ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

連載[1118] 輝け!シャインズ探検隊!

ケンタ #1★2007.08/21(火)22:09
>第1話 出会い

ここは、ポケモン達が平和に暮らす、名も無き村。


「やめてよ!返してよ!」
一匹のカラカラがいじめられていた。彼の名前はカイ。カイは暗い性格のためか、友達ができたことが無かった。
「返して欲しかったら追いついてみろよ!」
いじめているのはゲンガーのドク。そして、手に持っているのは「ふといホネ」。
「それは父さんの形見なんだ!お願い、返してよ!」
カイは今にも泣きそうだ。…そのとき!!
「返してやれよ!!」
突然ニューラが飛び出してきた!
「見かけない顔だな…何だお前は?」
「俺の名は、レイ!!それを返さないと…どうなるかわかってんだろうな?」
そう言うとレイは爪をドクに向けた。
「うっ…わかったよ!返せばいいんだろ!」
ドクは骨を放り投げてどこかへ行ってしまった。
「はい。これ、君のだろ。」
レイは骨をカイに渡した。
「あ、ありがとう!」
カイの目からは涙があふれている。
「おい、泣くなよ。そうだ、俺の名前はレイ。最近引っ越してきたんだ。よろしくな。」
「僕の名前はカイ。僕、こんなことしてもらったの初めてだよ。ありがとう。」
カイはとても嬉しそうだ。そしてレイが一言。
「今日から俺達は友達だ!」
「うん!」

こうして二人は出会ったのだ。
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ケンタ #2★2007.08/21(火)22:10
>第2話 事件

カイとレイが出会って数日後…事件は起きた。バンギラスのギラ率いる探検隊・ダークネスがこの村を襲ってきたのだ。

「うらぁっ!!」
ギラがはかいこうせんを撃った。
(ドカン!!)
一瞬で小さな山が吹き飛んだ。ポケモン達は皆逃げ出している。
「くっそ〜…俺達の村になんてことを…許さねぇ!」
そう言うとレイはギラに向かって突っ込んだ!
「あっ!レイ君!」
(ゴオォォッ!!)
炎がレイを包んだ。
「うわっ!?」
ダークネスの一員、バクフーンのバクがかえんほうしゃを放ったのだ。
「レイ君、大丈夫!?」
カイが駆け寄った。
「ああ、なんとかな…」
レイはよろめきながら立ち上がった。
「ボス。こいつ、どうします?」
バクが言った。
「放っておけ。俺らには目的がある。」
「目的…?」
そのときだった。
「ギラ様〜!!」
ダークネスの一番の下っ端、クロバットのクロが飛んで来た。
「クロ、どうした?」
ギラが聞いた。
「何かこいつがアレのありかを知ってるって言ってますぜ。」
クロの指すほうを見る。…ドクがいた。
「ドク君!!」
「ドク!!」
ドクが口を開いた。
「そのかわりと言っては何ですが、私をダークネスに入れてください!」
「…いいだろう。アレはどこだ?」
「こっちです。」
ドクが来たのは村の中心にある大きな木の下だった。
「この下です。」
「離れていろ。いくぞ!」
ギラははかいこうせんを撃った。
(ドカン!!)
木が跡形もなくふきとんだ。そして、そこにあったのは…
「おおっ!これが…」
ギラはその虹色に輝く玉を持ち上げた。
「これが恵みの玉…」
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ケンタ #3★2007.08/21(火)22:10
>第3話 勇気

