鬼畜大魔王ゾーマ 前編
大魔王ゾーマの降臨。
それは皮肉にも、勇者達が打倒魔王バラモスに心魂を傾け、漸う退治たところだった。
江湖は再び悲鳴に溢れ、新たな脅威に心胆を寒からしめるには十二分であった。
精霊ルビスによって創られし国、アレフガルド。その全土を混沌の闇で覆い尽してしまうほどの巨悪に、勇者達は苦戦を強いられる。我先にと勇んでアレフガルドに乗り込んだ勇者達は、まるで初めから存在していなかったかのように音沙汰を失くす。勇ましい者の消失は、上の世界にまでも暗雲を立て込めさせるに至った。
そして、ついにバラモスを打ち倒した勇者一行が立ち上がる。ゾーマの唯一の瑕瑾である光の玉。これでゾーマの暗澹たる闇の衣を剥ぎ取れば、必ずや勇者達にも勝機が見える。
しかし、大魔王の強圧は勇者達の想像を遥かに絶していた――。
「さて……残余は御前のみとなったな」
独り、冷え切った石畳に尻餅を付き、顔色を失う女僧侶。
これまで幾度と無く血糊を啜ってきたであろう、猩々緋の外套。それを纏う蒼色のおぞましい妖異こそ、世を跋扈せんとするゾーマその人であった。
「お願いです……もう、許してください……」
僧侶は擦れた声を震わせ、ゾーマに懇願する。
大魔王に慈悲を求めるなど、東西を弁えない暗愚のするそれだ。しかし、魔法の詠唱すら儘ならないこの身体では、もはやこの場から離れることだけが唯一の望みと化す。
その全てを噛み分けている大魔王は、血塗られた牙が見え隠れする裂けた口元を吊り上げた。
「許せ、か。我が欣快は衆生の艱難と哀切の瞳。それを呑むことは、出来ぬ」
まるで一言一言を僧侶に刻み付けるかの如く、大魔王は濁声を響かせた。そして身を翻すと、煤けた玉座へ緩慢に腰を落ち着ける。その視線は虚脱したままに項垂れる僧侶ではなく、磔にされた勇者に向かい始めていた。
「勇者よ、我が従僕バラモスを滅ぼしたことは驚嘆に値する。だがそれに現を抜かし、この大魔王を膺懲せんとする邪心――あまりに愚鈍」
まるで塵芥でも見るかのような蔑視を勇者に放つ大魔王。しかし、その勇者は額から血を流したままに意識を失っている。数々の魔物を屠ってきたであろう勇者の宝剣は、大魔王の鮮血一つを付けぬまま、無残に石畳へ横たわっていた。
「勇者よ、概ねとしては衆の最後の希望である御前をこのまま殺すのは勿体無い。故、貴様の首を衆への見せしめとしよう」
大魔王は、さも日常会話をするかの如く流暢に言葉を並べる。しかしそれは無論勇者の耳に届くことは無く、呆けた僧侶を覚醒するに至った。
「そ、そんな……! お願いします、その役目ならば私が――!」
「御前だけでは、見せしめにならぬだろう。勇者が生きていると誤謬されては堪らぬ」
言い、大魔王はわざとらしく肩を竦めて見せた。
その飄々とした態度とは裏腹に、大魔王は徐々に勇者の首を切落とすことだけを目論み始めている。それが僧侶には何物にも変え難い焦燥を生み出していた。
「な、何でもしますから! 私が魔王様の仰ることを、何でも致しますからっ!!」
捨て身の発意。だがそれも、大魔王の眼鏡に適う保証は無い。それどころか、もう自分は用無しだと釘打たれているのだから、僧侶は既に心奥で勇者に詫びてさえいた。
しかし、大魔王の胸中は意外な形で逸れていく。
「ふん、魔王様か……。仲間を助ける為ならば命をも投げ打つ――。下らぬ、実に下らぬわ」
大魔王は苦虫を噛み潰したように言うと、僧侶の哀願の眼差しを撥ね退けるが如く長大息を吐き出した。
そして、たった一言を僧侶に投げ掛ける。
「脱げ」
「え……?」
この血腥い空間には、あまりにも不釣合いな言葉。僧侶は覚えず間の抜けた声を出すも、大魔王は口を一文字に結んだまま僧侶に深紅の眼差しを放ち続けている。
「魔王様は私に……衣服を脱げと、そう仰るのですか……?」
「そうだ」
言い終えるや否や、語尾に覆い被さるようにして大魔王の痛烈な語気が僧侶を襲う。
