暗黒のジェミニ | #1★2008.11/18(火)00:17 |
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※この物語は第27話より作者のHPにて移転連載しています。 そちらの方もご参照ください。 プロローグ ある学校のある教室。 「せんせーおはよーございまーす!」 子供達の声が鳴り響く。 「はいはい、おはようございます」 女性の声がそれに答える。 「きょーはどんなはなしー?」 「それじゃあね、こんなお話をしようか」 ここで物語りは20年前に遡る。 これより進める物語についてざっと説明しよう。 物語の主人公である雷鳥白羽(いかどり・しらは)は16歳で高校2年生。ちなみに女子。 今日一学期の始業式を迎える。 白羽は生まれて間もなく両親が突如行方不明になったため母方の祖父母に引き取られ、その後養子に出され雷鳥の姓を貰う。 しかしジャーナリストである養母も仕事のためと小学生の時に家を出、医師でイギリス人ある養父も出身の大学病院に呼び戻され、生活費を白羽に送金することを条件にイギリスへ帰郷する。 それから白羽は一人暮らしを強いられていた。 第1話 大・爆・裂・波・場【バーニング・フィールド】 「朝か…」 午前6時半、私は起きた。 二階へ上り空を見る。 晴れだ。 眩いばかりの光がこちらまで届く。 私は突然声をかけられた。 「白羽ちゃ〜ん、おっはよ〜!いや〜いい天気ですなー」 オヤジ臭い口調で話しかけてきたのは平野紅(ひらの・くれない)。 私の家の一つ隣住んでいる。 酒に溺れる女子大学生だ。 ちなみに引越し先に迷っているようだが、正直早く出て行って欲しい。 「酒臭いですね」 「しょんな事気にしゅむなって、なぁ。酒は良いもんじゃあねか」 「ム…」 「酒か?私も飲みたいな…」 今度は平野の左一つ隣に住んでいる峰江。 まずファッションが謎。言動も謎。 全てが謎である。 そして謎の猫を飼っている。やはり黒猫。 「今すぐに地下に集合ね。白羽の部屋でやるわよ〜」 「ハハハ、面白い」 「ちょっと待って下さいよ、あの――」 「良いじゃないの〜」 「せっかくのパーティだ。無駄にするのは勿体無い」 「はあ…」 頭が痛い。 ちなみにここだけの話、平野の言った「地下」というのは、白羽・平野・峰江の3つにまたがる地下アパートのことである。 呉木(ごき)という人物がこれを造り、3人に無料で貸し出している。今のところ、3人以外に居住者は居ない。 言わば地下集合室の役目を果たしている。 そして… 「いやあ冷えたビールは最高だな」 「だよね、だよね!白羽クンも…あっ、そか、まだ――」 「未成年です!馬鹿にしないで下さい」 「はいは〜い」 「てか時間ないんで朝食の片付けやっといてくださいよ。しかも私が何故作らなきゃ…」 「だって白羽クンの料理美味しいジャ〜ン」 「もう行きますから」 バタッ! 「高校生は大変だねぇ。まーゆっくり…」 「楽しむとしよう。フッ」 「しぃ〜らはぁ〜」 「?」 話しかけてきたのは鳥山白凰(とりやま・はくおう)。 中学からの友達である。 「学校に遅れるよ?」 「まだ時間あるぞ。20分くらい」 「あっそ。じゃあいいけど」 しばらく歩くと… 「…」 「…」 「白凰、時計狂ってるでしょ」 「…ぁぁ」(汗) 「お、おっくれるぅ〜!!」 キーン・コーン・カーン・コーン 「フン、ギリギリセーフだな」 教室の扉の前に立っているのは男友達の金平一貴(かねひら・かずき)。 「去年遅刻して林間学校置いていかれたのはだ〜れだ」 「(ギクッ!)」 (フー、何とか間に合ったぁ) と私は一息つ…く間も無く、 「おはよう御座います!!」 と男子が近寄る。 「はーい、そういうのはよそうねー」 白凰がすぐさま制止する。 (ったく、これじゃあ一歩間違えたら女番長じゃないか) と思った。 数分後、体育館―― 「これより、20XX年、第77回、始業式を行います。ピアノの合図で、礼をします」 チャーン・チャーン・チャーン 「着席してください」 ガタガタ… (何だ?この揺れは…) 「なあ白羽、今少し揺れなかったか?」(小声) と白凰。 「うん、揺れてた。何なんだろう…」(こっちも小声) 一応(ハ)荘厳な雰囲気の中で始業式が始まった。 「校長式辞」 校長が舞台に上った。 「…えー、今君たちは学年という階段を上り――」 ガタッ ガタガタガタ… 「(!!)」 「(クッ…)」 ガタガタガタガター!! 「うわあ〜!!」 大きな揺れが来た。 生徒らはシドロモドロ、右往左往動き、うろたえている。 「し、諸君、落ち着きたまえ――」 校長に向かって木柱が倒れた。 そして揺れが収まった瞬間… バコーン!! 轟音と共に、一瞬落ち着きを取り戻したかに思えた体育館は再び恐怖におびえることとなった。 「ギャァァッー!!」 「わああぁぁっー!!」 「(ば、爆発した!?)」 「(何が起こってやがんだ!?)」 体育館は一瞬にしてバーニング・フィールドに変わったのである。 ――第1話 大・爆・裂・波・場【バーニング・フィールド】終 |
暗黒のジェミニ | #2☆2008.08/06(水)07:26 |
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「ギャァァッー!!」 「わああぁぁっー!!」 「(ば、爆発した!?)」 「(何が起こってやがんだ!?)」 体育館は一瞬にしてバーニング・フィールドに変わったのである。 第2話 異・体・結・合・感【パルス・フュージョン】 「(いきなり爆発だなんて…何…?)」 白羽は呆然としていた。 しかし次の瞬間に白羽は眩いばかりの光に包まれていた。 明らかに体育館と同じ次元に居る感じがしなかった。 ――貴様、名は? 脳裏に声が響く。 「(え…?)」 ――では質問を変えよう。お前は人を助けたいか、助けたくないか? 「(っ…)」 ――Yes or No!! 「(…)」 ――Yes or No!! 「(…い、イエス!!)」 パパァッー!! 次の瞬間には白羽は再び体育館に戻っていた。 たが先ほどと違うのは、体を支配しているのが“自分”ではなく別の“何か”である事だ。 “何か”に操られた白羽は、校長の居る舞台へ一っ跳びした。 そしてもう一っ跳びして元の席へ戻った。 ――貴様、名は? 「(…白羽、雷鳥白羽です)」 ――私はこれよりお前と同じ“雷鳥白羽”として身体を共有ししばらく活動する。 後に聞いた話、ここへ来たのは先の地震と爆発の影響で“天界”から落ちてしまい、同時にそこへの扉が閉じてしまったからだと言う。 しかもその扉には「四つの欠片集めし者のみに扉はあかん。四つの欠片なる物とは赤・青・緑・黄の欠片の事也。」 と刻まれた札が掲げられていたのだと言う。 その四つの欠片を集めるべく、“大人の心”を持つものを求めて白羽の身体へやってきたのだとか。 何だか都合が良すぎる、あんな短時間に。と内心白羽は思った。 「白羽、実はさぁ…」 「実は私も…」 「天界の精霊って奴だろ?」 「うん、そう」 白凰も“何か”に出会っていたようだ。 「“勇敢な心”を持つ者って事で選ばれちったんだけどさ」 「私は“大人の心”を持つ者として」 「お前大人か?」 「少なくとも白凰よりは」 「ハァ!?」 騒ぎの起きた中、喧嘩勃発の予感。 一方、とある中学校の入学式―― 「次は<新3年生の言葉>です。水野青波(みずの・せいは)君、宜しくお願いします――」 ドドドドーッ!! いきなり別の場所を取り上げたのは、そこでも白羽と白凰に起きた事と同じ事が起こる者がいるからである。 ここで“天界の精霊”に選ばれたのは水野青波と雪晶時音(せつしょう・じおん)。 これからそれまでの成り行きを書いていこうと思う。 この入学式を見つめる保護者の仲で、一人だけ際立って若い女性が一人。この人物が雪晶時音。 そして舞台へのびりかけているのが水野青波だ。 「(全く、妹がうるさく来いというから来てやったものの…)」 「(新3年生か…緊張するなぁ)」 「…お願いします――!!」 ドドドドーッ!! 「(ッ…!!)」 「!!」 ドガァーッ!! 事件後の調査では、こちらでは3回も爆発したという。 正に白羽の方でも、青波の方でもテロであった。 両方とも式は中断され、強制下校となった。 その帰りの途中―― 「全く、爆発するなんて思わなかったぜ――何だよ、瑚翔太(ごしょうた)か」 2人の間に割り込んできたのは3年生の瑚翔太。 「“天界の精霊”って知ってっか?」 「あぁ、私たちもそれに選ばれたよ」 「何かあるぜ…」 「罠ぁ?」 「恐らく」 「ないない、それは無い」 2人ともきっぱりと否定。 「…罠だとしたら、時音も選ばれたことになるはずさ」 と白羽。 「電話かけられる奴と言えば…ニヤリ☆」 白凰と瑚翔太は必然白羽を見つめた。 「…はぁ」(汗) 仕方なく電話をかけた。 「…もしもし、時音?一つ聞きたいことがあるんだけど」 「何だ」 一息ついた後、白羽は話し出した。 「“天界の精霊”っていう奴に“選ばれなかった”?」 「天界の精霊…私のことか?」 「へ?」 「自分で言うのも何なんだが、今お前と話しているのはその精霊の方さ」 「え!?」 「じゃあな」 プチッ ツー ツー 「はあ…」 「で、時音は何だって?」 「選ばれたってさ」 「ふーん、そうか」 「ますます怪しいな」 三人とも不安と困惑を抱きながらも、それぞれの家路についた。 「罠…そりゃないと思うけどなぁ…」 ベッドに倒れた白羽は自分なりに推理していた。 実は白羽は下校前に学校を色々調べていたのだった。 しかし、異常は何も見当たらず、結局白凰と共に帰ったのである。 彼女はそれを考えてばかりだった。 次の日―― 「(言うのを忘れていたが、私の名はハットだ。これから結合実験を開始する)」 「(結合実験…?)」 「(じつは私たち精霊は選んだ人物の人格と結合して、その人物の“本当の性格”を引き出す役割をしているのだ。だから本当は一つの身体に2つの心が存在するわけではない。それに本当の人格から普段に人格に戻ることも、その逆も可能だという事を付け加えておく)」 「そうなんだ;」 「…行くぞ!!」 カッ!! しばらく光が白羽を包み込んだ。 光が消えた時には、白羽はさっきとは全く別の人物のようになっていた。 「フ…」 ――第2話 異・体・結・合・感【パルス・フュージョン】終 |
暗黒のジェミニ | #3★2008.08/11(月)22:54 |
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カッ!! しばらく光が白羽を包み込んだ。 光が消えた時には、白羽はさっきとは全く別の人物のようになっていた。 「フ…」 第3話 電・波・剣【パルス・ソード】 PPP!!PPP!!PPP!! 電話が鳴った。 白羽が電話を取ると、相手はいきなり早口でこう告げた。 「1時間以内にあたしの家に集合!以上!!」 プチッ 電話が切れた。 電話の声は白凰だった。 (おーい、名前くらい言うだろうよ〜) 白羽は呆れた。 仕方が無いので白羽は白凰の家に向かうことにした。 白羽の自宅から白凰の自宅までは電車を使う。駅を降りてからはすぐ近くにあった。 アパートなのだが、白羽はあまりにも入り口の階段の幅が小さいのを嫌っていた。そして部屋も小さいのでやはり嫌っt(強制終了) 30分ほどで白凰のアパート前まで着いた。 部屋に入ると、すでに数人集まっていた。 「火薔薇(ひばら)と時音も来ているんだ」 実は、白羽だけは分けあって瑚翔太の事を苗字の“火薔薇”と呼んでいる。 「姐さんが集めろ、ってから集めたんだけどよ」 「何、選ばれし者の集合みたいじゃない」 「その通り」 時音は言った。 「今ここに集まっているのは“天界の精霊”に選ばれし者たち。そして集めた目的はその精霊を天界へ還す為の私的なチーム結成、と言うわけだ」 よもや誰しもそんな目的があったなどとは気づかなかった。 特に白羽と瑚翔太は白凰の先のような電話で呼び出されたために余計に分からなかった(爆) 「私を総隊長とした私的活動集団――“パルス・ソード”。それを今、結成する。異議は?」 皆黙って頷いた。 その後は菓子等を食べてしばらく過ごしていたが、突然白凰が、 「ところで姐さん、精霊を天界へ還す、って言ってたけどどうやってすんのさ?」 単純なる疑問だった。 だが誰も考えていなかった。“どうやって”という重要な部分に。 「どうやら我々は手持ちのポケモンによって能力が変わるようだ。但し最大持てるのは1匹のみだが」 「それと還す手段に何の関係が?(てかいきなり何?みたいな)」 と白羽。 「その能力を駆使して殺人事件の探偵をする折、犯人を追い詰めて“四つの欠片”の居場所を吐かせる、若しくはヒントを得る」 何故殺人事件だけを?と白凰が聞くと、 「全てがそうとは限らないが、殺人事件の犯人には“四つの欠片”に関係するものが含まれているらしい。私を選んだ精霊“ジュウイチ”が言っていた事だが。その関係者を突き止める為に片っ端から殺人事件に当たっていこうと言う事だ」 「なる〜」 「でも、探偵するなら事務所立てたほうが無難じゃない?私たちは学生だからともかく、時音なら出来るでしょ」 「資金が無い」 「むぅ…じゃあ今度は資金力のある奴味方に付けねーとなぁ」 私的集団を結成したと言っても、資金が無いのであまり派手な事は出来ないのだった。 白羽は家に帰ると、何となく地下アパートへ行ってみた。 自分の部屋に入ると、誰か居た。 「あ、白羽クンじゃん」 平野だった。峰江も居た。 「また居たんですか?(いや、昨日からずっとか!?)」 まったく退く様子も無く、仕方なく白羽はこう言った。 「お、お酒が部屋で待ってますよぉ〜」(恥) 「な、んあんだって〜!!??」 颯爽と平野は去って行った…。 しかし、問題は峰江だった。 何を言っても上手く返されて言う事を聞かないのだ。 「峰江さん…」 「…ん?何だ、少女」 白羽は強硬手段に打って出た。 「退いて下さい。自分の部屋に戻ってください。出来れば自宅に戻って欲しいですけど」 「何故だ?何故少女に言われなければならんのだ?別に何も被ってはいないだろう」 やはり動く気は無かった。 今気が付いたが、今日の服装は派手だった。 正直、黒以外の服を着ているのを見たのは初めてだった。 「今日は黒い服じゃないんですね」 「気分が良いからどかん」 「そうですか…;」 仕方が無いので家に戻ったのであった。 兎に角、白羽のこれまでと違う、新しい生活は始まった。 パルス・ソードという集団結成と共に―― ――第3話 電・波・剣【パルス・ソード】終 |
