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米吉 〜LoveHydeStory〜
昼下がり ウメフク
リンカーン... ウメソメ
リンカーン... マリソメ
ドブネズミは鮮やかな夢を見るか? ウメソメ


[ ドブネズミは鮮やかな夢を見るか? ウメソメ ]

夜と朝の境目。
新宿の夜にまた、朝日が登ってくる。
頼んでもいないのに。また「今日」がやってきて、日々は続く。
終わらせちまえばいい日常を連れて。

今夜もサイケな晩に酔ったソウメイは、巣に戻るように御苑の中に戻ってきた。
少しばかり冷えるせいか、小さな体を縮こめて。
うとうとと半分閉じた瞼の隙間から、朝もやの空を見上げる。
夜を照らし出していたネオンはすっかり身を潜め、大気汚染で赤紫に染まった空は嫌いじゃない。
こうして独りでいると、本当に落ち着くんだ。
まるで「何か」から逃げるような日々の中で……

「へっ」

皮肉な笑みを吐き捨てる。
本当は、逃げる必要などない。追う者もいない。
今この時。自分の存在を思う者などいないと知っているから、つい笑みがもれるのだ。
構わない。
自分だって思う者などいない。
いたとしても、それは憎悪と嘔吐感を呼び起こすような、不快な面ばかりだから、ソウメイは目を伏せた。

「………」

酒が足りなかったのか、うまく寝付けそうにない。
羊代わりに「嫌いな奴」を数えてみると、その面を思い出すたびに吐き気がした。
どいつもこいつも。この掃き溜めに似合ったクソ野郎とバカ女ばかりだ。
もう名前も覚えてないようなヤツラだが、顔やその雰囲気はまだ残っている。
苛つくような嫌悪感とともに、いつまででも残っている。

と。百を超えた辺りで白いスーツの男を思い出した。
それは名前も顔も。いくつかの携帯番号も、住所さえも覚えている男だった。
ふと目を開き、ビルの間に登ってきた朝陽に目を顰める。

「……はっ」

ヤケくそな笑みを落として、リングにガリッと歯を立てる。
昨夜ぶん殴った野郎の血の味が、した。
あの男───ウメは、確かに他のヤツラとは、違う。
ソウメイは森羅万象、どいつもこいつも嫌いだが、ウメに対しては違った。
言うなれば……

「大っ嫌いだ」

口に出すと、ソウメイは今までの不快感がサッと消え去り、急に愉快になってきた。
腹筋が震えるほどの笑いが込み上げてきて、うずくまるようにしてヤケクソな笑い声をあげる。
ウメも。ウメの周りに自然と集るヤツラも、みんなみんな嫌いだ。
今度 奴に会ったら必ず殺す。
どんな手を使っておびき出してやろうか。
あいつの周りにはトロイヤツラばかりだから、ハメるのは簡単だ。
奸計を頭に巡らせている間、ソウメイは楽しかった。
本当に止まらない。悪巧みも。笑いも。
あの、何もかも分かったような目をして、分かってもいないくせに、最善の方法を導き出す脳味噌を、全部ぶっ壊してやろう。
そうすれば……

「俺は……?」

ウメのいないこの街。
思い浮かべると、それはひどく退屈な街だった。
だが、それも対して変わりはない。
今だって、退屈だ。

「………」

笑いが収まると、白々と空けた光の下。
ひどくつまらない一日が始まったことに、また気付く。
そしてもう一つ知った。
ソウメイが大嫌いなのはウメだけではない。
一番大嫌いなのは、自分自身だ。


Fin.

337秒死同盟に寄贈

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