こじらせ系クラピカが一人でアンアンするお話です
レオクラ要素あり
時期的には十二支ん加入前でレオリオからの電話をフルシカトしてるぐらいの頃のイメージ
前回の師クラとは世界繋がってません
よろしくお願いします
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日付けの変わった部屋に帰り、電灯のスイッチを押す。
蛍光灯の青白い光に浮かび上がる、決して広くはないこの部屋だけが落ち着ける場所だ。
構成員に提供するために組が借り上げた古いアパートメント。快適とは言い難いが、寝床にこだわりの無い私には十分だった。
スーツの首元に指を入れ、ネクタイを緩めながら真っ直ぐに部屋の奥へと進む。ベッドサイドのテーブルの上に、鞄を無造作に置いた。
立ったまま、帰りに買った人工的な味のゼリー飲料で、マルチビタミンのサプリメントを流し込む。今日の夕食はこれだけ。このところ、こんな食事で済ませる日が続いていた。
脱いだ革靴を揃えることもしないで、ベッドに倒れ込む。自分でも行儀が悪いと思うが、上着が皺になるのも、今はどうだっていい。
仰向けになり、薄暗い天井をぼんやりと見つめる。他の部屋で構成員たちが賭け事でもしているのだろう、男の煩い笑い声が遠くに聞こえる。
あと少し。
仲間の眼の奪還も佳境に入っているのだが、この数か月は膠着状態に陥っている。自分の考え付く限りの手段と人脈を駆使しても、残る同胞たちの居場所の手掛かりすら掴めない。
今日も状況に進展は見られなかった。
手詰まり。そんな言葉が脳裏に浮かぶ。口の中で小さく舌打ちし、つまらない考えを打ち消した。気持ちだけが急いて、苛立ちが募る。
天井を見据えたまま、腰のベルトに手を掛ける。バックルの金属音が静かな部屋に響く。乱雑な動作でズボンを太腿までずり下げた。下着の中に右手を入れる。鎖が腹に触れて冷たい。
慣らすこともせず、身体の中で最も敏感な一点を包皮の上から中指で押さえつける。
「…っ」
身体の中枢まで響く刺激に、息が詰まった。瞬間止まった指を再び動かし、ゆっくりと色々な角度にずらしながら、好い場所を探していく。
「ん……」
せっかちな指が、固くなり始めた陰核を押しつぶす。
痺れるような感覚が下腹部全体を侵食していき、膣の奥が勝手に収縮するのがわかった。
私は時々、自慰をする。君のことを考えながら。
女にだって欲望はある。
私にも当たり前にある。
それを君に向けているのを、君は知らない。
私が蜘蛛の頭を捕らえ、二本の手足を潰したあの時。
能力の使用の反動で寝込んでいた私に、君は薬を飲ませ、汗を拭き、甲斐甲斐しく声をかけ続けた。
そして周囲に誰もいなくなった頃合いで、君はぽつりと言った。私が好きだと。高熱により意識の混濁した私には、届かないと思っての行動だろう。私は、分からない振りをした。
君は、照れたように何事かぶつぶつと繰り返した後、返答のない私の頬に優しく触れ、たった一度だけキスをした。
君は私に、何を見ているのだろう。君に抱かれたら、私はきっとただの女になるよ。君もきっと、ただの男になってしまう。
ふと思い付いて、上体を起こす。
サイドテーブルに投げ出されたままの鞄を手繰り寄せ、小さな折り畳み式の手鏡を取り出す。それと同時に、軽い音を立てて何かが鞄からこぼれ落ちた。
卑猥な桃色の包装にくるまれた避妊具。
私は何の感情も持たずにそれを拾い、鞄に収めた。
別に、ただの仕事道具だ。
誰にともなく、言い訳をした。
下着をズボンごと脱ぎ捨て、ヘッドボードに背を預ける形で座り直す。投げ出した両脚の膝を曲げ、その間に手鏡を置いた。
