ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

連載[1082] 風のコンチェルト

るりっち #1★2007.10/10(水)21:08
ここは元「生命の水と聖獣達」の連載場所です
*風のコンチェルト*は、「生命の水と聖獣達」の物語の続きの話ですので、続けて書くことにしました♪
これからもよろしくお願いします^^でわ!


運命の輪…

『ここは…、どこ?』
辺りは一面真っ白だ。柔らかい、雲のような物の上に、私はいた。
『…。誰か来る。青いオーラが…』
透明に透き通る、水晶。紅く光る瞳。美しく揺れるたてがみ…。
そんな神秘的な”誰か”が近づいてくる。

{君が、サラサか?}
優しそうで、力強い真紅の瞳…。
『そうだ、私はサラサ。でも、ここは一体…。』

{ここがどこだか知りたいのか?}
『この…ポケ・・モン?私の考えていることがわかるの?』

{ああ。ここはねじまがった空間の狭間にある、もう一つの空間だ}
『もう一つの…』
{君に頼みたいことがあって来たんだ。}
たてがみが揺れる。

『私に、頼みたいこと?』
{そうだ。実は、私の仲間の二匹が悪い人間に掴まってしまったんだ}
『あなたの仲間が…?』

{あいつらは、助けたくば、私の”生命の水”を渡せと言ってきた}
『生命の水…。どこかで聞いた…、そうだ!聖獣伝説!!もしかして!?』

{そう。私はその中の一匹・スイクンだ}
スイクンは首を天空へと向ける。
『なぜ、その名を残すような聖獣たちが!?』
{それは・・}

       ゴゴゴゴゴゴゴ


{!!もう時間が無い!!サラサよ!協力してくれるのか!?}
『分かった。私で良いのなら、力になるよ!!』
{ありがとう!では、現実世界へ戻ろう!}
スイクンの水晶から放たれた強い光が、あたり一面に広がった…。


       第1話  終わり
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るりっち #2★2007.06/10(日)05:51
不思議な塔


スイクンとサラサは今、アサギの灯台を過ぎ、エンジュ方面へ向かっていた。
風が轟々とうなりをあげて、怒り狂っている。

「ねぇ、スイクン。もうそろそろ、何があったか話しても良いんじゃない? こうして今、一緒にいるんだから。」
スイクンは少し顔を持ち上げた。
{…そうだな。…。私たち三匹は、エンジュの”やけたとう”の地下で
我が主、ホウオウ様の命令を待っていた。と、大きな地震が起きた。
私たちは自然の動きを感じ、事前に地震が起こることを知ることが出来る。だが、その地震のことは、分からなかった。}

「それで、どうしたの?」
                    
{急いで飛び出すと、外にはBKと名乗る集団がいた。地震はあいつらが、バンギラスたちで起こしたものだった。
私たちは逃げようとしたが、特殊なネット網をつけた道具に、捕まってしまったんだ。エンテイが吠え、敵を分散させたが、頭領らしき人物に
足を撃たれてしまった。}
「…。だからスイクンが…。」
スイクンの瞳には悲しみの色が映し出されていた。

{ああ。エンテイのもとにライコウが残ると言ってくれたので、
私は協力してくれる人間を探し、ジョウト中を走り回った。}

「でも、なぜ私を?」

{君にはホウオウ様と似た波長があった。}

「私が…!伝説の鳥、ホウオウと…!」

{まずはエンテイとライコウの居場所を探さないといけない。
もうすぐエンジュに着く。塔の力で二匹の波動を追う!!}
      第二話   終わり
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るりっち #3★2007.06/19(火)13:37
神聖な山と邪悪なココロ


「スイクン、場所はわかった?」
{もう少しだけ待っててくれないか?波長を読み取るには、こまかい調節が必要なんだ…}
「うん、分かった!頑張ってね!!」

       〜数分後〜
{…、どうやらシロガネやま中部に入りこんでるらしい}

ここはエンジュ・やけたとうの地下。どこか雰囲気が重々しい。

「ここからどうするの??山のふもとから調べていくの?」
{いや。あの神聖なる山は入り口は一つきりだ。}
「じゃあ…」
{正面突破…しか無いだろうな。}

{急ぐぞ。しっかり掴まっていろよ!}


    ザザザザザザザザザザザザザザザ…
スイクンは、風を斬るように走った。「北風の化身」まさにぴったりの
名前だと思う…。スイクンの風は冷たく、そして尖っている。

「ここが…シロガネやま」
山には白い霧がたちこめ、辺りは風と草木のゆれる音しか聞こえない。この山に入るべからずって感じだ。
{…何かいる}
「!?もしかして、BKの奴ら!?」

[く〜ぅ]    出てきたのは、幼いヒメグマだった。
見たところによると、母グマはいないらしい。

「多分、お母さんとはぐれちゃったんだね…」
{恐らく…な。それが本当だとしたら、他にも追い出されたり、捕まったポケモンたちがいるかもしれない}

「気を…引き締めていかないとね」


サラサとスイクンはシロガネやまに入っていった。

これから、二人に何が起こるのか?BKの本当の目的とは!??

          第三話 終わり
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るりっち #4★2007.06/04(月)21:28
BKの目的

シロガネ山の内部はとっても入り組んでいた。
どこからか風が吹き込んでくるが、光は全くない。

{どこにいるんだ…?}
スイクンも不安な様子でたち尽くしていた。たてがみが風に揺れる。
神秘的な光を放っていて、見ていると何か不思議な感じがした。
「いくら探しても、いないね…。」
{全く波長を感じない。やはりあいつらの考えは…}
       ばさっ!
頭上で何かの羽音がした。とっさにスイクンが「オーロラビーム」を放つ。
「三匹のゴルバット…。もしかして!?」

『よく来たな、スイクン!』
闇の中から現れたのは巨大なバンギラスと頭領らしき人物。
{おまえが…}
『さあ、仲間を返して欲しければ、生命の水を渡せ!!』
{ああ…、ただし、先にエンテ…}
『黙れ!渡さないのならこいつらの運命はどうなるか、分かってるだろう?スイクンさんよぉ??」

{ぐ…分かった。渡す}
スイクンは水を渡した。
『ははは!これさえあればこっちのモンよ!やろうども!!』

頭領の掛声とともにしたっぱたちが周りを取り囲んだ。
{!?これじゃあ、約束が…}
『俺たちが約束なんて物、守ると思うか!?ぇ!??』
{卑怯な…! }
『ありがとよ。俺たちにとっちゃそれは最高の誉め言葉だぜ!!』

{…!!}
      ドン!
大きな爆発音とともにバンギラスたちが攻撃をしかけてきた。さあ、ここからが運命の分かれ道…!!

      第四話 終わり
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るりっち #5☆2007.06/05(火)20:27
野望

バンギラスたちに囲まれたまま、スイクンは必死で抵抗していた。
サラサに水のシールドを張りながらの戦いは苦戦を要した。

{この状況を何とかしなければ…!}
「バブルこうせん」・「みずのはどう」を駆使しながら守りを固める。

「ねえ!私は…、私はどうすればいいの!?」
スイクンの体をすなあらしがようしゃ無く叩きつけている。

{サラサ…!祈ってくれ!ホウオウ様を…!!}
       
      ザアア…!!

