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マシマロ

〜 やつあたり文化論 〜

収録作品

『ゴルフ嫌い』 『フォニイ落語』 『スカトロ漫画』 『無一文文化人』 『無一文文化』 他多数 全48篇


『 なにもおもいうかばない 』

次男坊

だから白い。黒くないというのがみそなのだが、そんなことはどうだってよろしい。

実を言うと、この世界はわたしが創造した。わたしは神だった。

しかし、今は違う。違くなって、その権利を奪われてはじめて創造に着手したというわけだ。

小石。

そこから始めなければならないというのはある種の約束事であって、無論わたしもそれに従う必要があった。世界の核として、その小石はそこに存在するわけだが、小石だから誰かに気付かれる心配はほぼ無いといえる。

カーテン。

これはほんの思い付きだった。無限空間が思考に及ぼす影響が思いのほか大きく、それを軽減するためのパーティションが必要だと考えたのである。この段階で政治的、思想的な意味合いを含む境界、たとえば国境などをもうけるのは危険であったし、壁だといささか仰々しすぎてかえって思考の妨げになりうる。やはりカーテンくらい素材も印象も軽いものがよい。いつでも開けられるという安心感もあった。

しかしながら、少し調子に乗りすぎたらしい。四方をカーテンで囲んでしまうと、また別の問題が浮上した。無限に広がる真っ白な世界の、点にも満たない一画にわたしは閉じ込められてしまった。四畳半ほどのスペースだろうか。

カーテンを開ければいいと思われるかもしれないが、考えてもみてくれ。カーテンを開けてそこに別世界が広がっていたらどうだろう。それは尋常でない恐怖である。万に一つもそんなことは起こるはずがない。しかし、それならなぜ思い付いた。火のないところに煙が立たないように、過去と一切隔絶された現在というものも存在しない。

無から有を生み出すのは神だけが為せる業なのだ。もしそれが起こってしまったら、わたしはわたしの意思の及ばない何かの存在を意識せざるを得ないではないか。だから恐怖なのだ。

原稿用紙。

これはライトノベルを書くつもりで用意した。環境が整っていないので手書きになるのは致し方ない。いまはまだ構想の段階だが、いずれどこかに発表できればと淡い期待を抱いている。

ちなみに天地創造系の物語を書くつもりはない。もっとも身近な題材を主題に据えたがらないというのは初心者が陥りやすい罠だというから、これがそうなのだろう。それをやるのは集大成としてだ、と意気込むのも多分にそれであろう。

いくつかキャラ設定というのを考えてみた。明らかな模倣が三人、多少オリジナリティを持たせたものが二人、この五人をメインに物語は展開し、おもしろおかしく、終盤の山場以外は極力シリアスになり過ぎないように。まあ、どうなるのかは書いてみないことには分からない。

人間。

だからこれは小説の中でやればいい。いまは三次元に興味が持てないのだからしようがない。