休暇を取ったクラピカは、ノストラードの本拠地から少し離れた街のとあるホテルの前に立っていた。
休暇といってもたった1日限りではあるが、
ノストラードの苦悩する姿にいつも接していたクラピカを気遣った、センリツの配慮によるものだった。
ネオンの能力が失われてから、ノストラードは時にはクラピカに対して酷い仕打ちをすることもあり、
そのたびにセンリツの心労は絶えなかった。
クラピカはヨークシンから本拠地に帰ってきて以来、一日たりとて休みを取っておらず、
センリツは会うたびにクラピカの体調を心配し、時にはその能力で疲労を取り除いてやっていた。
クラピカ自身は現在の状況で休暇など取るなどもってのほかだと考えていたが、
センリツの心労をこれ以上増やすわけにもいかなかった。
そんな時、ゴンから電話があり、久しぶりに会う約束をして、センリツからの休暇の勧めを受け入れたのだった。

待ち合わせたホテルはこの辺りでは名の知れた有名なホテルで、クラピカも幾度か組の用事で来たことはあった。
ゴンが泊まっているのは最上階のスイートルーム。
電話での話では、ゴンの連れにこのホテルのオーナーの知り合いがいるらしく、
スイートルームに安く泊まることができたらしい。
エレベーターに乗り最上階へとたどりつくと、目の前にゴンが立っていた。
「クラピカ!!久しぶりだね!!」
姿を見た途端抱きついてきたゴンに、思わずクラピカは顔が綻んだ。
「元気そうだな、ゴン。」
クラピカの微笑みに応えてゴンも無邪気な笑顔を見せる。
「こっちだよ、クラピカ」
そう言うとクラピカの手を取って、ゴンは部屋へとクラピカを導いた。

部屋の中は様々な高価な調度品が並んでおり、かなり広々とした開放的な作りになっていた。
黙視しただけで部屋の奥には幾つもの扉が見受けられる。
リビングと呼べる場所にはゆったりとしたソファが置かれており、その上に見慣れぬ少女が一人。
「紹介するよ、ビスケット・クルーガー。ボクとキルアの師匠なんだ」
ゴンに紹介された少女は、ゆっくり立ち上がりクラピカを見て満面の笑みを浮かべた。

「あなたがクラピカね。ゴンから色々聞いてるわさ」
じっくりなめ回すように見つめるビスケに少々戸惑いつつ、クラピカは右手を差し出した。
「よろしく、クルーガーさん」
「ビスケでいいわ」
ビスケは握手を交わすとソファの方へとクラピカを促した。
ソファに囲まれた円卓の上には何種類ものアルコール類やソフトドリンク、そして豪勢な食事が並んでいる。
その中の数本のワインはすでに空になっており、飲みかけのワイングラスがその側に置かれていた。
「ビスケ、先に飲んじゃったの?あんなに待っててって言ったのに…」
ゴンは文句を言いながら空き瓶を始末すると、クラピカに申し訳ないと謝った。
「さて、飲むわよ!!ゴン、あんたも今日ぐらい大人につきあいなさい」
ビスケはビールの栓を開け、ゴンにグラスを持たせると並々とビールを注いだ。
「ちょっと!ビスケ!」
「クラピカはどれがいい〜?」
ゴンを無視してクラピカに話しかけると、各銘柄の説明を始めた。
「いや、私はアルコールは…それより、あなたはまだ子供なんじゃ…」
クラピカの言葉に、ビスケは声を上げて笑い出した。
「ウフフ、あたしはれっきとした大人よ?なんせ57才なんだから」
「え!?」
到底信じられない年齢に、クラピカは驚きを隠せなかった。
容貌は明らかに自分より幼く見える。
「子供があの問題児2人の面倒なんか見れるわけないわさ」
ビスケはゴンの方を見た。
「…ゴン、本当なのか?」
「うん、ビスケは本当に57才だよ」
ゴンがそう言うからには、クラピカはその言葉を信じるしかなかった。
そんな中、いつのまにかビスケはグラスにカクテルを入れ始めていた。
「はい、クラピカ。カクテルで良かったかしら?」
ビスケの気迫に押されグラスを受け取ると、3人で乾杯をし、長い宴が幕を開けた。

