ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

[1] プリンの音遊びストーリー

こっけ #1★2003.11/24(月)16:13
1 旅立ちの朝

小鳥の歌に、ふと目が覚めて時計を見る。
まだ5時40分。
おじいちゃん子のグリーンなら、もうとっくに起きてるかもしれないけど…。せっかくの旅立ちの朝、もう少し休んで、体力をたくわえておこっと。



カーテンの隙間からの、朝のひざしで、よけいに目がさえる。
7時ジャスト。
なんだか興奮しちゃってるのか、もう少し寝ようと思ってるのに、なかなか眠れない。
優等生のブルーは、そろそろ旅立ちの準備をしてるだろうな。
グリーンは、早くに出るって言ってたし、そろそろ出発かも。博士はグリーンの おじいちゃんだから、気をつかわなくていいしね。でも、さすがに 私が この時間に博士の所に行くのは ちょっと失礼だし、私の出発にはまだ早い。もう少し寝よっと。



学校に行く子どもたちの声がする。
8時15分。
昨日までは、私もその一人だった。でも、今日はちがう。昨日、卒業したんだ。学校を卒業したってことは、もう大人。そう、ポケモントレーナーとしての資格があるの。
今年、この町で学校を卒業して、ポケモントレーナーをめざしたのは、レッド、グリーン、ブルー、イエロー、そして私の5人。
…と言っても、きのう話した時は、イエローはまだいつ出発するか決めてないみたいだったし、今日出発するのはたぶん私をふくめて4人。ちなみに、私は旅に出ることは、みんなに言わなかったけどね。
でも、なんでこの大事な朝に、こんなゆっくりベッドですごしてるのかと言えば…まあたしかに、きのうの夜、ちょっとはしゃぎすぎてなかなか眠れなかったのもあるんだけど、実は、ちょっとした作戦があるんだ。



8時55分。さすがに田舎町のこのマサラタウンも、生活の音がきこえはじめる。本格的に眠れない…。
研究熱心な博士は、とっくに研究所にいるだろう。ブルーもそれを知ってるハズだから、きっともう出発するにちがいない。私の出番は、もうちょっと後。



9時25分。お寝坊さんのレッドも、いいかげん起きたかな。レッドのことだから、あわててパジャマのままでポケモンを受け取りに行ったりしてるかも。こんな日まで、あいかわらずのレッド…。でも、しばらくは顔を合わせることもないのかなぁ…。

さてと、これで、私の予定もカンペキ!そろそろ出発しますか。あ〜、でもなんか、ちょっと早く目が覚めすぎちゃったせいか、今ごろになってまた眠くなってきたなぁ…。



ハっと飛び起きた。10時30分。
ちょっとアセったけど、大丈夫。イエローは今日、出発しないし、あせることはないよね。とりあえず、寝坊したみたいだとカッコわるいから、スパスパと仕度して、オーキド博士の研究所に行く事にした。
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こっけ #2★2003.08/23(土)21:38
2 カンペキな予定

「おはようございまーす!」
「おっ、おはよう。」
オーキド博士のあわてる顔。ふふ♪ バッチリだ。
この人、ホントはすっごくえらい人みたいなんだけど、こーいう所がなんだか子どもっぽくて、それがまた親(した)しみわくんだよね。

「キミも旅立つのか…。では、最初のポケモンを…」
あえて、間髪(かんぱつ)入れずにこう答える。
「わたし、フシギダネにします!おとなしいし、初心者にあつかいやすいんでしょ?」
「…ええと、フシギダネは…今朝早くに旅立ったトレーナーが持っていったんじゃ。7時半ごろじゃったかな?」
まちがいなくグリーンだ。いつでも冷静(れいせい)に状況(じょうきょう)をみきわめるグリーンなら、いろんな間接技(かんせつわざ)を覚えるフシギダネを使いこなせるだろうな…。

