・・・ここは何処なんだ。私は眠っていたのか?
・・・・・・あぁ、旅団の団長とゴン、キルアの人質交換をしたんだ。
緋の目を・・・探さなくては・・・。
「クラピカ!?気がついたのか?」
長い睫を僅かに上げると一人の男が、女の顔を覗き込むように見下ろしていた。
・・・キルア?
「済まない。もう大丈夫だ」
飛行船の簡易ベットから、ゆるゆると女は起き上がった。
その刹那・・・女の白く細い肩から、はらりと肩紐が解け落ち
白い胸が露わになった。
小ぶりながらも形の良い果実の先端は、淡く桃色に色付いて瑞々しい。
女から放たれる甘い匂いと、その事実に男はしばし目を奪われ、言葉を
発する術を失った。
女は頬を僅かに紅に染め、両手で露わになった果実を隠し長い睫をそっと伏せた。
「・・・おまえ・・・女だったのか?」
漸く、男の形の良い唇から漏れた言葉の語尾は僅かに震えていた。
動揺を隠し切れないのであろう。
「・・・み、皆には黙っててくれ」
女の長い睫の先が震え、その瞳は懇願するように潤んでいる。

普段のクラピカからは、想像も付かないような無防備で切なげな表情は
キルアの中に眠っていた、男の欲望を揺り起こすのに十分過ぎた。
「あ、ああ判ったよ。事情は知らないが、皆には内緒にしといてやるよ」
「有難う」
女の表情が、パッと明るい物に変った。
クラピカの表情とは対照的に、男は何処か気まずそうに、だがクラピカの体を
舐めるように凝視していた。
・・・そして。
「・・・その代わり・・・」
「その代わり?」
女は訝しげに男の顔を見上げた。
「その代わり・・・クラピカの胸・・・」
「私の胸?それがどうかしたのか?はっきり言え」
男は言葉を繋ぐよりも早く、クラピカの形の良い顎から胸へのラインを
なぞった。
「あっ・・・」
女の肢体が、ピクリと跳ね上がった。

「へえークラピカって案外敏感なんだ」
悪戯な色を浮かべた声音と視線で、キルアはクラピカの肢体を
舐めるように視線を動かした。
「私に何をするつもりだ!?」
クラピカの白く細い手がキルアの手を強く掴んで、鋭い眼光を放った。
しかし彼女の触れられた果実の先端は、更なる刺激を求めている
かのように堅く尖っている。
キルアはその事実を認めると、ニヤリと薄く笑うと彼女のもう一方の
果実の先端の周りを、円を描くようにゆるゆると刺激した。
そして、片膝をクラピカの横に付くと、彼女の尖った顎先を掴み自分へと
向けさせ言い聞かせる。
「なにって、決まってるじゃん。あんたは女で俺は男。
密室の男女がすることって一つだけじゃん」
クラピカは、その指の動きを必死で堪えるかのように唇をキリっと
噛み締め瞼をギュっと閉ざした。
「ねえー声出せって!俺にこんな風に触られて気持ちいいんだろ?
何処が良いか教えろよー」
キルアは、まるで新しい玩具でも見つけた子供の様に、楽しげに
クラピカに訊く。

彼女の体を弄りながら、ベットの上にクラピカを組み敷き
頬や首筋、鎖骨へと口付けて敏感な個所を探った。
クラピカは、荒げそうになる声を必死で押さえていたが、その執拗な愛撫が
敏感な個所に触れると、ビクっと体を震わせた。
その反応を認めると、キルアはその部分をたっぷりと唇と舌で刺激した。
唇で啄み舌先を尖らせてつーっと円を描く。
そして強く吸い付くと紅い花弁を残した。
「や、やめろ・・」
クラピカが苦しげにいいながら、キルアと自分の体の位置をすり替え
キルアを上から覗き込んだ。
キルアは一瞬何が起きたのか判らず、ただジッとクラピカを見上げた。
「お前が私と男女の営みをしたいなら・・・私が、私が教えてやる」
「えっ?」
呆然とするキルアのシャツをクラピカは剥ぎ取るように脱がすと
自分の夜着も慌しく脱ぎ捨てた。
「安心しろ。痛みは感じさせないから」
彼の耳朶を甘噛みしてながら、クラピカは囁いた。
その声音は、彼女の吐息と共に甘く掠れてキルアの耳元にゾクリと響いた。