暗黒のジェミニ | #4★2008.10/03(金)17:13 |
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第4話 超・難・解・任・務【ハイレベル・ミッション】 全ては一つのニュースがきっかけだった、といっても過言ではないだろう。 白羽ら4人は前話以来、度々集まって表・裏人格(“真”の人格を便宜上裏人格として)でともに一層縁を深めていた。 そして4人は裏人格で、とある駅前の超大画面テレビの前に居た。 「速報です。先月25日より行われておりました自間党総裁争いに起きまして、今日投票・開票され、当初より有力視されておりました新田玉露(にった・ぎょくろ)氏の当選が確実と鳴りました。新田氏は、同じく総裁選に出馬していた三好氏・早川氏に約1000票の差をつけ圧勝しており、今週中にも国会で内閣総理大臣の指名を獲得するものと見られています――」 「ふーん、思ったとおりだな」 と白凰が一言。 「…」 白羽は無言。 「新田か…」 と時音はつぶやき、 「フン…」 瑚翔太は鼻で笑った。 「何で笑ってんだよ」 「あのな、新田は暴力団とかと関係が深いと聞いたことがあってな、冗談だが暗殺されんじゃなーのかと思ったりしてさ」 「暗殺ねぇ…」 「暗殺か…」 時音がまたもつぶやく。 「…あーもう5時だぞ。暗殺云々はいいから学生はとっとと帰りな。まあ私はしばらくここに居るが」(ァ) 「ハイ、ハイ」 「面倒だな」 「…」 白羽は相変わらず無言だった。 「…ムゥ、白羽、何かあったな?」 「あぁ…新田は私の祖父だ」 「は!?」 二人は足を止めた。 「本気で言ってんのかこの馬kっ…し、白羽」 「(あーあひで〜)」 瑚翔太が言うまでも無く酷い。 「今となっては元・祖父と言うところか。1歳にもならんうちに私は雷鳥家の養子になったから、正直言ってあった記憶すら無いが」 空を見上げながら言う。 「まーそうなんだろうな。てゆーか玉露とか派手な名前だよな」 「ここに居る奴みんな派手だよ」 「とりあえず“白凰”というのが一番派手で変だ」 白羽が乗っかって罵る。 「おーい白羽、何言ってんだー」 「聞いてなかったのかー」 「はァ!?」 「あーあ、下らん喧嘩が始まった…」 呆れたように瑚翔太がぽつり。 「白羽!馬鹿にすんのもいい加減にしろよ」 「私にとってはいい加減だ」 「ざけんな」 「“ふ”が抜けてるぞ」 「…!!あームカつく!!」 「私に口げんかで勝とうなど39年と964日1921秒早い」 「なんと中途半端な…」 「ムゥ…」 白凰の怒りが収まる気配は無かった。 翌日、日曜日の朝―― PPP!PPP!PPP! 「何だ、何だ、一生鳴らんと思っていた携帯電話が鳴ったぞ」 面倒そうに携帯をとって電話に出る。 「誰だ?」 「私だ、雪晶時音だ」 「苗字までつけるとは丁寧だな」 「…ところで、今白凰と瑚翔太とも電話を繋いでいる。念のため言うが、この電話は“任務”に伴ったものだ」 「んで任務って何よ」 と白凰。 「それは私の自宅へ集合次第全員に伝える」 「姐さん家集合?てか家どこよ」 「最寄駅はJR東間道線の川咲駅。改札を出て――」 その後白羽は一通りの説明を終えた。 「何で知ってんだよ(てかストーカーしてんのか?)」 「白凰に同じ」 「今、通話しながら受信中の電波の発信源を検出していた。お前の家も分かっている」 「マジかよ(言い方犯罪者みてーだな)」 「全く、白羽には敵わんな」 呆れた声で白凰に同意。 そんな中時音は、 「今すぐ集合だ。10時を過ぎたら鍵をかけてインターホンにも出んからな。ドアを壊したら弁償だ」 「えっ…今すぐかよ」 「今すぐだ」 「白凰、ドア壊す気満々だったろ」 白羽一突き。 「えっ、あっ、いや〜、別にぃ〜、そんなことはぁ〜…」 「“そんなことはぁ〜”?何だ」 「なっ…ありました」 「白羽の洞察力勝ちー」 「兎に角!分かったな?」 ブツッ 「んぁっ、時音姐さん切りやがった」 「…」 時間は今9時。 今すぐ出て行けば30分ほどで時音の家に着くらしい。 ということで、白羽は30分ほど寝る事にした( ) 30分後―― 「む…急がねば」 と言いつつゆっくり歩いて家を出る。そしてゆっくり駅へ向かう。 時音の家の最寄り駅に着いたのは家を出発してから27分後だった。 後3分しかないが、実際時音の家まではここから徒歩3分でいけるらしい。 白羽は間に合わないんじゃないかと思い始め、今度は自分がドアを壊したくなってきた。 なんだかんだで時音の家に着いた時には1分ほど時間が余っていた。 そして、案の定白凰は… 「10時だな。閉めるか」 時音がドアに鍵をかけようとした時―― ガシャン! 激しくドアを開けて入ってきた。 「ドア壊れるぞ」 と白羽が冗談を言う。 「るせー、昼寝してたんだよ」 「じゃあ同じだな」 「へ…?」 「ともかく、今日の任務を話す」 任務の内容は暗殺計画者の粛清だという。 「我々裏人格の能力でもって粛清を行う。昨日伝えたが、その能力は1匹持っているポケモンによって決まる。一度決まればもう変化はしないが」 「ところで皆ポケモン持ってきてるのか…?」 と瑚翔太。 「私は今無い」 「俺も」 白羽と瑚翔太のみが持ってきてないようだ。 「仕方ない、任務の詳細を話した後すぐにPCに行け。 ところで暗殺計画というのは、実は昨日の帰りの途中にとある路地裏で傍受したものだ。そこには男4人がいて会話をしていた」 「内容は?」 白凰が訊く。 「要約すると、昨日の土曜日には“特定情報探知波”をかけていた事と、男4人は各々JR目黒駅周辺にアジトを構えている事、そして犯行予定時刻直前までアジトに居て連絡の際は無線を用いる事だ」 「特定情報探知波とは?」 「その電波を発する機械にキーワードを入力し、そのキーワードを含む全ての通信、つまりは電話やEメール、ネットの書き込みなどをキャッチするものだ。それがあったから敢えて連絡を遅らせた」 「今まで聞いていなかったが、誰が暗殺されるっていうんだ?」 白羽を一瞬見た後に時音は口を開いた。 「…新田…玉露だ」 「な!!」 「犯行予定場所は国会正面入り口前、正確な犯行予定時刻は言わなかったが昼頃と聞いた」 「そりゃマズイぜ…」 「雷鳥…」 「白羽、すまなかった」 「いや、いいさ…」 なんと、暗殺されようとしていたのは白羽の祖父・新田玉露だったのだ。 少しして白羽は、PCにポケモンを取りにいった。 白羽の唯一持っているポケモンを取りに…。 ――第4話 超・難・解・任・務【ハイレベル・ミッション】 |
暗黒のジェミニ | #5★2008.10/03(金)17:12 |
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第5話 影・静・侵・攻・劇【シャドーバトル・ドラマ】 私は元々たった一匹持っているポケモンがあまり好きではなかったし、バトルも嫌いで殆どした事がない。 そしてバトルができる友達も昔は一人として居なかった。 時音の家に戻ると既に皆待ち構えていた。 瑚翔太は私より先に戻っていたようだ。 「よし、覚醒実験をするぞ」 どうやら覚醒実験とはポケモンと裏人格が結合して新たな能力と驚異的な戦闘能力を得る実験だという。 果たして“実験”なのか…?国語的に。 「いっせいに実行しろ。よし、行け!!」 ブォオーン!! 室内に激しい閃光が走る。 しばらくして、白羽の身体に変化が現れていた。 (身体にぴったりのスーツにマント、肩当てに剣…まるで中世の戦士のようだな) 「あたしは手がでっかくなって爪が伸びたぜ」 と白凰。 「俺は波動が使えるようになった」 そして瑚翔太。 時音は私とほぼ同じだが二刀流のようだ。 「ふむ…この剣は電波で出来ているようだな」 と時音。 …そうなのか(何) そして早速時音が聞いた情報を元に計画者がいるであろうアジトの付近へ向かう事になった。 JR目黒駅―― 「うーむ…無線機を持ってあいつ等の無線を傍受しようかと思ったが…スクランブルがかかってるな」 「しかも関係の無いもんが入ってきたし;(呆)」 「これではアジトの位置を割り出せない」 「…一旦帰ろう」 私はそう言った。 「は!?」 「…そうしよう。仕方ない、別の手段で早めに手を打つとするか。時間はまだあるからな」 時音は撤退を決意した。 1時間後―― 時音の家の元に一通の手紙が届いた。 「貴様らが我々を詮索しようとしているのは分かっている。 我々を詮索するダニはダニなりにアジトの場所のヒントを与えてやろう。 1.1×4 2×2 6×2゛<10> 2×1 1×2 2.4×1 7×1 7×3 3×2 6×2 9×3 <7> 2×1 1×2 3.2×1 5×1 8×1 6×2゛ 9×3 <5> 2×1 1×2 ――犯行予定時刻は14時とする」 「まさか、読まれていたのか…?」 「…それにしても、どういうこっちゃな?訳が分かんねーな」 「よし、解けたぞ。答えはメモ紙に書いてある、追いつけよ」 「しっ、白羽ぁ…?」 早くしなければ。私はそう思っていた。 「…で、答えは?」 「1は駅ビル10階、2は玉虫ビル7階、3は金谷ビル5階か。仕方ない、早く行くぞ」 「お、おう」 (ここか。金谷ビル…!ここに陰謀の長がいるだろう) 私は少し焦っていた。このときを振り返ってそう思った。 ビルに入り、5階へエレベーターで昇った。 わたしは止められなかった。こみ上げてくる思いをとめられなかった。 ダン!! 「…あぁ、頼む。それで宜しく――何だ?君は?」 「名乗る必要は無い」 「いきなりなんだ、仕事の邪魔なんだよ」 「私は課せられた任務を果たすだけだ。そこに無駄な言い訳は要らない」 「…フッ、ばれたか」 「…」 革の椅子に座っていた男は顔が鷹のように変化した。 だがあの時の私には意味が無かった。 「俺はあの新田がうざかったんd――」 シュパッ!! 「ぐがっ…!!」 「無駄な言い訳は要らないといったろう。…任務完了」 私は男を剣で斬っていた。 そしてハッと私は我に返った。 どうしてあんなに焦っていたのだろう、と。 それでも私は無線機に目をつけた後に無線機で玉虫ビルの方と繋いだ。周波数値がメモしてあったのでよかった。 ――ピッ ピー ガガーッ ガッ 「こちら白羽、そちらは?」 「こち・ら時音、粛・・清を完了・・した。“青”・・へのヒント・を入手し・た」 「青…」 「正式名称はネプチューンと書いてある。“海王星”か。正に“青”だな」 「…そうか、では今すぐ――」 ガタン!! 「お前、そこで何をしている!!」 (警察か…) 「時音、無線切るぞ」 ブチッ 「…女?」 「誰だ?」 「私は雷鳥白羽。首謀者は不在のようだぞ」 「話を聞かせてくれないか?捜査一課の笠原だ」 「宜しく」 「…宜しく」 笠原はすこし答えるのをためらった。妙にノリが軽いのが理解できないのだった。 白羽は全てを話した。首謀者と見られる男を粛清した事を除いて…。 そして白羽は数時間後に解放された。(警察の捜査により死体はすぐに見つかったが、白羽の証言により白羽に容疑はかけられなかったのだった) 取調べを受けた後、笠原とは少し知り合いになった。 数日後―― 「しっかし、警察をうまくかわすのは疲れたぜ」 「全くだ」 「だが私の場合は簡単だったぞ。笠原という奴はすこし面白いかったよ。年上だけどな」 「(そりゃそーだろーな。てか年上に面白いって…)」 それでも新田玉露の暗殺計画は阻止したパルス・ソードなのであった。 ――第5話 影・静・侵・攻・劇【シャドーアタック・ドラマ】終 |
暗黒のジェミニ | #6★2008.08/18(月)14:20 |
