[1032]: ゴーストマスター 
                                                                                             2003/04/05(土) 22:48:12 
 続きです。いよいよ男の子の正体が明らかに

 男の子は泣いていた。いや、泣いているように見えた。
 雨水が涙のように、男の子の目からポロポロと流れていく。
 男の子は、目の前に落ちているヨマワルドールを見る。
 生きるはずのない人形が泣いているかのように雨水が流れていく。
 「悲しいよね。」
 座り込み、ヨマワルドールに話しかける。
 「みんな、捨てられたんだね。」
 辺りの人形達を見る。雨が地面に叩く音は、人形達の返事のよう。
 「おいでよ。一緒に行こうよ。」
 男の子は立ち上がり、両手を大きく広げる。
 すると、人形達は一斉に黒いオーラを放つ。
 やがて人形は宙に浮かび、恐ろしいうなり声を上げる。
 そして、人形はゴーストポケモンになった。全ての人形が。
 そのゴーストポケモン達は背伸びをするかのような声を上げる。
 ヨマワル、カゲボウズ、サマヨール、ジュペッタ。
 全てが人形から生まれた特殊なゴーストポケモン。
 捨てられた人形の魂。それが彼らを生んだ。
 「みんなで行けば楽しいよ。仲間だね。」
 にこりと、楽しそうに笑う男の子。彼の隣にはジュペッタが浮いていた。
 このジュペッタは、少女が捨てたヨマワルドールから出たもの。
 「…そうか。君を捨てた子はハルカってんだね。」
 ジュペッタの言葉を理解したのか、話しかける男の子。
 「・・僕の名前?そうだね…。」
 今度はサマヨールに聞かれて、悩む男の子。
 「しいて言えば…ゴーストマスターかな?」
 そして、少年は宙に浮いた。ゴーストポケモン達はその後に続く。
 「さぁ、行こう。僕達ユウレイは、人間を恨むために生まれたんだ。」
 暗い暗い、空を駆け巡る。その光景は、百鬼夜行のような光景だ。

           続く