「恵みの玉?」
レイが聞いた。
「恵みの玉は、恵みを与える。」
ギラが答えた。
「恵みを与えるって…どういうことだよ?」
「つまり、この村がこんなにも食べ物が豊富で、自然が豊かなのは、この玉のおかげということだ。理解できたか?」
カイの顔は青ざめている。
「そしてこの玉を三つ集めると…キヒヒ!」
「…クロ、余計なことは言うな。」
「すいません…キヒヒ!」
「そ、そんなもの、渡すわけにはいかねぇぜ!いくぜ、きりさく!」
レイはギラに向かって飛びかかった。が。
(バシッ!)
ギラにはじかれてしまった。
「とにかく、この恵みの玉は、俺達がいただく。」
「待てよ…」
レイがすがりつく。
「しつこいニューラだ。黙っていろ。」
(ドカン!!)
はかいこうせんが直撃した。
「ちくしょう…」
レイは気を失い、倒れた。
(…レイ君はこんなにボロボロになっても止めようとしているのに…僕は…何もできないのか…)
カイは怖かった。自分より何倍も大きなギラに勝てるはずは無いとわかっていた。
(…でも、止めなきゃ。僕が止めなかったら、他に誰が止めるんだ。よし!)
「ま、待てっ!」
カイはギラたちの前に立ちふさがった。
「その玉を…返せ!」
カイの足は震えていた。
「貴様のような弱いポケモンには興味は無い。」
ギラたちは無視して通り過ぎようとするが、
「恵みの玉を返せ!」
カイはあきらめようとしない。
「そんなにやられたいというのならば、お望みどおりにしてやろう。」
(ゴオォォ!!)
はかいこうせんがカイに向かって伸びていく。
「うわあっ!」
目の前が一気に明るくなった。
目がくらむ。

体中が痛い。


意識が遠のいていく…。
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ケンタ #4★2007.08/21(火)22:10
>第4話 変化

気が付くと、カイは包帯グルグル巻きで、ベッドに横たわっていた。
(ガバッ!)
カイは起き上がり、周りを見た。隣のベッドで頭に包帯を巻いたレイが寝ている。…そして棚のところに居るのは、ハピナスだ。彼女はこの村で唯一の医者、女医のララである。そう、ここはララの小さな病院である。
「あら?起きたのね。大丈夫かしら?」
ララが話しかけてきた。
「まだちょっと痛いけど、大丈夫だと思います。多分。」
「それにしても、よくあなた達ダークネスに逆らったりできたわね。前までのあなただったら無理だったわよ。」
ララは続ける。
「この子と会って、あなた、少し変わったんじゃない?」
「そ、そうかな?」
「そうよ。あ、退院は三日後だからね。」
そのとき、レイが目を覚ました。
「う〜ん…(ハッ)こ、ここは?」
「病院だよ。ララさんが治療してくれたんだ。退院は三日後だって。」
「ありがとうございます…そうだ!恵みの玉は!?」
ララは首を横に振る。
「持って行かれちゃったわ…」
「そんな…それじゃ、これから先、この村はどうなるんですか!?」


その答えは、三日後にわかった。
この日は、ポケモン達のざわめきで目が覚めた。
「えっ!」
カイは外を見て、驚いた。なんと、湖が無いのだ。それだけではない。慌てて外へ出てみると、村中の池や湖がすべて干上がっていた。地面も少し乾いているようだ。
「湖が…嘘だろ…何だよこれ…」
レイもやって来た。包帯は取ったようだ。しかし…何かが違う。
「レイ君、おでこに傷が…」
レイの額には、十字型の傷ができていた。
「ん?ホントだ。でも今はそれどころじゃない!」
そのときだった。
「むう…なんと!大変じゃ!!」
近くで「みらいよち」をしていたネイティオのエンが、大変なことを口にした。
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ケンタ #5★2007.08/22(水)15:26
>第5話 決意

「…97日後に、この村は滅びる。」
そう言うエンの目は、本気だった。
「な…何だって!?本気かよ!じいちゃん!」
「ああ…だが!」
「だが?」
「97日以内に恵みの玉を持ち帰れば、村は救われるであろう。」
…そうと聞いては黙っていられない。
「俺、行きます!」
「僕も!」
「おぬしらにはまだ早いわ!!」
エンは、レイたちに行かせる気はないようだ。
「私が行きます。」
みんながいっせいに声のほうを見る。そこにいたのはハドウ…ルカリオだ。
「長老、私にお任せください。必ず、恵みの玉を持ち帰ってきます。」
「…任せたぞ。ハドウ。」

30分後、ハドウの見送りが行われた。全員…カイとレイを除く全員が村の外へ出ていた。
そして、村ではカイがレイに思いがけないことを言った。
「レイ君、僕たちも行こう!」
「え!?」
「だから、僕たちも行くんだ!恵みの玉を取り戻しに!」
レイは、まさか気弱なレイがこんなことを言うとは思っていなかったので、驚いていた。
「僕たちで探検隊を作ろう!名前も考えたんだ!」
「名前?」
「『シャインズ』だよ!ダークネスって『闇』って意味でしょ。だから、闇を明るく照らす光―『シャインズ』…いいでしょ!」
カイは、嬉しそうだ。
「ま、いいんじゃねーか?」
レイも、嬉しそうだ。
「そうと決まれば早速出発だね!」
「よし!行くぜ!シャインズ、出動だ!!」
二人は村を抜け出した!


