「着替えたいんだ。出て行ってくれないか」
ドアのところに寄りかかってさっきからずっとこっちを見ている男に向かって、背中を向けたまま
クラピカは告げた。

つい先刻、このホテルに戻ってきたばかりだ。
もう夜も更けているし、早く着替えて明日に備えて寝てしまおうと思っていた。
それなのにこの男ときたら、自分の部屋に戻るどころかクラピカの後を付いてきたのだ。
無視して荷物の整理を始めても、ずっと視線を感じる。
いい加減去って欲しくて声をかけたのだが。

「え、もう着替えちゃうの?」
心底残念そうにレオリオは言った。
背中ごしでもわかるその様子に、クラピカは呆れてため息をついた。
「いつまでもこんな格好をしている理由はない」
そう言って自分の姿を見下ろしてみる。
ホテルの受付の制服。
勿論下はスカートだ。それもひざ上の。こうも短いスカートだとどうも落ち着かない。
それにストッキングも、足にぴったりとくっつく感じが慣れない。
一刻も早く、いつもの格好に戻りたかった。
「折角カワイーのによー…」
「いいから出て行け。私は疲れているんだ」
ブツブツ言うレオリオに近寄り、強引に部屋から押し出そうとした。

その時。

急に手首を掴まれる。さらに引っ張られて思わずバランスを崩してよろめく。
その隙に、後ろから強く抱きしめられてしまった。
「な、何を…!」
そのまま覆い被さるようにされると、体勢にも無理ができて、逃げようにも逃げられない。
純粋な力勝負なら、レオリオには到底敵いそうもなかった。
華奢なクラピカの身体は、レオリオの腕の中にすっかり収まってしまう。
「レオリオ…ッ、放せ!」
レオリオは必死でもがくクラピカの耳元に顔を寄せる。
「つれねーな」
そして、耳朶をぺろりと舐めた。
「……ッ!」
クラピカがひるんだその瞬間を、レオリオは見逃さなかった。
クラピカの頭と肩は壁に押しあてられ、身体は腕ごと強く絡めとられて、
さらにレオリオの都合の良い体勢になってしまった。
「やめろ…レオリオ……」
レオリオの左手が、ブラウスのボタンを一つだけ外して中へ入ってくる。
胸元を這う大きな手の動きにゾクリと身を振るわせた。


ブラジャーのレースをなぞる感触がくすぐったい。
クラピカの身体は、この非常事態においてより敏感になっていた。
この非日常な体勢と格好が、クラピカの神経を過敏にするのだ。
隙間から指が侵入した時も、普段以上の反応を返した。
「……ぁ…」
肌に直接触れられるのは初めてではないのに、今までにない程にレオリオの指の動きに全神経が傾く。
ブラウスの中でそっと肩紐からブラジャー全体をずらすと、レオリオの手の中で小ぶりな乳房は露になった。
「…あっ!」
先端部分を軽くこするようにされるとその部分から全身に衝撃が走り、短い悲鳴となった。
全体を包み込むように軽く揉まれ、乳首をつままれる。
「あ、あ………んッ」
決して激しくないその刺激でも、自分の意に反して甘い声が漏れる。
ピンク色の先端は、みるみるうちに硬さを増した。
「…感じてんじゃん」
レオリオのからかいを帯びた囁きは余計に羞恥を煽る。
嫌いな相手ならともかく、好いた相手にこんな風に触られて感じないわけがない。
確かに最初は乱暴だったけれど、本気で嫌がればレオリオは止めてくれただろう。
強張っていた身体は、既に抵抗の意志をなくしていた。
レオリオの抱きしめる腕も、もはや拘束の意を成していない。


レオリオの腕と押し付けられた壁に、半分ずつ身体を預けてクラピカが荒い息を吐く。
左手は相変わらず胸を玩んでいる。
一方右手は下方へと伸び、腰の辺りを静かにさすっている。
クラピカが大人しくなったのを見て、レオリオが語りかけた。
「そもそも…こんだけカワイイ格好しておいて、何もするなって方が酷だぜ?」
スカートの裾から手が侵入する。
「膝上スカートに」
太ももの辺りのストッキングの生地を少し引っ張る。
「ストッキング穿いて」
ちょっと爪を立てると、ピッ、と生地に筋が入る。
「それなのに、お前はずっとあの団長のことを考えてたんだよな?」
さらに力を入れると、完全に生地が裂けた。
「――!!」
投げかけられる言葉にじっと耐えていたクラピカが、ビクンと震えた。
地肌が外気に触れてひやっとした感触がする。
裂けた部分から手を差し入れて太ももに這わせると、さらに大きく裂ける音がした。
「カッコ悪ィから、あんまりヤキモチ焼かせんなよ」


身勝手なことを言う奴だ。
変装をする際に、ホテルの受付ならバレないからと言い出したのはレオリオだった。
その口で今、自分が淫らな行為に及んでいるのは、あたかもクラピカの責任であるかのように文句を言っている。

