ぴくの〜ほかんこ

物語

【ぴくし〜のーと】 【ほかんこいちらん】 【みんなの感想】

連載[1139] ポケモン・ストーリー 〜時空物語〜

かな #1☆2008.01/04(金)22:48
プロローグ 〜始まりは拠点から〜


―――――此処は、ポケモン達だけが住む世界、ポケモン界。


本来は人間と共に共存しているのだが、その世界とは離れている異次元空間である。


これは、そんな世界のある拠点に住む、ポケモン達の物語である。


***


チュンチュン…


木漏れ日が差す、空。今日も、ポッポの鳴き声が響き渡る。

朝を迎えた街――――――立ち並ぶ家々の中に、一際目立つ大きな建物がある。
時間と空間のシンボルとも呼ばれる、『時空の塔』である。(これはアラモスタウンとは違うのでご注意)

その大きな塔の中に、大広間があった。

入口から螺旋階段を三階程登った所にある、大きな部屋。

中を覗けば、其処は何匹ものポケモン達がいると言う個性的な空間。
すぐ目に映るソファに、何処かの某西○記に出てくる主人公のような姿をした、猿のようなポケモンがいた。色違いなのか、茶色の部分が赤い。白い髪から炎が出ている…が、彼の場合、自由に燃焼させたり消火したりする事が出来るようだ。

そんな彼の名前は『ゴウカザル』。仲間達からは『ゴウ』と呼ばれている。

「はぁ…くそっ、全然解けねぇよこれ…」

ゴウは苛々(いらいら)しながら、手に持っている二つの銀色の繋がった輪をカチャカチャと動かしていた。
この二つの繋がった銀色の輪は、『知恵の輪』と呼ばれているらしい。
自由に暴れる事が出来ず欲求不満な彼は、中に居る時は大概こうして過ごしているらしい。

「あ”〜ッ!くっ、ホントムカツク!!好い加減ほどけろこの野郎!」

全くほどけない知恵の輪。
遂には怒りが頂点に達し、知恵の輪に喧嘩を売る彼。
しかし、そんな事をしても無意味だと言う事は彼の耳には届いていない。
更に、欲求不満はどんどん溜まるばかりであった。
暫く頭に湯気を沸き立たせながらしょうもない怒りを壁にぶつけていると、何処かからスタスタと足音がした。
やって来た誰かは、現れるや否や、不敵に笑い、

「あれ?まだ知恵の輪解けないの?ホンット、学習能力低いよね」

「な〜にが学習能力低いだ!やんのかコラ!!」

鼻で笑う彼に対し、ゴウは喧嘩を売り始める。
彼の怒りの対象にされているその彼――――――姿は皇帝を象徴するかのようなペンギン。名前は『エンペルト』であるが、仲間達からは『ペン公』やら『ペンちゃん』やら『エン』等と呼ばれている。
皇帝なのだから『私』とか『我』等のイメージが多いが、彼の場合は違うようだ。
しかし、クールで冷静沈着でプライドが高いのは変わらない。
何時もは読書をしている模様。
かなり頭が良い。…のだが、ひねくれ者である。
エンは片手に本を抱えながら、不敵な笑顔でゴウを見つめている。
相手を見下すような表情をしていた。

「テメェのその胡散臭い(うさんくさい)笑い方がむかつくんだよ。好い加減素直になれっつってんだ」

「そんな事言われてなれる訳無いじゃん、何言ってるの?」

ゴウは注意をするが、エンには聞こえず。
他人のどうでも良い言葉など彼にとっては邪魔に他ならない。

「このペンギン〜」

「何?やれるものならやってみなよ」

にじり寄るゴウに、挑発するエン。正に一触即発な状態に成ろうとしたその時だった。

「アンタ達!何やってるの!」

いきなり怒鳴り声が響いたと思ったら、二人の間に一人の人型のようなポケモン、『サーナイト』が飛び込んで来て、持っていたハリセンの一撃を浴びせる。

「あっ御免!「は!?ペンギンこのや…ぐはっ!!」」

危機を察知したエンは隣にいたゴウを盾にして、自分だけ攻撃を回避していた。何とも卑怯だが、彼にとっては当たり前の事。
その御蔭でゴウはもろにサーナイトのハリセンの一撃を喰らってしまった。
仰向けに倒れたゴウの前に仁王立ちし、サーナイトは彼を睨む。

「全く!何時も何時も喧嘩しっぱなしねアンタ達は…」

ツンとした表情をする、彼女の名前は『サナ』である。
しっかりしないメンバー達を支える姉貴のような存在だ。
そんなサナの隣では…

「ぐご〜…」

「あははっ、亀さんまた寝てる〜」

鼾が聞こえたと思ったら、其処にはあぐらをかいて寝ている緑の亀のようなポケモンが。
その目の前には二本足で立つ、青い短パンと黄色い皮の着物(?)を来た、犬のような狐のような姿のポケモンがいた。
それぞれ、名は『ドダイトス』、『ルカリオ』という。
仲間達の間では『亀さん』やら『陸亀』と呼ばれている。ルカリオ
の方は『ガキ』やら『犬野郎』等と言われているそうだ。

