…あれ。
私はなんでこんなところにいるのだ?
心地よいシーツの感覚に再び眠りに落ちそうになるが、身体をよじり睡魔に抗いながらぽつぽつと記憶を手繰り寄せる。
確か旅団の頭を捕らえて…
そうだ、私はパクノダを空港に呼び寄せた。
そして付いてこようとするレオリオとセンリツを車に残し、旅団の男と共に待ち合わせ場所へと移動した。
一人で来たパクノダを確認し、背後から近づいてジャッジメントチェーンを打ち込もうとした。
そうしたら突然視界が真っ黒になって…。
「クモはっ?!」
あわてて体を起こして、あたりを見まわす。
すると男が部屋の壁際に置かれた椅子に座ってこっちの方を向いていた。
「おはよう」
「!!」
前をくつろげた半袖の青いワイシャツと黒のパンツをというラフな服装と髪型の所為か、
ともすれば別人かとも思う変貌振りだが、男の目を見て確信する。
この色は忘れるはずも無い。今までに見たどんな黒よりも黒い…
「クモの…旅団のリーダーか…?」
「そ。君が鎖で縛り付けた。わすれちゃった?」
クロロは椅子から立ち上がり、ベッドサイドまで歩み寄ってくる。
クラピカはベッドの上に座りこんだ形のまま、警戒を強める。
クロロははどこから取り出したのか分厚い本を開き、器用にも片手でパラパラとページをめくり出した。
ある所でページをめくる動きが止まると、もう片方の手に濃紺の布がフッと現れる。
「(具現化か…?)」
クラピカは身体を後ろに引き臨戦態勢をとる。
「ファンファンクロスって言ってね…どんなものでも小さくして携帯可能にしちゃうんだ」
と、サイドテーブルの上に置いてあった十字架の形をした調度品に布をかぶせる。
たちまち調度品は消え、テーブルの上には巾着のような形状に変形した布だけが残った。
「ナマモノでもオールオッケー ^^」
「それで…私を捕らえたということか」
クラピカはクロロを睨み付ける。
「…君が車の中で俺にジャッジメントチェーンを打ち込もうとした時、俺を縛っていたほうの鎖が極端に弱くなったのに気づいてね。
君がパクを狙った瞬間に抜けさせてもらった。」
「で。」
クロロは小さくなったファンファンクロスを掴み取り、テーブルの上に投げた。
そしてクロスをめくるとまるで手品の様に十字架の置物は再び姿を現した。
「コレでお持ちかえりさせてもらったってワケ。」
クロロはにっこりと笑いながら本を閉じた。すると布も消滅した。そのまま本を静かにテーブルへと置く。
その動作の一部始終、クラピカはクロロを凝視したまま、目の前の男を捕える一瞬の隙を探っていた。
「それで、今度は君が人質って事なんだけど。」
言いながらクロロはテーブルに置いたままの先程の本に目線を移した。
今だ!!
その瞬間を逃さず、クロロに向けて右手を突き出し全神経を指に集中させる。
しかし、念の鎖がクロロを捕らえることは無かった。
その代わりにクラピカは自分の右手首が千切れるほどの力で締め上げられるのを感じた。
「?!」
クラピカの顔が驚愕でこわばる。
自分の右腕を拘束し、締め付けるその鎖は紛れも無く……
見ると、クロロは無表情で先程の本を開いたまま手にしていた。
そのあまりに均整のとれた、けれど感情の通わない彫刻のようなクロロの顔にクラピカの背筋が凍る。
「『束縛する中指の鎖』だっけ?…便利だよね」
腕を縛る鎖をつよく引き寄せられ、体ごとクロロの方へと引き寄せられる。
態勢を立て直そうとする前に、鎖はクラピカの左手にも巻きつき、体の前で両手をまとる形でて拘束してしまった。
「殺せ!!!」
叫ぶクラピカを見てクロロは目を細めて微笑む。
刹那、クロロはクラピカの顎を引き寄せ、彼女の唇に自身の唇を重ねる。
まさかそんなことを強要されるなんて想像もしなかったクラピカは驚きと困惑で目を見開く。