「じゃあ、ゼニガメにします!うまく育てれば、どんな相手にも対応(たいおう)できるのが強みなんでしょ?」
博士にしゃべらせるスキはあたえない。
「…え、ええと、ゼニガメは…8時半ごろに来たトレーナーが持っていったんじゃ…。」
ふふ♪これはブルーね。どんなトラブルも臨機応変(りんきおうへん)に切りぬけていくブルーには、はばひろい攻撃(こうげき)ができるゼニガメがぴったりかも。

「それじゃ、ヒトカゲにします!進化するとだんだん気性(きしょう)があらくなてくみたいだけど、愛情(あいじょう)を持ってそだてれば大丈夫よね♪」
うー、われながら、カンペキな博士いぢめだ…。
「…い、いやー、ヒトカゲは…9時半ごろ、パジャマのままあわてて来たトレーナーが持っていったぞ…。」
まったく、そこまで予想がぴったりとは…。レッド…、でもあなたの情熱(じょうねつ)なら、育てるのがちょっとむつかしいって言われるヒトカゲも、立派(りっぱ)なリザードンに育てられるはず…。

「えー、博士オススメのポケモン、だれもいないんですかぁ? じゃあ、わたしはどうしたらいいんですか?」
ちょっと目をウルウルさせてせまってみる。おじさまには、チワワみたいなウルウル瞳がこうかばつぐん♪
「ち、ち、ちょっと待っておれ…。」
ごめんね博士。でもこれが、私のトレーナーとしての最高の旅立ちをするために、1年以上前から考えてたシナリオなんだもん…。

「そうじゃな…。今、初心者のトレーナーにあずけても大丈夫(だいじょうぶ)そうなポケモンは…このコくらいじゃな。ちょっと気むずかしいところもあるが…まあ、そのうちなれるじゃろう。」
待ってました!この瞬間(しゅんかん)!
モンスターボールのスイッチをおして、ポケモンを出してみる。
つぶらな瞳(ひとみ)、ぷくっとしたほっぺ、先が黒っぽくなってるとがった耳、ふっくらとした黄色い体…。
あれ?このコ、黄色じゃない!
「キャー!博士!すごいじゃないですか!色ちがいのピカチュウなんて!こんなすごいコをもらってもいいんですか〜?」
「…い、いやー、あの…。あ、そうじゃ。キミにも、このポケモン図鑑(ずかん)をわたしておこう。ポケモンにむけてフタをひらくと、そのポケモンの名前や生態(せいたい)などが調べられるぞ。」
もう何度も調べたから、ピカチュウの生態なんてバッチリ覚えてるけど、いちおう博士に言われたとおりにやってみる。
『プリン…ふうせんポケモン。つぶらな瞳をゆらしながら、「うたう」であいてをねむらせる…。』
「…博士、この図鑑、こわれてます。」
「いや、そのポケモンは、プリンと言うんじゃ…。」

…一瞬(いっしゅん)、時間が止まった。
何?そのプリンってポケモン…。そんなの知らない。
「は、博士!ピカチュウはどうしたんですか? 毎年(まいとし)、3ひきで間に合わなかった時のために、予備(よび)としてピカチュウを1ひき用意(ようい)してるって…助手の人を口説きまくって、なんとか口をわらせたのに!」
「いやー、ピカチュウはついさっき、10時半ごろに来たトレーナーがつれていったんじゃ。」
「おかしい!今日旅立つのは私のほかに3人だけのはずなのに!私がピカチュウをもらうはずなのに!
…!! イエローね! まだ旅立たないようなフリをしてて、いきなり来るなんて! 私のバッチリな予定がメチャクチャじゃない!」
興奮(こうふん)して、つい口をすべらせてしまった…。