クラピカのしなやかな白い指先が、キルアの頬をつたい首筋、胸を擽る。
そのラインを辿るように口付けていく・・・。
「くっ・・うぅ・・ぁ」
キルアは眉根を苦しげに寄せ、小さな呻きをあげた。
彼女はキルアの頬を撫でながら、そっと唇で彼の口を塞いだ。
最初はただ触れるだけのキスを数回繰り返す。
唇の輪郭をなぞるように、舌で擽るとキルアの唇が小さな呻きと共に
僅かに開いた。
その隙間から舌を差し込むと、口内で弱々しく逃げ惑うキルアの
舌を捕え絡めた。舌を吸い上げ、何度も角度を変えて責め立てた。
一旦、その唇から離れるとクラピカは思案気に、キルアの瞳を覗きこんで
言った。
「キルア、キスをしてる時は鼻から息をしろ」
クラピカはクスっと笑みをもらすとキルアの髪を撫であげた。

キルアはカーっと熱くなり頬を赤く染めたまま顔を背けた。
自分からクラピカを押し倒しておいて、キスの仕方も知らない
子供だとクラピカに知られてしまったのが悔しかったのだろう。
「あんた、随分、経験豊富って感じだけど何処で習ったのさ?」
恥ずかしさを隠す為、キルアは無理に憎まれ口を利く。
「経験豊富な訳ではないが・・」
クラピカは一瞬寂しげな表情を浮かべたが、その話を避けるように
何度も深くキルアに口付けた。
キルアの様子を窺うように、胸の突起を甘く噛み、転がし
吸い上げて弄る。
「うっ・・あぁっ」
キルアの呼吸がクラピカの愛撫で乱され荒くなる。
「感じているのか?」
クラピカの声音が興奮に上擦る。
もっとその声が聞きたい。切なげな顔が見たい、と愛撫の範囲を
広げ、脇腹を舌でなぞった。
「あっ」一際、高い呻き声がキルアの口から洩らされると、一層激しく
舌を使い責め立てた。

「も、もう・・クラピ・・して」
「何かいったか?」
意地悪な微笑みに口端を上げてクラピカがキルアに訊き返す。
「だ、だから・・俺の・・舐めて・・・よ」
「判った。焦らして済まなかった」
満足げに笑うとクラピカはキルアの屹立した分身に手を沿えて、
その根元から焦らすように舌を絡み付けしごくとキルアの腰が
これまでにないほどビクっと跳ね上がった。
「くぅ・・あーーっ」
クラピカは獲物を捕えたハンターというよりも、野生の動物の
ようにキルアの分身を舌で激しくいたぶり弄んだ。
口に含んで、口内で暴れるキルアの分身を押さえつけ
上下してやるとキルアはクラピカの頭を押さえつけて
より深く咥えさせるように腰を動かす。
だんだんとキルアの限界が近づいてきた頃、クラピカは
その分身から口を離し根元をギュっと押さえて絶頂を
阻止した。

―――鎖野朗が女性だったとはな・・・
男はそういうと、私の肢体を舐めるように視姦した。
憎い同朋の敵の視線に私は成す術もなく犯され続けた。
全身に虫唾が走る。嫌悪と憎悪の入り混じった眼で睨むこと
が精一杯だった。
どれ位時間が経ったのか、いつしかそれは別のものへと変化していた。
私の体の中心から熱いマグマがジリジリと湧き出し、身を捩ると
男は薄い笑みを浮かべた。
心を見透かされ、私は羞恥心に目をそむけた。
「飛行場に着く前に、君と二人きりで話したい」
その時の私は、どうかしていたのだろう・・・
「判った。一時間だけ時間をやろう」
男の体に巻き付く念の鎖に力を篭めると男は僅かに苦しげな色を浮かべ
眉根を寄せた。
私たちは、殆ど廃墟と化した倉庫へと向かった。
倉庫に着くと男は『少しでいい、鎖を緩めて欲しい』と言った。
男からは逃げ出す気配も感じられない、もし逃げ出そうものなら
即座に念の刃を心臓に打ち込めば良い。
私は男の体に巻き付く鎖を緩めた。
あんな事が起きるとは予想もしていなかった。
いや―――私は承知の上でそうした??
期待していたのではなかったか?