その様子が楽しくて、クロロは舌を挿入しクラピカの口腔を嘗め回す。
クラピカは必死に抗おうとするがクロロの強い力に抱きとめられてしまう。
そしてそのまま、貪るように深い口付けを角度を変えて何度も何度も繰り返す。
上顎の裏を舐めてやるとクラピカの背中がびくんと震えるのを感じた。
「んっ!…ん…」
息が上手く出来ないらしく、クラピカは苦しそうに声を漏らしている。
こりゃ処女かなー、とクロロは心の中で舌打ちする。
処女って何かとめんどいんだよなあ。
しかし目を少し開けてクラピカの顔を除きこむと、眉をひそめきつく閉じた瞳の目尻に涙がうっすらと滲んでいるのが見え、
思わず嗜虐的な興奮を覚える。
…カワイイから、いっか。
数分後、ようやく長い口付けから解放されたクラピカはハアハアと必死に呼吸を整えようとしていた。
散々に口腔を蹂躙されたせいで頭の裏が痺れている。
「大丈夫?」
どこか、クロロの声が遠い所から聞こえるような気がする。
いや、自身の意識自体が遠い。熱病患者のように意識がぼうっとしてしまっている。
「あのさ、…もしかして初めて?」
その言葉でふと我に返る。
「ふざけるなっ!!」
全力で抵抗を試みるが鎖に自由を奪われたまま、男の強い力に適うはずも無くあっけなく組み敷かれる。
「まあ、いいよ。処女は仕込み甲斐があるとも言えるしね」
その言葉からこれから行われるであろう行為が予測され、クラピカは恐怖に蒼くなる。
「だいじょうぶだって…酷くはしない」
言いながらクロロはナイフを取り出し、クラピカの服を縦に切り裂いた。
小さいが形の良い乳房が現れ、屈辱と羞恥でクラピカの頬が紅潮する。
「やめっ…あっ!!」
「柔らかいね」
掌で包み込むようにして感触を楽しむ。片方はそのまま親指で乳首を弄りながら、もう片方の乳首を口に含む。
「やぁ!やだぁっ!!」
クラピカは突き放そうと暴れるがより一層の強い力で押さえつけられるだけだった。
「乳首もう立ってきてるよ」
クロロは硬く尖ってきた乳首をねっとりと舐めまわし戯れに軽く噛んでやる。
「ああっ!!」
「へぇ、そんな可愛い声も出るんだ」
「!!」
目元がかっと熱くなり、屈辱で涙がこぼれそうになるのを感じる。
もう絶対声など出すまいとクラピカは唇を強く引き結ぶ。
両腕を頭の上でひとつにまとめ、押さえつけられるという形で組みしかれたまま、首筋や鎖骨へと舌で執拗な愛撫が繰り返される。
「…ッ…」
クラピカ自身の意志に反し、身体は刺激を克明に拾い上げてしまう。
その自分の身体の反応に信じられない驚きを感じながらもクラピカは下唇を強く噛み、必死に声をかみ殺す。
「なんだ」
その様子を見たクロロは愛撫の動きを止め、片手でクラピカの髪をかき上げる。
そして露になった耳元に唇を近づけ、囁く。
「もっと聞かせろよ。声。」
普段よりトーンの低い声が吐息と共に耳元に落とされ、背筋がぞくりとする。
クロロはそのままクラピカの耳朶を口に含み、ねっとりと舐め上げる。
「あっ………」
ぞくぞくとする奇妙な感覚に思わず堪えていた声を漏らしてしまう。
その反応に満足したのかクロロは口元だけに笑みを浮かべ、先程切り裂いた、腰の辺りで止まっている切り口に指をかけた。
「!!」
そのままクロロはビビッ…と鈍い音をたて、残っていた衣服を完全に引き裂いてしまった。
そしてクロロの操るナイフの刃がショーツの端を引っ掛ける。
「やめっ…」
無駄とわかっていながらもクラピカは身体を捩り、逃げようとする。
「動かないほうがいいよ。毒だから」
ナイフの事を言っているのだと瞬時に理解し、クラピカの身体が緊張に硬くなる。
ショーツは切り落とされ、クラピカの秘部が晒される。
それでもクロロはナイフを放さず、その刃で力をかけずにクラピカの秘部をなぞりはじめる。
「や……」
