Acrobatの色置換はアクションウィザードで制御できない

Acrobatの色置換はアクションウィザードで制御できない

本稿の結論は表題の通りです。

以下にクドクド書きますが、結論さえ踏まえておけばわざわざ読むほどの内容ではないかもしれません。そこんとこご了承ください。
(2018年9月下旬現在:Acrobat Pro DC 2018.011.20058)

PDFをグレー化

カラーのPDFを単色(グレー)に変換したい時があります。
一般的には [ツール]>[印刷工程]>[色を置換] と辿り、各種設定を施して変換を行います。

[色を置換]はグレー化に限らず、異なるカラースペースへの変換やプロファイル管理などその用途は多岐に亘りますが、ここでは

[変換のプロファイル]
[変換のオプション]>[黒を維持]

のみ適切に設定してやればほぼ事足ります。

[変換のプロファイル]ではポップアップメニューに様々なプロファイルが用意されています(下図)が、グレー化に際しては[Dot Gain 10%]から[Dot Gain 30%]まで5%刻みの中から選ぶことになります。
単純に言うと、10%が一番暗く、30%が一番明るいということです。20%はその中間。

何パーセントが「正解」かは、元のPDFの配色から総合的に判断すべきです。
例えば、そのPDFを作った人が単色印刷を考えておらず、見出しなど文字に明るめの色を使っていると、グレー化した際に文字が読みづらくなることがあります。

下の図は、上から「元のカラー状態」「ドットゲイン10%で変換」「ドットゲイン30%で変換」です。
どうにも読めなくなる配色もありますが、この場合だいたい「10%」の方がまだ文字は読めると思います。

写真の場合は、より「好み」の問題になりそうですが、個人的には明るめに変換する方がディテールが潰れないので好きです。

とはいえ、文字と写真が混在したPDFでは、まず文字の可読性を優先させるしかありません。優先させつつ、その可読性を損なわない程度で写真の階調表現が良いと思えるドットゲインの数値を見つけることが、ベストではないけどベターな「正解」と言えるのではないでしょうか。

ドットゲインとは、紙ベースのアウトプットを前提に、インクやトナー、紙質から勘案して決めるものです(「ベタ濃度とドットゲイン」:株式会社インフォルム)。濃度調整といえばそうなのですが、主旨は「印刷時のインクの乗り方」の調整なのです。
Acrobatでの色置換は「その場しのぎ」。本来は元ファイル(生ファイル)の段階でグレー化を想定し作成・編集するのが望ましいのです。それが無理な場合も往々にしてあるんすけどね。

ドットゲインの話が長くなりましたが、もひとつ肝心なのは[黒を維持]です。

詳細は割愛しますが、組版モノで本文の文字色が黒の場合は必須。そうでなくてもおまじないのようにチェックしときましょう。

アクションウィザードに頼ってみる

マニュアルを開けば、「できる」ことはしっかり書かれています。
一方、「できない」ことは得てして書かれていないものです。
この話もそれです。

グレー化の処理をするPDFが少なければ、私は手作業で変換しちゃいます。その方が、変換後のグレーの階調を見ながら進められるからです。
でもPDFが大量(ページ数が、ではなくファイルが)の場合、手作業だと面倒だし、うっかり[黒を維持]のチェックを怠ってしまうかもしれません。

そんな時こそ[アクションウィザード]があるのです。
以前のAcrobatでは確か「シーケンス(バッチシーケンス)」と呼ばれていた機能です。

この[アクションウィザード]でアクション、バッチ、シーケンス、マクロ…とにかくそういうのを組んでおけば、あとはワンクリックで直感的かつミスのない変換がパパパッとできるはず。
ところがこれがどうもよくわかんない。[新規アクション]>[追加するツール]に[色を置換]やそれに類するツールが見当たらないのです。
私がやろうとしていることは、まさに[アクションウィザード]にうってつけの作業、のはず、なんだけど…そんな思い込みで時間を費やすより訊いた方が早いと、Adobeのサポートセンターに問い合わせました。

[プリフライト]でグレー化は可能だけど

サポートからの返答を要約すると…

[色を置換]ツールは[アクションウィザード]から呼び出せない。
[アクションウィザード]で[プリフライト]を追加することでグレー化は可能。

で、確かに[プリフライト]でグレー化は実現できたのですが、ドットゲインの選択もできないし、[黒を維持]もどうなっているのか分かりません。つまり私が求めているフローではありません。
その後いろいろお調べくださり、メールであらためて回答をいただきましたが、

ご要望を満たす機能がAcrobatにはございませんでした。
今後の課題として、担当部署に上申をさせていただきますが、機能として追加されるかは現時点では不明でございます。

という決着?となりました。なんかちょっと残念。そんなに需要のない機能だとも思えないんですけどね。

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