大魔王が何を考えているかは定かではない。だが、一つでもその意に背くことを成した場合は――。
僧侶は背筋を凍り付かせ、自己犠牲の真っ只中に身を置くのだった。
「では……脱ぎます……」
僧侶のその言葉は、少しでも脱衣するまでの時間を稼ぎたいが為の僅かな抵抗でもあった。しかし、そこから先の沈黙の一切は許されない。僧侶はあまりの恐怖、羞恥に悲涙すら湛え、自らの僧服に手を掛けていった。
「勇者を救う為ならば、恥をも捨てるか……。その身体、既に男の眼で犯されたか?」
「なっ……そんなことありませんっ!」
大魔王の鉄面皮の問い掛けに、僧侶は思わず声を荒げてしまう。しかし何を思ったか、その様子を見て大魔王は裂けた鰐口をにたつかせる。
僧侶はそこで我に返り、赤恥に顔面を真っ赤に染めながら、ゆっくりとまずは乳房を露出させた。
僧侶は今、大魔王の下僕も同じ。反抗的な態度は自らが最も望まぬ結末へと移転させる。大魔王はその全てを解した上で、嗤って見せたのだ。
「淫処を晒させるは、心証を害させるかな?」
「いえ……そのようなことは……」
底意を押し殺し、上辺だけの言葉を連ねる僧侶。だが大魔王の言葉に急かされるような形となり、ついに僧侶は肌着全てを脱ぎ捨ててしまう。
額から爪先まで雪白の肌はどこまでも続き、潤沢の双丘は見る者を魅了する。しかしその白皙の人を眼前にしても、大魔王は眉一つぴくりとも動かしはしなかった。
「では無垢なその身体、ゾーマに見せてみよ。陰唇を広げるのだ」
「い、陰唇……?」
「分からぬのか? 分かっていて惚けるつもりならば――」
「わ、分かりました! お、お願いですから、どうか……」
いつ涙をぼろぼろに垂らして哀咽するかも分からない、あまりに不安定な心理状態。そんな中で、大魔王は僧侶に陰部の裸出を求めてくる。
僧侶は竦み上がった全身を懸命に鞭打ち、大魔王の目の前で華奢な脚を開いていく。その緩徐の動きが、皮肉にも返って男の欲望を逆撫でする結果となる。だがゾーマは、やはり退屈な喜劇でも見るかのようにそれを見下げていた。
「さあ、どうした? 広げて見せよ」
「は、はい……」
僧侶は自らしなやかな両手指で陰部に手を掛け、その事細かを大魔王に露出させる。すると、蚊の鳴くような音ではあるが、微かに水音が跳ね上がる。
僧侶はぎゅっと瞼に力を入れた。このような淫猥な行為を強要させられているというのに、僅かにでも愛液で湿らせている自分を恥じたのだ。
そして膣はおろか、尿道口すら容易に大魔王に捉えられ、僧侶は自ら招いた官能に脳を溶かされる感覚に苛まれる。
「自慰はするのか?」
「自慰なんて――!」
言い掛け、僧侶はそれ以上の怒声を抑える。
自慰なんてしない。そう言ってしまえば、ついに大魔王の機嫌を損ねる結果になりかねない。僧侶は、見えない強迫観念に心中身悶えた。
「するのかと問うている」
「……はい、致します」
「一昼夜で何度回を重ねる?」
「そ、そんな……!」
執拗な大魔王の陰湿な問いに、思わず僧侶は縋るような眼差しを向けてしまう。だが大魔王は、彼女を視線ですら弄んでいるかのようだった。
「に……二回です……」
「ふふ……ふはははははは!」
神聖な女僧が、毎夜淫靡な妄想に花開かせ、自慰に耽っている。その事実は、大魔王の愉悦を煽るのには十分だった。
しかし僧侶は、どのような言葉で責め立てられようが、どのような行為で辱められようが、大魔王から逃れる術などある筈が無い。彼女はただ、大魔王の破顔を唇を噛んで流し見る他無いのだ。
「僧侶よ、ゾーマの為ならば如何様なことも成すと申したな?」
「は、はい……」
「ならばこのゾーマに如何な辱めを受けようが、御前は受け入れなければならん」
これまでに無い歪な喜色満面を浮かべるソーマの背後から、おどろおどろしい暗紫の触手が幾本も姿を見せる。その先はさも男性器を模しており、泡立った粘液をしとどに滴らせながらうねっていた。