そんなことを考えている間にも、大きな手は上へと移動し、足の付けね辺りで止まった。
「へぇ。ガードルも着けてんだ。」
サラッとした布越しに秘部に触れる。
「…あっ…」
指で念入りに撫でさすられ、その鈍い感触に中心がじんわりと熱くなる。
「この辺?」
一番感じやすい突起の部分を引っかくように刺激される。
「ん…っ…あ……ッ!」
一気にそこが敏感になるのがわかった。
そこを中心に脈動して、じわっと熱い蜜がしみ出すのが自分で感じられる。
下着越しのもどかしい感触に、奥の方がジクジクと疼く。
「は…ぁ………あ、あ…」
レオリオは、クラピカの様子を見透かしたように、わざと秘芯を中心に円を描いて弱く愛撫する。
それだけで腰が力なく震えてしまう。
本当はそんな刺激じゃ物足りなくて、しかし自分から懇願なんてできるはずもなく、
クラピカは俯いた頭を壁に押し付けて耐えた。


「!!」
レオリオがいきなりクラピカの下着をまとめて強引に下ろした。
太ももの真ん中辺りまで下ろされ、クラピカの秘部はレオリオの手に直接触れられることとなった。
付け根を軽くくすぐられると、この先の刺激を求めて身体全体が震える。
くちゅ…
今まで散々じらされた結果、そこはもう十分なほど液体を湛えていた。
「もうこんなに濡れてる」
くちゅ…ぐちゅ……
レオリオがまさぐる度にいやらしい音を立てる。
それを聞くと、クラピカの身体は余計に熱くなり、さらに歓喜の証を溢れ出させてしまう。
「ぁ…う……っん、ふぅ、…」
喘ぎ声も、もう我慢できなくなっていた。
「…クラピカ。右、右の方見てみな」
レオリオが耳元で囁く。促されてクラピカは焦点の定まらない視線を右へと向けた。
「…!」
指し示されたのは、壁際に備え付けられた姿見だった。
それには、今の2人の状況が克明に映し出されていた。


レオリオに翻弄される自分の姿が、鏡に映っている。
壁に押し付けられ、乱れた衣服を纏って喘ぐ姿が。
くつろげられたブラウスの隙間から、胸の膨らみが見える。
その先端はいっそ痛々しいほどに立ち上がり、存在感を訴えかけている。
ストッキングは伝染なんて生易しいものではなくビリビリに破かれて素肌が覗いている。
スカートはまくり上げられ、陰部に入り込んだ手が動かされる度にチラチラと茂みまで映し出される。
よく目を凝らせば、光にあたってキラキラ反射する液体までもが判る。
「丁度いい所に鏡があったもんだな」
レオリオは半ば感心しながら、くちゅ、と秘部に触れる指を動かす。
その度にぴく、と反応を返すクラピカに向かって言った。
「見とけよ。お前のカワイイ姿を」
クラピカは首を左右に振った。

(いやだ。見たくない。)
レオリオのことは好きだ。抱かれるのもイヤではない。
しかし、そういう自分を認めることへの躊躇があった。
一瞬でも仲間たちのことを忘れて、快楽を求めることへの負い目。
心の中では求めていても、決して自分から行動に出ることはせず、受身のままでいる。
それがクラピカの傲慢さであり、甘えでもあった。


レオリオは、そんなクラピカの心中を知ってか知らずか、それ以上強要することもなかった。
「…クラピカ……」
自分の股間を、クラピカの腰に押し当てる。
押し付けられたその固い感触に、クラピカは思わず身じろぐ。
服越しにでも感じられるドクドクとした脈動に、自然とクラピカの興奮も増す。
レオリオは、自分のモノをズボンから出し、クラピカの身体を、挿入しやすいように少しずらした。
これから始まる行為を思い、クラピカはぎゅっと目を閉じた。
「入れるぜ」
先端を秘孔にあてがうと、ゆっくりと侵入を始めた。
「ぅう……ッ…ん」
まだ慣れない押し開かれる感触に、クラピカは思わず自分の爪を噛んで耐える。
そんな様子を見てレオリオはその指を外してやった。
すると今度は、そのままレオリオの手を握り締めてきた。
「ガマンすんなよ。痛かったら叫んでもいいから」
そう言って握り返したその手に軽くキスをして、壁につかせてやった。
ともすれば崩れ落ちそうになる足を支えるため、肘まで壁につき、腕に額を押し付ける。
「痛い?」
クラピカはその問いに、俯いたままで軽く左右に振った。
「んじゃ、動くぜ」


「は…ぁ……んぅ」
突き上げる感覚に壁に爪を立てて耐える。
下から強く打ちつける度に、重力の力を借りて深く突き刺さり、爪先が浮くかと思われる程の衝撃が襲う。
腰遣いに沿って、濡れた音がいやらしく響いている。
半分だけ下ろされた下着や、脱がされかけた上着が、まるで拘束具のように身体にまとわりつく。
抑制されたその不自由な状態が、さらに快感を呼ぶ。
もう理性は保てない。