「何!??よく聞こえない!」
{ホウオウ様を…、呼んでくれっ!!}
「スイクンたちの主、そしてジョウトの守護者、ホウオウを!?」
{そうだ!君になら出来る!!サラサ!!}

「わかった!やってみる!!」


〔ジョウトの守護者、ホウオウ!スイクンを…、聖獣たちを救って!!〕


サラサの祈りが通じたのか、ゆっくりとすなあらしが止む。
そして天から光が…!

{ホウオウ様!!お会いしたかったです!}
<スイクン…。その娘か、私を呼んだのは>

{はい、ホウオウ様!}
『!ホウオウ!?この土地の守護者…!?』

<…。おまえか。今、ジョウトを汚しているのは!>

『ひ、ひいっ!』

次の瞬間、ホウオウの口から、巨大な火の玉が発射された。

        第五話 終わり
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るりっち #6☆2007.06/06(水)21:45
生命の水

『…。なんてな!』
{!??}

ホウオウの「せいなるほのお」をまともに受けたはずのBK頭領が、
そこに立っていた。

{!!ホウオウ様?}
そこにホウオウの姿は無かった。そう、頭領の手にはマスターボールが…。
『はは、これを持っていて良かったわい!』

「ホウオウが…!」
{…。すみません、ホウオウ様!やはり私自身の力で、仲間を救わないと、ダメなんですよね…!}
スイクンの目から後悔がにじみ出ている。

『たわけが!ふふ、生命の水。飲んだ者に永遠の命を齎(もたら)すという、神秘の水!!今、私が飲んでやる!!』
         
         ゴクッ。


『はっ!うっ、ガッ!!?』
いきなり頭領が苦しみ出した。バンギラスたちが気をとられ、攻撃の手をゆるめる。すかさずスイクンが「バブルこうせん」を放った。

『おのれ…っ、スイク…ンっ!!何か、いれたなっ…!!?』

{私は何もしていない。そのくるしみは、おまえ自身が作り出した痛みだ。}
『な…にイ…!!?』
スイクンがまっすぐな瞳で頭領を見た。

{その水は、永久(とわ)の命を齎す代わりに、今まで自分が人に与えた、苦しみや悲しみのパワーを体に流し込む}
『俺が、人に与えた…』
{そうだ。ここに来る途中、幼いヒメグマに出会った。その母が、
おまえのボールに入っているようだが…?}
『…、気づかなかったよ。ぅっく…俺が、ゲホッ!こんなにも罪を、
犯していた、ガッ…!なんて…!』
ボールの中のホウオウが言った。
<おまえはあまりにも罪深い。その邪悪なココロは、浄化されないであろう…。>

          第六話 終わり
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るりっち #7★2007.07/11(水)19:06


これは昔、名も無き三体の生き物が、聖なる鳳に命を授かった物語…。

エンジュには昔から、ふたつの塔があった。
ひとつは金色のポケモン、ひとつは銀色のポケモンをまつった塔だ。
だがある日、原因不明の火事で、片方の塔は、焼け落ちてしまった。
銀色のポケモンは飛び立ち、その場を去った。

その塔の地下で、体を休めていた名も無き三体の生き物が、
塔の下敷きになって、命を絶った。

そんな三匹に、命を吹き込んだのが、金色のポケモン。
「せいなるはい」ともいうべきもので、三体の命を再びこの地に呼び戻したのだ。

のち
後に、銀色のポケモンは、「うずまきじま」にその身を置き、嵐の夜だけ外に出、その姿を見せたという。


金色のポケモンは三匹にそれぞれ名前を与えまた特殊な能力を授けた。
一匹めには、火山と地を動かす力。
二匹めには、雷(いかずち)と雨雲を呼ぶ力。
そして三体めには、清らかな水と、北風を操る力。


これらのことは、後に聖なる鳳伝説として、語り継がれた。

金色の鳳と三体の生き物の物語…、そう「ジョウト聖獣伝説」だ…。

それらの三体は、金色の鳳に恩を返すべく、やけたとうの地下で、
「そのとき」を待ち続けた…。

         第七話 終わり
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るりっち #8★2007.06/17(日)09:04
闇の…

バタリ、と頭領が倒れこんだ。気を失っているようだ。

{二匹は、いったいどこに…?}
「スイクン、あれ…!!」

奥にあったのは、巨大な実験機のようなもの。
緑色の液体の中で、エンテイとライコウが眠っている。

{おまえたちは何をしようとしているんだ!?}

おびえながら、一人の団員が言った。

「こいつらは、核兵器になる運命なんだよ」
「{!??}」
{私たちに、戦争の道具となれ、と言うのか!?}

それは、あまりにも悲惨な言葉だった…。

スイクンは戦った。エンテイとライコウを救うため。
20対1という、無謀な戦いだ。

相手のポケモンは、クロバットやラフレシア。
スイクンのたてがみはもうボロボロ、立つのも困難な状態。

でも、スイクンは戦った!!

自分の体が朽ち果ててでも、仲間を助けようとした。
体中が傷だらけなのに、体力が持たないのに。

{私は、信じる心を忘れない!!運命は自分で切り裂いていくものだ!!}

「スイクン!!?」
スイクンが、よろけた。
その隙を狙って、敵が孟攻撃を仕掛けてくる!
『クロバット!どくどくのきば!!』

クロバットの牙が、深深と突き刺ささった。

{!!?}
体中に毒が回ったら、スイクンは…。

スイクンは、最後の力を振り絞って、ハイドロポンプを放つ。

辺りが一瞬、無重力になった感じがした。

     ドンッ!!

「ハイドロポンプが装置に当たった!」

装置が破壊されたのはいいけれど、スイクンは、もう限界だった。
その場にどさり、と倒れこんでしまった…。

      第八話 終わり
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るりっち #9★2007.07/10(火)21:38
なかま

「スイクン!」
だめだ、スイクンはもう戦うことのできない状態にいる…。

「私は…、ここまで来て何もできないの?スイクンがなぜ私なんかを選んだのか分からないよ!!力も無い、こんな私を…!」

{それはきっと、スイクンが君に何かを感じたからだと思うよ}
{こいつは昔からそういうやつだからな}

いつのまにか横にはライコウとエンテイが立っていた。

ライコウの周りには背中の雨雲から放たれる雷が、
エンテイの足元には煮えたぎるマグマが…。
二匹とも同じように、仲間を思いやる気持ちが湧き上がっていた。

{サラサちゃん、君はどこかスイクンに似てると思うな}
{フフ、そうだな。ライコウの言うとおりだとおもうぞ}

「私…、助けてくれたスイクンを…。ううん、助けてくれただけじゃない。今、何が起こっているか、私に教えてくれた、仲間を守ろうと命を賭けた、そんなスイクンを私は…助けたい!!」

{じゃ、いきましょうか}
{徹底的にやるぞ!}
「あ、でも殺しちゃだめだよ!??」
{{分かってるって}}


        第九話 終わり
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るりっち #10★2007.07/19(木)13:07
粛清

