終幕フェイズ

詩玲音 じゃあ病院の……
病室? ロビー?
なんか……魔女狩人用の特別な病室とかあったりしない?

朋美 かも

詩玲音 じゃあ保健室で
「さて、どこから話したもんですかね」
最初からか?
一年前、大規模な魔女狩りがあって……
レイドバトルのパーティのひとつのリーダーをやっていたのが日野子さんだったんす。
みんなやられちゃって、最終的に残ったのは日野子さんとボクでした。

里奈 私はそもそも認識できなくて、参加すら出来なかった。悔しいね。

詩玲音 そして最後に日野子さんもやられてしまい、ボクが無力化された魔女にとどめを刺すことになったんですが
……そのときボクは魔女が残していた力で【魅了】されてしまい、
滅びかけの魔女に生命力を分け与え、逃してしまいました。
そのときに記憶もいじくられて、井上家には魔女が滅んだ、という報告をすることになるハメになりました。
魔女が消えたときの目撃者はボクだけだったんで、みんな誤認してしまったんですね。
「というのが、おおよその顛末です」

未檻 「なるほどな。あいつはまだどこかに隠れ潜んでる……と」

朋美 「そんな戦いが……」その頃は魔女とかは完全に門外でした

里奈 「それは……大変だったね」
「……今回魔女に与していたのは?」

いつか 「……」ベッドの上で包帯ぐるぐる巻きのまま聞いています。

里奈 ついでに言うといつかちゃん撃ったのは? なんで??? 何で撃った??

