時は春。花は咲きほころび、暖かい風が辺りを包み込む。
そんな中、ネオン=ノストラードは暇を持て余していた。

「あ〜〜〜もう、つまんな〜い… 何か面白いことないかな〜」
ひとりでいる自室のベッドに寝そべり、窓の外の桜を見上げる。
「占いもできなくなっちゃったし…」
ネオンはペンをくるくる回しながら小さなため息をつく。
その時、誰かが廊下を歩く音が聞こえてきた。部屋の前を横切る瞬間、少し開いたドアの隙間から金髪がちらりと見えた。
(あ、あのきれいなボディーガードさんだ。………そうだ!!)
ネオンは急いで立ち上がりドアを空けると、クラピカを呼び止めた。
「ねえ、あなた!ちょっとこっちに来て!!」
普段はネオンに声を掛けられることがないクラピカは、戸惑いを見せる。
「…私、ですか?何か御用でしたら侍女を…」
「違うのっ!あなたに用があるんだってば!!いいから来てっ!」
「…はぁ…はい」
特に急ぎの仕事がある訳ではない。ここで拒否してネオンが癇癪を起こすと面倒なことになるだろう
そう判断したクラピカは、素直にネオンへ従うことにした。

「さ、ここに座って」
ネオンの部屋に入ったクラピカは、椅子に座らされる。
「…あの、ボス。どんな御用でしょうか?」
「占いよ!あなたの運命、みてあげるわ!! もう暇で暇で、やることないんだもの。
 パパのお客さんにしてあげてたやつじゃなくて、生年月日とか手相とかタロットで総合的に占うやつね。
私、色んな占いができるのよ。すっごい当たるんだから!まずは生年月日と名前、あと血液型をこの紙に書いて!!」

(お嬢様の暇つぶしか…さっさと終わらせよう)
とりあえず言われたことを紙に書き、それをネオンに手渡す。
「えっと、クラピカ…。ふ〜ん……ああっ!!」
紙を眺めていたネオンは何かに驚き、声を上げた。
「な、何ですかボス、何か…」
「誕生日!!あなた、明日が誕生日じゃない!!」
ネオンは楽しそうに、目をキラキラ輝かせる。
(…ああ、そういえば今日は4月3日だったな。すっかり忘れていた。)

ピンと来ない様子のクラピカを無視し、ネオンは更に言葉を投げかける。
「ね!ね!!誕生日は彼氏と過ごすんでしょ? どこに行くの?ねえねえ、教えてよ〜」
(!!今、『彼氏』と言ったか…!?)
クラピカは、その中性的な外見や言動から男だと思い込まれることが多い。
マフィアの世界では男だと思われている方が都合がいいため、あえて女だと訂正することはなかった。
ノストラード家でも、センリツ以外の者には男として認識されているはずだ。

すっかりテンションの上がったネオンは、少しずつ前のめりになり顔を近づけてくる。
クラピカは『彼氏』といい言葉をスルーして返事をする。
「…明日は仕事ですので、予定は何も入っておりません」
「えええええ〜〜!!つまんなぁ〜い。誕生日くらい休んじゃえばいいのに〜
 こういう日に彼氏と会えないなんて、私なら耐えられないっ!!」
ネオンは心底がっかりしたように、落胆の声を上げる。
「……付き合っている者もおりませんので。」
「うっそだ〜!先月の初めの方、確か3日だったっけ?お休みとってたでしょ?
 その前の日に電話してるところ見ちゃったんだけど、その時のあなたの顔すっごく可愛くて、
 どこから見ても女の子だったもの。それまではキレイな男の子かなって思ってたけど。
 電話の相手、彼氏でしょ??」

(あの時、見られてたのか…)
建物の死角で電話をしていたため、誰にも見られていないと油断していた。クラピカは顔を赤く染める。
そして、その様子をたまたま見られたことで女だと断定されたという、自らの運の悪さを呪った。

「1日くらい休んでも大丈夫だよ!最近は大した仕事ないでしょ?パパの愚痴聞いてなだめるくらいじゃん!」
(その、使い物にならないノストラードの代わりに、外部とのやり取りをする仕事があるのだが…)
ネオンは、現在のクラピカの仕事がノストラード氏のお守りだけだとでも思っているようだ。

