| □ Genre menu bar □ はじめに ゲゲゲの鬼太郎 DRAGON BALL 3.3.7.ビョーシ 犬夜叉 GAME | ■ ゲゲゲの鬼太郎 ■ |
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05 魔女の心臓
] 「どうしてあたしだけお留守番なのよーっ」 とある戦いの前。ゲゲゲハウスに集う妖怪たちの中、猫娘が不平の声をあげる。 仲間たちを蜂起してまで向かう戦いに、何故、自分だけ置いていかれるのか。まるで仲間はずれにされたような気持ちで、その大きな瞳にはうっすら悔し涙が浮かんでいた。 対して鬼太郎は、いつもの冷静な視線で猫娘を見つめている。 「そりゃあ…あたしは……まだまだ力不足で、妖力も小さいけど…っ。でも、鬼太郎の手助けはしたいんだもんっ」 「……ありがとう」 温かい声で、鬼太郎が答えた。 「じゃあ、連れて行ってくれる?」 期待に満ちた猫娘に、ゆっくりと首を横に振る。 「駄目、だよ…」 「どうしてよ! あたし…あたし、そんっなに足手まといだった…の?」 「違うよ?」 今にも大泣きしそうな猫娘の顔を上げ、静かに語り出す。 「ん…西洋妖怪の『魔女』のことを、知っているね?」 「魔女? うん…」 また話を変えてはぐらかされてしまわないか。猫娘はごまかされないようにじっと話に耳を傾ける。 「魔女は、自分の命───心臓を、カードの中に隠しておく。そうして、不死身の体を手に入れるんだ」 「う…ん。知ってるよ」 「君は僕の命だから。危険な目に遭わせたくないんだよ?」 「え…?」 思わず自分の胸に手を当てる。この身が鬼太郎の命であるという意味が、よく分からなかった。 「私の中に、鬼太郎の心臓があるの?」 きょとんとした猫娘の上目使いに、鬼太郎も自然と笑みがもれる。 「違うよ。そうじゃなくて…」 もしも猫娘に忌みなることが起きたら…。考えただけで胸が潰れる。 大切な大切なこの娘が、失われてしまったら。まだまだ未熟なこの心は脆くも壊れてしまうだろう。 壊れた心に、この強い妖力は操れない。鬼太郎の妖力は箍を失い、暴走してしまう。 壊れてしまうのは心だけでは済まないだろう。 この世界ごと───天も地も全て───壊してしまうかもしれない。 「…僕の心を…守っていて、ね?」 「?」 よく、分からないけれど。 それでも、鬼太郎の真剣な気持ちだけは伝わった。 だから、猫娘は借りてきた猫のような慎ましさで「うん」と頷くしかなかった。 「うん。じゃあ、ぬりかべ。猫娘を頼んだよ?」 「………」 護衛役のぬりかべが無言で頷いた。 「それじゃあ猫娘。待っていてね」 「うん」 「ぬりかべが、きっと守ってくれるから」 「そうよね。ぬりかべなら安心だわ、頑丈だし」 と、不意に生温い風が室内に吹く。それでいて、室内の空気はしんと一段冷え込んだ。 「そう…だね」 鬼太郎の冷ややかな視線が、ぬりかべに向く。 「ぬりかべは…頼りになるよ、ね?」 「………」 堅物の鉱石から、まるで冷や汗のような液体が伝う。 それは鬼太郎がかせた重い楔。そして、猫娘の信頼を得ているという、嫉妬。 いくら石のような頭でも、しっかりと感じ取っていた。 「頼んだ、よ?」 笑顔ひとつ。 脅されたような気持ちで、ぬりかべは慌てて頷いた。 「それじゃあ、行ってくるね」 「うん」 猫娘の「おかえり」を聞くために。必ず無事で戻ってくる。 「行ってらっしゃーい」 Fin. |