「久しぶりだな」
その男は相変わらずの羽襟の黒いコートの出で立ちで部屋の入口を塞ぐように立っている
「何故、此処に貴様が来る?」
クラピカが訝しげに問う。
彼女が此処に居るという情報は漏れようがない。最近は行先を誰にも告げないで行動しているから。情報が漏れない為にはこれが最善。その上、今日此処に寄ったのは気紛れの偶然だ。
「お前に会いたいから。会うのを禁止されたわけじゃない」
悪びれもせずにその男は答えた。
彼女は、術中に嵌まってはいけないと自制しているが、この男との問答は一々癇に障る
「そうではない!なぜ私の居場所が判ったのかと訊いている」
つい、苛立ってしまい最終的に後悔する事が多くなる。あのヨークシンの車内のやり取りのように。
彼女の様子に、笑みを浮かべながら男は言う
「これのお陰だ」
そして右手で自分の胸を指す
楔を打ち込まれた心臓のあたりを。
「時折、俺の行動や感情にお構い無しの動機が起こる……直ぐに気付いた、これは鎖野郎の鼓動だと」
「…!…」
彼女は唇を噛んだ
楔には打ち込んだ相手の動向をある程度判るように能力を付加してはいたが、まさか相手にも自分の動向が判ってしまうとは思ってもみなかった。
今後は念能力の使用を禁じるのを、楔の必須条件にした方がよさそうだ。
「残念ながら禁じられてるので、念で探ることは出来ないが……そういえば」
いかにも思い付いたという風に意味ありげに彼女を見た
嫌な予感がしてクラピカは身構える。自身の心臓に打ち込んだ楔も予感を伝えてくる。まるで繋がっているかのようだ
「いつぞやなぞは、お前の胸の高鳴りや愛しいという感情がいちいち伝わってきて、俺まで切ない気分になってしまって閉口した」
カッと血が上る。秘め事を一部始終覗かれているのか
「黙れ!」
薬指の鎖を投げ付ける!
男は受け流しながら掴んでそれを止めた、念が使えない以上、体術で対処する。
そうしながら彼女との距離を一気に詰めた。両腕を拘束し両足を踏みその場に縫い付け、身長の加減で至近距離のクラピカの顔を見下ろす
紅潮した頬が赤く色付いている、睨み付ける眼は黒いカラーコンタクトのせいで色は判らないが、心臓の楔が彼女の怒りと恥辱を伝えてくる。きっと美しい緋色をしているのだろう…
「1つ、面白い事を思い付いた。鎖野郎自身とセックスしたら、俺の心臓はどんな鼓動になるのだろう?」

