浴場タイム! サンプル
会話が止まると、雨の音が微かに聞こえてきた。勢いは収まってきたものの、ココさんの言う通り、まだ当分降り続けそうだ。
下着までびしょ濡れになっていたことを思い出して、僕は苦笑いを浮かべながら頭を洗い始める。適当に洗い終えて、今度は体を洗おうとスポンジを手に取った。
ふと、そこで視線を感じて湯船に浸かっているココさんへと視線を向ける。案の定、ばちりと目があった。
「……何か?」
「ううん。何となく、見てただけだよ」
その言葉に、僕はむっとココさんを見返した。
「仕返しですか?」
「仕返しというと人聞きが悪いな。つい目がいっちゃうんだよ。小松君もそうだったんでしょ?」
そう言われて、ぐっと言葉に詰まった。僕はどちらかといえば、ココさんの色気に当てられたようなものだったけれども。
「知りませんっ!」
「あれ、違うの?」
ぷいとそっぽを向いて、照れ隠しをするかのようにごしごしと体を擦った。ココさんの腕が不意に伸びてきて、スポンジを掴む僕の手を優しく止める。
「……今度は、なんですか?」
じと目でココさんを見たけれど、ココさんはそんな僕を気にした風もなく言葉を続ける。
「そんなに擦ったら駄目だよ。ほら、赤くなってる」
ココさんの手が、触れるか触れないかの際どい所で触れた。擽ったさに身を縮める僕からスポンジを取り上げると、ココさんは僕の体にそれを滑らせていく。
「こうやって優しく擦るだけで十分なんだよ?」
「……ッ!」
ココさんに背を向ける体勢に無理矢理させられて、羽交い絞めのようにして前を洗われる。
「じ、自分で洗えます!」
「小松君は自分に無頓着すぎるんだよ。髪の毛もそうだったけど、男だからって適当に洗えば良いってもんじゃないんだよ?」
人に洗われるのと、自分で洗うのと。どうしてこうも違うのだろう。
その刺激に、ココさんの手に入っていた力が緩んだ。一瞬の気の緩みを逃さず、僕はねっとりと目の前のそれに舌を這わす。
「こま、つく……ッ!」
ココさんの吐息は、もう隠しようもないくらいに荒くなっている。僕はそれが嬉しくて、口の中で大きくなっていくそれを更に深く咥えこんだ。
ココさんの眉間に深い皺が寄る。その表情だけで、ぞくぞくとした。
「ふぅ、ん…ぁッ、」
「……ッ、く、は…!」
「きもひ、いいでふか?」
咥えたまま喋ると、耐えるように閉じられていた瞳が僅かに開く。ココさんの輪郭を這うように、透明な珠の雫が伝い落ちて行った。
「……とても、きもちいいよ」
吐き出される吐息は甘く、熱い。その言葉が嬉しくて、僕はじゅぷじゅぷと音を立てながらまたココさんを呑み込んだ。
「ほんとに、君って子は……!」
ココさんの気持ち良さそうな声が僕の耳に落とされる。もっと気持ち良くなって欲しくて、僕はココさんから唇を離し、大きくなったそれに舌を這わせた。
「ふ、ぅ……んッ、ひっ?!」
唐突にココさんの手が僕の後孔に触れる。掠めるだけの動きだった筈なのに、体に電流が走って行くようだった。
「あ、あ、だめっ……!」
「駄目? これだけ煽っておいて、今更だよね」
引き寄せられたかと思えば、ベッドの上に縫いつけられた。ココさんの唇が僕の唇に触れる。荒々しい口付けと、まるで獲物を見つけた獣のような瞳で貫かれて、僕はぶるりと体を期待で震わせる。
「ふふ。舐めてただけで、こうなったの?」
それだけじゃないよね。と、ココさんの人差指が僕の胸から腹までを辿っていく。
「ッ、ぁ…あ、ん!」
「こんなに先走りを零して……いやらしい子だ」
指先はそのまま腹部を辿り、更にその下を目指していった。耳に吐息を落とされるのと同時に舌で弄られる。その刺激を逃すように、シーツの波を足先が掻いた。
お風呂でいちゃいちゃ、そのあとまたベッドでいちゃいちゃ。
ずっといちゃいちゃのターン!そんなココマです。
甘々 本文24P 300円
2012.7.16発行予定