動く人の波、その中を額に包帯を巻いた男が歩いていた。
―――団長は獲物をひとしきり愛でるとすぐ売り払う・・
そして新しい獲物を探す
今のところこれといって欲しいものもない。
しかし何もないのもつまらないし、
旅団のメンバーたちもそろそろ一暴れしたいころだろう。
欲しいものを探す時には町を歩くに限る。
別にそこに売られているものが欲しいというわけではないが、
人々の会話や風を頼りに新たな情報を得ることがしばしあるからだ。
あたりの音に耳を傾けぼんやりと歩いていると、
向かい側から走ってくる少女に目を奪われる。
少女が横切った後も目がその姿を追い、気がつくと歩いていた方向を変えて少女に声をかけていた
「まって」
少女の腕をつかみ、早く動いていた足を止まらせる
「―――なにか用か?」
やや怪訝そうに振り向いた少女の顔に男は思わず息を呑んだ
日の光をうけ金色に輝く髪、薄い茶色の大きな瞳を映えさせる幼いながら美しい容姿―――
その姿に魅入り、男は動けなくなっていた。
「・・・すまないが私は急いでいるんだ。用がないなら手を離してほしいのだが」
しかし少女が話しかけても男は返事もせずただ少女のほうを見ているばかりで反応を見せない。
少女が手を払おうと腕を動かしてもその力が強まる一方で離す気配もない
「おいっ離せ!何なんだお前は!!」
その瞬間少女の目が紅く染まる
「クラピカー 何してるの?」
それと同時に少女の先を歩いていたと思われる女の声が遠くから聞こえふと我に返る。
その時手の力を抜いてしまい、瞬間少女は腕を抜き自分の手の中からいなくなってしまった。
紅い目・・・緋の目・・・いつだったか本で読んだことがある。
たしかルクタ・・いやクルタ族とか言う民族だっけな、
そういえば本を読んだ後少し興味を持ったんだっけ、忘れてたよ
男は額にまいてあった包帯を外すと目にも留まらぬ速さで走りその場から姿を消した。