詩玲音 「クリスマスが嫌いだったからじゃだめですか?」

里奈 椅子を蹴る。
「おっと、失礼」

詩玲音 ギャー
死んだ

未檻 「D7に引き取ってもらうか?」

いつか 「せ、先輩!」

詩玲音 「えー……言うのいやすぎなんですけど」

里奈 「言おうね」

いつか 「兎洞先輩も、怪我人なんですから……一応」

詩玲音 そうだぞ
我那覇だぞ

朋美 「結構強く叩きつけられていましたね……」

未檻 はー、注射器で刺された跡が痛むなー

詩玲音 いい気味っす

未檻 100万円も借りてた気がするなー

詩玲音 なんだよそれ!
「逆らえなかったんすよね……」
「ほら……わかるでしょ?」わかってほしい

里奈 「あんりちゃんをさらわれていたから?」

詩玲音 「…………」

朋美 なるほど……という表情

詩玲音 「フー」タバコを吸う仕草

里奈 満足した、という顔。

詩玲音 「もう帰っていいっすか?」

里奈 「いや」

未檻 「そういうのは最初に素直に自分で言ったほうがよかったんじゃないのか……」

詩玲音 「はい」
「だって……人質を取られて魔女に従う魔女狩人とか」
「はずかしすぎません_」

里奈 「そうかな……」わからないな……

詩玲音 「まだスキで破壊活動してたって思われてたほうがマシっすよ」

いつか 「……はい、おしまい! この話はおしまいですー!」 割って入ります

里奈 「どういう理由であれ、詩玲音にはね、罰を受けてもらおう」

いつか 「もう、兎洞先輩から聞きたい事は聞いたんだし、良いでしょう? ね、里奈先輩」

里奈 「いや」
「このあと私は駅前に行って、チキンとかを買ってくる」
「それで、それを、食べてもらう」

いつか 「そ、それって……」

朋美 「…… …… ……ああ!」

里奈 「浮かれた帽子とかも被らせる」

いつか 「やるんですね? 今から……」

詩玲音 「だるっ」ここ十年で一番ダルそうな表情

里奈 「どうも、クリスマスが大嫌いらしいからね」

いつか 「やったぁー! クリスマス会!」

未檻 「そりゃいいな。怪我させてきた分、大嫌いなクリスマスとやらを楽しんでもらうとしようか……」

里奈 いつかちゃんが嬉しそうなので全部オッケーになった。

いつか よかった、消化器は潰れてません!
思う存分食べられます

詩玲音 「ノエル・ノワールがもうちょっとがんばっていればこんなことには……」

里奈 「家庭科室も許可とっておいたから、好きに使っていいよ」

朋美 「そういえばわたくし達も、魔女騒動で色々と準備する暇がありませんでしたし……」

いつか 「はい、皆さんと一緒に」
「うふふ、嬉しいなー……あ、家庭科室にも飾り付けしなきゃ!」

里奈 「いつかちゃんは安静にしてようね」

いつか 「えー!!」
がーん

未檻 「飾り付けや料理は俺が手伝うよ」

詩玲音 「じゃあボクは味見する係で」

朋美 「で、ではわたくしは……えーと……」あれ、家庭的な技能が何もない……

いつか 「うっ……兎洞先輩に撃たれた傷が……この傷さえなければ飾りつけもできたのに……」

詩玲音 「許せないっすね。兎洞とかいうやつ生かしておけないっす」

いつか じゃあ、小賢しく里奈先輩に縋りついてめそめそします
兎洞先輩がー
手伝ってくれないんですー

未檻 「生かしておけないやつはおいといて、朋美には料理を手伝ってもらおうかな……」 教えてあげるから

詩玲音 ウザッ!!!!

里奈 「じー」

朋美 「……そ、そうしましょう!がんばります!」あちらは……お任せしておいて……

詩玲音 「はいはい飾り付けやればいいんでしょ……」クソデカため息

いつか 「!」

里奈 「わーい」

いつか 「ありがとうございます、兎洞先輩!」

詩玲音 「クソ~クリハラ(クリスマスハラスメント)だ」


終幕フェイズ/詩玲音

詩玲音 ~しばらくのち~
「ひどい目にあったっす」
クリスマス飾りを666個ぐらい作り終えてぐったりしています。

あんり わたしはすぐ側にいてもいいのかな。

詩玲音 この骸から……魔女が生まれる……
いいですよ。

あんり じゃあ、66個くらい手伝いました。

詩玲音 すごい

里奈 結構がんばった

あんり 大の字になってへばってます。

詩玲音 グニグニ

あんり ぎゃ~~!
「わたしだってひどい目に遭ったよ……起きて突然わっか作るの手伝え、って……」
「もっと……何かあるでしょ……!!」
あのシーンの後だよ……!

詩玲音 「何か……何……?」くびをかしげる
「肩もみとか?」安直な発想

あんり 「もういいよぉ~~……じゃあ頭なでてよ……」

詩玲音 「はい」ナデ……
「すみませんね。何やれば喜んでもらえるのかわからなくて」

あんり 「それでよし……」 ナデラレ……
「いや、もっとね、助けてくれてありがとう……とか、言う機会がね、あるかと思ったのに」
「いきなり滅茶苦茶飾りつけさせられたもんだから……」 ぐす

詩玲音 「なんかすいません」
「まあ……言うても……今回魔女につかまったのだいたいボクの責任だし……」
「むしろもっと文句とか言ってもいいんじゃないすか?」
それはそれとして飾り付けは手伝わせる

あんり 「えー、毛皮服着せられたのはまあ、不服だけど……さらわれたりしちゃうのは、わたしがこんなだからでもあるし」

詩玲音 毛皮服気にしてたんすね……

あんり 「お互い様ってことにしていい? いいよね」

詩玲音 「あ、うん……じゃあそれで」

あんり 「えっとね……」

詩玲音 うん

あんり おずおずと正座する。

詩玲音 なんですかあらたまって

あんり 「詩玲音ちゃんがどう思ってても、わたしには詩玲音ちゃんが必要だから……」
「助けてくれたのはやっぱり、すごく嬉しいんだよ」
「……ちょっと苦しいけどねっ。でも、今はまだそれでいいや」

詩玲音 「でも、多分……ボクは、あんりちゃんのことがそんなに大切じゃないと思いますよ」どこか他人事のように

あんり 「うん、知ってる」

詩玲音 「愚かですね」
つとめてそっけなく言った。
「…………。」
「ボクはもう少し魔女狩人を続けます」
「……立ち向かわなければいけない魔女がいるので。」

あんり 「……うん。そうしなきゃいけないなら、わたしは止めない。応援する」
わたしもその時には、元の大きさに戻って詩玲音ちゃんを手伝えたらいいのにな……。200mくらいになってさ