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数日後―― 「しっかし、警察をうまくかわすのは疲れたぜ」 「全くだ」 「だが私の場合は簡単だったぞ。笠原という奴は面白かったよ。年上だけどな」 「(そりゃそーだろーな。てか年上に面白いって…)」 それでも新田玉露の暗殺計画は阻止したパルス・ソードなのであった。 第6話 蒼・青・新・電・人【ルーキー・パルスブルー】 「ところでよ、このまえの事件のトリック、どうやって解いたんだ?」 そう白凰が12回聞くので私は13回こう言ってやった。 「あの暗号の掛け算は携帯電話の打ち込みシステムと同じだ。1〜9、0をあ行〜わ行に当てはめているのだ。“かける数”は“かけられる数”を何回押すかを指示している。そして括弧の中の数字はただ単純に数値を表している。朝に2年以上鳴らなかった私の携帯電話がなったから思いついた、それだけだ」 「(へ〜、そーなのかー。しつこいぜ)」 そ知らぬ顔をしたから私はお前には解けまい、と付け加えて家に帰った。 さらに数日が過ぎ、5月も末頃―― 「(まったく、美音(みお)がうるさく来い、来いと言うから来てやったが、私は保護者じゃないぞ。…歳の離れた姉妹だ)」 そう言うのは時音の弁だ。 時音は妹・美音に切に欲求され中学校の運動会へ来ていた。 だがこれが思いもよらない運命を引き寄せた。 「(美音でも探すか…)」 その時―― 「(気配を感じる、“仲間”(せいれい)”の気配を…)」 やがて気配は具体化した。 「(アイツか…!)」 感じた先は例の入学式で新・3年生の代表をしていた水野青波だった。 時音は運動会が終わった後、青波が校門を出てくるのを待ちかまえた。美音にばれるのが嫌だったから家を出る前から変装をしていた。時音はよし、と思った。 時期に青波は出てきたのでとっ捕まえた。そして時音は迫った。 「貴様、後でここへ来い。来れば幾らでも飯はくれてやる」 (ぁ) そう言って適当に白羽らの地下アパートの場所を記しておいたメモを渡した。地下アパートはいつの間にか作戦会議の場となっていた。 理不尽すぎる欲求と大した事のない報酬に青波は断るかと思われた。だがその予想は甘かった。 「はい、行きます…!!」 青波は食べる事が大好きだった。 とりあえず食料は用意しない事に決めた。 「17時までに集合の事。以上」 そう言って時音はその場を去った。 「こいつは今日から仲間に加わった水野青波だ」 「よっ、宜しくお願いします」 堅苦しいなと思った。 いたずらにこう言ってみた。 「青波、貴様は“何という精霊に選ばれた”?」 「…“カワセミ”…です」 「…カワセミ?」 「はい、カワセミです」 「白羽、そいつに付き合ってやってくれないか?入隊テストがてら、家に泊めてもらえ」 「分かった。勝手にテストをして勝手に合否判定する」 「…」 入隊テストをしろと言ったのはそっちの方だろうと思った。 青波の家、の門に着いた。豪邸というのはこれを言うのだろう。 「えと、6億の家です」 おい、豪邸の家の子供は家を自慢するのが常なのか。 そう思いながらも家に入る。いや、門から玄関までが遠い。着く間に3分くらいあった。 青波が家に入る前に言った。 「猫が飛び出してくるかもしれないので気を付けてくださいね」 「猫を飼っているのか」 豪邸の猫など大体見当がつく。毛むくじゃらか何かだろう。 ガチャ… 玄関の扉をあける。そして開けるなり、忠告どおり猫が狂気の化身が如く飛び出してきた。 「あぁすいません、うちのコベントルちゃんが迷惑掛けて」 豪邸に住む人間は面識の無い者の前でも猫の愛称を使うのか。 「いえいえ、どうって事はありませんよ」 取り敢えず笑顔で猫の首根っこを掴んでそこらに放り投げた。 「すごいわ…コベントルちゃんが飛び出してきても無傷で、しかも笑顔で返してくるなんて…!!」 独り言が丸聞こえだ。 どうやらこの女は青波の母親らしい。 さっ、どうぞお上がりくださいと言うから隣に居る青波に上がれるもんかと小声で文句を言った。が、結局渋々上がった。 お茶でも用意しますかと聞くから結構です、と言うと何を思ったか、とっさに用意を始めた。そっちの意味では言ってないぞと思った。 結局“入隊テスト”を始めたのは夜の9時過ぎであった。 ――第6話 蒼・青・新・電・人【ルーキー・パルスブルー】終 |
暗黒のジェミニ | #7★2008.09/09(火)17:33 |
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第7話 紅・蒼・侵・察・隊【レットアンドブルー・スコープズ】 入隊テストなんか適当に済ませた。 それより深刻だったのは、青波の母親だ。 「夕飯でも食べていきなさいな。冷凍餃子しかありませんけど」 「青波、毒見しろ。毒が入っているかもしれないから」(小声) 「…駄洒落ですか?“毒”違い、みたいな」 そういうつもりはない。 餃子を食った後はソファーでぐうたら寝ていた。寝ていたら声が聞こえた。半分起きていた。 「白羽ちゃんて可愛いわね。青波、彼女?」 「違〜う!!線があるんだよ、線!中学と高校という線が!ねえ!」 そういう問題でもない。目を覚ましたが横になったまま寝たふりをしていた。一般に狸寝入りとも言うが。 「さっきまで何してたの?白羽ちゃんと」 「何って…」 「あ〜、もしかして…アレでしょ?」 まわりくどい。そういうのは私は嫌いだ。 「っおい、年頃の子にそういうのは厳禁だぞ」 父親らしい声がした。中年を思わせる母親の声とは違って、いたって若々しい。 「あっ、父さん。実は話があるんだけど」 「何だ?」 そう、私が父親が帰ってきたら二人だけで話しておけと言っておいた事がある。どうせあの母親がいれば反対するに決まってる。まあ親は大概そういうもんだ。 だが父親は違う。 青波によれば、父親は大学の准教授だそうで、そういう者なら話が分かるだろうと思ったからである。 内容は言った本人だから勿論聞かずとも分かる。探偵事務所の設立だ。 場所は確保しているが、改装費用が足りないのと、事務所を開くのに必要な費用を賄って貰うのだ。 借りは探偵の報酬で返すつもりだ。時音には伝えなかったが、別段勝手にやられて困る事は無かろう。 後にOKサインが出た。 そうなればもう帰るのみだ。帰るのみだと思って帰ろうとしたら、例の母親がどうせなら泊っていきんさいな、というので断じてうんとは言わなかった。 とりあえず笑顔を振りまいて、さようならと言っておいた。 後日、地下アパートにて、青波と瑚翔太に任務が課せられた。偵察だという。 「この“青”のアジトへだ」 と時音は言う。 ずいぶん変な謎だ。 アジトへのヒントはこう書いてあった。 『アジトを探す者、先ず麦酒の地へいかん事。そこで数値を見つけし者、数値を二つ上り、一番の峰の<青のアジト>へ向かえ』 「麦酒の地…数値?」 青波はチンプンカンプンのようだ。 「<青のアジト>へ行け、って、当たり前だろ、その為のヒントじゃねーのかよ」 「こりゃ実際に行かんと分からんな。よし、私がついていってやる」 と私は言った。時音は分かった、任せると言ってそのあとは黙った。 数分の後、3人で最寄の駅へ向かった。 「電車使うのか」 「いやまあ何となくだ」 「へ…?」 青波、瑚翔太ともに声をそろえていった。何となくなんだから何となくだろうと言って電車に乗り込んだ。 「麦酒はビールの事だ。じゃあ恵比寿に行くぞ」 「そうするか。謎解きは嫌いだ」 「僕は嫌いじゃないですけど…やっぱり難しいですよ、それ」 「謎を解いたら私は帰るからな」 かくしてネプチューン(“青”)のアジト探しが始まった。 ――第7話 紅・蒼・侵・察・隊【レッドアンドブルー・スコープズ】 |
暗黒のジェミニ | #8★2008.08/21(木)22:07 |
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※これより、基本的に地名等に関しては実在する名前を使用しますが、事情によって変える事がありますので、ご了承ください。 第8話 大・侵・察・並・戦・闘・劇【スコープアンドバトル・ドラマ】 『間もなく 恵比寿 恵比寿 です』 「うっし、着いたぞ」 「行きましょ――」 「行くぞ」 青波は半ば仲間はずれになっていた。 「数値…瑚翔太“地下鉄”って言えば簡単だろ?」 「地下て…あぁ、駅番号か」 「恵比寿からは日比谷線がある。そこに行けば分かるだろう」 日比谷線恵比寿駅の駅番号はH02。瑚翔太によれば“2つ上る”とH04の六本木駅がアジトへの最寄り駅だと分かった。 後残された謎は“一番の峰の<青のアジト>”のみだ。 だがそれもすぐに分かった。 後に六本木に着いた。 「こないだの新田暗殺計画集団からの手紙を思い出せ。括弧に挟まれた部分は数字を表していた。これも同じだ」 「つまりは…画数?」 「いいぞ青波。今まで腐ったバッタかコオロギの様だったがやっと役に立ったな」 「…;」 「<青のアジト>の総画数は18。“一番の峰”は抽象的に言えば一番高い建物の事だろう。それは――」 「何本木ヒルズ18階…!!」 「と、言う事だ。じゃ私は帰るぞ」 瑚翔太と青波は何本木ヒルズへ向かった。 彼らは何も知らなかった。余りにも“青”を甘く見すぎていた。 やがて何本木ヒルズ18階へ着いた。 18階は案内板では金融会社が保有していた。 だが実際に入ると、全くその気配は無かった…。 「何にも無いな」 「奥に扉が2つ…」 「俺、右」 「じゃ僕は左行きます」 「あーあ、勘の良い俺についていけば良いものを、豪邸君は左かい?」 「どうだって良いじゃないですかぁ!」 結果から言うと、瑚翔太の勘は正しかった。 青波は扉を開けると落ちた。 「うあぁ〜!!」 「ハァ…言わんこっちゃねえ」 「よっ、と」 瑚翔太はすぐに青波のほうに回って助けた。無論瑚翔太も落ちたのだが、空間移動能力で扉まで戻ってきた。 「お前、足手まといだな」 「滅相も無いです」 「まあ進むぞ」 右の方を進むと、開けた小部屋に出た。 「天井低いですね」 「ちょうど良い」 と言って瑚翔太は天井に手を触れて別空間を作った。 「この空間に入って進むぞ。そうすりゃ敵を素通りできる。時間は短いがな。さ、入れ」 空間に入ると真っ白だった。 「方向わかんないじゃないですか」 「馬鹿だな、勘だよ勘。勘の良い俺なら平気なんだよ」 「(出しゃばりぃ…)」 しばらく進むと、ストンと落ちた。 また小部屋に出てきた。 「戻ってきたな…」 「へ?」 後ろを見ろ、と瑚翔太が言ったので青波は振り向いた。 「さっきの入り口…!」 「全然進んでないな」 『それもそのはず。ここは電脳世界。次の部屋はファイア・ウォールに包まれているのだから』 「誰だ!」 「ネプチューン様の第一のしもべ――“リマン”」 リマンはいきなり攻撃を仕掛けてきた。 隙の無い攻撃に迎撃は愚か青波に置いては戦闘からはじかれてしまった。 リマンの角質硬化と尖鋭化、肥大化された爪の攻撃に瑚翔太は防戦一方。 「貴様は先ず間合いのつめ方からして失格だ――」 「――消えろ!!――」 ジュバッ!! 「!!」 リマンの腕がいきなり切れた。 「…ったく、余計な手間をかけさせやがって」 「し、白羽…!」 「救援一人で形勢が変わると思うな!!」 「まあそれはともかく…戦闘を、続けようか」 白羽はリマンの後ろに回っていた。 「今パワーを蓄えている。大人しくしてろよ」 「なっ、アッ…ァ…ッアァ…!」 これで止めだ。そう言って白羽は剣を振るった。 「ギィイイヤアァーッ!!」 瑚翔太と青波は入り口を入ってすぐの部屋まで引き上げていた。 白羽の戦いを見ていて青波は思った。 「(あぁ…やっぱり、足手まといなだけだよな――)」 「――足手まとい…」 「足で纏?くるくる足で回すのか、纏を」 「違う!…どうせ僕は、要らないんだよ」 「…あのな――」 「瑚翔太さん!」 「何さ。兎に角、今の俺たちにお前は必要不可欠だ」 青波からほろっ、と熱いものが落ちた。 場面は白羽のいる小部屋へ戻る。 ギギギ… ギギッ ギ… リマンは体の崩壊が進んでいた。 「フ、フフフ…」 ピキキッ 「!!」 「ネプチューン様に、光あれ…!!」 フューッ!! ドゴーン!! 爆風が駆け抜けた。 だが幸いにも瑚翔太たちは何とかバリアで防いだ。 「最後の最後に華々しく散った、ってか。フフッ、無駄ッ・・だ・な」 「(何だ…?上手・・く・しゃべ・な・・ッ)」 「グッ!!」 白羽はその場に倒れてしまった。 すぐに病院に運ばれた白羽は軽い麻痺と診断された。 “パワー”で無理やり身体を押さえつけて3日で回復し、退院したものの、“青”の撃破に向け、深刻な問題を抱える事となった。 ――第8話 大・侵・察・並・戦・闘・劇【スコープアンドバトル・ドラマ】終 |
暗黒のジェミニ | #9★2008.09/09(火)17:39 |