クラピカの心臓が跳ねてクロロの心臓に伝わった。

クラピカの肘付近で押え込んでいる両手を撫で下ろしながら彼女の背中に押しやり手首で纏めて捻る様に左手で持つ
彼女の俺への憎しみが心臓に響く
開いた右手を上着の中に忍ばせ左の胸をギュッと痛がるほどの力を入れて掴む
「うぐ」彼女の押し殺した声が漏れる
「うっ」俺も少し痛い
これは、あまりいたぶると自分にまでダメージが来る。どの程度の苦痛なら耐えられるか試すのは今はやめよう
逃げられては元も子もない。そういった遊びはアジトに連れ込んでからだ。
後ろ手に纏めた腕を奥へ引っ張る。俺の体重で足を縫い付けているので彼女は丁度後ろ手に吊り上げられた様に上体が俯くようなポーズになる
そうしたところで大してボリュームの無い小ぶりな乳房を肋骨へ擦り付けるように揉み回すと手の中で乳首が硬くなった
それを転がすようにゆるめに揉む。小ぶりな乳房に対して確かな手ごたえのある乳首を、摘むように弾くように弄くった
鼓動が乱れて跳ねる。俺への嫌悪感で激しく叩く動悸の奥から、明らかに憎しみ以外のモノが滲み出てくる
それに対する、彼女の自分自身の体への嫌悪が重なり複雑な鼓動だ。
彼女の仲間の心音を聞く能力者は多分こんな感じで聞き分けているのだろうと思ったが、自分が侵食されることは無いのだろうか?
そういえば、俺の鼓動を聞くのを嫌がっていたな…
俺は少し屈んで、今度は下方に手を引っ張ってやった。胸を張る様に上体が反る。両手が塞がっているので口でシャツを咥え引き摺り上げた
白い腹にほほを擦り付けながら咥えたシャツを摺り上げる。コートの羽襟が撫で息が掛かる。一気に捲り上げるよりずっと刺激があるのだろう
肌が泡だち身悶えるように薄い脂肪の奥の腹筋が震えるのがわかる
鼓動がはねる
二重奏のように
「うっ…く」
唇をかんでいるのか押し殺した声が漏れる。クラピカからは俺は見えない。上着の前垂れの下に俺の頭が潜り込んでいるから
何をされているのか?視覚を当てに出来ないだけ触覚が際立つのだろう、たいして愛撫をしている訳でもないのに彼女が感じているのが判る
伝わってくる。息が荒く上がってきている。
咥えたシャツを乳房の下まで運んだところで右手に持ち直し、立った乳首を引っ掛けるようにして一気に捲くる
「ひゃ」
声が漏れた
プルンと重力に従って乳房が顔の前に現れた。小さくて白い小山の頂にぷっくりとしたやや赤みがかったピンクの乳首
乳輪が小さく乳首ぎりぎりなので蕾のようだ。左のさんざん弄ったそれにふっと息を吹きかけ舌でぐるりと周囲を舐め咥えた
彼女を拘束している手を持ち替えて、右の乳房を先程のように手でいたぶり、左は舐めて吸う。
捩って逃れようと身をもがくが羽に擦れて却って刺激を増すだけだ。
「うっ、…ふぅ…んんっ…ん…ん」
必死で声を殺している。だが鼓動は絡みつくように快感を伝えてくる
虚勢を張っているが、女の身体は刺激に忠実だ。もう一押し…
「BUUUUUUUUUUUUU BUUUUUUUUUUUUU」
スカートの中から携帯の呼び出し音が響いた、バイブ設定か。
「丁度良い」
乳房を弄っていた手を離し、携帯が前に来るようにスカートを掴んで回して裾を引っ張り肉芽の辺りに押し付けた
「あぁぁぁああーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
感度が上がっていたところにバイブレーションの振動をあびて性の快感が一気に溢れた
鼓動を通じて俺の脳にも欲情が伝わる
俺への憎しみが肉欲に負けて屈辱を感じながら喜びに侵食されて塗り替えられる瞬間を
ビクビクと震えている軽く達したのだ。仇にイカされて、
暫く電話をそのまま押し付けていたが、一向に切れる様子はないブルブル震えて彼女をせめたてている
達しても続く責め苦に身体は何度も震えている
耐え切れなくなった彼女からはすすり泣く様な喘ぎが漏れつづけ、膝から力が抜けて俺に身体を預ける格好に倒れてきた
縫い付けた両足は元より閉じることは出来なかったが、間に俺の両膝を入れて座らせるようにして開く、太腿すら閉じられなくしてやった
スカートも広がって身体から離れ、バイブの刺激からは開放されたが
胸は小刻みに大きく上下し、息は粗く、限界を超えた責め苦に意識は朦朧としていて今やされるがままだ
電話はまだ鳴っている。
思い立ち、スカートから電話を取り出し通話を受け、そのまま床に置いた
長らく待たされた電話から「もしもし?クラピカ?」という男の声が聞こえてきた
「!」
彼女の反応にこれが恋人かと理解した。胸が痛んだ。彼女が?俺が?
振り払うように乳房に音を立ててむしゃぶりつく、聞こえるように
覚醒しかけた意識がまた飲まれていくのが伝わる。状況を理解できていないのだろう
素直に声を上げているから。
俺の鼓動も彼女の意識を捉えている。
俺としては、意識のあるまま恋人の前で陵辱してやりたかったのだけど
「おい?どうした?クラピカ!おい?」電話の向こうで男が吼えている。濡れた音と喘ぎ声とで異常に気づいたからだ。
だが、この場にいないお前にはどうすることも出来まい。
邪魔なスカートを捲くり上げ、そのウエスト部に挟みこむ。この体勢では彼女のズボンを脱がすのは手間だ、ナイフを取り出し前を下着ごと裂いた。布がしけっていて少し引っかかった
準備は出来ているらしい。
自分のズボンから俺のモノを取り出す、充分いきりたっている。彼女の興奮がそのまま俺の興奮だから。彼女からは自分の上着が邪魔で俺が何をしているか見えない。
が、鼓動が伝えるのだろう。太腿に滴る液が増えた。俺も待ちわびてる。
クラピカの中心に熱を持った俺をあてがう、彼女が震える。急きたいけれどゆっくりと、じっくりと中に押進む
「あぁ……あぁあ」
色のついた声を上げて俺を迎え入れた

