ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

完結[1104] 〜君に送る手紙〜

POKE #1★2007.08/10(金)18:55
〜下書き〜

初めまして、僕はごくごく普通の……。
いつも一緒にいてくれる友達はレントラーのライ。
男の子で、素直。
いつも僕の書いた手紙をポストまで送ってくれていたんだよ。
え?僕はどうなのかって?
それは…今は言わなくてもいいんじゃないかなぁ。
僕は、さっき言ったように、ずっと手紙を書いていたんだ。
返事なんて返ってくるはずもない、ただ書き終わったら送ってたんだ。
別に不思議に思われても構わないけどね。
さて、その手紙、見てみるかい?
見るか見ないかは、そのときの気分で決めてもいいからね。
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POKE #2★2007.08/10(金)18:41
一通目〜初めて送った手紙〜

こんにちは、ご無沙汰しています。
手紙は初めて送りますね。
最近、なぜだかあなたの笑顔が浮かんでは消えていきます。
不思議ですね。
僕でも不思議だと思っています。
多分、あなたにずっと会っていないからだと、僕は思っています。
話は変わりますが、昨日、新しい友達ができました。
格好いいけど、ちょっと可愛いコリンクで、素直な性格。
でも、ちょっぴり寂しがり屋で、甘えん坊です。
名前はライ、雷と書いてライです。
じつは、ライはこの前、泥棒を捕まえたんです。
フレンドリーショップから走って逃げていった泥棒を、スパークで痺れさせて捕まえたんです。
ライ、とっても嬉しそうでした。
僕も嬉しいです。
一緒に喜び合う、これが友達として大事なことでもあると思いました。
その日、家に帰るときは、同じ道でも、とても短く感じました。
僕達が野生のポケモンと喧嘩して負けてしまった時はとても長く感じるんですがね。
本当に不思議ですよね、同じ道を通ってるのに。
あなたと一緒にいたときは、いろんな道を通ってきましたが、バトルに勝ったときや
ジムバッチを手に入れたときはとっても短く感じましたよね。
バトルに負けたときや、ポフィン作りに失敗してしまったときは長く感じましたよね。
あなたがどう感じているかは、僕は分かりませんけどね。
生きているなら、嬉しいことはたくさん起こって欲しいけど、嫌なこと、悲しいことは必ずありますよね。
きっと、あなたも同じ道を通っても、短くも長くも感じたことがあると思います。
本当に、不思議ですよね。
では、風邪などに気を付けて下さいね。
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POKE #3☆2007.08/10(金)11:56
二通目〜春が来ましたね〜

こんにちは、少しお久しぶりです。
春が来て、暖かくなりましたよね。
リングマ達も冬眠から覚めて、木の実を探している頃でしょうね。
それに、アゲハントやバタフリーが花畑を飛んでいるのをよく見かけるようになりました。
そういえば、僕とあなたが初めて出会ったのは、今と同じ頃でしたよね。
桜の綺麗な森の中で、僕が一人でいたときに、笑顔で話しかけてくれて…
それが何日か続いて、あなたのことを、僕はいろいろ知りました。
あなたの友達、暮らし、憧れ、そして夢。
あなたが夢を追いかける為に旅に行くことを聞いたとき、正直とっても驚きましたよ。
あなたと別れるのは、独りぼっちだった僕にとって、全てを失うのと同じだったんですから…
だから、僕は必死であなたを引き留めていましたね。
リュックを背負って、空っぽのボールをボールホルダーに付けたあなたのズボンを引っ張って。
その時のあなたの困った顔、今思うと申し訳無いなと反省してます。
その拍子に落ちたボールに、僕は走って、急いで入りました。
ボールの中から見えたあなたの驚いた顔、ちょっとだけ、面白かったです。
そして、それがあなたとの長くも短い旅の始まりでしたね。
あなたの夢、チャンピオンに勝って、チャンピオンになると言う夢。
最初に聞いたとき、女の子なのに珍しいなって思いました。
でも、どんな夢を見るかは人それぞれ。
誰も決めてはいけないんですから。
僕にも夢がありましたね…
子供の頃は、雷の石がとっても欲しかったのを覚えています。
雷の石は滅多に手に入らないし、それに、父さん達ライチュウが羨ましかったのかも知れません。
それとも、強くなりたかったのかも知れません。
でも、あなたの夢を聞いてから、僕の夢は変わりました。
あなたと同じ夢を見たい、そしてその夢を叶えたい。
それが僕の生まれて三つ目の願い事でした。
そういえば、僕の二番目の夢、誰にも話したことはありませんでしたね。
その夢は、いつか、また改めて話そうと思います。
では、お体に気を付けて下さいね。
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POKE #4☆2007.08/10(金)11:57
三通目〜桜が満開ですよ〜