{ライコウ!!そっちは頼んだぞ!!}
エンテイが後ろを振り向いて、言った。
{OK!エンテイこそ倒れたりするなよ〜?}

炎と雷のエネルギーがぶつかり、はじける。

「スイクン…。絶対に私が守る!スイクンを救うから!!」

スイクンは、エンテイ、ライコウが無事だったことが分かると、
そっと息を吐いた。
{サラサ、私はもう…いいんだ。こう…して仲間も無事だった−…。敵もあの二匹にまかせておけば安心だしな}

初めて会ったときのように、スイクンは真紅の瞳でまじまじとみつめた。

「いや、スイクン!そんなこと言わないで!!そんな…、お別れみたいな言葉…!」

{…。サラサはポケモン思いなんだな。ふふ、今まで私が見てきた人間の中で、一番やさし…かった、ぞ}

「アリガト!!あなたに言われると、とっても嬉しい…!}
サラサはスイクンのたてがみをそっと撫でた。

「こんなにボロボロになるまで仲間を信じ、戦ったあなたを、とても誇りに思う…!」

{そう…か。私からも…礼を、言う。ありが…と…う…}

言い終わらないうちに、スイクンはそっと目を閉じた。

「…!スイクン!?嘘よね!嘘だといって…。ねえ、返事を…し…て!!」

{…スイクン?!おい、スイクン―――――――――――――!??}

エンテイとライコウの声が、洞窟に響き渡った…。

       第十話 終わり
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るりっち #11★2007.07/24(火)13:10
大切なものは、なあに?

「スイクン!!ねえ、だめだよ…。まだホウオウに、恩を返していないんでしょ?」

最後の敵を倒したエンテイが、猛スピードで駆け寄ってきた。

そして、ライコウがゆっくりとした口調でいった。

{スイクンは、俺達のために命を賭けて戦ってくれたんだ。スイクンにも、サラサちゃんに見送られるなら、悔いはないだろう…}

サラサの目は、もう涙で一杯だった。

「ダメだよっ…!スイクンは、私が助けなきゃ!!スイクンはホウオウに恩を返さなきゃいけないし…ぐす。それに、私はスイクンに”ありがとう”の一言も言えていない!!それなのに、それなのに――――!!」

{サラ…サ}

サラサの心に直接語りかけるように、スイクンの声が響いた。
「スイクン!?」

{私はもう、行かなくてはならないんだ。少しの間だったけど、本当に―…}

「そこから先は言わないで!!」

サラサは、零れ落ちる涙をぬぐって続けた。
「私、スイクンとお別れなんて、絶対にしたくないの」

{サラサ…。だが、今の私達には、スイクンを救う手だては無いぞ}

「エンテイ、よく見てよ。」
サラサはそっと手を開き、それをエンテイに見せた。

{サラサ、それは―――――――…!!}

手の中にあったのは、「生命の水」の入った小瓶だった。


         第十一話 終わり
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るりっち #12★2007.07/25(水)11:40
生きるか、死ぬか

「これを飲めば、スイクンは助かるでしょ?」
サラサはあせりながらエンテイに言った。

{だが―――――…}
「だが…?なに?エンテイ」

エンテイは、一言ひとこときちんと聞こえるように、大き目の声で言った。
{スイクンが、あの痛みに耐えられるかどうか…}

予想もしない言葉に、サラサは一瞬凍りついた。
「それって…、どういう事…??」

{スイクンが、『生命の水の反動に耐えられるかどうか』分からないってことなんだよ、サラサちゃん}
ライコウが続けた。

「なんで?スイクンは何も恨まれることは―、!!」
エンテイは、「その通りだ」というように、首を下げた。

「BK団の人達…」

ライコウは、悲しげな表情であたりを眺めた。

{僕達を助けるために、スイクンは体を張った。その代わりに、この周りにいる人達、ポケモン達の恨みや悔しさを、同時に受けなければならない、そういう事なんだよ…}

「そんな、スイクンがいなくなっちゃうなんていやよ!?」
エンテイは静かに語りかけた。

{その水を使っても、助かる率は無いに等しいんだ…}

「私は…、スイクンを信じたい!!」
{サラサちゃん!??}

「『無いに等しい』って事は、『少しはある』って事でもあるんでしょ?だったら、運命に賭けてみたい!!」

エンテイとライコウは呆れ顔だ。
少し間を空けてから、エンテイは喋りはじめた。

{さすが、スイクンが選んだ人物だ。…というか、スイクンそのままな感じだな…!!}

「エンテイ、何が言いたいの??」
{だからさ、サラサが信じるスイクンを、俺達も信じてみようじゃないかって事だw}

「エンテイ、ライコウ…!!」

{{さあて、やりますか!!}}
「スイクンは、絶対に生きて帰ってくる!!」

   
       第十二話 終わり
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るりっち #13☆2007.08/01(水)12:29
祈り、そして信頼

「スイクン、大丈夫。私が絶対に助けるから」

サラサはゆっくりとスイクンの口に「生命の水」を流し込んだ。
スイクンの喉が、少し動いた。

{う…くっ}

「スイクン、頑張って!!私は祈ることしができないけど…、諦めないで!!}


エンテイ、ライコウと共に、サラサは必死に祈った。スイクンが再びこの地で生きられるように。仲間と、そして自然と共存できるように。

スイクンの体を痛みが襲う。
{…っ!!}

サラサは、スイクンの水晶に触れ、懸命に願った。

「スイクンがいなくならないように。エンテイ、ライコウが悲しまないように!!」


       第十三話 終わり
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るりっち #14★2007.09/24(月)02:17
ずっと、待ってた


       サワッ…
      

         サワサワ…


…あれから、どのくらいの時間が経っただろうか。


一匹のポケモンの上に、一筋の光が降り注いだ。
その光は天へ伸び、横に広がってはじけた。命を与えるように…。


《遠くから、鳥の鳴く声が聞こえる。…優しく、暖かい太陽が、私の体を包んでいるようだ…》

《私は、何をしていたのだろう?そうだ…、やけたとうの地下で眠っていて、変な連中が地震を起こし、それから…》

「!!ねぇ二匹とも!今、少し動いたよ!??」

《…懐かしい声…だ。この声の持ち主は…》

{本当か!?あぁ、どのくらい長い間このときを待っていたか…っ}
{おいおぃ!泣きすぎだから…!よし、皆で名前を呼ぼう!}

「うん!!せーのっ、」

「{{スイクン!!}}」

《スイクン…?それが私の名前…!!》
スイクンはゆっくりと、思いをこめながら目を開いた。


{皆、あんまり騒いでると後でつかれるぞ…??}
少し呆れながら、でもゆっくりとかみ締めるようにスイクンは言った。


皆がいる場所は、「命の湖」セレビィの住むと言われている湖のほとりだ。

「スイクンっ!!あなた、長い間眠ってたのよ!?もう何度も諦めかけたんだからっ!!」
サラサは泣きながらスイクンに抱きついた。

{それでもサラサちゃんは、「スイクンは絶対に戻ってくる!」ってくじけなかったんだよ?}
ライコウが笑いながらいった。

{サラサ…、ありがとう。本当に感謝している…}

サラサは泣きそうな顔で、でも本当に嬉しそうに微笑んだ。

「いまさら堅苦しいお礼はいいから、お祝いしましょ!!スイクンが無事にココへ戻ってこれたことにね☆エンテイ、ライコウも手伝ってくれるかな?」

{おう、いいぞ}
{楽しくやってこう!!}


{フ、相変わらず、といった所だな…っ}
自分がここにいれることがまだ信じられない、とでもいうように、スイクンは笑った。

「スイクンも早くね〜っ」
{すぐ行くよ、皆…!}

空は青く、風はそよぎ、水が流れる…。

そんな平和な世界の中で、ポケモンと人間は共存している。
お互いを信頼し合い、ささえあって、共に生命を育んでいる―――…。


…スイクンと、一人の少女の話、どうでしたか?
私がみた夢と、違うところもけっこうありますが、伝えたいことは伝えられたと思います。

ここからは「*風のコンチェルト*」をお楽しみください(笑)

