ってから」
カリス様は小さく手を振った
<3>
本当は側にいたいのだけれど、二人対約十匹より、カリス様一人対約十匹の方
が何事もなく終わる。
ぼくの実力なんて、そんな物。枷にこそなれ、助けにはなれない。
たった三歳の差しかないのに、なんでこんな違いがあるんだろうか
単純に努力と素質と実戦経験の差でしかないのは分かっている。だけど、三年
後のぼくが、カリス様のようになれているかは――自信がない。
そんな時間もかけず、カリス様は戻ってきた。
返り血で白い団衣が汚れこそすれ、爽やかな笑顔で手を振っている、カリス様
自身は怪我もないようだと、安心。
ただ、そういう姿を見せられるから、実力の差を感じてしまうわけで。
「どうした? 疲れたか」
「……いえ」
ぼくはカリス様に背を向け、さっさとこの場から去りたくなった。
「おい」カリス様の声が呼び止めてくる。
「もう日が暮れます、今日中に報告に行かれた方がよろしいかと」急いで言うと。
「まあ、そうか」となぜか残念そうに呟いた。
馬は、鳴き声で気づかれては困ると、街道の方に繋いでいたので、そちらへと
足を進める。歩きやすいように道を踏み均しながら。
少しの間、無言で歩き。木々の隙間から街道が見えるくらいまで来て、
「うう……」カリス様が苦しげに呻き「イタタタタ」と言った。
「カリス様」
振り返る。カリス様が怪我をしていたのに、気づかなかったなんて。ぼくは――
「だ、駄目かもしれな……うぅ」
- 501 :Bpart1/4(5/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:12:01 ID:kGv3GT0m
- カリス様は片膝をついて胸を押さえて苦しげに呻いている。まさか斬られたの
だろうか、そんなバカな、カリス様がゴブリン如きに遅れをとるなんて。
「傷はどこですか、どこを斬られたんですか」駆け寄り、訊くと。
「分からない。身体全体が熱く火照っていて……ああ、イタタタタ」
分からないほど、身体が熱くなっているということか。そうだとすれば、傷口
は深いのかもしれない。馬に積んである応急処置道具でなんとかなるだろうか、
それより馬を走らせて医者のところへ行った方が。
「…………」
カリス様がぼくの顔を見ていた。はっとする、暗い顔をしていては駄目だと。
顔に無理矢理笑顔を張り付かせ、カリス様の手に手を重ね。
「だいじょうぶです」ぼくの手をカリス様が握り返してくる「馬でゆけば、お医
者様の元へはすぐに。立てますか?」
「いや、肩をかしてくれるか」
「はい」
背が一段低いぼくがカリス様に肩をかしている姿は、不格好だけれど気にして
いる場合ではない。
「うう……」こんなに弱ったカリス様なんて初めてみた、「フフフ」
「――ン?」今、笑ったような?
いや、そんなバカな。怪我をしてるのに笑い出すなんて、そんな、さっきはあ
んなに苦しそうにしてたじゃないか。だから気のせいだ。
とは、思いながらも。気になり、側にあるカリス様の顔を見ようと、顔をそち
らへ向ける――あ。
ぼくが顔を覗き込もうとするのが、分かっていたのだろう。カリス様は顔を寄
せてくると、強引なのにとても優しい感じで、唇を重ねてきた。
「む…………んぅ……」
半年前からすれば、上手くなり過ぎなキス。
最初の内は、まだぼくがリードできていたのに、あっさりリードを奪われたの
は。初めから一週間も経たない時だったろうか。
比喩じゃなく膝が震えているのは、キスされているからということもあるが、
服の上から下腹部をまさぐられているからだ。
鋼色の鉄に覆われた指先が、ぼくの股間の形を確かめるように、何度も何度も
擦ってくる。外だからか、カリス様の手はいつもより激しくぼくを求めてくる。
カリス様の熱い吐息が耳に絡まるように、
「いいか」と優しく問ってくる。
- 502 :Bpart2/4(6/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:13:01 ID:kGv3GT0m
- それはまるで、銀冷の刃で頬を撫でられているようで、背筋が緊張する。銀の
刃は下手に動けば斬ると暗に言っている、素直に従えと。
「で、ですが」緊張に言葉が強ばる「誰かにみられたら」
「恥ずかしい?」
「そうじゃなく」いい言葉が見つからない、えーと「お、男同士に、男色趣味に
見られますよ、その姿じゃ」
そういうと、空間が一瞬停止したように感じた。
カリス様の女性としては太い首がククッと鳴り。次の瞬間、何かのタカが外れ
たように、大きく笑いだした。
突然のことにぼくが驚いていると
「そりゃいいっ」ハハハッと笑い続け、ひとしきり笑うと。後ろからぎゅっと抱
きしめられ。
「いいさ」
「よくないですよ」
「その時は、そうだな。私が美少年しか愛せないんだ、とでも言い訳しよう」
「それは、なんの解決にもな――ヒッ……くぅ」耳に冷たい感触「だから、そう
いうことは、その。家に帰ってからしましょう」
カリス様は「そうか」あむあむと耳たぶをかむのをやめ「こういうのは嫌いか」
「……強引にされるのが嫌いなだけです」そうだ、ようやく適当な言葉がでてき
た。ぼくは「やさしいカリス様が好きです、だから今みたいな強引なやり方は、
好きになれそうにありません」
それがぼくの率直な気持ちなんだ。
初めの時のように、乙女らしくしてほしいとは、今更思わない。リードを取ら
れるのも、その、なんだろう。気持ちよくなってきた、というと酷い誤解――い
や、実際気持ちいいわけだから誤解じゃないか……って、そうじゃなく。
こんな場所でしなくてもいいじゃないか、ということであり。なにより、
「それに、唐突すぎますし。だいたい、さっきの小芝居はなんなんですか」
そういって、カリス様から逃れた。
カリス様はそれを赦されず、ぼくの腕を掴み、引き寄せた。
ぶつかった衝撃で、チェインメイルが硬質な音を鳴らし。上体がバランスを失
う。カリス様が、腕をぼくの腰に廻してくれたことで、転ばずに済んだ。
「だ、だからこういうことは」
「肉を裂き、骨を断ち、血を浴びる」
前置きのない言葉に戸惑う。
「ゴブリン相手と言えど久しぶりの実戦だった、少し興奮してる」
カリス様の手が背を這い回る。
「だから、仕方ないだろう」
ズボンに突っ込んだシャツが引きあげられ、ひやっとした鉄の感触を感じる。
「や、……やめてください」
- 503 :Bpart3/4(7/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:13:52 ID:kGv3GT0m
- カリス様はじべたに膝をつき、紅を塗らずとも鮮やかな色をした唇が、ぼくの
乳首にキスをし。柔らかな舌先が唇を割って出てきて、からかうように乳首を弄
ぶ。
「だから、こういうことは――ッ!?」
緊張した乳首を噛まれ、ぴりっとした感触が背中へと突き抜ける。
「ふふふ」そんなぼくの反応が愉しいのか、カリス様は笑い。「いつも私がされ
ていることだ。分かったなら、今度からは加減してくれよ。それに」と言うと。
ちゅばっ、ぢゅびびびと音がなるほど乳首に吸いつき。強い吸う力と、音の激
しさに。驚き、膝がガクッと崩れそうになったが。倒れることすら赦されず。
上目づかいに見上げてくる、カリス様の目尻が、にやっと下げられ。
「吸われる方が好きだな、可愛くて」
「……」
「おっぱい出してやれないのが悔しいくらいにな」
「…………そう簡単に、母乳なんて出ませんよ」
カリス様は笑顔のまま「ま、そうだな」と頷かれると、もう一度乳首に唇を重
ねてから。ゆっくりと地面に腰を降ろし。ぼくのズボンのベルトに手をかけ、な
んの引っかかりもなく外してしまうと、下着ごと一気にずり降ろされてしまった。
「嫌だ、と。言っていたはずだな」
「…………ええ」
「その割に」ククッと喉を鳴らし「格好よくしてるじゃないか」
「…………知りませんよ」
生ぬるい外気の中露わにされた股間にあるソレは、素直にも大きくなってしま
っていた。…………もうちょっと、意地ってのを見せてくれよ。
カリス様は微笑みながら、
「辛そうだな、」誰のせいだと、ぼくは思ったが。喉の奥に追い返した「仕方な
い、手早く済ませるか」そう言って立ち上がった。
ぼくが警戒して、後ずさったが。瞬発力の違いか、はたまた予測されていただ
けか。後ろに回り込まれ。
腕を絡め取られ、後ろ手に押さえ込まれ。振り回されるように、強制的に街道
の方を向かされると。
「だ、だだだ、誰かに見られたらっ」
「なにも、そんなに慌てなくとも。誰も森の中なんて覗かないさ。鳴き声でもあ
げない限りはね」
「でも――」
隣にあるカリス様の顔は、さっきからと同じくずっと笑顔で。歯で鉄甲の締め
紐を外していき、中指を噛んで一気引き抜くと。鉄甲は地面へ落ち、鉄がぶつか
る音がした。
素手になった手でぼくの陰茎を掴むと、きゅっと握りしめ。
「イきたくなったら、いつでもいいからな」
- 504 :Bpart4/4(8/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:14:41 ID:kGv3GT0m
- ごしごしと擦り始めた。
女性にしては力強い手が、この半年で随分とこなれた動きで激しくしてくる。
街道を間断なく人が流れていく。商いに使われる主街道のためだろう、人の波
は途切れず。ぼくはそんな場所から、十歩離れているかという所で、こんなこと
をされている。そう考えると、恥ずかしさで身体が熱くなっていく。それが見透
かしているのだろう、カリス様が意地悪な声音で。
「もう少し、街道に近づいたほうがいいかな」
ぼくが首を振って拒否すると、陰茎の先端の切れ込みを、親指でくにゅっと押
し潰し。
「見てもらいたいんじゃないのか。いつもよりも、大きくなってる」
「……ぅ」
「それに、おねだり汁だけで、もうベトベトだ。今なにを考えてる? ん?」
耳をくすぐるカリス様の言葉に、ぼくはへっと必死に笑ってみせると。
「……後で、ガクガク言わせてやる」
「楽しみにしてるよ」
そういってぼくの頬にキスすると、一段速く手を動かし、強引にも一気に射精
までもっていこうとする。
「ひっ……や、あ」
結果として、カリス様の掌の上で踊らされているにすぎないぼくは。その意図
通りに――
「――くぅっ!!?」
たぎったマグマが、止めようもなく迸り。勢いよく先端が痛むほど、強く、大
量に吐き出した。その間もカリス様は手を動かし続け、全て吐き出させられた。
「いっぱい出たな」というカリス様の口元は笑っていたのかもしれないが、ぼく
は激しい虚脱感に襲われ、抱き止めてくれるカリス様に身を預けた。カリス様は
しっかりと受け入れてくれた。
「気持ちよかったか」
カリス様は訊くでもなしに言うと、ぼくの頭を優しく撫でてくれ。
「少し休んだら、帰ろう私たちの家へ」 ぼくは小さく頷いた。小さく、しかし、しっかりと。
リードされているくらいが丁度いいや、とかそんなことを考えながら。
- 505 :Cpart1/4(9/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:23:18 ID:kGv3GT0m
- <4>
「ですから。姦す、裸になれ。くらい言ってくださいよ」
ぼくは言った。
あくまで冗句のつもりだったのだが、カリス様はそうは思わなかったらしく。
捨てられそうな子犬のように悲しげな目でぼくを見上げ。
「そう言えば、してくれるのか?」悲壮なまでに真剣な表情でいった。
「い、一回だけなら」…………なにを言ってるんだ、ぼくは。まずい、まずいだ
ろ、この流れは。
カリス様の正体が女だと教会に知られても、ぼくは上手くやればなんのお咎め
もないだろうが。下手すれば。修道院で育ち、騎士団から預けられる形でカリス
様の元にいるぼくが。カリス様が聖騎士団、ひいては教会を欺いている事実を知
った上で、関係を持ってしまえば言い逃れはできない。最悪、共謀罪に問われる
かもしれない――だというのに。
立ち上がり、ぼくの手を掴んでみつめてくる。一段背の高い聖騎士――美女の
「姦す、から。裸になって、くれないか」という言葉に、我ながら情けなくなる
ほどあっさりと。
「…………はい」
言ってしまった。
カリス様がぺたんと座る前、ぼくは背を向けて服を脱ぐと。まだ体格の面でも
カリス様に見劣る、情けない身体が恥ずかしかったが。
背中や臀部に突き刺さる、カリス様の視線を感じて、ぼくは振り返った。
「あ……」
向き合うと、カリス様は小さく息を漏らした。それがいったい、どんな意味が
あるのかは分からないけれど。カリス様は上から下まで、その空色の瞳で見て。
ある一点で視線を止めると。
「手をどけてくれないか」と言ってきた「私は見せたんだから、見せなさい」女
性にしては堅い指を、ぼくの手の甲に重ねてくる。股間を隠す、両手の上に。
「……はい」
直ぐに返事はできたものの、どかすまでにぼくは四度ほど深呼吸を繰り返し、
何度も頭を振って。覚悟を決めると。考えていたよりも、あっさりと手を退かす
ことができた。
既に膨張している、ぼく自身はそそり立っていた。あと半歩近寄れば、カリス
様の顔に届くからだろうか、ぼくはいつもより興奮しているようだった。
カリス様は驚いたような、呆然としたような、そんな表情でぼくの陰茎を見つ
め。胸が上下するのが分かるほど、大きく息を繰り返し。
「触ってもいいか」消え入るような声でいった。
ぼくは無言で頷く。
カリス様は手を怖る怖る近づけていき、まるで触れたら壊れてしまうかのよう
な慎重さで触れた。
- 506 :Cpart2/4(10/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:24:09 ID:kGv3GT0m
- その感触に、陰茎は驚きびくんっと跳ね上がると。カリス様は目をぱちくりと
させて「痛かったか」と聞いてくれた。
ぼくがどう答えたものかと、考えていると。カリス様は陰茎と見つめあったま
ま。
「なぁ、これはどうすればいいんだ」
「どうしたらって、どういうことです?」
ぼくの質問にカリス様は即答した。
「これを、いれると、気持ちいい。というのは、きいたことがある。ただ」
「ただ?」
「その、やりかたをしらないんだ」
ぼくが「へ?」間抜けな声をあげると、カリス様は怒ったように、
「だって、誰も教えてくれなかったし。見たこともなかったんだ。仕方ないだろ」
と一気に言い「だから、だから教えてくれ。私がどうしたらいいのかを」
「そう言われても……」ぼくだって知らないですよ。とは言えなかった。知識が
ないわけじゃないし、カリス様がやりかたを誰かに訊きにいっても困る。だから、
ぼくは
「じゃあ、その、仰向けに寝てください。そう、さっきみたいに脚を開いて」
「こ、こうか」
何度見ても綺麗な土手は、まだぼくの涎が残っているのか、少し光ってみえた。
ひざまづくと、もう一度、カリス様の土手にキスをして。愛撫することにした。
「ひ、だ、だめだ。そこは」カリス様が声をあげ、ぼくの顔を押し返すと。両手
で土手を隠し「汚いから、舐めたらお腹壊す」
「いえ、でも、こうしなきゃ駄目」――らしい――「ですよ」以前聞いた話では。
なんでも、ここがとろとろになるまでは入れては駄目らしい。そうするには、どうしたらいいのか
は、全く聞かなかったが。
カリス様は真っ赤な顔でぼくを睨み付けると、掠れるような声で。
「洗ってからなら」と承諾してくれた「おまえが洗ってくれ」驚くような条件付
きで。
「……なんですって」
カリス様は、照れたように唇を尖らせながら。
「私はどこにいれたっ……入れるのか知らないから、おまえが洗ってくれ」
「そんな」
「めっ、命令だ」
…………なら、仕方ないか。
手桶で、水瓶から水を汲むと。仰向けになったままのカリス様の土手に、ちょ
ろちょろと水をかける。顔だけじゃなく、身体全体が熱しているのか。カリス様
は、
「ひゃっ」と可愛らしい悲鳴をあげると、ぼくの顔を見て、そっぽを向いてしま
った。
その行動に、ぼくは内心笑いそうになるのを堪えながら。手で石鹸を泡立て、
手を白いもこもこにすると。
- 507 :Cpart3/4(11/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:25:04 ID:kGv3GT0m
- 肉土手に手をあて、前から後ろ、尻の穴まで手を滑らせた。中指で割れ目をな
ぞり、尻穴の皺に触れては戻るを繰り返していると。
カリス様がそっぽを向いたまま、横目でこちらをチラチラ見ながら。
「も、もう少し、中の方も」と要求してきたので、応えることにした。
中指に力を加え、爪半分ほどまで割れ目の中を進ませると。カリス様の身体が
身じろぎ、
「もっと……もっと深くていい」
「……ふかく」
更に力を加える、肉厚の土手に隠されていた暖かな肉の感触を味わいながら、
滑らせていくと。ある一点で、指がなにかにはまり、力をこめていたせいで第二
間接ほどまで入っていってしまった。
「んぅっ」
その声に驚き、指を抜くと。「んあっ!?」カリス様が鳴いた。
今のはなんだったのだろうと、泡まみれの指先を見つめていると。カリス様が
腕を掴んで。
「いまのところ、念入りに」愛眼してきた。
先程と同じく、中指で割れ目をなぞっていき。穴の中へ中指を差し込む。
「ここを、洗えばいいんですか」と聞くと。
カリス様はちょっと苦しそうな表情で、小さく頷いた。
言われた通りに、その穴の中を何度も指を出入りさせて洗う。
きつく締めあげてくる肉壁は、無数のヒダのような物で覆われていて。入れて
いるのは指先だというのに。だんだんと気持ちよくなってきて、動きを速めてし
まう。
ただ広さ的に、もう何本か入れた方がぴっちりと締まって、良い感じだろうと
思い。
「もう一本入れますね」とカリス様へ言うと。
「……んっ、んぅ」なんだか苦しそうだが、嫌だとは言われなかったので、遠慮
なく。一本オマケして、二本の指を新たにねじ込むと。
「あアっ!!」カリス様の上半身が大きく跳ね、何事かと思うと、カリス様は、
荒く息しながら「きに、するな」といった。
まあ、正直愉しくなってきていたぼくは、言われずともそうするつもりで。三
本の指を何度も何度もその穴の中を出入りさせて、その感触を愉しんだ。
三本も入れると流石にキツく、動かすにも大変なので。水をかき分ける要領で、
肉襞をかき分け、指の付け根まで挿し込むと。抜くのは少し楽なので、一気に引
き抜く。
「んんっ、あっ、ああっ、うっ、ひっ、ひゃんっ」
今まで触ってきた何よりも、気持ちいいと思った。そうだ気持ちいいといえば、
とぼくは空いている手を伸ばし、手に収まるサイズの乳房を掴み。
「ひャっ!」
- 508 :Cpart4/4(12/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:26:05 ID:kGv3GT0m
- むにゅっと握りしめた。
柔らかいながら、吸い付いてくる肌と弾力が、揉みごたえを感じさせて。もう
一度、もう一度、手を動かさせる。こりこりに堅くなった乳首が、手を動かす度
に掌に触れて、少しくすぐったい。
この柔らかさはあれだろうか、この中に母乳が貯まっているからなのだろうか
と夢想し。単純な興味に駆られ、空いている乳首を吸った。
「くっ、くァああッ、ダメッ、そこはっ、あ」
強く吸っても、歯でこりこり弄んでも。やっぱり母乳は出てこない。残念だな。
なんだか気落ちして、身体を任せるようにカリス様の身体の上に倒れ込む。弾力
のある乳房に顔を埋め、ちゅるんっと指が何かに擦れながら、穴から抜けた。
その瞬間、
「ふぁっ」カリス様の瞳孔が大きき見開き「ああああぁぁぁ……あ、はぁ」と大
きく息を吐いた。いったいどうしたのだろうと、思っていると。カリス様の腕が
ぼくの背に廻され、ぎゅっと抱き絞めてきた。
ほんと、いったいなんなんだろうか。ただ、言えることは一つ。
「い、息が苦しいです」乳房に顔を押しつけられて、窒息死なんて笑い事にもな
らない。
「……ああ、すまない」
とろけた声でカリス様は、そう答えた。
大きく、ゆっくりと上下するカリス様の胸に身を預け。殆ど無意識に、ちゅぱ
ちゅぱと吸いながら。寝てしまいそうなほど、ゆったりとした時間を過ごした後。
カリス様はぼくの頭を撫でると。
「じゃあ、続きを頼む」とぼくから手を離した。
ぼくは小声で「はい」頷いた。
水で石鹸を洗い流し、綺麗になったカリス様の秘部に触れると。凄く熱くて、
驚いたが。カリス様が器用に上体をあげて、見ていたので、顔色を変えないよう
にして。ぼくは自分の陰茎を掴むと、先程の穴へと先端を差し向けたが。上手く
入らず、ごりごりと押しつけると。
「こらっ」とカリス様に叱られた「痛いぞ」
「す、すみません」謝りながらも、おっかしないなぁと考えていると。
カリス様の伸びやかで力強い指先が伸びてきて、自分の、親指と中指で割れ目
を開くと。「こんどはちゃんと、な」と優しく言ってくれた。
ぼくは「はい」と答え。カリス様御自身で開いている、鮮やかな色の秘唇と、
亀頭とをキスさせ。息を一つ飲み込んで。一気に押し込んだ。
「――あっ」
「くゥっ」
カリス様の中は、指を入れていた時よりも、キツくなっているように感じた
- 509 :Dpart1/3(13/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:31:55 ID:kGv3GT0m
- それに指よりも敏感になっている陰茎は、ダイレクトに肉襞のうねりを伝えて
きて。今にも飲み込まれてしまいそうだ。
「な、なんだこれ」思わずそんなことを言ってしまった。
視線を下げると、カリス様とぼくの接合部が見えて、なんとも言えない気持ち
になり。顔をあげると、カリス様は上体をあげたまま、苦しそうな表情で。
「もう少し、小さくはできないのか」なんて言ってきた。
もう一度視線を下げると。接合部から赤い物が伝い、床に落ちた。今のは、ま
さか、なにか中を傷つけてしまったのでは。と思っていると。
カリス様が少し和らいだ表情で。
「慌てるな」フフッと笑い「私の、初めてを奪った証だ」
笑っているが、血が出ているのだ。きっと、凄く痛いんだろうな。と考えて、
改めて赤い線を見ると、少し背筋が震えた。
そんな様子を見て、カリス様は笑みを深め。
「心配するな」
「でも、血が出てますし。痛いのでしょう? なら、止めた方が」と言うと。
まばたきの瞬間という、狙っても狙えない隙を突いて。カリス様はぼくの額を
指で弾くと。
驚くぼくの頭をそのまま掴んで引き寄せると、キスができてしまいそうなまで
に近い距離で。
「なら、痛みも忘れるほど気持ちよくしてくれ」首を小さく傾けると「無理か?」
そんな訊かれ方をされては、できないとは言えないわけで。ぼくが「分かりまし
た」と答えると。
カリス様は少し苦しげながら、微笑んでぼくの頭を撫でてくれた「いい子だ」
と。修道院にいた頃は、結構イタズラばかりやっていたので、褒められたことが
なかった。だから、頭を撫でられるってことがなくて。なんだか、少し気恥ずか
しかった。
その気恥ずかしさを隠すために、ぼくは。
「動かします」と言って、カリス様の返事を待たずに、腰を動かし始めた。
「ンッ……ああ」
どうやったらいいのか分からなかったが、つまるところ。
自慰する時になぜ気持ちいいのかと言えば、手で擦っているからであり。カリ
ス様をぼくの手に見立てて、こちらから動かせばいいのだろうと結論づけると、
後は簡単。というには、ほど遠かった。
カリス様の中で動かすのは、まるで絡みついたタコを剥がすより大変で。一回
目の往復で、危うく出しそうになったが。必死に堪え。とりあえず、あまり早く
出すのも格好悪いので、ゆっくり動かす。
しかし、それはそれで。
- 510 :Dpart2/3(14/15) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:34:04 ID:kGv3GT0m
- 「んっ、ああっ、ひゃんっ、」
突く度、動かす度に悲鳴をあげるカリス様。痛いのか、気持ちいいのか、痛気
持ちいいのか。それにあわせて顔をひくっ、ひくっと反応させ。たまに、深く突
き刺すと身を反らして、顔をゆがめた。
「ううっ、ああっ、あんっ」
一回りほど大きい、ぼくの主が。小さなぼくが、腰を動かす度にこんなに乱れ
る。それが愉しかったり、ちょっと照れたり。
「いやぁ、あは、ううっ、んあっ」
でも、あんまりそういう顔を見ているのも悪いなぁって思い。大好きなミルク
乳に顔を埋め、それに合わせて腰の動かし方も少し変えたが。体勢的にちょっと
辛くて、腰が痛くなったが。そんなことくらいは、限界まで高まっている射精感
を堪えるより、数段楽だ。
しかし、それもゆっくりと動かすことで、誤魔化していたのだが。
「へっ?」
腰をガシッと掴まれ、驚いてカリス様の顔を見ると。目が合い、ドキッとした。
カリス様はニマッと瞳を半月にゆがめ。ぼくが戸惑うのにも構わず。
「もう、限界で……さっ。すまないっ」絞り出すようにそう言うと。流石と言い
たくなるほど力強く、ぼくの腰に腰を打ちつけ。
先程までのぼく主体の動きでは考えられなかった、激しさでもってして腰を動
かす。
「へ――あ、うぁ……んっ、んんっ」
下から突き上げてくる、ぼくの意志を欲しいままに弄ぶ、暴風雨のような勢い
に。ぼくは抵抗することも、堪えることも、自制なんて効くわけもなく。
「くっ、まっ、まだか」と喘ぎながら、必死に何かを堪えるカリス様の声に応え
たかのように、ぼくの陰茎は熱いスペルマをカリス様の中へと、注ぎ込む。それ
と殆ど変わらないタイミングで、カリス様の身体が大きくエビ反り、ぼくを強く
抱き締め。ぼくの名前を呼んで、カリス様も果てた。
- 511 :Dpart3/3(15/15f) ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:35:48 ID:kGv3GT0m
- <5f>
「あれ」
今何か愉しい夢をみていたような気がして、ぼくは目を醒ます。
そこはなにも見えない暗闇の中で、暖かくて、少し息苦しい。空気を求めるよ
うにもがくと、かけられていたタオルケットが落ちていった。
窓から挿し込む月明かりは、暗闇から抜けたばかりの眼には辛かったが。少し
すると、馴れ。カリス様の腕の中にいることを確かめて、ほっとした。
今日、いや、既に昨日か。ゴブリン討伐の後、聖騎士団本所へ報告を入れ、屋
敷へ帰り。ニナがつくった料理を食べ。カリス様は風呂に、ぼくは水を浴びて汗
を流し。ニナが寝たのを確認して、ぼくはカリス様の部屋へと忍び込み、愛し合
った。
――うん。真夜中だっていうのに目覚めはスッキリしている。もう一度眠れるだ
ろうか。
目の前には、気のせいかこの半年で大きくなった乳房が二つ仲良くならび。視
線をあげると、カリス様の顔がある。
穏やかな表情で眠るカリス様に、思わず頬を緩め。カリス様を抱き返し、その
胸に顔を埋めて、左胸の乳首に吸い付くと甘い香水の香りをより強く感じた。
ぼくはカリス様に身を預けると、ゆっくりとまぶたを閉じた。
いつか、この人を守れるだけ強くなりたい。――そんなことを想いながら。
〜END
- 512 : ◆DppZDahiPc :2006/08/05(土) 00:41:45 ID:kGv3GT0m
- 本当ならCだけ投下すべきだったんでしょうが、Cを長くしてもダレるだけかと考え。
Cを本番としたら、ABは前戯と考えて挿入してみた。
( ゚Д゚)反省はしない。
- 513 :名無しさん@ピンキー :2006/08/05(土) 05:08:31 ID:AsIpML2r
- gj!
