キルアを取り戻そうと、ククルーマウンテンにあるゾルディック家に向かい、
執事室までクリアした三人は、コインゲームを終えてキルアが来るのを待っていた。
…三人は知らなかった。
執事室に趣味で取り付けられた隠しカメラに…
そして、そのカメラの向こう側でクラピカを見て、息を乱しながら舌なめずりしている者の事を…。
「…!!!」
クラピカは一瞬とてつもない悪寒に見舞われた。だが、それは一瞬の事でそんなに気にしなかった。
…すると、突然執事室の明かりが消えた!真っ暗でなにも見えない。
「早く電気を!」
と声が上がった。その声に遅れて電気が点いた。
ホッとしてレオリオが2人の方を見ると…ゴンの横に居るはずのクラピカの姿が見つからなかった。
「オイ…クラピカは?」
「え?さっきまで居たのに…。」
クラピカの名前を呼んでも出てくる気配は全くない。一体どこに消えたのだろうか…。
その頃、あのカメラの向こう側の姿はクラピカが居なくなるまでに消えていた。
電気が点くまでの時間、およそ30秒。その短い時間の中でクラピカはさらわれたのだった。
「ん…」
クラピカが目を覚ますと、明かりの付いたデスクが目に入った。
そして、そこに座っていたのは太った男だった。
クラピカは体を起こそうと必死でもがいたが、どうにも力が入らない。
その行為に気が付き、男がこちらに近づいてきた。
「目を覚ましたか?」
クラピカは不自由な体に鞭を打ちながら、男の顔を見た。
全く知らない男が側にいる。そう思っただけでも、身震いがする。
しかし、クラピカは自分の姿を見てもっと身震いする事になった。
パニックのあまり気が付かなかったが、やけに足がスースーする。
『まさか』と思い足と足をこすり合わせてみると、その感触は素足その物だった。
「足をもじもじさせちゃって…興奮した?」
クラピカは男の問いを無視して、今の状況を把握しようと必死だった。