「えーっと、んーっと・・・そのー・・・」
ゴンが言葉を詰まらせている。
「ゴンどうしたんだ?」
その様子に気がつき声をかけるクラピカ
「実はクラピカに聞きたい事があるんだ」
「どうした。あらたまって何を聞きたいんだ?」
「クラピカはなんでいつも男っぽい服装ばかりしているのかなって」
その言葉に顔色が変わる。
「ゴン・・・。いつ私が女だとわかったんだ」
「クラピカに出会ってすぐ!」
「言動や行動・・・服装・・・今まで疑われた事すら無かったのだが・・・」
「ミトさんと同じ匂いがしたんだ。女の人の落ち着く匂い。俺鼻がきくし」
「そうか・・・騙していてすまなかったなゴン・・・」
「謝らないでよクラピカ!でもなぜ女の人の格好じゃダメなの?」
「私は・・・そう私は・・・同胞の目を取り返す事を誓った時に
女である事を捨てたんだ。女である事は足枷にしかならないからな」
ゴンはいつもの屈託のない笑顔で言った。
「そっか、女の人って大変って事だね!」
その笑顔と答えを聞いて
(ゴンには女の事は難しかったかな。)
そう思いながらも先程までの緊張もとけて
「ああ、そうだな」
クラピカも笑顔で答えた。
「それじゃ、おやすみクラピカ!」
疑問が解決?して部屋に戻ろうとするゴン
「ゴン!」
クラピカはゴンを呼び止めた。
「どうしたの?クラピカ」
「私が女である事、内緒にしてくれないか・・・」
クラピカは申し訳無さそうに言った。
「わかった!クラピカがその方が良いなら俺は何も言わない!」
「ありがとう」
ホッとした表情になる。
「おやすみ、ゴン」
するとゴンが何やらもじもじしている。
「どうした?寝るんじゃなかったのか?」
不思議そうに聞くクラピカ
「・・・今日は一緒に寝てもらっていいかな?クラピカ」
恥ずかしそうにゴンは言った。
クラピカは困った表情をしている。
(秘密を守ってもらう手前もあるし・・・うーむ・・・)
「今夜だけだぞ」
「わーい!やったー!部屋に戻って着替えてくるね!」
嬉しくてはしゃぐゴン。
それを自分の部屋で待つクラピカ
(ゴンも一人の男、やはりこういう事になるのか・・・いやゴンに限ってそんな事は・・・否
男なんて皆同じだ!しかし・・・・・・やはり女である事など邪魔でしかないのか)
ひとり自問自答を繰り返していた。
元気良くゴンが戻ってきた。
「おまたせ!クラピカ」
それとは対照的なクラピカ
「あぁ・・・」
(どんな事をされるのだろうか・・・)
そんな事を考え呆然と立っている。
すると
「クラピカ!どうしたの!?はやく!」
先にベッドでゴンが待っている。
「ああ、今行くよゴン」
クラピカは意を決してベッドに。
ゴンはクラピカに体を寄せてきた。
(ゴンの体温が感じる。)
そして手を握ってきた。
「おやすみ、クラピカ」
その顔を見た時にクラピカは思った。
(私はなんて下衆な考えをしていたのであろうか。
今まで支えあってきた仲間。ゴンは仲間じゃないか。)
疲れていたのか早々と寝息を立てているゴン。
体を丸めてクラピカに寄り添うように。
「ムニャムニャ・・・ミ・・・ト・・・サ・・・ン・・・Zzz」
(ゴンの歳であれば母親の温もりが恋しくなるのであろうな・・・)
寝ているゴンを優しい女性の顔で見つめているクラピカ。
クラピカはゴンを優しく抱き寄せた。
(私にもまだ母性というものが残っていたのかな)
「ありがとうゴン」
小さな声で呟いた。