「あ、ああ……!」
「己の言葉を呪うが良い」
言い終えるや否や、一本の触手が粘液を散らせながら僧侶の陰部へと肉薄する。それはまるで吟味するかのように先端をゆらゆらと妖しく揺らし、愛液の分泌を煽った。
「いやぁ……」
触手は陰部と最早目と鼻の先。だが彼女に出来る抵抗は、あらん限り腰を引くという他愛の無いものでしかない。しかしそれでも、触手はその動きに合わせるかのように陰部から離れずにいた。
「うぅ……ああ!」
「脚は広げたままにせよ。抵抗は許さぬ」
触手の亀頭部分が、僧侶の小陰唇を刺激する。その刹那、僧侶は我知らず脚を閉じようとするも、すぐさま大魔王は早口にそれを制する。
僧侶はただ触手の淫らな動きに身を預け、卑猥な水音を嫌でも耳に吸い込まされるのだった。
「ひぅ……はぁああ……」
小陰唇を円を描くかの如く柔らかに刺激され、僧侶は艶っぽい溜息を吐き出す。
触手の粘液に媚薬効果でもあるのか、僧侶は瞬く間に表情を蕩けさせていく。
「ふん、さながら娼婦のようだな」
言うと、更に一本の触手が僧侶の唇に照準を合わせる。それは野獣のように僧侶の口を蹂躙せんとするも、既に僧侶に抵抗の余地など残されていなかった。
「んぐっ……! おごっ、うむぅっ!」
それは唇と奪うと言えるほど生易しいものではない。まさに咽喉を犯していると言うに相応しい、酷烈極めるものだった。
「それは満足しない限りお前の喉から出はしない。苦しいならば舐めて刺激し、吐き出すが良い」
僧侶は言われるままに、口内で下から舐め上げるように触手を愛撫する。すると、宛もその触手に神経でも通っているかの如く、びくびくと痙攣をし始める。僧侶は触手が弱っているのだろうと察し、舐め上げる速度を徐々に上げていく。
「うぅ、んぅ……!」
しかし、下半身を牛耳る触手は小陰唇だけでは飽き足らず、膣口を拡げるようにして僅かなインサートを繰り返してきた。されど男性経験の無い僧侶にとってはこの上ない刺激となり、口内の触手を悦ばせるまでの障害となっていた。
「どうした。喉を犯されていては苦しいであろう? もっと丹念に舐めてやることだ」
「ちゅ……じゅるる……」
言われ、僧侶は触手の粘液までも剥ぎ取るようにして亀頭全体を扱き、舐めしゃぶる。
己の快感を懸命に受け流し、ただただ喉を犯し続ける触手を悦ばせる。しかし自身の身体はどうしても言うことを聞かず、陰核を微かに擦られただけで面白いように腰が砕けてしまうのだった。
「んちゅ、じゅぽ、じゅ、じゅ、ぐじゅる……っ」
このままでは全神経を陰部に奪われてしまうと粟立った僧侶。口端から粘液なのか唾液なのかも分からないそれをはしたなく垂らしながらも、彼女は口淫の動きを激しくする。触手もそれと同期するかの如く、電気ショックにでも当てられたかのように己をひくつかせた。
終焉を悟った僧侶は、亀頭を一気に吸い上げ、触手の愉悦を煽る。するとその瞬間、亀頭の先端から勢い良く何か液体が迸った。
「んむぅうううっ!?」
突如喉奥に大量の液体を叩き付けられ、僧侶は反射的にそれを咳き込みながら吐き出す。僧侶から飛び出したそれは、まるで男性の精液を思わせるものだった。
触手から吐き出された白濁は、むわりと蠱惑的な臭気を漂わせ、僧侶を更なる快楽へと誘っていた。
「初めてにしては上出来だ。ゾーマの触手を悦ばせた旨、礼賛しよう」
僧侶は息を荒げたままに尻餅を付いて割座するも、残った触手は膣を叩き続けている。
すると、大魔王はすっと彼女にごつごつとした掌を見せる。それを合図とし、うねっていた触手達は一斉に僧侶の肢体に巻き付いていった。
「い、いやぁ! 離してください!」
「今更己の多淫を否むか? 言ったであろう、初めてにしては出来過ぎているのだ。それだけ御前は、淫猥な女なのだよ」
「違……はぅぅ……」
