クラピカは多少の驚きを伴った気持ちで世界を眺めた。
『外』と変わりがあるように思えない。
本当にここがゲームの中なのだろうか。
「クラピカー!」
向こうから、懐かしい仲間が元気いっぱいの声を上げて走ってくるのが見え、クラピカは微笑んだ。
「久しぶりー!」
言いながら思い切り抱きつかれ、反動もあって思わずよろけたところを後ろからもう一人が支えてくれた。
「気をつけろよ。あんた、身体なまったんじゃねえの?」
「……すまない」
「ゴンも! 勢いつけすぎなんだよ」
「……ごめん。でも、嬉しくってつい」
久しぶりの再会にじゃれあう3人を、ロリータという形容がよく似合う少女が見つめていた。
視線に気づき、クラピカが顔を上げる。
「ゴン、キルア、彼女は?」
「うん、ビスケって言って、俺たちの師匠みたいなもんかな」
「初めまして。ビスケです」
「うわ、猫かぶってやがるこいつ」
次の瞬間、宙を舞うキルアの姿がそこにはあった。

「師匠? こんな年端もいかない少女がか?」
驚きを隠せないクラピカに、いつのまに復活したのかキルアが言う。
「こいつこう見えても57のババ……」
再びキルアの身体は宙を舞い、クラピカはあっけにとられた。
「まったく、強くなったぶん回復も早いだわね」
「あ……あの……」
ふん、と両手をパンパン叩くビスケに、クラピカはただ圧倒される。
「ゴンやキルアから話は聞いてるわさ。旅団と接触するために来たんでしょ?」
「はい」
この少女、あ、少女ではないのか。見た目が少女の女性……強い。
「で、まずはあなたの実力とやらが知りたいのだけれど」
「……はい」
「ここに来てから、ゴンやキルアは格段に強くなったわさ。あなたはどう?
今から追いつける資質を持っているのか、それともそんな必要もないくらいの力をすでに持っている?」
クラピカは答えなかった。
ノストラード家にいたときも、念の修行は毎日怠っていなかった。
しかしそれは飽く迄独学であり、師匠がいたときと同じスピードで念能力の向上ができていたとは言い切れなかった。

そんなクラピカを見て、ビスケはふう、と息を吐くと、言った。
「じゃあ、ちょっとテストするから。あたしと一緒に来てちょうだい」
「はい」
「えっ、ここでやるんじゃないの?」
ゴンが声を上げる。
「ええ。色々不都合でしょ、ここだと」
「ふーん……そうなのか」
キルアがたずねた。
「ビスケ、俺たちは?」
「いつもの修行をこなした後、各々の技を磨く! わかった?」
「オス!」
「あ、それから! こっちには絶対にこないこと」
「なんで?」
ゴンが素朴な疑問を投げかける。
「見られたくないからよ! 気が散ってテストどころじゃなくなるでしょ。それくらい察しなさい」
「そういうもんなの?」
「そうよ!」
「ちえー、クラピカがどんなテスト受けるのか見たかったのに」
残念そうなゴンに、クラピカはやさしく声をかける。
「帰ってきたら、教えてやるから」
「うん……」
「ほら、行くだわよ」
「はい」
じゃあ、行ってくるよ。
そう言って、クラピカはビスケの少し後ろに続いた。
肌に感じる風も、足の下に存在する大地も、確かな力を持ってクラピカに語りかけてくる。
後をついてくるクラピカの金糸の髪をなぶる透明な空気の流れに、ビスケはちらりと後ろを見る。
その表情は、滅多にお目にかかることのできない宝石を前にしたときのそれであり、高揚感で打ち震えるときのそれであった。
(んふふふふふふふ……)
ぞくぞくと背中を上る興奮をさとられまいと、
表面上はどこまでもこれはテストなのだ、という声を取り繕ってビスケは言った。
「まず、少し動きを見せてもらうわよ」
そうして組み手を行い、それから淡々と当たり障りのない念の基本を見せてもらう。
普段は具現化系。発動条件が揃えば特質系、か……。ますますもって貴重だわね。
実力を測るためというビスケの言葉を、クラピカはちっとも疑っていない。
動いたことにより、だんだん上気してくる頬、薄く開いた艶やかな桜色の唇からは、はあはあと息が漏れてくる。
(いいわいいわ、いいわ〜〜〜〜!!)