「クラピカ!おいクラピカ!俺を生殺しにするきかよー」
クラピカはハッと我に返り、掌に握り締めたキルアの分身を
撫でると、キルアへと視線を移した。
「まだこれからであろう。一人でイクのはずるいぞ」
クラピカの艶を含んで濡れた瞳にキルアの分身が大きく震える。
期待と興奮に心臓が激しく波打った。
クラピカは、そっとキルアの右手を取ると己の胸の果実へと導き
やわやわと揉みしだく。
もう一方の手を薄い茂みに誘い込むと、その指は泥濘に突き当たった。
ピクリとクラピカの肢体が震える。
「はぁっ・・」
キルアは泥濘の柔襞を傷付けぬよう、下から上へ、つーっと撫上げた。
薄い茂みから、湧き出た熱い蜜がキルアの指に絡み付いて
透明な糸を引いていた。
その蜜を口に含み、舐めると甘酸っぱい味と女の匂いでキルアの
脳の奥が痺れた。
「ちゃんと舐めていい?」
キルアの要求に応えるように、クラピカはキルアの顔の上に
白く細い腰を沈めた。
おずおずと、キルアの舌がクラピカの薄い茂みを掻き
分ける。ねっとり、と熱い舌が蜜に絡まり滑るように這い回る。
「んっ・・あん」クラピカの声が快感に震える。
キルアの舌がクラピカの小さな芽を捕えると彼女は一層、
甲高い声を上げキルアの髪を掻き毟るように掴んだ。
「はあっ・・あぁーーーっ。くっ・・・あぁっ」

廃墟と化した密室で私は何を期待していたのだ?
キルアのねっとり、と絡みつく熱く柔らかな舌が、私の
中心を滑り、撫で吸い尽くす。
あの晩あの男から齎せられた快楽とが交わり、頭の芯が酷くしびれる。
私の思考が麻痺する。
ゆらゆら、と闇の奥底へと落ちていく。
「あっ・・そこ、気持ちいい」
私はキルアの頭部を己の中心へと強く引き寄せ、快楽を貪った。

「君のこと何て呼べばいい?」
敵である男が、私に呼び名を訊くとは愚かしい。
この男は己の立場を理解していないようだな。
「囚われの身で、呑気なものだな。鎖野朗と呼んでいたので
あろう。ならば、そう呼べば良い」
私は努めて冷淡な笑みを作ってみせた。
―――心中を悟られたくはなかった。
「女性に対して野郎は失礼でしょ」
男はニヤニヤと、含み笑いを浮かべて、一歩、また一歩と
私に近づいてきた。
男の指先が私の頬を滑り唇をなぞる。
――ゾクリ。
体の中心から痺れる感覚が全身に広かった。

私の中の秘められた女の部分が熱く潤う。
思わず、声が上がりそうになるのを唇を噛み締めて堪えた。
「やっぱり、女だ。隠しても無駄だよ。君の体の周りに
女の匂いが纏わりついてるよ」
男の指が私の喉元から胸を伝い腰を通り過ぎて、ミニスカートの
上で止まった。
この男の身柄を捕える為に、ホテルの受付嬢の制服を選んだ
事を悔やんだ。
何故、私は男の成りを選ばなかったのだ。しかし、もう遅い。
「君の白い肌は、男を欲してる。何処か違ってる?」
睨み上げる私に臆す事もなく、男はスカートの内部に手を滑り込ませた。
ストッキングをずらし、下着の上から指で秘裂を上下になぞる。
私の意思に構うことなく、我がもの顔で甚振り辱めた。
「さっきから俺に見られて感じてたでしょ。こんなに濡れて・・
俺が欲しくて堪らないんでしょ。ちゃんと言えたらご褒美に
君の欲しい物あげるよ」

乱れた呼吸を整えようと肩が激しく上下する。
噛み締めた唇から、紅い血液が滲み出し口端から顎に伝い落ちた。
「君ってプライド高そうだよね。自分の口から俺が欲しいなんて
やっぱり言えない?」
欲望が色濃く浮かび上がった黒い瞳の男は、私の泥濘に
指を遠慮なくズブズブと差し入れてきた。
「い、嫌だ!痛いっ!!!やめろ!」
初めての異物の侵入に苦痛で顔が歪む。額からは汗が噴出して
こめかみを伝い床に雫が落ちた。
「初めて?そういう事は最初に言ってくれないかな。
もっと優しくしてあげたのに」
男は痛みを拭うようにスカートを捲くりあげると、下着を剥ぎ取り
私の傷付いた泥濘を押し広げて、ぬらぬら、と舌を這わせてた。
言いようのない屈辱と初めて知った快楽が私を襲う。
腰をずらし、男の執拗な愛撫から逃げるが何処までも
男の舌は、私の快楽の芽を捕えて責め立てた。
「あっ・・ああああああっあーーーっ」
私はその甘い責苦に一瞬にして気を飛ばした。

「クラピカ?」
――大丈夫?