「…なるほど…そういうことか。」
う、博士いぢめのハズが、一気に形勢逆転(けいせいぎゃくてん)…。
「…しかしな、よく考えてみるんじゃ。ワシも今日旅立つのは3人と聞いておった。いきなり来て予定を狂わせたのは、イエローくんだけじゃ ないんじゃないかな?」
…何も言えない。まさに、その通り。
「まあ、こういう形で出会ったのも、何かの縁(えん)じゃ。そのプリンをかわいがってあげなさい。…そうじゃ、これはワシからのせんべつじゃ。」
博士が何やらゴソゴソと持ち出してきた。
「あ、あのー、これって何に使うんですか? 私、ポケモントレーナーになりたいんですけど…」
渡されたのは、音楽用のキーボード。ごていねいに、持ち歩けるように肩(かた)かけヒモがついてる…。
「いやー、このプリンは、孫娘(まごむすめ)にめんどうみてもらってたんじゃが…。ちょっと甘やかせすぎたのか、さっきも言った通り、ちょっと気むずかしくてな…。」
なにか、すご〜くヤな予感(よかん)…。
「うまく演奏(えんそう)して、気持ちをのせてあげないと、『うたう』をしてくれないんじゃ。」
ガーン…やっぱり。
「あ、あのっ! 私、こんなのひいたことないし、無理ですそんなの! ほかに使える技とかはないんですか!?」
「そのプリンは、ほかの技は『まったく』使えないんじゃよ。」
な、なんで、そんなに『まったく』を強調(きょうちょう)して言うの?
…も、もしかして、博士いぢめのおかえし?
何を言えばいいのか迷って、口をパクパクさせてる私に、博士はこう続ける。
「まあ、そのキーボードにも、そのうち慣(な)れるじゃろ。くわしい使い方は、キーボードのウラにメモをつけといたからな。」
こんどは博士が、私にしゃべるスキをあたえてくれない…。
そして、プリンの入ったモンスターボールを私に押し付けて、研究所(けんきゅうじょ)の入口に押しかえす。
「せっかくの旅立ちじゃ。そんな顔してないで、笑顔(えがお)で旅つんじゃぞ!」
ははは…。
なさけない作り笑いで、力なく手をふる私を見てか見ずにか、研究所の扉(とびら)がバタンとしまった。
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こっけ #3★2003.10/25(土)08:13
3 目標だけを

とりあえず私は、北にむかって歩き出した。

…あの後、1年かけて立てた計画が、ハデな音を立ててくずれさったのを しばらくのみこめずに、ずっとボーっとしてて、気づいたら、おなかの時計がぐ〜っとなってて…。
本当は旅立った後、1番道路あたりで食べる予定だったお昼ごはんだけど、今日はひさしぶりに、マサラタウンがよく見渡せるオーキド博士の研究所の庭をかりて、ひとり ごはんを食べながら、町にお別れをした。
オムライスを耳の部分だけ飛び出した形にして、海苔(のり)で目とか鼻(はな)とか耳とかに色をつけて、ほっぺにケチャップをつけた、特製(とくせい)のピカチュウおべんとう…。
でも、そんなマサラタウンを見てるうちに、こんな旅立ちも、そんなに悪くないかな…なんて思えてきて。
あの1時間のうたたねは、たしかに人生を大きく変えちゃったかもしれない。でも、全部が予定通り、決まりきった旅ってのも、あんまり面白くないのかもしれないし。
だから、計画はいったん真っ白にもどして、とりあえず、歩き出すことにしたの。持ってくものは、目標だけにして。
レッド、セキエイ スタジアムで待ってるからね!


そう言えば。博士がキーボードのうらに、使い方のメモがつけてあるって言ってたっけ。
キーボードをひっくりかえして、メモをひろげてみた。

『このキーボードには、ふつうに演奏(えんそう)するだけじゃなく、インターネットに接続(せつぞく)して、曲データをダウンロードできる機能(きのう)があるぞ。とは言っても、めまぐるしく状況(じょうきょう)がかわるバトル中は、それに合わせて曲をアレンジする必要があるがの。』

…おい、なんだかサラっと、ただひくだけより むずかしいこと要求(ようきゅう)してないか?
…まあいいか。少しずつ練習しよっと…。
そして、メモは、こう続いていた。

『とりあえず、ワシがオススメの、曲をダウンロードできるサイトを書いておこう。
ココなら、最初から、いろんなバリエーションにアレンジしてある曲もあって、勉強になるぞ。
Pixie http://www1.interq.or.jp/kokke/pokemon/


 「プリンの音遊びストーリー」 おわり
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