一体何時間森のなかをさまよっているのだろうか。鬱蒼と生い茂り光もあまり通さない木々の間をぬって歩いていると、レオリオは変わらない景色につい今がハンター試験の只中だと忘れて、意識があらぬ方向に飛びそうになった。
先程合流したクラピカは、黙々と前を歩いている。まず川を探すと宣言してから一切足を止めず、歩き続けているその背中は厚手の服の上からでも分かるほど細いが、器用に根の張り出た部分を乗り越えながら歩く姿からは余裕がうかがえた。
「おい、そろそろ休憩しねえか。俺はもう腹減っちまって」
「・・・そうだな。だいぶ歩いたし良いポイントを見つけたら休もう」
ちらりと後ろを振り返ったクラピカと一瞬目があう。たぶんやつは今、俺の様子を確認した、とレオリオは頭の端で考えた。レオリオがつらそうに歩いていれば、他の受験生に気付かれる恐れのある場所でも無理矢理休みをとるつもりだったのだろう。自分が周囲への警戒を解かなければいい話だと考えている。そういう奴だ。
だから俺は、こいつのことが好きになったんだから。




川が見つかり、川沿いに雑草が伸び放題で周りから姿を捉えにくい場所を選んで腰を落ち着けた。クラピカはカバンを肩からおろすと、上半身をほぐすように腕を回し、首を左右に傾げた。目は閉じている。無防備な仕草を、レオリオは思わず見つめた。碧眼が開き、目があう。
「なんだ」
「や、別に何でもねえよ。…お前やっぱりそのカバン重いんじゃねえのか?」
目をぱちくりさせる奴の顔を正面から見れず、足元の雑草を見ながら
「中身が多い上に片方の肩に負担がかかるだろ。肩凝らねえか」
レオリオが自分の体を気使っているらしいと理解したクラピカは、安心させるように微笑んだ。
「確かに肩は少し凝るが、大して支障はない。それよりお前がターゲットを見つけられるかが気がかりで頭が痛いよ」
「んだとコラ!たまたま自分は早く6点分稼いだからって調子乗るなよ、てめえ!」
奴の首に腕を回し、首を締める格好をとると、俺の胸のあたりを笑い声が小気味良くたたく。はちみつのように優しい色合いの髪から太陽のにおいがした気がして、今さらながら抱きしめるような体制に気づいた。
クラピカはゆっくりした動きで俺の腕を抜ける。そのぬくもりを思わず追いかけて、今度こそ本当に抱きしめてしまいそうになるのをこらえる。
「必要のあるものだけ厳選して入れているから、荷物をこれ以上減らすことはできないしな」
戯れの名残で細められた目と少し乱れた髪に、目が奪われる。
「肩もんでやるよ」
「お前にマッサージのような繊細な技術があるとは思わなかったな」
言いながらも背中を預けてくれる。
「ほっとけ」
レオリオは内心緊張しつつ手のひらの汗を急いでズボンで拭いた後に、慎重に細い首筋に手を伸ばし、触れた。

うなじのあたりから腕の付け根まで繰り返し、凝りを流すように揉んでやると、やはりいつもカバンの負荷がかかっている一方の肩が固い。そこに力を入れて重点的にほぐしていく。
クラピカは眉を顰め、痛みを堪えながら、体をささえるように地面についたてのひらを思わずにぎりしめた。レオリオの手は温かく、心地は良いが容赦ない。押されて傾きそうになる上体を必死に押しとどめる。
一方レオリオは、その肩のあまりに華奢なことや、時折クラピカから漏れる耐えるような声に限界が近づいていた。いや、今は試験中で、そんな不埒な行為に走るような危険は冒せまい。しかし、一度軍艦島で触れた肌を思い出す。
「っレオリオ、お前も疲れているだろう、もう、いいから・・・」
やんわりと手に手が重ねられる。その手を思わず掴み、引き寄せる。
「うわっ」
体が反転し、抵抗する間もなく体が反転し、レオリオの胸に飛び込んだクラピカは完全に油断していたようで、何がなんだか分からぬまま呆然としている。
それをいいことにレオリオは左手を青い服の下に潜り込ませ背中をなでまわしながら、もう一方の手をうなじのあたりをくすぐるように滑らせる。それらが蠢きつつ意志を持って下へ下へと移動していき、ズボンにかかったところでクラピカはようやく我に返った。
「レオリオ!な、お前・・・っ」
「他の受験生の気配もねえし、大丈夫、大丈夫」
完全に開き直っている。
「何が大丈夫かッ!状況を分かっているのか!」
「最後まではしねえって。ちょっと触らせろよ」
「だから良いという問題では…う、」
乳房を下から包み込むようにしてゆっくり揉みあげると、金髪に隠れた耳が真っ赤に染まるのが見て取れた。更なる悪戯心に火が付く。
レオリオの胸を押して抵抗してくる両手を右手でひとまとめに拘束すると、耳の後ろを舐め上げる。ピアスが揺れて頬にあたるのは全く気にならない。
「レ、レオリオ・・・!や・・・め」
弱弱しい制止の声も、レオリオを煽る材料の一つにすぎない。乳房の頂点に爪を立ててやるとビクンと反応して必死に声を飲み込むのが分かった。

「声、出せよ」
「うわッ、ああ!や・・・!」
服の上から、性器に押し込むように指を押し付けると、中が湿っており服ごとナカに入りこむことができた。壁を擦るようになんども上下させると、
「ふ……レオ、リオ・・・服が・・・!」
「そうだな、替えの服なんて少ないだろ。脱がせていいよな?」
「!違う!私が言いたいのはこの行為をやめろと…んう」
今更止められるわけはなかった。必死に言い募る口をレオリオは自らの口で塞ぎ、舌を侵入させる。歯が食いしばられていたが、彼女のふとももに挟まれるようにある指をぐっと湿った場所に押し込むと、レオリオの舌は簡単に侵入を許された。歯の裏をなぞった後、小さな舌をからめ捕ると拘束していた両腕が観念したように力を失うのが分かった。
完全に欲望の塊となったレオリオは、自由になった両手で素早く下に手をかけると、下着と一緒に一気にひざまでおろした。直接触れた性器は完全に熱を持ち、濡れていた。本人の意思を無視して、歓迎するようにレオリオの指を迎え、包む。
人差し指を一気に根本まで入れるとぐるりと壁を一周するようにかき回す。そのうち舌が震え、口づけの合間に声が漏れた箇所を重点的に擦ると、一際大きく震えた後体を支えきれずクラピカの体が傾いた。
「おっと」
レオリオは口づけを解きあわててささえると、あぐらを掻いた膝に上体を乗せる。完全に呼吸は乱れ、せわしなく息をする濡れた唇。かすかに開けられた目はうるみ、何もうつしていないようだ。されるがまま横たわった柔らかい身体が愛おしく、汗で顔に張り付いた髪をかきあげてやる。
「大丈夫か、クラピカ?」
「・・・はあ、はあ・・・・・・いい加減にしろ、よ」
「悪い、つい我慢できなくなっちまって」
「・・・わかったから、放せ。最後までは、しないんだろう・・・」
「最後まではしねえが、まだ足りねえ、かな」
「ちょ・・・!はあ、ん!」
「いれねえからさ、あと何回かイケよ」
「一番タチが悪い・・・!私をこんなにして、お前は高見の見物か!・・・ああッ」
「お前を弄るのが楽しいんだよっと」
「んんー!」


最終試験で、見張りの試験管の存在を知ったレオリオが愕然とし、
「気づいてなかったのか・・・」とクラピカが赤面しながら頭を抱えるのはもう少し先の話。
おわり