誰?・・私を呼んでる・・クロ・・ロ。

「大丈夫か?」
―――気付いた?

愉悦に気を飛ばしたクラピカの瞳が、ぼんやりとキルアの輪郭をとらえた。
夢現で、まだ快楽の名残に痺れる己の体を抱きかかえ、シーツの波間に
潜り込む。
「あんた、ずりーよ!俺の時は良いところで無理やり我慢させて
自分は一人で、いっちゃうんだもんよー」
キルアはクラピカを責めたが、言葉とは裏腹に声音は酷く優しく
その手は彼女の柔らかな髪を撫でていた。
「済まなかった」気だるさの残る体をキルアに摺り寄せクラピカが呟いた。

クラピカの細い腕がキルアを包み込むように抱き寄せる。
体のラインを触れるか触れないかで撫で、そこここに口付けると、キルアの
腰を引き寄せた。
両足を大きく広げ、泥濘の入り口に彼のまだ熱く屹立した分身をあてがい
泉の中へと誘い込む。
ゆっくりと、クラピカの誘うままにキルアは彼女の胎内へと導かれ
熱い呻きを零した。
「うわ!何これ・・すっげー気持ち良い!」
彼女の唇からも熱い吐息が零れる。
「あぁ・・っ」
誘われるままキルアは律動し、クラピカの胎内を余すことなく味わう。
初めて知った女性の滑らかな柔肌、甘い匂いがキルアを狂わせる。

「君、気を失ってたんだよ」
男の声が、私の耳元で聞こえた。
「気持ち良すぎた?」
私は、はっきりとは覚醒していない頭で記憶を辿る。
あぁ・・
思い出した。

男は似合わぬ優しげな瞳で私を見つめていた。
私は知らず涙を流していた。
悔しかった。ただ、悔しかったのだ。
同朋の仇である男に、為すがままにされて。
私の体は穢れてしまった。
そして私は、全て思い出した。自ら封印した記憶。
私は、この男の手で生かされていた・・。

「どうして泣いてるの?」
男は、その瞳と同じ優しい声音で私に訊ねる。
お願いだ・・そんな声を出さないでくれ。
「やっぱり、最初の痛かったとか?」
違う、そうじゃない。違うんだ!
「お前に私の気持ちが判るはずなどない!」
私は男の襟を掴み、その頬に平手を打った。
いっそ、ここで仇討を遂げ、私も同胞たちの元へ向かうのも悪くはないか。
そんな事をぼんやり、と考えていた。
男は僅かに顔を顰めると紅い血液を吐き出した。
口の中を切ったのであろう。
私の手には具現化した念の鎖が巻きついたままだから。

「無神経過ぎたみたいだね、俺」
男の武骨な指先が私の唇に触れた。
耳元に顔を寄せて、私に囁く。
「ずっと君が欲しかった」

・・ずっと?

――クルタ族なんて覚えていない。

お前はクルタを襲ったことも覚えていなかった。

・・欲しかった?

忘れていたくせに。

何故・・そんなことを言うのだ。

「君だけは生かしておいた」
それは遠い昔に聞いたと同じ声音。

「君が俺の前にやって来るのを待ってた」
幼い頃に見た熱の篭った黒い瞳。

「クルタ族と君を覚えてないなんて嘘」
私の心を掻き乱す。
何処まで私を甚振れば気が済むのだ。

男は緩まった鎖を、易々と外すと私のブラウスのボタンに手を掛けた。
一つ一つボタンを外していく様を、私は壊れた人形の様に黙って
見つめた。
頬を伝う涙が熱かった。
男は己の唇で私の涙を拭い、耳元に熱い吐息を零した。
耳を甘く噛まれて、擽るように舌で撫でられると、私の体に
電流が走り抜けていった。
露わになった私の胸を、男の手が優しく揉み、その先端を指でくじく。
もう一方の胸の先端を口に含まれ、熱い舌で転がされると私の唇から
聞いたことものない女の声が零れた。

「あっ・・あぁっ」
甲高い声が上がる箇所は時間を掛けて愛撫された。
私の両膝が、何かを求めて擦り合わさると男は私の下肢に
その手を伸ばして、まだ熱を持った泥濘を弄った。
「あんっ・・」
たっぷりと濡らされた其処は、男の指を易々と呑込んだ。
「もう痛くないよね?」
私はコクリと、ただ頷いた。
男は一度、泥濘の中から指を引き抜くと、ピチャピチャと
音を立てて、見せ付けるように私の蜜を味わった。
その様から目を逸らすことも許されず、じっと見つめていた。
卑わいな音が私の体を一層、熱く燃やしていく。