「よ〜し、決まり!!明日はクラピカ、お休みね!私が許すっ!!」
ネオンは1人で盛り上がり、ベッドの上でぴょんぴょん飛び跳ねる。
(はあ…こうなったら本当に休ませられるのだろう… しかし、せっかくの休みだ。さて、どうするか…)
クラピカの頭に、例の電話の相手だった男の顔が浮かぶ。1ヶ月前に会った時のヤツの笑顔が蘇った。
無意識に顔が緩む。ネオンは、そんなクラピカの様子をちらりと盗み見る。
(やっぱりすっごく可愛い…それに近くで見ると本当にキレイ…。よぉし…!!)
「ねえ、クラピカ」
ネオンは飛び跳ねるのを止め、ベッドの上に座り込む。手でちょいちょいと手招きをし、クラピカをベッドの淵に座らせた。
顔を耳元に寄せ、心持ち小さな声で質問をする。
「ね、彼氏とはどこまでいったの?」
「な…っ…!!」
思いもよらない質問をされたクラピカは動揺する。
「〜〜なんでボスに…そんな…」
「もうエッチしたの?」
クラピカの反応を尻目に、更に質問を浴びせる。赤くなったクラピカの顔は、更に赤く染まる。
「〜〜〜〜〜〜!!」
「ねえ、教えてよ〜。でも、そんな初々しい反応ってことは、まだしてないの?」
「わ、私は仕事がありますので、これで失礼します…っ」
すっかり動揺したクラピカは慌てて、腰掛けていたベッドから立ち上がろうとする。

ネオンはクラピカの服の裾を握り、立ち上がるのを引き止める。
「ちょっと待って。私、色んな占いが出来るって言ったでしょ?これからある占いをしてあげる。
 ……協力してくれないと、あなたが女だってみんなに言いふらしちゃおっかな〜
 あなたのこと、みんな男だと思ってるし、あなたもその方が都合がいいんでしょ?」
ネオンはクラピカの顔を見上げながらにっこりと微笑んだ。

クラピカは一瞬の間に様々な考えを巡らせたが、ここはネオンの言いなりになるのが最善だと判断した。
心の中で大きなため息をつきながら、再びベッドに腰を下ろす。

「……分かりました。どのような占いなのですか?」
「やった!!そうこなくっちゃ♪」
渋々といった様子のクラピカに対し、ネオンは満面の笑みを向ける。
「じゃあ、服を脱いでちょうだい!」
「…はい?……何で…?」
「いいから!占いで必要なのよ、早くしてっ」

(一体何を占うというのだろう…?
 まあいい、言う通りにしていれば、そのうち飽きて解放してくれるだろう)
ベッドに座るネオンの視線を感じながら、クラピカは身に纏っている衣服を手を掛ける。
分厚い上着とタートルネックのシャツを脱ぎ捨て、タンクトップとズボンの姿になった。

「これでよろしいでしょうか?」
「だぁ〜めっ!全部脱ぐのよ、全部。じゃなきゃ占えないわ!」
「!! ぜ、全部って…」
いくら同性とはいえ、全てを晒すのには抵抗がある。
大体、全裸になる必要があるなんて、どんな占いなのだろうか。
クラピカは段々不安になってきた。

「もうっ!! 言うこと聞いてくれないと、あのことバラしちゃうよ!ほら、脱いで!! 」
切り札を出されると、もう抵抗することが出来ない。小さく息を吐き、覚悟を決める。
再び衣服に手を掛けると、身に付けたものを脱ぎ捨てていく。
クラピカは生まれたままの姿になった。


ネオンは、恥ずかしそうに立つ、クラピカの裸体を凝視した。
「…わぁ…キレイ…!!」
思わず感嘆が漏れた。人体収集家であるネオンは、今までに様々な美しいものを目にしてきた。
そんな彼女でも、クラピカのような美しい裸体は初めてだった。