- 514 :名無しさん@ピンキー :2006/08/07(月) 15:59:31 ID:dnUrrVei
- ほしゅ
- 515 :名無しさん@ピンキー :2006/08/07(月) 20:03:55 ID:nl+AP68R
- GJ!
イイネイイネー!!
- 516 : ◆DfXlBG8vLc :2006/08/08(火) 00:15:49 ID:aPhkvpyW
- 普段はロムなんですが保守がてら投下します。しかも、エロはないです。
携帯からなので改行変かもしれません。ご容赦を。
- 517 : ◆DfXlBG8vLc :2006/08/08(火) 00:17:35 ID:aPhkvpyW
- ゆるりと主から漂う香りは白檀か麝香か、そういったことにはとんと疎いセシルには判別がつかなかったが、控えめで好ましい香りは以前から好きだった。
その香りを思い切り肺の隅々に行き渡るほど吸い込む事態が起こるとはまったくもって想像したこともなく、今現在、主であるフィリップの腕の中でセシルは気を失いそうになるのを気力でなんとか立っているにすぎない。
普段ならば身につけている防具の類も今はなく、薄い夜着を纏っているだけなのだ。それはフィリップも同じこと。
肌と肌が触れ合うとまではいかぬが、布越しにフィリップの鍛えられた逞しい胸や腕を感じては心臓が壊れたように高鳴り続ける。
それに今日のフィリップからはワインの香りがする。きっと酔っているのだろうとセシルは思った。
「あ、あの」
きつく胸に押しつけられていた体を思い切って動かしてみると、フィリップはことのほか簡単に腕の力を緩めてくれた。
「殿下は私に用事があると仰いました」
「ああ。そうだな」
「ですから、私は殿下を迎え入れたのです。このような夜分に訪ねてくるのですから、急を要するものだとばかり」
早く用件を言えとセシルは無礼にならぬようにフィリップを促す。
しかし、フィリップはセシルの肩口で綺麗に切り揃えられた髪を指で弄ぶばかりで、セシルは話を聞いているのかと訝りを込めてフィリップを見上げた。
- 518 : ◆DfXlBG8vLc :2006/08/08(火) 00:18:40 ID:aPhkvpyW
- 「バルコニーに出て月を眺めていた」
「……は?」
「お前の髪は月の光に似て淡く美しい。それを思い出したら顔が見たくなったのだ」
「つまり、殿下は」
「お前の顔を見に来た」
セシルは眩暈を感じ、それを振り払おうと首を左右に振った。
フィリップは国王と正妃の間にもうけられた三人の御子の末にあたる。王太子たる兄は清廉潔白な実に出来た人物であると聞いているし、神官長を務める姉は穏やかで慈しみ溢れる人だと聞いている。
その二人の兄姉に比べればフィリップは少しばかり我儘で剣術遊びばかりの無骨者といえないことはない。
けれども、フィリップが政に無関心で自ら隊長を務める親衛隊に執心なのは兄と王位を争う真似を避けるためであるとセシルは思っていたし、そんな彼のことを誠実だとも感じていた。
それなのに、今のフィリップの行動は一体なんだというのか。
セシルはぎゅっと唇を噛む。フィリップが自分を抱きすくめた意味を考え、情けなさに涙がでそうだった。
「では、殿下の御用はお済みになりましたね」
腕から逃れようとそれとなく体を動かしているのにちっとも効果がない。
フィリップの腕は巧みにセシルを包み込み、空いた手が耳や髪に絶えず触れている。
「殿下!」
このまま触られ続けては高鳴り続ける心臓も壊れかけたプライドも、すべてがどうにかなってしまうだ。
そう判断したセシルはフィリップをきつく睨みつけた。
- 519 : ◆DfXlBG8vLc :2006/08/08(火) 00:20:22 ID:aPhkvpyW
- 「……たまには女に戻ってみたくならんのか?」
「なりません。女を捨てると私は殿下の前で誓いました」
「む。確かにそうだが」
「男として、私を一人前の兵士にして下さると殿下が仰ったのです」
フィリップは低く唸り、セシルから体を離した。
名残惜しいとばかりに頬を手の甲で一撫でして。
「そう言わねばお前はどうした? セシリア」
「……その名は私の名ではございません」
ようやくフィリップの熱さから逃れたというのに、セシルの体は自ら熱を放ち始める。フィリップに触れられた場所が熱くてたまらない。
「セシリア」
「フィリップ様! あなたは私を辱めるおつもりですか」
「……いや、そうではない」
深く息を吐き、フィリップはセシルの手を取る。
男の手というほど骨張ってはいないが、女の手というほど滑らかでもない。
セシルの手を包み込み、親指で手首を撫でる。
「女を捨てた私を女として扱うなどと……それが私をどれだけ惨めな気持ちに」
「わかった。……すまない。忘れてくれ」
蒼眸が僅かに潤んだことに気づき、フィリップは困り果てたように弱々しい笑みを浮かべる。
「……殿下は酔っておいでです」
「ああ、そうだな」
「ですから、そのような世迷い言を仰る」
フィリップの手から自らの手を引き抜き、セシルは一歩下がって我が身を抱いた。
「私は、男です」
小さく呟くセシルの言葉に頷き、フィリップはセシルに背を向けた。
どくどくと今もまだ心臓は高鳴り続け、セシルは目を閉じて思い出す。男として生きようと決めたあの日のことを。
そうしてようやく心が落ち着いた頃にはフィリップの姿はなく、セシルは深々と溜め息をついた。
──もう二度と女に戻りはしないと、そう誓ったのだ。
おわり
- 520 :名無しさん@ピンキー :2006/08/08(火) 00:44:22 ID:6rJlN8jx
- イイヨイイヨー
続編が想定されているのであれば是非読みたひ。
- 521 :名無しさん@ピンキー :2006/08/08(火) 01:54:01 ID:tLAmK565
- >>519
GJ!
設定も好みだし文章もきれいでツボにはまった。
前後編があるならヨロシクお願いします。
- 522 :名無しさん@ピンキー :2006/08/08(火) 08:00:14 ID:+hbnmmDt
- GJ、すげーツボだー!
是非シリーズ化して欲しい。
続きとか過去の話とか読んでみたいっす。
- 523 :名無しさん@ピンキー :2006/08/08(火) 16:26:58 ID:aCe7WQdo
- GJ!!!!
- 524 : ◆DfXlBG8vLc :2006/08/08(火) 20:38:57 ID:aPhkvpyW
- >>517です。
保守のつもりで書いた話なのにGJいただけるなんて驚きました。ありがとうございます!
続き投下する気なかったけどせっかくなので続きも書きます。
エロか出逢いか迷ったけど、エロパロ板だし、次こそはエロを。
出来れば今夜、無理でも二、三日の内には投下します。
- 525 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:08:10 ID:MeeJTcOd
- フィリップ×セシルの続き投下します。
前回から少し日が経っていると思って下さい。
- 526 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:09:28 ID:MeeJTcOd
- 木にもたれて座り込む姿を眺めることしか出来ず、セシルは整った顔を涙でぐしゃぐしゃにした。傍らに座り込み、しゃくりあげ、口にするのは謝罪の言葉だけ。
「セシル」
フィリップに名を呼ばれても合わせる顔もない。
フィリップはセシルのすべてといっても過言ではないほど大切な主だ。そのフィリップに怪我を負わせるなど、自分はどこまで愚かなのだろう。セシルは自身をきつく責め立てる。
「頼むから、セシル」
「申し訳、ございませ……」
「もう泣くな。誰もお前を責めはせん」
誰も責めなくとも自身で責めてしまう。
セシルは数時間前の自分が許せなかった。
--------------------
昼過ぎに、フィリップに誘われて遠乗りに出た。
ここのところフィリップに避けられているような気がして胸を痛めていたセシルは、フィリップがいつもと変わらぬ笑顔で誘ってくれたのが嬉しく一も二もなく頷いた。
馬で駆けるのは好きだし、フィリップと二人きりなのも嬉しかった。
至らぬ点があるならば正直に言って欲しい。従者として捨てられたくはない。
木陰に馬を繋いで一休みしている最中、談笑の中でセシルはフィリップに控えめながらそう申し出た。
思えばそれがいけなかった。それまでの笑顔は露と消え、フィリップの表情が曇りだしたのだ。セシルの申し出には答えず、邸宅へ戻ろうと言い出した。
セシルはたまらずに腕に縋った。避けられていたのが気のせいではないと悟ったからだ。
- 527 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:11:17 ID:MeeJTcOd
- またいつものように頭を撫でて欲しい。お前はいつまでも子どもなのだから仕方がないな。一人前になるまでずっと私の側に仕えていればいい。そう言って優しく笑んで欲しい。
セシルの願いはそれだけだった。
縋ったセシルの腕は強く掴まれ、フィリップにおもむろに抱きすくめられた。
そこから先はよく覚えていない。
唇を重ねられ、腕をふりほどいて無我夢中で走った。そのまま走り続け、気がつけばフィリップの腕にきつく抱かれて崖から滑り落ちていた。
--------------------
「すまない」
フィリップの腕がセシルに伸び、頭を撫でる。
「私はお前を裏切らずにはいられぬようだ」
セシルの体がびくっと跳ね、力なく首を振る。
「お前の父親にはなってやれなかった。すまない」
この方はどこまでも優しい。
涙が溢れて止まらなかった。
セシルはフィリップの腕を取ってぎゅっと握り締める。
「よいのです。あなたのせいではないのです」
もっとよく考えていたならば気づけていたはずだ。
フィリップはいつだって優しかった。いつだって愛してくれていた。
父親にはなってやれないとフィリップは言う。そう言わせるのはセシルがいつまでも父の呪縛から逃れられないせいだ。
結局、セシルは父親の元から逃げ出したあの日から何も変わっていない。
こんなにも愛してくれる人がいながら、その想いにすら背を向けて父に愛されなかった自分を否定し続けた。
きつく手を握り返してくれるフィリップの手を眺める。
死に急いだセシリアをセシルに変えてくれたのはこの手だ。セシルの、セシリアの大好きな大きな手。
「私は結局男にはなりきれなかったのですね」
「セシル……」
「私はあなたを愛しています。あなたは私のすべて。それは昔から変わりません」
- 528 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:12:02 ID:MeeJTcOd
- またいつものように頭を撫でて欲しい。お前はいつまでも子どもなのだから仕方がないな。一人前になるまでずっと私の側に仕えていればいい。そう言って優しく笑んで欲しい。
セシルの願いはそれだけだった。
縋ったセシルの腕は強く掴まれ、フィリップにおもむろに抱きすくめられた。
そこから先はよく覚えていない。
唇を重ねられ、腕をふりほどいて無我夢中で走った。そのまま走り続け、気がつけばフィリップの腕にきつく抱かれて崖から滑り落ちていた。
--------------------
「すまない」
フィリップの腕がセシルに伸び、頭を撫でる。
「私はお前を裏切らずにはいられぬようだ」
セシルの体がびくっと跳ね、力なく首を振る。
「お前の父親にはなってやれなかった。すまない」
この方はどこまでも優しい。
涙が溢れて止まらなかった。
セシルはフィリップの腕を取ってぎゅっと握り締める。
「よいのです。あなたのせいではないのです」
もっとよく考えていたならば気づけていたはずだ。
フィリップはいつだって優しかった。いつだって愛してくれていた。
父親にはなってやれないとフィリップは言う。そう言わせるのはセシルがい
- 529 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:13:19 ID:MeeJTcOd
- 両手で握るフィリップの手を口元へ運ぶ。そっと唇をよせると、愛おしさが胸にこみ上げる。
「でも、私は怖かったのです。セシリアに戻ることが怖くてたまらなかった」
「無理はするな」
「いいえ、言わねばなりません。ディアナ様にもそう言われましたから。……あなたが心安らかでいられる場所は私にしか作れないのです」
「姉に会ったのか」
「はい。私は愚かですから、その時もまだあなたの気持ちに気づきませんでした」
「そうか、あの人が……」
「けれど、もう怖がるのはやめます」
フィリップが握り締める右手はそのまま、左手で両目を擦り、セシル──セシリアは笑う。
「あなたが私を男に変えたのですから、あなたに女に戻していただきます」
ぽかんと口を開き、フィリップは目を見張る。
フィリップが言葉を発するまで、セシリアは微笑みつつ待った。
「……セシリア」
「はい」
「よいのか」
握られた手に痛いほどの力がこもる。
怖くはない。
男でなくてもいいのだ。フィリップは女でいても愛してくれる。父親とは違う。男でなくとも側にいられるのだから。
セシリアはこくりと頷く。
「セシリア、セシリア」
譫言のように名を呼ばれ、セシリアは何度も頷く。
なんと切なげな顔をなさるのか。
セシリアはフィリップの頭を胸にかき抱いた。
縋るように背に回された手が酷く心地よくて、セシリアは満ち足りた気持ちで目を閉じた。
どのくらいそうしていただろう。ようやく体を離した時には涙は乾き、呼吸もすっかり落ち着いていた。
フィリップから腕を離し、甘えるように傍らに添う。
「早く屋敷に戻らねばなりませんね。足のお怪我、早く手当をしなければ」
「……セシリア」
「歩けぬようならば肩を貸します。鍛えていますから、馬のある場所までは、んぅ」
- 530 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:14:39 ID:MeeJTcOd
- 不意に引き寄せられ、バランスを崩しフィリップの胸に手をついた。唇はとうの昔に重ねられていて、セシリアは観念したように目を閉じた。
優しく唇をなぞる舌が歯を割って入ってきても嫌悪感はなかった。生まれて初めての口づけに緊張はするが、フィリップの与えるものなら今は何でも受け止められる気がした。
「ん、ふ……で、殿下は、あの、ちょっと待っ…んん」
ようやく離れたと思えば、深く息をつく間もなく再び唇を吸われる。
舌を優しくつつかれ、吸われ、絡ませあう。
するりとフィリップの手のひらがシャツの裾から潜り込んでくる。セシリアはびくりとして、身を捩った。
「だ、駄目です! 何を考えて、やっ……殿下! ぁん」
近づく顔を腕で押しやるが、フィリップは平然として唇以外の場所に口づけてくる。
耳たぶを口に含まれ、項を舐められ、口づけの痕を残される。
その間も潜り込んだ手は忙しなく動き、胸に巻いたさらしが取り払われた。
「よいといったではないか」
胸に触れられる前に慌てて服の上からフィリップの腕を掴めばそう嘯く。
セシリアは真っ赤な顔で目を見張った。
(そういう意味では! お怪我だってされているのに)
唇を塞がれてしまえば体から力が抜け、フィリップにされるがままだ。
小振りな乳房はフィリップの手にすっぽりとおさまり、形が変わるほどにこねまわされる。
(そうだ。殿下はこれがお好きなのだった)
セシリアを伴わずに出かける夜は決まってお気に入りの女性を訪ねていたものだ。フィリップは隠していたが、セシリアの耳には筒抜けだった。
しかし、ここ何年かそういう話も滅多に聞かなくなっていたものだから飽きてしまったのかと思っていたが、どうやらそうでもないらしい。
「ああ、や…ぁっ」
- 531 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:15:59 ID:MeeJTcOd
- シャツをたくしあげられ、淡く色づいた胸の頂を口に含まれる。
ちゅっと音を立てて吸われれば、羞恥と快楽がない交ぜになって背をかける。
セシリアは大きな瞳に涙を浮かべ、ただ喘ぐことしかできない。
フィリップの腕がズボンにかかり、巧みにベルトやボタンを外してしまう。一気に引きずりおろされ、セシリアは思わずぺたりと座り込む。
「膝に座られては先ほど痛めた場所が疼く」
はっとして膝立ちになると腰を引かれる。思わずフィリップの肩に手をつけば、胸にフィリップの頭が埋まる。
「サービスがいいんだな」
くつくつと笑うフィリップの顔は、セシリアをからかって遊んでいる時の表情だ。
セシリアは拗ねたように顔を背ける。
フィリップの手によってシャツは脱がされ、下着も下ろされ、ズボンとともに膝に絡まっていた。
僅かに身を引くと、フィリップの顔が近づき胸を舐める。そのままわき腹を伝い、臍の辺りまでゆっくりと舌が伝う。
腰を掴まれていなければまたへたり込んでしまいそうだった。
「はぁ…ぅ、んん」
はしたない声をあげるのが嫌で唇を噛むが、どうしても声は漏れてしまう。セシリアは右手を口元に当てて、フィリップの与える感覚に必死で耐える。
「ああっ! や…だめです、だめ」
フィリップの手が柔らかな茂みをかきわけてその奥に潜む泉へと近づく。
割れ目に沿って指を添えられれば、くちゅりと濡れた音がする。フィリップはゆるゆると指で割れ目を擦る。
「濡れているな」
安堵したようにフィリップが呟く。
まるでお漏らしをしたようでセシリアは嫌だったが、フィリップはそれがよいことのように言う。
「セシリア、おいで」
促され、フィリップの膝に跨るように腰を下ろす。その際に膝に絡んだズボンと下着も脱ぎさった。
- 532 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:17:18 ID:MeeJTcOd
- 「声はこらえなくてもいいぞ」
「ですが」
「可愛い声を私に聞かせてはくれないのか」
普段の数倍甘い声で囁かれては嫌とはいえない。せめて顔が見えなければとセシリアはフィリップの首に腕を回して縋りついた。
フィリップの指が再び割れ目に添う。今度は擦るのではなく、ゆっくりと侵入してきた。
「ひゃあっ……ん、いっ、ああ」
いやらしい音を立ててフィリップの指がセシリアの中に飲み込まれていく。
未だ男を知らぬ場所はしっとりと濡れながらも指をきつく締め付ける。この中に押し入ることを考えるだけで、フィリップは腰の辺りに耐えがたい熱を感じた。
どろりととろけるように熱く濡れた女の泉から指を抜き去り、セシリアの首に口づける。
息も絶え絶えなセシリアの様子を見ていると早く終わらせてやった方がいいような気がしてくる。
フィリップはズボンから猛ったものを取り出すと、セシリアに腰を上げさせた。
「ああああっ!」
セシリアをうまく誘導して先端を潜り込ませる。セシリアはそれだけで震えて悲鳴を上げた。
フィリップは入り込んだ先端を抜き去って、再びセシリアを膝に座らせた。
宥めるように優しく背を撫でて口づけを交わす。
「殿下……?」
なぜ途中でやめたのかと問うようにセシリアがフィリップを見上げる。瞳が不安に揺れているのがいじらしく愛おしい。
フィリップは安心させるように微笑んでみせる。
「初めてだからな。上になれというのが無理な話だ」
きょとんとしたセシリアの頭を撫で、フィリップはセシリアを脱ぎ捨てた衣服の上に寝かせた。草の上に直に寝かせるよりは幾分ましだろう。
フィリップはセシリアの額や瞼に口づけ、再び指で入り口を解していく。
「あ、あ…っ」
- 533 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:18:59 ID:MeeJTcOd
- 深々と口づけた後、フィリップはセシリアの足を抱えて体を割り入れた。腹につきそうなほどに反り返った欲望の証は割れ目にそわせただけで簡単に先端が潜り込んでいく。
指で感じるよりもずっときつく心地よい。
一気に叩きつけたい衝動を堪え、フィリップは少しずつ腰を沈めていく。
セシリアは目をきつく閉じて衝撃に耐えていた。体が引き裂かれてしまいそうな気がしたが、フィリップが絶えず優しい言葉をくれるからなんとか耐えることが出来た。
すっかり奥まで沈み込み、フィリップは深く息を吐いた。
求めて、求めて、求めてやまなかった相手が腕の中にいる。深い場所で繋がっている。
愛おしさで胸が苦しかった。
フィリップはセシリアの唇に啄む口づけを落とす。
「今から動くが、耐えきれなくなったら言え」
「言えば、やめるの、ですか」
「いや、すまないがそれは無理だ。その時は少し休ませてやろう」
情けないが休ませてやれるかもわからないほどにフィリップは高ぶっていた。
小さくセシリアが頷いたのを見届け、フィリップはゆるゆると腰を動かしはじめる。緩慢な仕草で腰を引いては打ちつける。
激しく叩きつけるよりもセシリアの内部の締め付けを強く感じ、フィリップは低く呻いた。
理性を保っていられるのもあとしばらくといったところだろうか。
「ふぁ、ん…あっ、あ、あ」
フィリップに揺すられる度に悩ましげな声がセシリアから漏れる。
その声に甘さが混じっている気がするのは気のせいではない。痛みだけではないとフィリップは信じたかった。
次第に理性よりも欲望へと天秤は傾き、それにつれてフィリップの動きも激しさを増していく。
腰をより深く抱え、最奥を穿つ。
だめだ。限界だ。
フィリップは舌打ちをして、理性を捨てた。
- 534 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:20:28 ID:MeeJTcOd
- 「きゃあ! あっ、や、ああ、フィリ……やぁ」
突如激しさを増したフィリップの動きに耐えかねてセシリアが首を振ってフィリップの胸を押す。
しかし、フィリップの動きは変わらない。むしろ激しさを増していく。
セシリアの名を時折呼び、快楽を追い求めて本能に従う。
「ああ、あっ、や、フィリ…さ、まぁ」
突然フィリップの動きが止まり、セシリアは思わずその体にしがみついた。
ぴたりと腰をつけ、フィリップはセシリアの胎内に精を放った。
「愛してるよ、セシリア」
最後の一滴まで出しつくして身震いをし、そのままセシリアのこめかみに口づけて低く囁いた。
セシリアの口から「私も愛しています」とかすれた答えが返され、その瞬間にフィリップは射精よりもずっと深い快感を覚えた。
体を繋げたまま、フィリップはセシリアの呼吸が整うまで、何度も何度も口づけを落とし愛を囁いたのだった。
おわり
- 535 :セシル ◆DfXlBG8vLc :2006/08/09(水) 01:31:37 ID:MeeJTcOd
- 途中同じものをうっかり二度も書き込んだようです。
すみません…orz
- 536 :名無しさん@ピンキー :2006/08/09(水) 01:50:19 ID:TWe2dXV7
- >>セシルの人GJ!!
