フォーチュンカフェへようこそ 書き下ろしサンプル




 ココさんの目に宿る色に、僕は震えた。欲情の色を隠しもしない、そんな目でココさんに見つめられて、何も思わない方がきっとどうかしている。
「僕、そんなココさんも、大好きです、よ?」
 密やかに囁いて、僕はココさんに抱きついた。ぎゅっとその体を抱く腕に力を込めれば、ココさんの体がぐっと何かに堪えるように硬直した。
「……君はさっきから、僕を試しているのかな」
「にゃっ!?」
 べりりと勢いよく剥がされて、僕の体は反転する。柔らかなシーツにぽすんとうつ伏せにされて、背中にココさんが圧し掛かった。
「そ、そんなつもりじゃ……あっ!」
「……なおタチが悪いよ」
 ココさんのちょっと不貞腐れたような声が聞こえると同時に、むにりとお尻にココさんの掌の感触がした。
「ちょ、ココさんっ?!」
「んー……?」
 気のない返事を返し、ココさんは僕の声を気にすることもなく、もにもにとそこを揉んでいる。振り返ると、そんな僕に気付いたココさんがにやりと笑った。
「ふわ、ああ?!」
 ココさんの端正な顔がそのまま僕のそこに埋められる。逃げようにもがっちりとそこを掴まれてしまっていて、逃げられない。信じられない光景に、僕は目を見開くしかなかった。
「や、やぁ! なに、して……っ!」
「知らない?」
 ぴちゃりと音が聞こえて、更にそこに濡れた何かが触れたのがわかった。僕はその意味に気付き、ぼっと顔を赤らめる。すっかり忘れ掛けていたが、僕らは今、そういう行為の真っ最中だった。
「男同士は、ここを使うんだよ」
 だから、慣らさないとね。
 ココさんが何かを喋る度に、吐息がそこに触れる。それからなんの躊躇いもなく、ココさんは再びそこに顔を埋めた。濡れた感触と、濡れた音、ぞわぞわと背筋を上るこそばゆい感覚に、僕はシーツをぎゅっと握り締めた。
「ぁっ、だからって! そんな、汚い所! ぁっ、な、舐める必要、はっ!」
 あらぬ所に、ココさんの舌が触れている。ぴちゃぴちゃと音を立てて舐められると、僕にもどうしたらいいのかわからない。
「汚くなんかないよ?」
 ウソツキ。そこが汚くない筈ないじゃないか。と、僕はシーツに顔を埋めて首を振った。





「にゃっ! ココさ、ほんとに、ここで?」
 小松君のそこに挿入する間際、小松君が困惑するような声をあげた。
 今更何をと言う僕の視線の先で、小松君は全身を紅く染めて震えている。
「……勿論、そのつもりだけど?」
「ぁひっ?!」
 露わになっているその足に口付けると、先程から高められていた小松君は、口から艶っぽい声を漏らした。
「だだだ、だってここ、職場ですよっ!?」
「だから? ここは僕の店だもの」
 けろっと僕が答えると、小松君がうっと言葉に詰まる。ここがいつも働いている職場だからか、行為をするのに戸惑いがあるらしい。
「衛生面、とか……く、んっ!」
「ちゃんと消毒するし、問題ないんじゃない?」
 何、それとも厨房のがお好み? くすくすと笑うと、小松君がぶんぶんと首を横に振った。
 残念。僕がそう呟くと、小松君の眉間に深い皺が寄った。
「ココさ、あっ!」
「君が不安になる必要なんかこれっぽっちもないって、わからせてあげる。このカフェのどこを見ても僕を思い出せるように、僕にどうやって愛されたか、思い出せるように、ね」
 囁くように言えば、小松君がぴくんと震える。どうやらこの声にも弱いらしい小松君に、僕はほくそ笑みながら、その体に手を這わせた。
「ん、ぁくっ……」
「文句は後で聞くよ」
 小松君の抗議の視線は無視し、僕はその体に舌を這わせていく。色が薄くなっていた箇所は既に上書きしてあるから、小松君の体には至る所に色濃く紅い華が咲いていた。



サイト・Pixivにあるお話の再録です。
書き下ろしもありますが、後日サイトに載せる予定ですのでご注意ください。
素晴らしい表紙はKSADのあどさんに描いて頂きました!
全体図は下に!
カフェ!

とても綺麗でいて、素晴らしい…!こんな二人にいらっしゃいませと言われたら、毎日でも通っちゃいそうです。
あどさんありがとうございました!
あどさんのPixivはこちら

2013.12.29発行予定