命の大切さ、人の心。絆の強さ…。そんなことを私は伝えたかったのです。
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るりっち #15★2007.09/24(月)02:01
始まりの時

ここはホウエン、ヒマワキシティ。多くの木々に囲まれた自然の町。
たくさんのツリーハウスの1つから、一人の少女が出てきた。
彼女の名を、サラサと言う。


彼女は昔、カントーのヤマブキシティという大きな町に住んでいた。
当時、予想もしなかった出来事、ロケット団による「シルフカンパニー襲来」−…
そんな世の中で、彼女は始めてのポケモンを持った。コラッタの「流々」(るる)だ。

流々と過ごす、楽しい毎日。そんな中で悲劇は起こる。


当時、サラサ9歳

「待って、流々っ!」
「ラタタッ」
催促するように、しっぽを振るコラッタ。やっと追いついたサラサは、コラッタを抱き上げた。

「もう!暗くなってきたからお家に帰らなきゃ、おかーさんに叱られちゃうよっ」

何気ない日常。サラサと流々はいつもの時間に家へと帰っていく。

――――――――――――――――――――――――――――――――
朝。目を覚ましたサラサは、流々が寝ているはずのバスケットの中に、流々がいないことに気づき、とっさに外へ飛び出していった。

外に出たサラサを待っていたもの。それは、ロケット団。

一人の団員の手には、流々らしきコラッタが、苦しそうにうなだれている。

「る…流々っ!手を離してぇ!!」
「何だおまえ!こいつはなぁ、俺らに立てつこうとしたから、こうなったんだ。おまえもこうなりたくなかったら…」

サラサの耳には何も聞こえていない。流々を助けようと、必死なのだ。
「流々を返してっ!る…」

       どしゃっ!!
団員は、コラッタを地面に叩きつけた。流々は、なお苦しそうにもがいた。

「流々!!?大丈夫?」

その様子を見て、幹部がやってきた。
「フフフ…ポケモンは、ただの道具に過ぎないのだよ。出でよ、アーボック!」
「シャーッボック!!」
幹部の出したアーボックは、サラサをきつく締め上げる。
「っ・・!かはっ」

緊急事態に気づいた両親が、家から飛び出し、幹部と戦った。
気づくと、サラサは自分のベッドで眠っていた…。

「お父さん、お母さん…、流々は?流々はどこ?」
父が、重い口を開いて言った。
「流々は、もうここにはいないんだよ」
変わらない現実を目の前に、サラサはその場で泣き崩れてしまった――― …
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るりっち #16☆2007.09/24(月)20:46
きっと…


「私、トレーナーになって、流々のかたきを取る!!」

 
      数ヶ月後、ホウエンヒマワキシティ


6月22日 サラサ10歳の誕生日。
―今日をもって、サラサのポケモントレーナーとしての資格を認める―

「ありがとう、オダマキ博士!この子、大切にするから♪」
「あぁ、気をつけるんだよ!」
オダマキ博士はサラサに向かって手を振り、それに答えてサラサも手を振ってから走り出す…

今日はよく晴れた日。
旅立ちの時にしては上々だ。

「いこう、雫!」
{ゴロゴロ!}

サラサは、パートナーの‘ミズゴロウ’雫と一緒に駆け出した。

『流々の敵をとるには、まず強くならなきゃいけない』
守れなかったものを埋めるため、サラサは今、旅にでる。
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るりっち #17★2007.10/20(土)23:54
Dream  〜夢〜

「う…ん、夢…か」
サラサはゆっくりと起き上がった。
心配していたのか、手持ちのポケモンたちが、ボールの中からのぞいていた。

「平気よ、みんな」
それぞれのボールをそっとなでる

「…大丈夫だった?うなされていたわよ」
金髪の女性が、心配そうにタオルを手渡した。
キレ目で、どこか切ない風格の女性…そう、シンオウチャンピオンのシロナさんだ。

「大丈夫ですよ。ちょっと夢をみていただけですから」
「そう、それならいいのだけれど。…流々ちゃんの夢?」

流々の名前をだされて、少しドキっとしたが、シロナさんには全部話してある。

「はい。あの子が…死んだ夢」
「…流々ちゃんの為に頑張って!ゆっくりと強くなっていけばいいのよ。この子達とね」
シロナの目線が、サラサのモンスターボールへと動く。
「はい。ありがとうございます」

「ウフフ、そんなに敬語使わないで!…それはそうと、サラサちゃん。スイクンとの交流記、とても参考になったわ!ありがとうね」

「いえ、こちらこそ何度も泊めてもらって…」
シロナは少し笑って言った。
「いいのよ、別に。あーぁ、私も伝説のポケモンに会いたいなぁ〜サラサちゃんに付いてようかな」

「でも、これ以上不思議なことは起こらないと思いますよ」
「アラ、なんで?」
「だって…スイクンたちといれたことで、運を使いすぎてしまったと思うんですよね」
そう言うと、
「それって、本当に仲がよかったってことよね!?ホントいいなぁ〜」
と返ってきた。
(シロナさんは、いつも明るいなぁ)


「でも、シロナさんも、神話を調べているんでしょ?」
「うん、でも実際に会ったことはないのよ。姿を知っているのに、会えないってもどかしいわ〜!」
不穏な表情を浮かべて、シロナは言った。

「だってね、ダイゴも、ミクリも、伝説のポケモンを目の前で見ているのよ?もー!!」
相当うらやましいのか、両手をあげて、叫んだシロナさん。
「そうでしたよね、ニュースでは」
サラサの返事を聞いて、「うん」と頷いた。

「よし!じゃぁ、これからは、もっとハイスピードで調べるから!サラサちゃんも待っててね!」
お茶目な笑顔でシロナは言った。
「あ、は・・はい!!」


〜30分後〜
「もう行くの?」
シロナは悲しげな表情を浮かべて言った。
「はい。お元気で!お世話になりました!!」

サラサは手を振って、走り出した。

目指すはナタネ、ハクタイジム!!
さぁいざ、サラサの冒険の始まりです!!
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るりっち #18★2007.10/20(土)23:56
information 〜情報〜