なんかかーいいわぁ……
えーっと……今誰もいない?
いなかったら乱文投下しようと思うけど……
ダメか?
- 537 :名無しさん@ピンキー :2006/08/09(水) 04:17:53 ID:TWe2dXV7
- 誰もいないようなので投下
昨日未明、東京の某アパートにて高校生が飲酒の果てに部屋の扉を壊すという事件がありました
関係者のT・Mさんに話を伺ってみましょう
T・Mさん(以下M)「えぇ、あの時は本当に地獄かと思いましたね」
――関係者の中に女性がいたという話がありますが?
M「いましたね、なんか秋葉原で見るようなメイド服……っていうんですかね
それを来た馬面の女性が一人
あともう一人一般人がいました」
――その方も女性ですか?
M「どう表現したらいいんでしょうか……わかりません」
――あなたの友人にオカマが一人いると聞きましたがその人ですか?
M「いえ、違います」
――わかりました。それであなたの部屋のドアですが、蝶番が完全に千切れてませんか?
M「あれは自分でやりました」
――自分で?
M「えぇ」
――一体どういった経緯でそうなったんですか?
M「酒乱騒ぎの後に例の女……の子が『責任とれ』なんていい出して」
――それはまた(笑)
M「それを言われたときはしばらくボーゼンとしてましたね」
――それで、責任はどうなりました?
M「いきなり『まるごとバナナ買ってこい』とか意味不明なことを言われてパシりました」
――ということは「肉棒をまるごと包む近藤武蔵を買ってこい」と
M「そのときは頭がわけ分かんなくなって、お菓子のほうを買いに行ってしまいました」
――それは(苦笑)
M「その後かの……例の女の子の言葉考えてたら能内がピンク色に染まって、本屋に行きました」
――本屋で何を?
M「『加藤○の性技集』という本を」
――加○鷹ですか(笑)
- 538 :名無しさん@ピンキー :2006/08/09(水) 04:32:40 ID:TWe2dXV7
- M「えぇ、つい勢いで」
――ハハハ、それで彼女の方は
M「かの……別に彼女という訳じゃありませんが……
その後アパートに帰ったんてすよ」
――ひょっとして脳内ピンク一色のままドアを?
M「はい、気が動転してつい跳び蹴りで(笑)」
――彼女は?
M「いやだからかの……彼女という訳じゃありませんし……」
――どうなりました?M「いやだから本当にかの……」
――どうなりました?
M「え……あ、はい
例の人はいませんでした」
――部屋に?
M「はい」
――彼女の荷物は?
M「だから本当に彼女という訳じゃありません!!
とにかくありませんでした」
――ということは………
M「逃げられましたね」
――肉棒を包む近藤武蔵を買ってる間に?
M「完っ璧に」
――という訳で以上「あごはずれ荘」のまこ………………
M「実名を出すなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」
- 539 :名無しさん@ピンキー :2006/08/09(水) 05:19:55 ID:TWe2dXV7
- やれやれ、これが三日前にエチーフラグ立てたアホウですか
やれやれ、そんなんじゃ息子が泣くぞこのヘタレが
あれからユウタンとは連絡取れてないってあたり敗者のオーラがにじみ出てるね
で、その敗者は今淳一と一緒に魂を口から吐きながらパチンコかい
しかも仁平で
前から言おうと思ってたがおまいら一体幾つなんだと小一時間
えぇT・Mこと真よ
「………お〜い真〜」
マッチョなタン塩が何か言ってるぞ、魂吐き出しながらパチンコやるなアホ
「玉溢れてるぞ」
魂を口から吸い戻していらない○藤鷹の本購入した某ヘタレ復活
確かに魂のルフランのかかってる某跳び蹴り馬鹿野郎の台からはパチンコ玉が溢れて下に落ちてるな
「おわっ!! 淳一箱箱!!!!」
今更な反応しくさってこのフニャチンが
「自分で持ってこい」
隣で着々と千円札を飲み込まれてる親友淳一クンでさえこの反応
「あの〜、大丈夫ですか?」
そのミルキーボイスでこのカスに話かけない方がいいですよこのパチンコ屋のアイドルさん
「あぁすいません」
おいテメェまるごとバナナ!!
今鹿野さん(名札より確認)の差し出した箱持った時手ぇ触っただろ!!?
あぁ触ってねぇ!!?
テメェの負け犬オーラが触ってんだよこの野郎!!
鹿野さん、悪いことはいいません、いますぐアルコールで消毒を
「すみませんこのクソバカカスが妙なことを」
警告
淳一テメェ鹿野サンノ神聖ナソノ手ヲ今スグ離シヤガレ
すみません鹿野さん
今すぐ淳一という名の害虫含めて滅菌処理を
「おい、人の女に手ぇ出すなこのクズ野郎」
警告
マジデヤバイ筋ノオ方ガ出現
これは訓練ではない!! 繰り返す!! これは訓練ではない!!
「あ、カンちゃん」
繰り返す!!!! これは訓練ではないぃぃぃぃ!!!!
- 540 : ◆zQeYTeIIAc :2006/08/09(水) 05:22:18 ID:TWe2dXV7
- とりあえず投下終了
ヤターヨ、ボク寝落チシナカッタヨ
携帯変えて鳥に使っていた漢字が消えた為新しい鳥つけます
- 541 : ◆zQeYTeIIAc :2006/08/09(水) 05:40:24 ID:TWe2dXV7
- あああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
改行ミスってるぅぅぅぅぅ
ばか!ばか!ま○こ!!
誤 ――どうなりました?M「いやだから……
正 ――どうなりました?
M「いやだから……
に訂正してください
- 542 :名無しさん@ピンキー :2006/08/09(水) 08:28:19 ID:A506HfW9
- >>537-539
ごめんカヲルくん、なんて言ったらいいのか分からないよ
- 543 :名無しさん@ピンキー :2006/08/09(水) 09:05:43 ID:wSiHRsjc
- >>535
GJ!セシリア可愛いよ。
甘い雰囲気を堪能しました。
エロなしでもいいんで出会い編も書いてください。
- 544 :名無しさん@ピンキー :2006/08/09(水) 12:09:19 ID:N0uXsPI4
- >>537
おひさしぶりっすアニキ!!帰ってきてくれたんすね。
環境変わろうがなんだろうが、つづき待ってますんで!
ユウタソと真がキッチリどうにかなるまで待ってますんで!半裸で!
- 545 : ◆DfXlBG8vLc :2006/08/14(月) 02:54:39 ID:EvjA5EV6
- 保管庫管理人さまが見ていらしたらお願いしたいのですが、セシルとフィリップの話は保管庫には保存しない方向でお願いします。
- 546 :名無しさん@ピンキー :2006/08/14(月) 23:46:42 ID:2itpBIwl
- age
- 547 :男装少女寒理人 :2006/08/15(火) 00:06:06 ID:zYjtf/x3
- >>545
はい、了解です。対処いたしました。
今後、トリップ◆DfXlBG8vLcで投下してくださった作品については
保存の許可が出ない限りは保管庫に収蔵いたしません。
- 548 : ◆DfXlBG8vLc :2006/08/15(火) 00:26:03 ID:Rzz9z6Pj
- ありがとうございます。よろしくお願いします。
- 549 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/08/16(水) 09:32:51 ID:z8V0n6vv
- 今更ですが>>470の続きを投下します。
- 550 :狂介と有紀 :2006/08/16(水) 09:34:56 ID:z8V0n6vv
- 同意とは言えヤる気マンマンの狂介はギラギラと目を輝かせながら有紀を自宅へと連れ込んだ。
両親は仕事で今夜は帰らないと言っていた。
「・・・そう言えば。」
狂介はふと自分の両親がどんな仕事をしているかまったく知らないことを思い出した。
「(まぁいいか、俺の小遣いに一本(百万)用意してくれる位稼ぎのいい仕事なんだろさ。)」
どうやら踏み込んではいけない世界の仕事のようである。
「正樹さんと萌さんは?」
「あの二人なら『淫らに堕ちた巫女!!神主は神の奇跡で彼女を救えるのか!?』プレイをするってんで
初詣で世話になった神社に行ってるぜ。」
「神社はそれを許すの?」
「あそこの宮司と兄貴は変態仲間だからな。」
「・・・そうなんだ。」
もう来年は初詣に行かない、と心に誓う有紀だった。
「何よりさ・・・。」
狂介は覆い被さるようにして有紀をベッドの上に横にさせる。
「邪魔が入らないんで俺的にはサイコーなんだけど。」
「まぁ・・・ね。」
有紀もそれを受け入れて真上から見下ろす狂介の首に両手を回す。
「ん・・・ぅ・・・」
久々に味わう有紀の唇は甘く柔らかかった。
「はぁ・・・きょう・・・すけぇ・・・」
有紀も負けじと狂介を求めた。
「じゃあ僕から狂介に本当のお土産をあげるね。」
そう言うと有紀は狂介の股間へと跪き、狂介の肉棒を取り出した。
「おい有紀・・。」
「フフ、ビンビンになってる。すごい我慢してたんだね。」
有紀は膨張しきった肉棒をぺろりと舐めた。そして、先端へと口を近づける。
- 551 :狂介と有紀 :2006/08/16(水) 09:36:44 ID:z8V0n6vv
- 「はぅ・・・んっ・・・」
有紀の小さな舌が亀頭に触れる。舌先をチロチロ動かして先端やカリを舐める。
「ちゅ・・うぅ・・気持ちいい・・・狂介?」
「ああ」
「よかった。」
狂介の言葉に意を決した有紀は先端から肉棒を深々と咥え込んだ。
「むぐっ、むぅぅ・・・・」
苦しげな表情浮かべながら奉仕を続ける有紀。
「有紀、無理しなくても・・・」
「んー・・んぅー。」
言い切る前に有紀は肉棒を加えたまま首を横に振った。
「有紀・・・」
狂介は有紀の気持ちを察して奉仕を続けさせた。
「うっ、ちゅ・・・むぅ・・ちゅぶ・・・・ん・・・」
ぎこちなさは残るものの相手を気持ち良くさせようと必死な舌使い、そして口腔全体の
ちょうど良い温かさが快感を与える。
「有紀・・・気持ち良いよ。」
狂介は有紀が無理をしないように有紀の髪をそっとすいた。口腔に包まれた亀頭の裏側に
有紀の舌が這い回る。
「ふぅ・・・んっ・・・」
快感を得ているのは狂介だけではないようだ。有紀もまた股間をモジモジとすり合わせている。
狂介がそっと手を伸ばすとそこはもうグッショリと濡れていた。
「ふぁ・・・む・・んぅぅ・・・」
秘所への刺激に熱い声をあげる有紀。
「有紀、そろそろいくよ。」
狂介の限界発言を聞いた有紀は軽く身構えた。しかし奉仕そのものを辞めようとはしない。
「いくぜ・・・有紀!!」
狂介の肉棒が白濁とした液を放出した。
「うぐ、ぐむ・・・・うむぅぅ・・・う・・・」
大量の精液に口腔内を埋め立てられながらも有紀はコクリと音を立てながらソレを嚥下していった。
- 552 :狂介と有紀 :2006/08/16(水) 09:38:41 ID:z8V0n6vv
- 「はぁ、はぁ・・・はぁ・・・」
有紀は肉棒から口を離しそのまま倒れ伏した。
「大丈夫か?」
狂介は有紀の頬に手を伸ばした。
「ウン平気。」
そう言うと有紀は180度回転して尻を高く突き上げた四つん這いのまま、その尻を
狂介に見せた。
「狂介・・・きて。」
「えっ・・・あ・・えと、え?」
状況を把握出来ない狂介。
「お願い、僕・・・もう我慢できないの!!」
そう言いながら有紀は尻を横に振った。そんな光景を見せられて狂介は・・・
「辛抱堪らん、有紀!!!」
狂介は有紀の穿いていたカーゴパンツと下着の両方に手をかけて一気に下に下げた。
「ひゃうっ!!」
有紀は可愛らしい悲鳴をあげる。有紀の秘所はとめどなく流れる蜜が下着をも決壊させ
内股あたりまで流れ出ていた。
「狂介ぇ・・・早くきて・・・」
色と熱を帯びた声で懇願される。前戯はもういらないと判断した狂介は自分の肉棒を
有紀の秘裂へと挿入していった。
- 553 :狂介と有紀 :2006/08/16(水) 09:40:09 ID:z8V0n6vv
- 「んっ、あぁ・・・あぁぁぁ」
有紀の甘い悲鳴が響き渡る。四つん這いになって後ろから貫かれる行為に興奮を覚える。
「はぁ、狂介の熱いのが・・・奥に・・・んぅ、擦れてるよぉ・・・」
荒々しい息遣いと互いの身体を打ち付け合う音が部屋を満たす。
「有紀、気持ちいいか?」
「うん、すごく・・・すごく気持ち良いのぉ!!」
快感に襲われながらも有紀は狂介の問いに答える。そして有紀は後ろを振り向くと
はにかんだ様な笑みと熱く熟れた視線を投げかける。
そんな有紀に笑いかけて狂介は腰の動きを早めた。
「ひゃ・・うぅ、んっ・・・はぁぁ」
強烈なピストン運動に息を荒げる有紀。しかし、二人ともその行為をやめようとは
しなかった。
「いいぃ!!あぁぁ・・いいのぉ・・もっと!!」
互いを連結している部分は溢れる蜜でドロドロになりばがらグチョグチョと卑猥な音を鳴り響かせる。
それに合わせて悶える有紀の声に興奮する狂介はさらに出し入れを繰り返す速度を速め、
荒くなる狂介の息使いに有紀は快感を覚えてしまう。
「んぅ・・えぁ・・・そんなに・・・狂介ぇ!!・・ボク・・おかしくなっちゃうよぉ!!」
とどまる事の無い快楽に恐れを感じた有紀はイヤイヤと首を横に振る。
「大丈夫だよ。ソレは有紀が気持ち良いって感じてる証拠なんだから。」
怯える有紀を宥める様に狂介は有紀の脇腹をしっかりと握った。
「おかしくなっても・・・俺が全部受け止めてやるからさ。もっと感じてくれ。」
狂介はラストスパートをかけた。
「ひぃ、くっ・・・・らめぇ・・・きょ・きょうすけぇ・・・んぁ!!」
未知の快感と狂介に責められる心地良さが有紀を襲う。だが、このままされるがままの状態で
いられるほど有紀も甘くない。
「う・・有紀?」
有紀は尻を高く突き上げて狂介に応えた。
「ふっ・・はぁぁ。」
ダイレクトに膣の奥まで肉棒が突き刺さる。そのまま貫かれるような錯覚に陥った有紀は
息の抜けるような声をあげた。
- 554 :狂介と有紀 :2006/08/16(水) 09:41:49 ID:z8V0n6vv
- 「あぁぁ・・・気持ちいいよぉ・・・狂介・・・はぁぁ!!」
「イキそうだ有紀・・・膣内に出すぞ。」
「ウン・・・キて狂介・・・狂介をいっぱいちょうだい!!」
その瞬間、限界を突破した狂介から大量の欲望汁が発射された。
「ふあぁぁ、ボクも・・・イッっちゃうよぉぉ!!」
狂介の欲望が注ぎ込まれたと同時に有紀も絶頂に達し身体を痙攣させた。
「うぉっ!!・・くぅ・・。」
絶頂に達した有紀の膣口が大きく締まり、狂介の分身が出し残した全てを奪い取りにかかる。
「あっ・・はぅぅ・・・んっ・・」
「有紀危ない!!」
力無く倒れ掛かる有紀を狂介は後ろから抱きかかえた。
「はぁ・・はぁ・・あっ・・・狂介・・・どうだった?」
息も絶え絶えに有紀が聞いてくる。
「最高のお土産だよ。ありがとう有紀。」
そのまま有紀を背後から抱きすくめると首元やうなじに口を這わせる狂介。
「ひゃっ!!・・・もう。」
モジモジと身体をくねらせるも本気で抵抗しない有紀。
「もう少しだけお土産欲しいな・・・。」
「・・・・いいよ。」
- 555 :狂介と有紀 :2006/08/16(水) 09:44:18 ID:z8V0n6vv
- 〜しばらくして〜
「おりゃぁぁぁぁ!!!!」
狂介のパンチが炸裂し本日のやっつけ隊がまた吹き飛ばされる。
「ビーム!!」
本来なら出る分けないが面白そうだから出してみる。
「うおっ!!マジで出た。サンキュー作者。」
気にすんなって。
「さて・・・」
キョロキョロと周囲を見回し・・・
「発見!!」
補足先に一直線。
「有紀!!!!!!!!!!!」
「うわっ!!狂介危ないよ。」
有紀に抱きつき本来なら生えていない尻尾を振り回す。
「有紀、俺って強いだろ?褒めて褒めて。」
「ウン。ヨシヨシ・・・・でもね・・・。」
頭を撫でてあげながら有紀は狂介が走ってきた先を見つめる。
「死ぬかと思った。」
地面にめり込んだ藤澤。
「イヤ、普通なら死んでますって」
腹部から顔面にかけて足跡(狂介の)でいっぱいの園太郎
「だ、誰か助けて。」
倒れ掛かる電柱(倒したのは狂介)を必死で支える詠子。
狂介「・・・・ヒドイ、誰がこんなことを・・・」
「「「お前だぁぁ!!!!!!」」」
別に禁断症状でなくとも狂介は狂介って言うお話。
有紀「ボクし〜らないっと。」
〜おしまい〜
- 556 :狂介と有紀 :2006/08/16(水) 09:46:47 ID:z8V0n6vv
- 〜おまけ〜
升沢「なんだ、出番あれだけか・・・もうすこし出たかったな。」
バリーーーーーーン!!!(店を突き破って狂介が突っ込んだ)
升沢「・・・・なんなんだ山崎君営業妨害か?(怒)」
狂介「いや〜アンパン○チで飛ばされるバイキ○ンマン並のトリ○プルパンチを喰らいまして・・・」
升沢「ふざけるな!!それと○の意味が無い!!」
狂介弁償のため3日間の皿洗い決定
〜ほんとにおしまい〜
- 557 :実験屋 ◆ukZVKLHcCE :2006/08/16(水) 09:57:20 ID:z8V0n6vv
- 以上です。遅れに遅れてすいませんでした。
私事ですが、このたび実験屋は結婚することになりました。婿に入ります。
お相手は以前ちょこっと話題に上げた親戚の人です。
それに伴いまして投下をしばらくお休みします。
隙を見て書いては投下できればいいのですがネットが入っていない家なので
無理かなと思いますです。
今後もこのスレの発展を祈ってます。それでは失礼します。
- 558 : ◆QKZh6v4e9w :2006/08/16(水) 10:18:56 ID:kTnjbfcd
- おお!
リアルで結婚されるとは。
おめでとうございます、実験屋氏。
いつも楽しいSSをありがとうございます。
どうぞ、末永くお幸せに。
- 559 :名無しさん@ピンキー :2006/08/16(水) 10:49:40 ID:pwEsoBJG
- ご結婚おめでとうございます。
話題に出たのって、約二ヶ月前くらいかな?
そんな短期間に決まるなんて、ご縁があったんですな〜。
今までありがとうございました。
機会があったら、またSS投下してください。
- 560 :名無しさん@ピンキー :2006/08/16(水) 23:30:12 ID:mx6eJ6C3
- 結婚おめでとうございます!幸せな家庭を築き上げて下さいね。
農業のほうも今年は気候が余り安定せずに、作物のほうにも悪影響をもたらしていますが
挫けることなく頑張ってください。
実験屋氏の人生に幸あれ!
Zの続き…いつか拝見できることを心待ちにしてます。
いつも素晴らしいSSをありがとうございました。
- 561 :名無しさん@ピンキー :2006/08/17(木) 01:43:57 ID:BfPraIdA
-
..◇・。..☆*。
゜゜・*:..。.。★◎@ ○☆。..:*・゜
゜゜・*:..。.。◇@☆*・゜★。。.:*・☆*・。..:*・゜
。..:○★◎☆。∂∇。★◎*・゜゜。◎★
◎☆◇☆。*・.。..☆◎。.:☆◇*.....。
゜゜・*:..。.*・☆◎。__☆◎*・。..:*・゜ ゜
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\ /
. ∧_∧\ /
( ・∀・)..∞
/ つ つ△
〜( ノ
しし'
実験屋さん、おめでとう!