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第9話 電・波・隊・出・発【パルスソード・スタート】 『フ、フフフ…』 ピキキッ 『!!』 『ネプチューン様に、光あれ…!!』 ドゴーン!! 『最後に華々しく散った、ってか。フフッ、無駄ッ・・だ・な』 バタッ!! 「よし、着いたぞ」 時音は言った。 いよいよ先は電脳世界。リマンを倒した白羽らパルス・ソードは再び何本木ヒルズへ来ていた。 自動ドアを抜けて、さらに例の小部屋の奥へ着く。 「既にファイアーウォールは消えている筈。行くぞ」 と白羽が言うと、一向は扉を開けて奥へ進んだ。 「今度は何だろうな」 「また小部屋に出たり…なんてな」 ガチャ… 「あー…また小部屋ね」 「あー…」 「ハ〜イ、エブリバディ!ウェルカm――」 「部屋間違えたかなー」 バタン! 「ちょっと待ってよ〜、君たち!!」 「何だよ」 「この僕が第2の刺客(?)さ!」 白羽は、名前を名乗らぬ男と戦う事となった。 結局、男の名は“体術使いのスピナー”というらしい。 仕方ないから体術で受けて立つ事にした。 「よし、気障でハイテンションでナルシストと書いてスピナーよ、覚悟しろ」 「何だか分からないが受けて立とう!!」 「受けて立つ?」 シュンッ!! いよいよ戦いは始まった。 明らかに白羽ペースだった。 「チッ…技の間に切れ目がないZE…」 とどめだ、と白羽が言ったとき、どろりとその場の空気が濁った。 「止めだ――グッ!」 ザザザーッ―― 『フ、フフフ…』 ピキキッ 『!!』 『ネプチューン様に、光あれ…!!』 ドゴーン!! ――ザザザーッ 「ガッ!!」 白羽は空中から真っ逆さまに落ちていった。 いや、“墜ちていた”。 「もうこうなったら体術なんざ関係ねぇ!ネプチューン様より賜りしこの力――“冥王細胞”を使えば一発だぁ!!」 鋭角化された爪が白羽を貫く。 「――まずい!」 「な…にぃ…!?」 「…ったく、余計な手間かけさせやがって」 「(プッ、自分の言った事言われてる〜)」 と瑚翔太は思った。詳しくは前話を参照。 「その傷では先に進めまい。少しここで休んでいけ」 「で、でも姐さん、そしたら戦力が――」 「後で追いつく。追いつ・から・ってい…」 白羽が次へ進めない理由はもう一つあった。 実は、部屋と部屋を繋ぐ、間の道には強力な電波が流れており、裏人格が保てなくなる。 体力を消耗した上に怪我をした白羽では前へ進めないと判断したのだ。 しかしこれは、けっして正しい答えとはいえなかった。 なぜなら、敵は“怪物”だからだ。 ――第9話 電・波・隊・出・発【パルスソード・スタート】終 |
暗黒のジェミニ | #10☆2008.09/14(日)16:50 |
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第10話 二・大・巨・怪・闘【ダブルモンスター・バトル】 「っあ〜、どうして通路じゃ裏人格が保てねーんだよ」 と言うのは白凰の弁。 「いや、白凰は裏でもそうでなくても性格変わらないし、いいんじゃん?」 「んなワケねーだろ!!」 バンッ! 白凰が瑚翔太を殴る。 「よし、次の扉だ」 ガラ… 時音が扉を開ける。 と、今度は今までとは違い、天井は果てしなく高く、部屋の大きさは豪邸とも言うべき広さの部屋に出た。 そこに白凰が一歩踏み込む…瞬間に、 「止まれ!」 時音が手で止める。 「潜んでいる…敵が床に潜んでいる」 「はァ!?」 「床音がしたら飛び出しそう、ってか?」 そう、その通り、と時音が言うまでもなく、白凰が一歩踏み込んでいた。 白凰は馬鹿だ。 「ぁ;」 「ぁあ;」 「…あ、やべっ、行っちまった――」 ガガーン!! 次の瞬間、床から大きな音がしたかと思うと二体の巨怪物が現れた。 「我々ハ、ネプチューン様ノ<守護兵>(ガーディアン)ダ…」 「ソッ、ソコノオ前ラ、マッ、抹殺、抹殺する!!」 「チッ、散開しろ!」 シュンッ!! 瑚翔太と時音が一緒に、白凰は単独でそれぞれ怪物を倒す事となった。 「コノ“冥王細胞”ニヨッテ強化サレタコノ技…“ジャンク・ストーン”!!」 空中から突然巨大岩が現れ、降ってくる。 「ったく、いつになったら降り止むんだこの岩!」 「ククク…我々ガ倒サレルマデ永遠ニダ…」 バシュゥッ!! 「ガッ!」 「白凰!!」 怪物の攻撃は時間に比例して激しくなる。 「ジャンク・ストーン…!」 「ガァッ!」 「ジャンク・ストーン…!!」 「ガアァッ!!」 白凰に限っては、半ばループ状態になっていた。 「コレデ…終ワリ…ネプチューン様カラ聞イテイタ“シラハ”トヤラハ…ココヘコレナイ程弱カッタトイウ事カ――ン…?」 怪物が止めを刺そうとしたその時… 「誰が弱いと?笑わせるな、デブが」 「し、白羽!!(天井にぶら下がって現れるなんて、何だアイツ!)」 「拳ガ…指一本で止メラレタダト…?」 怪物が幾ら力を入れても拳は進まない。 「お前らもその奇妙な細胞を使っているようだな。だがその細胞の弱点を発見した。それは――」 「特殊細胞であるにもかかわらず、一度外力によって切断されたら修復出来ないと言う事だ!!」 シュパーン! 大剣が腕を斬る。 「先の気障な野郎との戦いで時音が私を助けてくれた時、アイツはまだ生きていた。斬られた細胞を移植した腕をくっつけようとしたが、それはついに元に戻る事はなかった――つまり、耐久、修復に関しては特殊細胞でもなんでもないという事だ」 「ウッ、腕ガ…腕ガァ…!!」 「よし。これより大逆転作戦を開始するぞ」 ついにパルス・ソードの大逆襲が始まる…! 第10話 二・大・巨・怪・闘【ダブルモンスター・バトル】終 |
暗黒のジェミニ | #11☆2008.09/18(木)18:29 |
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第11話 電・波・変・革・隼・斬【パルス・エボリューション】 「“冥王細胞”のなんと微弱たる事か!恐るるに足らん細胞だ」 「キッ、貴様ハ、ネ、ネ、ネプチューン様ヲ侮辱シタ…ヤハリ、マッ、マッ、抹殺ダァ!!」 隻腕の怪物が腕を振りかざす。 「おいおい白羽、言い過ぎじゃねーの?」 「怪物に“可哀相だ”などという感情を持つな。所詮怪物だ」 そういう間にも怪物の腕は白羽と瑚翔太を襲う。 瑚翔太のバリアで何とか防いだ。 「雷鳥、頼む」 瑚翔太は言った。 ピュン! 白羽は怪物の顔の高さまで跳び、大剣を振りかざした。 殺風景で広大な部屋には、最早ガーディアンの勝ち気配は消えていた。 完全に状況は逆転した。 それも、やはり白羽の登場で。 「グアァァッー!!」 腕が砕け、破片が飛び散った。 だがこの岩の巨兵の砕けた腕は、再び白羽に悪夢をもたらした。 ズサッ! 「な…!」 「雷鳥!!」 なんと、飛び散った破片が白羽の足首に突き刺さってしまったのだ。 しかも結構大きい。 「チッ…いつまでも運は私の敵と成すようだな」 再び瑚翔太のバリアで凌ぐ事となった。 「グ…ガッ!」 白羽は破片を抜いた。 抜いた瞬間、体には激痛が走った。 破片が刺さったので出血は免れることの出来ない事だった。 「フン…不用意ニモ再ビ来タカ。滅ビルガイイ」 怪物の繰り出す岩が白羽を襲う。 「火薔薇、バリア!」 シュパッ! 瑚翔太がバリアを展開する。 その間に白羽は岩を避けながら怪物の頭を狙っていた。 「いい予感がするな」 グオオォォ!! 白羽の体にエナジーが流れた。 「ナッ、何ダ、コノ馬鹿デカイパワーハ…!?――グガッ…!!」 バタッ!! 怪物は何重にも斬られ、朽ち果てた。 そして白羽が着地した。 「名付けて“隼斬り”というところか」 「“隼斬り”…」 その頃、時音と白凰のところでも決着がつこうとしていた。 「グオォォ!!」 「白凰!」 ブイィィン!! 巨大な爪をドリルのように回転させ、突撃した。 さらに開けた穴に時音の大剣二刀流が流れ込む。 「グアァァーッ!!」 ガーディアンは遂に消滅した。 「ヒヤヒヤしたぜ、全く」 「あちらの方も終わっているようだな。さて、後は…」 「青波、か。おーい青波、ロックは解除できたか?」 「うん、この電子ロック、かなり難しかったけど大丈夫。解除できましたよ」 「じゃ、次が最後の…」 白凰がニヤニヤしながら言った。 「最後の…“リマン大爆発”か?」 「それを言うなら“リー○ン破産”…って違うだろ白羽!」 「(ふむ…出血も止まったようだな。さっきのエナジーのお陰か)」 隼斬りの時に発生したエナジーが傷口をも塞いでしまったのである。 「!(思い出した。“パルス・エナジー”だ。強敵である者を倒すほど多く得られるというあのエナジー…)」 「どうかしたか?」 白凰が白羽の顔を覗き込む。 「何でもないさ」 次話、いよいよ白羽たちはネプチューンと対峙する…! ――第11話 電・波・変・革・隼・斬【パルス・エボリューション】終 |
暗黒のジェミニ | #12☆2008.09/19(金)19:20 |
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第12話 大・迷・路・回【ダンジョン・ループ】 いよいよネプチューンと対峙だ、と思って電子扉を開けると、そこは迷路だった。 「あー?騙しやがったなネプチューンの奴!」 「(誰も何も言ってないだろ)」 と瑚翔太は思った。 「素晴らしい…実に素晴らしい迷宮だ」 と白羽は声高に言った。 道は3つに分かれていた。 白羽たちは時音と瑚翔太、白凰と青波、そして白羽一人に分かれて先を急いだ。 シャッ シャッ―― 「!!」 影が白羽を横切る気配がした。 白羽の歩く薄暗い迷宮は、いかにも怪しく、おぞましかった。 いつしか影は、その形を立体に構成していた。 「我々は<影の狩人>(ハンター)、雷鳥白羽、貴様を消去する!!」 「やれるもんならやってみろ」 ハンターの小剣を大剣で軽く受け止め、隼斬りで一掃した。 「グ…ガァ…」 バタッ! 進んでいくと、橋があった。 その場所だけ水が溜められていて、橋が架けられているのだった。 『この橋渡るべからず』 白羽は跳んで橋を超えた。 「“渡ってない”だろ?」 一方白凰・青波は―― 「ムググゥググ…ウグゥ」 ヒック ヒック… 青波は泣いていた。 白凰が特徴の巨大な爪で青波の顔をつまんでいたからだ。 「び、貧乏ババア――ギャーッ!」 「あ?貧乏“…”何だ?大きな声でもう一度」 「ブ、ヴ、ビ…貧ヴォ――グオフッ!」 しかし元凶は明白だ。 シャッ シャッ―― 「…何だ、穏やかじゃなくなってきたな」 「ヴォ…ヴォだやがでじたが?(穏やかでしたか?)」 ニョロ… やがて白羽の時と同じように、ハンターが構成された。 「貴様ら、雷鳥白羽に味方するカ…?」 「ハ?白羽がどーした?」 「き…き、貴様ら抹殺!抹殺!!」 とにもかくにも戦うしか道は無くなった。 そして時音・瑚翔太は―― 「出口か」 既に出口に近づいていた。 だが―― ガツーン!! 「何!?」 「ククク…ネプチューン様の手によって蘇ったぞ…」 そこに現れたのは、なんとリマンだった。 「貴様、リマン!!」 「フフフ…冥王細胞によって無駄の無い動きが可能となったこの私に、ついて来れるかな?」 リマンは薄笑いを浮かべた。 時音が前に出た。 「そこを退け」 「まあまあ、話を聞いてくれ。――その昔、私は大規模証券会社の社員だった。しかし不景気の中破産してしまい、つまりは職を失ってしまったのだ…。そんな私に手を差し伸べてくださったのはネプチューン様だった――」 『私には…何ができるというのだ…?』 『あるではないか、出来る事が』 『!!』 『やあ。私は“ネプチューン”。君を天界へ誘う人間さ』 『“天界”…?』 『そう、天界さ。ところで、私が君を見出した経緯にこういうものがある』 ネプチューンが持っていたのは、膨大なる資料だった。 『驚いたよ。こんなの常人が出来る事ではない。見事な売抜き技術だ…君が動けば投資家が皆動く。まるで君が神であるかのように皆は追随する…さあ、行こう。素晴らしい世界へ…!!』 「――ネプチューン様は私を救って下さった…。そしてもう一つ、私がネプチューン様に従う理由がある。それは“家族”だ」 「…家族?」 瑚翔太が訊いた。 「そう、家族さ。私の家族は5年前までは普通だった…だが、家族は変わってしまった――株の性で。妻は上がらない株価の中投資を続けた。そして、ついにそれは私の父の遺産を食いつぶしてしまった…。息子も息子で、妻の言いなりになって手伝いをしているだけだった。いつしか私の家族は家族でなくなっていたのさ。私の家族では妻は“投資家”で、息子は“助手”、そして私は単なる“労働者”だった…」 「だが、それだけの理由で――」 「ふざけるな!…どうせ私が働かなければ生きていけない癖に、どうせ私の金が無ければ株など出来ない癖に…!!そして私は!!二人との決別を“実行”した!!…何の愛情も無く、何のふれあいも無く、何のくつろぎも無く…それで、それで…それで家族と言えるかぁーッ!!」 リマンが獣の如く時音たちに襲い掛かる。 果たして二人の運命は…!? ――第12話 大・迷・路・回【ダンジョン・ループ】終 |
暗黒のジェミニ | #13☆2008.09/24(水)00:20 |