俯いたまま身体を揺すられると、滲み出た涙がぱたぱたと落ちて絨毯に染みを作った。
「…あ、あ……ん…っ、あ…」
腰の律動に従ってクラピカの喘ぎもリズムを刻む。
次第にレオリオの動きは激しさを増していき、クラピカの声は上ずっていく。
レオリオは、クラピカの腰を支えていた腕を前から秘部に伸ばし、肉ひだの中の秘芯を探った。
器用に包皮を剥いて直接触れると、クラピカの喘ぎは一層切ないものになる。
「ふぅ……んんーっ!」
ほんのちょっと触れただけで、全身がビクンと大きく跳ねる。
小刻みに擦られるとそれだけでもう、そこから全身に激しい電流が駆け抜ける。
目の前がちかちかとしてきて、潤んだ瞳は意識的に物を映すことはできない有様だった。
激しい刺激を受ける度にクラピカの中はきつく締まり、レオリオをも絶頂へと導いていく。


限界を感じたレオリオが腰を引いた。
さすがに中に出すのはまずいと感じたからだ。
「…あ……?」
それを感じとったクラピカが涙をためた瞳で振り返った。
クラピカももう限界が近い。
それは、レオリオ自身を締め付ける内部の様子でも一目瞭然だった。
自分は外に出すつもりでいたのだが、その後のクラピカのセリフはレオリオの想像の範囲を越えていた。
「…い…い。中で……いい、から…っ」
レオリオは驚きを隠せなかった。
「え…っていうか。マジでいいの?」
「何度も、…言わ…せ……るな」
「それじゃあ、お言葉に甘えて…」
これ以上押し問答をしている余裕は、レオリオにもクラピカにも無かった。
気を取り直して、レオリオは体勢を立て直した。
「ん…あ、あぁ――…っ」
前に回した手でクリトリスを激しく擦ると、クラピカの喘ぎに半ば悲鳴のようなものが混じってきた。
膣壁は包み込んだレオリオの怒張を今までにないほどの勢いで締め上げた。
全身は、繋がった部分を中心に細かく痙攣している。
「ぅ…んん――…っ!」
とうとうクラピカの肉体は限界を告げた。
それと同時にレオリオもクラピカの中に解き放った。
熱いものが身体の中に注がれるのが感じられる。
レオリオのモノが抜かれた時、とうとうクラピカの足は自らの体重すら支えきれなくなって崩れた。


レオリオの腕は、力なく崩れ落ちたクラピカの身体を抱きとめた。
そのままゆっくりと壁に寄りかかるように座らせてやる。
くたりとした身体はレオリオの言うことを素直に聞いた。
「はぁ…はぁ…」
息を整えるクラピカを見下ろして、レオリオはちょっとした罪悪感を感じていた。
乱れた髪、ボタンが所々ちぎれ飛んでいる服。
いつの間にかタイトスカートは破れて、スリットが入ってしまっている。
秘部からは、さっき自分が放った白濁がとろ、と溢れ出てきている。
(ちょっと…これはやりすぎだったか…?)
とりあえず、クラピカの髪を整えてやった。
その感触に気がついたクラピカがレオリオを見上げた。
瞳の緋色は、もう大分薄くなっていた。
「……あ、だ、大丈夫か…?ってオレがやったんだけど……」
何となく気まずくて、そんな事を口走ってしまった。
「ああ、大丈夫……」
そう言ってクラピカがゆっくりと身を起こした。
レオリオの助けも借りて、ふらつきながらも何とか立ち上がる。
「シャワー浴びてくる…」
「…一人で平気なのか?」
「ああ…」
クラピカはふらふらしながら浴室に向かった。
一瞬それを自然に見送りかけて、はっと気付いて慌てて後を追った。


危なっかしいクラピカを手伝ってバスタオルやら着替えやらの準備をした後、
レオリオは一人でクラピカが上がるのを待っていた。
ベッドに腰掛けて、そわそわと待つこと10分余り。
シャワーの音が止んで、バスローブをまとったクラピカが出てきた。
もう足取りはしっかりしていて、濡れた髪を拭きながらレオリオのもとにやってきた。
袖口から覗く肌に赤い跡が見えたので、レオリオはクラピカの腕を取って袖をまくってみる。
所々に、痛々しい跡が残っていた。
きっと、足や胸や見えない部分にも付いてしまっているだろう。
「…すまなかった!」
レオリオは両手を合わせて力いっぱい謝った。
「今後気を付けてくれればそれでいい」
「……はい」
「次に乱暴にしたら、そのときは許さないからな」
最悪の場合、今後はもう拒否されるかとも思っていた。
それが次もあると言われて、レオリオの顔は明るくなった。
「クラピカ―――!」
思わず抱きしめようとしたが、汗臭いと一蹴されてしまった。