- 562 :名無しさん@ピンキー :2006/08/17(木) 12:13:09 ID:sLxL6XFl
- こうして神はリアル神へとなった・・・・
おめでとう、実験屋さん。
- 563 :名無しさん@ピンキー :2006/08/17(木) 22:37:12 ID:4Bsw6snU
- おめでとうございます。
- 564 :名無しさん@ピンキー :2006/08/19(土) 12:52:53 ID:MW4neMfG
- 実験屋さんおめー!
- 565 :名無しさん@ピンキー :2006/08/21(月) 01:36:35 ID:5lxQaoDj
- おめでとうございます。
昔からのこのスレの愛好家として、心より慶びの言葉を申し上げます。
- 566 :名無しさん@ピンキー :2006/08/31(木) 00:38:07 ID:Lim4Zuxg
- age
- 567 :名無しさん@ピンキー :2006/09/02(土) 21:53:36 ID:9ea5U52n
- すさまじく過疎だな
- 568 : ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 08:59:25 ID:V4zS4zfA
- あげつつ保守
始めて投下します
百合ネタ注意
- 569 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:00:12 ID:V4zS4zfA
- 「……そんなので大丈夫なの?」
「平気。引っ越したばかりだから友達も居ないし」
――木下神楽(きのしたかぐら)はそう言うと、身に纏っている
シャツの皺を伸ばした。
四月。始まりの季節。
神楽とその双子の姉である鈴(りん)は、そろって同じ高校に通
うこととなった。親戚が高校に近いアパートの大家をしているため、
自然に二人はそのアパートに暮らす事になった。
おかしいのはそれから先だ。――神楽は女なのに、なぜか男とし
て振る舞っている。鈴はその理由を「聞いた事がある気がするけど
よく覚えていないの」と言うし、神楽はなぜかその理由を言おうと
はしない。
けれど現実世界に置いて、「神楽は男として振る舞っている」と
いうのは事実である。籍では女という事になっているのだが――
「行くよ、鈴」
「待ってくれてもいいじゃない」
入学式の朝。神楽と鈴は二人で登校した。無論徒歩数分で着くの
で、二人で登校しようが一人で登校しようが同じだが。
後ろで低めに一つにまとめた黒髪をなびかせて、神楽はちょっと
早足で歩く。鈴は困りながらも大きな歩幅で頑張って歩いていた。
神楽の身につけた男子制服はサイズが少し大きかった。それもそ
のはず、神楽は身長が異様なまでに小さいからだ。一四五ほどだろ
うか? そのため、男用の中でも一番小さいサイズを着用している。
「やっぱり、その服は大きいと思うのよぉ」
「それが? 僕は別にこれで良いんだから、指図しないで」
刺々しい言い方だと、神楽は自分を罵った。けどこれくらいがちょ
うどいいだろう。姉はいつも浮かれ過ぎだ。
「バレたらどうするつもりよ?」
「さすがに全校生徒全員には女だってバレないと思うけど」
そう言い捨てると、神楽は駆け足で学校の方へと走っていった。
- 570 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:00:44 ID:V4zS4zfA
- 入学式も終わり、少々長い休み時間が始まった。
新入生は、通常ここで自己紹介やらの馴れ合いをする。
神楽はだるそうに馴れ合いを見届けると、黙って瞳を瞑る。
新入生が神楽に目を向けないと言う事は、逆に男だと言う事が
バレないということだ。いっそこのまま一匹狼にでもなって、ふ
らふらとさまよい続けようか。
「――くん、木下くんっ!」
神楽はとっさに瞳を開いて、目の前に人物を凝視した。それこ
そ、睨むくらいの勢いで。
「木下くんって、木下さんの弟さんだよね! 私ね、びっくりし
ちゃって。今まで双子の人に会った事がなかったの」
赤茶けた髪をツインテールに結んだ少女は、ぱっちりとした二
重の窓を持つ瞳を輝かせていた。紅潮した頬は、男から見れば本
当に愛らしいと言われる部類に入るだろう。
「それでね、木下さんが『神楽に話しかけてもいいよ』って言う
から、私迷わず話しかけちゃったの」
良く喋る少女だ――神楽は興味無さげに「うん」「うん」と相
槌を打つ。それでも、少女は嬉々として喋る。これでもかという
くらいに。
「木下くんは部活決まった?」
「まだ。帰宅部でいいけど」
これは答えても良い質問だと察したので、神楽は返事をする。
少女は「じゃあ」とぽんと手を打って、神楽に向かってこう言
い放った。
「吹奏楽部に入らない? 私、中学の頃からフルートをやってて。
さっき木下さんに聞いたら、『私もバスクラをやりたいの』っ
て言ってたから。良い機会だと思って、ね」
悪くはないんだけど――そう言いかけた途端、後ろの扉が勢い
良く開いた。扉を開いたのは、背の低い――僕ほどでもないけど
――少年だった。ネクタイの色からして新入生だろう。
「七海、行くぞっ! ほら、変な男にはべらかされんな! 早く
行こうぜバカ! このあんぽんたん!」
「ひ、ひどいわねえ、あんぽんたんだなんて言わないでよぉ……。
もう、今行く! 今行くわよ! ――ばいばい、木下くんっ」
少年に半ば引っ張られるかのように、少女は教室から出て行っ
た。呼び出されたのか、はたまたもう帰るのか。
- 571 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:01:21 ID:V4zS4zfA
- HRが終わって、殆どの生徒はもう帰宅していた。が、鈴は新
しい友達とまだ話をしている。プロフィール帳かなにかの交換だ
ろう――そう思いつつ、神楽は鈴が帰ろうとするのをずっと待っ
ていた。
HRが終わって少し経ってから、少女は神楽の側に帰って来て
いた。心無しか、肌がつややかだ。
「ごめんねー。で、吹奏楽部に入る気ない?」明るい口調で言
う。
「悪くはないんだけどね。知識が無いし」
大丈夫大丈夫、と少女が胸を張って言う。「高校から始める人
もいっぱい居るよ。私は違うけどね」そう言って苦笑いした。
「今日帰ってから鈴に相談してみるよ」
「本当!? ありがとう、うれしい!」少女は神楽に抱きつく。
神楽は内心「初対面の少女が男に抱きつける筈が無い」と思った
が、その辺りはもう気にしない事にした。
「自己紹介が遅れたね、私は藤内七海(ふじうちななみ)。そっ
ちの名前はもう知ってるんだけど、自己紹介が聞きたいなっ」
「僕は木下神楽だけど」七海は「えへへ」と愛らしく笑った。神
楽は少々狼狽えると、黙って七海から目をそらす。
「えへへーっ。双子っていいなあ。かっこいいっ」
「そう思われるものなの?」「うん」間を空けずに七海が答える。
「勉強とか教え合えるし――あ、あとね、双子なのに同じクラス
ってすごいと思うの」屈託の無い瞳は、にこやかに笑っていた。
「――神楽っ、それでどうなのよ? 入るのぉ?」
帰る頃。部活もまだやっていないので、新入生は昼過ぎに帰る
こととなる。
神楽と七海の会話を鈴は聞いていたのか、神楽に向かってねち
ねちと問う。――吹奏楽部に入るのか、入らないのか。部活見学
も始まっていないこの時期に考えるのはまだ早いのだろうが、少
なくとも七海と同じくらい鈴は入部したいと願っているのだろう。
神楽は正直うるさいと思いつつも、「はいはい」と適当に相槌
を打っていた。
「……真面目に返事してよぉ」それを感じ取ったのか、ぶーたれ
た表情で鈴が言う。
「まだ考えるべきところじゃないと思うんだよね。早すぎる」
確かに悪くはないんだけど、と付け足すのを忘れてしまった。
それに七海には「帰ってから相談してみる」と言ってしまってい
る。神楽はあわてて訂正しようとしたが、時既に遅し。鈴は怒っ
たのか、すたすたと早歩きで家の方へと歩いていってしまってい
た。二十メートルほど先に居るので、普通に歩いていればまず追
いつくことはできないだろう。
神楽は呆れとやるせなさの混じった、大きなため息を吐いた。
- 572 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:01:55 ID:V4zS4zfA
- 「ただいまー」神楽が家に帰り帰宅の挨拶をしても、鈴は返事を
しなかった。――無視している、といっても過言ではないだろう。
そう感じ取った神楽は、一応家の隅々まで鈴を探してみること
にした。
「鈴ーっ、いないの? 僕が悪かったから出て来てよー」
台所兼リビング。返事は無い。
「鈴ってばーっ」
鈴の部屋。返事は無い。
「りーんーっ」
神楽の部屋。返事は無い。
「……いい加減にしてくれないと怒るよっ」
風呂場。神楽もさすがにここには居ないだろうと踏んではいた
が、ものは試しだ。
「りーんーっ、何処に居るのさーっ」
「ここよぉ」
風呂場の中から声がした。――神楽にとって、それはとても意
外なことだった。まさかこんなところに居るなんて、と神楽は舌
打ちする。怒らせたのは神楽の方なのだが。
「鈴、入るよ」そう言いながら、神楽は勢いよく風呂場の戸を開
いた。風呂に入っているのか、生まれたままの鈴の姿が其処には
あった。――浴槽のなかでだらりとしている。
腰まである濡れた黒髪、風呂に入ってのぼせた頬、ぼーっとし
て潤んだ瞳。神楽には無い、約八十八と言う大きなサイズの胸が
ぷるんと揺れた。この辺は姉の特権なのだろうか。正直神楽は男
子並に胸が無い。下を隠せばすぐに男子と一緒に温泉にも入れる
くらいだ。過去、何度かやったこともある。
「神楽ぁっ」
「え、あ、鈴!?」
濡れたまま、生まれたままの姿で、鈴が神楽に抱きついた。神
楽はよろめいて、浴槽の方へ倒れる。――水の跳ねる音がした。
「わ、新しい制服がっ」
「……いいじゃないのいいじゃないの。嫌なら脱いで来なさい」
鈴の言葉に「それもそうか」と神楽は納得したが、とたんに赤
面した。
- 573 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:02:58 ID:V4zS4zfA
- 「な、ぬ、脱ぐって……え!?」
「一緒にお風呂に入りましょうよ。久しぶりに」
「お風呂にはまだ時間が早すぎると思うんだけど」
気にしない事よぉ、と鈴独特の間延びした口調。鈴はにやりと
笑うと、神楽のブレザーのボタンに手を伸ばした。
「何して……」
「脱ぐ気がないんだったら、脱がせてあげるわねぇ」
神楽に反論させる隙を与えず、鈴は神楽のボタンを外し始める。
やがて上着を脱がせ終わると、水に濡れて透けたランニングシャ
ツが姿を現した。
「どこまで男の子のふりをするつもりなの?」真っ白でしみ一つ
ないシャツを、ゆっくりと鈴が脱がす。
「鈴っ、それ以上はやめてって……」
「久しぶりなのよね、神楽の身体を見るの」
ひとつひとつ丁寧にボタンを外す鈴の手を、神楽が払いのけた。
ぴっ、と音を立てる勢いで水が散る。神楽の顔にかかった。
「やめてっ」
「……うるさいわねぇっ」
下の方からボタンの外されているシャツを、鈴は一気に上にま
くり上げた。ランニングシャツと、全く無いと言っても等しい胸
が露になる。
「僕のを見るなっ」
「……ずいぶん小さいわねぇ」
ひたりと、鈴は神楽の胸にランニング越しで手を這わす。手の
ひらが乳首に当たるたびに、神楽は息を詰めた。
「……っは、やめ……」
「ぺったんこなのに乳首だけ勃ってる。淫乱ねぇ」
びくりと神楽が身体を震わした。確かに平坦な胸板にぴょこり
と突き出た二つの先端は、かなり目立っている。真っ白なランニ
ングシャツでも、淡いピンク色は隠しきれていない。
- 574 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:04:29 ID:V4zS4zfA
- 「今バストは何センチあるの?」
「……ろ……じ……っ」
「ろ? ろだけじゃ意味がわからないわ。教えて」
「六十……七……」
とぎれとぎれに神楽が言うたびに、鈴はにやりと目を細めた。
今までひたひたと這わせていただけの手を、ランニングシャツ
の中に差し込む。濡れた手で触っていたので多少湿っていた。
鈴は神楽の乳首を手でつねる。神楽は「あ」と小さく声を上げ
ると、必死で声を食いしばって耐えていた。
「……あ……っ」
「痛い? 痛いでしょうねぇ。けど、大きくしてあげるわねぇ」
胸の事なのか乳首の事なのかよく理解が出来ないが、確かに鈴
はそう言って、神楽の無い胸を揉み始めた。神楽はいたそうに顔
をしかめる。
「……う、いっつ……」
「大きくなあれ、神楽のおっぱい、大きくなあれっ」
まじないのような言葉を口ずさみながら、鈴は一心不乱に神楽
の胸を揉む。
「あぅ、いた……」
「そろそろかしらねぇ」そう言うと、鈴は神楽の身体を支えて浴
槽のはしに腰掛けさせる。神楽は痛みでぼーっとしていたのか、
あまり抵抗していなかった。
「ぴらーんっ」
鈴はそう言うと、神楽のランニングを乳首の丁度上まで引き上
げる。男子の胸板と言っても過言でない胸と、ぴんと勃った乳首
が姿を現した。先ほど鈴が揉んだせいか、ところどころに赤い痕
が見られる。
「……小さいわぁ、私の妹にしては」不満げに呟くと、神楽の乳
首をつんと指ではじいた。
- 575 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:05:30 ID:V4zS4zfA
- 「あっ」
神楽は身をよじらせて、必死に快楽に耐える。痛みも混じって
いるのだろうが、鈴はそんな事を殆ど考えては居ない様子だ。
つんつん、と何度も突っつくと、鈴は神楽の乳首を口にくわえ
た。
「あぁっ!? ……んっ、あ、やめて、り……」まるで母乳を飲
むかのように、吸い、噛み、なめと、鈴は乳首を責め立てる。神
楽の方も尋常の快楽ではないのか、身をくねくねとよじらせて必
死で耐えていた。――隣近所に声が聞こえないようにする為だろ
う、鈴は察する。
片方の手で責められていない乳首をくにくにといじると、一層
神楽の喘ぎ声は甲高いものになった。面白そうにそれを見つめる
と、鈴はさらに責め立てる。
「う、あぁ……っ、やめ……あぅっ」神楽は半泣きになりながら
も責めに耐えようとしているのだが、全く意味はない。むしろ逆
効果だ。
異様に神楽が股間を押さえているのに目を付けて、鈴は神楽の
ズボンを一気に脱がせた。
「あ、ちょっとっ」ズホンは浴室のタイルの上に放り投げられる。
後に残ったのは――男物のトランクスを身につけた神楽だった。
恥ずかしそうに顔を赤らめて、神楽は我に帰ったかのように胸
と下着を隠そうとする。だが、鈴によってそれは阻止された。
「上のシャツも邪魔よねえ」鈴はおかまい無しにボタンを外し、
神楽のシャツを脱がした。残りはランニングシャツとトランクス
を身にまとっているだけなのだが――
「着衣のほうがいいわよねぇ。可愛らしくて」そう言った鈴の所
為で、残りの下着を脱がす事は無理と言う事になった。
「……トランクスなんて、生理が来たときにどうするつもりよ?」
「トランクスの下に……」手をもじもじさせて、神楽が答える。
「そういえばまだ始まってないのよねぇ」
「うん」
神楽の顔は少なくとも真っ赤だった。姉にこんな事をされるな
んて、思っても見なかったせいだろう。
- 576 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:06:11 ID:V4zS4zfA
- 鈴は神楽のトランクスの窓部分から手を差し込んだ。先ほどの
前戯のせいか、トランクスのなかからぐちゅぐちゅと音がする。
「あ、嫌だっ……やめ……あうぅ」鈴の手が敏感な部分に当たっ
ているのか、神楽が少し声を上げた。鈴は面白そうな顔をして、
今度はゆっくりとトランクスのなかを円を描くかのようになぞる。
「ひうっ」
「面白いわぁ。これをこねたらどうなるかしらねぇ」そう言って、
鈴は神楽のクリトリスをくにくにとこね始めた。神楽は間もなく
甲高い声を上げる。
「きゃぁあ……っ! やめ、ちょ、りんっ」
あっ、と神楽が声を上げる。神楽の瞳には涙さえ見えた。――
しかし、鈴はやめようとしない。
「ああぁっ、あぅ」
「大きくなって来たわねぇ、だんだんと」
目を細めつつも、鈴は神楽をさらに責める。神楽のトランクス
のなかから聞こえるぐちゅぐちゅという音が一層大きくなる。
神楽の頬は赤く色づいていたが、その頬の色を薄くさせるかの
ように涙が伝っていた。乳首はぴんと立って、まだ触ってほしい
かのように主張していた。
「あぅ、あああっ……」
「あら? どうしたのー?」神楽の反応が急に無くなったので、
鈴は気になって手を止める。神楽が鈴の手を取って、トランクス
のさらに奥へと導いた。
「……や……」
「や?」
「いきそうなんだよっ、やめないで」涙と屈辱の混じった声を神
楽が発した。鈴はにやりと微笑んだが、まだトランクスの中の手
を動かそうとはしない。
- 577 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:10:24 ID:V4zS4zfA
- 「……たら」鈴が小さな声を出した。
「吹奏楽部に入るんだったら、この手を動かしてあげてもいいけ
ど。入らないんだったらここでおしまいねぇ」
「意地が悪いね、鈴は」まだ神楽の息は荒いままだ。まだまだ足
りないのか、目にはまだ涙が溜まっている。
「入るの? 入らないの?」
「うぅ」――そういう漫画で良くあるシーンだけど、実際に自分
が体験しているとなるとこれはかなり屈辱だろう。神楽はそう考
えた。
相変わらず意地の悪い笑みを浮かべた鈴は、神楽の返答を待ち
つづけている。もじもじと鈴から視線をそらす神楽は、鈴にとっ
てとてもおもしろい見物対象だ。汗なのか湯気なのかよくわから
ないもので湿った神楽の身体は、いつになく妖艶な雰囲気を醸し
出している。
「……入るよ、入るからいかせてっ!」
「了解っ」そういうと鈴は、待ち構えていたかのように一気に指
を膣の中に入れる。その瞬間、神楽の背が大きくのけぞった。
「ひあぁっ! んっ、あぅ……」鈴はぐちゅぐちゅと中をかき混
ぜながら、ふと疑問に思ったかのように神楽に問う。
「神楽って、処女じゃないのよねぇ。どうして?」
「あっ……それ、ん、は……ない、しょっ」
「内緒?」鈴の眉がぴくりと動く。それに対応するかのように中
に入れられていた指が三本へと増やされる。それぞればらばらに
ぐちゅぐちゅとかき混ぜると、神楽は大きい声を上げた。
「あぁあ、だめ、いっちゃう! うあああぁあんっ」
甲高い声とともに達した神楽はぐったりとすると、浴槽に腰か
けていた身体を、湯船の中につけた。服を着たまま湯船に入って
いるということを、気にするそぶりも無い。
「……う、はうぅ……」
「それじゃ、体験入部してから入部届け出しましょうねぇ。……
それにしても、内緒って?」少々怒りの混じった声で鈴が聞く。
「教えたらダメなんだ。鈴、とくにキミには」憂いを持った瞳で
神楽が言う。「そう」と納得したかのように言うと、鈴は俯いた。
「機会があったら教えて頂戴ね」鈴の言葉に、神楽は頷く。
「――にしても、風呂場でこんなことしないでよね。鈴にされた
ことはなかったんだけど。莫迦だなぁ、鈴は」
「莫迦って何よぉ、まったく。……第二ラウンド開始っ」
「うわあぁ!?」
双子の姉妹(特に妹)の受難はまだまだ終わらない。
終わり(第二話へつづく)
- 578 :はいすくーるでいず! ◆tfOOvljg.E :2006/09/03(日) 09:11:34 ID:V4zS4zfA
- とりあえず第二話もやるけど今のところはこれで精一杯
次からはちゃんと男も出てきますよ
- 579 :名無しさん@ピンキー :2006/09/03(日) 09:33:27 ID:t3sDntqI
- GJ!!
新しい職人さん期待してるぜ!
- 580 :名無しさん@ピンキー :2006/09/05(火) 20:53:57 ID:X7ypRXXe
- 神楽タン、身長145は無理ないかい・・・(*´Д`)アアン
- 581 : ◆tfOOvljg.E :2006/09/05(火) 23:40:35 ID:o0DeUeuf
- >>580
ごめんそれ俺の属性
- 582 :名無しさん@ピンキー :2006/09/07(木) 17:49:46 ID:UJAy8GPd
- なら仕方ない
- 583 :名無しさん@ピンキー :2006/09/07(木) 21:07:29 ID:du6sfG3d
- ちょっといいか?
某特撮板ライダー共闘スレにボクっ娘な敵キャラがいるんだが。
- 584 :名無しさん@ピンキー :2006/09/08(金) 23:30:27 ID:qCrWWPKx
- とりあえず、保守アンドage
- 585 :名無しさん@ピンキー :2006/09/09(土) 18:34:52 ID:hAreBFRy
- 絶望的に似てない双子(勿論二卵性)
ってことかな?
- 586 : ◆tfOOvljg.E :2006/09/09(土) 18:55:38 ID:8rtEmHHN
- >>585
それは「はいすくーる〜」のことかい?
一応一卵性のつもり(一卵性だと外見が、二卵性だと考え方がそっくりらしい)。
- 587 :名無しさん@ピンキー :2006/09/11(月) 05:49:33 ID:LfpAgNTF
- つ真奈佳奈
二卵性なのに外見も考え方もそっくり
- 588 :名無しさん@ピンキー :2006/09/12(火) 00:06:33 ID:KhIjPRBx
- とりあえず水葬は勘弁
- 589 :名無しさん@ピンキー :2006/09/14(木) 00:08:58 ID:WBNrBz8X
- 久々にしんみり笑える俺の思い出話でもするか
高校の頃、英語の授業に20代前半の結構イケメンなアメリカ人教師が来た。
授業は一人一人アメリカ人先生に名前を呼ばれ、前に出てマンツーマンで話をするっていう形式。
先生には授業前に生徒の名前をローマ字に直したプリントを渡してた。
授業が始まると片言の日本語で挨拶をする先生に女子連中はキャーキャー言っていたけど
それを結構厳しい口調で注意するような真面目な先生だったので、みんな真剣に授業に臨んでた。
授業は順調に進み、結構人気のあった女子の「新保(しんぽ)さん」の番になった。
先生はそれまでやってきたように大きな声で彼女の名前を呼んだ。
「ジャアツギノヒトネ。ンーーアーー・・・ちんぽ!ちんぽサン!」
生徒は一瞬凍りついた。教室にいた全員が瞬時に「笑ってはいけない!」と思った。
でも、たぶん「シンポ」と言っているんだろうけど、どう聞いても日本語の「ちんぽ」だったし
「それまで片言だったのに、なぜよりによって「ちんぽ」の発音だけがこんなにもネイティブなのか」とか
「なぜか「ちんぽ」に敬称を付けている」とか考えだすとみんな耐えられなくなった。
結局新保さん以外の全員が爆笑。新保さんは顔を真っ赤にしてうつむいていた。
その様子を見ていたアメリカ人先生は状況が飲み込ていないようなのだが、
生徒の一人がみんなの笑いものになっている状況だけは理解できたのだろう
突然般若のような顔になりその爆笑をかき消すかのような大声で「シャァァラッップッ!!」と全員を一喝した。
その表情とテンションの凄さに、教室は水を打ったように静まり返った。
しかし先生の怒りのボルテージは上がったまま。
新保さんの肩に手を置くと「ナンデ?ナンデミンナちんぽをワラウ?ちんぽガナニカシタ?」
全員が「まずお前のせいだ。あと男性生殖器の名称を連呼するのをやめてください」と思っていたと思う。
その後、慰めようとしたのだろう、先生はやさしい口調でうつむいて座っている彼女に語りかけた。
「ちんぽゲンキダシテ。マエニキテクダサイ。ちんぽスタンドアップ!」
新保さんも笑った
- 590 :名無しさん@ピンキー :2006/09/14(木) 12:50:57 ID:2DOlQI8N
- それでその新保さんは男装していたのかね?