残り97日!
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ケンタ #6★2007.09/10(月)22:32
>第6話 戦い

「村は出たものの、どこに行けばいいんだ?」
村から出て3時間、カイたちは、森の中をさまよっていた。すると…
「ここから先は、俺達のなわばりだ。出ていきな!」
スピアーの大群が、突然木から出てきた。
「俺達はコクーンに何もしないぜ。だから通すぐらい、いいだろ。」
「そんなの信用できるか。」
スピアーたちはどこうとしない。
「本当に何もしないからさ、いいでしょ?」
カイがきいた。
「他のポケモンの言うことなんか信じられるか。そのせいで俺達は…うおぉぉ!!」
いきなりスピアーが飛び掛ってきた。
「うわっ!何すんだよ!」
「お前達を、倒す。…皆、かかれっ!!」
ブーンというものすごい音とともに、スピアーたちがいっせいに襲い掛かってきた。
「うわぁぁ!どうするの?倒さないと先に進めないし…」
「よし、倒すぞ!過去に何があったか知らないが、このままじゃ村が滅びるからな!いくぜ、こごえるかぜ!!」
スピアーが数匹、パタパタと倒れた。
「倒すっていったって、どうやって闘えばいいのさ?」
カイは、今まで闘った事が無かった。
「ホネだ!お前の持ってるそのふといホネを使うんだ!」
「わ、わかった…やってみるよ。」
(パコン、パコン、ボコッ!)
いい音がしてスピアーが倒れた。
「うわっ、やった…」
「油断するな、来るぞ!」
(グサッ)
スピアーの放ったミサイルばりが、カイの額に刺さった。
「……。」
カイは立ったまま動かない。
「カイ、大丈夫か!?…おい!?」
「フハハ、もう一発食らわせてやるぜ…ダブルニードル!!」
スピアーがカイに飛びかかった。
(バシッ!!)
スピアーがホネで殴られて吹っ飛んだ。

「どうした?かかってこいよ。」
「!!」
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ケンタ #7★2007.10/14(日)21:25
>第7話 裏

「カイ、どうしたんだよ!?」
レイがカイに近づいた。が。
(バシッ!)
骨でたたかれた。
「痛ってぇな!何すんだよ!」
「お前、やんのか?」
カイがレイをにらみつける。
「おっ!仲間割れか?チャンスだ。いくぞ!!」
スピアーたちが、カイたちに襲い掛かった。
「ホネブーメラン!!」
(バシッ!ドカッ!バキッ!!)
数匹を残してスピアーたちが倒れた。
「つ…強い…」
「ひるむな!あいつらを倒すんだ!」
スピアーの1匹が、カイに突っ込んだ。
「くらえ!ダブルニードル!!」
(スカッ)
カイの姿が消えた。
「お前、どこ見てるんだ?」
カイはスピアーの後ろにいた。そして…
(ボゴッ!!)
「くそっ…こうなったら全員攻撃だ!!」
残ったスピアー5匹が、カイに突っ込んでいった。
「何匹来ようが俺の相手じゃねぇ!!ボーンラッシュ!!」
(ズガ!ドカ!バキ!ボキ!バシッ!バキッ!)
「ウウッ…」
スピアーたちはうめきながら倒れた。
「す、すごい!全部倒したんだな、カイ!先へ進もうぜ!」
「……。こいつら、気にくわねぇ。この森を破壊してやろうか。」
そう言うと、カイは周りにある木を次々に破壊していった。
「お、おい!やめろ!カイ!」
カイは無視して木を倒しつづける。
「どうしてもやめないのなら、俺がお前を倒す!!」
「できるのか?お前に?」
「やってやるぜ…」
レイはカイに飛びかかった。
「…」
(バキッ!!ドカッ!)
レイはほねこんぼうを受け、飛ばされて木にたたきつけられた。
「そんなもんか…これで終わりにしてやるぜ…」
カイがホネを振り上げた。
「本当に…どうしちまったんだよ…カイ…」
そのとき!
「うっ…!?」
(バタッ。)
カイが倒れた。
「…!カ、カイ!大丈夫か!?」
返事は無い。
「でも、息はしてる。急いで病院に連れて行かなきゃ!…森をぬければハガネの街だ。よし、行くぞ!!」
レイはカイを背負って走り出した。辺りはだんだん暗くなってきている。
「頑張れよ…カイ…」


