考えるよりも先に体が動いていた。

 無様なものだ・・・
念能力を封じられた事で、まさかこれ程までに不利な状況を
作り出すとは自分自身思っていなかった。
俺を捕らえた相手は、ただじっとこちらを見ている。
赤い瞳で。
「どうした?殺さないのか?」
「・・・うるさい。」

剣のある返事が返る。口を利くのも汚らわしいとばかりのその態度は
だが、何処か困惑した風情も感じられる。
記憶にある限り、嫌味な位きちんと服を着込むこの相手が、
今は、
シャワーを浴びたのだろう、濡れた髪もそのままに
無防備な姿だ。
バスローブの胸元は緩やかに合わされて、控えめな胸の、谷間であるだろう白い肌が見える。
ウエストを帯紐で結わえただけの下方、膝丈の裾からは当然のごとく素足が覗いている。

   舐められたものだ。


二人きりの部屋にいるのに・・・
しかし、舐められても仕方のない状況ともいえる。
なぜなら俺は、鎖で、雁字搦めにベッドに縛り付けられているのだから。

雁字搦めというのは正しくはないかもしれない。
ほんの少しだが、身体を動かす事が出来るのだから。
とはいっても、首を回したり、寝返りを打てる程度だ。
ベッドから身体を起こす事は出来ない。

 どうするつもりだ?

おもむろに、やつが椅子から立ち上がりこちらに歩いてくる。
偉そうに大股に歩くので、裾の合わせから太股がちらちらと覗く
・・・・調度、俺の目の高さだ。
ベッドの脇に立った奴が、目線だけで、俺を見下ろしている。
隙だらけで、ひっぱれば簡単に解ける蝶結びの帯の様に無防備だ。
「考えている。」
腰に手を当てて仁王立ちで言う。
「最もお前にダメージを与える方法を。」
「そんなものは無い。」
「・・・そうだろうな。」
奴は急に振りかぶり俺を殴った。2初3発・・4発・・・
左右交互に両手で俺を殴る。奴の身体は大きく揺れて、
合わせの緩い胸元から、大きいとは決して言えない
白い乳房が覗いては揺れている。
ときおり見える先端は既に尖っており、
先がほんのり色付いて開花を待つ蕾のようだ・・・
ぼんやりとそんな事を考え、殴られながら笑みを浮かべた俺に
ますます怒りを強くしたのだろう。
奴は更に大きく振り被ろうと上体を起こす。


・・・帯紐の端が鎖に引っ掛かっていた・・・。

 はらり と 音がしたのかと思った。

俺の目の前で、バスローブが開き
ほんのりピンクに色付いた
しっとりと汗を浮かべた白い身体が現れる。
下着は着けてはおらず、俺の目の前には
髪と同じ明るい色の柔らかそうな繁みが
脚の間に伸びている。
さほど多くなく植わったそれは、
まるで、
白い生地に穿たれたピンク色のボタンホールを縁取る金色の刺繍・・・

奴の白い肌から覗く凛唇は微かに赤味がかったピンク色だった。

・・・身に纏わり付く鎖が少し締まったような気がした。

 だがそれは間違いだ。
締まったのではなく、動いたのだ。
決して締付けず、表面を滑る様に動く。
やがて布を挟み、引っ張り、引き裂いていく。
・・・鎖は俺の着衣をズタズタに引き裂いてしまった。


一体どうしたというのか、バスローブの前がはだけて、
裸身が晒されているというのに、目の前の奴は少しも臆するところがない。
それどころか、着衣を引き裂かれた俺を、押さえつける様に、
白い肌もそのままに、何もつけていない陰部を押し付けるように
俺の腹の上に
馬乗りになった。
そこには、奴が縛り付けた鎖がまだ蠢いている・・・
その上に
奴は跨ったのだ。
此処にいたって俺は何か異常が生じているのだと
漸く思う。が、
目の前で展開されている光景のイヤラシサに、
それ以上思考する事が出来ない。