クラピカが目を覚ますと、そこは先刻までいたソファの上ではなく、寝室のベッドの上だった。
起き上がった途端、眩暈を感じて再びベッドに倒れこむ。
どうやらアルコールで酔いがまわっているようだった。
「いつの間に…」
乾杯の後、ビスケのペースにはまり、勧められるままにアルコールを口にしていたのだが、その後の記憶が一切飛んでいる。
今度はゆっくり起き上がり、広い寝室を見回したが、側には誰もいない。
まだゴン達は飲んでいるのかもしれないと思い、ベッドから降りようとした時だった。
ガチャリと目の前のドアが開くと、ビスケが濡れタオルを手に中へ入ってきた。
「大丈夫?まだ寝てた方がいいわさ」
ビスケはクラピカをベッドに戻すと、額にタオルを置いた。
「ビスケがここへ運んでくれたのか?」
「ええ、ゴンは先につぶれちゃってたから。ゴンならソファで寝てる」
ゴンの方は心配ないからと付け加えると、ビスケは部屋の照明を少し暗くした。
「あなたかなり疲れてるわ。重症よ」
クラピカは自分でも自覚があるだけに、その言葉に対して反論することはなかった。
こうしてベッドに寝転がるのは、ネオンの隣の部屋でイスに座って仮眠をとるのが常のクラピカにとって、本当に久しぶりだった。
「すみません、1時間ほど寝かせてもらえますか。そうすれば元に戻りますから」
そう言って目を閉じようとすると、ビスケがクラピカの顔を覗き込んだ。
「…1時間寝るだけじゃ、全然疲れなんてとれるわけないわさ」
ぬるくなったタオルをクラピカの額から取り、枕もとに置くと、ビスケはクラピカの服に手をかけた。
「ちょっと!何する…」
「あたしが癒してあげるから言う通りにしなさい」
有無を言わせず服を脱がしにかかるビスケに、
クラピカは抵抗するも上着を剥ぎ取られてしまい、露わになった胸をとっさに腕で隠した。
「女同士なんだから隠すこともないわさ。じゃ、始めるわよ」
ビスケの傍らにもやもやとしたものが現れ始めると、それは徐々に人間の、しかも女性の姿に変化した。
「魔法美容師(マジカルエステ)のクッキィちゃんよ」
「念…なのか?」
「そうよ。これがあたしの能力。この力を使ってクラピカに至福のひと時をプレゼントするわさ」
まるで獲物を見つけたかのようなビスケに、クラピカは無意識に身震いした。

胸を腕で隠したままベッドの上を後ずさり、ビスケと距離を置こうとしているクラピカに気づき、
ビスケはクラピカの足首を掴んで無理やり引き寄せた。
その可憐な容貌とは不釣合いな強い力で引きずられ、逃げないようにと手に力が込められたのをクラピカは感じた。
吐息が感じられるほどお互いの顔が近づく。
「綺麗な眼をしているのね」
意外な言葉にクラピカの表情が強張る。
「緋の眼…感情が激しく昂ぶると眼の色が深い赤に変わるんでしょ」
クラピカは鋭い視線をビスケに返した。
「クルタ族のことは聞いてるわさ。あなたのやろうとしてることもね」
「…何が言いたい」
どんどん表情が険しくなるクラピカとは逆に、ビスケは口元を緩めた。
「フフ、ちょっとからかってみただけだわさ。
さっきの食事中、努めて明るく振舞おうとしてたから、感情が変に空回りしてたわよ?」
そう言うと、ビスケは労わる様にクラピカの頬に手を当てた。
クラピカはその手の優しい温もりを感じて素の表情に戻った。
年上ということもあってか、大きい包容力をビスケに感じ、虚勢を張る必要がないとクラピカは感じた。
彼女の言う通り、折角久しぶりにゴンに会うのだからと、さっきまでクラピカは疲れた顔をかりそめの笑顔で取り繕っていた。
「肩の力は抜けた?さて、じゃあそろそろ準備しないとね」
ビスケは、クローゼットの中からタオルを取り出してベッドに敷くと、その上にうつ伏せになるように促した。
「一体、何を?」
よく事態が把握できていないクラピカに、ビスケは半分呆れ顔で答える。
「さっき言ったじゃない。エステよ、エステ。ほら早くそこに寝なさい。ゴンの前で強がらなくてもいいようにしてあげるから」
「いや、もう大丈夫だから――――」
クラピカの言葉を全部聞き終わる前に、ビスケは強引にクラピカを寝かせた。
「ちょっと待って…あっ!何を…」
うつ伏せの体制にさせられると、下着もろともズボンを一気に脱がされてしまった。
露出したクラピカの美しい白磁の肌に、ビスケは歓喜の表情を見せる。
「綺麗ね」
ビスケが双尻の曲線を手の平で撫で、その感触を楽しみ始めたため、たまらずクラピカは起き上がろうとした。
しかし先刻現れた“念”がクラピカの背中を押し返したために、ビスケの愛撫を止めることはできなかった。