ひととおりクラピカを疲れさせたあと、テストの名目でビスケはクラピカを頭の先からつまさきまでじっくり眺めた。
細い絹糸を太陽の光で染めたような髪。
大きな瞳を縁取るまつげは長く細かく、強い意志の光を秘めていて、見ていると吸い込まれそうな錯覚を覚える。
ぷっくりとした唇は可憐で、果実を思わせ甘そうだ。
そしてその下……は……。
無駄に厚い衣服で覆われている。
ビスケは小さく舌打ちした。
しかし次の瞬間には何事もなかったようににっこりと笑った。
「身体つきが見たいのだけど」
「え?」
クラピカの眼が丸くなる。
「その服脱いでもらえるかしら?」

「脱ぐ……んですか」
クラピカは羞恥心からためらいを見せた。
伏せられたまつげが思いのほか色っぽく、ビスケは口の端を軽くゆがめる。
「そうだわよ。実際見たほうが筋肉のつき方とかよくわかるの」
なんてのはもちろん大義名分で。
「……わかりました」
クラピカは観念したのかうなづいた。
そして、まずその細い首元に手をやり、襟に指をかけた。
先ほどの汗のせいでいくつか髪が房になって貼り付いている。
上着を脱ぐのに手間はかからない構造になっているため、それを脱ぐのは10秒足らずで済んだ。
しかしクラピカはその下にまだ、白い長袖の、身体を全部隠してしまう服を着込んでいた。
「あの……」
うかがうようにこちらを見てくるクラピカの言いたいことがビスケにはよくわかっていたが、ここで終えるつもりはない。
「それも全部脱いで」
「……」
同性とはいえ、やはり恥ずかしさはある。
ことにクラピカは自分の身体にあまり自信がなかったし。
けれど仕方ない、これは『テスト』なのだ。
クラピカは思い切って、長袖を脱いだ。

その下に着ていた黒いタンクトップのようなものも脱ぐ。
すると晒しを巻いた胸が出てきた。
「あの、ひょっとして、これも……?」
「もちろんだわよ」
即答。
クラピカは仕方なく布の結び目を解く。
「……」
恥ずかしい。
クラピカの頬がほんのりと薔薇色に染まる。
ビスケはじろじろとクラピカのさらけ出された上半身を見た。
胸は小ぶりだ。
多く見積もってもAってところか。
しかし、形はいい。
ちゃんと上を向いているし、やや右のほうが大きいけれど、白くて丸くて可愛いし、
乳首は綺麗なピンク色をしている。
ビスケはそっと手を伸ばし、クラピカの首筋に触れた。
「……っ?」
クラピカの身体がぴくん、と反応する。
「じっとして」

耳の下から首筋を人差し指でそっとなぞる。
「あ、あの」
ビスケの意図が良くわからず、クラピカは困惑した声を出した。
しかしその声の端は、どこか甘い。
そこから鎖骨に到達すると、いきなり胸に下ろすような真似はせず、剥き出しの右肩へと移動させる。
(あんまりがっつくのもはしたないだわね。)
右腕を軽く揉むようにしながら、筋肉のつき方を確かめる。
しなやかで、ほっそりとしていて、まるで若い雌鹿を思わせるその感触。
「いい筋肉してるわさ」
「ありがとう」
クラピカがほっとしたのがわかる。
おそらくもうすんだと思ったのだろう。
だがこれはまだ序の口に過ぎないのであり、これからがお楽しみなのだ。

「あの……?」
いつまでたっても腕を開放してくれないビスケに、クラピカはとまどう。
早く服を着てしまいたい。
こんな外ではいつ敵に襲われるかもわからないし、誰かに見られたら……。
「次、左手貸して」
「え……」
これで終わりではないのか。
そう大きな瞳が言っている。
嗜虐心をそそられるような、コンタクトのせいでうるんだ黒い瞳。
それを見て、ビスケはもう興奮を抑えきれなかった。
クラピカの指を自らの指で絡めとる。
「えっ」
予想外のことに、クラピカの瞳が驚きで見開かれる。
そのまま、大きな岩を背にした状態で押し付けられた。
こ、これもテストなんだろうか。
かなしいかな、クラピカはどこまでも鈍かった。

ビスケは、おもむろに右手でクラピカの左のふくらみに触れた。
「あのっ」
たまらずクラピカは抗議の声を上げたが、ビスケは腕を止めなかった。
「ふむ、なかなかいいわさ」
それはクラピカの胸の吸い付くようなしっとりとした感触に対して向けられた台詞だった。
だが、クラピカは素直に、やはりこれもテストなのか、と思った。
ビスケの小さな手のひらが、クラピカの胸を撫で回す。
可愛らしい指で乳首をつまむと、そこは硬く立ち上がり始めていた。
「んっ……」
鼻にかかった甘い吐息が、クラピカの口から漏れる。
そのことを恥じて、クラピカは赤くなった。
……はしたない。
「左右のバランスちょっと悪いわよ」
「…は…い」
少しでも気を抜くと、嬌声を上げてしまいそうで、クラピカは懸命にこらえた。
ただのテストなのに、感じてしまうなんてみっともない。
ビスケは、胸を揉みしだいて、その柔らかさを堪能した。
円を描くようにゆっくりと手を移動させると、クラピカは気持ちいいのかぴく、と動いた。