「こんにちは」
今サラサがいるのは、テンガンざんのカンナギ側。人は滅多にいないはず…

振り向くと、そこには少女が立っていた。
髪はピンクで、片方は円を描くように結んである。年齢はざっと10歳くらいだろう。
見た目からして、どうやらポケモントレーナーだ。

「こんにちは!私に何か用かな?」

そう聞くと、女の子は一瞬迷ってから「バトルがしたい」と言った。
しかし、今、女の子はポケモンを持っていないらしい。ボールはあるけど、捕まえられないみたいだった。


「そうね…じゃぁ、まずはポケモンを捕まえにいきましょうか?」
「ポケモンバトル、できるの?」
「そうよ。その為にはまずポケモンを捕まえなくちゃね。あ、名前は?」
「私の名前はミルっていうの!」

女の子はすごく嬉しそうにはしゃいだ。
しかし、周りを見渡すとポケモンの姿は見当たらなかった。
(いつもはいるはずなのに…)

普段、ここはリーシャンやイシツブテなどの生息地。イシツブテはともかく、リーシャンの鈴の音…歩く音すら聞こえてこない。


    がさがさがさっ!! ばっ!!

と、突然茂みから何かが飛び出してきた。
姿をあらわしたのは、巨大なスカタンク。どうしたらこんなにも成長するのだろうか?
通常のスカタンクの2倍近くはあるはず…

「こっち!!」
茂みの奥のほうから声がして、とっさにミルをかばいながら茂みへ飛び込んだ。
「か、間一髪…」
サラサは息が上がってしまった。ポケモンを出せばよかったのだが、そんな暇はなかったし、全力で走ったから…

「あ、ありがとうございます…助かりました」
「いーのいーの!困ったときはお互い様!でしょ?」

茶色の髪で、マントに半ズボンの女性は、笑いながらそう言った。
「って、あー!!スカタンクは…?私、ズバリスカタンク退治に来たんだよね」
「…もう行ってしまったみたいですね。でも、なぜ貴方がスカタンクを?」

女性は困り顔をして、
「実は…ね、数日前からハクタイ・カンナギ一帯が変でね。調査してたら昨日あいつを見つけたの」
と説明してくれた。

「でも、私はそのことを今日始めて知ったんですが…?」
「そりゃそうよね。住民を不安がらせちゃいけないって、ポケモン協会の言いつけだったんだもん」

(ポケモン協会…。どこかで聞いた気がする。そうだ!シロナさんがいるシンオウリーグや、各地のジムを束ねている人たちの…)

「ってことは!」
「そうよ♪私はハクタイジム ジムリーダーのナタネ!よろしくねっ」
「ジムリーダーでしたか。私、ジムバッジを集めているんですよ」
「ズバリ…挑戦者、ってことね?」
ナタネは静かにゆっくりと言った。

「はい。でも、今はこの子のポケモンを探さなくてはいけないので」
「そうなの?じゃ、一緒に手伝うよ?」
「あ、迷惑でなければお願いします」
「まっかしといてぇ!!」


突然襲いくるポケモンたち。一体、この地になにが起きているのだろうか…?
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るりっち #19★2007.10/20(土)23:56
get  〜捕獲〜 

スカタンクがいなくなったことで、姿を見せ始めたポケモン達。
その中に三人がいた。
「いっけぇぇ!」
ミルの投げたクイックボールは、弧を描くようにしてリーシャンへと飛び、当たった。
ボールの中に、リーシャンが吸い込まれていく。

 コ…ココココ…  カチッ!

「やったぁ!捕まえた!これで、バトルができるね!」
「そうね!」
サラサがうなずくと、ミルは待ちきれないように、砂利道へと走っていった。


バトルの審判はナタネがやることになった。
「ポケモンは一対一!制限時間は5分!レディ…ゴー!」
ナタネの掛け声とともに、二人はボールをなげた。

「鉱、<ちょうおんぱ>!!」
出現と同時に、鉱…プテラは、技を繰り出す。
「リーシャン、対抗して!<さわぐ>!!」
{リリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ…}

<ちょうおんぱ>と<さわぐ>が交じり合い、あたりに強烈な音波が生まれる。
耳をふさがないと、今にも倒れそうな壊音波だ。

「<すてみタックル>よ!リーシャン!」
音波が平気なリーシャンは、プテラへと一直線に転がっていった。

       メキッ!

鈍い音とともに、ゆっくりとプテラはたおれる。

…ドスン!

{リリン♪}勝った!
「やった!…!?」

ドシュ…

油断して近づいてきたリーシャンに、プテラは至近距離で<はかいこうせん>を食らわせた。

「そんな!」
信じられない、という顔で、ミルは言った。
「ミルちゃん、相手を騙すことも1つの戦法よ。岩の体にノーマルタイプはいまひとつ!」

「ま、まいりましたぁ…」
ミルは笑いながらリーシャンを抱き上げた。
「ミルちゃんも、初めてのポケモンをここまで使えるのはすごいことよ!」
「エヘヘ…///」

そこへナタネが近づいてきて言った。
「すごいよ、サラサ。どんな相手にも決して気を抜かないのね」
「それは、ナタネさんも同じだと思いますよ」
「…勿論」
ナタネは一言だけいって、後ろを向いた。

ミルをセンターへ送った後、ナタネとともにサラサはハクタイシティへと向かう。

次回、テンガン山で、何かが起こる…!??
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るりっち #20☆2007.10/20(土)23:53
evil 〜災い〜

「はい、分かりました。今そちらに向かっています」
  ピッ!

「何かあったんですか?ナタネさん」
ここはテンガンざん内部。
ポケギアを片手に冷や汗をかいているナタネを横目に、サラサは言った。

「ハクタイシティに『ギンガ団』っていう組織のアジトがあるんだけど、そこでどうやら火災が起きたらしいの」
「町の人は大丈夫だったんですか?」
「全員非難したみたい。けどひとつだけおかしな事が…」
言い終わる前に、ナタネははっとして、上方を見つめた。
 ....

「我アジトの火災とともに、『町の時間が止まった』だろう?」
そういいながら姿をあらわしたのは、青い髪の男だった。


「それはどういう意味でしょうか?」
どうようを押さえきれないナタネは、その男に問う。
男は、高笑いをしてから、背筋のぞっとするような視線をナタネとサラサに浴びせた。

「誰かがビルに火を放ったおかげで計画は丸つぶれだ!!おまえらがやったことだろう!?」
その非情な言葉に、サラサが怒り、言う。
「な…!?私たちだって、その情報を聴いたのは今なのよ!?誰がやったのかなんて知らないわ!」

「…ふふ、そうか。まぁ良い!今おまえ達に出会ったことで、新たな計画を思いついた!!」
「い、一体あなたは何なの!?」

ナタネがそう言うと、男は「我名はアカギ。この世界を支配するもの」
とだけ言って、去っていった。

サラサは胸騒ぎがした。
「急がなくちゃ!私の町が!!」
「うん」と返事をして、先を急ぐサラサとナタネ。


その頃、ハクタイには奇妙な物が現れていた−…
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るりっち #21☆2007.11/14(水)09:19
togetoher 〜一緒に〜