- 591 :名無しさん@ピンキー :2006/09/14(木) 14:02:04 ID:mJurPcpI
- 脳内変換するべきだな
- 592 :名無しさん@ピンキー :2006/09/14(木) 18:52:31 ID:9Rm/VN9E
- ちんぽさんには関係ないけど、
山口百恵を男装させたら俺の理想になるんじゃないかと思ったりしてる。
職人気質のクールビューティーさん。
リアルタイムを知らないから、妄想が膨らみすぎてるのかも。
- 593 :名無しさん@ピンキー :2006/09/14(木) 18:58:51 ID:Xb4fYRmV
- >>592
女優は是さやかと日向まこと仲間由紀恵しか知らない俺への当て付けか
ググってくる
- 594 :名無しさん@ピンキー :2006/09/15(金) 19:23:32 ID:O078Xrcl
- コピペ乙
- 595 :名無しさん@ピンキー :2006/09/17(日) 00:30:01 ID:HWOavHS8
- ほしゅ
- 596 :名無しさん@ピンキー :2006/09/18(月) 11:42:57 ID:HT+mSz82
- 昔、タンタン(TINTIN)という外国の漫画があったんだ。
ALTの先生が、な。むこうの発音でタイトルを読んだんだよ。
そしたら……。
- 597 :名無しさん@ピンキー :2006/09/18(月) 13:14:50 ID:FNd/E93O
- >>596
もとは確かフランス語だったよな?
- 598 :名無しさん@ピンキー :2006/09/18(月) 21:05:16 ID:0MGUDwGh
- 男装キャラや僕っ子のいるラノベって何かありますか?
- 599 :名無しさん@ピンキー :2006/09/18(月) 22:44:11 ID:GpeJPQL4
- 男装とはちょっと違うが、男の子みたいな少女で、一人称が「ボク」で、元々は普通の女の子だったけど男みたいな振る舞いになってるのでいいなら、「キノの旅」をあげておく。
- 600 :名無しさん@ピンキー :2006/09/19(火) 01:01:08 ID:PqExTz2x
- >>597
フランス語読みでタンタン。
英語読みでティンティン。
- 601 :名無しさん@ピンキー :2006/09/19(火) 15:18:04 ID:MagoYqtI
- >>599
あれは「少女」である必然性がないからダメだと思う。
いや、3巻くらいまでしか読んでないからそのあとで仕掛けに使われてたりしたならスマンが。
- 602 :名無しさん@ピンキー :2006/09/19(火) 16:27:06 ID:8ADNwS7g
- >>601
巻数忘れたけど確か以下のネタがあった
・「結婚こそ人間の使命!! 離婚なぞクズのやることだ!!」
なんて感じの国で入国と同時に結婚仲介業者に引っかかる
・旅人をヤク中にして仲間に引き入れる部族と接触
逃げ出す際に「恋人に似てる」という理由で部族から協力者がでる
・死人としかセックルできない異常者向けの運び屋を助けて商品にされかける
くらいか
確か時雨沢自身キノの性別失念するときあるくらいだし別に男でも問題ないなww
ただ盗賊の試験に失格した男装少女が出てきたときは不覚にも萌えた
- 603 : ◆T2r0Kg7rmQ :2006/09/20(水) 01:07:03 ID:Gfese4Ku
- 同じ作者の別の作品「リリアとトレイズ」にもいますね。女の子だけど男の子の格好してるキャラ。
これも少女である必要性はあまりないサブキャラだけど、いちおう、主人公に「ヒロインに振られたらオレがお兄ちゃんをもらってやるよ」とか言ってた。
けっこうお気に入りのキャラなので、ここのエロパロ板の時雨沢スレでその男装少女の(ちょっと成長した姿だけど)エロパロSS書いたことあります。
- 604 :名無しさん@ピンキー :2006/09/24(日) 01:49:27 ID:N6JD8n3N
- 保守
- 605 :名無しさん@ピンキー :2006/09/24(日) 21:04:06 ID:NCBwBppf
- 優良有料動画配信サイト比較
http://hp43.0zero.jp/774/yudouga/
- 606 :名無しさん@ピンキー :2006/09/24(日) 22:19:28 ID:zEgLrxxj
- このスレ的に傭兵ピエールはいかがですかな
- 607 :名無しさん@ピンキー :2006/09/24(日) 22:42:47 ID:OAUlBLic
- ヒロインがジャンヌ・ダルクじゃん
このスレに萌えてないやつなどおらん
- 608 :名無しさん@ピンキー :2006/09/26(火) 21:02:03 ID:WaE0+8I3
- >>593
………………女優じゃねえ。
- 609 :名無しさん@ピンキー :2006/09/30(土) 00:09:13 ID:0ZoSUG6a
- FF5のリメイクのポスターでファリスが一番目立ってて嬉しかった
そういえば少女漫画で男装しているキャラていないのかな?勿論ちゃんとわけあって男装している感じで
自分BASARAの更紗と桜ホスのハルヒ位しか知らないorz
- 610 :名無しさん@ピンキー :2006/09/30(土) 00:50:06 ID:r2XolRvk
- お邪魔します。自作の駄文を投下させていただきます。
といっても、基本は6年前のかきかけ小説を少し手直ししたものですが。
ついでに言うと、まだ全然エロどころか萌え要素もないですハイ。
今回は、登場人物の顔見せ程度。
次回以降、少しずつ萌え要素が入っていく予定です。
では、投下します。
- 611 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 00:54:49 ID:r2XolRvk
- ぼくは、何もない空間の中にいた。
白い、世界だ。
空も、白かった。
いや、地面と空の境目の区別がつかない。。。地平線がなかった。
本当に、何もない・・・・・・
だけど、ぼくは怖くなかったし、寂しくなかった。
目の前に、一人の少女がいる。
年の頃は5・6歳程だろうか。
白い浴衣を着て、ぼくに背を向けて遠くをみつめていた。
ぼくは彼女を知っていた。
いや違う。ぼくは彼女を知らない。
知っているけど、知らない。
変なことだけど、それは本当のことなんだ。
ぼくは、彼女が何歳なのか知らない。
ぼくは、彼女がどこに住んでいるのか知らない。
ぼくは、彼女がなんでいつも遠くをみつめているのかを知らない。
でも、ぼくは彼女の「名前」を知っている。
そして、彼女もぼくの「名前」を知っている。
それだけで、ぼくたちには十分だった。
まだ子供だったぼくたちには、それだけで十分だったんだ。
急に、視界が変わる。
この景色は・・・・・・
そう、ぼくが、いつも彼女と会える場所だった。
町の中心にある、公園。
誰も遊んでいない、鉄棒の横に彼女はいる。
いつもと同じように、遠くをみつめていた。
そんな彼女に向かって、ぼくは歩いていく。
彼女と2・3歩の距離で、ぼくは立ち止まる。
こんなに近づいても、彼女はぼくに気づかずに、じっと遠くをみつめている。
ぼくはこのとき、いつも不安になる。
彼女は、ぼくのことを忘れたんじゃないか。
彼女は、ぼくのことが見えないんじゃないか。
彼女は・・・・・・
考えたらきりがない。
声をかけたら、間違いなくぼくに気づくだろう。
だから、呼んでみた。
「・・・・・・あの・・・・・・」
声が、震えていた。
自分でも、情けないと思う。
彼女は・・・・・・振り向かない。
ぼくの中の不安が、大きくなる。
心臓がドキドキいってる。
帰りたかった。
でも、帰るわけにはいかなかった。
ぼくは、彼女と遊びたかった。
- 612 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 00:55:38 ID:r2XolRvk
- 勇気を振り絞って、もう一度声をかける。
「あの・・・・・・ちゃん?」
やっぱり、声は震えていた。
でも、さっきよりは、ちゃんと発音できた。
彼女は・・・・・・まるで今魂が入ったように、ぴくんっ! ってすると、ゆっくりと、ぼくのほうを向いた。
その動きは、とてもゆっくりで・・・・・・そして、白い浴衣といっしょに動く体が、綺麗だった。
ぼくは、やっと彼女の顔を、目を、見ることができた。
そして、ぼくは驚く。
彼女は、泣いていた。
涙が、頬を伝っていた。
ぼくに気がつかなかったのは、声を殺して泣いていたからか。
いつもと同じように遠くをみつめながら、泣いていた・・・・・・・
「どうして、泣いているの? ・・・・・・何か悲しいことがあったの?」
ぼくは、困った。
泣いている女の子を目の前にして、どうしたらいいのかわからなかった。
「とりあえずほら、これで涙ふきなよ」
そういってぼくは、ポケットからハンカチを取り出して、彼女に渡した。
でも、彼女は涙をふこうとせず。
ただ、泣いていた。
どうしよう・・・・・・
ぼくがこまっていると、しばらくしてから彼女が話し出した。
「あの、ね、たるみちゃん・・・・・・ごめんね・・・・・・」
泣きながら、彼女はぼくに謝った。
なぜ謝るんだろう。
さらに、彼女はゆっくりと話し出した。
「ほんとうに・・・・・・ごめんね。あのね・・・・・・わたしね・・・」
「一体、どうしたの?」
「わたしね、もう・・・・・・たるみちゃんと、会えなくなるんだ・・・・・・」
最初、彼女が言った言葉の意味が、わからなかった。
(ぼくと、会えなくなる? ・・・・・・・!?)
「え・・・なんで・・・どうして!?」
自然と、声が大きくなる。
さっきも、このぐらいの声が出ればよかったのに。
「ごめんなさい! たるみちゃん、ごめんなさい! ほんとうに、ごめ・・・・・・」
最後のほうは、嗚咽で声になってなかった。
- 613 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 00:57:02 ID:r2XolRvk
- 「だから、なんで・・・・・・! もう、本当に会えなくなるの?」
頭が、混乱していた。
多分、まともな考えなんて、してなかったと思う。
「たるみちゃん・・・・・・そろそろ、時間なんだ。わたし、そろそろいかなきゃ。」
そういった彼女は、いつのまにか泣き止んでいた。
「泣いていて、ごめんね。今日は、お別れを言いに来たんだ。本当に急で悪いけど・・・・・・」
ぼくは、何も言えなかった。
「本当は、おわかれを言うことも出来なかったんだ。でも、いつも遊んでくれたたるみちゃんだけには、やっぱりおわかれを言わなきゃって・・・・・・だから、無理いって許してもらったんだ」
彼女はぼくをしっかりと見てくれていた。
だから、ぼくも彼女をしっかりと見る見返すことしかできなかった。
「でもね・・・・・・2度と会えないわけじゃ、ないんだよ。お天道様が何回も昇って、お月様も何回も上って。いつかきっと・・・・・・また会える日が来るよ」
そういうと、かぐやちゃんはぼくの手をつかんで、そっと、小箱のようなものを手渡した。
「だから・・・・・・これは、約束のお守り。このお守りを見て、私のことを思い出して・・・・・・忘れなければ、きっとまた会える・・・・・・から・・・・・・」
また、かぐやちゃんは泣き出していた。
・・・・・・ぼくは何をしているんだろう。
いつもいっしょに遊んでいたかぐやちゃんと、もう会えなくなる。
そして、彼女は、いまそのことで悲しんでいる。
ぼくは、ぼくには、一体、何が、出来る、いや、出来ることがあるのか・・・・・・
「もう、いかなきゃ。たるみちゃん、ごめんなさい・・・ありがとう。今まで、本当に楽しかった。」
「ぼくも、楽しかったよ・・・・・・毎日、かぐやちゃんと遊べてさ・・・・・・きっと、忘れないよ」
何か、したかった。
彼女を、ひきとめたかった。
でも、そのときは、悲しみがたくさん襲ってきて、ただ、かぐやちゃんを見送ることしか出来なかった。
「たるみちゃん・・・・・・目、つぶってくれる?」
「・・・・・・いいよ。」
いわれたとおり、ぼくは目をつぶる。
「たるみちゃん・・・・・・また、会える日を信じてるよ・・・・・・」
そう聞こえた瞬間、額に、生暖かい感触。
「え?」
驚いて、目を開ける。
- 614 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 00:57:48 ID:r2XolRvk
- 景色が変わる。
ぼくは、また白い世界の中にいた。
彼女は、もういない。
また・・・・・・同じ夢だ。
白い夢。
もう何度も何度も見ている。
繰り返し繰り返し、同じシーンを。
過去の自分なのか、それとも夢の中だけなのかもうわからない。
そして・・・・・・
その夢を見た日、俺は機嫌が悪い。
*******************************************************************************************
首が痛い。
腰が痛い。
手首が痛い。
・・・・・・っていうか、体中が痛ェ。
それだけじゃない、蒸し暑い。
寝汗が服に染み込んでぺったりと肌にはりついている。
この状態を言葉で表すと、アレだ。
不快度指数200%
でも・・・・・・眠い。
まだ寝ていたい。
しかし、人間の体というのは、一度目覚めて、体に不快感を感じると、なかなか眠ることが出来ないので。
結局、俺は起きることになった。
- 615 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 00:58:31 ID:r2XolRvk
- 目を開いて、体の不快感の理由がわかった。
俺は、床に寝転がって寝ていたのだ。
そういえば、昨日は遅くまで起きていたような記憶がある。
いつの間に眠ってしまったんだろう?
蒸し暑さの理由は、かけてあった毛布だ。
たぶん、眠った俺に那智が掛けてくれたんだろうけど・・・
枚数、多すぎ。
いくら冬でも、7枚はないだろう、7枚は。
起こしてくれれば布団まで自力で戻ったのに。
おかげでシャツが汗で濡れてる。気持ち悪い。
こういう日は、とりあえずシャワーを浴びるべし。
そう考え、自分の部屋を出たところで、那智に出会った。
「あ、垂水。やっと起きたんだ。寒くなかった?」
「ああ。おかげさまでな。」
とても蒸し暑かった、とまでは言わない。コイツに悪気はないのだ。
と、よく見ると、那智は背中に小さいリュックを背負っている。
「今日は土曜日だから、病院、いってくるよ。お昼ごはん買ってくるから、留守番よろしくな。」
「ん。気をつけてな。」
玄関から出かけていく那智を見送る。
因幡 那智。17歳。
今、俺が居候させてもらっている家の持ち主だ。
幼い頃から病弱らしく、毎週土曜日にはかかりつけの医者へ通っている。
体力ゼロで、非力で、そしてチビ。
しかし、容姿は、悪くない。
というより、言ってしまえば、美少年。
いや、下手すると美少女に見えるかもしれない。
一度、女装を進めたら殴られたけど。しかもグーで。
とはいえ、性格は悪いわけじゃない。
病弱なくせに元気で、よく外で走り回っている。
体の線は細いけど、やや日焼けした肌が、とても病弱な体質には見えない。
ただ、体力がないから、運動するとすぐに疲れて動けなくなる。
そんでもって、妙に気が利く。
さっきも、寝てしまった俺に毛布をかけてくれていたし。
いつも明るく振舞っているけど、無理に明るく振舞っているような気もする。
因幡家はそこそこ裕福な家庭だったらしいが、3年前、交通事故で両親を亡くしている。
那智は一人っ子だった。そして、親戚に預かられることもなく、この家で一人で生活することになったらしい。
その辺りの経緯は、あまり聞いていない。
1年間一人暮らしをした後、同年代の共同生活者を募集したということは聞いた。
一人で生活することは、やはりさびしかったのだろうか。
条件は、悪くなかった。
自分の部屋は与えられるし、家事雑用はほとんど那智がやってくれる。食事当番は交代制。
家賃は・・・かからない。
丁度その頃、大学に入学し一人暮しをしようとしていた俺は、その話に飛びつき、一緒に暮らし始めた。
ちなみに、那智は今、学校には通っていない。
病弱だからなのか、詳しい理由はわからない。
自宅で勉強して、18になったら大検を受けるそうだ。
毎日キッチリ勉強はしているようで、大学に入ってからほとんど勉強していない俺はとっくの昔に勉強はついていけなくなった。
- 616 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 00:59:12 ID:r2XolRvk
- 時計を見ると、11時。
腹は減っていたが、あと1時間かそこらで那智も帰ってくるだろう。
そうなれば、今朝食を食べると、昼飯に障る。
俺は、鳴っている腹を無視するため、TVのスイッチを入れた。
ブラウン管に、マイクを持った女性の姿が映し出される。
チャンネルを適当に変えてみるが、面白そうな番組はやっていないようだ。
他に特にやることもないしな。とりあえず、散歩にでも行くか。
扉に鍵をかけて、表に出る。
一瞬、那智が鍵を持たないで出かけたかもしれない、とも思ったが、そんなことはないだろうし、それほど長く出歩くつもりもなかった。
空を見る。
雲ひとつない、いい天気だ。
俺の住んでいるこの町は、都心部から少し離れていることもあり、自然がまだ多く残っている。
夏なんか、セミがうるさい。(そして、カブトムシを取りにくるガキの集団もうるさい)
しかし、空気はとても澄んでいるし、とても静かな町だ。
だからこそ、体の弱い那智がこの町で暮らしているのだろう。
ただ、ひとつ問題がある。
商店が、非常に少ないのだ。
一応、町の真ん中に商店街はあるが、鮮魚とか八百屋とか、食料品を扱う店ばかりだ。
まぁ、町の人口がそんなに多くないから、沢山店があっても客がこなくて潰れるだけだが。
おかげで、物入りなときは電車に30分程乗って都会まで出なければならない。
車があると便利なのだが、俺は免許を持ってないし、那智は免許をとれる年齢になっていない。
それでも、日々暮らしていく分には、この町で十分生活できるので、あまり不自由だと思うことは無い。
苦労するのは、年末・年始ぐらいか。
俺は、その数少ない店のひとつを今目指して歩いている。
といっても、家を出てわずか10歩でたどり着くのだが。
ようするに、隣だ。
隣の家が、数少ない商店のうちのひとつで。
だからこそ、俺はあまりこの町に住んでて不便と思わないのだ。
店の外の冷凍ケースには、いろんな種類のアイスが入っている。
今は冬なのに、何故置いてあるかというと・・・もちろん、買う人がいるからである。
そして、それは、俺だったりする。
俺は、ケースを開けて100円のカップアイスを取り出すと、ケースを閉めて店の中に入っていた。
店の中はそれほど広くはなく、当然売り物の種類も多くはなかった。
まぁ、駄菓子屋+αみたいな感じだ(どんな感じといわれても困るが)
そして、店の奥には、老眼鏡を掛けた愛想のいいおばあちゃんが・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・いない。
変わりに、俺と同じぐらいの年の女の子がいた。
- 617 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 01:00:05 ID:r2XolRvk
- 「おばあちゃん、いつのまに若返ったんだ?」
「・・・・・・そんなこという客には売ってあげないわよ。わたしのど・こ・が・おばあちゃんなのかしら?」
「冗談だ。気にするな。」
彼女の怖い視線を、俺はなんなく受け流す。
「で、アンタ誰だ。」
「人に名前を聞くときは自分からまず名乗りなさいよ」
なかなか道理だが、俺にその手は通用しない。
「悪いが俺は名前を持ってない。」
「ワケわかんないこと言ってないでさっさと名前いいなさい。」
そういった彼女の目は、怪しく光っていたように見える。
本気で怖かった。
「・・・・・・はい。」
ちきしょう、あの目には勝てん!
・・・、俺は何をやってるんだ一体。
「俺はこの店のとなりの家に住んでる深海垂水だ。・・・・・・これでいいか?」
「ちゃんと名乗れるならはやくいいなさいよまったく。で、お隣の深海さんが私に何の用?」
店に入って商品持ってレジに行って、何の用ってのはないと思うが。
「・・・・・・このアイスを買いにきた。」
そういって、さっきケースから取り出したアイスを渡す。
「冬にわざわざアイスを食べるの?」
「うむ。夏と違ってなかなか溶けないから安心してゆっくり食べられるぞ。っていうか、だからアンタ誰だよ。」
「私はさくら。塚守さくら。この店のおばあちゃんの孫よ。ま、バイトみたいなもんよ。」
そういうと、彼女は俺に右手を差し出した。
俺も右手を差し出して・・・・・・握手をする寸前、彼女が口を開いた。
「違う。」
言いながら、彼女は手の平を上に向ける。
「・・・・・・税込み105円よ。」
- 618 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 01:02:16 ID:r2XolRvk
- カラカラカラ・・・・・・
店の引き戸が閉め、垂水は店を後にした。
今、店に残っているのはさくらだけである。
「話には聞いてたけど、本当に男の子と暮らしてるんだ。あの子ってば。」
さくらは、頬に手をついて、しばらくぼぉっと考える。
「・・・うん。いい機会だし彼にも、手伝ってもらうかな? でも、いいところまでいく前に、途中で退場してもらうけどね。」
そういうさくらの口元は、にやりと笑っていた。
俺は今、玄関の前に座っている。
ドアよりかかって、右手にスプーン、左手にカップアイス。
「やっぱアイスはバニラが王道だろ。」
そんなことを呟きながら、アイスを口に含み、空をボーっ見上げる。
ときどき家の前を通るおばちゃん達が俺のことを白い目で見て通りすぎてるような気がするのは俺の考えすぎだということにしておく。
・・・・・・単に慣れただけとも言うが。
そんな感じでしばらくボーっとしながらアイスを食べていた。
そして、最後の一口を食べ終わったとき。
いつのまにか、那智が正面から俺をじっと見つめていた。
「うわっ!」
反射的に、俺は飛び退いた。
ゴン! と大きな音がする。
後頭部が痛い。
そういえば、ドアによりかかっていたんだから、後ろに飛べば頭をぶつけるのは当たり前か。
「何やってんの?」
「後頭部を鍛えてるんだ」
「・・・・・・バカ?」
五月蝿い。
俺は後頭部を手で撫でながら立ちあがる。
「いつから俺の目の前にいたわけ?」
「ん・・・・・・ついさっき。なんか幸せそーにアイス食べてたから驚かそうと思ってね。」
驚いた上に、頭も痛いぞ。
まぁ、頭打ったのは自分のせいだが。
しかし、気配がしなかったぞ。忍者かコイツは。
「それにしても、なんでこんなところでアイス食べてたわけ? 確か、前にもここに座ってアイス食べてなかった?」
「ここでアイス食べると幸せになれるからだ。300年前から伝わる王家の伝説なんだぞ」
「・・・・・・僕の家が出来てからまだ20年もたってないよ。」
「よくぞ見破った明知クン。それでこそ私のライバルだ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
一陣の風が吹く。
・・・・・・虚しいなぁ・・・・・・・
- 619 :遠い記憶 :2006/09/30(土) 01:02:56 ID:r2XolRvk
- 「あ、えーと。お昼、菓子パン買ったんだ。はやく食べようよ。アイスじゃ、お腹は膨れないよね?」
そういって、俺の目の前にパンの入った袋を差し出す。
そういえば、いいかげん腹が減った。
「確かに。いつまでもここにいてもしょうがないしな。」
俺は、ジーパンのポケットから鍵を取り出して、ドアの鍵を開ける。
ドアを開けて、家の中に入ると、
「はぁっ・・・・・・やっと家に着いたよ。疲れたぁ。」
フラフラしながら、アイツは家の中に入ってきた。
その姿を見て、俺は一言、声をかける。
「おつかれさん、おかえり・・・・・・那智。」
- 620 :610 :2006/09/30(土) 01:05:53 ID:r2XolRvk
- 第1話はここまでです。
第2話は・・・1週間か2週間以内に出せたらいいなぁと。
2話では那智がもっと多く登場します。
- 621 :名無しさん@ピンキー :2006/09/30(土) 02:58:11 ID:pigTgCqC
- wktkして待ってるぜ。
- 622 :名無しさん@ピンキー :2006/09/30(土) 17:08:31 ID:H8+Tqwbz
- >>609
風光る
新撰組もので少女漫画
- 623 :名無しさん@ピンキー :2006/09/30(土) 21:38:52 ID:W66q6LKp
- 職人さん光臨シテタ!