そのままビスケはしばらくクラピカの胸を弄んでいたが、その手はだんだん下へ移動していく。
クラピカは胸への執拗な刺激に熱に浮かされたようにぼうっとなりはじめていたが、
ビスケの指がズボンの中に侵入すると、はっと我に返った。
「あ、え、あの、これも……」
「もちろん、テストだわよ」
何のテストなんだか。
けれどクラピカは与えられる心地よさで頭が働かず、すでにそんなことにまで気が回らなくなっていた。
「んぅっ……」
ビスケの指が、クラピカの入り口を探り当てる。
無意識にきゅっと足を閉じようとしてしまったが、すぐさまおこられた。
「足、開いて」
「……」
クラピカは操られるようにそっと両足の間に隙間を作った。
ビスケの指がその隙間を縫って秘部に触れる。
そのまま割れ目を優しくなぞると、かすかな喘ぎ声とともにとろりとした感触が生まれた。

入り口をなぞる行為を繰り返すと、ズボンを締めていた帯がゆるみ、乱れ始める。
「んもう、まだるっこしいだわさ」
ビスケは絡まる帯をしゅるしゅるほどき、クラピカのズボンを下ろす。
足首の辺りに絡まったそれを、クラピカは黙って見下ろした。
快感に頭の隅がしびれている。
意識に白いもやがかかっているようだ。
通常の思考が出来ない。
普段の自分なら、こんな淫らな行為に身を任せたりしない。
テストという口実が、クラピカの免罪符となった。
もうどうなってもいい、と思った。
このままビスケの与える快感に溺れてしまいたい。

ビスケはクラピカの下半身をうっとりと眺めた。
このコ、とっても綺麗な足してる。
細い足首に無造作に絡みつく帯も淫猥だった。
そのまま吸い寄せられるようにクラピカの足を撫でる。
下から撫で上げ、その手は弾力のある双丘へと到達する。
さするように優しく触れ、かと思うと強めに揉んだりを繰り返し、その弾力を確かめる。
「ちゃんと鍛えてるみたいだわね」
「あ…っ…あ、りがと…う…」

だんだんとクラピカの息は上がり始め、響く嬌声は抑えられないものになっていた。
というより、抑える意思すらどこかへ行ってしまうほど、クラピカは翻弄されていた。
「はっ…はああぁんっ、あん、うっ…あ」
「女の身体は、同じ女のほうがよくわかるのよ」
どこを触って欲しいとか。
どんなふうにされたらより気持ちがいいかとか。
次はどうしてほしいとか。
……焦らし方とか。
「あっ、あああっ、くっ…や…」
「嫌?そんなはずないでしょ。」
ビスケは巧みにクラピカの花びらの前にある芽を探り当て、きゅ、とつまんだ。
途端にクラピカの唇からは切ない叫び声があがった。
「ひゃう…んんぁ――!!」

ビスケの親指がぐにぐにと小さな芽を押しつぶしこねまわす。
そのたびにクラピカの喉の奥から、甲高い悲鳴のような嬌声が上がる。
「ひゃう!きゃ、ああっ、やあああああ――!!」
強い快感に、涙がぼろぼろと薔薇色の頬を伝う。
「いやだっ、やめ、や、ちがっ、こんなっ、の、ああっ、テストじゃ!」
(やっぱり若くて綺麗な子はいいだわさ)
乱れるクラピカを見てビスケはほくそえんだ。
もちろん、弱い部分を刺激する手は休めない。
(あたしの目に狂いは無かった。この子は紛れも無く、輝石。それもとびっきり上等の!)
親指はそのままに、他の指先を奥へ伸ばす。
とろとろと零れ落ちる蜜をすくうと、強くこすりつけた。
クラピカの白い喉が大きくのけぞった。
「ひっ、ん、も、もう、許しっ…!」
しかしこんなに妖艶なさまを見せ付けられて、ビスケの暴走がとまるわけはない。
ピンクの唇を軽くしめらせると、硬くとがった乳首をその内に含んだ。
「あ…!」
二箇所を攻められ、クラピカはひっきりなしに声を上げた。

ビスケの指が引き抜かれて、その刺激に背中をふるわせた。
岩にもたれかかった身体から力が抜けて、ずるりと滑り落ちるようにくず折れる。
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返して、クラピカは上目遣いにビスケを見た。

まだ、続くのだろうか。
行き過ぎた快感は苦痛になる、それはわかっている。
しかし、どこかで期待している。
彼女から与えられる刺激を。
もっと。

ビスケが正面にちょこんと座った。
そのままクラピカの足の付け根に顔を近づける。
吐息が濡れた場所にかかってもどかしかった。

小さな唇が開く。
クラピカは目を見開き、たちまち声をあげた。
「あっ、ああああっ!」
ビスケの口内に吸われる。
小さな芽は粘膜にとりこまれて舌先でちろちろと舐められた。

強烈過ぎる感覚にとびそうになる。
指先が助けを求めるようにさまよい、地面に生えていた雑草をつかんだ。
「くっ…ああ、ふぅ…はあっん!」