ハクタイ上空には巨大な「空間の裂け目」
そして町の時間はとまり、炎の赤い揺らめきだけが人々の目に映し出される。

「こ、これは…!?」
目の前に広がる光景は、声に出せない驚きと恐怖だった。
けれど、サラサはとっさに動き出していた。

「未、<みらいよち>!!そして<サイコキネシス>!!」
空中に映し出された光のスクリーンには、<サイコキネシス>によって逆化された映像が映し出される。

「何、あれ!?」
スクリーンのはしに映っていたのは、巨大な4つの目。


「ディアルガとパルキア」
背後からの声の主はシロナのものだった。

「ディアルガと…パル…キア?」
「そうよ、サラサちゃん。この世界を生み出した主のタマゴから生まれた、この世で初めての「命」なの。その力は強大で、ディアルガは”時”、パルキアは”空間”を操ると言われてる」


「…その災いから世界を守るために私は神話を調べてた」
シロナはそっとあるきだした。
「バッジをすべてゲットした後、私のいる<ポケモンリーグ>まで来て。待ってるわ」

「シロナ…さん?」

シロナは何も言わず、その場を去った。
「何を言いたかったのか、私には分からないけど…」

「私に挑戦するのね」ナタネは言った。

『まだシロナさんが何を考えているのか分からない。けど、私は言われたことを実行する』
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るりっち #22★2008.01/11(金)20:32
rife 〜草〜


町の住民が助け合い、花の咲き誇る町ソノオタウンへやってきたサラサ、ナタネ一行は花畑へとやって来た。

「さぁ、時間もないわ。ズバリ、バトル開始しましょう!ルールは使用ポケモンは三体で、チャレンジャーのみ交代は可。先に二体戦闘不能になった時点で勝者が決定される。それでは、レディ、、、GO!」

「行って!未!」
「頑張ってね、ナエトル!」

サラサはサーナイト、ナタネはナエトルでのバトル。
「ナエトル!速攻で<はっぱカッター>!!」
「<マジカルリーフ>で反撃よ!!」

「ナーオォォ!!」
<マジカルリーフ>が、ナエトルの体に次々と切りつけられる。
「くっ…<こうごうせい>で回復するのよ、ナエトル!!」

    パァァ…

<こうごうせい>の眩い光が、視界を見えにくくさせる。
だが、サーナイトは目を空けていなくても相手の動きを見切れる。そこに<シャドーボール>を撃つ未。


ナエトルはそれに気づき、すばやい動きで未を翻弄(ほんろう)し、強烈な<たいあたり>を真後ろから食らわせた。

『サラサ、ごめんなさい!油断してたわ』
未がテレパシーでサラサに語り掛ける。

「大丈夫よ、戻って」

「やっぱりすごいわ、ナタネさん」
「ありがとう。でも攻撃の手を緩めるつもりはないわ!」
「私も全力で行かせてもらいます。雫!」

「ラーグラァ!!」

「なっ、草タイプ相手に水・地面のラグラージ!?」
「油断してると痛い目にあいますよ!さぁ、力いっぱい<いわなだれ>!」

       ドドド…
「!?」
 
一瞬でナタネのナエトルの周囲には、巨大な岩山が立ちふさがった。
「<たいあたり>で岩をどかすのよ、ナエトル!」
「雫!決めるわよ!!」「ラグッ!」


雫はゆっくりと腕を持ち上げながら、後ろへと下がり始めた。
ガラガラとナエトルが岩の隙間から頭を出した瞬間に、勢いよく走り始める。

「…、今よ!!」
「ナオォ!??」
「<とっしん>&<アームハンマー>!!」

ラグラージの巨体が、小さなナエトルにのしかかった。そして<アームハンマー>でナエトルを岩の方へと飛ばす。
その衝撃で、あたりには砂煙が巻き上がる。

「雫…」
「ナエトル…」

「「<たいあたり>!!」」

両者は、激しい砂煙のなかから飛び出す。そして…

      ドサ…。
倒れたのはナタネのナエトル。ラグラージはそこにしっかりと立っていた。

「お互い五分五分ってとこね、サラサ」
「次は絶対に倒されませんよ?」


「いけっ、ロズレイド!」
「雫、戻って!出ておいで、縁!」

「ロズレイド、すばやさで翻弄するのよ!」
「ロズレィッ!!」

縁…、ユレイドルは体が重いためすばやく動くことができない。
逆に動きのすばやいロズレイドは、このバトルでは有利だ。

「どくどく!!」
「ユレッ!?」

舞うように回転しながら、ロズレイドはどく液を撒き散らす。縁は一歩でも動いたら足元からどくが回って倒れてしまう。

「縁。落ち着いて。ゆっくりと目をつぶって力を溜めて…」
「<ソーラービーム>は、くさ・どくのロズレイドには威力半減よサラサ!いけっ!」
「ロズ!」

縁の体には、するどく尖った<どくばり>が食い込む。
「さぁサラサ。これでそっちのユレイドルはどくで動くこともできない、技もだせない!」

「…それはどうかしら?」
「<ねむる>!?」
「縁、<じしん>!!」

地面がうなりをあげて揺れる。ロズレイドはダメージを受けないよう空へと舞い上がる。
「かかったわね!!縁、<ソーラービーム>から<げんしのちから>!!」
「あっ!?かわして、ロズレイド!」
<ソーラービーム>と<げんしのちから>をひらりとかわし、地面に降り立つロズレイド。


「さ!きめるわよ!ロズレイド…、!??」
ヒュオゥ…
いきなり空から岩が降って、ロズレイドに直撃した。

「<げんしのちから>は真上に向かって放たれたの、忘れてたかしら?ものは地球の引力によって再び地面へと落下する」

「あっぶない!!ロズレイド、戻って!ズバリいい感じのバトルね!久しぶりだわ、こんなに楽しいの!私の最後の一匹はこの子よ」

ポムッ!

ナタネのモンスターボールから出てきたのはチェリンボ。
縁との体格差は大きい。
「相手が何であろうと、全力で倒すのみ!いくきますよ、ナタネさん!」

お互い1vs1…。だけど、サラサのラグラージは、このチェリンボ相手にどれだけ戦える?」
「私は雫を信じているから!!頑張ってね、雫!!」
ボールが地面に着いた瞬間、ボールから飛び出してほえる雫。どうやらやる気満万らしい。

「チェリンボ<にほんばれ>!!」
チェリンボの頭上に、光が降り注ぐ。
「さぁこれで、あなたのラグラージの水技は威力半減。そしてチェリンボ<ソーラービーム>!!」
日差しの効果ですばやくエネルギーをためたチェリンボは、至近距離で攻撃する為、雫向かって走り出す。それに対応するように、雫は腕をゆっくりと持ち上げた。

『…見たところ、あのラグラージは打撃専門。鍛えられた腕がその証拠だわ。だから<ふぶき>は打ってこない。あるとしたら…ズバリ<じしん>や<たきのぼり>の、威力の高い水・地面技…ね』