その頃…ある荒野で…
暗闇に、一体のポケモンがいた。
「…まずはここだ。ハガネの街…。」
そう言うと、そのポケモンは闇に溶けるように消えていった…
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ケンタ #8★2008.03/04(火)19:21
>第8話 侵入者

ここはハガネの街。高層ビルが建ち並び、街の中心には巨大なジバコイル型ドームがある。とても広い大都会だ。そこにある病院で…
「大丈夫。一晩寝ればよくなるわ。」
話しているのは新人看護士、イーブイのナナだ。
「よかったぁ…」
レイは胸をなでおろす。
「あなたも今日はここに泊まっていくといいわ。傷だらけだし。」


カイは夢を見ていた。

…ここは…?僕たちの村か…いじめっ子たちがいる…痛っ!石を投げてきた。そうか…これは、あの時の…
また石を投げてきた…痛っ…また石が飛んでくる…
(ゴツッ)
そんな音がした気がした。その後は…覚えてない…気が付いたら、病院にいて、他のいじめっ子もみんな怪我してた。
一体、何があったんだろう…

「う〜ん…」
「あっ!起きた!…大丈夫か?」
レイが心配そうに聞く。
「うん…それより、どうして僕はここに…?」
思い出そうとするが…思い出せない。
「お前、何も覚えてないのか?」
「…うん」
「マジかよ!」
そこへ、ナナもやってきた。
「あら、目が覚めたみたいね」
「…この人は?」
「この人はナナ。カイの手当てをしてくれてたんだ。」
「どうもありがとうございます。」
カイがお礼を言った。
「…それで、何で僕はここにいるの?」
「それはだな…」
レイはそれまでにあったことを話した。横でナナも聞いている。
「そんなことがあったんだ…ごめんね。レイ君…」
カイが謝る。
「まぁ、気にすんなよ。」
「不思議ね…二重人格って言うのかしら?」
ナナが感想をもらす。
「とにかく、今日は早く進まないと!ギラたちが何をするか…」
そこまで言ってカイは身震いした。
「そんじゃ、行こうか。」
レイがそう言って、カイがベッドから出た瞬間のことだった。
(ウゥー!ウゥー!)
街中にサイレンが響きわたった。
『緊急事態!緊急事態!地下発電所内に侵入者あり!危険レベル5です!繰り返します。地下発電所内に…』
「な、何だ?」
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ケンタ #9☆2008.01/07(月)17:34
>第9話 不安

「地下発電所?」
レイが言った。
「地下発電所はその名の通り、地下にある発電所よ。あの発電所が止まると、この街の電気が全部止まっちゃうの!」
「ええっ!!大変だ!早く行こう、レイ君!」
「私も行くわ!」
ナナが言った。その時。
「おっと皆様、あせっちゃいけないぜ!」
ペラップが現れた。
「あんたは?」
レイが聞く。
「俺の名前はラッパーだYO!それより、地下発電所の周りは迷路になってるから、入ると出れなくなるかもな!」
「…そんなこといってる場合じゃない!」
カイがラッパーを押しのけて病院から出て行った。
「俺たちも行くぞ!」
レイとナナも出て行った。
「…まったく…しょうがない奴らだな!俺も行ってやるぜ!」