そんな愉快な仲間達が、ある日、大きな冒険活劇に巻き込まれる事になる。

何時もの様に、世界救済の為、日々闘い続ける彼等。

何時もの平穏な日の裏には、とんでもない罠が仕掛けられていた事等、誰も知る由が無かった。


果たして、どんな冒険が彼等を待っているのか…


続く
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かな #2☆2008.01/05(土)16:12
第1話 〜マッド・ザ・タイム〜

未知の場所


ボボッ…


ろうそくが燃やす炎が明かりとなっている、闇のように暗い空間。

モグ…

その火に照らされる中、一つの影が、皿に乗っている肉を食べていた。
彼は不意に、此方にやってくる別の影に気づく。

「…!誰だと思えば、お前か」

誰が来るのか確信はしていたらしい。

「食事中失礼するわ…。…いよいよ実現させるつもりなの?貴方の、理想」

声からして♀のようだ。だが、正体は未だ分からず。
質問された影は不気味な笑みを浮かべて、

「当然だ。この日をどれだけ待ち望んだ事か…。私の望む、『ユートピア』を創る為に」

そう謎の影が口にすると、側にいた彼女はふふっ、と笑みを見せる。

「さぞかし待ちわびたようね。…まぁ、此方としても色々手は打ってあるから…心配は要らないと思うわ。…でも、気になるのは『彼等』の事なのよね」

そう口にする。

「『彼等』、だと?」

いきなり疑問を持ちかける、彼。

「多分、貴方は会っていないようだから知らないと思うの。…この先、もしかしたら私達に関わりを持ちそうな人達なんだわ」

「…もしかすると、そいつ等は…我々の邪魔をする厄介者だと言う事になるのか?」

「さあ…どうでしょうね」

彼の答えに、彼女は只静かな笑みを浮かべるばかりだった。

「でも、安心して良いわ。その為に、私の配下の『使者』を送っておいたのよ」

彼をフォローするかのような言葉を投げかける彼女。

「そうか…。御前と言う奴は本当に用意が良いな…ククッ」

その事を聞いて安心した彼は、口の端を吊り上げて、小さく笑った。

「…フン。…面白い…。…これで、私の『夢』が叶う時も段々と近付いて来るに違いないだろう…」

「…まぁ、此方に分がある以上…彼等は、私達に敵わないのよ。
…もはや、『貴方達』は鳥カゴに入れられた、飛べない小鳥。もしも、飼い主の願望通りに鳴いてくれない時は…。全て、潰してあげるからね。

必ず―――――――――…」


***

午前7時33分・時空の塔

「皆さ〜ん!新年明けましておめでとう御座いま〜す!!」

パパ〜ンッ!!

大広間にクラッカーの音が盛大に鳴り響く。両手にコーヒーを抱え、ハイテンションで登場したのは、黄緑色の、小さな森の妖精の姿をしたポケモン・『セレビィ』だった。
彼女はこの塔を治める二匹の内の一匹の側近らしきポケモンで、仲間達からは『セレナ』と呼ばれている。

「うおおぉっ!?何だ何だ!?」

いきなりの出来事に、ゴウは慌てふためく。

「ねぇねぇセレナちゃん、今日、お正月だよね?」

ルカが素早く聞いて来る。今日は元旦らしい。

「はい!そうですよ〜。」

「わ〜い!ハッピーニューイヤー!!」

新年を迎えた事で、よりハイになるルカだった。

「ルカは相変わらずハイテンションだね…」

エンが、こたつで暖まりながら、本を読んでいた。
ハイテンションになるルカを見て、少し羨ましがっている。

「テメェ何でこたつに入ってんだ。寒くねえなら出ろ」

「そう言う君こそ何時も暴れ回ってて寒さには強いんじゃないのかい?」

二人はどっちがこたつから出ていくかで揉(も)めている。

「んだと!今日は特別に寒いんだよ。悪いがテメェには譲らねぇ」

「残念だけど君には出てって貰わないとねぇ。君元々熱いし」

また口喧嘩を始める二人。ちなみに、彼等の死角には、何時でも仕留められるようにサナがハリセンを構えている。

「剥(む)ける!剥けるでぇ!!」

二人が揉め合いをしている中、ダイは蜜柑(みかん)の皮むきに熱中していた。

彼は大きく溜息をついて、

「おいお前ら、さっさと止めへんとサナが来るで」

ダイが仲裁に入る。

「あっ、そうだね」

「ッ…」

すぐに喧嘩を止める律儀なエンに対し、かなり不機嫌な顔をするゴウであった。

***

再び賑やかになるゴウ達主人公チーム。
すると、

「おやおや…随分と今日は盛り上がっているようですね」

何処かから低く威厳のある敬語が聞こえたかと思うと、セレナの後ろにある緑のカーテンが開いた。

「あっ、ルーラー!」

セレナは声を上げた。現れた影に向かって。
姿は藍色の、古代に出てくる神を象徴するかのようなドラゴンで、胸には蒼い宝石を付けている。
その彼こそ、『時間の神』と崇められているポケモン――――――『ディアルガ』である。
時空の塔の片方・『時間の塔』を治めている、ルーラーである。