「「今よ!!」」
ナタネのチェリンボと、サラサの雫は同時に攻撃をしかけた。
雫が勢い良く腕を振り落としたが、小柄なチェリンボに当てることは相当難しい。チェリンボの3cm横に風を巻き起こしただけだった。

その隙をねらって、チェリンボが雫のふところへ<ソーラービーム>を撃った――…

かに見えたが、雫は<れいとうパンチ>を繰り出していた!!
氷は運良くチェリンボのエネルギー源の葉にあたり、凍らせた。
しかし<にほんばれ>で氷がすぐに溶け、ナタネは状況が分からない。
「ななな!?なんで倒れてないの!?確かに技は決まったはず…!」
チェリンボはその体系を生かしながら雫の両腕パンチを交わしていたが、とうとうその体格差に押され、倒れてしまった。


「ズバリ…負け…ちゃった」
がっくりとナタネは肩を落とし、その場にへなへなと座り込んだ。
「ナ、ナタネさん?大丈夫ですか!?怪我とか…!?」
「あ、ううん。あまりにも…激しいバトルだったから。うん!!ありがとうサラサ!!こんなにも熱く楽しいバトルは久しぶり…いいえ、初めてだったわ!!これ、フォレストバッジ。ズバリあなたに相応しいわ♪」
そう言ったナタネに答え、サラサはそっと片手を差し伸べた。


その後、2人はソノオのポケモンセンターでポケモン達を休ませた。
「次はクロガネね。ヒョウタとは知り合いなんだっけ?」
「はい!ヒョウタさんにはシロナさんが連絡してくれたそうです」
「そう。長旅だと思うけど…頑張ってね!!私は応援してる」


「ありがとうございます」 そう言い残し、サラサはクロガネへと向かった。
一刻もはやくシロナさんにその言葉の意味を教えてもらいたい。その一心だった。

−その頃クロガネシティ−
「おーぃヒョウタ!!例のもの、持ってきたぞ!!探すのに苦労したんだからな」
そう言いながら、黄色い髪の青い上着を着た青年が、炭鉱の責任者―…、ヒョウタの元へと走っていった。
「有難う、助かったよ。これで[あのポケモン達]に一歩近づいた」
「なぁ、そのポケモン達?って、どんなんなんだ?オレよくわからないけど…」
「それはね、「意思」「感情」「知識」を司るポケモンと言われていて、神話にでてくる「ディアルガ」と「パルキア」の次にこの世界に生み出されたポケモンと言われているんだ」
「ふぅん…。よくわかんねぇけど、凄いポケモンなんだな、お前の求めてるポケモンって」
「求めてるっていうか、お礼をしたいんだ。小さいころのね―…」
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るりっち #23★2008.02/03(日)19:38
red chain 〜赤い鎖〜

今サラサのいる場所は、クロガネゲート。
途中、なにやら事故があったらしく、遠回りをしたせいで辺りはもう暗くなっていた。

「ゲート長いんだもんなぁ…。こんな事なら、ハクタイで自転車を借りてくればよかった」
明かりこそあるものの、夜の利用者は少なく、狭い空洞に一人でいるととてつもない孤独感だ。

     ジャリッ

突然どこからか何かの動く音…というか、擦れるような音が聞こえた。
それは一回聞こえただけで、その後に続く音は、サラサの息遣いしかない。
「…。(空耳かな)」
そう思いながらも、さっさと抜けたい気持ちから、歩くどころかもうすでに走り出している。
実はサラサはお化け(ポケモン以外)が大嫌いだったりする。
「(な、何!?もしかしておば…)」
そんな感情が頭に過った瞬間、目の前にぼうっとした光が現れ、恐怖心で足がすくむ。
その光はだんだんこちらへと近づいてくる。前からも後ろからもジャリジャリという、歩く音が聞こえ、苦痛のような叫び声が聞こえる。サラサはもうパニック状態に陥っていた。

「いやぁあぁぁあぁあぁぁああぁ!!」


10分後、クロガネシティ クロガネジム前


「ごめんなさい!!まさかそっちから来てくれるとは思ってなくて…」
「全く…。まぁ、しょうがないか。サラサちゃんは怖がりだからね」
「へぇ…おばけとか怖いんだ。じゃ、テレビのなかの電気おばけの話でもしようか?」

「やめてください、デンジさん!!ヒョウタさんもひどいですよ…。心配とかないんですか!?」
そう、話相手はクロガネシティジムリーダーヒョウタと、ナギサシティジムリーダーデンジ。
2人とも、サラサが来るという知らせをシロナから受け、ゲートまで迎えに来たのだった。
さっきのサラサが見た光は、レントラーのフラッシュ。苦痛な叫び声は、ズガイドスに足を踏まれたデンジの声。もちろん、何方向からも音が聞こえたのは、洞窟内で音響したからだった。

「調子はどう?サラサちゃん。ナタネに勝ったってすごいね!!僕と同じで岩タイプの使い手なのに。まぁ、水の使い手でもあるけど、両方草に弱いし」
「調子は全然大丈夫、元気です。ナタネさんに勝てたのはまぐれ、とも言えますし…」
さっきの事、ナタネとのバトルの事を思い出したサラサは、気が抜けてその場に座り込んだ。
ヒョウタとのバトルは、なぜかデンジもバッジを賭けると言い出して、2vs1の形に決定。
サラサはポケモン3体、ヒョウタとデンジは1体ずつ。
公式戦とは枠がはなれてしまうが、審判のイワオも了解した。

「じゃぁ…、サラサちゃんも疲れているようだし、試合は明日の昼前。それまでゆっくり休むといいよ」
「はい」
「ま、俺とヒョウタの最強タッグが負けるわけないと思うけどなーw」
「…デンジ君、最強って…。うん、お互いベストを尽くそうね!」

その夜、サラサはポケモンセンターに泊まった。
(このシンオウの神…。そして、世界も巻き込んで…?どうなっちゃうんだろう私)
そんなことを思いながら、サラサは床についた。
ポケモン達もやる気満万の様子で、バトルに期待できた。


次の日、「あれ」が起きるまでは…。


朝7時頃、サラサは気持ちよく目覚めた。
クロガネまで、ずっと休まず歩いていたせいか、ぐっすり眠れたようだった。

「そうだ。今日はジム戦だったわ!少しでも技の威力もあげたいし、炭鉱へ行こうかなっ」
ジム戦で使う2匹−縁と雫−を連れ、サラサは一人クロガネ炭鉱へとやってきて、早速野生のイワークに出くわした。
「雫、アームハンマーよ!!」
効果は抜群!!雫の腕の一振りで、巨大なイワークはその場に倒れこんだ。
一体目の敵を倒し、サラサはゆっくりと湿った土の香りのする空気を吸い込んだ。
今日は炭鉱内の仕事は休みの日で、思う存分修練に取り組める…ハズだった。

「そこの人!逃げて下さい!!危険です!!」
そんな声と共に、マウンテンバイクに乗った男子が猛スピードで奥から走ってくる。
「ちょ、な!?どうしたんですか!!?」
サラサはいきなりの事に驚いて、肩をすくめた。
その男子はそうとう焦った様子で、息を途切れさせながらその場に止まった。
「何だか炭鉱のようすがおかしいんだ。向こうから地響きが…って、アレ!?君…サラサちゃん!?」
「あっ、もしかして…ロードさん!」
この男…ロードは、サラサが昔住んでいたヤマブキシティで出会った人で、年はサラサよりも少し上。
流々の亡き後、いろいろと話し相手になってくれたのだった。
オーキド博士の依頼なども受けており、ポケモンに関する知識も半端ない。
サラサの旅のサポートをしてくれている人物である。
「えっと…最後に連絡とったのは…大体5ヶ月前?だったよね??」
「あ、そうでしたね…。というか、急いでたんじゃ…?」
「そうだった!!はやく…」

    キュィィィィィィィン…!!