こんにちは、最近、暖かくなってきましたね。
春は恋の季節と言われていますが、幼かった僕は恋なんて言葉を知りませんでした。
昔、兄さんや父さんや母さんしか周りにいなかった僕は、知る由も無かったので。
でも、兄さんが一人旅に出て、僕も独り立ちして、からはいろんなポケモンに出会って、たくさんのことを知りました。
そして、今と同じ頃、あなたと出会うずっと前、初めての友達が出来ました。
同じピカチュウのハル。
行く当てもなく森を歩いていた僕に初めて話しかけてくれたポケモンです。
ハルと一緒にいたときの思い出は、あなたと旅をしていたときの思い出と重なります。
ハルと一緒にいたときは、あなたと一緒に旅をしていたときと同じくらい楽しかったです。
一緒に笑いあって、喧嘩もときにはして、でも、かけがえのない時間でした。
でも、ハルは、悪い奴らに捕まってしまって、長く一緒にはいれませんでした。
ハルの最後の言葉、『さよなら』。
あなたと同じ笑顔で、ハルはそう言いました。
幼かった僕は、ただ、普通に返事を返すことしかできませんでした。
今なら、そのときの彼女の言葉の意味が分かります。
それは、僕が大人になったと言うことなのか、この世の中のことを知ったからなのかは分かりません。
そのことが、僕の四つ目の夢を作るきっかけになりました。
そういえば、前に送った手紙に、僕の二番目の夢を誰にも喋ってはいないことを書きましたよね?
僕の二番目の夢、それは、もう二度と大切な物を失いたくない。
そんな願いです。
でも、分かっていたはずなんです。
そんな願い、叶うはずが無いこと。
昔の僕にも、本当は分かってたはずでした。
やっぱり、人もポケモンも、悲しいことには目を背けたくなるんでしょうか…
では、今回はこれで。
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POKE #5☆2007.08/14(火)08:50
四通目〜梅雨になりましたね〜

こんにちは、また、ご無沙汰です。
最近、雨の降る日が多くなってきましたね。
晴れた日、外を見ると、道のあちこちに水たまりが出来ています。
ニョロモやニョロトノ達が宴会の様にはしゃぐのをよく見るようになりました。
そういえば、この前の大雨の日に、ライがルクシオになりました。
僕もライも嬉しくて、大雨の中なのに、屋根の下にも入らないで大はしゃぎしてしまいました。
子供の様にはしゃいで、すっかり泥だらけになってしまって、ライも僕も家に帰ったらすぐにお風呂に入ることになってしまいました。
その後は小さいのと、それより少し大きい泥の足跡のついた廊下とお風呂場の掃除になりました。
今、この手紙を書いている僕は、思わず笑ってしまっていると思います。
笑う、ということで思ったんですが、あなたが最後に笑ったのはいつでしょうか?
僕の思い浮かぶあなたは、いつも綺麗な笑顔です。
あなたの思い出を浮かべても、まず最初にあなたの笑顔が浮かびます。
僕のあなたの記憶には、必ずあなたの笑う顔が付いてきます。
バトルに負けた思い出でも、美味しいポフィンが出来なかった思い出にも、あなたの笑顔が浮かびます。
ただ一つ、あなたの笑顔の無い思い出、それは僕とあなたの永遠の別れ。
もう二度と、あなたと話すことは無いと思うと、十年経った今でも、涙が溢れてきます。
少し手紙に染みがあるかもしれませんが、僕の涙だと思いますので、気にしないで下さい。
では、停電や雷には気を付けて下さいね。
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POKE #6☆2007.08/14(火)21:13
五通目〜今、空には虹が架かっています〜