「あっ…ぅんっ…」
今まで経験したことのない感覚に、自然とクラピカの口から声が漏れる。
ビスケの念によって具現化された、クッキィと呼ばれるその女性は
、ゆっくりと肩の部分からローションを塗りこみ始め、背中全体をマッサージしている。
その指の動きの一つ一つがとてつもない悦楽を呼び起こし、クラピカにあられもない声を上げさせていた。
一糸纏わぬ姿で愛撫を受けている現状から逃れたかったが、クッキィの巧みな手腕のせいで抵抗する力も失われていく。
背中が終わると、ビスケに撫でられ続けていた双尻を揉みこまれ、クラピカは一際大きな声を上げてしまった。
「気持ちいい?クラピカ」
「はぅ…ん…あっ…やめ……」
ビスケの問いに答えられる余裕もなく、与えられる感覚に必死でついていくのがやっとだった。
「いい声で鳴くのね、クラピカ。ゴンにも聞こえちゃうかもしれないわさ」
ビスケはムフフとくぐもった声で笑った。
(ゴン…もし今ゴンがこの部屋に入ってきたら、こんなみっともない姿を…)
そう思うとさらに羞恥がクラピカの胸にこみ上げてくる。
そんな中、クッキィは双尻から足のつま先までマッサージし終わると、おもむろにクラピカの体を仰向けにした。
「あっ!も、もういいです!」
クッキィが離れた瞬間に起き上がり、ベッドの掛け毛布を掴んで慌てて身を隠す。
仰向けともなると、本当に何もかも曝け出してしまう。
さすがに女同士と言えど、クラピカにとっては今日会ったばかりの人物にそんなことはできなかった。
それに、これ以上されるとエステではなく全く別物になってしまうような予感がしていた。

「ちょっとクラピカ、何やってんの!まだ終わってないってばさ」
焦ったビスケはクラピカに飛びかかると、とてつもない力で毛布を奪い取り、
ついにはクラピカの両手首を掴んで頭上に押さえ込んだ。
「さ、クッキィちゃん、続き続き!」
「ビスケさん、もうやめてください!」
もはや当初の目的を忘れたとしか思えないビスケの行為に、
クラピカは一瞬でも彼女に気を許してしまったことを今更ながら悔やんだ。
クッキィもベッドに上がると、少し小ぶりながらも形の良い胸に向かってその触手を伸ばした。
「嫌、やめ…んああっ!」
両方の乳房を手で包むと、下から持ち上げるように揉みこみ始める。
「やっぱりいいわ〜、若い女の子の生肌は!」
頭上から見ていたビスケも我慢できなくなったのか、胸に塗り込められたローションを指ですくうと、
固くなった乳首に擦り付け、指先でつまみあげた。
「くっ…ふぅっん…」
新たな刺激に、クラピカは喘ぎながらなすがままに身を任せた。

聞こえるのは、ビスケの楽しそうな笑い声とローションを塗りこまれる音。
そして、自らが発する喘ぎ声。
「クッキィちゃんのマッサージ、最高でしょ?結構これでもクッキィちゃんを具現化するのに苦労したのよ。
色んなマッサージができるようにしたからね」
ビスケはクラピカの顔を見下ろし、クスリと笑う。
「これが…マッサージなのか?」
「クッキィちゃんのマッサージは本物よ。今でも十分あなたの胸は綺麗だけど、もっと形も良くなるわ。
それにもうちょっと大きい方が男も喜ぶわさ。クラピカ、彼氏いるんでしょ?」
クラピカは、今は遠くにいる男のことが頭の中に浮かび、咄嗟に幻影を振りほどくように首を振った。
「…彼氏など、いない」
そう言いながらも頬を赤く染めるクラピカに、ビスケは乳首をきつく引っ張った。
「痛っ」
急の刺激に悲鳴を上げる。
「嘘。彼氏とまでとはいかないとしても、気になってる男はいるんでしょ?その男とはこんなことしたの?」
今度は優しく指先で乳首を揉み込み、頂を指の腹で擦る。
ビスケは自分の言葉に対しての返答を待ったが、クラピカはきつく口を閉じて、何も言わず視線を逸らした。
そんな態度に、ビスケは余計にクラピカを苛めてしまいたい衝動にかられた。
今まで出会った女性の中でも、今、目の前にいる少女――――クラピカほど美しい女は初めてだった。
体はまだあどけなさが残るものの、肌の若々弾力や柔らかい金糸の髪、そして世界七大美色の一つである緋の眼の持ち主。
人体収集家であれば、その緋の眼だけでなく、彼女の体ごとホルマリン漬けにして愛でるのかもしれない。
そんな残酷な考えがよぎる。
まさに至高の宝石なのかもしれないと、ビスケは思った。

