ハンター試験
最終試験の前夜
なぜか筆記試験だのと情報が錯綜したりで
受験生の空気は一気になごみ
「笑っても泣いても明日で終わりだ!」という
一致団結していた。
(ヒソカとギタラクルをのぞいて…)
まるで学生時代の修学旅行の様に
おのおの風呂上がりなど
くだけきった様子で酒や菓子等をつまみ
円陣になり雑談をしたり
トランプゲームに興じたりしている。
風呂上がりのゴンはいつもより髪がしなやかになっていて
浴衣にはじめて袖をとおしたレオリオは襟元がたるんでるものの
それすらもなかなか様になっていて
キルアは着替えもせずゴロゴロとチョコレートを食べ続けていて
そんなキルアを「寝転ぶか食べるかどちらかにしたらどうだ?」と
たしなめているクラピカもあの青い民族衣装はぬぎ
すべすべの二の腕をさらしタンクトップ姿になっている。
忍び、いや日本人ゆえ
他の受験生よりもたっぷり長湯を楽しんだハンゾーが
だんらんとした輪に近づきつつ物思いにふける。
まあ明日で終わりだからいいものの
まったく色気のない生活だったな、と。
正直、メンチは好みであったが
あそこまで気の強い女は好かない。
いやああいう女を組み強いてこそ…なんて思わなくもないが
やはり試験官に懸想するのは良しとしない。
4次試験までは多少女の受験生が残っていたが
ハンゾーのターゲットでは無いし
お近づきになる機会もなかった。
今となっては
キルアの生意気そうなおキレイな顔
ゴンのぷにぷにしたほっぺ
クラピカの凛とした美貌が多少の楽しみではあるが
あいにく稚児趣味はねえんだ、と首を横に振る。
ハンゾーはちょっとしたイラズラを思いつき
スっと気配を消した。
おそらくこの気配に気付くのはキルアだけだろう。
もしかしたら野生のカンでゴンには気付かれるかもしれない。
そうなるとターゲットは一人しかいない。
円陣の、クラピカの真後ろまで近づくと
トランプゲームの真っ最中で
ちょうどクラピカが腕をあげて正面に座る
レオリオのカードを引こうとしている体勢だった。
ハンゾーはそのまま
クラピカの脇の下に腕を差し込み
ふくらみなんかは期待してないクラピカ少年の胸に手のひらをはわせ
「あ〜〜〜〜〜〜〜〜コレが修学旅行なら
風呂上がりの女子はノーブラなのにな??」
と、気配を現してみた。
・・・・あ?
その場の空気が凍る。
胸、ちょっとやわらかくね?!あれ??と思いつつ
下ネタに同調してくれるであろうレオリオの顔を見ると
「ハ・・・ハンゾー、おま・・・」
目が点になりつつ手元からトランプカードをぽろぽろとこぼしている。
やっぱやわらかいよ、な?あれ?と
はわせた手のひらでゆっくりと感触を確かめつつ
横のゴンとキルアを見てみれば
キルアは「わ〜お♪」とニタニタしているし
ゴンは気にせず「ババはレオリオが持ってたんだねー!」
なんてケラケラ笑っていて
当のクラピカはうなじも耳も赤く染めつつ
「や、やめてくれ・・・・」
消え入りそうな声でハンゾーの手のひらに手をそえ
震えながら手を剥がそうとしている。
なに、コイツって女だったの????と今さら気付く。
同時に完全に痴漢じゃねえか、やべえ!と慌てると
手に力が入ってしまい
クリっ・・・と
人差し指と中指の間にふれる淡い尖りを刺激してしまい
クラピカもそのまま
「んっ・・・」
なんて前屈みになるもんだからハンゾーの手のひらにますます
胸が食い込んでいく。
ハンゾーの期待していた通り風呂上がりの女子はノーブラで。
そして恥ずかしがって背中を丸めるものだから
クラピカの上半身はハンゾーが胸に手をそえて持ち上がっているような状態。
「あ・・・」
ハンゾーも謝っていいのやら動揺で言葉を無くす
「たのむ・・・はなして、くれ・・・」
クラピカの熱い吐息が手の甲にかかる
「すまん!!!!!おどろかそうと思って!!!」
バっと手をはずすと
クラピカも息を整えつつ
「・・・・っあまり驚かせないでくれ、心臓に悪い・・・」
平静を装っているつもりだろうが
頬は上気し目元に涙をにじませ
・・・瞳も赤い様な気がするのは気のせいか?
ゆっくりと体勢を戻している。
瞬時にハンゾーはこの4人の内情に気付く。
クラピカは女である事を隠している。
だがこの3人はそれに気付いている。
しかし本人から申し出がない限り気付かないふりをしているのだと。
ならばその調和を崩すのはよくない。
「すまない!すまない!」
できるだけ明るくカラカラと笑って
クラピカの背中を軽く叩く。
「ハンゾーさんすごいね!!!ねえ!どうやって気配消したの??
しのびって人はみんなハンゾーさん見たく消えるの???」
ゴンが無邪気に聞いて来る
「ああ、忍びたるものは・・・」
「バーカ、あのくらい俺だって出来るぜ」
クラピカも姿勢をしゃん、と戻し
レオリオはかなり動揺している様子だが
カードを拾いあげ
「どうする?ハンゾーもまざっていくか??」
快く誘ってくれたが
これ以上、この4人の関係性をかき回してはいけない。
「せっかくだけど、俺は壁側で精神統一してるわ日課なんでね」
クラピカの胸の感触が残る手のひらをヒラヒラとふりながら
壁際で座禅を組む。
・・・・・クラピカ、すまねえ!!!
知らなかったんだ。
そう思ってみるとかすかに胸がふくらんでるな
っていうか隠してるのにノーブラで遊んでんなよ、と
八つ当たりの様な気持ちもふとわいたが
自分が刺激してしまった為、乳首がぽっちりと浮き上がっている。
本人はそんな事には気付かずまたトランプに興じているが
これは正面で悶々としているレオリオにも悪い事をしたな、と反省しかけたが
チッ リア充めが!!!とと腹立たしくもなったのであった。
end