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「六年生の子守唄の段」舞台裏<前>(六年生) 「あ、おーい。いさっくん、留!」 「こへ」 「小平太」 学園が休日のある日。 天気もいいし、町にでも行くかと話し合い、外出許可証を貰いにきた六年は組善法寺伊作と食満留三郎に声をかけたのは六年ろ組七松小平太だった。 「なんだ二人してどこか行くのか?」 「うん、天気が良いから町にでも行こうかなって…」 「そういうお前も外出許可証を取りにきたということはどこか行くのか?」 留三郎の問いに小平太が満面の笑みで頷く。 「ああ。きり丸のアルバイトの手伝いで子守をしにいくんだ」 「こへ一人で?」 「始めはそのつもりだったんだけど文次郎と長次も手伝ってくれるから三人でいくんだ」 「そうか、大変だな。」 「頑張って」 「うん、ありがとうな。じゃあ俺行くから」 そう言って走っていく友人の後ろ姿をを伊作と留三郎がまるで父母のように見送る。 「きり丸の手伝いか〜。こへ偉いじゃん。」 「そうだな、しかも子守りなんて大変なのに」 「そうだよね、子守りは本当に…」 …。 ……。 …子守り…? どうやら脳があり得ない言葉を拒否していたらしく、その言葉が浸透するまでの数秒間沈黙が続いた。 そして……―― 「「子守!!??」」 言葉の意味を理解した途端お互いに顔を見合わせる。 「こ、こへや長次や文次郎が子守?」 「全く想像がつかないな」 小平太が去っていった方に視線を再び向け直し、伊作が「大丈夫かな?」と心配そうに呟いた。 口には出さないが留三郎も同じ気持ちだ。 この場合、心配する対象は子ども達、になるが。 「付いていってみるか?」 「え?」 その言葉に二人が声のした方へ振り返ると六年い組立花仙蔵が腕を組み、口端に笑みを浮かべていた。 「仙蔵!」 「…仙蔵」 友人の名を呼ぶ留三郎の声が少し固いのは気のせいだろうか。 「そんなに心配なら付いていってみればよいだろう。どうする行ってみるか?」 楽しそうだしな、と付け足す仙蔵に伊作と留三郎は顔を見合わせたあと、「…こへ達だけじゃ心配だし…行ってみようか」と伊作が付け足した。 留三郎も小さく頷く。 「よし。なら着替えてからまた集まろう」 仙蔵の言葉に二人が頷いた。 続...? +あとがき+ 一応、この後「子守を終えて帰る小平太達と合流する伊作達」という流れで書いていた気がします。 何この中途半端さ! だって6は二人と仙蔵が出なかった、出なかったんだよ〜(泣) ってか仙蔵までついに不運に…!! (旧雑記にて2008年8月15日掲載) |
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