角度を調整すると、掌に乗るほどの大きさのそれいっぱいに、性器が映し出される。普段自分では直視することのない場所。自分で見た回数よりも、他人に見られた回数の方が多いかもしれない。グロテスクで、ここだけ別の生き物みたいだ。
左手の指で襞を開き、その構造を観察する。
食虫植物めいた艶を持って、薄赤く色づいた肉の重なり。その中央やや下方に、私の中へと続く道が小さく口を開けていた。
男たちは何故、こんなところに執着するのだろう。
この奥には何もないのに。私の中の何も、手に入りはしないのに。
そっと、中指の先で入り口に触れてみる。
「ん…」
まだ直接には触れていないのに、見た目以上に濡れていた。ぬるぬるとした液を掬っては陰核に塗りつけながら、上下に擦る。
「んん……、ん…」
滑りがよくなったそこが、より鮮明に快感を伝えてくる。もっと強い、体の芯から熱くなるような刺激がほしくて、その指先をほんの少し、暗い道の中に沈める。
関節を使い、浅いところで曲げ伸ばしするたび、くち、くちといやらしい音が鳴った。
「はぁ……、は……」
ここまで来てしまうと、もう止めることはできない。当然のように二本目を追加し、入る限界のところまで深く挿入した。
今の職に就いて以降、情報提供や利益供与の見返りとして様々な男たちに身体を奉じてきた。
始めは、雇い主に。そして雇い主の指定した相手に。仲間を取り戻すために必要とみれば、自ら進んで関係を持ったこともある。
しかし、数多の行為の中で私は、一度も達することがなかった。その最中にもどこか別のところで種々の思考を巡らせてしまう、元来の性質のせいかもしれない。
上り詰めることができたのは、想像の中で君に抱かれる時だけだった。
がらんと空いた脚の間に、まだ知らない君の舌を思い描く。
君ならきっと、可笑しいほど優しく私を扱うんだろう。
大切になんてしないでほしい。滅茶苦茶にしてくれていい。君にそうされたら、きっと気持ちいい。
君じゃなきゃ意味ない。君じゃなきゃ、いけない。
君の長い指を思いながら、埋め込んだ二指を交互に折り曲げる。指の腹に、ざらざらとした膨らみが触れた。
「はぁ…は…」
ぐちゅぐちゅといういやらしい音と、君で身勝手な妄想をしている後ろめたさがたまらない。
殺風景な部屋の中で興奮はどんどん膨らみ、呼吸が荒くなってくる。
「はっ…あ…っ」
鏡の中のそこは、自分の指を咥え込んで透明な粘液を止めどなく溢れさせている。
君は、私がこんな行為で興奮するなんて思っていないだろう。
「あっ…あ、は……ぁ…」
私はこんなに汚いんだよ。私の中はこんなにドロドロなんだよ。
君に全部全部見てほしい気持ちと、絶対に見られたくない気持ちが、頭の中でぶつかりあっている。
自棄になって乱暴に掻き回した。
「っ…痛…」
爪が内壁を掠め、咄嗟に指を引き抜く。
虚しい痛みが、少しの冷静さを取り戻させた。
手鏡を脇に退かして伏せ、両脚を伸ばす。
君の今までの女たちは、どんな思いで君に抱かれてきたのだろう。
君のことが、好き、だったのだろうか。
好きな男に抱かれて素直に喜べる可愛げが欲しかった。
名前も知らないような男たちに身体中をまさぐられるのはもう慣れた。
でも、君の前では脚を開ける気がしない。
私には、「女」として生きる才能がない。
蕩けた秘所へもう一度、今度はそっと手を添えた。
薄い陰毛が汗と愛液にぐっしょりと濡れて張り付いている。先程の行為ですでに十分にほぐされた入り口は、あてがった指先に少し力を込めるだけで、第二関節までをいとも容易く飲み込んだ。