もしクロロが少しでも力をかけたらナイフがクラピカを傷つけることは容易に想像できた。
その恐怖と緊張が更にクラピカの感度を高めてしまう。
やがてクロロはクラピカの肌からナイフを放し、今度は自身の手で触れてきた。
「濡れてるよ」
「!!」
自身の身体の変化を露骨な言葉で教えられ、恥辱で白い肌にかっと血が昇る。
「同朋を皆殺しにした仇に抱かれるのってどんな気分?…やっぱ興奮するの?」
挑発的な言葉にクラピカの目が紅く、色を変えていく。
「…下衆め…!!!」
と、不意にクロロの中指の先端がクラピカの入り口へと押し入った。
「ひっ…!!」
粘液の助けを借り、指は楽に入ったが、行為自体がはじめてのクラピカは切迫した悲鳴を上げる。
親指でクリトリスを弄りながら、中指で粘膜をかきまわしてやる。
「あぁあっ!」
指を軽く曲げてやると、弱い場所を掠めたのか大きく目を見開いたクラピカの胸が反り返る。
「ここがイイんだ?」
クロロは目を細めて笑い、屈曲させた指でその場所を何度もなぞる様に刺激してやる。
「うぁ……、あっ……ッ」
クラピカの身体がびくびくと震え出す。
くちゅくちゅと、濡れた音が部屋に響く。
つま先までじんわりと響く快感の渦に戸惑いながら、クラピカはひたすらある衝動に耐えていた。
「あっ……、やぁっ…」
少女の張り詰めた粘膜の壁の様子に、そろそろ限界かなとクロロは口の端を吊り上げる。
「あ…ぅ……」
指の動きを止め、中指の腹で弱い場所を押しつづけてやると粘膜の上の細い筋がひくひくと痙攣していた。
苦しげに細めた目からは生理的な涙がボロボロと零れ落ち始めている。
その切ない表情を見てクロロがにやりと笑う。
「ふぁ!!」
クロロが一気に指を引き抜いた途端、限界を迎えたクラピカの下肢に勢いよく水流がこぼれた。
とび出る液体は瞬く間にシーツの上にしみを作っていく。
クラピカは目を大きく開いて涙を流したまま、自身の痴態をどうすることもできずにただ呆然と眺めていた。
そして次第にこみ上げてくる恥辱に、気が狂いそうになる。
「うあ…あぁ……」
今まで堪えていたものがあふれ出るかのようにクラピカは泣き出した。
堰をきったように喉から出てくる嗚咽は、もう自分の意志では止められなかった。
「泣かなくていいよ。」
ひっくひっくとしゃくりあげる様にひたすら泣きじゃくるクラピカの頭を優しく撫でてやる。
「だいじょうぶ。女の子が気持ち良くなるとこうなっちゃうのは普通のことだから。」
クロロは、眉を寄せ不安げに弱弱しい小動物のような目で見上げてくるクラピカを見、微笑むと、親指で彼女の頬につたう涙の筋を拭ってやった。
ショックですっかり脱力してしまったクラピカの身体を抱え、位置を正してやる。
そしてクラピカを拘束していたチェーンジェイルを取り払ってやる。
抵抗の意志すら失ってしまったのか、彼女は顔中を涙でぬらしたままただ呆然とされるがままだった。
クロロはそんな大人しくなったクラピカの上に跨り、自分の衣服を手早く脱ぎ捨てた。
そのままゆっくりと倒れこむように身体を重ね合わせる。
肌が直に触れ合い、少し熱いクラピカの体温がダイレクトに伝わってくる。
その熱に心地よさを覚えながら、そっと彼女の脚を広げさせ、入り口に自分の屹立した先端を触れさせる。
「!!!!!」
クラピカはその感触にはっと自分を取り戻し、シーツをずりあがろうとする。
だが、男の強い力に捕まりすぐに引き戻されてしまう。
その時になってクラピカははじめて自分の両腕を縛り付ける鎖が解かれていることに気づいた。
どういった意図で男が拘束を解いたのかは分からなかったが、
形成逆転の好機と信じ、クラピカは念の力を両腕にこめ、再びクロロの身体を押し返そうとする。
「?!」
それでも男の身体は硬い鉄の壁の様に重く、全く動かない。
念は封じられていないのに……?