- 624 :名無しさん@ピンキー :2006/09/30(土) 21:46:52 ID:ykvNa4Sx
- >>620
とりあえず「・・・」はやめとけ。
点を3つ打って変換すると候補に三点リーダーがあるからそれにしたほうがいい。
- 625 :名無しさん@ピンキー :2006/10/02(月) 18:26:22 ID:3RqmNoTd
- >624
わざとじゃない?
三点リーダーは間隔が均一じゃないから
中点を使うこともあるよ。
- 626 :名無しさん@ピンキー :2006/10/03(火) 04:40:18 ID:g16PwZWm
- >>609
わけなしで男装は無理がありすぎるんじゃ?
ありえないこじつけでも一応わけはあるのしか読んだ事は無いな
ざ・ちぇんじ、東京クレイジーパラダイス、花ざかりの君たちへ
- 627 :名無しさん@ピンキー :2006/10/04(水) 07:45:08 ID:AVWn9e/7
- >>626
元々TSスレ用に書いてたみたいだからあまりキニスンナ
ただ理由なくて男装はちょっとな
せめてV系大好きとか……
- 628 :名無しさん@ピンキー :2006/10/04(水) 23:12:50 ID:Bil1TIkJ
- エロなし。どころか萌えも甚だあやしいが箸休めになれば。
投下します。
- 629 :1 :2006/10/04(水) 23:13:37 ID:Bil1TIkJ
- その日は半日休みだった。
駐留している田舎町からそう遠くないところでは小競り合いが続いているが、
国軍の主力部隊が出るまでもないといったところだ。
午前中の内に調練を終えた者は、久しぶりにきちんと料理された昼飯にあり
つけるはずだった。
が、町の様子がどうもおかしい。
特徴的な白木の屋根の雨どいに造花の飾りが結わえられ、もとは白色なのだ
ろう、年季を感じさせる温かい灰色の石壁にはこの地域の神を祀る文様のタペ
ストリーがいくつも並べられていた。
人々の顔は、祭りのそれである。
「なんだこりゃ」
国軍第一部隊隊長、アーレントは不意を突かれて立ち尽くした。
この町に着いてから三日、美しい道々を散策する暇はもちろん、宿を使うこ
ともなかったのだから祭りの準備に気づかなくても不思議はないのだが。
今は初夏。どうにも季節はずれである。
「町長の孫が嫁に行くんだってさ」
アーレントのひとりごとに返ってきた返事も、心からは納得していない響き
があった。
声の主の少年は、可憐な黄の造花を一本摘んでしきりに眺めている。
自身の栗色の髪にそれを挿す真似をしてから、ふんと鼻を鳴らして道に捨てた。
「へえ。そいつはめでたい。シトウェル、よく知ってるな」
「町中挙げて祝うようなものなのか?」
アーレントの問いかけは無視して、シトウェル少年は吐き捨てるように言った。
また何か、気に入らないらしい。
生意気盛りのシトウェルはいつもなにかしら不機嫌なのだ。直属の上司に敬語を
使わないことは常、飯にえんどう豆が入っていたから一日口をきかない、なんてこ
ともあった。
- 630 :2 :2006/10/04(水) 23:14:20 ID:Bil1TIkJ
「風呂屋が閉まってる。御祝日につきって」
頬を膨らますほどの不機嫌の理由はそれか。
アーレントは眉をひそめた。
「昨日の晩入ったろ」
「昨日だ。今日はまだ」
「いつもは毎日風呂なんて行けないと思うが」
「だから! 行ける時に行きたいんだよ」
「俺にはわからん」
「隊長は不潔ですからね」
シトウェルがアーレントの部隊に配属されて半年。国内の少数民族が反乱を
始めて三月。もうすぐそれも収束する。
その間なんとなく分かってきたことだが、この男はかなりの綺麗好きだ。ど
んなに厳しい状況の下でも必ず水浴びか、出来なければ体を拭いている。
一度居合わせたことがあったが随分長い時間かけてゆすいでいたようだ。
「ああもう、腹が立つ」
「怒ってもしゃあない。飯屋は開いてるから昼飯にしよう。うまくすりゃ祝い
酒の一杯でも飲める」
「くそ…… 食べ終わったら花嫁の顔を拝みに行ってやる」
「……おごってやるから、何もするなよ」
「しない」
そこまで礼儀知らずとは思いたくないが。青の目が冴え冴えと怖い。
悪い予感がする。
- 631 :3 :2006/10/04(水) 23:14:54 ID:Bil1TIkJ
- 飯屋の主人は背丈も度量も大きい男だった。結論から言うと飯をおごっても
らい、アーレントは上機嫌で店を出た。
酒は子供連れということで(俺はもう十六だとシトウェルは怒鳴ったが、親
父は頑固だった)飲めなかったものの、アーレント一人でまた来ればいい。
そこそこ機嫌の良くなったシトウェルと二人、その町唯一の神殿の前に来ていた。
「男が多いな」
「娘さんは美人だってさ。この田舎町で美人といってもどうせ……」
「聞こえるぞ。美人のシトウェルちゃん」
「……うるさい」
シトウェルの毒が過ぎるとき、彼が女顔の美人であることを揶揄すると一時
静かになる。
このあたりも最近分かってきたことだ。
揶揄といってもだが、アーレントにとっては多少の本気も混じっていた。
シトウェルが国王陛下の拝命を受ける時――それが初顔合わせになった――
その場にいたものはおそらく全員、彼の顔立ちの良さに目を奪われたと思う。
稚さの残る、けれど大人びた表情。知的な額を持つ涼しい顔立ちの、確かに
彼は美人だ。
女だったらさぞや幸せな結婚を望まれただろうに。
白塗りの壁に、鐘付きの尖塔が一本。天を刺す……と形容するにはかなり高
さが足りないそれを、神を象った彫刻が取り囲んでいる。
高台にある神殿から町に下る一本の道の両側には本物の花が植えられ、両開
きの樫の扉からは緋色の艶のある絨毯が階段までひかれている。
その一番最後の段から、前述の花道というわけだ。
絨毯には金糸で、扉には彫りで、それぞれに祈りの文様が見て取れる。
意匠の凝りをじっくり眺めてもいいところだが、あいにく神殿沿いの道は人
でごった返していた。
御正門(と呼ぶのが通例ではあるが、この神殿に扉はひとつしかなさそうだ
)前にいたっては麦の穂先だ。ぎゅうづめである。
鐘が鳴った。
新郎新婦が登場したのだろう。方々から祝福の声が上がり、歓声で一時耳が
塞がれてしまう。
アーレントは首を伸ばして、白い衣装にくるまれた件の花嫁を見た。
「ああ、確かに美人だが……」
シトウェルが正しかったようだ。このくらいの金髪美人なら王都にはいくら
でもいる。
「なあシトウェル。こんなもんだ。顔だけならお前の方がよっぽど美人だぞ」
「……見えない」
低い声。
「くそ。見えない。どてかぼちゃどもが」
- 632 :4 :2006/10/04(水) 23:15:26 ID:Bil1TIkJ
- 自身もそうであるアーラントは意に介さなかったのだが、なるほど大男が多
い。女子供に混じる背丈のシトウェルは何度も跳びはね、それでも彼曰くのか
ぼちゃで見えないらしい。
ふと思い立ち、アーレントはその首根っこを捕まえた。前で跳ばれるとうる
さいのもあるが、この子供にちょうどいい体勢というのを考えたのだ。
「見せてやる」
何なんだと見返してきた少年の腿を両手で掴み、ひょいと持ち上げる。
アーレントはこの人ごみにあっても頭一つ大きい。抱きかかえてやったらこ
の貧弱な少年でも眺望に恵まれるはずだ。
もちろん、そんな優しい動機だけではないのだが。
「げ」
シトウェルの温かい背中がぴしりと固まった。
「軽い軽い。紙みてえだ」
「下ろせかっこ悪い! こらアーレント!」
やっぱりまだ子供らしく、筋肉も十分ではない。薄い布越し、指の腹に当た
る腿の感触に、一瞬だけ戸惑う。
持ち上げてしまってからアーレントは気付いたのだが、これは相当危険な体
勢だ。うっかりすれば怪しいところに手を差し込んでしまう。
柔らかすぎるのだ。軽いいたずらだと言い聞かせないと、妙なことをしてい
る気分になってしまう。
アーレントは力を込めなおした。
「馬鹿、放せって! ちくしょう!」
「暴れるな」
「ちょっと、息かけるな変態!」
ちょうど口の前あたりに小さな尻の正面がある。変態とは心外だがしゃべり
にくいこと、この上なしだ。
首をどうにか回して、アーレントはシトウェルを見上げた。
これはいい。
耳まで真っ赤にして恥ずかしがる(怒っているのかもしれなかったが)シト
ウェルはそうそう見られるものではない。
「どうだ?」
アーレントは思わず笑みを浮かべた。
「花嫁さん見えるだろ?」
「こっちが見られてるよ!」
- 633 :5 :2006/10/04(水) 23:16:57 ID:Bil1TIkJ
- 周囲から、花吹雪散る階段を挟んだ向こう側からさえ、好奇の視線と失笑が
届いている。花嫁にいたってはその平凡な紅色の唇をぽかんと開け、田舎娘丸
出しだ。
「ああもう、笑いものだよ! 団のものがいたら!」
「いるだろうな。うちの隊も」
「……放せ!」
頭を三発殴られたが、糞生意気な部下をいじめる、もとい懲らしめるのに髪
の毛の十本や二十本安いものだろう。
この人ごみの中全身で暴れることもできず、シトウェルはもぞもぞと身をよ
じるのが精一杯らしい。
それにしても。
指先に感覚が集中してしまうのはどうしたことか。シトウェルが足をくねら
せるたび。
そういえば最近、女に触れていない。
なぜそんなことを連想してしまったのか。妙に生々しい感慨。振り払おうと
頭を動かし、尻にぶつかる。
今度はアーレントが固まる番だった。
「あ、あれうちのじゃないか」
実際には確認できなかったのだが。
我ながら何かをごまかしているのがばればれだと思いながら、適当な方向を
指でさす。
「嘘!」
あっさり、シトウェルは信じ込んでしまった。多少後ろめたく感じたが後に
は引けない。適当に隊の者の名前を並べる。
シトウェルの抵抗が大きくなった。手のひらに、ほどよい肉付きがまんべん
なく感じられる。
「おい、そんな動くと……」
いろんな意味で危ないぞと、まさに言いかけたとき。
「――ひゃ」
手が滑った。その、股ぐらに、親指が。
「あ、悪……」
慌てて指をひき滑らせる。
「ん……!」
- 634 :6 :2006/10/04(水) 23:17:31 ID:Bil1TIkJ
言い訳を、するわけではないが。
何というか、親指の爪で引っ掻いただけだ。物を触ったり、ましてや掴んだ
りなどしていない。していない。
予想外、というか予想なんてするわけがない『男の』甘い吐息。
「お、下ろす下ろす。ほれ」
正直なところアーレントはあせっていた。なぜか分からないが、単にくすぐ
ったがったと思うことが出来なかった。
明らかに何か、昼間に似つかわしくない種類の。
気まずい。
後悔の念で頬が熱くなる。
男の喘ぎ声も鳥肌物だが、男の頬染めもよろしくないぞと言い聞かせ、それ
をネタに笑ってごまかすことも考えたが、シトウェルが黙り込んでしまってそ
んな雰囲気でもない。
どうしたものか。
周囲にはもう二人の困惑に関心を寄せる者などいない。平凡な花嫁と、二人
に視線すら送られなかった花婿が場を取り戻していた。
「アーレント」
俯いたきりだったシトウェルが、ようやく口を開いた。
「何だ」
「あ、と……」
いたたまれない雰囲気から救われたと思ったのだが、シトウェルは煮え切らない。
- 635 :7 :2006/10/04(水) 23:18:05 ID:Bil1TIkJ
「どうした。早く言え」
「その、何か」
頼んでもいない軽口ならぽんぽん言うくせに。
思えば、腿が柔らかいと思ったときから調子が狂って仕方がない。
きょろきょろ空色の目を動かす表情と言ったら。
アーレントはシトウェルから目を逸らした。
「何か変とか、思わなかったか?」
「は?」
あんまりシトウェルが間を溜めたものだから考え込んでしまっていたらしい。
やましい気持ちを引きずりながら、急いで聞き直す。
「だから、何かおかしいとか、その、触っ……」
「何かとは?」
「……やっぱりいい!」
「いや、意味が」
「分からなくていいんだアーレント!」
音がしたのではないかと思うほど、真正面から目が合った。
瞬き一回分息を止める。
やっぱり、花嫁よりも美人だ。
耳にかかる短髪と同じ、栗色の睫毛。大きな木の実のような瞳の形はアーレ
ントが生まれて二十数年、五本の指に入る。
神様は、残酷なことをなさるものだ。
結局、結婚式に、それも冷やかしに来て主役をろくに見ず、神の像を見上げ
不信心なことを思うという、実に模範的な行動をその日、アーレントは遂行した。
鈍い彼がことの真相、シトウェルの秘密を知って神様を褒めちぎるのは、ま
た先の話になる。
おしまい。
- 636 :628 :2006/10/04(水) 23:18:56 ID:Bil1TIkJ
今まで静かにロムっていたが、ネウロを読んでつい衝動的な気分になった。
とても反省している。
- 637 :名無しさん@ピンキー :2006/10/05(木) 00:59:23 ID:LvLgNXUB
- …つづきは?
- 638 :628 :2006/10/05(木) 01:58:45 ID:ZGaN02zr
- 続きか…確かにばれるまで書かなきゃ男装ものは中途半端だよね。
単発シチュエーションとか書かせてもらっても問題ないですか?
男装がばれてからよりばれるまでが好きなんだ。
- 639 :名無しさん@ピンキー :2006/10/05(木) 06:49:14 ID:WXeK5Kno
- GJ!
シトウェル萌えた。
公衆の面前でおさわりえろい
続きぜひ書いてくれ。
>男装がばれてからよりばれるまでが好きなんだ。
同意する。男装ものの醍醐味だ。
- 640 :名無しさん@ピンキー :2006/10/05(木) 18:42:03 ID:H3C3ewdG
- >>626
609だが少女漫画だと趣味で男装やってるだけのやつも見たことあったからそう考えてしまってただけだ
訳があれば多少こじつけがあっても許せるよ
あと教えてくれてdクス
- 641 :名無しさん@ピンキー :2006/10/05(木) 19:01:30 ID:hzLWvN1W
- >>609
「あなたとスキャンダル」
一応わけあり風味。でもこのスレ的な好みではなさそう。
- 642 :名無しさん@ピンキー :2006/10/05(木) 19:35:19 ID:6BwzB/4X
- >>638
GJ!
気付く前の男同士のノリのやりとりもいいね。
続きをぜひお願いしたい。
- 643 :628 :2006/10/08(日) 20:29:18 ID:eO+T9aR+
- 長くなってあれですが投下します。結局バレ編。
前回の分は忘れても構わない感じです。
携帯で見たらえぐいことになってたので書き方変えてみた。
読みやすい書き方とか、この新参に教えて下さったら嬉しい。
困ったことに続くかもしれない。
なんだかどうにも申し訳ない。
- 644 :628 :2006/10/08(日) 20:29:54 ID:eO+T9aR+
アーレント・アルヴェルティ小隊長は大いに悩んでいた。
彼の寝台の上、目の前には十五、六の少年がすやすやと寝息を立てている。
栗色の髪の、実に愛らしい少年だ。睫毛は長く唇は適度に厚い。
起きているときはそれは綺麗な碧眼で――
いや。間違えている。
彼は少年ではない。
少女だ。
女人禁制のこの王都営舎に、なぜ女が。
それも男の格好で、軍人として。
というか、ついさっきまでこの女はアーレントの部下であり、男だったはずだ。
いや、三十分やそこらで性別が変わるわけがない。
頭が混乱している。冷静になればすぐに分かることだ。
「ああ、なるほど」
男言葉を使い、男のように振る舞い、男と名乗る。
「男装か。嘘を吐いていたわけだな。軍規を犯していた、と」
もう一度、アーレントは眠る人物を見た。
今度は最初からそのつもりで。
「……冗談じゃないぞ」
無防備に眠る美少女が、そこにいた。
- 645 :2 :2006/10/08(日) 20:30:36 ID:eO+T9aR+
思えば、廊下で出会った時から、その夜のシトウェル・クライヴは様子が変だった。
深夜二時に風呂上りというのがそもそもおかしい。
今にして思えば、それも連日連夜の事だっただろうと推測できる。
なるほど、人の部屋で寝こけてしまうわけだ。
曲がり角でシトウェルにぶつかった時アーレントは歩いていただけだったが、小柄なシトウェルは尻餅をついた。
立ち上がるよりも先に、舌打ちをし、アーレントのことを馬車馬と呼んだ。
「たく、廊下を走るな」
「走っとらん」
「じゃあもうちょっと優しい体つきになれ」
滅茶苦茶な言い分だが、この程度はシトウェルの常だ。
いつもならここでアーレントが適当にあしらって終わりだったが今回ばかりはそうもいかない。
時刻が時刻だ。
「……気をつけろよ。じゃあな」
「待て。お前こんな時間に何してる」
言ってから、アーレントはシトウェルの髪の毛が濡れていることに気がついた。
手にはちょうど、着替え一式が入るほどの袋を抱えている。
ふっくらした頬がほんのり赤い。
「風呂か。こんな時間に?」
「……悪いか」
シトウェルの視線が床を滑った。
「大いに悪い。皆と同じ時刻に入れよ」
「俺だってそうしたいさ」
「何だ? 事情があるのか」
- 646 :3 :2006/10/08(日) 20:32:04 ID:eO+T9aR+
悲しそうというかなんというか、少年の表情がくしゃりと歪んだ。
「持病でさ。激しい運動をした日には腰が痛くて。骨が軋むんだ」
「ひどいのか」
「それはもう。だからこうして、夜皆に隠れて温めてる。腰が痛いとかばれたら格好悪い」
「医者には?」
「言ってない」
骨が軋むとは。
アーレントも肩に障りを抱えている身、その苦しみはよく理解できる。
苦しそうな、でも秘密を打ち明けて少しほっとしたような、シトウェルの巧みな(と今になって思う)表情も相まって、アーレントはこの言葉を信じ込んでしまった。
もちろん嘘八百だったわけだが。
「そいつは難儀だな……」
「だろ? だからお願い、見逃して……」
両手を合わせ、珍しくも懇願の体勢に入ったシトウェル。
だがこのとき、アーレントは彼よりも彼の荷物を見ていた。
締まった口から、白いものがぺろんとはみ出ている。
「ん? それはなんだ」
「それ?」
「包帯か」
引っ張り出してみると、するすると伸びてきた。
随分長いが、包帯にしては目も粗く、厚い。
「あ! うわ、これはほら…… きょ、矯正用!」
「腰に巻くのか」
「そう! こうやって、ぐるっとね! おい、べたべた触るな頼むから!」
シトウェルの顔からは湯上りの色は消え果て、冷や汗まで浮かんでいた。
もしや、さっき転んだとき腰をぶつけたのではないだろうか。
シトウェルはどこが痛いとも言わないが、そういえばそのあたりをさすっていたような気もする。
アーレントは同情した。
この年で兵隊になり、腰痛持ちとは。
しかもそれをひた隠しにするとは。
見上げた根性だ。
- 647 :4 :2006/10/08(日) 20:33:09 ID:eO+T9aR+
「よし。俺の部屋に来い。一人では腰に巻くのも一苦労だろ?」
一瞬、シトウェルの顔から全ての表情が消えたことに、アーレントは気付かなかった。
「――いい!」
「遠慮するな」
「してない! 慣れてるから自分で出来る!」
「そうか。だがマッサージは一人では出来ないだろう」
嫌がるシトウェル(『かどかわしだ!』『やめろ変態!』)を引きずり、部屋に連れ込んだ。
それでもまだ逃げようとするシトウェルを何とかなだめ、押さえつけ、部屋の電気を点けないという奇妙な妥協案の末、彼をベッドにうつぶせに寝かせる。
