| □ Genre menu bar □ はじめに ゲゲゲの鬼太郎 DRAGON BALL 3.3.7.ビョーシ 犬夜叉 GAME | ■ ゲゲゲの鬼太郎 ■ |
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33 おばけの音
] 何ごともない平和な昼つ時。 人里を離れたゲゲゲの森の奥、目玉おやじの家で鬼太郎と猫娘は仰向けに床に転がっていた。 外へ遊びに出ようと訪れたものの、昼寝していた鬼太郎に押し切られ、いつしか猫娘もうとうとと夢うつつにまぶたを揺らす。 見上げた天井は普段よりもずっと高く見える。 寝ぼけまなこで見つめていると、木の目や節はいろいろなものを象って見えた。 あれは大入道の目。これは皿小僧の口。 それは違う、あれは違うと指で差しながら、二人くすくすと笑い出していた。 「……ん?」 目の前の猫娘の髪を眺めて、いたずらにひと束を手に取る。 猫っ毛で柔らかい髪がだらりと床に広がる。きっかりと切りそろえてまっすぐに伸びた髪型からは想像できないほど柔らかい感触だった。 「ひゃ…っ。鬼太郎、くすぐったいよ〜」 束の一本がひきつれて、痛がゆさに猫娘は頭を振る。 目には目を。髪には髪を。 猫娘もお返しに鬼太郎の髪に手を伸ばした。 「……あれ?」 手をついたのは床の上。鬼太郎の髪は寸前でひょいと猫娘の手を逃れた。 もう一度両手で踏みつけるが、やはり髪はうねりながら交わされた。 「…にゃあ…?」 猫娘の顔つきが変わる。まるで猫に猫じゃらしをはたつかせたように、楽しんではいるが真剣な表情で鬼太郎の髪先を追った。 頭の位置はそのままに。自在に髪の毛を波打たせながら、猫娘の手を交わす。 軽快に跳ねた猫娘は鬼太郎の身を飛び渡って、ひたすら髪の毛を追っていた。 (…やっぱり猫なんだなぁ…) 思わず目を細めると、油断した隙に髪先が床と猫娘の手に挟まれる。 「あ…っ」 「えへへ。勝ち〜ぃ」 これは何かの勝負だったのだろうか。 元々が勝ち負けにこだわらない鬼太郎だが、いつもいつも猫娘には負けっぱなしだから、やはり悔しさは感じない。 「うふふ」 勝ち誇って笑う猫娘の笑顔が見れたら、それでいい。 と、その時。 ───きゅるるるる…─── 二人の耳に妙な音が届いた。 顔を見合わせた途端、どちらからともなく笑い出す。 「あはは…ははっ」 「はははっ、猫娘お腹空いたの?」 「はは……、え?」 面倒くさがりな鬼太郎もようやく身を起こし、ひざに手をついた。 「お魚でも取りに行こうか」 「え…ちょっと待ってよ。今の…あたしじゃないよ? 鬼太郎のお腹の虫でしょう?」 「違うよ。だって僕、お腹空いてないもの」 お腹が鳴ったのが恥ずかしいのだろうか? そんなことを恥らう猫娘も可愛いなと思いながら、鬼太郎はまだ口元を歪めていた。 「違うったら、絶対に。あたしじゃないよ〜っ」 「じゃあお魚はいらない?」 「…いる…けど。でも、今のはあたしじゃないったら!」 首をふるふると左右に振って否定する猫娘は、随分とムキになっていた。 「ここから、音がしたもんっ」 ちゃんちゃんこの結び目、鬼太郎の腹をぽんぽんと叩いて口をとがらせる。 「えっ? そう…だった?」 特にお腹の鳴る感触もなかったのだが…。振動もなく鳴ることもあるから、鬼太郎は段々曖昧になってきた。 互いに首を傾げる。 どちらのお腹の虫の音なのか、判別がつかなくなるほど、そばにいたから…分からなくなってきてしまった。 呼吸が重なるほど近く。体温が混じるほど近く。 身を寄せて寝転がっていたから、分からなくなってしまった。 「う…ん。どうしたのじゃ、やかましいのう…」 卓袱台の上で昼寝していた目玉のおやじが騒ぎに気付き、目をこすりながら起き上がる。 「あぁ父さん、すみません」 「うむ。それより鬼太郎、そろそろ昼飯にしてくれんかのう?」 「えっ? オヤジ様、ひょっとして…」 「腹が減ったわい」 ───きゅるるるる…─── またひとつ、腹の音が響いた。 「父さん…」 「オヤジ様だったのね?」 「うん?何がじゃ」 真犯人を発見し、互いに顔を見合わせて笑い出した。 Fin. |