そっとクラピカから手を離したビスケは、クッキィに目配せをするとクラピカの手首を押さえる力を強める。
雰囲気が変わったことに気づき、クラピカはビスケを見た。
「何…だ?何を…」
たじろくクラピカをよそに、クッキィはクラピカの上に跨ると、ゆっくりと顔をクラピカに近づけていく。
「何をするつもりだ――――ぅんっ」
クッキィに口唇を重ねられ、クラピカが苦しげに喘ぐ。
無理に口中を抉じ開けてクッキィの舌が進入し、クラピカの舌を絡めとってピチャピチャと音をさせた。
必死に顔を振り逃れようとするが、クッキィは彼女の顔を手で固定してそれを阻んだ。
クラピカは目に涙を浮かべ、顔を歪ませている。
クッキィは容赦なく、何度も口唇を離しては角度を変え口付ける。
恐ろしいほど巧みなキスが終わると、舌を首筋から下方へと這わせていく。
そしてビスケに散々弄られた突起を口に含み、舌で丹念に舐め始めた。
「はぅっ…んっ……や…」
「気持ちいいでしょう、クラピカ。これも立派なマッサージだわさ。まあ、いわゆる性感マッサージってやつかしらね」
嫌悪からか、それともあまりの悦楽からか、クラピカの目から涙が一筋零れ落ちた。

舌先で突起のみを舐め上げながら、もう一方の突起は指でゆるゆると揉み込まれる。
クッキィの長い髪が胸を掠め、くすぐったい感覚にクラピカは声を上げた。
ビスケはクラピカの頭を自らの膝に乗せ、クッキィの巧みな所作を見せ付ける。
「ほら見て、クラピカ。クラピカの乳首、とてもおいしそうだわさ」
クッキィは一旦口を離すと、クラピカを見て微笑む。
クッキィの口唇は唾液で濡れ光り、妖艶な色香を放つ。
その仕草も、自分に触れる肌の熱も、人間のそれと何ら変わらないことに、クラピカはビスケの念の強さを改めて確信した。
先刻から抵抗もできず、なすがままな自分が不甲斐無い。
クラピカは靄のかかる意識の中、そう考えていた。
クッキィはそのまま上体を起こすと、クラピカの上から退いて傍らに座り、今度は腹部をゆっくりと円を描くようにマッサージする。
ローションを使って再び丁寧に塗り込めては、手を下腹部の方へと滑らせていく。
臍の上を通り過ぎたところで手を離すと、クッキィはタオルで手についたローションを拭き取った。
「・・・これで終わりなのか?」
クラピカがビスケを見上げると、ビスケは首を振った。
「そんなわけないでしょ。まだまだこれからじゃない」
ビスケの言葉通り、クッキィは左手を下腹部へ這わし、固く閉じていた脚のすき間へと強引に手を差し入れようとした。
「!!」
割り込もうとする手にクラピカは必死に進入を阻むが、
ビスケに乳房を揉まれて意識を逸らされたために、クッキィの手がするりと秘所へ添わされてしまった。
手のひら全体で秘所を撫でてはクラピカの反応をうかがう。