「…ってか入り口どこだよ!?」
レイが嘆いていると、ラッパーがやってきた。
「こっちだYO!ジバコイルのドームの中だYO!」
「あ、ラッパーさん!ありがとう!」
そして四人はドームの中に入った。
「こっちだ、こっち!」
そこにはとても大きく頑丈そうな扉があった。ただし、真ん中に穴が開いていた。
「こんな分厚い扉に穴を開けるなんて…」
カイは身震いした。
「とにかく、行こう。」
カイたちは、地下迷路を歩いていた。
「それにしても…何で発電所なんかに侵入するんだろう…?電気が好きなのかな?」
カイがそう言った。とたんにラッパーが深刻な顔をする。
「もしかすると…いや…そんなはずは…でも、それ以外に何も…大変だ!!」
「どうしたの?」
ナナが聞く。
「きっと、侵入者が狙っているのは、…恵みの玉だ!!」
「何だって!!ということは…侵入者は…」
『ダークネス!!』
カイとレイが声をそろえて言った。
「急がなきゃ!」
一行はさらに先へ進んでいく。すると…
「あった!!恵みの玉だ!」
カイたちは地下発電所に着いた。
恵みの玉は、とても大きな機械の中にはめ込まれている。
「まだ盗られていないようだな…よし、待ち伏せして、侵入者を捕まえるYO!」
ラッパーがそう言った直後!
(ドンッ!!)
発電所の壁が吹き飛んだ。
「来たな、ギラ!!…あれ?」
そこにいたのは、ギラたちではなかった。
そこにいたのは・ ・ ・ ・ダークライだった。
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ケンタ #10☆2008.02/29(金)17:08
>第10話 仲間
「…ダークライ!!?何でここに!?」
「恵みの玉を、もらいに来た…。」
そう言うと、ダークライは恵みの玉に手を伸ばした。
「させるか!きりさく!」
(スカッ)
だがレイのきりさくはダークライをすり抜けた。
「これが私たちの未来のためになるのだ。理解してくれ。」
ダークライはレイの背後にいた。
「そんなこと理解できるかYO!くらえ!ハイパーボイス!」
ラッパーは息を大きく吸い込んだ。
「っ Y O ぉ ぉ ぉ ー ー ー ー っ ! ! !」
「ぐっ…」
どうやらダメージを与えられたようだ。
「どうしても理解できないと言うのだな…仕方がない…さいみんじゅつ!!」
「うう…眠い…ぐぅ…」
全員眠らされてしまった。そしてダークライは恵みの玉を手に入れた。
「すまない…あいつを倒すためにはこれが必要なのだ。だが、この街には非常電源がある。大丈夫だろう…」
そう言ってダークライは去っていった。


「…はっ!ここは?」
気が付くと、カイはベッドに横たわっていた。横ではレイ、ナナ、ラッパーが何か話している。
「目を覚ましたみたいね。ここは病院よ。」
「そうだYO!俺たち眠らされちゃって、結局恵みの玉も持ってかれたみだいだYO!まあ、非常電源があるからしばらくは大丈夫なんだけどな。」
「それで今、色々話し合ってたとこだぜ。」
他のみんなはもう起きていたようだ。レイたちは会話を再開する。
「…で俺たちはそのダークネスという探検隊から恵みの玉を取り戻しに旅をしてるってわけだ。」
「ふーん…だったら俺も仲間にしてくれ。俺は困っている人を前にしたら黙ってられないんだYO!いつあのダークライに会えるかもわからないしな!」
「じゃあ、私も行かせて!どうしても恵みの玉を取り返したいの!」
「みんな…」
カイの目はうるんでいる。
「そんじゃ、早速出発するか。」
「うん、行こう!!」
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ケンタ #11☆2008.03/15(土)18:17
>第11話 未来

「少し遠回りになるが…お前らに見せたい物があるYO!」

ラッパーにそう言われて、今、その「見せたい物」があるという場所に向かって歩いているのだが、なかなか着かない。
「ラッパーさん、どこまで行くんです?全然着かないじゃないですか…」
そう言ったのはレイ。今までのことで相当疲れているらしい。
「まあまあ、そんなこと言わないで、きっともうすぐ着くよ。」
カイがなだめる。そのとき、ラッパーが口を開いた。
「もうすぐ着くYO!ほら!」
ラッパーの指す方を見ると、黒い雲が立ち込めている。目的地はその下のようだ。
「…何か怖そうな所ね…」