奥に到達した時ぴくんと彼女が跳ねた
「う」
思わず俺も声が漏れる。どくんと心臓が高鳴る
どうやら、彼女は奥でも感じるらしい。ソコを突くのはもっと後にしよう
俺には、クラピカは既に抵抗する意思が霧散してしまってる事が判っていた。が、拘束を解く気はない
右手で纏めて持っていた彼女の手首を両手で持ち直し、その手ごと彼女の尻と脚の境目辺りを支えるように持ち上げた
「んふ…っ」
角度が変わって吐息が漏れる、だが上体は既に力なく、丁度俺の肩に彼女の頭が載っている。上着に俺がもぐっていた所為で今は俺からずり落ち彼女の頭にそれが掛かっている
捲り上げられたシャツはそのまま胸の上で丸めておいたので、両の乳房は剥き出しのまま。自身の尻を支えるように腕が引っ張られているので突き出す姿勢もそのままだ
身体を揺らせばきっと装飾過多な俺のコートのあちこちに乳首が擦れてイイ声で鳴くことだろう
そんな心情が伝わったものか、彼女の内部は更にねっとりと俺を包み込む
ゆっくり腰を回して彼女の中を掻き回した。
「きゃぁっ」
嬌声があがった。
「おい、キサマ誰だ?!クラピカに何してる?!」電話の向こうで男が叫ぶ。もう充分、彼女に何が起こっているか理解しているだろう。
しかし、たいしたものだ、彼女は被害者だと疑いもしない。気に入らない。
直ぐに切ってやろうと思っていたがもう暫く行為を聞かせてやろう
自分以外の男に感じている彼女の声を。もうやめてくれと懇願するまで。

抽挿を始める。
ゆっくりと抜いていき、速く挿しこむ。奥までは突かないし、抜ききることも無い
入り口付近の感じるポイントを擦りあげてせめる。リズムを変えて何度も何度も。
彼女が仰け反るとやりにくいので左手を手首ごと背中に回した。右手を捻り上げられ痛みで彼女が少し呻くが、喘ぎにまぎれて苦痛の声には到底聞こえない
ずちゅずちゅと濡れた音が響く彼女の喘ぎ声も俺達の息遣いも
始めはまだ少し抵抗を続けて声を殺していたようだが、しつこくせめられて理性の溶解した彼女は今は素直に応じている
電話の男は火が点いたように叫んでいる。彼女の名を。しっかりしろと。
鼓動が痛みをつれてくる、名を呼ぶたび痛い。だが、与えられ続ける性の刺激にすぐに飲み込まれて消えてしまう
その繰り返しが俺には心地よい。背徳の媚薬。ぞくぞくする
電話の男も酷な事だ。
お前の声に反応して彼女は最後の意識を手放せない、身体は溺れて既に泣くように喘いでいるのに芯の所に罪の意識が座っている
恋人の前で犯したかったのだが、電話のおかげで似た状況になった。
実際はほとんど朦朧としているのだろう、身体は如実に反応を返している。内部は締め付けてくるし2人の接合部からはとめどなく液体が溢れ飛散っている
撒き散らす卑猥な水音と、上がる嬌声からは彼女の心の奥の罪悪感など拾えまい
「可哀想なクラピカ、裏切りだと思われているかもしれないよ」
そう耳元で囁いてやった。痛みが走る。
抽挿を激しくする。少しずつ深い処も突く、締め付けの心地よさと背徳の鼓動に俺もこの身体をせめることに少し夢中になってきた
気が付くと電話から声が聞こえなくなっていた。通話をきったのか?頭の端で意識した。
すすり泣くような声が携帯から聞こえてくる。クラピカの鼓動が悲しく反応して沈んだ
打ち消すように、いっそう激しさを増す抽挿に彼女から零れ飛び散る液体が増え携帯にもかかる。極まってきた切ない喘ぎと激しい息遣いは彼女の男にはどう聞こえているのだろう?
何度か最奥を突いた。意識が飛ぶのが鼓動で通じる。心地いい。俺の鼓動も跳ねる。
彼女の身体にはもう力が入っていない。ようやく手足を離し俺の与える律動に自由に反応できるようにしてやった
何度も何度も奥を突き押し付ける、痛んで力の入らない手足が跳ねて上体が踊る。ぎゅっと締め付ける。鼓動が動悸と重なって二重奏を奏でて同時に弾けた。