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敵は密かに迅速に… 第13話 前・後・怪・敵【モンスター・サンドイッチ】 「ガアァァッ!!」 リマンの冥王細胞により変化した爪が容赦なく瑚翔太と時音を傷つけていく。 鋭利で硬くて、巨大な爪は、薄暗い迷宮に衝撃をもたらしていた。 だが本当の衝撃は、“それ”ではなかった。 シュパッ… ゴワワワ 「チッ…」 「どうしたんだい、白羽君?」 白羽と戦っていたのはスピナーだった。 「フフ…僕が復活した事によって授かった能力、それは空気との同化!」 白羽はもう一度大剣を振るう。 「いつでも!どこでも!どんな箇所でも同化できるこの力!!君にはどうする事もできない――」 ――ピッ 急にスピナーの動きが止まった。 と、思ったらスピナーは地面を掘り出し、その穴に消えてしまった。 「掘った後がまるで蟻塚だな。形跡を消す事など考えてもいないらしい」 呆れた顔で白羽は言った。 「私はただ本当の家族がほしいだけだった!人間らしい生活がしたいだけだった!なのに、なのに!アイツらは何にも分かってなかったんだァ!!」 リマンの攻撃は相変らず。 瑚翔太はリマンの意見に反論し続ける。 「だ、だが“本当の家族”とは何だ?そんなのも分かってないのに――」 ピッ 「えっ?」 「ハーイ、エブリワン!空気と同化する能力を生かして、かまいたちを作ってみたよ!」 瑚翔太の顔を切ったのは、リマンではなく、スピナーだった。 「前と後ろに敵…正に、絶体絶命と言うやつか」 そういう声が聞こえたのは、次にスピナーがかまいたちを発生させる前だった。 「し、白羽!!」 「空気と同化するなら、むしろ空気と同化させてしまった方がいい。同化すればするほど攻撃を当てられる範囲が広がるからな」 「何?」 白羽はスピナーに大胆にも隼斬りを連発した。 一方瑚翔太と時音はリマンの、白羽への攻撃を足止めした。 白羽の表情には常に微笑みがあった。まるで勝利を掴んでいるかのように。 「だからサ、無駄だって言ってるジャン?分かるかい?」 「フム、もういいか」 そういうと白羽は手をかざし、その掌にはある物体が浮いていた。 「ギガフリーズ!!」 カッ!! 空気は凍結した。しかも、スピナーの居た場所の周りだけが。 「凍結した空気に同化すれば、当然貴様の体もそれに同化する。何とも実に簡単に解けるトリックなのだ」 パルス・エナジーを大剣に溜め、一気に切り崩した。 「…そして暴れる獣は、こうしてやればいい」 「天界エナジー奥義“デンパセイバイ”!!」 グゴオオォォ!! 激しい雷がリマンを狙い撃ちする。 「なん…で・・だ…?」 「今までこちらの攻撃にかすりもしなかったのに…」 「一旦時を止めて天界の電流が成敗を下す。一瞬でも止められれば当てられたのだ」 あっけなく戦いは終了した。 ふと行く先を見ると、白凰たちはすでに出口へ着いているのが見えた。 むこうも白羽たちに気づいて手を振った。 「姐さ〜ん、早く来いよ〜」 「あぁ、行くさ」 そう時音がいうと、いよいよネプチューンとの戦いが始まるのだな、と瑚翔太は思った。 「(果たしてどいう人物なのだろうか…?)」 次開ける扉の先には、今度こそネプチューンが待っている!…だろう(ぇ) ――第13話 前・後・怪・敵【モンスター・サンドイッチ】終 |
暗黒のジェミニ | #14☆2008.09/30(火)19:06 |
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第14話 不・安・定・大・剣【バリアブル・ソード】 いよいよ次の扉はネプチューンの部屋。 白羽らは緊張感を抱きながら歩いていた。 白凰が口を開いた。 「この扉を開ければ…」 「煙が出てくる…」 と白羽。 「違う…」 白羽に乗って白凰が言い返す。 白羽の冗談はここに来ても健在のようだ。 「ようこそ、パルス・ソードの諸君!」 「!!」 扉を開けると、男の声がした。 正しくその男はネプチューンだった。 「貴様がネプチューンだな?」 「その通り」 「私がネプチューンだ。そして、捨て駒の面倒を有難う」 ギリ… 「テメェ、“捨て駒”だとぉ?」 「捨て駒さ。君たちが捨て駒の面倒を見ている間、私は少し調べる事があったのだよ。おもしろいね、君たちは運命的だ」 白凰が顔をしかめる。 「先ず雷鳥白羽君、君はフィンランド系ロシア人の父親とイタリア系ポーランド人の母親の元にうまれた。父の名は――レオ・コリンズ」 「?」 「かつてこの世界とは異なる、つまりはこちらから見てビヨンダート(異世界)で“ポケンシア”組織で活躍した戦士さ。ちなみに、これが父親の遺物」 ネプチューンはポケットから取り出した小さなものを取り出した。 今更だが、白羽は服装からしてネプチューンはアメリカンカジュアルが好きなのだなと思った(ん) 「デビルズ・アイテムとやら言うらしい。これはその中でも最も至高なアイテム――“デビルズ・パズル”」 だが瑚翔太は言った。 「しかし、それは何の関係がある?」 「これが君らを天界へ還す為のキーアイテム、私を倒せればくれてやる、という事だ」 「な!!」 ネプチューンはこちらに背を向けて、歩き出した。 「そうそう、こちらも賭けをしているのだからそちらも“生贄”くらいあっても?」 ジャララ… そうネプチューンが言うと、天井から鎖が降ってきた。 「さあ、戦いを始めよう――」 「雪晶時音、君を人質にね!!」 「!!」 なんと、ネプチューンはリーダーの時音を人質に戦いを仕掛けてきたのだ。 時音は鎖に両手両足を縛られ、天井高くまで吊り上げられていった。 「あぁ、言っておくが、鎖を破壊する事は不可能、やはり“デビルズ・パズル”がキーアイテムさ」 「くっ…」 なんとも不条理な戦いが幕を開けた。 「さあ、雷鳥白羽、来い!」 ネプチューンは地面においてあった黒いグローブをはめ、その拳は白羽の大剣と交じり合った。 「…何を企んでいる」 白羽は問いだした。 「貴様がしたいことは、時音を人質にする事でも、戦う事でもなかろう。…“貴様の存在理由は何だ”?」 ネプチューンの動きが止まった。 「簡略に言うならば、“犯罪者再生プログラム”というところか」 「!!」 皆驚愕した。 「君らを調べている過程で、君の精霊は、人間界へ墜ちた理由はかの連続学校爆破テロと言っていたな。だが違う。本当は天界で犯罪を犯したからさ」 「何!?」 「天界では人間界で言うの警察以外が殺人事件等の捜査にかかわる事を人間界以上に固く禁じている。しかし君たちはそれに違反した。天界で犯罪を犯したものは天界で生存する事を禁じられ、つまりは人間界へ落とされる。我々は落とした者をもう一度試す為に存在する。ちなみに、なぜ君たち人間に居候する必要があったのかといえば、天界の者は人間界では単独で生きる事ができないからだ。まず呼吸が出来ない。だから人間に寄生したのだ」 隠された事実に驚きながらも、白凰が訊く。 「何で天界の奴らは呼吸が出来ないんだ?」 「…天界の者は、一度死した者だからだ」 「な!!」 「さて、余談はここまで。雷鳥白羽、戦いを続けよう!!」 シュンッ!! 白羽は隼斬りを連発した。 「隼斬りの多発技、“居合い”――発動者から半径2メートル以内において天界の技中、最速の剣さばきを発揮する護身用の剣術だ」 「だがしかし、それではこの状況を打開できまい。しかも、私が段々と君を押してきているのだからなぁ!!」 「白羽!!」 白凰が駆け寄る。 しかし、その行動は自らを地獄へと招いた。 シュル シュル シュル ガチャッ!! 何という事か、白凰も鎖で縛られてしまった。 「確かに、今うかつに攻撃は出来ないな…」 「…しかし」 「貴様ごときと遊んでいる暇は無いのだ!」 グオオォォー!! 「天界エナジー奥義、“バリアブル・ソード”…!!」 いよいよ白羽の逆転策が始動した。 「クッションのように不安定なこの剣は、超越的な視覚能力を持つ天人(天界の人)の目さえも撹乱させる」 大剣の身自体が柔らかく動くので、剣の軌道を読めなくさせるのだ。 これにより、少しは状況が打開できるかと思われたが… 「フン、見かけ倒しの技が通用すると思わないでほしいね」 「!!」 ネプチューンは剣を片手で“白羽取り”したのだ。 「君を取ったよ」 「駄洒落野郎が」 二人は激闘の中でもユーモアを発揮していた(苦笑) ネプチューンとの戦いは続く…。 ――第14話 不・安・定・大・剣【バリアブル・ソード】終 |
暗黒のジェミニ | #15☆2008.10/01(水)11:54 |
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第15話 二・種・変・異・大・剣【ダブル・ブレード】 「君にはもう一つ、話さなければならないことがある」 とネプチューンは言った。 「“何故一度人間界へ墜ちた者を試す必要があるか”だ。まあ、“君には”話すが他の輩に話すつもりはない。だから、消えてもらおうか」 ネプチューンが指を鳴らすと、小さい人形程度の兵隊が幾多も出できた。 「小さいが力は人間の大人に勝る。滅びるがいい、小さき希望の光よ。その光を見事に遮って見せよう!」 人間の大人(以上)の力を持つ兵隊が百も二百もいるようだった。 「チッ、この、このっ!」 青波と瑚翔太に襲いかかる兵隊は、無論白羽にも襲いかかってきた。 「所詮人間の大人を数パーセント超越した程度だ。恐れるに足らん」 「何?」 「天界エナジー奥義“ネオバリアブル・ソード”!!」 「パルス・エナジーを操る事によってこの大剣が及ぼす攻撃範囲と追加効果を数種類選択できる技だ」 「ソニックブーム!!」 兵隊に上下左右囲まれた中、果たしてネプチューンにソニックブームが通用するのか…? 「ぐうぁっ…!?」 ネプチューンの脇腹に3つの深い傷ができた。 「このソニックブームは攻撃対象までに存在する障害物を貫通し、攻撃対象にのみダメージを与える!!」 だが、すぐ目の前に居る兵隊のことは考えていなかった。 次々と兵隊が白羽に襲いかかる!! 正に踏んだり蹴ったりの構図だった。 「フフフ、最早私が手を加えるまでもない…」 「白羽ー!!」 白凰の声だった。 「うるさい人質だ」 そう言ってため息をついた後、 「君たちに制裁を加える。人質に手を出すほど不利になったわけではないが、片一方を消去する」 「!!」 「(白凰…!)」 「瑚翔太さん…きりがないですよこの兵隊」 「白羽が何とかしてくれるさ…」 手を握り締め、祈った。 主よ 我を憐れみたまえ―― ホワーッ 祈りが届いたのか届いていないのか、兵隊の動きが止まった。 「制限時間内に潰しきれなかったようだな。仕方ない…雷鳥白羽、再び戦おう!!」 「…ふむ、動きが止まったな」 「天界エナジー奥義“インビジブル・ソード”…!!」 白羽はついに迷宮の時をあわせ計4つ目の天界道具を繰り出した。 「それで3つ天界道具だが、あと一つの技を繰り出す事さえできまい。終わったよ、雷鳥白羽。君の負けでね!!」 「ゼハー。ゼハー。ゼハー…」 シュンッ!! 白羽は突撃した。 ただひたすらに、ネプチューンを倒すが為―― ザズッ… 「クッ…まやかしの技のハズが何故…」 白羽は笑みを浮かべた。 「この技は、バリアブル・ソードと組み合わせた時、最大の威力を発揮する…」 「つまりは、見えない上に剣の身があちこち動く剣、と言う訳だな」 と瑚翔太。 ネプチューンに刺さった剣を白羽は引いた。 「わたしは最初に戦闘モードに移行する際、エレキブルと融合した。エレキブルの“かみなり”を、融合した私が使えないはずが無かろう」 バチバチバチ… 頭上に雷鳴がとどろいた。 「…かみなり!!」 バチーン!! 「グアァァー!!」 ネプチューンはついに果てた。 「このデビルズ・パズルとやらで白凰たちの鎖が取れるらしいな。だが白凰はどうでもいい。さて、帰るk――」 「コラー!!」 「…仕方ない」 「当たり前のように助けろよ!!」 その後、デビルズ・パズルは事務所に持ち帰った。 白羽らは4人で帰った。 白凰は持ち帰らなかった。 これにて一件落ちゃk―― 「してないだろ!」 「なー作者ー、仲間はずれにされちまっt――」 い、一件落着♪(苦笑) ――第15話 二・種・変・異・大・剣【ダブル・ソード】終 |
暗黒のジェミニ | #16★2008.10/03(金)00:31 |
