ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

連載[1094] Shine & Darkness

瑠璃々 #1★2007.07/11(水)20:16
ドサッ!


ポケモンセンターの角を曲がった途端、
女主人公ユウと、誰かがぶつかった。


「…だ、大丈夫ですか─!?」
そうユウが叫ぶと、倒れた人は上目づかいでこちらを見たようだったが、すぐに伏せてしまった。


ちょっと間を置いて、
倒れた人が顔を上げた瞬間、ユウは悲鳴をあげそうになった。

「あ、あ、アツキ─!?」

男主人公・アツキは、ユウと同じ図鑑所有者の一人だ。
最近、ひょいと姿を現さなくなっていた。

「アツキぃ!今までどこ行ってたのよぉ─!」

ユウはかなり怒っていた。
別に、アツキがずっと姿を見せなかったからではない。


「…ごめんなさいね。」

アツキはあっさり謝った。

「…あぁもぅ!!謝れば済むとかいうんじゃなくて―…」

ユウの言葉をさえぎるように、アツキは立ち上がった。

気をとりなおして、
「別に心配した訳じゃないからね!!お届け物があっただけ!はい!」
…とユウが一気に喋って何やら封筒のようなものを押し出すと、アツキは案外あっさり受け取った。

「これ…だれから?」
アツキは受け取るなり、目を細めてユウにこう訊いた。

ユウは即答した。
「知らないオジサンから!」

「…は?」

アツキは目を点にした。
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瑠璃々 #2☆2007.07/07(土)09:53
「ナナカマド博士―!」

アツキの男友達であるトウシの声。
トウシも、アツキやユウと同じ図鑑所有者の一人だ。

「約束どーり、主力、持ってきましたよ!」

トウシがそう言うと、奥からヒゲ面の男がやって来た。
「助かる。…あとの2人は来ていないのか?」


「あっ!」
トウシが慌てた顔をした。

「どうした?」

「2人に連絡するの忘れてた!」

ナナカマドは、溜め息をついた。

トウシは急いで研究所の隅にある電話を手に取った。

「もしもーし!…うん、オレ!アツキ?え?ユウもいるの?うん、研究所!今すぐ研究所に来いよ!」

そこまで言って、すぐに受話器を置いた。


5分もしないうちに、戸を叩く音がして、挨拶をして2人が入ってきた。

入ってくるなり、アツキは、トウシの方を見て、
「お前、なんの目的で呼んだんだよ?」
と訊くと、

「お前達を呼んだのは私だ!」
…と、ナナカマドが言った。
「2人とも、主力は持ってきたか?」

「えっ?」

そんなこと言われなかった、とでも言うように2人はトウシの方を見た。

するとトウシは、慌てもせず
「大丈夫ですよ。お2人さんはいつでも主力を持ち歩いてるはずですから。」

とナナカマドに言った。

「本当に持ってきているのか?」
…とナナカマドがアツキとユウに訊くと、アツキは静かに、

「持ってますよ。バトルもせず遊び歩いてる誰かさんとは違って、ね。」
と言った。

トウシは苦笑いをするしかなかった。
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瑠璃々 #3☆2007.07/07(土)09:58
「…それで、何の目的でオレ達を呼び出したんですか?」

アツキが気を取り直すようにナナカマドに訊いた。

「研究のためにお前達の主力のポケモンが必要になった。お前達の主力のポケモン6匹を今日1日だけ預からせてもらう。」

「え…?」

そう聞くなりトウシは目を丸くして、

「それじゃあ、僕たち、どこにも出歩けなくなっちゃうじゃないですか―!」

と、怒ったように言った。

「問題ない。今日一日は私が用意した、予備のポケモンを使ってくれ。だが今は、研究所のポケモン預かりシステムは故障していて使い物にならん。」

「えっ、じゃあ…?」
トウシは顔をあげた。

「この町のポケモンセンターに預けてある。それを今から取りに行ってくれ。」

「分かりました!」
トウシとアツキだけが、そうこたえた。

ナナカマドが奥へと戻っていくと、トウシがユウを睨んだ。

ユウは目をそらした。

アツキはそれを横目で見ながら研究所から外へと出ていった。


トウシとユウもそれに続いて出ていった。
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[1094]

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