6欠番(改稿後7に編入済)
スペースが勿体無いので
インターミッション
[シークアントの憂鬱]

ゼブロの連れて来た3人は妙な3人だった。
そもそもキルア坊ちゃんの友達ってのが胡散臭いと思ったがゼブロはあれで人を見る目はしっかりしてるし、
まぁ間違いは無いんだろう。
そうすると逆にキルア坊ちゃんの友達って話も真実って事になっちまうが、そっちはやはり信じられないって感情が先にたつ。
だが、ゾルディック家の中では、あの三男坊の銀髪の坊ちゃんは確かに変わってる。
世間一般的な意味でならあの坊ちゃんだけが、まだ俺達の感覚で理解の出来る人間だって事なのだが…
だから、あの坊ちゃんになら友人が出来ても不思議は無いかな?と思わされるのは真実だ。

しかし、どういう年齢構成なんだ?
1人は半ズボンのガキでキルア坊ちゃんと同い年位だろう
うん、この子が友人だな。
もう1人の若造は…いや、オッサンか……保護者ってとこか?兄貴…まさか親父か?いや流石に若過ぎるか?
ん?てことはあの金髪の美人はその恋人か嫁かなにかか?
いや絶対、実の母親じゃ無いぞ!アレは若すぎるだろ!
ってことは恋人か?
つか、あのオッサン犯罪だろ?なにあんな若い娘に手ぇ出してんだよ?
あぁ甲斐甲斐しく世話なんか焼いちゃって…あのガキもよく懐いてるな
あーあ、あんなにニコニコしちゃってまぁ……まぁ、嬉しい気持ちはわかる。男なら誰だって美人は好きだ。
しっかし、ゼブロのヤツ3人同部屋に放り込みやがったが、いいのか?子供なんてとっとと寝ちまったら起きないぞ
くそーーーーーーっあのリア充オヤジめ、あの美人と夜はアンナコトやコンナコトしてやがるんだろうな…
う…いかん!馬鹿な妄想してたらこっちが煮詰まっちまう。昼ドラ的暇つぶしは大概にしないとな





《え?3人ともハンター試験で知り合ったキルア坊ちゃんの友人?あのオッサンもか?》

《ええっ?!あれで年齢は10台だってえぇええええええええええええええええええ??》

キルア坊ちゃん(化け物)の友人はやはり並じゃないってことか…



7
《ゴンとトモダチになりたい》
それが望み。

《3人?》
耳を疑った…3人共に来たのか?と
いや、レオリオはまだ解る、アイツまで来たのが以外だった
《オレを警戒していたろ?トリックタワーでもさ》
ショーサン(賞賛)を贈る2人と違ってアンタの目にはケーカイ(警戒)とギネン(疑念)が潜んでた

《お互い様か》

トリックタワーで図体ばかりのあの偽蜘蛛をブッ倒すまで、頭ばっかりの屁理屈ヤローだと思ってた。
《ヤルじゃん》って口笛ふいた
見かけとかなり違うんだな…

《人、殺したことないんでしょ?コワイの?》
《殺しを怖い怖くないで考えた事はない》

ああ、やっぱり肝心なことには答えない
ぱっと見、答えてるけどさ、自分の情報を与えない習慣が身に付いてる。相手を無視しない程度に自分の情報は出さない
秘密主義者だ。
来たのはゴンの付き添いってトコが妥当かな?

《私はついでか》
ついでかって、アンタこそゴンが来るから来たんじゃないのかよ?
あれで仲間のつもりだったのか………
ああ、そういえば、最終試験でアニキに逆らってくれたのはレオリオとハンゾーとクラピカの3人なんだっけ…
仲間扱いされてたんだなオレ

でも、オレから切った仲間だった

だから、訪ねてきてくれるとは思ってなかった。
俺は仲間と確信できてたわけじゃないし、あまり親しかった訳じゃない。試験中に仲間として行動したのもトリックタワーだけ。
オレは基本は単独行動
群れる必要は感じないし、ゴンは興味あるからマラソンは一緒に行動したけど、正直なところ付録みたいなデコボココンビの方にはあまり関心はなかった
なかった筈だけど
第4次試験でバラけた筈なのに3人トリオになってたのを後で知ったらなんかモヤモヤしたっけ
オレはさっさとクリアしたし弱っちいヤツに興味はないけどさ
なんか…ね
まー三次試験はちょっと面白かったし一応はキョーミあったんだけどさ、それはゴンの仲間だからって考えてた

それが、知らない間に仲間扱いされてた…

友達なゴンの友達ってポジションなんだろうけど
それでも照れくさいから名前ふざけて呼んだり、ついで扱いしたりしたけど
そこにあんなツッコミ入るとは思わなかったよ。

結構、オレって人気者じゃん?
なんか一気に嬉しくなって、それとなく3人を覗き見してたんだけどさ

あれ?