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まったり、のったり… あっち行ったり、こっち行ったり(ぇ) 第16話 楽・笑・話【エンジョイ・ストーリー】 ネプチューンとの戦いから数週間、白羽らは探偵事務所にいた。 白羽と白凰は机に向かい合って座っていた。 「ところでよー白羽、アイツ“何故一度人間界へ墜ちた(おちた)者を試す必要があるか”ってのをいいかけて結局お前が倒しちまったろ?アレ、何言いたかったんだろーな?」 「知るまでもない。ところで、さっきまで青波がとなりに居たはずだが…」 確かに青波は消えていた。 となりに居たはずの青波が。 「…それはともかく、お前、“かみなりを使えないはずが無かろう”とか、本気で言ってたのか?」 「ふむ、あれは適当に言ってみただけだ。もしかみなりが出なかったらかなりの恥だったな」 「ぇ;」 ポカーンとした白羽の顔と、驚きを隠せない白凰の顔が真反対さが面白い。 ところで、本当に青波はどこにいたかと言うと… 「フグゥ〜」 机の下で縄で縛られ、ガムテープで口を塞がれていた(あらま) 白羽は白凰と話している間、バシバシ足でけっていた。 「フ、もういいか」 「?」 バリ… ガムテープを剥がすと、青波が縄でグルグル巻きにされたまま立ち上がった。 「まったく、ひどいにも程がありますよ、こういうのを――ムグァッ!」 ドガッ 「ドSっていうんだよな」 白凰が青波の言いたい事をつないだ。 もっと簡単に言えばある意味でおいしいところを持っていかれたというところか。 ピンポーン♪ ピンポーン♪ 「来客か。よし、迎えに行くぞ」 といって白凰を足で地面にたたきつてドアを開けた。 「あの…警察だけど、雷鳥白羽って人いる?」 「…笠原(かさはら)さん?」 白羽は表の人格に戻っていた。 しかし、表人格が登場したのは第3話以来、13話ぶりという有様である(ぁ) 「えっ…君、誰?」 「雷鳥白羽ですけど」 「君が?」 「はい」 笠原はキョトンとしていた。 それもそのはず、白羽が取調べを受けた際は裏人格であったからだ。 良く見れば同じ人間なので顔は似ているのだが、これが二度目の対面という人間に、しかも白羽たちの裏事情を知らない笠原にそんなことは分からないのだった。 「君、こないだの取調べからしてネプチューンについてよく知ってると思うんだけど、少し訊いていい?」 笠原は問いだした。 その後延々と取り調べは続き、数時間後… 「んじゃあ帰るわ。またな、白羽ちゃん」 ガタン! 「チッ、余計に時間を使ってしまった。さて、犬どもは…」 白凰は笠原に気づかれないように机の下にもぐりこんでいた。 「あの笠原って奴、根掘り葉掘り聞きやがって!でも白羽のはぐらかし方も尋常じゃなかったぜ!!」」 「うるさい、犬はドッグフードでも食ってろ」 「モグァッ…!」 白凰は無理やりなんかの物質を口に詰め込まれた。 「それは私の手のあかと柏餅と何かの化学物質の混合物だな。確か“食べるな危険”と…」 「おい!!」 「思い出した。残念なことにそれはベリリウムだ。体内に入ると慢性肺疾患を引き起こすすぐれものだ」 「えぇー!?」 白凰は吐き出した。 白羽には分かっていた。ベリリウムは毒性が強い事を。 しかもWHOからは、発がん性の指摘がある。 しかし白羽にとってみれば、ただの悪ふざけだ。 「さて、次の“四つの欠片”の一つを手に入れるぞ」 すでに白羽は、次へ向けて動き出そうとしていた。 ――第16話 楽・笑・話【エンジョイ・ストーリー】終 |
暗黒のジェミニ | #17☆2008.10/05(日)02:26 |
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第17話 調・教・師【ポケモン・ブリーダー】 ガチャ… 白羽は事務所のドアを開けた。 「何、白凰だけか」 そこには白凰がぽつんといるのみだった。 「時音姐さんたちは慰安旅行に行ったんだよ。次はあたしたちって事」 ピンポーン♪ ピンポーン♪ 「来客か」 「グオフッ!!」 白羽は白凰をかかと落としで粉砕(?)し、ドアへ蹴り飛ばした。 運が良いのか悪いのか、端まで飛ばされたところでドアが開いて白凰は壁に挟まれた。 「(凄い音したな…)すいませ〜ん、ここ探偵事務所ですか?」 気弱そうな主婦らしき女性が入ってきた。 依頼者第一号だ。 「そうですが」 「マジですか!?」 「そうですが」 「マジでs…と、とにかく、私の話を聞いてください!」 女性は焦りながら座りもせず話し出した。 「と、とにかく落ち着いて、どうぞ椅子におかけ下さい」 白羽が表人格に戻って冷静を促す。 「申し訳ありません…。私、島木由真(しまぎ・ゆま)です。ところで、私はポケモンブリーダーになりたいなと思ってポケモンを家で沢山飼っているんです。特に犬系の。でも最近、その子たちが夜にうめき声みたいのを上げるんです。毎日じゃないのですが、その翌朝リビングを見ると、何か変な文字とぽつぽつと血痕が…。いつも血痕は消しているのですが、本当に不安で不安で仕方なくて」 「その変な文字というのは壁に?」 「はい。何か象形文字みたいな文字で…」 不安な顔の由真を見て、とりあえず白羽は、 「早速ですが、お宅へ案内してもらえますか?」 と言った。 はい、と由真は言い、事務所を出て行った。 「ちょ、白羽いきなり?」(小声) 「現場を見るのが一番だ。話を聞くより鮮明で、正確だからな。さて、行くぞベリリウム」 「違っ!!」 「ここです」 由真に案内され、家に着いた。 家の中へ通されると、白羽は隅々まで調べ…る事はなかった。 一瞬で全てを察したのか、もう解決し終わったかのような顔をしている。 「ところでポケモンたちが居ないようですが…」 と白羽が訊く。 「あ、ちょっと怖いので二階へ…やはりいつポケモンたちに危害が及ぶか心配ですから」 由真は少し笑いながら言った。 白凰にはそれが少し引っかかった。 「では呼んできて下さい。ポケモンたちにも説明すべき事があるのでね…!!」 少しして、由真は大勢のポケモンを連れてきた。 「うおう!?」 「に、二十匹です…♪」 「二十匹…?届出必要なんじゃ?」 「勿論出してますよ。まあこの数、大変ですけどね」 一息ついた後、白羽は推理の解説を始めた。 「まずこの象形文字は“トンパ文字”と言って、中国の少数民族、ナシ族に伝わる、現在では唯一生きている象形文字と言われています。そのトンパ文字の解読が出来ればあとは簡単なはずですが…」 …まさか白羽、読めない!? これでは推理は進まない!一体全体どうなるのか!? ――第17話 調・教・師【ポケモン・ブリーダー】終 |
暗黒のジェミニ | #18☆2008.10/06(月)19:09 |
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「トンパ文字の解読さえ出来ればあとの推理は簡単ですが…」 「ま、まさか…?」 第18話 人・人・人【ポケモン・ドナー】 グイッ!! 「(馬鹿者が。事務所で“象形文字”と聞いた時点で見当はついていた。大体ここらにいる人間が知っている文字などたかが知れている)」 「(そーいやTVでもやってたな…!!)ぐ、苦しい!!」 この後、白羽はあっさり事件を解決させた。 「このトンパ文字は“電気鼠”と書いてあります。しかしこのトンパ文字は間違えです。鼠の文字、犬と混同しています。しかし、もしこれが“犯人の罠”だとしたら…?」 「まさか…“電気犬”って言いたかったとかか?」 「その通り。電気犬といえば由真さん、何が思い当たりますか?」 由真は少し考えた後、 「そ、そういえばラクライが3匹ほど(でもあれって電気犬?)」 「そう。そしてその“電気犬”の文字の横には飼い主、を表す文字があります。由真さん、ラクライの提供主3人をここへ呼び寄せて下さい、今すぐ」 白羽がせかすと、由真はすぐさま3人の連絡先へ電話をかけた。 しかし、白羽の“せかす”は表でも裏でも脅迫まがいに見えるのだが。 提供主の3人が来る間、白羽は二階を調べていた。 「由真さん、二階にポケモンを移動させた後、ポケモンの居る部屋を掃除しましたか?」 「いえ、していませんが」 「なるほど。それで納得です」 「?」 「この部屋の床にも血痕がついています。つまり、一階だの二階だのは関係ない。関係あるのは“ポケモンがいるか否か”なのです」 「!!」 白羽は白凰の携帯を取ってストラップを持った。 「血痕はついているが傷はない。しかしどうでしょう、このように細いものを使えば…それこそ注射器のような」 「あいだだ!!確かに痛い!!」 白羽はストラップの先のとがった部分を白凰の腕に刺していた。 「血痕がついていたのは採血が下手なだけでしょう――」 ピンポーン♪ ピンポーン♪ 提供主3人が来たようだ。 「さて、再び一階へ戻りましょうか。そこで犯人が分かります」 白羽たちは一階へ戻った。 「さて、先ず3人のお名前を」 「俺?江崎支倉(えざき・しくら)だよ。ったく、早く帰してくれんだろーなぁ?」 「ぼ、ぼ…ぼbゥッ、僕は元実徹(もとざね・とおる)です」 「私は中山哲次(なかやま・てつじ)です」 「ケッ、チャラ男と小心者と堅物が提供主か」 「んだとゴラー!」 「(汗)」 チャラ男(笑)が怒った。 次に、白羽はそれぞれの職業を訊いた。 チャラ男(くどい)は獣医で元実はプログラマー、中山は会社員だそうだ。 「では皆さん、それぞれそのお仕事を始めて何年目ですか?」 {(クッ…これ訊かれたら終わりじゃ…)} 「お、俺は2年目」 「ヴォ…僕は10年目です」 「私は13年目」 ふと白羽は振り返り、 「これでお分かりのはず。先ほど二階で私の言った事と照らし合わせてみて下さい」 「さっきの…?――ハッ!」 『血痕はついているが傷はない。しかし――』 『採血が下手なだけ――』 「…では、犯人をお告げ下さい。由真さん」 「ッ…犯人は…貴方です」 由真の指は、江崎を指差した。 「江崎さん、貴方は獣医2年目と仰った。二階とこの部屋についている血痕はポケモンのものでしょう。実際、ポケモンの皮膚を調べると、跡がありました。そして獣医は注射器も使うでしょう――」 「そっ、そんなの理由にならねーだろーが!!第一なんでそんな事をしなくちゃ…」 「そこを貴方に問いたいのです。さあ、何故です?」 白羽に屈したのか、江崎は次のような事を口にした。 「そ、それはほんの悪戯で…」 「ほう、悪戯!何故その様な必要が?」 「そ、そりゃあ…」 「そりゃ、獣医に鳴りたいからに決まってんだろーがぁ〜!!」 バゴーン!! 江崎は狂乱した。 「(白凰、“四つの欠片”について訊くぞ)」 「(で、でもよぉ…)」 「(このような力は常人にはとても無理だ。それゆえだ)」 江崎は家中という家中を破壊しつくした。 白羽と白凰は砂煙に乗じて江崎を捕らえた。 「貴様、“四つの欠片”を知っているか?いや、知っているだろう。白状しろ、“赤”についてだ」(とりあえず“赤”と言ってみる) 「し、知るかァ――あ゜〜!痛い!!痛い〜!!」 白羽は電流を流した。 「これ以上電圧を上げたら喋れなくなる。さあ、言え!言え!!」 「知らn――」 ガツン! 白羽は江崎を殴り飛ばした。 「知らないならそれでいい。もう砂煙が消えるからな。だがその代償は命で払ってもらおう!」 シュパーン! 結局、“四つの欠片”について新たな手がかりは手に入れられなかったのだった。 ウー!ウー! 警察が来たようだ。 「あ、白羽ちゃん(よく会うな;)」 「怪我人が多数います。救急車の手配しておきますね」 怪我どころではない人間が一人居るが(ぁ) 「さて、次は私たちが旅行に行く番だな。ベリリウムよ」 「だから違ッ!!」 ――第18話 人・人・人【ポケモン・ドナー】終 |
暗黒のジェミニ | #19★2008.10/08(水)20:01 |
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危険な旅行、危険な食べ物… 第19話 危・険・旅・行【デンジャラス・トリップ】 さて、ここで白羽の下校ルートをざっと紹介しよう。 まず学校から渋谷駅へ5分。別に渋○○育○園○谷に通ってるわけではない。 氏曰く、大剣裁きサービス券一回分を渡されるらしい。 使わなかったら、大剣裁きをするらしい。 そこから埼京線で一駅。別に恵比寿か新宿で降りるわけではない。 氏曰く、ベリわ餅(ベリリウム+柏餅の事。詳しくは16話参照)を食べさせるらしい。 そして駅を出たら徒歩十分ほどで家に着く。 さて、白羽は直接事務所に来た。 ガチャ… 「ム、また白凰しかいないのか」 「まーな。…どーせ一人ですよ、あぁ一人ですよ。あたしなんかどうs(強制終了)」 キョロ キョロ… 「それはともかく、随分前の食べ残しがあるぞ。腐らないうちに…いやもう腐っているが“ベリわ餅”を食え」 「ムガガグァ…!!」 「チッ、食わないか。まあいい。ところで白凰、次の旅行は私たち二人だったな」 「いんや、紫音(しおん)と美音(みお)もついて来るらしい」 美音は、時音を入学式やら運動会やら無理矢理来てくれるようにせがんだ中学一年生の時音の妹。 紫音は…? 「紫音も時音姐さんの妹で、しかもあたしらと同じ学校で同じ学年で白羽とは同じ部だとか」 「(…)」 「しかも一年の時から」 「ぁ?」 「まあ…30年経ったら実は重要な人物だった、程度の野郎か」 紫音は白羽も知らないほど影が薄いようだ。 「フム、影の薄い奴はともかく、家に戻るか。白凰、貴様はベリわ餅でも食って和んでろ」 「和めるかァ!!」 白羽は二階へ上がった。 「旅行…そういえば運転手を雇わねば。思い当たる人脈と言えば…」 プルルル… プルルル… 白羽は電話をかけた。 カチャッ 「はい、もしもし。水野ですが。…雷鳥さん?ちょっと待って下さいね。ねーお母さーん!雷鳥白羽って誰ー?」 「あー白羽ちゃんね。青波の友達よ。で、何の用って?」 「今度旅行するから、車の運転手をお願いしますって」 「秋、あんたが行きなさいよ。二十三になってもろくに働きもしないんだから。お父さんを見習いなさい」 「(教授をどう見習えと…?)は〜い、はい――」 ――カチャッ 「フム、運転手はこれでよし。しかし、頼れる人材が少ないのは難点だな」 白羽は数日後に迫った旅行へむけ、荷造りを始めた。 数日後―― 「ケッ、青波に姉貴が居たのかよ。あー眠い」 「何だ、眠そうだな白凰。どうせなら永遠のn――」 「結構です」 こういうのだけは眠くても返答が早い。 さて、青波の豪邸に着いたが…車は何処へ止めてあるのだろうか? 『玄関先に止めてあるわよ。何?広すぎて分からないって?やーね、白羽ちゃんったら』 「(…やけに母に喋り方が似ていたな。遺伝か)」 「お、いたぜ――」 「それはともかく“ベリわ餅”は?」 「(しつけー!!)」 「…ッ、あ、白羽さんに白凰さん!」 美音の声だ。いちいちキーキーとうるさい声である。 「よー美音。久しぶり」 ところで“秋”はどこにいるのだろう。 「私は水野秋(みずの・あき)よ。二人とも宜しくね♪」 「(あー…多分ノリ軽いな、この人)」(←コイツ(白凰)も) 5人は車へ乗り込み、山形県は白布へ向かう事となった。 「さーて、白布までブッ飛ばしちゃうわよ――」 「安全運転で」 「ヴッ!」 「(おーい白羽ぁ…失礼だろ)」 「(本当にブッ飛ばされたらたまったもんじゃない。この車はベンツだが、予想外に加速するからいつの間にか時速200キロくらい…まあその時は逃げればいか)(自分だけ)」 次話より、恐怖の(?)旅行が始まる!! ――第19話 危・険・旅・行【デンジャラス・トリップ】終 |