ようやく目的地に着いた。どうやらここは大きな街らしい。だが、地面はひび割れ、建物は全て崩れている。人のいる気配は無い。
「うわ、ひどいな…どうやったらこんなになるんだよ…」
レイがそう言ったとき、地震が起きた。
(グラグラ…グラグラ…)
かなり大きい。カイたちはしばらくじっとしている。もしもビルでもあったら倒れていただろうが、もう壊れる建物も無い。
(グラ…グラ…。…。)
やっと揺れが治まった。
「ふう…俺こんな大きい地震に遭ったの初めてだよ…偶然だな…」
レイがつぶやいた。
「偶然なんかじゃないYO!」
「…ここは昔、『ハガネの街』として栄えていた…」
だが、今から200年前。突然一匹のポケモンがこの街を襲いにきたのだ。狙いは、恵みの玉。どんな数のポケモンが束になってかかっても、そのポケモンにはかなわなかったという。
そして、恵みの玉は奪われ、その101日後、この街は大地震によって滅んでしまったのだ。
「…それで、ハガネの街は今の場所に移されたってわけだYO!」
カイが聞く。
「…。ってことは、長老様が言ってた『97日後に、この村は滅びる』って言葉は本当なんですか!?」
「ああ、そうだYO!」
ラッパーが答えた。
レイがつぶやく。
「ということは、俺たちの村が滅びるまで96日ってことか。」
「えっと、何でギラやあのダークライは恵みの玉を集めているんですか…?」
この質問は、カイが前から考えていたことだ。
「それはだな、恵みの玉を3つ集めると…願いが叶うんだYO!」
「願いが叶う!!」
レイの目が輝いた。
「あ、今レイ君願いを叶えたいと思ったでしょ?」
ナナが言った。
「え…いや…ちょっといいなぁと思って…」
「とにかく、あんな奴らが手に入れたら、ろくな願いをするはずが無い。そのためにも、あいつらを探し出して、恵みの玉を取り返すんだYO!」
「そうね!それじゃ、先に進みましょう!」
一行は歩き出した。歩きながらカイが考えていたもう一つの質問を口にする。
「何でラッパーさんはそんなに物知りなんですか?」
「ああ、それはだな…俺が昔、探検隊をやっていたときに情報網を作ったんだYO!」
話を聞くと、ラッパーの作った情報網『ウイング・ネットワーク』は、全国の鳥ポケモンたちで構成されているらしい。さらに、ラッパーの入っていた探検隊は凄腕の探検隊として知られていたとのこと。
「そうなんですか…ラッパーさん、すごいですね。」
「それはそうと、この先は砂漠だYO!真ん中にはオアシスの村があるYO!」
「ってことは、そこに恵みの玉があるかもしれないのね。」
「そんで恵みの玉につられてギラやらが現れるってわけか!楽しくなってきたぜ!!」
ラッパーがみんなに気合を入れる。
「よし、絶対に恵みの玉を取り返すYO!」
「オー!!」
カイたちは砂漠に向かって歩いていった。
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ケンタ #12☆2008.03/20(木)18:59
>第12話 蟻地獄

ここは「サボ砂漠」。砂嵐が吹き荒れている。夕日がまぶしい。
「オアシスの村まであとどれくらいで着きますか?ラッパーさん。」
カイが言った。
「この分だと…明日だYO!」
「明日ぁ!?じゃあ今日どこで寝るんですか?」
これはレイの言葉。
「野宿しかないYO!」
「…野宿…寝てる間に砂に埋もれちゃわないかしら。」
「…。」

そして日は沈み、夜になった。
「真っ暗で何も見えないね…」
「しょうがない、今日はここで野宿だYO!」
「…砂に埋もれちゃわないかしら…」
ナナは相当砂に埋もれることを心配しているようだ。
「あの…すいません…」
いきなり誰かが話しかけてきた。よく見るとビブラーバだ。
「僕、シンドーといいます。近くに僕の家があるので、よかったら泊まっていきませんか?」
「本当!これで砂に埋もれなくてすむわ!よかった…」
「…。まあ、とにかく寝れる場所ができたわけだし、感謝するYO!」
「それじゃ、案内するのでついてきてください。」
シンドーを先頭に、カイたちは歩いていく。
「もうすぐ着きます…うわっ!!」
突然シンドーの姿が消えた。
「お、おいシンドー…あっ!」
足元をよく見ると大きな蟻地獄があった。全員、その蟻地獄をのぞきこむ。
「シンドー、大丈夫か!?」
…返事が無い。
「もう一回呼ぶぞ!スーッ…」
レイが息を吸ったそのとき。
(ドン!!)
誰かに思いっきり背中を押された。4人は蟻地獄に落ちていった…