シトウェルは落ち着かないようである。
暗闇の中ぼんやりと、しきりに上半身をくねらせているのが見えた。
本人の強硬な希望で、最初は服の上からマッサージに励んだ。
服が厚めだったこともあるが、この時点でアーレントは、シトウェルの腰が細いこと、男にしては柔らかい肉付きだと思っていただけだった。
痛めているのだからほぐすように優しくしたつもりである。
「加減はどうだシトウェル」
その甲斐あってか。
返事はない。よくよく耳を澄ませば静かな寝息が聞こえる。
開始三十分のことだった。
アーレントはちょっとばかり気を大きくした。
あれだけ嫌がっていた子供が、こんなに気持ちよさそうに眠っている。
今日はこのままここで寝させてやっても良い。
朝起きて、驚く顔もまた見物である。
ひょいと、シトウェルの服の裾を摘んだ。
どうせ眠っているのだ。
じかにやった方が、効き目がある。
- 648 :5 :2006/10/08(日) 20:33:49 ID:eO+T9aR+
裾から手を突っ込み、腰に触れたところでアーレントはやっといぶかしんだ。
服のごわごわした邪魔を削除した感触は、あんまりにも肌理が細かい。
すべすべと指が滑る。
温かいのも気持ちよく、手の平がうっかり意味のない往復をする。
「ん……」
シトウェルが身じろぎをした。
慌てて手に力を込めなおす。
今起きられたらそれこそ変態呼ばわりされそうだ。
わき腹を掴むような姿勢。
親指でごく軽く、骨の周りを押していく。
――ここで、気付いた。
手の平が追った腰の形。
くびれがある。
「…………いや」
もちろんすぐに否定した。そんなことがあってたまるか。
細い腰の男というのはいるものだし、シトウェルは子供、細くて当たり前だ。
だが、どうも……気になる。
「悪いシトウェル。ちょっと確かめさせてくれ」
小声で呟き、しばし手を宙で固め、迷う。
「……下、はまずいな」
平らな腹の下にゆっくり手を滑り込ませ、服を捲り上げながら頭の方向に滑らせる。
触れた腹があまりに温かかったので、シトウェルが自分の手を冷たく感じているのではないかと思ったがそれは杞憂に済んだ。
シトウェルは目を覚まさない。寝返りも打たない。
「……あれ」
手の甲に触れているはずのシーツなど感じなかった。
感覚は全て手のひらの上、柔らかいものにのみ集中した。
「嘘だろ?」
- 649 :6 :2006/10/08(日) 20:34:23 ID:eO+T9aR+
「アーレント!」
「なん、なんだ」
「五回も無視したな」
「……悪い」
「いや…… あのさ、昨日のことなんだけど」
結局あれから一晩明け、どうしたかというと、どうもしていない。
悩んだだけである。
時々寝返りを打つシトウェルを前に一時間、とりあえず部屋から追い出そうと思いついてから十分。
彼女を抱え上げ、部屋で下ろし、自室に帰還するまで十分。
それから朝まで考えていた。一睡もできず。
「ああ、そのことだが俺からも話がある」
シトウェルは緊張した仕種で首を傾げた。
「何?」
「大事なことだ。今日の夕方、俺の部屋に来い」
彼女もやはり、確かめたかったのだろう。
何かを納得したように、小さな肩を落として頷いた。
一応の結論は出た。
たった今出た。
この綺麗な少女が剣など掴む様を、見て見ぬふりなどできない。
昨日までなんとも思わなかった腕の切り傷、大股歩きにすら痛々しさのようなものを感じてしまう。
間違っている。
女性には平和的な場所で笑っていて欲しいではないか。
- 650 :7 :2006/10/08(日) 20:36:58 ID:eO+T9aR+
書類の散乱する木の机の上に腰掛け、シトウェルはどうも固い印象であくびをした。
「昨日は本当にしくじったよ。間抜けにもほどがある。すごい笑い話だまったく」
「いや、俺には笑えん」
閉めた扉を一旦開き、周囲に誰の気配もないことを確認して再び閉める。
今度は鍵をかけた。
「本名は? シトウェル・クライヴ」
「どうしてそんなことを?」
「しらばっくれるな。お前が女だからに決まっているだろう」
ひと睨みするとシトウェルは赤い舌を出した。
「ああ、やっぱばれてたか。一応確かめておかないとさ。シトウェルは本名。苗字は嘘っぱち」
彼女が座っている机の後ろに、大きな窓がある。
夕方から夜に移る直前の寂光が、あかがね色のカーテンを介して彼女を背中から照らしていた。
物は置いていないつもりだ。
狭い一人部屋には寝台とささやかな棚、机と椅子しかない。
「あんた紳士だったんだねアーレント。知らなかった」
昨日はな、と言おうか迷い、アーレントは口をつぐんだ。
今朝彼女は大いに慌て、後悔し、それから少しほっとしたことだろう。
男の前で寝こけても何もされなかったのだから。
「話すことは一つだ、シトウェル」
ぶらぶらと前後に揺れていた、シトウェルの足が止まった。
「ここを出るんだ。真っ当な、女の就く仕事に戻れ。それか男を見つけて子供を産め。お前のしていることは間違っている」
予想していたのだろう。シトウェルは聡い。
聡い、生意気な、可愛い子供だ。
「嫌だね」
頬を歪めただけのような笑顔で、少しもためらうことなくシトウェルは言い切った。
「どうしてそんなことお前に言われなくちゃならない。稼げる仕事を全部男にやるなんてうんざりだ」
「稼げる仕事じゃない。危ない仕事だ」
「何も危なくない。たまの諍いのどこが危ないんだ」
「人死にはある! こういう血なまぐさい事は――」
「剣の腕なら男にだって負けない!」
「そういう問題じゃない!」
「うるさい唐変木!」
シトウェルはいつのまにか机から降り、噛みつくような視線でアーレントを見上げていた。
確かに、可愛い子供のはずなのだが。
これは人の目だ。戦う人の。反抗する女の。
鍵をかけた。カーテンも引いてある。
相手はこちらの胸倉を掴んで唾を飛ばしている。
そっちがその気なら、多少手荒な真似になっても――脅かすだけなら。
彼女のためだ。
- 651 :8 :2006/10/08(日) 20:38:07 ID:eO+T9aR+
アーレントは静かに襟ぐりを掴む小さな手を掴んだ。
華奢で白い。
これで男に混じっていたのだから正気の沙汰じゃない。
「こういう危険は考えたことないのか。命を奪わず、ころされる」
「……仲間にか?」
アーレントは固まった。
けれどそれは表面に出ないほど僅かな時間。
シトウェルの手首を片手でまとめる。
力を込めた。
抵抗はなかった。
「そうだ」
「俺は」
初めて、シトウェルの眉が歪んだ。
「男だからね。俺を抱く奴は、だから変態。腹の底から蔑んで、死ぬまでそいつのことを馬鹿にしてやる」
怯えを目の奥にちらつかせて、ここまで大口を叩けるとは。
さすが、試験と訓練を乗り越えてきただけのことはある。
「わ」
突き飛ばすには距離が遠かった。
心のどこかに可哀想という感情があったのも嘘ではない。
抱えて、すばやく投げるように寝台の上にシトウェルを降ろした。
落下の瞬間、青い目はアーレントの腕を見ていた。
「お前は女だ。だから俺は変態じゃない」
シトウェルの手が引っ掻くような仕種をした。足も暴れる。
「いい加減にしろ! アーレント、お前こんなことする奴なのか!」
「騒ぐと外に聞こえる。問答無用で追放だ」
「お前もな!」
「確かめていたと言えば済む。今なら」
体重をかけたら折れてしまうのではないかと思ったのは初めてのとき以来だ。
それほど力を込めた。
シトウェルの力は予想以上に強く、何発か殴られ引っかかれ、やっと四肢を取り押さえた。
「くそ! くそ! 力だけは強いんだよお前らは! 放せ!」
「そうだシトウェル。お前は適わないんだよ。どんなに鍛えても」
「そんなのまだ分からない!」
「軍を止めると言え。神と王に誓って、これからは体に傷のつかない生活を送ると」
埃が舞う過程でめくれ上がった裾から、昨日は気付かなかった青あざが見えた。
槍か何かで突かれたのだろうか。
そこかしこに似たような跡がある。きっと全身に。
「……そうしたら俺は」
「止めるって? ゴーカンを? ふっざけんなよ、ちくしょう!」
シトウェルの膝関節が曲がろうとするのを足で押さえる。
「んなこと、言…るわけないだろ、馬鹿アーレント!」
- 652 :9 :2006/10/08(日) 20:38:48 ID:eO+T9aR+
「降参したくなったら、いつでも言え。すぐに言え。そうじゃないと、俺が本気で困る」
傷つけることになる。
昨日の晩まで軽口を叩きあっていた仲間を。
後には引けないかと考えたが、それを能動で可能にする手段は見当たらなかった。
ここでやめてしまっても、シトウェルには裏切られたという認識で記憶が残るだろう。
それはなぜか、耐え難い。
最後まで、もしくは、彼女に止めてもらえば。
「……責任転嫁できるな」
自分はシトウェル自身のこれからを思って、と。
卑劣だ。
卑怯だ。
最低だ。
これでは抱きたくなったから押し倒してみましたの方が、まだかわいい。
「本気で恨むぞ。ものすごく、お前のこと嫌いになるぞ」
「おかしいな。お前は俺のことを既に嫌っていたものと思っていたが」
「今以上だ」
「……構わない」
脱がされる自分を見たくないのだろうか、ずっと睨みつけていたシトウェルの視線が脇に逸れた。
白いさらしの結び目を解きながら、アーレントは思った。
そういえば昨日、巻いてやらなかった。
右腕でシトウェルの両関節を押さえながらの作業だがそれは意外とすんなり済んだ。
シトウェルは時おり体を震わせる以外は抵抗なく、それでも必死でシトウェルを拘束する自分が滑稽である。
- 653 :10 :2006/10/08(日) 20:39:35 ID:eO+T9aR+
「なあアーレント」
想像よりあざは少なかった。
そして、綺麗だった。
「止めときなよ。ほら、今ならまだごまかせそうだ。し、身体測定とかって」
「こっちの台詞だシトウェル。今なら、まだ……」
情けないことに、この早い段階でもう断言できなかった。
十六歳という年の女を抱いたことはないが、おそらくはその平均と思われる小ぶりの乳房。
薄暗い部屋の中で白く浮かび上がった気がして、目を細めた。
その頂点についているものはまるで小さい。
鼓動が激しいのか、不安げに揺れている。
思わず手をかぶせた。
「ちょっと、やめ……!」
アーレントと同じように、彼女にも言い切ることは出来ないようだ。
半ば恐喝のような条件を承諾しない限り。
それがどういうことか、ゆっくり考える余裕がもう、アーレントにはない。
昨晩も思ったことだが、シトウェルの肌は本当に手触りがいい。
色と見目だけなら確かに上がいるかもしれないが、絹と卵の中間のようなこんな女をアーレントは知らなかった。
色素と量で、こんなに薄く薄く透けた秘部も初めてみた。
「ん……っ、もう、あの、そこはだ、だめだ」
秘裂に指を滑らせる。
頑なではあったが、濡れた入り口に突き当たった。
なんどか往復してから、指を滑り込ませる。
「…………っ」
第二関節まですんなり入った。
温かく、柔らかく、時々慌てたように締まるのがシトウェルらしい。
優しい男ねと言われたことがある。
優しすぎて私には物足りないと。
以来、乱暴を試みたこともあったが、今はどうしても優しくなるしかなかった。
優しく犯すというのも変な話だが、可愛い部下の――そうだ、可愛い、シトウェル相手には。
- 654 :11 :2006/10/08(日) 20:40:14 ID:eO+T9aR+
吐息の湿度が高い。
日の光はもう、最後の一片になっているのか、それに縋るようにアーレントはシトウェルを見た。
目を瞑っている。
まぶたを撫でて、開けさせる。
潤んだ明かりが小さく灯った。
短い髪が汗で頬に張り付いている様、困ったように眉を寄せて、傷ついたことを隠すみたいに唇を結んで。
「綺麗だ」
目が離せない。
嘘はどこにもない。
「女のお前の方が、俺は……」
だが、口にも出来ない。
行為は睦言の入る隙間のない種のもの、一方的なものなのだから。
青い目があまりに澄んでいて、どいうなりゆきでこれが始まったのか忘れそうになる。
「なんでもない」
「だったら」
シトウェルの瞳がいっそう濡れた気がした。
「……最初から何も言うな」
ぞくぞくした感覚が背筋を這うのを、もうずっと我慢している。
さっさと太ももをわしづかみにしたかったが、このまま挿れても彼女は処女、達するなんて到底出来ないに違いない。
痛い思いをさせ、彼女の望まぬ手段で初めてを奪うのだ。
せめて一度くらいは。
「は? アーレント!」
抗議の声はすぐに掻き消えた。
閉じようとする腿を押し返し、顔を寄せる。
独特の香りが好ましい程度に鼻を擽る。
そっと息を吹きかけると、入り口がぴくりと動いた。
「アーレント、何、する……」
触れるようなキスを丘の上にしてから、彼女をいじめにかかる。
- 655 :12 :2006/10/08(日) 20:40:50 ID:eO+T9aR+
「あ、え、ああ、なに、これ、んんっ……アーレン、ト」
こんなときに幸福を感じてしまうのは、間違いのような気がする。
まだ早いという意味でも、犯罪行為の合間だという意味でも。
「ひっ、あ……っ」
どこもかしこも控えめだった。
招き入れる花びらも薄く、もちろん蕾もとても小さい。
舌先でないと扱えないような気になるほどだ。
シトウェルは自慰を知らないのだろうか。
漏れる声に驚いたように自分の口を手で塞ぐ姿は、感じているのと半々で途方にくれている感がある。
可愛いと思って見つめると気付かれた。
「こっち、見んな、ばか……」
彼女が意図した睨み方になっているか、甚だ怪しい。
蕾を絡み取るように舐めると、シトウェルは子犬のような声を上げて目を瞑った。
そろそろ追い詰めていいかもしれない。
でないと、こっちが先にどうにかなってしまう。
追い詰められているのだ。とっくの昔に。
「あ、あ、…レン、待っ……ああっ!」
口周りで舌が鳴ったのか、シトウェルの部分が鳴ったのか、卑猥な水音が大きな存在感を持って耳に届いた。
細い腰が浮いた。
シトウェルを見る。表情を。
半開きに綻んでいた唇がきゅっと閉じ、薄暗がりのなかで瞳が星のように輝いた。
荒い呼吸の、甘い香りが届いてくる気がする。
ああ、そうだ。
眉を寄せる表情というのをシトウェルは普段からよく見せていた。
その皺が寄ったのを何度も見ていて、なぜ彼女が女だと気付かなかったのだろう。
シトウェルが今度顔をしかめた時、今日を思い出さずにいられるか自信がない。
無駄な脂肪のない、引き締まった腹が一瞬しなり、すぐに落ちた。
- 656 :13 :2006/10/08(日) 20:42:06 ID:eO+T9aR+
「……悪いが、シトウェル」
シトウェルはぼんやりと、何が起こったかわからないような顔をしていた。
「まだ終わらないんだ。いや、その……」
本当なら、ここで聞かなければならないことがある。
まだ軍を辞める気はないか。
そうしたら、ここで止めてやると。
シトウェルは何も言わなかった。
アーレントが何に躊躇したのか良く分かっているはずだ。
つくづくひどい、と口の中だけで呟いて、アーレントはシトウェルの足を掴んだ。
「…………ほん……に」
シトウェルが呟いたとき、よりによって先っぽだけ挿入されたという状況だった。
じりじり、冷や汗すら流している心地でアーレントは彼女を見下ろした。
「アーレント、本当に……」
――今さら。
答えの代わりに、腰を押し進めた。
「い……!」
泣かれたらという想像が一瞬頭を過ぎったが、シトウェルは痛いとすら言わなかった。
ひたすら歯をくいしばっているようだ。
この狭さで痛くないわけがないのに。
呼吸音だけが急激に高まった。
繋がった部分から頭に、感覚が総動員で走る。
だめだ。
理性がはじける。
そこから先は、快感を貪る動物だった。
- 657 :14 :2006/10/08(日) 20:43:34 ID:eO+T9aR+
カーテンを引くと、赤みがかった大きな月が低いところで輝いていた。
雲が早い。
「あーあ」
アーレントが振り返ると、肩までシーツで隠したシトウェルが頭を掻いていた。
「俺が明日馬に乗れなかったらどうしてくれる」
なんと答えればよいやら。
迷って、ごく真っ当なことをアーレントは呟いた。
「辞めちまえばいい」
「どこで働くのさ」
「手配してやる」
「ここ以上のお給料で?」
「それは……何だ、できるだけだな」
「話にならない」
言葉を濁してしまうあたり、出世しないタイプだとアーレントは自分で思う。
「話にならないけど……頼んでやろうかな」
小声で吐き出されたシトウェルの言葉に、アーレントは顔を上げた。
どうして急に、あんなに拒んでいたものを。
「ああ……ああ、必ず、いいところを見つけてやる」
「どうだか」
「まかせろ。シトウェ……」
――これは多分、一生ものだ。
一生引きずる後悔に違いない。
「…………」
アーレントは足元を見た。
月明かりで伸びた影は寝台に、シーツの波の上で泣いているシトウェルに届きそうだ。
何度も口を開き、謝りかけ、言葉が見つからず途方に暮れた。
- 658 :628 :2006/10/08(日) 20:44:39 ID:eO+T9aR+
- 次でおしまいのはずだ
- 659 :628 :2006/10/08(日) 20:47:06 ID:eO+T9aR+
- あ、話がね。
今回の投下は以上です。
1レスにどれくらい詰めればいいやら
- 660 :名無しさん@ピンキー :2006/10/08(日) 21:15:47 ID:GCAzefir
- 超GJ!今回のはかなり見易いから気にしなくていいと思うよ。
つーか、このくらい文章が上手いと改行の具合なんて気にならない。
シトウェルがどこまでも強いのがいいね。
アーレントの迷いもいい。すごくドキドキした。
続きも楽しみに待ってるよ。
- 661 :628 :2006/10/08(日) 22:21:40 ID:eO+T9aR+
- あー
>>647
×『かどかわしだ』
○『かどわかしだ』
お恥ずかしい。。
- 662 :名無しさん@ピンキー :2006/10/09(月) 01:20:26 ID:MFFcnGeJ
- + ∧_∧ + + うわヤバイ萌え
(0゚・∀・) ドキドキ 。
oノ∧つ⊂) +
( (0゚・∀・) ワクワク 。
oノ∧つ⊂) + + 。
( (0゚・∀・) テカテカ 。
oノ∧つ⊂) 。
( (0゚・∀・) ワクワク +
oノ∧つ⊂) 。
( (0゚・∀・) テカテカ +
oノ∧つ⊂)
( (0゚-∀-) ワクワク +
∪( ∪ ∪ 。
と__)__) 続きも期待しています
- 663 :名無しさん@ピンキー :2006/10/15(日) 23:41:23 ID:PbaHUtvP
- なんか急に過疎?
- 664 :名無しさん@ピンキー :2006/10/16(月) 09:27:37 ID:7GGOrsNM
- 超GJ!!!!
何このエロ切なさ
- 665 :名無しさん@ピンキー :2006/10/20(金) 09:18:51 ID:ESVaWxYO
- うわーなにコレ
胸を鷲づかみにされた!
- 666 :名無しさん@ピンキー :2006/10/21(土) 21:03:36 ID:NXJPKBUw
- 捕手
- 667 :名無しさん@ピンキー :2006/10/23(月) 06:30:25 ID:2CFD6/sY
- 男装系の彼女がほしい…。実験屋さんは幸せなのかな?
- 668 :名無しさん@ピンキー :2006/10/24(火) 01:13:33 ID:sc2+spvL
- 男装"系"って何だ?
