手のひらにのせられたその石は何も加工も施されていないのもあいまって、本来そのものの紫色の輝きをかもし出している。急に手のひらにあらわれたその石に、それをおいた相手の顔を首を傾げて見遣ると、その人は困ったように頭を掻きながら笑っていた。

「リナリー。2月生まれで合ってました、よね…?」
「うん。…だけど、これって?」

「その石は2月生まれの人の誕生石だそうです。」

任務先でもらったものだったのですけれども、丁度その話を聞いて、とアレンは未だに頭に手をおきながら笑っていた。

「それで、私に…?」
「はい。」

そうして、再びリナリーはその石を見つめる。
加工もされず、原形を留めたままのその澄んだ紫色のまわりには、そのまま採ってきたことを知らせるように真黒い石が付着している。加工されているものとはまた違った自然な輝きを放つそれに、リナリーは魅入られたようにじっと見つめていた。



「…2月の誕生石、って言うのも、あったんですけれども…」
「えっ?」

自然な輝きを秘めたその石の大きな何かに魅入られたように、まじまじと石を見つめていたリナリーは、風に流されそうなくらいに小さなアレンの声をしっかりと耳に拾ったようで、どこか意識して向こう側を見つめているアレンの横顔を見た。アレンもまた、そっと横目でリナリーの事を見つめたかと思うと、少しばかり頬を染め上げて、そして再び小さな声で「…やっぱりなんでもないです。」と呟いた。

そんな彼の様子に、好奇心旺盛な彼女が気にしないはずもなく、リナリーはアレンに半ば詰め寄るような形で問いかけた。

「ねえ、アレンくん。『けれども』・・・?」
「けれ、ども……。」

彼女の顔が無意識に近づいてくるのに、アレンは酷く焦って半ば叫ぶように彼女に答えた。

「……り、リナリーの瞳と似てるなって思ったんです!」
「・・・え?わっ!」

叫ぶ勢いに任せてアレンがリナリーの頭を抱え込むと、やがて落ち着いてきたのか、彼女にしか聞こえないくらいの小さな声で白状し始めた。


アメシストの瞳

(澄んでいて、まっすぐで、すごく、綺麗なところが似てるなって思ったんです)











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早瀬いなささんから誕生祝としていただきました……!
ちょっと壁に頭を打ち付けてきても良いでしょうか(待)きゅんきゅんが止まりませんなんですかこの素敵なかわいいアレリナは……!! 読んでいて口元が緩むのを抑え切れませんでした……特にラストアレンがリナリの頭を抱きしめた時なんか本当に……どうしようかと………。
リナリと同じ誕生月でよかったと思いました(←)2月に生まれてよかった……!
背景画像はフジの花です。写真素材サイトさまからお借りしてきたものですが「恋に酔う」という花言葉があるそうで。きゅん……!(←

いなささん、本当にありがとうございました!