「…痛てて…。何だここ?」
どうやら蟻地獄の下らしい。だが、なぜか明かりがついている。
「ようこそ〜僕たちの家へ〜」
そこにいたのはナックラー。
「どれどれ、今日の獲物はっと。」
カイたちを突き落としたと思われるフライゴンも中に入ってきた。
「あんまりお金持って無さそうだけど…」
そう言いながらシンドーも現れた。その手には大きめの石が握られている。
「えっ…シンドー君、どういうこと…?」
状況を飲み込めないカイが聞いた。
「僕たち3兄弟は、盗賊なんだ。通りがかったポケモンを、ここに落として、持ち物を奪ってるんだよ。」
シンドーが答える。そして、フライゴンが言った。
「長男の俺、シェイレ、次男のシンドー、三男のアリヘルだ。」
フライゴンの名前がシェイレ、ナックラーはアリヘルというらしい。
「じゃあ、ちょっと眠っててもらうよ。まずは君から…カイ君、だっけ?」
シンドーが石を振り上げる。
「うわっ、嫌だっ!!」
カイは逃げようとした…が、アリヘルがいつのまにか出していた「すなじごく」に足をとられ、身動きがとれなかった。そして、石が振り下ろされた。
(ゴン!!)
石はカイの額に直撃した。部屋に鈍い音が響き渡る。
「……。」
カイは目を閉じて動かない。
「…もしかしてこれって…」
ナナがそう言った瞬間。
(パチッ。)
カイが目を開いた。目には緑色の光を宿している。
「また目を覚ましてくれたようだな。感謝するぜェ!」
カイのもう一つの人格が目を覚ました。
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ケンタ #13☆2008.06/02(月)20:25
>第13話 砂煙

「そこのニューラ、レイっていったっけ?久しぶりだな!」
「…。ああ。」
「そんじゃ、早速暴れさせてもらうぜェ!」
そう言うと、カイは持っていたふといホネを地面に叩きつけた。
(ドゴン!!)
カイの足がはまっていた「すなじごく」が一気に吹き飛んだ。おかげでものすごい量の砂煙が部屋に舞い上がる。
「ゴホッゴホッ…前が全然見えねえ…」
レイが言った瞬間。
(ヒュッ!!)
ホネブーメランがレイ目掛けて飛んできた。
「危ねっ!!」
間一髪、かわすことができた。だが、
(ドンッ!)
レイがよけた先にはシェイレがいた。
「いってぇな、これでも食らえっ!」
シェイレは尻尾を思いっきりふり、レイは飛ばされ壁にたたきつけられた。
「おい、レイ!大丈夫かYO!?」
「ゲホッ…ああ…なんとか…」
(ピシッ!)
レイが壁にたたきつけられた衝撃で、壁にヒビが入ったらしい。見ると、他の場所――天井や床にも無数のヒビが入っている。
「…まずいな。これ以上衝撃が加わればこの部屋が崩れるYO!」
と、ラッパー。
「じゃあ、この騒ぎをどうにかしないと…私たち生き埋めに…あ、そうだ!!」
突然何かを思い出し、持っていたカバンの中をごそごそと探るナナ。
「あった〜!!」
ナナが取り出したのは、布でできた小さ目の袋。口は紐で縛られている。
「この中には…」
(パシッ!!)
シェイレは袋をもぎ取り、口をあけ、逆さにする。
「何が入ってんだ?」
出てきたのは、粉だった。
「あっ、それは…」
シェイレは粉をつまみ上げ、目の前でパラパラと落としてみた。
「ん〜?何だこ…れ…?…」
(バタッ)
シェイレが倒れた。
その風圧で床で小さな山になっていた粉が全て舞い上がった。
「ギャハハ!!あのフライゴン倒れやがったぜ!!はは…は…くっ…うっ」
カイも倒れた。
「それはねむりご…な…なの…に…」
(パタッ)
ナナも倒れた。
(…バタッ…パタッ…バタッ…)

そして、全員が深い眠りに落ちた…。
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[1118]

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ぴくの〜ほかんこ