焦りつつも冷静に状況を分析しようとするクラピカの頭の中にひとつの絶望的な答えが浮かび上がる。
敵わない。
絶対的な力の差。強化の念を使ってもなお足元にも及ばない、差。
そして刹那、凄まじい恐怖感がクラピカを襲った。
「やだっ!やだああ!!!」
クラピカは我を忘れ、無我夢中で暴れようとするが、男に足を抱えられ、逆に挿入しやすい体制へとされてしまう。
「やあああっ!!!!」
つぷ…、と小さな音をたて、クロロの先端が狭い肉を掻き分け、クラピカの中に入ってくる。
こわい。
「あああ……ッ!!!」
ゆっくりと、慎重な動きでクロロの牡が奥へと進んでくる。
痛みはもとより、自分が侵略されていく感覚にクラピカはえもしれぬ恐ろしさを感じた。こわいこわいこわい。
「……ンッ…」
突然、唇を塞がれる。
少女の口腔を舐めまわすようにクロロの舌が動き、また舌を重ね、吸ってくる。
唇が離れ、虚ろな目でクラピカがクロロを見返すと、今度は頬に口付けてきた。
「俺につかまってた方が辛くないよ」
「…」
クラピカは男の言葉にうつむき、目線をそらしたが、やがて決意したかのように強く目を閉じた。
そっと、力なく差し出した少女の両腕をクロロは自分の肩にまわさせる。
「しっかりつかまってるんだよ」
クラピカは言われた通りに男の首にしがみついた。
自分を傷つけ、貶めるのは紛れもなく目の前の男なのに、それでも今縋り付けるのはクロロでしかない。
残酷な現実に押しつぶされそうになるが、次第にも男の動きに思考は侵食され、何も考えられなくなる。
最奥まで挿入を果たしたクロロが、動くよ、と小さな声で囁き、律動がはじまる。
「いたっ…ぁ……」
あたたかな粘膜の感覚ときつい締め付けを存分に味わいながらクロロはゆっくりと腰を動かす。
「あっ!あああ!!」
焼け付くような下肢の熱さと、痛みと、今まで感じたことのない圧迫感にクラピカはひっきりなしに声を漏らす。
「ああっ……、い…つッ……」
それでも、腰の裏の辺りにじんわりと否定しようの無い奇妙な興奮が存在するのもまた事実だった。
「ああっ!!」
クロロが時折強く自身を打ち込んでくる。
その度にクラピカは必死にクロロの頭に纏わり付き、全力ですがりついた。
「ああっ……、あ……」
自分の身体と精神が壊れていくような錯覚と、そして何故かどうしようもない孤独感がクラピカを襲う。
耐え切れなくなり、うっすらと目を開き見上げると、目を閉じたクロロの端正な顔に汗の滴が浮かんでいた。
「ぁ……」
その男の様子にクラピカはなんだか不思議と安堵を覚えた。
そしてクラピカは再び目を閉じ、繰り返される動きに身を委ねた。
「出すよ」
どくんと、自分の体内でクロロが波打つのを感じ、そのままクラピカは意識を手放した。
〜ほのぼの後日談(非エロ)〜
髪を梳かれる感覚に、クラピカはやんわりと覚醒した。
「起きた?」
「…?」
男の顔が至近距離にある。
ずっと寝顔を見られていたのだろかと思うと
しかも、見るとクラピカは腕枕をされていた。
「!!!!」
思わず飛び起きようとするのを捕らえられ、再び抱き寄せられる。
(これじゃ、まるで…)
クロロはクラピカの身体を力づくで抱きしめながら、余程好きなのか再びクラピカの金髪をいじりはじめた。
「……」
観念し抵抗をやめ、男の好きな様にさせることにする。
ふと、クラピカは自分の身体が清められ、シーツも清潔なものに取り替えられていることに気づく。
(マメな奴……)
「うーん、でも思ったほど手間かけさせないでくれたね。」
いいこいいこ、とクロロがクラピカの頭を子供にするように撫でまわす。
一瞬何のことだか判別に戸惑ったが、破瓜の事と気づき、クラピカは悔しさに唇を強く引き結ぶ。
「マチの時なんか、同意済みなのにあの子恥ずかしがって抵抗するもんだから、俺全治二週間とかでさ」
「……」
お前らドリフのコントか、とクラピカはあきれた顔つきのまま、心の中で突っ込みを入れる。
と、突然すっとクロロの人差し指がクラピカの頬へ触れる。
「でも結構感じてたでしょ。すごいよ、はじめてなのに。素質有るよ君。」
ぷにぷにとクラピカの頬を押しながら楽しそうにクロロが言う。
「断固否定する!!!」
クラピカはくるりと逆向きへと身体を捩ってしまい、そのまま顔を半分隠す形で芋虫の様に布団にくるまってしまった。
それを見たクロロはあれ、と軽くため息をつき、身体を起こしベッドの端にもたれかかった。
そして、芋虫の方を見下ろしながら呟く。
「…おもらししちゃうほどヨがってたのは何処の誰だっけー」
「〜〜〜〜〜〜!!!!!」
クラピカの頬にみるみると血の色が昇る。
その、クロロの揶揄する、自分でも信じられないほど無様な記憶を思い出したくなくて、クラピカは布団を頭からかぶる。
それでもクロロは全く動じずに飄々と続ける。
「実はアレ、隠しカメラで撮影してたんだよねー」
「…!!」
「ヒソカとか、あとレオリオ君だっけ?あのへんに売っちゃおうかな」
クラピカの顔が瞬時に蒼白になる。
(買う…!奴等なら絶対買う…!)
背中からだけでも充分感じ取れるクラピカの動揺を見てクロロが声をあげて笑いだす。
「あはははは。嘘ぴょーん♪」
一瞬、部屋の中を沈黙が通過する。
我に返ったクラピカが布団を剥ぎ取り、ふるふると怒りに震えながら涙目でクロロに向かって怒鳴り散らす。
「ぜ…絶対ぶっ殺してやる!!お前なんか!!!」