- 669 :名無しさん@ピンキー :2006/10/24(火) 03:19:22 ID:0cPFZYmW
- アミノ式って事さ
- 670 :15 :2006/10/24(火) 18:40:14 ID:MkLBr2bK
遠く垣根越し、アーレントはシトウェルを見つけた。
ベンチに腰掛けてなにやら手紙を読んでいる。
物憂げな表情だ。
眉に皺が寄っている。
腿の付け根を見た。
膝に広げた手紙を見つめる手から、緩やかな前屈姿勢を保つ腰、平らな腹と胸と、首筋まで見た。
高ぶるような感覚が蘇ってきたのか湧いて来たのか、出所は分からない。
シトウェルがもはや男になど見えないことへの自己嫌悪に陥いっているところを、彼女に見つけられた。
シトウェルは一瞬微笑みかけ、すぐに表情を強張らせた。
「……おはよう」
挨拶は曖昧で、唇のを持ち上げてやっとひねり出したような感じだ。
昨日の今日なのだから、当然だろう。
静かに部屋を出て行った足音も覚えているし、特有の爽快感もだるさも、身体に残っている。
おそらくはシトウェルにも、もしかしたら馬に乗れないほど。
「……ああ。そっちに」
行ってもいいか、と聞きかけて、さっきの想像を思い出した。
「いいよ」
軽く腰を浮かせてシトウェルが右隣に空間を空けた。
やましい気分が残っていたのに、座るしかなくなってしまう。
のろのろと常緑の垣根を回り込んで、腰をおろそうとしたときだ。
シトウェルがごく僅か、けれど確かにびくりと肩を震わせた。
一瞬のこと、もちろんあからさまな声など上がらなかったのだが、十分過ぎた。
一昨日までのシトウェル――アーレントに接する生意気な少年が頭をよぎる。
彼はたいてい、アーレントのすぐ隣か、すぐ後ろに居た。
- 671 :16 :2006/10/24(火) 18:41:43 ID:MkLBr2bK
出来る限り距離を開けた。
シトウェルは何でもなさそうに手紙を握りなおし、袖をひっぱり、目を伏せた。
「就職のことだが。お前の希望を一応聞いておきたい」
「……それなんだけど」
ごく小さい声でシトウェルは続けた。
「俺さ、やっぱり辞めない。ここで働く」
「……何を」
「辞められないんだ。お金がいるんだよ。家族を食わしてやらないと。弟と妹が全部で七人居て」
「は?」
「今朝手紙が来たんだ。母さんが倒れたって。本当に。信じてくれ」
疑っているわけではない。
見上げてくるシトウェルの表情は必死だったし、嘘を吐くような人間では――思い切り吐いていたが、こういう場面でごまかすような人間ではないと知っている。
「……お前、どうしてそのことを昨日言わなかったんだ」
小さな唇がきゅっと閉じた。
答えはなかった。
「知ってたら俺はお前にあんな……ああ、違う、とにかく!」
シトウェルが事情を打ち明けて、相談してくれていたら。
いやそもそも、相談の機会すら与えずあんな状態にしたのは自分だ。
でももし、やっぱりきちんと話を聞いてさえ――
「だ、だってアーレントだったら絶対、こんな話したらさ、助けようとするだろ? あいつらには俺の稼いだ金で食わせてやりたいし、それに……」
そうだ。
そうなのだ。結果は変わらない。
シトウェルに貸せるだけの金を貸した後、やはり軍でないところで働けと言うだろう。
ほら見ろどっちにしろ抱いてたじゃないかと頭を抱えるアーレントの横で、シトウェルは手紙の端を折り曲げている。
「それにな、一生お前に頭が上がらないのは嫌だなって思ったんだ。お前なにかと偉そうだし、先でからかわれたら……」
喉の奥から搾り出すような声。
さすがのアーレントもようやく気がついた。
シトウェルは信じていたのだ。
あとでからかわれたり、普通に話したり、そういう日常のまま居れる事を。
つまりアーレントなら、ばれても『そんな事態』にはならないだろうと。
そして思い切り裏切られた。
- 672 :17 :2006/10/24(火) 18:42:33 ID:MkLBr2bK
「アーレント、お前は……」
常々、声変わりが遅いと思っていた高い声が呟いた。
思わず奥歯を噛む。
罵詈暴言を覚悟したアーレントの耳に、かすれた言葉が届いた。
「俺がいなくなっても――」
少し待ったが、続きはなかった。
シトウェルは何か自分を責めるように揃えた膝を見ている。
「ごめん。なんでもない、わす……」
「別に困ることはないから、心配するな」
シトウェルが気に病むことは分かった。
実のところ彼女は良く働く。
新入りの中でも、腕はいまいちだが労を惜しまないことで好かれていた。
だが、こう言ってはなんだが、部下の代わりならいる。
男がいくらでも。
「……そう」
短い返事が返ってきた。
そうか、いなくなるのかと、考えてふと、アーレントは気づいた。
最初に出て行けと言ったとき、いつでも会いに行けるつもりでそう言った。
だが今は――今は。
「……お前は自分と家族のことだけ心配してりゃいい。そうだ」
なんとも表現しがたい喪失感のようなものが胸を衝いたのを感じながら、アーレントはシトウェルを見た。
色素の薄い肌が、いつもよりぼんやりとしている。
気丈な印象はそのままだが、幾段か冷たくなったようにも感じた。
「ほら」
こういうのは辞めるときに渡した方がいいのかもしれないが。
「何、これ」
「餞別だ。少ないが、足しにしろ」
アーレントが差し出した小袋を、中身が分かったのだろう、シトウェルは広げなかった。
金属のぶつかる音が、アーレントより二周りは小さい手のひらの中で控えめに鳴った。
- 673 :18 :2006/10/24(火) 18:43:19 ID:MkLBr2bK
横目で様子を伺う。
シトウェルの瞳が揺れている。
喜ばないことは分かっていたが、怒られないことも予想していなかった。
「……質問していいかな」
「何だ」
「どうして、お金?」
質問の意味を考える暇も与えないほど、まっすぐな視線が刺さる。
「金が要るんだろ」
「その話をしたのはさっきだ」
「……昨日も金の話をしていた。覚えてないのか」
「じゃあどうして、手渡し?」
予定していた答えが返ってきたかのように、シトウェルは続けた。
答えられない。
その質問には、答えられない。
「お前の性格だったら、上から下りる金に適当に色つけんだろ。自分からだって言わずに。
それか、俺の田舎に直接送るか。どうしてこんな、わざとらしく俺に手渡しするんだ」
「何を深読みしてるか知らんが――」
「深読み?」
きっと釣り上がる眉。
シトウェルの全身が尖ったようにさえ感じる。
「浅すぎて反吐が出る。この金は餞別なんかじゃないね。言ってやろうか。
お前の良心に支払ったもんだ。俺にしたことへの侘びだよ」
「……それは」
「図星だろ」
「……それだけじゃない」
「ああ、じゃああれかな」
鼻を鳴らすシトウェルが、虚勢を張っているように見えるのはなぜだろうか。
問い詰められているのはアーレントなのに、追い詰められているのは彼女の方だ。
「気持ち良かったか? だろうな。全然余裕ない感じだったもん」
全くいつもどうりの、年齢も階級も完全無視の餓鬼の言葉遣い。
けれど表情はいつも通りでない。
今にも泣きそうなほど。
直視できない。
「……これは俺にくれたんじゃない」
胸に袋をつき返された。
殴られた気がした。
「俺にじゃない――初客を取った娼婦に払った金だ」
- 674 :19 :2006/10/24(火) 18:44:02 ID:MkLBr2bK
「…………」
肩の筋肉が動かなかったことにほっとした。
シトウェルを怖がらせるのはもうこりごりだ。
「勝手なことを、言うな。誰がそんなつもりで――」
「じゃあ何だってんだ。あ、あんなのってない。ほら見ろ、こことか痣できてる!」
「見せんでいい!」
袖を捲って白い腕を晒したのを慌てて掴む。
唾を飛ばしながらも、アーレントは考えた。
シトウェルの言葉に、驚くよりも腹が立った理由。
手を上げそうになった自分に純粋に驚いてしまったわけ。
「お前なんかだいっ嫌いだ!」
疑問はすぐにかき消された。
シトウェルの長い睫毛が音を立てて瞬き、押しつぶされた涙がはじけた。
「痛かったんだ! 俺はすごく、理不尽な、びっくりして、痛かった!」
支離滅裂な言葉の連なりが、痛々しい。
「……悪かった」
「お前は全然、痛くないし怖くないし! ――俺が居なくても困らないだろうけど!」
語勢はここで一旦断たれた。
もう完全に感情を抑えきれなくなってしまったようだ。
際限なくこぼれる雫が伝う先をアーレントは目で追う。
自分の指の上に落ちて初めて、シトウェルの腕を掴んだままのことを意識した。
「……困らないだろうけど。お、俺は」
「シトウェル」
「俺は、困るんだ。すごく、困るんだ。だって、き、昨日からずっと、悲しくて。ずっとだ!」
「……とりあえず、その、泣くな」
「だったら、そんなに、出て行けばっかり言うな!」
二粒目が中指に落ちた。
指の間に浸み込み、白い方の腕に移った。
- 675 :20 :2006/10/24(火) 18:44:41 ID:MkLBr2bK
それからしたことはごく簡単なことで、要するに、待った。
シトウェルが泣くこと、悪態を吐くこと――それを聞くのはもはや何の苦痛もなかった――や、その他色々、治まるまで。
「なあシトウェル」
泣いたことが恥ずかしいのか、シトウェルは気まずそうな怒り顔を持て余しているように目を合わさない。
時々、のどと肩がこくこく震えた。
目の淵が見事に赤くなっている。
もう数十分もすれば腫れてしまうだろう。
「すっかり忘れていたことがあるんだ」
「……なんだよ」
「怒るなよ」
「だからなんだ」
せっかくの顔が台無しになる前に、それはそれで可愛いとは思うが、とにかく早急に、冷やしてやらなければ。
早急に。
「退役金出るのな、二年目からなんだ」
シトウェルがやっとこちらを向いた。
「……何それ」
「そうなんだ。今辞めたらお前、文無しだな」
「それは……困る。無理、だ」
堪えているような、内側を見せまいとする表情。
アーレントは最初それを新鮮な気持ちでそれを見つめたが、瞬き一回するまでに気づいた。
生意気そうな無表情というのは、彼女の基本状態だった。
気づかないぐらい最初から。
「俺が貸してやりたいが、そんなに裕福でもない」
「貸さ――貸すな!」
アーレントの上着を掴んだ力とは裏腹に、シトウェルの短髪はふわふわと風に揺れている。
「貸さないでいい。俺に貸しを作るな。俺も、作らない。さっきお前が謝ったからあれは忘れる」
さっき、とは、あのどさくさ紛れの言葉をさしたのだろうか。
それではあまりに誠意がないと反論しかけて、だが、できなかった。
「駄目とか言うなよ。もう決めたから。……な?」
縋る瞳にやられる、とはよく聞く話だが、今は彼女の目はそれには当てはまらない。
しなだれかかるような女の特有の臭いが一切取り除かれた嘆願はさっぱりとまっすぐで、男として過ごしてきた彼女らしい。
わざと怒ったような眉の皺が、正確な言葉にされるよりも伝えてしまう。
雑多な事情をすっ飛ばして、そんな表情を浮かべる彼女が好ましいと強く思った。
- 676 :21 :2006/10/24(火) 18:51:13 ID:MkLBr2bK
「……ああ、分かった」
その魅力的な表情から暗い色がはじき出された。
「本当?」
「いや、そういう意味では――まあいい。それもある。分かったから、あと二年はここに居ろ」
大輪の花には遠く及ばない。
ちょっと悪く言えば『儲けた』、または『助かった』といった様子で、シトウェルは微笑んだ。
「……了解! あー、これでチャラに……」
「いいや。もう一つある」
「……あー…… ええと?」
思い当たらないらしい。
少しだけ間を置いて、ごく軽く、シトウェルを睨んだ。
「俺は娼婦なんか抱いた覚えはないが」
手に小袋を持っているままだったことに、シトウェルはやっと気づいたらしい。
あ、と短い声が漏れた。
あたふたとアーレントのほうに押しつけてきたが、無視した。
「あのな、よく聞け。俺にサドの気はない。暴れられたり泣かれたり、相手が心底嫌がってると思ったらできない」
「したくせに」
「そうだ。した。それを、感情なしに娼婦を抱いているのと一緒にされたら我慢ならない。 ……つまり、そういうことだ」
シトウェルが唇を尖らせた。
「そういうことってどういうことだ。意味がわからない」
俺もさっきまで分からなかった。
――とは、言わない方がいいだろう。
問題は『いつ』や『なぜ』ではない。
事実で充分だ。
- 677 :22 :2006/10/24(火) 18:52:02 ID:MkLBr2bK
「なあ、お前頭悪いよ。分かるように説明しろって」
「心配するな。いくらお前の頭が悪くても十八になりゃ分かる」
むしろ、こっちが心配でしかたない。
あと一年と半分、この女のそばでどう過ごせばいいものか。
とりあえずと、アーレントはさりげなくシトウェルの手を取った。
三か月分の給料を入れた袋を回収する。
懐に入れなおす様子をシトウェルがにやにやと見ていた。
「お金持ちですね隊長」
「……まあな」
「あー、お腹すいたなぁ」
あどけない十六歳の顔が、ちらりとアーレントを覗き込んだ。
心配ごとはもう一つある。
どうやって、三年後も傍にいるか。
軍資金が必要だ。
もちろん、飯で釣るなどという馬鹿な話でない。
どうしても我慢できなかったときにだけ、宿代が必要になることは疑いない。
「次の休みまで待て。うまいもんでも奢ってやるから」
「まあそれくらいは当然……痛!」
舌の先まですっかり元気になったシトウェルを小突いて、立ち上がる。
確かに腹が減った。
「昼飯、行くぞ」
アーレントはちょっと足を止めた。
いつもなら絶対二言三言三言、減らず口を叩くはずのシトウェルが静かだ。
「どうした?」
「……なんでもない」
こういうのをまぶしいと言うのだろうか。
振り向いたアーレントの目に飛び込んできたのは、思わず目を細めるほどの代物だった。
「なんでもないよ。うん、ちょっとね、嬉しかっただけ」
関係ないとぞ、アーレントは思った。
次の休みに、早速金が要りようになる気がすることは、シトウェルのくすぐったそうな笑顔とは断じて何の関係もないのだ。
おしまい。
- 678 :628 :2006/10/24(火) 18:52:35 ID:MkLBr2bK
( ゚д゚)
エロ、入らなかった。
お付き合いしてくださった方、まじでありがとうございました。
アドバイスとかくれた人もすげー嬉しかったです感動した!
- 679 :名無しさん@ピンキー :2006/10/25(水) 01:21:30 ID:JvLE9OIH
- GJ!
- 680 :名無しさん@ピンキー :2006/10/25(水) 23:08:33 ID:SUtVv6Ea
- うおおおおキテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
628さんGJ!!
こういう強気でクソ生意気でイマイチ自分が女だって自覚が薄い女の子大好きだ。
そういう子が男装ばれて女さらけ出すのがツボなんだけど、
シトウェルはまだ女分を開発する余地が大いにありそうで楽しみ。
小隊長は気苦労で将来禿げそうw
- 681 :名無しさん@ピンキー :2006/10/28(土) 17:43:17 ID:G7nse9EW
- いいね、このハッピーエンド。
まだ先のことは分からないけど、この終わり方ならきっと二人は幸せになれるって信じてる。
大作お疲れ様でした。
- 682 :名無しさん@ピンキー :2006/10/29(日) 14:45:06 ID:kjhFJW+1
- >>678
とても幸せな気分になれました。
大変ありがとう。
また書いてくれると嬉しい。
- 683 :名無しさん@ピンキー :2006/10/30(月) 18:57:42 ID:3+b8p8QZ
- 職人さまGJ
序盤、泣きそうになったりニヤニヤしたり
楽しましてもらいました!
気がむいたら是非また書いてください
- 684 :名無しさん@ピンキー :2006/10/31(火) 18:03:44 ID:3bz/nJda
- >>609
かなり亀レス
川原なんとかいう漫画家のソルジャーボーイというのがある。
少年として歌手デビューして親を探すかなんかするヤツ。
今は妖奇士の宰蔵がめちゃくちゃ可愛い。
女と見破られ頬を染める所とか。
巫女の姿よりも男装が良い。
脳内に、オッサンの往壓が気になっているところを
そんなに気になるのなら引っ掛けてみろと
女の色仕掛けとはこういう風にするんだと
元閥に色々開発されてしまう宰蔵と言うのがあるんだが
文章に中々しづらい。
- 685 :628 :2006/11/01(水) 01:24:19 ID:MTvUmjbY
- レスくれた人ありがとう。
すみません、調子に乗った。
勢いで半分ぐらいできちゃったんだけど、投下していいだろうか…
ここんとこ一人で連続してるから、待ったほうがいいのか。
>>684
「今は妖奇士」でググったことは内緒だ。アニメなんだね。
面白そうだが時間的に見れないな…
いろはにほへとにも男装少女が出てると聞いた。見たいが時間ry
ここで教えてもらった本で菊千代抄がど真ん中だった。せつねぇぇぇ
- 686 :名無しさん@ピンキー :2006/11/01(水) 09:27:02 ID:CA3Dszwn
- >>685
気にせずに投下してもいいと思うよ
- 687 :名無しさん@ピンキー :2006/11/01(水) 11:36:10 ID:RZ8Aetcv
- >>685
いろはのはあんまり男装と言う感じはないよ。
現代の茶髪のショートカットの女の子が、大学卒業時に袴姿をしている。
そんな感じ。
- 688 :628 :2006/11/01(水) 23:30:32 ID:yg1jHEMn
- とりあえず、お言葉に甘えて投下します。
>>687
茶髪ショートは好きだが卒業の袴ってw
でもキャラデザ見た感じそんな感じだな
- 689 :1 :2006/11/01(水) 23:31:33 ID:yg1jHEMn
シトウェルは悩んだ。
『おいしいもの』なんて、いいのだろうか。
アーレントとは一緒にご飯を食べに行ったこともあったけれど、それはもちろんワリカン、というか落とせた。
でも今回のは、それは自分がそう言ったからなのだけれど、彼はご馳走するつもりでいる。
昨夜、家に書いた手紙のことを思い出した。仕送りを二割増やすから、それでもどうにもならないなら言えと。
弟たちはきっと大変だろう。お腹一杯食べられていたらいいけれど、心配だ。
「アーレント」
「何だ。食いたいものでもあるか」
シトウェルは一瞬頬を引きつらせた。
満面の笑みだ。正直怖い。
「や、そうじゃなくて」
「何でもいい。好きなものを言え」
「……お前、今日なんか変」
「へ、変? いや俺は何も」
気持ち悪いアーレントは放っておいて、シトウェルは悩み始めた。
これは、やっぱり贅沢ではないだろうか。
お金を払わなくてもいいのはありがたいかもしれないけれど、弟たちが糊口を凌いでいるときに。
なんというか、うしろめたい。
アーレントの袖を引いて、シトウェルは立ち止まった。
「あのさ」
「久しぶりの休暇だからな、俺はその、お前がだな」
「そう、それで、悪いんだけど…… やっぱり……」
こちらから話をふった手前、さすがに言いにくい。もじもじと足元を見ながらの、歯切れの悪い言葉になった。
「こういうのって良くないと思うんだ」
アーレントの返事を待つが、一切の反応がない。
完全停止だ。
「……怒った?」
「い、いや。お前がそういうなら、無理強いはしない。絶対にな……」
「うん、やっぱりね、安いところでいいよ」
「安…… ……もしかして食事の話か?」
「他に何が?」
シトウェルは眉を顰めた。
アーレントは咳払いをした。
「まあ別に、お前がそういうなら構わんが」
そう言ってはいるものの、あからさまに残念そうだ。
- 690 :2 :2006/11/01(水) 23:32:51 ID:yg1jHEMn
なんだか申し訳ない気持ちになる。
ここ数日、アーレントは確かにそわそわしていた。
昨日などとくにひどかった。
目を細めてシトウェルを見て、髪飾りがどうとか服もどうとか言っていたのだ。
まさかとは思ったが、女物の何かを着せたり買ったりするつもりじゃないかと問い詰めたら、あっさり首を縦に振る。
ばれたら終わりなんだから城下町でそんなことが出来るか以下罵りを並べた(だって、あんまりにも不注意だ)が、どうにも納得した風ではなかった。
『だがシトウェル。お前も女の端くれなんだから』
端くれ。
『……ちょっとぐらいそういう格好をしたいとは思わないのか。なんというか、今のお前は不自然だ」
不自然。
『見ていて痛々しい』
痛々しい。
……思い出すと、腹が立ってくるのはなぜだろう。
外見なんてどうでもいいとシトウェルは思う。
目的があって仕事をしていて、その中に男のふりが入っていただけなのに、アーレントはなぜそれを不自然というのだろうか。
どんな服を着ていても、中身は変わらないのだから――
『女のお前の方が、俺は……』
「――アーレント!」
シトウェルは前を無言で歩いていたアーレントの服を引っ張った。
「あのさ、男は嫌い?」
忘れるといったのに、二週間経っても忘れられないことをシトウェルは女々しいことだと感じていた。
最中の一言を思い出すだけで悲しくなる。
会話なんて無かったに等しいが、数少ない一言一言が堪えたから。
出会ってからずっと男だったのだ。これから二年近く、ずっと男だ。
どうしようもない。
- 691 :3 :2006/11/01(水) 23:33:45 ID:yg1jHEMn
「変なこと言うなシトウェル! 今何人か振り返ったぞ……」
きょろきょろ首を振って、アーレントはあたりを窺う。
その様子がすべてを物語っている気がした。
「……そりゃ、誤解されただろうね」
「だろうねって、お前なあ…… 何が言いたい?」
「もし俺が普通の格好で歩いてても、あいつら振り返ったかな」
言って、シトウェルは後悔した。
急速に気分が沈んでいく。
アーレントの意味を図りかねたというような顔をしている。
それはそうだろう。
男の格好をしていたら好きじゃないかと聞く前に、女の格好をしたシトウェルを好きだとは誰も言っていない。
また、思い出してしまった。
あれは無理矢理な、『そういう性質』の行為だったと分かっているのだが。
口づけをするのも嫌だったのだろうか、と思うと。
「……ごめん、なんでもないよ。忘れろ」
「お前、何か言いたいことがあるならきちんと……」
「ないって。だから忘れろ。食うのと寝るのと忘れるの、得意だろ?」
昼日中に、こんな湿っぽい空気を出してどうするというのか。
せっかく仲直りして、やっと元通りだと思ったのに、全くならない。戻らない。
シトウェル自身、鬱々と溜め込んでばかりいる自分に嫌気がさしていた。らしくない。
無理矢理笑顔を作って高いところにある肩を小突いた。
「あのな、昼飯はいつもの店で割り勘にしよう。代わりにお菓子買ってほしいな。日持ちするやつ」
これならいいだろう。いつもの休暇のように一緒にいる口実が出来て、弟たちもきっと喜ぶ。
ちょうど右手に、焼き菓子の店を見つけた。指をさして先を歩く。
「男一人じゃこういう店入りにくいんだよな」
「二人だと余計にむさくるしいと思うが」
「じゃ、お前外で待ってろ。会計のときだけ呼んでやる」
アーレントは店の看板を眺めた。猫をあしらったクリーム色の可愛らしいものである。
「この下で待つのはなぁ……」
「だったら早く来い」
- 692 :4 :2006/11/01(水) 23:34:44 ID:yg1jHEMn
目的のお菓子はなかなか買えなかった。あれもいいこれもいい、でもそんなにたくさんは悪いと、かれこれ一時間以上焼き菓子屋を梯子した。
シトウェルの目の前の卓には胡桃の入った大きなクッキーが入った紙袋が鎮座している。
この贈り物を見たときの家族の顔を想像して、シトウェルは頬をほころばせた。
「ありがとう。きっと喜ぶ。俺も嬉しい。ありがとう」
「……そうか」
クッキーだけではない。
もう一つのお菓子の、バターのいい香りが部屋中に広がる。
「食べていい?」
「食ってから聞くなよ」
「おいしい!」
宿屋で食え、とアーレントがマドレーヌを手渡してくれたのはもう空も茜に染まった頃だった。
おいしそうだと言ったのを聞いていたらしい。
物ほしそうな態度だったかと恥ずかしくなったが、単純に嬉しかった。
甘いものは好きだが、そう頻繁に食べられるものではない。
でもどうして宿屋、と聞いた彼女に、兵隊さんがマドレーヌ食ってるところを見られたら情けないと言われた。
そんなものかと納得した。
たしかに部屋の中のほうが落ち着いて食べられる。
最初に目に飛び込んできた寝台に引かなかったわけではないのだが、気にしているように振舞うのもアーレントに悪い。
彼は謝って、マドレーヌを買ってくれた。
それで十分だ。つまりおいしいのだ。
「隊長も一個、どうですか?」
アーレントは何をするでもなくこちらを見ている。
そういえば自分ばかり食べていたと思い、シトウェルは一応聞いてみた。
「いや、いい。全部食え」
「じゃあ半分食う」
「気を使うな」
「あー、違う、半分は帰ってからの分」
- 693 :5 :2006/11/01(水) 23:35:46 ID:yg1jHEMn
きっちり三つ、お腹に入れたシトウェルは心底幸せだった。
結局アーレントは終始(五分だ)シトウェルを見ていただけで、暇そうだった。
もう帰ってもおかしくは無いがもったいない気もする。
足をぶらぶらさせて、窓の外を見ると、橙の空に紫の雲がたなびいていた。
鳩が飛んでいる。
平和だ。
「シトウェル」
久しく(五分だ)口を開いていなかったアーレントが名前を呼んだ。
間食中はともかく、マドレーヌをプレゼントしてからの彼は口数少ない。
「うん? マドレーヌはもうやらないよ」
帰ってすぐ一個、風呂の前に一個、風呂の後に一個。余分は無い。
「味見ぐらいは許せ」
「んー……」
ないが、一口ぐらいなら分けてやってもいいだろう。
今日はとても楽しかった。
「分かった、待っ……」
シトウェルは紙袋に手を突っ込んだ。
卓越しに、アーレントが身を乗り出した。
取り出そうとしたマドレーヌ達は、床に落ちてしまった。
「んっ……ちょ、っと、味見ってそれ違……ふ……っ……」
この――このやろう。
視界がなくなって、唇に柔らかいものが触れた瞬間の混乱といったらない。
それがキスだと分かって、あの時はしてもらえなかったものだと分かって、最初に思ったことが嬉しいだなんて。
絶対に言えない。
「……ん……っは……」
唇の裏をくすぐるように、舌が侵入してきた。何をしてるんだこの馬鹿と思う間もなく前歯の間から口腔に入り込む。
「マ……てな…っ……」
甘い、と囁かれた気がしたから、マドレーヌは残っていないと言ったのだが、これで伝わったら奇跡だ。
簡単にこちらの舌を篭絡された。
自分のものではない味がする。とても近く、アーレントの匂いがする。
- 694 :6 :2006/11/01(水) 23:37:48 ID:yg1jHEMn
口の中、舌が逃げようとしても執拗に追いかけてくる。
生き物みたいに動くそれをアーレントの分身みたいだとシトウェルは思った。
おかしい。だんだんと――捕まえられるために逃げているような気分だ。
身体が熱い。
息も上がってきた。
いつの間にか、椅子は倒れてシトウェルは壁にもたれるように立たされている。
そうだ。立たされている。
ふわりと舐められた上あごから身体の中心へ、溶けるような感覚が走る。
頭を抱えられていなければ、腰から崩れ落ちそうだった。
「シトウェル……」
ようやくアーレントが離れた。
無意識にアーレントの背中を掴んでいた手を慌てて離し、大きな身体を押しのける。
だらしなくおとがいの脇を流れた唾液を拭った。
恥ずかしかった。
「い、いきなり。騙すなんて」
「俺らは騙していくらだと思っていたが。それに味見は嘘じゃない」
「今は非番だ!」
ずるずると落ちかけた身体を何とか持ち直し、シトウェルは出来る限り敵意を込めてアーレントを睨みつけた。
「……わかっていたことだが、我慢できん」
再び重なった唇は最初よりも濡れて、少し冷めていた。
「んふ…っ…あ、だ、駄目だって…!」
無骨な手が裾に侵入してきてやっと、これまで回らなかったことに考えが及んだ。
アーレントはいつから――いつからこういうことを企んでいたのだろう。
宿屋に案内するときに?
違う。
どこかで離れたくないと思うのを追いやって、頭を振った。
アーレントが離れた。
それだけは前のときと違ったが、それがなんだというのか。
- 695 :628 :2006/11/01(水) 23:40:01 ID:yg1jHEMn
- どうして鬱からしかはじまらないのか
見返したら割り込む形になってしまってたみたいだ…すみません。
続きはまだ先になると思うので、他の方の投下をwktkして待ってます。
- 696 :名無しさん@ピンキー :2006/11/02(木) 00:01:59 ID:hwC8ALnI
- GJ!このもどかしくてじれったいところにすごく萌える。
続きも期待して待ってるよー。