詩玲音 でかい

あんり 圧倒的な暴力で、魔女を蹂躙するよ

詩玲音 「あの魔女を倒せたなら、ひょっとすれば……」
自分の心臓に突き刺さったままの鏡の破片を、取り除くことができるかもしれない。
そうすれば、あんりちゃんの気持ちにも、もう少し向き合い方を変えられるかもしれない。
とは、口には出さず、
あんりちゃんをニギニギした。
「十年で一番の握り心地」

あんり 「ふゃあ~~~~~~~~」

詩玲音 おわり。


終幕フェイズ/未檻・朋美

未檻 学校の屋上でたそがれてまーす。
女子校、この姿だと超居心地悪いんだわ。アウェーなんだわ。

朋美 じゃあ、ちょっと遅れて来ましょうか。未檻さんには料理を教えてもらったので、片付けにわたくしはちょっと残っていました
「お待たせしました。……はい、どうぞ」というわけで遅れてきて、下の自販機で買ってきた……暖かいお茶のペットボトルを

未檻 「はぁー…… ん」 ため息が白く、空に消えていく。
「ありがとう。もうすっかり冷え込んだからな……」 ペットボトルで暖をとります。

朋美 「少し前まで暑かったような気がしますのにねぇ……」ふう

未檻 ……魔女狩り中はある種ハイになってるところがあるから、あれもそれも勢いで乗り切ったけど。
(酷いことを言い過ぎたし、やりすぎた。次はもうないかもしれないな……)
(一体、どうやったら抑えられるんだ?)
(抑制していると爆発してしまうんなら、適度な消費が必要だ。なら……)

朋美 「……どうかしましたか?考え込んで……」

未檻 「……傷つけてもいいやつがいればいいのにな」

朋美 「……ええっ」ええっ?

未檻 「あ、いや」
「…………」
「……俺は……何度も何度も言ってるけど。おまえを傷つけたくないんだよ」

朋美 「…………」まあ、どういう流れで出てた言葉かは分かります

未檻 「二度あることは三度あるだろ……。できるなら、他の誰かに……」

朋美 「……覚えておりますか、ほら」
「秘密」

未檻 ……うなずく。

朋美 「わたくしにこういう心がある以上、他の誰かに行って頂くわけにはいかないのです。……お互い様、ですからね」

未檻 「……」 空を見上げる。この心の曇りとはまるで違う、満点の星空が浮かんでいる……。
「俺たち、いつかきっと、取り返しのつかないことになるぜ」
「もう既になってるけど。……それ以上に」

朋美 「……それで傷つけて、傷ついて……苦しくても……」
「続けて頂きますし、続けます。……それが終着では、ないはずですから」
ペットボトルを両手で持って指先を温める。それから街の方を見れば……まだ電飾の明かりがそれなりに残っていますねぇ

未檻 「行き着く果ては地獄だろ、こんなのさ」
「途中で降りたって誰も怒らねーのに、俺たちは意地になって進み続けて……」
続いて、朋美のほうに向いて、手を伸ばす。
「また過ちを犯すんだ。絶対にやらないって誓ったのに」

朋美 「……なら、その度に誓っていけばよいのです」
拒んだりはしませんよ。寄せられましょうか

未檻 抱きしめて、肩に顔を埋める。
「大切な人を貶めることが、俺の背徳」
手段は、なんだっていい。暴力だろうと強姦だろうと、大切な人が傷ついて戻れなくなるところが見てみたい。
「隠し切れないし、どうせまたやるに決まってるけど……『次は止めてみせる』」
「……これで、いいかな」