荒い息が整うのをそのまま待った。彼女はぐったりとして意識がない。俺に持たせかけ腰を持ち上げて抜こうと思い止めた。
そのまま足元の濡れ汚れた携帯を拾う。
まだ通話は切られていなかった。電話口から嗚咽が聞こえる。自分の無力に打ちのめされた負け犬の泣き声。いや、怒りに震えているのか?
この男とは鎖があるわけではないので判らない
電話を2人が繋がっている場所に近付け、充分音を拾うように俺のモノを抜いた、ごぷっと彼女から精液が零れぼたぼたと床に落ちた。その音も届けてやる。
この電話がシンプルな携帯でなければ今の映像を送りつけてやったのに…そんなことを考えながら通話を切りまた床に置いた
切り裂いた彼女のズボンは脚にまだ絡まっている。それで彼女の太腿に溢れた2人の体液を拭いとる、ズボンの残骸はべちょべちょになった
どうせ二度と使えないのだからと切り裂いて脱がせて捨てた下着も共に、携帯の近くに。GPS機能で居場所を探しだした電話の男がこれを見つけたら面白いだろう。切り裂かれた下着とズボン、膣液と精液まみれの陵辱の証
アジトに連れ込む為の移動も、分厚いスカートを下ろせばズボンや下着がなくてもどうということはない。捲くったシャツもおろし上着も整えた。
弛緩しきった彼女は気を失ったように眠っているが、これで見た目には陵辱の後は判らない
そう簡単に目を覚まさないとは思うが念のため、半開きの唇にカプセル錠剤の眠り薬を指で押し込み飲ませた。これで8時間は目を覚まさない、移動には充分だ。
くくっと笑う
「PRUUUUUUUUUUUUUUUUUUU」
俺の電話が鳴った。この着信音は…
「やぁ◆」
思ったとおりの相手だった
「除念師が見つかったよ。これからそちらへ連れて行く◆」
「ああ、約束の場所で落ち合おう」
「じゃ◆」

除念師か…ヒソカと戦うのは約束の報酬だ。でも除念してしまうと、俺と彼女をつなぐ鎖は消えてしまう…
腕の中のクラピカの顔を見る。捕まえた虜
さっきのセックスは良かった。女を抱いてこんな気持ちになったのは初めて。背徳感と充足感と征服感。言葉では言い表しきれない。あの鼓動が重なる瞬間の陶酔。
楔がなくなればきっともう二度と得られないだろう。

「逃げるか」

ヒソカから。彼女の恋人から。隙あらば寝首を掻こうとするだろう、俺を仇と狙うクラピカを連れて!
スリリングで面白そうだ。
飽きるまで楽しもうか、このゲームを。

虜なのは俺の方

彼女を荷物のように肩に担ごうとして、一瞬考え、姫抱きにして男は部屋を出て行きドアを閉じた。

END