「ぅ…ん」
潜らせた中指の腹、側面、背を順々に押し当て円を描くようにしながら、内部を刺激する。指の感触を膣道が、膣道の感触を指がそれぞれ脳へと伝えてくる。
「ふっ…、う…、ん、ん…」
何度か大きく混ぜ返した後は、上側にある特別に弱い場所をピンポイントで撫でていく。指の先だけを細かく動かし、掻くような動きで往復させると、その付け根を締め付けている入り口がぎゅうっと収縮した。
呼吸を整えながら、狭窄する粘膜を反対の手で強引に拡げ、隣の指を捩じ込む。
「はぁ…っ」
二本になったことで、指はより確実に私の好い場所を捉えて離さない。考える前に指が動いてしまう。
「あ、は…、あぁ…」
ごりごりと音がしそうなほど、夢中でその場所を強く撫で付け続けた。
いつの間にか、最も深いところに、指よりも少し太い突起のようなものが降りて来ていることに気付く。指を伸ばすとなんとか触れることのできる、柔らかいような硬いようなそれは、私の身体がもう絶頂に近いことを知らせるものだ。
中指と薬指をできるだけ真っ直ぐにして、突起を探る。ほんの少し長さが足りないせいで、掠めることはできてもしっかりと突き立てることはできない。それでもそこは、内蔵をくすぐられるような、身体が浮くような快感を私に与えた。
あと少しだけ、指が長かったら。この指が、君の指だったら。
君に愛されたい。そしてそれと同じくらい、君に嫌われたい。そうすれば、一生消えない君の「特別」になれるのだろうか。
答えの得られない問いに焦れながら、重ねた中指と薬指を休みなく抜き差しする。関節が入り口を通過する度に粘膜を引っ掛け、力を入れているつもりもないのに、ふっくらと柔らかくなった内壁が勝手に指を締め付けた。
開いた襞を固定している方の指が愛液で何度も滑り、少し無気になってより強い力で大きくそこを開き直す。
ヘッドボードにもたれていたはずの上半身は、いつの間にかほとんどずり落ちていた。
「あ…あぁ…はぁっ。あっ……ん……っ」
媚びたような自分の甘い声が耳に入り、嫌悪と興奮が同じ速さで増殖していく。快感の頂上が、あとほんのわずかで掴めるところに迫る。
「はぁっ、はぁ、は………」
全身の筋肉が緊張し、自然に腰が浮いてくる。背中はじっとりと汗ばみ、足の爪先は丸まってはシーツを掻いた。
頂上を越える瞬間は、いつも少しの恐怖を伴う。一瞬、自分を保てなくなるあの感覚。躊躇わないように、頂上を見失わないように奥の突起を繰り返し押し込みながら、もう一方の手で弾くように陰核を擦った。
「あっ…あぁ…っ、う…あっ……」
声が一段と大きくなるのを抑えることができない。尻は完全にシーツから浮き上がり、突っ張った膝はがくがくと震えだす。君の名前を、心の中で何度も呼んだ。
「ぃっ……く……」
足の甲をこれ以上ないというほど引き攣らせながら、君に見立てた自分の指で、私は絶頂した。
脱力しきった身体でしばらく呆然としていると、上着のポケットの中で携帯が鳴った。
緩慢な手付きで取り出す。画面には君の名前。
その文字列に、胸の中が絞られたように苦しくなった。
愛しい。
会いたい。
抱きしめてキスしてほしい。
単調な呼び出し音を、身体に染み込ませるように聞いている。愛液に汚れた指を少しの間空中に彷徨わせてから、ボタンをしっかりと押して着信を切った。
部屋の中に静寂が戻り、構成員たちの騒ぐ声がまた聞こえてくる。肺の中の空気を細長く吐き出した。
今この瞬間、君は確かに私のことを考えている。
それが私の幸せ。
君が好きだ。
君にだけは、絶対に知られたくないほどに。