「んっ・・・ふあっ、ああっ・・・」
直接的な刺激を与えられるたび、甘美な嬌声を上げる。
クッキィは中指を秘裂に当てがうと、その中へと沈みこませた。
途端にくちゅりと小さな音が上がる。
「クラピカ、もう濡らしちゃってたの?どうやらそこはローションいらないみたいね」
ビスケは言葉でクラピカに追い討ちをかける。
クッキィは沈み込ませた指で入り口に溢れた蜜を掻き回し、卑猥な音をクラピカに聞かせる。
今まで関係を持った男と違う細くすらりとした指。
その指使いは優しく、大事な場所を傷つけないように動く。
親指は固くなり始めた肉芽へ当てられて、恥骨へ押し付けられる。
その度に溢れ出る蜜が増え、クッキィの愛撫を助けることとなった。
「あっ、嫌っ!」
クッキィは蜜の源へと指を入れ、指の根元まで収めてしまうと、膣内の感触を確かめ始めた。
「やめっ、あっ、あっ・・・はあっ」
内壁を擦られるたびに、クラピカは身をピクリと震わせ声を発した。
「すごくいい反応をしてくれるのね〜クラピカは。私もたっぷりしてあげるからね」
ビスケはクッキィの仕草を観察しやすいように、クラピカの上体を起こして、自らにもたれかけさせた。
そして掴んでいたクラピカの両手首を後ろ手にタオルで縛り直すと、クラピカの膝裏に手を掛けて大きく開かせた。
「ビスケさ・・・んっ、こんな乱暴な真似・・・あっ・・・」
「この方がクッキィちゃんのマッサージもやりやすいわさ」
クッキィは指を抜き取り、開かれた脚の間に移動した。
クッキィの場所からは全てが露わとなっており、本物の人間に見られているわけではないが、クラピカは羞恥の念に苛まれた。

ビスケがさらに脚を大きく開かせたため、クラピカは秘裂に冷たい外気を感じた。
クッキィのマッサージの効果で着実に疲労は取り除かれつつあり、それに伴って体の火照りが増していく。
(熱い・・・)
体の内に拡がる熱が、外気との温度差をさらに広げる。
元来、クラピカは情欲に塗れるこういった行為は好きではなかった。
むしろ忌むべき行為だと思っていた。
しかし、これまでに何人もの男と行為を交わしたのも事実。
それはあくまでも自分に利を得るために―――――
あの冷たい眼をした男と、ヨークシンでは自ら進んで関係を持ったのも、全ては旅団を潰すため。
復讐と眼の奪還のために、自らの体を糧としたのだ。
繰り返し、呪文のように、そう言い聞かせてきた。
『…違うよ、キミはこういうのが好きなんだ◆』
あの男が何度も口にした言葉がふいに脳裏をよぎる。
『キミの心は欲していなくても、ほら・・・体は正直だね◆』
そして、男の欲望を無条件に受け入れてしまう自分がいるのも、事実。
体の飢えを埋めるには有用な男のことを、なぜ今思い出すのか。
少なくとも今、ビスケから与えられるこの行為を受ければ、体の疲弊が潤うのは間違いないからなのか。
「クラピカ、何考えてるの?」
ビスケの声に、クラピカは我に返った。
何かに迷っているような表情をしたクラピカに、ビスケは優しく頭を撫でた。

「大丈夫。クッキィちゃんに全部任せておきなさい。今は何も考えなくていいわさ」
クッキィは開かれた内腿に舌を這わしながら、秘所へ顔を近づけていく。
途中、何度か肌をきつく吸い上げては紅い跡を残す。
クラピカは息を弾ませながら、その行為を黙って見ていた。
やがて秘裂へと達したクッキィは、舌先で秘裂から愛液をすくい取り、秘所全体に舐め広げた。
「ぅ…あっ………んんっ…あっ、そこはっ、あっ…や…」
固くなった肉芽を舌先で探り当て、丁寧に愛液を塗り込められる。
「ここも良さそうだけど、やっぱり中の方がいいわよねえ」
ビスケはクラピカの脚を掴んでいた手を外すと、枕の下に手を入れてゴソゴソと何かを探した。
「何を探して…」
心配そうなクラピカを余所に、ビスケは目当ての代物を探り当てると枕の下からゆっくりと取り出した。
それは小ぶりではあるが男性器を模した、いわゆるバイブレーター。
「本当はこういうのも念で作ればいいんだけどねー。そしたらあたしの思い通りに動かすことも可能だし」
ビスケはクラピカの目の前に持ってくると、スイッチを入れて動かしてみせた。
振動がビスケを通して伝わってくる。
「やめ…そんなも…っああっ!!」
クッキィの舌が言葉を遮るように秘裂の中へ進入し、入り口付近を解し始めた。
クラピカは上体をずり落ちさせながら、顔をビスケの胸に押し当て耐え忍ぶ。
「クッキィちゃん、ちゃんと準備してあげてね」
ビスケの言葉に、入り口からさらに中へと舌を差し入れると、中を広げるように愛撫した。
「こっちも準備しないとね」
そう言うと、手中のバイブをクラピカの口元に押し当てた。
「入れやすいように、こっちも濡らしとかないと。痛いのは嫌でしょ?」
押し付け続けるビスケに根負けしたクラピカは、口を開くとバイブを口中へ招き入れた。