奴は、
自分の鎖が動く様に反応して、声を上げてヨガッテイル。
俺を縛っている鎖が、
同時に奴の敏感なところを擦り上げていく。
閉じられているスリットを、乱暴によじり、
隠されていた芽を掘り出し、引っ掛け、蠢く
そうして綻んだそこから滴る液体は鎖を伝い、
俺の身体に纏いつき濡らしていく。
すべりの良くなった鎖の刺激と、乱れる女の姿態に
脈動が中心に集約する。


たまらない。

だが俺の自由は利かず、もどかしい苦しさに変になりそうだ。
奴は、起こしていられなくなったのか、
身を俺の上に投げ出した、
全身を俺に擦り付ける様に悶える女
腹に押し付けられた乳房の感触。
その先端のコリッとした固さの当たる感触。
身と身の間にある濡れた鎖の蠢く感触。
鼻にかかった甲高く、だが、くぐもった、
意味を成さない声。
それが発せられる度に掛かる熱い息
それら独特の雌の匂い。

全てが俺の雄を刺激する。
ビクビクと蠢く俺のモノに、
何か巻き付いた気がした。
鎖だ!
そう思う間もなく、それは俺を締め上げる。
根元の方をきつく、先は弛めに。
きつい締めが螺旋に沿って移動する。
上下に扱くその動きに、怒張はますます激しくなる、
だが、相変わらず俺に自由はない。
目の前のこの雌に思い切り突き入れたい衝動を
どうすることも出来ず、だが、刺激に頭が眩む。


『もう限界だ!』

暴発を迎えようかとする瞬間。
身体から重圧感が消えた。
自身の爆発を前にして、身体を拘束していた鎖が消えたのだ。
どうやら、一足先に達してしまったのだろう。
俺の上で奴はクタリとして動かない。
一瞬で、
俺は奴を組み敷いた、
力の抜けた身体の足を持ち上げ開く、
濡れてピンク色の濃くなったスリットが
ぴくぴくとひくつき、誘う。
どくどくと脈打つ、通すボタンには大きい
赤黒いモノを、
ピンクの縁取りごと巻き込むように押し込んだ。


ぬるっと滑りよく、楽に奥まで入った。
生暖かい肉壁のひだが全体を締めてくる。
鎖なんかより余程気持ちが良い
意識が跳んでしまっていても、雌の本能がそうさせるのか?
それとも
俺が打付ける刺激に反応したのか、
気付いた奴が声を上げる。
色の付いた声を。
俺の動きに合わせて、甘ったるい声を撒き散らす。
意味のない声を。
燦燦と輝いていた緋い眼は、
潤んで涙を零している。
緩く激しく頭を振り、汗を浮かべた身体を揺らす。
赤く色付いたつぼみは痛いほど立ち上がり
白い小山の頂で激しく揺れる。
その様は圧巻だ。
つい先程限界近くだった事もあり、あっけなく無く
俺は、奴の内部に欲望を解き放った。


『眠り薬という話だったんだが・・・』

念が使えなくなった俺は、身の危険を回避する為、
特に対念能力者用に、強力なアイテムを手に入れていた。
放出系の能力者が作ったのであろう。
念を閉じ込めたアイテム。
コレを使用するなら、使用者自体は念能力を用いなくても
念を使用したと同様の効果を得られる。

小瓶に閉じ込めた念能力使用者を眠らせる『念』
俺には効かない。

奴は、今度こそぐったりと眠ってしまっている。
俺に組み敷かれて、
仇の俺に犯されて。
言いようのない感情に口の端が持ち上がる。
目覚めたら、こいつはどんな顔をするのか?
屈辱に打ち震え、歪めた顔を想像する
それとも?
・・・・
出来るなら、その様を直に確かめてみたい気もするが。

『誘淫効果もあるとは・・・ね』
俺はこの隙に失礼する事にしようと思い、身体を起こそうとした。
が、・・・力が入らない・・・?意識が遠くなる。


 !
迂闊だった!何故俺が今自由なのか?
その訳を考えれば一目瞭然。
奴は今、念が使えない状態なのだ。
だから鎖が消えたのだ!
ということは、俺の方は今・・・・・・

マズイ
このまま眠ってしまったら・・・・・
もし
奴の方が目覚めるのが早かったら・・・


数時間後、
裸の奴を組み敷いたまま
鎖でベットに縛り付けられている全裸の俺が
其処に居た。

END