「っ…ん……」
「あ、だめだよキルア。始めはもっと優しく触ってあげなきゃ。
あとね、女の人はここが気持ちいいんだって」
「こ、こらゴンっ!そんなこと、教えなくても……うぁっ。あ、やめ」
「ほんとだ、おもしろいな。てかあんたこんな女っぽい声出せたんだ。いいね、そそるよ。
でもゴンに教わってってのなーんかムカつくんだよなぁ」
「えー仕方ないじゃん。キルア本当に知らないんだし。」
「けっ見てろよ。一回覚えたら絶対オレの方が上手くなるからな」
「そう?でも俺だって負けないよ」
「へぇ。じゃあどっちがクラピカをたくさんイカせられるか競争な」
「いいよっ負けた方は勝った方の言うことを一つ聞くこと!」
「望むところだ」
「バカっおまえら何勝手に……あぁ!!」
「―――じゃ〜んけ〜んポン!あいこでしょっ。あいこで……」
読書をしているクラピカの傍らで、ゴンとキルアは先ほどから熱心にじゃんけんを続けている。
なかなか決着がつかないようだ。
じゃんけんというのは動体視力と反射神経の訓練となるらしく
二人がそれを続けているのは別段不思議なことではない。
だがクラピカはどこか、いつもとは違うような感じを受けていた。
一言聞けば済む話なのだが、何故か嫌な予感がする。
「あ〜負けた〜〜」「っしゃ!じゃ俺後攻とった」
どうやら決着がついたらしい。ゴンがやたらとくやしがっている。
ようやく話しかけやすい雰囲気となったのでクラピカは尋ねる。
「二人とも、なんのじゃんけんをしてたん……」
だ、と続ける前にクラピカはゴンとキルアに緩く拘束されていた。
「……ゴン?」
状況が読み込めず、言葉が見つからない。
「覚えてないの?」
後ろにいるキルアがささやくように言う。
首筋に息がかかって、クラピカは無意識に肩をすくめた。
「何をだ。というか少し離れろ。くすぐったい」
言って振り払おうとするが二人はクラピカに纏わりついたまま離れない。
「ほら、前言ってたじゃん」
ゴンが明るく言うがまったく思い当たらない。
「だから何を」
嫌な予感というのがますます強まり焦るクラピカとは対照的に
ゴンとキルアは二人、とびきりの笑顔で言い放った。
「俺たちのどっちの方が上手いかの勝負!!」
聞いた瞬間頭の中が白くなったような感じに襲われたのは気のせいではないだろう。
同時に確かにそのようなことを二人が勝手に言っていたのを思い出す。
その時は反対する間もなく気絶してしまったのだっけ……ぼんやりと思って
次の瞬間クラピカははっと我に返る。
「おい、冗談―――」
「冗談じゃないから」
だろう?と問いかける前に答えられてしまった。
そうこうしている間に二人はクラピカの服を剥がしにかかっている。
「ちょっやめろ!私はそんなこと許した覚えはない!!」
慌てて静止の言葉を投げかけるがゴンもキルアもお構いなしに手を動かす。
「こら!離せ!!」
いよいよ暴れだしたクラピカを二人は器用に押さえつける。
「そっそんなに勝負をしたいのなら私ではなく他の者とすればいいだろう!?
私で遊ぶのはやめてくれ!!」
叫ぶように言うと、ゴンとキルアは急に手を止め真面目な表情でクラピカを見た。
ゴンが下からクラピカの目を捕らえる。
「あのさ、クラピカ。わかってると思うけど、俺たちクラピカのことが好きなんだよ?」
「そうそうそれがまず大前提ってゆーかさぁ」
「だから他の女の人だと意味ないんだよ」
「そういうこと。それにあんた……確かに許しはしてないけど拒否もしてないじゃん」
そう言われると反論できないのが痛いところだ。
自分はこの年下の仲間に、どこか甘いのだ。
何か頼まれたら、つい言うことを聞いてしまう。
「ねぇ、クラピカ。クラピカは嫌なの?」
ゴンがまっすぐと目を見ながら聞いてくる。
今もそうで、こんな風にあまりにも真剣な顔で言われてしまうと、拒否、できない。
「う……」
けれどだからといって承諾の言葉を自ら口にするのは今度はクラピカのプライドが許さない。
だから残る選択肢は沈黙しかないのだ。
そしてゴンとキルアはそういったクラピカの性格を十分に理解している。
「―――クラピカ」
唐突に呼ばれ、思わず振り向いたとたんにクラピカの唇はゴンにふさがれた。
「んん!……ふっ……」
ゴンはその姿とは裏腹に巧みに舌を動かし、口内の性感帯を刺激していく。
同時にキルアはさらけ出された小さな耳に舌を這わす。
二人の技術と、何より自分よりも年下の者にされているのだという事実に
クラピカは過剰に反応してしまう。
今まで少しでも脱がすまいと抵抗していた四肢の力が抜ける。
「はぁっ」
唇が開放されたときには普段はクラピカの身体の線を上手に隠している
蒼いクルタの民族衣装は横に投げられてしまっていた。
「じゃあ俺から行くね。クラピカ」
ゴンはそう言ってクラピカを優しく押し倒した。