無機質な感触を感じながらも、やがては自らを慰める道具に舌を絡めて奉仕する。
唾液を懸命にその表面に塗り立てていく。
一舐めするごとに体の奥から新たな蜜が溢れ出て、そのたびにクッキィの舌ですくい取られ、花弁へと塗された。
ビスケがバイブレーターを口中から抜き取ると、その先端には唾液の糸が引いた。
「クッキィちゃん、お願いね」
ビスケはバイブレーターを渡すと、再び脚を大きく開かせた。
「あ・・・んっ・・・」
クッキィは先端を花弁に当てがい、クラピカの反応をうかがいながらバイブを入り口へと沈める。
ゆっくりと押し入ってくる固い異物に嫌悪しながらも、一方では徐々に満たされていく感覚に、クラピカは身悶えた。
半分まで埋め込み一旦進入をやめると、濡れた水音をさせながら小刻みに抜き差しされる。
「あっ…ふぅ…っああっ!!」
焦らすような動きをみせたかと思うと、次には一気に奥まで差し込まれ、その衝撃にクラピカの体が強張った。
途端に内部から排除しようとする力が加わり、バイブレーターが押し返される。
「ダメじゃない、クラピカ。もっと力抜かないとつらいわさ」
ビスケはクッキィの手に自分の手を重ねると、クッキィと一緒にバイブレーターを突き入れ始めた。
時折スイッチを入れては切りを繰り返す。
「嫌、やめ…あっ…はあっ…んっ…やっ…」
表情を見ながら最も感じるところを探るように内壁を擦られ、そのたびに悦な声を上げてしまう。
クッキィはクラピカの眼前に顔を近付け、食い入るようにクラピカの表情を見つめ、さらに激しく抜き差しを始めた。
必死に歯をくいしばって耐えるものの―――――――――
「あっ…もう……やっ…あ、ああ――――――っ!!」
背を仰け反らせて、ついにクラピカは達した。

「良かったでしょう?クッキィちゃんのマッサージは」
ビスケはバイブレーターを抜き取りながら耳元でささやいた。
クラピカはうつろな表情で聞いている。
「…綺麗な眼ね。これが本物の緋の眼。宝石とはまた違った魅力があるわさ」
宝石で例えるならクラピカはルビーであろう。
その中でも最上級の石、ビジョンブラッドのような―――――しかしそれよりも生々しい血の色。
クルタ族の血塗られた過去が、この少女の中で消えぬ証拠。
まさに生きた宝石だ。
ビスケは緋に染まったクラピカの眼を掌で覆い隠した。
「あなたの眼は魅力的過ぎる、悪い薬だわさ。復讐もいいけど、自分の事ももっと大事になさいね」
そう言うと、ビスケは薄手のタオルをクラピカの体に掛け、ベッドから降りた。
クッキィの姿は、ローションの名残のみを残してすっかり消えていた。
「・・・ビスケさん」
クラピカの呼びかけに、ビスケは満足そうな笑みを見せて寝室を出て行った。


寝室を出たビスケは、にまにまと不気味な笑顔をこぼしながらクラピカの痴態を思い返していた。
(若いコの肌はやっぱりいいわ〜。今度は誰にやってあげようかしら)
リビングにたどり着くと、何も知らずに寝ているゴンの姿が目に入る。
そういえばまだゴンとキルアには試してなかったわねと思いながら、ビスケは部屋を後にし、夜の街へと繰り出した。