男は私の両膝裏を抱き上げると、その間に顔を埋めた。
止め処なく溢れ出る蜜を熱い舌で舐めとり、尖らせた舌先を
胎内に差し込まれ奥深いところの蜜を掻き出された。
気が遠くなるような快楽に、私は悲鳴をあげて逃れようと腰を浮かせた。
しかし、あっさり男の強い腕の力で私は引き戻された。
意地悪な男の舌は、私の秘列を舐め、吸い上げるが
快楽の芽には触れようとしないのが歯がゆかった。
私は自ら腰をずらし、男の舌を其処へ導いた。
欲望の赴くままに。
「あああああああっ・・そこ・・もっと」

しばらくすると男は私の瞳を覗きこみ、覆い被さる様に口付けてきた。
最初は羽のように軽く触れるだけの口付けを数回。
舌先で唇をなぞられると、自然に唇が開いた。
その隙間から、男の舌が滑り込んで私の舌を絡め捕る。
血の味のする男の口内は、火傷しそうなほど熱かった。
どの位、口付けを交わしていたのか判らない・・ただ苦しいな、
と思った時、男は私の唇を解放した。
「キスするときは、鼻で息して」
酷く優しい声で、熱い黒い瞳で男は言った。
私は顔を背けた。
私の顔を向き直すと「もう、良い?」と訊かれた。
私は何と言えば良いのか判らず、頷いた。
腰で膝を割られ、男の屹立した物が私の泥濘の入り口にあてがわれた。
泥濘の蜜を絡めるように男の分身が二、三度滑る。
男はぐっと腰に力を入れると私の胎内に分身をめり込ませてきた。
「い、痛いっ!」
あまりの痛みに私の腰が引くが、男は私の肩を掴み強く抱きしめると
更に、私の胎内の奥へと侵入してきた。
「力抜いて・・その方がらくだから」上擦った声で男が囁く。
私は痛みから解放されたい一心で、言われるままに力を緩めた。
緩めた胎内へ男の分身が漸く納まった頃、男の額から汗が流れ落ちた。
「凄く狭い・・でも・・凄く熱くて気持ちいい」
私の体がかーっと熱くなるのを感じた。
そして、心までも・・。

男の腕が私をしっかりと包み込むように抱く。
湿った音と共に男の腰がゆっくりと、前後に動いた。
耐えがたい痛みが私に再び襲い掛かるが、痛みを和らげるように
男の指先が密着した体の中心を癒すように撫で続けていた。
私の唇から漏れるのは、もう苦痛の呻きだけではなかった。
甘い吐息を呑込むように男は激しく私の口内を深く侵食する。
歯列を割り、熱い舌を絡めては互いの唾液が混ざり合った。
眩みそうな意識の中で、私は夢中で教えられた呼吸法をとっていた。
「ん、んんっ」
男は私が甘い疼きを感じていると認めると、腰を大きく律動させ始めた。
角度を変えて胎内の奥深いところを突く。
「・・ここか?・・ここが良いの?」
私は与えられた激しい快感に、夢中で男の首筋にしがみ付いた。
体液の交わる卑猥な音、男の荒い息使いと小さな呻き声が私を煽る。
男の黒い瞳に映った、私の緋の目が私を狂わせ高みへと押し上げる。
男が私の耳元で何か囁いていた。
甘く掠れた声が、音と化して私の耳元に心地良く響く。
男が何を私に囁いていたのかは、覚えていない。
私たちは同時に高みへと駆け上ったのだから・・・。

「俺、もう駄目もたねぇー」
キルアはその胎内の柔らかさと、情熱的なクラピカの締めつけに
早くも限界が訪れようとしていた。
「わ、私も・・あっああああっ」
クラピカはキルアに合わせるように激しく腰を揺らし、深く貪るように
彼に口付けた。
淫靡な音が狭い飛行船の室内に響く。
「あぁーーーーーーっ」
クラピカの嬌声が室内一杯に響き渡る。
それに合わせるようにキルアは彼女の中に全てを解き放った。


――何を言ったの?

――教えられないよ。

――教えて。

――ダメだよ。

―意地悪な男は嫌いだ。

―元々、俺のこと嫌いでしょ。

―・・・・・・。

君は俺の物、絶対離さない。

END