否認しようとするや否や、触手が蛇の如く彼女の乳房を締め付ける。そしてその亀頭部分が花弁のように開き、ぷっくりと膨れた薄紅色を吸い上げた。
「やだぁ……乳首吸わないでぇ……」
悶々とした淫らな空気は、毒煙さながらに僧侶の精神を冒していっていた。
たわわな両丘は痕が出来るほどに締め上げられ、陰部は二本掛りで弄ばれてしまっている。そんな状況の中でも、僧侶は確実に享楽を感じ取っていっていた。
「ここまで愛液を垂らしておれば、挿入も容易かろう。ゾーマの望みを受けよ、僧侶よ」
「ひぎっ……あああああっ!!」
膣内を触手に処女膜ごと突き破られ、僧侶は咆哮にも似た絶叫を木霊させる。それに同調するように、大魔王は逸楽の笑声を上げたのだった。
「くく、憐れよな。人間の男に捧げたかったのであろう? 例えば……その勇者にでもな」
言い、大魔王は勇者に流し目、口元をにたりと歪ませた。
「ゆうしゃ……さまぁ……」
総身を押し潰さんとする喪失感に打ちひしがれながら、僧侶は独り暗涙で頬を染める。しかしその頬の温もりさえも、先の触手の汚液で穢されてしまうのだった。
「あぐっ! あっ、ああっ、ひぅうう!」
処女喪失だけでは飽き足らず、触手達は尚も貪欲に僧侶の身体を貪る。
聖女であった証と淫らな愛液は混じり合い、歪な桃花色が出来上がる。それを歯牙にも掛けない触手は自身も液に滑らせ、抵抗の出来ない僧侶の恥穴を突き上げる。卑俗なその動きは、処女血とも愛液とも取れぬそれを無機質な石畳に飛び散らせた。
「この勇者も罪深い。仲間が悲痛な叫びを上げているというのに、こうも目覚める様子が無いとは」
肉と肉が打ち付け合う下卑た音を愉しみながら、大魔王は脂下がる笑みを浮かべて勇者から目を外そうとしない。それは勇者の酸鼻極める姿に優越感からか、淫らによがり狂うこの僧侶を奪い取った征服感からなのか。大魔王は只管に満足気な表情を崩さない。
「はぁあ……はぅん、ひぁあ……!」
双丘を巧みに愛でられ、破瓜の痛みも消え失せかかっているのか、僧侶は徐々に喘ぎ声を甘美なものにしていく。
何者も触れたことの無い神聖な身体は、ただ我が儘に人外に蹂躙される。その人道を越えた淫靡なその責め苦に、僧侶が堕ちるのは道理に沿ったこととも言えた。
「おお、美しい表情をしておるぞ、僧侶よ。純潔の喪失を嘆きながら、享楽にもがき喘ぐ。素晴らしい、素晴らしいぞ……」
「あはぁ……ひぅ、ひゃぁ、あ、ああ……っ!」
もう一本の触手が淫核を吸い上げ、僧侶は意図せず悦びの嬌声を放ってしまう。それに気を良くしたかの如く、触手はその花弁で淫核を執拗に転がしてくる。それと同時に乳頭の愛撫も激しさを増し、僧侶はオルガズムの一途を辿るのだった。
「絶頂が近いか、僧侶よ? ならばその痴態、ゾーマに魅せておくれ。ゾーマを悦ばせよ、僧侶よ……」
大魔王の言葉に刺激されるように、触手達はどんどんと行為を激越させる。水音はさらに淫猥を極め、陰部を責める触手は秘肉を捩じ上げるように畳み掛けた。
「あひっ、い……いく、いぁ、はぅぅ……! も、もうだめぇ、らめ……ひぁあああっ!!」
触手が最奥、子宮口にその亀頭部分を叩き付けた瞬間、僧侶の身体がびくびくと跳ね上がる。みっちりと触手に埋められている筈の淫穴から愛液が噴き出し、僧侶は恥辱と快楽で意識を手放し掛けたのだった。
だが、突如として大魔王の鰐口から飛び出した舌が愛汁滴る尻を舐め上げ、僧侶は意識の覚醒と共に淫声を上げた。
「なんと濃厚な蜜よ……」
大魔王はごつごつとした舌で舐め取った雫を口に含むと、狂気的とも言える感奮の溜息を吐き出す。
しかし未だ精を吐き出していない触手達は、物足りぬとばかりに再度僧侶を責め立てる。
「ま、まだイッてるのに……! これ以上されたら、アソコがおかしくなるぅ……!」
「それで良いのだ。さあ、わしの腕の中でもがき喘ぐが良い。そしてその思いの丈をゾーマに聞かせておくれ」