暗黒のジェミニ | #20★2008.10/10(金)18:08 |
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あの時彼女は、何を感じていたのだろうか――? 第20話 大・火・事・旅・館【ファイヤー・ホテル】 水野秋が運転する車は、栃木の那須塩原SAへ入った。 やけに危ないドライビングであったと白羽ら4人は心に思っていた。 秋は車を止めると、すぐさまトイレへ直行した。 「(と、言う事は…トイレ行きたくてうずうずしてた人間の車に乗ってたって事だよな?)…危ねー!!」 「うるさいな。ベリわ餅を食わせるぞ」 「ぇ;」 「何ですか、その…ベリ何とかって」 と紫音。 「“ベリわ餅”。白羽曰くベリリウムと柏餅と白羽自身の手垢の混合物だとか。おかげで何回○ぬとこだったか…」 「○ぬんですか!?」 「○ぬよ。下手したら」 そして白羽が付け加える。 「ベリわ餅を摂食すると○○になって○○○くなって最終的に○ぬ可能性がある」 紫音と美音はもう話を聴きたくなくなった。 「では私は飲み物でも買ってくるとしよう」 と白羽は行って車を出た。 慌てふためいてトイレへ直行した秋はまだ戻ってこない。 しばらくすると、秋より先に白羽が戻ってきた。 「バナナジュースしか無かった。さあ飲め」 「(いや…そんな事無かろうに。しかも…)」 『よし、皆にとって健康且つパワフルになる飲み物を買ってきてやろう。何?ベリリウム?それは混ぜないに決まっているだろう』 「(絶対に何か企んでやがった…)」 白凰はそう思いつつ、飲み物を口につけた。 他の二人も同様に口をつけた。 白羽はそれらをじっと静観していた。 「…バナジウム入りの」 ボソッ 「ブーッ!!」 3人は思いっきり噴き出した。 「こらこら、シートが汚れてしまっただろう」 「テメェのせいだゴラー!!」 「ちなみにバナジウムはレアメタルの一種。体内に入ると発ガ○するかもしれないとWHOが指定している金属だ。よし、まだ誰も飲んでいないな?では回収しよう」 ちなみにその後3人にはすぐ白羽が水で口を洗わせた。 まったく金の無駄である。 「チッ、貴様らが無駄にしたせいで生活費が苦しくなったぞ」 「だからテメェのせいだ〜!!」 その後秋が戻ってきたので再出発する事にした。 数時間後、山形県白布―― 「ふー、着いた、着いた。ここが『旅亭・吾妻』」 荘厳な雰囲気が漂う旅亭だ。 建物の概観を見ているだけでこの旅亭がどんな歴史を歩んできたのかが分かるようである。 白羽たちはチェックインした後、2階の部屋へ入った。 「寂しい野郎と寝泊りするとは何とも味気ないな」 「あたし見てゆーな!!」 紫音が白羽と白凰の間に割って入る。 「あの、喧嘩はやめて下s――」 「これは喧嘩ではなくコミュニケーションの一環と思われ」 「…物は言い様ってやつだな」 白羽らは荷物を部屋に置くと、取り敢えず辺りを散策することにした。 そして白凰が一階のフロントを通り過ぎようとしたその時―― 「痛ッた!ご、ごめんよ」 「いやいやこちらこそ。あ、私は光雷人(ひかり・らいと)。恥ずかしながらPBR大学の教授です」 「PBR!?マジかよ」 それもそのはず。PBR(ポケモン・バトル・ラボ)大学は、日本でもトップと名高い大学なのだから。しかも雷人はその教授である。 「実は私、“覚醒論”について研究しておりましt…」 「もういいです;」 白凰はそそくさとその場を立ち去った。 白凰は遅れて旅亭を出た。 「やけに遅かったな。誰だあの男は?まあともかくこれを食って反省しろ」 「モバァッ…!!ざ、雑草!?」 相変らず白羽は白凰に異物を食わせていたのだった。 「…覚醒ポケモンヲ使ッテ…俺モ覚醒シタイ!!カッ、カッ、覚醒!!」 バチバチバチ… 「コノサーバーヲ起動サセレバ…ククク…」 怪しき旅行、怪しき影…!? ――第20話 大・火・事・旅・館【ファイヤー・ホテル】終 |
暗黒のジェミニ | #21☆2008.10/12(日)01:35 |
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第21話 造・偽【イミテーション】 白羽たちが周辺散策を終え、旅館に戻ったまさにその時、事件は起こった。 「かっ、火事だぁ!!」 旅館から火の手が上がっていた。 「不自然だ」 「は?」 「まだ完全に燃え広がっていない今だけに、不自然さがうかがえるのだ」 と白羽は言う。 「と言うと?」 紫音が訊くので白羽は面倒そうに答える。 「面倒だが説明する。この火事、火が旅館内ではなく完全に外部から燃え広がっている。たとえば厨房からの火事だとか、そういうことはありえないのだ。これはまさに放火だ」 しかも、燃え方が尋常でない。 「おそらくポケモンの放火だろう」 そう言うと白羽は燃え盛る旅館の中に入っていった。 「え…白羽さん!危ない――」 「大丈夫。アイツ“フツーじゃないから”。さっ、お前らは避難してな」 「でも白凰さん…」 「あたしは後から追いつくから。さ、早く!」 紫音はコクリとうなずき、美音の手を引いて秋と共に避難した。 「さて、こっからは戦闘モードだ」 白凰は戦闘モードになり、旅館へ入った。 白羽はフロントにいた。 不思議な事に、フロントの辺りは燃えていない。 まずこっちの謎を解いても良かろうに(ぉぃ) 奥のほうではスプリンクラーがひっきりなしに作動している。 「このような炎、スプリンクラーごときで消えるハズない。それより、燃えていない階段をさがせ、どこでもいい。見つけ次第この小型無線機で知らせるように」 と言うと白羽は無線機を渡し、奥へ消えていった。 「燃えていない階段、燃えていない…ッあった!ピガーッしっ、白羽!あったぜ道が」 ガーッ ピッ 「こちらもあったぞ。どうやら“2通りあるらしいな”」 ブツッ 白凰は通信を切った。 白凰は燃えていない道をひたすら追った。 3階について左を見ると、奥の壁にあのPBR大学教授の光雷人がいた。 「おい何でここに…危ねェから逃げろって!」 「あなたこそどうしたのです、その格好は――?」 ガツン! 白凰は巨大な爪を壁に突き刺す。 「いーから。まぁ、どうしても残るっていうんなら…」 一方の白羽は4階にいた。 「“四つの欠片”のものの気配は薄い。だが無いわけではないな」 白羽は大きな扉の前に来ていた。 倉庫、と書いてあるが、鍵は開いていた。 と、後ろから複数の足音がした。 「よー白羽。コイツぁPBR大学教授の…えっと…」 「光雷人です、はい」 2人を見ると白羽は再び扉の方をむいた。 「もう消防隊の消火作業が始まっている。まあそう簡単に消火できまいが、早めにケリをつけるぞ」 白羽と白凰は扉を開いた。 雷人教授は扉の前で待っているように言われた。 『教授、貴方はそこでお待ち下さい。5分で決着をつけますから、その間の見張りです。火がきたら何とかして下さい』 「(あ〜こういうときに限って水タイプのポケモンがいない…トホホ…)」 それより教授が気にしたのは、白羽の開けた扉の先がワープホールになっていることだった。 「(まるで夢でも見ているような…)」 瑚翔太と同じく、何かと地の文と同じ事をほざく。 ワープホールの先の部屋では、白羽たち2人と何者かが対峙(たいじ)していた。 「俺は紫黒沢風月(しこくざわ・ふうげつ)。ま、一応大卒なんだけどさ、今はハッカーって言ったとこかな」 「ハッカー!?」 「あー、話すと長くなるんだけどさ…」 風月は傍においてあるデクスのパソコンに目を向けた。 「昔さ、株が大暴落して“恐慌”(きょうこう)って呼ばれた時期あったろ?俺、父親が証券会社の社員でさ。そんな時に父親を慰めようって思って手紙書いたんだよな」 「手紙?」 白凰が反応した。 「でもそれが逆効果。どうしたんだか、気が狂っちまって休日に母親と一緒に車に突っ込んで事故死。で、俺パソコン専攻してさ、いつか世界を俺のものにしちまえば償えるって思ったわけよ。それも、“イルヴィーク”の助言でさ」 そういうと風月は、急にパソコンを開いて画面を白羽たちのほうに向けた。 ビビビッ 画面から光が発された。 「あれは催眠作用の光だ。画面と体をあわせるな」 「ってこた言われても…」 風月はパソコンをあちこちと振り、近づく隙さえ与えない。 「さて、お遊びのここまでにするか」 「何?」 白羽は白凰の膝を曲げると、なんと大胆にも白凰を投げたのだ。 「ば、馬鹿!このパソコンにはお前らの探し求めているデータがあるんだぞ。それも、一瞬で消せる――ヴッ!」 白凰の捨て身タックルが見事ヒット。白羽は隙をついてパソコンを奪い取ろうとする。が―― ガチャ ガチャ ガチャッ! 白羽の手首を天井から現れた鎖が縛る。 しかし、白羽が少し力を入れると鎖は解かれた。 「ところで、“火付け役”はどこにいる?」 「あぁ、放火した張本人の事?それなら地下倉庫にいるんじゃない?火をつけたポケモンも人間も俺がさっきの催眠光線で一時的に洗脳しただけだし、今はもう正気に戻ってるよ」 「了解。…今回もパルス・エナジーは補充できなかったか」 風月はそれに反応した。 「パルス・エナジー?そりゃ期待しないほうが良いぜ。“四つの欠片”からはパルス・エナジー搾り出せないから。それに俺でなら吸収できるけど、襲ってこないところをみると、ネプチューンの作戦は効果があったみたいだね」 「そうか、ではまたいつか会おう。“イルヴィーク”よ」 「フッ…“ハット”、次はちゃんと準備を整えてあんたを倒すよ」 そして風月は扉の向こうへと消えた。 なぜか最後は二人とも笑顔であった(ぇ) 白凰は外にいた雷人教授と共に避難し、白羽はパソコンを持って地下倉庫へ行き、“火付け役”を救出した。 「あ…あなた、誰です?」 「私は探偵です」 “火付け役”の名前は佐藤松陰(さとう・しょういん)と言うらしい。 「何だがスカーッとしたくなって…そう、覚醒!覚醒したくて考えてたらいつの間にか意識が無くなって…」 その後松蔭の身柄は警察に引き渡した。 白羽らは無論旅行を途中でキャンセルし、帰ってきた。 翌日、事務所で―― 「いやー何のための旅行だったのか分かんねーぜ」 「分からない?馬鹿言え。あの風月とやら、何かと大きなエナジーを蓄えているぞ。それに、“黄”についてのヒントが手に入った」 白凰の目をえぐりながら満足の表情をする白羽なのであった。 次の決戦も近い…? ――第21話 造・偽【イミテーション】終 |
暗黒のジェミニ | #22☆2008.10/15(水)20:13 |
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第22話 雷・電・人・革・命【パルス・エボリューション】 ウイイィン ガシャン ウイイィン ガシャン! 工事現場に、そこにいるのはとても異様な男が一人現場の倉庫の奥にすわっていた。 「やっぱり君の警告は正しかったね」 と男が言う。 『そうだろう。やはり恐るべきは雷鳥白羽、いや、“ハット”なのだ』 「ねぇ“イルヴィーク”、僕は最初、君のやっている事がとても信じられなかったよ。でも今思えば世間の猿共にはいい薬だね」 『…』 しばらくの沈黙の後、イルヴィークは口を開いた。 『思えばあれは10年も前――』 貴様に 犯罪の世界を 教えてやろう 「…!?」 『ククク…まあ警戒するな。私はここにいる』 と、謎の声は少年の前に、人間の形を宿して現れた。 「私はイルヴィーク。貴様は私の“実験台の一部”に過ぎないが、見込みがある。しばらく付いていてやろう」 「イ・ル・・ヴィー・・ク・・?」 ポワー! 突如として現れたまばゆいばかりの光は、少年を包み込んだ。 『貴様、名は何という?』 「僕…は、風月。紫黒沢風月だ」 『風月。お前を素晴らしき犯罪の世界へ招いてやろう!!』 「…そうだね」 男、いや、もう名前を出しても良いだろう、風月はぽつりとつぶやいた。 「あっ。ねぇ“イルヴィーク”、今でも不思議なのは、“覚醒”についてなんだ」 『“覚醒”か…。そうだな。詳しく話しても良いだろう』 『まず、この私を含め、天界の者の体の構造についてから話をしなければならない。 天界の者はパルス・エナジーという電波が大本となっている。そのパルス・エナジーは、とある別の種類の電波を受けるとそれと結合して新たな電波構成体を生み出す。その電波は個体種によって違うのだが、私の場合はロトムの電波だ。 さて、次の計画実行場所は○○○だ』 「○○○…ね。正に僕らにぴったりな場所だね」 風月はマッチをこすって火をつけると、後ろにおいてあった機材に放り投げた。 マッチの火は機材に燃え移り、機材は炎のうずを巻き起こした。 そのうち工場現場は燃え尽きた。 今日の白羽はいつに無く不機嫌だ。 白羽は表人格で下校していたのだが、えらくブスっとしている。 そんな白羽に、魔の手は伸びた。 ミシ ミシ ミシ 「…!!」 カーン!! 白羽は後ろから何者かに襲われ、気を失った。 「ククク…これで“ハット”もイチコロだ…」 襲撃者は謎の言葉を残してその場から消えた。 「う、うう…」 その後、白羽は目覚めた。 「ここは…?」 「ククク…目が覚めたかね。ここは私の館だよ。私の名はヴァンパイア。ヴァンパイアのヴァンパイアだ」 詳しく言うと、ヴァンパイアという妖魔の種類の、ヴァンパイアという名前の者だという事なのだが、普通に考えれば名前は無いと解釈すべきだろう。 「ヴァ…ヴァンパイア…?」 「君には吸血鬼へなる手術を施した。これで君も立派なヴァンパイア<吸血鬼>だ」 ヴァンパイアは優雅に紅茶を飲みながら言う。 「…さて、その肉体がどれだけの破壊力を持っているか実戦しよう。まぁ私のパワーを上回らないようにはしたが」 それにしても、もしこのヴァンパイアが“四つの欠片”の者であれば白羽にとってはまたとない好機である。 何故なら、手術を施した人物が正につけねらっている白羽なのだから。 わざわざパワーアップさせてくれた、といっても過言ではない。 白羽の顔がほころんだ。 ――第22話 雷・電・人・革・命【パルス・エボリューション】終 |