こんにちは、少々お久しぶりです。
もう、梅雨が終わってきて、太陽がよく顔を見せてくれるようになりました。
そして、今、空には七色の虹が架かっています。
ホウオウが通ったわけじゃ無いけど、すごく綺麗です。
あなたの見ている空にもこの美しい虹が見えているでしょうか?
同じ空の下にいるかは分かりません。
あなたの見える景色が空の上なのか、それとも地面の奥深くなのか、何も見えないのかは分かりません。
でも、僕の目の前には、少しだけ透けた虹がしっかり見えています。
虹って、不思議だと思いませんか?
七色の綺麗な空に架かる橋のようだけど、渡ることは出来なくて、時間が経つと全て消えてしまう。
とってももろくて儚い物だと思いませんか?
雨と太陽、そして光が一つになって、初めて出来る。
素晴らしいですよね。
僕達の旅でも、みんなの力が一つになって、やっと乗り越えられたことがたくさんありましたよね。
しかし、今となっては遠く色褪せた思い出になってしまっているかもしれません。
でも、僕の心の中では、今でも鮮やかな美しい思い出です。
みんなで、優しく手を取り合って歩いた日々が、今でもはっきりと思い出せます。
思い出すたびに、悲しくなってしまうんですけどね。
では、今回はこれで。
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POKE #7☆2007.08/19(日)13:59
六通目〜たまには思い出に浸るのもいいですよ〜

こんにちは、最近暑くなってきましたね。
今、きっと、炎ポケモン達は外を駆け回っているでしょうね。
そういえば、夏と言えば、儚い思い出を描いた歌が多いですよね。
僕も、少し辛いけど少しだけ、思い出に浸ってみることにします。
あなたと旅を初めて、たくさん喧嘩をしましたね。
そのたびに、何度も仲直りして、絆は強くなっていきました。
喜びも悲しみも、みんなで分かち合って。
いろんな出会いがあって、そして別れて行きました。
……やっぱり、別れが来るのは、避けられないんですよね。
僕にとって、あなたは全てでしたから、涙が止めどなく溢れて。
どこにも帰ることが出来なくなって、悲しかったです。
それよりも、あなたと描き出した夢であり、僕の夢を叶えることが出来なかったのは……辛かったです。
失う時がいつか来ることを、僕だって知っていました。
……このまま時が止まってしまって欲しいと思ったことが、何度も。
過去に帰ることが出来れば、辛い思いはしなくてすむのにと思ったことが、数え切れないほど。
旅をしてるときは、そんなこと、欠片も感じなかったのに。
正直、あなたはずるいと思ったこともあります。
でも、思い出をいつまでも追いかけていてはいけないことを、あなたに教えてもらったことが一度だけあります。
忘れたくない、別れたくないと思っている思い出でも、いつか必ず別れがくるんですよね……
そして、僕も、あなたも思い出になって……
今思えば、昔の僕は泣き虫で、足手まといだったかもな、と思ったことがあります。
もう、謝ることも出来ないのに。
いつの日か、僕自身が変えることの出来ない過去を信じられる様になれたらいいのに……
では、また。
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POKE #8☆2007.08/24(金)17:15
七通目〜これが最後の手紙、僕は悲しいです〜