大魔王が恍惚の相好で腕を広げると、丁度僧侶の性器が目線に重なるところまで彼女の身体が持ち上がる。僧侶は小さくひっと呻くも、その見開かれた双眸に一層陰部を濡れそぼらせた。
頭は拒否し続けているのに、体はただ快楽を求めて腰を振り乱す。僧侶はその差異に困惑しつつも、徐々に本能の赴くままに理性を掻き消していっていた。
「未だ充足せぬ触手が涎を垂らしておるわ。その細指で手淫するのだ、僧侶よ」
「は、はいぃ……」
僧侶の下に次々と集結しつつある触手に、僧侶は息も荒いままに自ら手を掛けて前後に扱く。その間も淫襞が捲れ上がるほどに抽送は続き、僧侶はオルガズムが永続しているかのような錯覚に陥っていた。
「だ、だめ……。ゆうしゃさまは苦しんでるのに、私だけなんて……」
「僧侶よ、悦楽を言の葉に乗せよ。どうせ勇者は聞いておらぬのだから」
段々と呂律の回らなくなる僧侶に、大魔王は誘引の言を妖しく囁く。まるで僧侶の理性の皮を一枚一枚剥ぎ取るかのように執拗に、そして大魔王はそれに愉悦さえ感じていた。
濁った目玉をあらぬ方向に彷徨わせながら、大魔王は次の触手を僧侶に向かわせる。それは既に隙間無く埋められた彼女の性器に真一文字に飛び掛っていった。
「ひ、あ、あ、あぁあぁあああっ!!」
純潔を失ったばかりの膣に、触手は容赦無くその亀頭を押し込める。既に子宮口にまで到達しているもう一本の触手も、まるで膣の二本挿しを望んでいるかのように膣をぐりぐりと拡げんとしていた。
「ひぁあああ!! に、二本なんて、あはっ、入らないぃい! あへぇっ!!」
「おお、おお……。御前はなんて愛らしいのだ。その淫裂にゾーマの触手を幾本も宿さんとするとは――」
僧侶は反射的に膣をぎゅっと締め上げて二本目の挿入を阻止しようとするも、それは既にストロークを強めている触手から得る快感を増幅させてしまう。快感と焦りの合間を縫うように、二本目の触手は微かな空隙を作り出さんとする。
そして、やがてそれは鈴口を埋め、亀頭全体すらも膣に包まれようとしていた。
「も、もうだめぇっ……! ど、どうにかなる、どうにかなっちゃうぅ……!」
「力を抑えよ、僧侶よ。我が触手を受け入れるのだ。その身を使い、ゾーマを満たせ」
大魔王が言わずとも、僧侶は伸張の痛みに感覚が麻痺しつつあった。それでも快感だけは身体を支配し続け、二本目の挿入を許容するかのように愛液が溢れ出る。
「もうっ、これ以上っ……!! ひ、うぐっ……ぁああああああっ!!」
ずぶりと、生々しい水音が木霊する。二本目の触手の亀頭部分が完全に膣に埋まり、それはすぐさまピストン運動に乗り出す。
最早僧侶は、激痛と快楽を混同しつつあった。
「おお、この状況でも触手を締め上げるというのか……! 更に責め立てよ、総ての触手の精をその総身に宿すのだ!」
「な、膣内で擦れてぇ……! だ、だめだめぇ! いぐっ、いっちゃうぅうううっ!!」
防衛本能からか、過剰な享楽からか。僧侶の膣は痛いほどに狭まり、触手の射精を促す。
僧侶は白目さえも剥いて触手に身を任せ、激しい腰の動きに只管の悦楽を浮かべた。
「僧侶よ、その身に我が精を刻め――」
瞬間、総てが爆ぜた。
手淫されていた触手は彼女の端正な顔を穢し、膣を抉る触手は彼女の体内に白濁をあらん限りに吐き出すどころか、溢れ出た精液で下腹部までも白に染め上げた。
「あ、ひぃ……あ、ああぁ……」
役目を終えた触手は、ごぽりと卑俗な音を響かせて膣から自らを抜き出す。まるでその形を覚えてしまったかのように開き切った膣からは、だらだらと涎のように白濁が垂れ流されていた。
「美しい、美しいぞ……」
言いながら、瞳に光も灯っていない僧侶の頬をその歪な舌で這いずり回す。
そして、その口の切っ先から流れ出る唾液を跡形も無く舐め上げた。
僧侶は大魔王の思うままに穢された。
しかし、大魔王の宴は、未だ序章を幕引いたに過ぎなかった――。
2010年 3月 30日
瓦落多