何やら炭鉱の奥からハイパーボイス以上かもしれない巨大な音がこだます。それに合わせて、炭鉱内の鉄柱なども小刻みに揺れている。
「ここは危ない、出よう!」
「はい!!」
サラサとロードは全速力で駆け出した。
外へ飛び出した瞬間、炭鉱の入り口が落石によって封じられた。
炭鉱の裏側を破壊し、勢いよく出てきたのはなんとパルキア。
ハクタイから消えた後、きっと空間を辿ってクロガネまで来たのだろう。
「あれは…パルキア」
「!!知ってるんですか、ロードさん!!」
ロードはゆっくりと首を動かし、頷いた。
「弟が調べてたからね。パルキアの神話のことを…」

ー続くー
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るりっち #24★2008.08/05(火)04:09
「パルキアって…『空間を操る』ポケモンでしたよね?」
「そう。真空空間を作れる…ポケモンいや、「神」と言った方が妥当かな」
『神』という言葉を聞いて、サラサはふと思い出した。
シロナさんが言っていたこと。そしてパルキアと対になるディアルガのことを。


…炭鉱の様子を見に来たヒョウタとデンジは思わず絶句してしまった。
目の前に巨大なドラゴンが立っていたのだから無理は無いのだが。

「こいつが…昼に暴れていたヤツかも知れないな」
思い返したようにヒョウタが呟く。サラサがクロガネへ向かう途中に通行止めの場所があったのは、パルキアが暴れ、落石があったからだった。

「あ!ヒョウタさん達!!」
2人に気がついたヒョウタとデンジはサラサとロードのもとに駆け寄った。

「とりあえず…私達4人で被害をできるだけ食い止めないと!!」
「分かってる。僕もこの街のジムリーダーとして、放っておく訳にはいかないよ」
「おし、俺の素早いライチュウで動きを封じてやる!!」
「俺も手伝います!!」

「さぁ、行こうか!!」
ヒョウタの掛け声と共に、4人は走り出した。
『なんとかパルキアを止めなきゃ!!この街があぶない!!』
全員、そんな思いでパルキアに向かっていった。

「ライチュウ、<でんじは>でパルキアの動きを止めるんだ!」
デンジに攻撃指示を出されたライチュウは、長い、アース状のしっぽをつかって、小さな電気玉を弾き出した。

「ウォォ!」
<でんじは>は見事パルキアの尾に当たった。
しかし、それでパルキアの動きを封じることは出来なかった。
「キュィン」と音を立てながら、パルキアの右腕に光が集まっていき、それはデンジのライチュウへと放たれる。
物凄い衝撃波で、周りの土がまいあがり、辺りは砂嵐状態になった。

「…いけ、ラムパルド!」
「蓋、あなたの出番よ!!」
砂嵐の天候に強いラムパルド・ズガイドスの2体は、パルキアに向かって<とっしん>を繰り出した。
しかし、その巨大な体の前ではびくともしない。

その時ロードは「EP00」と名づけられたレアコイルに乗って、上空にいた。パルキアの弱点、またはそれに近いものを見つけられるかどうかを。

と、北のほうから何か光が飛んでくるのが見えた。
柔らかい、小さな光が…。


「きゅううん!」

「何だ!?あの光は? …ポケモン…!?」
ロードの目に写ったのは、小さく、赤い宝石が額にある、ピンクのポケモンらしき生物。

とっさにロードは下にいるサラサ、ヒョウタ、デンジに向かって叫んだ。
「皆さん!アレ見てください!!」

「ロードさん…?あっ!」
サラサは思わず声を上げてしまった。砂嵐の隙間に、ちいさな光が浮かんでいるのが見えた。
そのポケモンは円を描くように舞い、クロガネジムのほうへと飛んでいく。その様子を見ていたヒョウタは、突然走り出した。

「あのポケモンは!もしかして!!」
「おい、ヒョウタ!?一体どうしたんだよ、急に!」
「いたんだ。エムリットが!!あのポケモンはきっと、ジムにある『赤い鎖』を探してる!!」


そんなヒョウタを見送ったのち、皆はまた戦闘態勢に入った。
強靭な肉体を持つパルキア。
その体から繰り出される技の数々には、優秀なトレーナーも全く歯が立たない。

「どうしたらいいの…?」
サラサはすでに力尽く寸前。気弱になりつつあった。
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るりっち #25☆2008.11/02(日)09:38
embarrassment 〜困惑〜

「おぃおぃ。そんな情けない声だすなよ」
「デンジさん…」
そう言って励まそうとするデンジの声にも、不安は混じっていた。
砂嵐はもうほぼ止んでいたが、依然パルキアは暴れつづけている。

「私…、どうすればいいのか分からなくなってきちゃって…。伝説のポケモン相手に何もできない…。街が壊されるのを見てるだけだなんて…!!」
サラサは自分の頬を一筋の涙が伝ったのに気付かなかった。
自分の無力さを確信し、また怯えた。

「サラサ…?」
はっとし、涙を拭う。
「あれ、なんで、涙…」

「…、大丈夫…です。落ち着きました」
しかし、デンジは首を横に振る。

「大丈夫じゃねぇだろ。後ろ下がってろ」
「でも…」
「でも、じゃねぇ!そんな状態で戦えるかよ!邪魔なだけだ!!」

サラサは一瞬凍りついた。が、その言葉の意味は、分かった。
ゆっくりと深呼吸し、一間置いてから
「分かりました。援護に回ります」
と、言った。
その次の瞬間だった。

「おぉぉおぉおぉぉん!!」
パルキアが上昇を始めたのだ。
エムリットがパルキアを誘導するように前に浮いている。
そこへ、ヒョウタも戻ってきた。
「あれは…、エムリットな何をしようとしているんだい…?」
そんなヒョウタの質問に、レアコイルを戻しながらロードが言った。
片手にはパソコンを持っている。

「何か…テレパシー、もしくはその類の波長を察知できます。エムリットは、パルキアを空間の狭間に連れて行こうとしてるんだと思います」

皆、真剣な表情でエムリットを見つめた。
…サラサの頭に映像が流れ込んでくる。
「始まりのタマゴ」「世界の二神」「心の三神」そして…、「闇の神」
「闇の…神…」
ふと、口に出したその名に、ロードは驚いた。
「サラサちゃん…?それって…」
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[1082]

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ぴくの〜ほかんこ