「透き通るような肌!それに、引き締まったしなやかな身体をしてるのね!
 それにそれに、足もすらっと伸びていて…ああ、後ろ姿も見せて!!」
興奮して顔を高揚させたネオンは、うっとりとしながら感想を口にする。

羞恥心から耳まで赤く染めたクラピカが、おずおずと口を開く。
「あの、占いは…?」
その言葉に、ネオンははっと我に返った。
(そうよ、焦っちゃだめ。ゆっくり楽しまないとね)

「そうね、占いをはじめよっか。まずはベッドに上がって座ってちょうだい」
指示をしたネオンは、チェストの引き出しから液体が入った小ビンを持ってきた。

「…それは…?」
「うふふっ これを占いに使うの。じゃあ、始めるよ…じっとしててね!」
ネオンは小ビンのふたを開け、中身の液体のクラピカの鎖骨の辺りに垂れ流した。
「!!!」
とろりとした液体は、胸の膨らみからお腹を伝って滴り落ち、ぴったりと閉じられた脚の間へと流れ込んでいく。
生暖かく感じられるそれは、クラピカの身体にねっとりとまとわりついた。

「な、何ですか!?これは…」
「これはいわゆる、ローションってやつ。で、今占ったのはあなたの性感ポイントについて!
 ローションの流れた跡や、滴り落ち方で占うの。感じやすいところとか性癖とか、いろいろ分かるのよ!!」

まさか、こんなことを占うとは。
クラピカは呆れた顔になり、楽しそうに話すネオンを見る。
「何、その目は?本当に当たるんだから!
 彼氏に教えてあげれば、あなたも気持ちいいエッチができるわよ?」

露骨な言葉を言われ、顔がカッと熱くなる。
「さ、結果を見てあげる!どれどれ…」
ネオンは近くに寄り、クラピカの身体に付着したローションの跡をじっくりと観察する。

「ふ〜ん。あなた、耳が弱いわね。
 それに、全体的にかなり感じ易いはずよ。あとは…」
「も、もう結構です!!」
聞くに堪えなくなったクラピカが解説を止める。
(なぜ自分もまだ知らない性癖を考察、解説されねばならんのだ…)

「もう聞きたくないの?
 ……じゃあ、実際に試しながら結果を教えてあげる」
「は?」

ネオンはクラピカの胸元に手を当てると、手のひらでローションを広げ始めた。
円を描きながらゆっくりと、徐々に優しく揉み込むようにして胸を弄る。
「ちょ、止めてくださ…あっ…」
緩やかな刺激に思わず声が漏れる。
「結果の通り!感じ易いのね。まだちょっとしか触ってないよ?」

胸を弄る手は休めずに、耳を舌で舐め上げる。
「!!っはぁ…」
舌が触れた瞬間、ぴくっと身体が震えた。
「耳も正解♪ ね、当たるでしょ?」

力の抜けたクラピカは、抵抗することができない。
ネオンは改めてクラピカを眺める。
「本当にキレイ…」
ローションでてらてらと光る2つの控えめな膨らみ、
その先端に乗る桜色の突起は、光輝く宝石のように思えた。

指の腹を乳輪に押し当て、突起の周りをなぞるようにして滑らせる。
ローションが指の動きを円滑にする手助けをする。
「ほら、クラピカ、ちゃんと見て!
 乳首が段々ツンとして、固くなってきたわよ。気持ちいい?」
「ボスっ…やめっ…ぁ…っ」
指の先で尖った先端を押すように、クリクリといじる。

「…んっ…ぁ…っ」
クラピカは思わず漏れそうになる声を、必死に抑える。
「あっ!我慢しないで声出してね。
 これも結果に出てたんだけど、あなたは相手を煽るようないい声を出すから」
そう言いながら、2本の指先で先端を擦り上げる。

「…っ…くっ…」
そんなことを言われたら、意地でも声を漏らしたくない。
クラピカは強い刺激に耐えながら、懸命に声を噛み殺す。

「んもう!声抑えないでよ!!聞きたいのに〜
 …まあいいわ。これから声を出すのを我慢出来ないくらい、気持ちよくしてあげる♪」

ネオンは、軽く立てられたクラピカの膝を割って広げさせた。さらけだされた秘部をまじまじと眺める。
ローションと自身から溢れ出た蜜が混ざり合い、滴り落ちていた。
「わお!クラピカすっごく濡れてる。そんなに感じちゃった?
 溢れ出てシーツに染みてるじゃない。私、こんなに大量のローション流してないよ?」