ゆさゆさと体を揺さぶる気配にクラピカは目を開けた。
ぼんやりとした視界の先には、リビングの方で眠っていたはずのゴンがいる。
ビスケを見送った後、そのまま眠ってしまっていたのだろう。
咄嗟に先刻の事を思い出し、自分の格好を確認したが、無意識のうちにベッドの中に潜り込んでいたらしかった。
全裸のままに変わりはなかったが、幸いゴンにはそのことは気づかれていないようだ。
床に散らばっていたはずの服は、半開きになっているクローゼットの中に仕舞われているのが見えた。
「ゴン、もう酔いは醒めたのか?」
そう話し掛けると、ゴンは大きく頷いてにこりと笑う。
「でもまだちょっと残ってるけどね。クラピカは?」
「私は大丈夫だ」
クラピカの体調は確実に良くなっていた。
眠ったおかげでもあるが、不本意ながらも何よりビスケの”マッサージ”が効いたらしい。
「ビスケ、どこに行ったか知らない?探したんだけどいないんだ」
「・・・きっと外に遊びに行ったんだろう。心配ないんじゃないかな」
あのビスケのことだ、ゴンを心配させるような事はしないだろう。
それにあれほどの念の使い手なら、かえって周りの方が危ない気がしなくもない。
「そうだよね!じゃ、クラピカはもう少し寝ててね!オレは部屋片付けるから」
心配そうな顔をしていたゴンだったが、クラピカの言葉に気を取り直すと、
寝室を出て行こうとした――――――が、足に何かに当たった感覚に歩みを止めた。
「・・・何だろう?」
足元に転がっていた物体を拾いあげると、ゴンは不思議そうにそれを凝視した。
(なんかこの形は見たことあるような気がするけど・・・)
クラピカの側からはゴンの背中で隠れて見えなかったが、拾い上げたものの正体に嫌な予感がしてゴンに問い掛けた。
「ゴン、何を拾ったんだ?」
するとゴンがこちらに振り返り、手に持った物体をクラピカに差し出した。
「これ。なんでこんなのがここに落ちてるのかなあ?」
その手の中にあるのは、まさしく先程使用したバイブレーターだった。
「!!」
クラピカは声も出ず、ベッドの中で固まった。確かに自分が片付けた覚えはない。
ビスケは服だけはちゃんと整頓して出て行ったが、肝心のバイブレーターは片付けていなかったようだ。

そんな憶測を余所に、ゴンはバイブレーターをクラピカの方へ近づけ、それの説明を求めている。
「ねえクラピカ、これ何?」
何と答えればいいのか、言葉に詰まってしまった。
自分が教えてしまっていいのか。それとも、こういうことはちゃんと教えておいた方がいいのか。
「ねえ、何なの?クラピカ知ってるんだよね?」
答えを急かされ思慮した挙句、クラピカは重い口を開いた。
「・・・その、いわゆる・・・大人の玩具ってヤツだ」
「大人のおもちゃ?大人しか遊べないの?このスイッチは何?」
ゴンは柄の部分に付いているスイッチを押すと、
振動を始めたそれに少し驚いたようで、さらに興味深く見入ってしまっている。
クラピカは何も言えず、その様子をただ見ていた。
振動している部分に指で触れてみたりして、それをどうやって使うのかをゴンなりに考えている。
匂いを嗅ごうとした時は、さすがにクラピカも止めようとしたが―――――――。
「うーん、よくわからないなあ。でも、この形・・・」
そこまで言うと急に無口になり、ゴンの頬が赤く染まり始めた。どうやらやっとその用途を理解したのだろう。
二人の間に気まずい空気が流れたが、意外にもそれはすぐに打ち破られた。
「クラピカ・・・・・・ごめん!!」
そう言うと、ゴンは掛け布団をいきなり剥ぎ取ってクラピカに詰め寄った。
「ちょっと、ゴン!!」
何も着ていない全裸の状態のクラピカに多少驚いた様子だったが、
かまわずクラピカの腕をつかむと、真剣な顔でクラピカを見つめた。
「お願い、これ、使って見せて!」


寝室の扉の隙間から、部屋の中を覗く人影があった。
中からは、先刻その姿態を存分に堪能させてもらった少女の甘い嬌声と濡れた音が漏れている。
もう一人の少年は、息を弾ませながらバイブレーターが出入りしている女の部分を観察していた。
(まさかこんなことになるとは思ってなかったけど、バイブをそのままにしておいて良かったわね〜)
その人影の主、ビスケはその光景を酒の肴に堪能していた。
飲み足りないこともあり、外で良いお酒を調達して帰って来たのだったが、
まさか二人がこんな行為を行っているとは思わなかった。
しかし止めるなどという邪推なこともせず、ビスケはそのままその行為が終わるまでその場で待ち続けていた。