「皆さん、とても楽しげで何よりです。…しかし…余り五月蝿(うるさ)くされますと、場合によっては異次元に追放されるかもしれませんがね…。」

低い声でそう呟くディア。ルーラーだけあって、規則にはとても厳しいようだ。

「お正月、ですか。たまには私もゆっくりしたいのですが、どうやらそうもいかないようですね…」

ディア自身、余り余裕が無いようである。
何が起こるか予測が出来ないからだ。

そんな静かな雰囲気に、チッチッ、と言う音が響く。

良く見ると、エンが何処かから持って来た懐中時計を見つめていた。


「……?」


エンは複雑な表情で、動き続ける針を目で追っていた。
一体どうしたのだろう。

「あの〜、どうしたんですか?」

気になったのか、セレナが彼に近づいて来た。
それに気づき、エンは はっ、と我に返る。
暫く意識をそれに向けていたようだった。

「…ん?あぁ、何でも無いよ」

エンがそう言うと、セレナは「そう…」と言って、その場から離れていった。
彼女が去っていくのを見て、再びエンはそれに視線を戻す。


壁に掛かった大きな時計に目をやる。
エンは首をかしげながら暫くその動作を続けていた。

「(変だな…僕の持ってる懐中時計はちゃんと進んでいるのに、どうして壁に掛かっている時計は逆回りになっているんだ…?)」

針の大きなずれに疑問を覚えるエン。

だが、時間が狂っているのは壁に掛かった時計だけでは無かった。


「…ディア様、これ、ちょっと変ですよ?」

「ええ…。どうも、早くなったり遅くなったりを繰り返しているようですね…。」

ダイヤモンドで出来た銀色の砂時計を見つめながら、暫し不安げな表情をするセレナとディア。

普段はディア自身が時間を操作している為時間がずれる事は無いのだが、何かの原因で狂ってしまったのだと彼は言う。

「恐らく、このままだとタイムパラドックスが発生する事が多くなるに違いないでしょう。また、時が止まったり、飛んだ時代から帰れなくなったりする事があるに違いありません。」

「そうですか…。だとすると、『あちら』の方も大変になるでしょうね…。」

セレナがそっと言う。

「ええ…そうですね…。」

ルーラーはそう言って、頷くのだった。

この先、とんでもない出来事が起ころうしている事を、誰も知る者はいなかったのである…。


続く


***


おまけ【空間タワー・デイズ】


コッ…


静かな雰囲気漂う『オーナールーム』に、何か硬い物が置かれる音が、聞こえた。

「どうですパル様、もう逃げ場はありませんよ?」

一匹のガブリアスが、目の前のパルと呼ばれたパルキアに何かを呟いた。

「むむ…中々やりますね。…しかし、此方も負けてはいませんよ…」

そう言って、白い何かを取り出すパル。

二人を挟む茶色の小型のテーブルの上に、幾つもの白黒の石がおかれている。
そう、二人は今、『囲碁』をしているのだ。

「あ〜ぁ、勿体無いですね、そんな場所に置いて…」

「…あっ」

気付いたときにはもう既に遅し。起死回生の為に置いた自分の碁石を、ガブリアスにあっさりと取られてしまった。

「さぁ、いよいよ貴方の置ける場所が無くなりましたよ。どうします?」

「むむぅ〜…」

しかめっ面をして方法を考え出すパル、しかし幾等思いついてもガブリアスにはお見通しのようだ。

すると其処へ、


「失礼します。」


突然別の声が響く。其処には一匹のユキメノコがいた。

「おっ、ユキじゃないか。どうしたんだい?」

そのユキメノコは『ユキ』と言われているらしい。先程パルと囲碁をしていたガブリアスは『リアス』と呼ばれているようだ。

「どうしたって…買い物の誘いに来たのよ」

「買い物?」

「実はですね、私の大事にしていた『パールスプーン』が粉砕されまして…。貴方達に買っていただくようお願いしました。」

パルが事情を説明する。

「と言う訳。パル様は此処から動けないんだから、私と貴方で行くしかないんだから!さぁ早く来なさい!!」

グッ!

そう言うと、ユキは力強くリアスの腕を引っ張った。

「えっ…あっ!ちょっ、ちょっと待ってくれよ〜!!」

リアスはそのままユキに強引に連れて行かれたのであった。
それを見ていたパルは、思わず『気の毒ですね…』と呟いたりしていた。
結局囲碁は中断、パルは碁盤と碁石を全て片付けた。
しかし片付け様としたその時、足に痺れが走り、結局はその場から暫く動けずじまいであった。

それを、影から見つめていた別の影は、哀れな目で見ていたとか…
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