(好きでこんな状態になったのではない…!!)
歯をぐっと食いしばる。
ネオンの率直な言葉と舐め回すような視線は、クラピカへの辱めとなった。
「もう止め…!!ぁあっ!」
ネオンの指が秘部に触れる。いきなり敏感なところに触れられて、思わず声が漏れた。
「そう、その声よ。もっと聞かせてね…」


ネオンは服のポケットをごそごそ探り、何かを取り出した。
「今度はこれを使うよ!」
手にしているのはローターだった。スイッチを入れると、ぶるぶると震動し始める。

ネオンは秘裂の上の方にある芽を探り出し、ローターを当てる。
「ひゃ…あ…あぁっ…!」
今までとは比べものにならない、強い刺激が身体を走る。
後ろに置いて上体を支えている腕は、ガクガクと震えだした。
崩れ落ちそうになる身体を必死に支えながら、快楽に飲み込まれまいと懸命に耐える。

「あっ…ボ…スっ…はぁ、あっ!!」
「ああ、いい声…。あなた、とっても素敵よ」
敏感な芽にローターを当てたまま、指を中心に忍びませる。
ローションと蜜が手助けし、ネオンのほっそりとした指は、すんなりと侵入を果たした。

内部で指を巧みに動かし、占いで出たポイントを探り当てる。
「いい?クラピカ。ここがあなたの感じやすい場所よ。ほらっ」
「あっ、ふぁ…あぁっ!!」
「ね?いいでしょ。ほら、ここもよ」
的確な指の動きとローターの刺激で、クラピカの意識は朦朧としてきた。
くちゅくちゅと響き渡る淫らな音と甘い喘ぎ声が、自身から出ているものだとは思いたくなかった。
ネオンの声が遠くに聞こえるが、何を言っているのか聞き取れない。

「クラピカ、聞いてる?ねえ?
 ……もう限界かな。いいよ、イカせてあげるっ!」
リモコンでローターの震動スピードを上げ、先ほど指で探り当てた内壁のポイントに、強い刺激を与えてやる。

「あんっ…はぁ、あっ…ああぁっ…!!」
全身を電気で貫かれたような衝撃が走る。
悲鳴のような高い声を上げ、ベッドに崩れ落ちた。

絶頂に達したクラピカは、脱力して横たわったまま動かない。全身を使い、荒い呼吸を繰り返す。
ネオンは恍惚とした表情で、その様子を眺める。
「すっごく、すっごくキレイだったわ…
 全身が上気してほんのり桜色で…金髪が乱れて色っぽくて…
 達するときの表情も声も、本当に素敵…!!」

(想像以上…最高級の素材だわ。すっごいの発掘しちゃった)

ネオンは、クラピカの耳元に顔を寄せて囁く。
「明日は彼氏と、素敵な誕生日を過ごしてね。さっきみたいな色っぽい声で誘って、初エッチしちゃいなよ!
 で、さっき占ってあげたことを、ちゃんと教えてあげるのよ」

依然、脱力して息が整わないままのクラピカだが、ネオンの声は届いたようだ。
形のいい眉が微かにしかめられる。

(だってあなたが『男』を知ったら、もっとキレイになりそうだもの。
 それにもっともっと、素敵な表情をするようになるはずよ)

「あとね」
クラピカの頬に片手を添える。
「今回は占いの結果を全部教えてあげられなかったから、また今度続きを教えてあげる。
 もちろん実際に試しながら、ね♪」
視界に映ったネオンの目は、妖しく爛々と輝いていた。手で頬を撫でられる。
ネオンは次回を想定しているのだ。背中に悪寒が走った。

占いはもう、こりごりだ。心の底から、そう思う。
繰り返される呼吸に、大きなため息が混じった。


[ END ]