朋美 「ならばわたくしは、それを見守りましょう。……ええ、上出来です」わたくしは背徳壊れてないので何度でも本心で言いますね

未檻 「……うん……」

朋美 手を回して、優しく抱きしめましょう。……何度でも、いつでも

未檻 しばらくすると、嗚咽が聞こえます。
涙が止まらなくなって、震えた手で、祈るように抱きしめ続ける。


終幕フェイズ/里奈・いつか

いつか さっきはクリスマスパーティーの事ではしゃいでいたんですけど、結構重傷ではあるので、車椅子に乗せてもらっています

里奈 一通りパーティが終わり、家庭科室も片付いていますね。
お金のある私立高校なので、学校内はバリアフリーが行き届いているので車いすで何処でも行けるぞ。

いつか 何処に行きましょうか。学校シーン表とか振ります? 気分転換に出た感じで

里奈 学校シーン表(11[6,5]) → しずかな保健室。窓のほうから別世界みたいな笑い声。

いつか 終わったので、戻ってきました。

里奈 「パーティ、楽しかったね」

いつか 「はい! あ……でも……」
「なんか、その……気を使わせてしまったり、していませんでしたか? 兎洞先輩もですけど、里奈先輩も……」

里奈 「? どうして?」

いつか 「例の魔女のせいで、クリスマスは嫌いになってしまったと……」

里奈 「ああいや、あれは売り言葉に買い言葉というか……」

いつか 「そ、そうなんですか? それなら……」

里奈 「……例のあれは、魔女倒したあとにどうにかなったしね」

いつか 「例のあれ……? ああ、その、詳しくは分かってないんですけど……良かったです」

里奈 「えーっと、その」

いつか 「いえ! そんな、無理に言わなくても……!」焦り

里奈 「まあもう済んだし、この前はいつかちゃんが頑張って話してくれたり、したし……」
「えーっと、あー、あの、遠回しに言うと、子供が作れる状態になってたというか」

いつか 「あ、はい……えっ」

里奈 顔を逸らす。顔が熱い。

いつか 「そ……そういうのもできるんですね、魔女……って、そうですよね」

里奈 「そうだね……」

いつか 「……ご、ごめんなさい! 里奈先輩は嫌でしたよね、そんなの。当然……」

里奈 「……でも、どんなにそれを拒んだとしても、それを望んでいる部分がなかったわけじゃないのは、事実だ」
「魔女は全く願いに反することは、しない」

いつか 「……あの、でも」
「その、怒らないでくださいね」
「……魔女の甘言に乗るわけではありませんけれど、ちょっと……素敵だなって思っちゃいました。私と里奈先輩の、子供だなんて」

里奈 「……惜しいことをしたなとは……思わない……わけでも……ない」赤面しっぱなし

いつか 「里奈先輩が……私の事を、そういうふうに見るという事自体に嫌悪感を持つのも、わかりますけれど」
「あまり……気に病まないでくださいね。以前にも言ったとおり、私は全部許しますし」

里奈 「……ありがとう」

いつか 「というか、許すも何もなくて、それってとても素敵な事だとすら思うんです」

里奈 「そう……かな」

いつか 「はい。だって、本能から愛しあうって事じゃないですか」

里奈 「キミには敵わないね……」

いつか 「恐縮です」

里奈 「わかった」
「なら、そうだね……私が卒業したら」
「キミを養子縁組に取りたい」

いつか 「……!」
「それって……」

里奈 「まあ、プロポーズか。プロポーズだね」

いつか 「里奈先輩!」抱きつこう……として、できないよ! 車椅子押してもらってるんだもん!

いつか わたわたと手を伸ばします。

里奈 じゃあ前に回ります。

いつか 「はい! ふつつかものですが……」

里奈 「よろしくおねがいします」

いつか 「よろしくおねがいします!」声を重ねましょう

里奈 「……魔女に与えられたものじゃなく。自分たちの手で幸せになりたい。幸せにしたい」

いつか 「……」目を見て、頷きます

里奈 では、改めて……

いつか こほん

里奈 「キミを幸せにするよ、いつか」
その言葉を誓うようにして、
里奈の方から口づけをしましょう。

いつか はい。瞳を閉じます。
月の見える保健室の窓をバックに
二人の唇が重なって……


終幕フェイズ

GM ギルティウィッチーズ 炎上恋愛戦線 第五幕
『クリスマスなんてだいきらい!』 エンド