こんにちは、とてもお久しぶりです。
前に手紙を送ってから、何ヶ月も遅れてしまいました。
過去の思い出って、人の、いや、どんな生き物の心にもあるんですよね?
それは、心の支えにも、因縁にも、自分自身を縛る鎖にもなります。
心の支えとなる思い出しかない生き物なんていないんです。
僕も、過去に捕らわれ続けてしまってる生き物の一人です。
あなたはどうだったでしょうか?
悲しい思い出に捕らわれたことはありますか?
きっと、一度は悲しみに触れて涙を流したことがあると思います。
あなたは最後の最後まで、涙を堪え続けていましたよね。
悲しさを堪えるのはとても辛いから……
それに、もっと早く気付いていたかった。
もっと早くあなたに、かけるべき言葉をかけたかった。
それが今でも心残りです。
返事の来ない、来るはずのない手紙。
それを書き続けている理由を教えます。
これが最後の手紙ですから。
……きっと、僕の全てであったあなたに、かけれなかった言葉を書きつづるため。
そして、少しでもあなたに僕の気持ちが届けばいいなと思っていました。
何よりもあなたが大好きなんだ。
泣きたいときには泣いてもいい。
あなたの側にいるのが好きです。
いつでも明るいあなたが大好き。
どれも、あなたにかけれなかった言葉。
今ここでかきつづっていても、あなたに届くか分かりません。
最後の手紙、今度は自分で出すことにします。
では、さよなら、僕の最後のパートナー。
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POKE #9☆2007.09/07(金)18:59
最後の手紙〜奇跡とは起こることも起こすこともあるんですね〜

僕の書いた手紙はどうでしたか?
正直、ちょっと見せるのは恥ずかしかったですね。
そういえば、最後の最後、ある雨の日に届いた一通の手紙があるんです。
……今日のことですが、あなたが手紙を読んでいる間にポストに入っていたらしいです。
見てみますか?
僕はさっき見ましたから。
では、どうぞ。



こんにちは、手紙を送るのは初めてかしらね。
手紙、全て読ませてもらいました。
夢を叶えることができなかったこと、心から謝ります。
突然の別れで、私も悲しかったです。
あなたも、みんなも悲しませていたのに、何もできなかったのが残念でした。
今となっては、この手紙に私の気持ちを書くことだけしか出来ないけど、あなたに届けばいいなって思ってる。
私の知ってる言葉を一つ一つ繋げているから、ちょっと、届くのが遅れてしまいました。
あなたの気持ち、全て理解して上げられなくてごめんね。
こんな駄目なトレーナーだった私を許して。
こんな手紙でしか、今の私の気持ちを表せなくてごめんね。
今でも、色鮮やかなあなたの思い出。
少し羨ましいかも。
私は既にあなた達の思い出の存在。
過去の人物でしかないから。
でも、気持ちはある。
その気持ちだけでも、あなたに伝えたい。
あ、考えてみたらなかなか合う言葉が無い……
りっぱな言葉で飾ることも私はできない。
がっちりと心を掴めるような言葉もしらないし……
とても素敵な言葉を知ってる訳もない。
う〜ん……やっぱり簡単な言葉の方がいいのかしら?
私には分かんない。
最高の誉め言葉も知らない私には一つしか、あなたに似合う言葉が出てきません。
もし、私の気持ちが分かってくれたなら、その言葉、受け取ってくれる?
じゃあね、私の何より大事なパートナー。



これがあなたに見せる最後の手紙。
たまにはメールばっかりじゃなくて手紙もいいと思いますよ。
自分の手で書いたなら、そのときの気持ちも表れるそうですし。
相手もきっとよろこんでくれますよ。
夏なら暑中見舞いなどを送ってはどうでしょう?
時間はかかりますが、その分、気持ちも伝わるはずですよ。
手紙や文章は書く人の心が現れると言われていますから。
では、僕はこれで……
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