あんな感じだったっけ?
ゴンがなんか…………
そうだ、第4次試験の後、飛行船でゴンも最初あんな感じだった。クラピカがゴンと話し込んでたっけ、なんかすっかりその後はいつものゴンだったから忘れてたけど

なんだかだ面倒見がいいんだよなクラピカって。オッサンにもしょっちゅう世話やいてたし………苦労性ってのか?
あ!オレにも世話やいてくれたわけか?!
あれ?なんかちょっとガッカリしてるぞオレ。
さっきは嬉しかったのに………そういえば、ゴンに対する時とオレに対する態度じゃちょっと違わない?なんかそれってちょームカツク…
え?ええええええ?
なんだこのビミョーなカンカク(感覚)
訳のわからない事ばっかりだ
外のヤツラと友人って変!

《キルア、大丈夫?》
ゴンがオレの顔を覗き込んでる。百面相見られた?いや、大丈夫?って
《大丈夫かどうか心配なのはお前のほうだっての!》
心の中でツッコミをすまし
《早く出掛けようぜ。ここに居たらオフクロがウルサイから》
オレがそう言ったら、3人とも実に味のある表情をした。
《ああ、やっぱキョーレツだった訳ね、外の人間にも》
言葉にはしないで、思いっきり肩を落とすオーバーアクションをしてやった。



8
《9月1日にヨークシンで》

麓の街でそう言って別れた


《大変だったろ?》
《うん!でも面白かったかな》
川にかかった橋の欄干にオレは背でもたれ空をみてる、ゴンは両手を着いて手摺に顔を乗せ、かなり下を流れる川を覗き込んでいる。
ちらっと見た横顔や、川面に写る表情には屈託は無い。
執事屋敷に着いた時にオレが感じた3人の違和感は気のせいだったのか?
オレと2人で何処に行くか真剣に考えてるみたいだ、ヒソカにワンパン食らわすにはそれなりの修行が必要だろう。そんな場所と言えば、
《そういえば、門番小屋でどんな特訓してたんだ?なんか思ったより時間掛かりすぎてんじゃね?オッサンが足手まといだったとか?》
ちょっとだけ悪気のある質問をする
《だってオレ、片腕ギプスで吊ってたしさ!治るまでに時間掛かっちゃったんだよ!》
それでも普通じゃない早さで治ったのだとレオリオに言われたらしい
《あ、レオリオは直ぐ開けれるようになったんだよ、でもオレもクラピカも自分で開けなきゃ気がすまなくて…》
一気に捲し立てた台詞の最後が少し弱い。
《へー、オッサン1番に開けたんだっ…てあれ?別に怪我してないクラピカも手こずってたのか?》
意外だけど、かなり華奢な体格みたいだから有りうるか?でもトリックタワーをみたかぎりじゃ………
《…クラピカ、4日程具合が悪そうだったんだよね、別に怪我をしてた訳じゃなさそうだったんだけどさ》
ぼんやりしてたりちょっと感情的だったり
《うーん、風邪だったのかな?》
確かにゴンは風邪すら引きそうにないから、不調とか解りにくそうだ
《結局、出遅れたオレよりは先に開けちゃったんだよね、クラピカも》
ちょっと悔しそうに、でも嬉しそうにゴンが言う
いつものゴンだ
《ホントはさ、レオリオには負けたくなかったんだよね》
《え?》
いくらオッサンでも力関係までゴンに負けたら立つ瀬が無いだろ?
ただでさえ、身長とか年齢に基づくところ位しか勝ててないオッサンなのに
あれ?もしかして、それか?
……負けず嫌い過ぎ!年齢なんてどうしようもないじゃん。まぁ、後5〜6年もすれば違いなんて大した事無くなるかもだけどさ、今は無理っしょ
オレなら勝ってるけど
オレの半分ほくそえんだ顔には気付かずに、俯いたままゴンが続ける
《ホントはさ、クラピカにも負けたくなかったんだけど……》
あれ?語調が違う…
《そっちはいいんだ?》と先を促す
《クラピカが頑張ってるのは凄いなって思える。前はレオリオにもそうだったんだけど……さ》
ふーん?あんまよく判んねーけど、ゴンには拘りがあるらしい

《さ!》
話を打ち切るようにゴンが大きく顔を上げながら言う
《これから何処に行く?何して遊ぶ?》
遊ぶ?
ヒソカとの再戦の為にやることあるだろ?こいつは……ったく
ガン!
《ってーな。何するの?》
思わず一発殴ってた。
《何するの?じゃねーよ。今のままでヒソカに勝てると思ってんのかよ?》
全くこいつは世話が掛かる。世間のことあんまり知らないみたいだし
オレが何とかしてやら無いと駄目だ
あれ?もしかしてオレも、クラピカにしたらそう見えてたって事か?
なんだかな、アンタこそ危なっかしいと思ってるのはオレだけじゃ無いのに。
苦笑する。
まぁ、今度会うときはアンタがびっくりするぐらいオレもゴンも強くなってると思うよ。
《ゴン、オレ、修行も金も何とかなるイイ場所知ってるぜ》

9月1日を楽しみにしてろよ。