暗黒のジェミニ | #23★2008.11/02(日)16:42 |
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きっと白羽は、心の底から笑っているだろう。 自分を知らない生物が自分と知らずに自分を倒す兵器を開発しようとしていたのだから。 第23話 吸・血・鬼・覚・醒【ヴァンパイア・ウェイク】 白羽は競技場まがいの庭に出た。 「さぁ、君の力を試そうか」 「ありがとう、素晴らしいほめ言葉だ」 風が吹くと同時にマントがひるがえる。 「!!」 「私は雷鳥白羽。貴様を狩るべくして生まれた真の人格――」 ヴァンパイアの顔色が変わった。 「どうやら“四つの欠片”同士情報を共有していないようだな。ネプチューンは私のことを隅々まで調べていたというのに、貴様は私の顔すら知らないとは馬鹿げた話さ」 「ク…」 ヴァンパイアの困惑と動揺の顔は、憎悪(ぞうお)と殺意の顔へと変わっていった。 ヴァンパイアが高速移動すると白羽は上空へ舞い上がった。 白羽とヴァンパイアはあたかも電線を走る電気のように超高速上空バトルを繰り広げた。 「そのようなやわな攻撃では到底私を倒す事はできない!白羽君、目覚めさせたまえ、吸血鬼の力を。そして私にぶつけたまえ、その全力を!!」 ヴァンパイアの鋭い爪が白羽のわき腹をかすめる。 いつの間にか戦場は、白羽の高校の校庭へと移り変わっていた。 「帝界道具、“吸血鬼一閃”!!」 ヴァンパイアの手に剣が現れ、白羽へそれを向ける。 白羽も大剣で対抗するが、圧倒的なパワーに押されるばかり。 白羽の諸刃の大剣は徐々に自らの額に迫ってきた。 「ク…」 「さぁ、今こそ覚醒の時!さぁ!!」 クオオォォ!! 白羽のオーラが赤黒く際立つ。 カッ!! 眩いばかりの光と同時に、新たな力が誕生した。 「これぞ…吸血鬼…」 白羽は、ヴァンパイア(吸血鬼)へと生まれ変わった。 「正確に言うと、能力だけが目覚めたというところか」 白羽が言った。 ゴオオォォ!! 白羽は力を解放した。 しかし、すかさずヴァンパイアが襲いかかる。 「…」 白羽は動きもせず、喋りもしなかった。 このままヴァンパイアに飲まれてしまうのかと思われた。 しかし、それは逆だった。 「グッ…!」 ヴァンパイアの動きが直前で止まった。 白羽の大剣は姿を消し、代わりに爪が二の腕ほどに巨大化・硬化(こうか)していた。 「ヴァンパイアよ、貴様は私を汚した。吸血鬼にするという下らない実験の対象にされた性でな。一気に片をつける」 ヴァンパイアはそれこそ石像のように、動きもせず、喋りもしなかった。 あるいは吸血鬼と化した白羽に太刀打ちできない事を、自らの死を悟ったのかもしれない。 ヴァンパイアは白羽によって切り裂かれた。 戦後、白羽はヴァンパイアの首に何かが掛かっているのをふと見つけた。 今まで気がつかなかったが、例のデビルズ・パズルと色が似ている。白羽はそれを奪い取った。 ウィーン ウィーン! 警察車両が数台やってきた。 笠原もその中にいた。 「先輩、こんなとこで殺人とかありえないですよn――」 「黙れ。霧島、早く現場行け」 笠原は霧島と言う後輩とコンビを組んでいた。 笠原は車を降りて校庭に目を向けた。 「ッ…!白羽ちゃ…」 自分の目を疑った。 笠原がもう一度目を向けると、白羽らしき物影は消えていた。 とりあえず車に戻った。すると、メモ書きが落ちていた。 『○○町○番地○○へ向かってください 雷鳥白羽』 白羽のメモだった。 「…これを摩訶不思議っていうんだな;」 笠原は呆れた。 笠原は霧島を呼び戻し、白羽のメモに指示された住所へと車を飛ばした。 一方の白羽はというと―― ――第23話 吸・血・鬼・覚・醒【ヴァンパイア・ウェイク】終 |
暗黒のジェミニ | #24★2008.12/01(月)22:19 |
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なにせ、努力などろくにしたことがないのだから――・・ 第24話 凶・化・吸・血・鬼【オーバー・ヴァンパイア】 白羽はとある郊外の開けた土地に謎の男と対峙(たいじ)していた。 「フン…かぎつけたか」 「…」 白羽は黙っている。 「だが貴様とは相手をしてやる暇はない。雷鳥白羽!!」 男は白羽に襲いかかる。無論、四つの欠片の者だ。 ガン! 男の手に白羽は大剣を交えた。 紫電一閃(しでんいっせん)の走る大剣と対等以上に渡り合う男は、一気に勢いを増した。 「貴様、名は何だ?」 「私の名はサンダーボルト。…雷鳥白羽、もう少し潮を踏め。最強には分からない、弱者にだけしか分からない事が人を強くする。そして私は“それ”を経験し、弱者から強者へと成り上がったのだ!」 「言っている事が良く分からん」 ぼそっと白羽が言った。 「フン、“始めから最強だった者”には分からんか」 今白羽は理解に苦しんでいる。 最強である裏白羽は、最強ゆえに苦しんでいるのだ。 なにせ、努力などろくにしたことがないのだから。 「始めから恵まれている奴はいい。実にうらやましい。特に、貴様、雷鳥白羽のような奴は」 「ふむ、確かに私は恵まれていた。だがしかし、養父母に育てられたというのは決して恵まれた事ではないぞ。まぁ豊富に資金はあったし特待生として高校に入学したがな、“お前と違って”」(ぼそっ) 「…はぁ」(呆) しかし次の瞬間、サンダーボルトの頭に血が上った。 無言のまま、サンダーボルトは攻勢を増した。 ちなみにこのサンダーボルト、素手で大剣と戦っているのだ。 前後左右、そして上下、どこからともなく現れるサンダーボルトはまさに雷のごとく“だましうち”をかける。 それは弱体化した白羽の体にさらに拍車をかけた。 「グガッ…!!」 正面から腹を貫かれた。 よろけている隙にサンダーボルトは後ろに回り、もう一度貫く。 最早、絶体絶命だった。 「どうだ?他人に踏みつけられ、見下される気分は?見下す側の貴様が見下される。実にすがすがしい。すがすがしいぞぉ!!」 突然白羽の体から赤黒いオーラが出てきた。 例の“目覚め”だ。 「なっ…貴様そんな力どこからッ――ヴァーッ!!」 ヴァンパイアの力が暴走した。 白羽の力で抑えられなくなったヴァンパイアの血が騒いだ結果というところだ。 白羽はそのまま意識が遠のいていった――・・ 直後に笠原と霧島の乗ったパトカーが急行してきた。 バタン! 笠原が車を降りると、そこに広がっていたのは男と白羽だった。 「ッ…!白羽ちゃん?」 「向こうに男が倒れてますね。アイツ、死んでますよ」 「白羽ちゃんは気を失っただけみたいだな。送ってあげようか」 白羽の腹の傷はなぜか修復されていたようだ。 そして笠原は、白羽が手にペンダントのような物を持っているのを目にした(それは“デビルズ・アイテム”なのだが、勿論笠原たちは知らない)。 「…」 笠原は応援を呼んだ後、とりあえず署まで送る事にした。 「それにしても何なんスかね、この女」 「さぁ、本当に良くわかんないけど…何となく普通の高校生じゃないよな」 ちなみにこの後、笠原はパルス・ソード詮索(せんさく)を決行する事となる。 「ん…」 白羽が目覚めた。 警視庁前には白凰と瑚翔太、そして時音が待っていた。 笠原が呼んでいたのだ。 瑚翔太、時音は9話ぶりの登場である(あそ) 「ほら、白羽ちゃん」 白羽は車を降りるがうかない顔をしている。 「うかない顔だな雷鳥」 全く、本当に瑚翔太は地の文と同じ事をほざく。 「お前に心配されたくは無いな。地の文野郎が」 「?」 そういう事は登場人物が言ってはいけないことだと思う。 白羽はその後いつもの調子に戻り、愉快に(?)帰っていった。 「ホント冗談うまいな;」 と笠原は思った。 ――第24話 凶・化・吸・血・鬼【オーバー・ヴァンパイア】終 |
暗黒のジェミニ | #25★2008.11/09(日)21:14 |
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※いきなりわけの分からない用語が出てくるかもしれませんが、その場合はたいてい感想テーマに記載してありますのでそちらをご覧下さい。 『新たなデビルズ・アイテム、それが1つ目の暗示』――… 第25話 大・事・件・後【アフター・ケース】 「ところで“パルス・エナジー”って何よ?前から気になってたんだけどサ」 と白凰。 「ふむ、まだ誰にも説明していなかったな。では一言で説明しよう。パルス・エナジーとは『天界の者の活動エネルギーであり特に私の食糧である』」 「??」 事務所の応接間で向かい合う白羽と白凰。 白凰が疑念を抱いていると、突然白羽が立ち上がった。 「おぉそうだ。実は最近、地下にシェルターを造ってもらった。青波の父に頼んでな」 というと、白羽はまるで教卓のような机の後ろに回った。 白凰も来ると、白羽はおもむろに口を開いた。 「実はこのシェルター、核シェルターだ。青波の父が苦しそうな顔をして書類をながめていたぞ」(そ知らぬ顔) 「ぁ…はっ…;」(汗) そして白羽はシェルターを開けると、 「それ入れ」 「ウギャーッ!!」 バタン!! 「えぇーっ!?」 残念な事に白凰は閉じ込められてしまった。 「そういえば、まだ話は終わっていないのだ」 思い出したかのように白羽は話し始めた。 「分かりやすく言えば“パルス・エナジー”とは天人(天界の人)にとって活動エネルギーなのだ。受信する事で活動エネルギーを成すのだが、それとともに一部を除けば天神の体はパルス・エナジーから出来ている。そして私はその中でも突然変異種――“パルス・エナジーを喰らう天人”」 「…!?」 どうやら核シェルターにも聞こえるようだ。でも、どうして(知らんがな) 白羽はしゃがみこみ、核シェルターの扉に口を近づけた。 「他の多くの天人はエナジーを天界の政府により無料で一定量送信され、それを受信(吸収)するのだが…私にはその程度では“喰い足りない”という事だ」 と言うと、白羽は核シェルターを開けた。 「そーゆーことだったのか。それより、コレ…」 白凰が2つのアクセサリーをぶら下げている。よくみると、デビルズ・アイテム(詳しくは第14話をご覧下さい)だ。 「気づいたか。新たなデビルズ・アイテム、それが1つ目の暗示」 「?」 「そして2つ目の暗示、それは2体と戦闘して1つしかデビルズ・アイテムを収集できなかった事」 白凰はしばらく考えると、 「つまり…1つは失敗したってコトか?」 「“あるいは”そうだったのかもしれない。あの時の私は悲しいまでに弱体化していたからな。だが、デビルズ・アイテムを収集できなかったほうのサンダーボルトという男、“元々持っていなかった”という可能性も考えられなくは…ないだろう?」 質素で無機質な事務所は、不穏な空気がただよった。 それまでの、平穏かつゆったりとした空間はなくなっていたのだ。 「まさかっちゃ思うケド…最後の1人が2つ持ってるとか?」 白凰がきくが、白羽は答える事はなかった。 しばらくの間2人は無言のまま立ちつくしていた。 白凰が何かに気づいた。 「あ…そういえばシェルターから出るの忘れてた…」 気分転換のため、白羽は音楽をかけた。 「適当に私が作ってみた。題は“カクテルのためのテーマ”…くさいタイトルだな」 「へぇ…すげぇよ…すげぇ、このリズムといい、旋律といい…」 まるでカクテルバーであるかのようだった。 これが高校生なのか。 プロ作曲家、音楽家のように素晴らしい音楽である。 しばらく2人はその場の空気を味わうことにした。 それにしても、この音楽は一時的な快楽をもたらす脳内麻薬的な効果しかもたらさなかった。 「白凰、カクテルでも飲むか?」 「はァ?まだ未成年だぞ?」 「いやいや、カクテルと言うのは嘘で、見た目がカクテルなだけだ。自作偽カクテル“スクリュードライバー【逆回転バージョン】”を作ってやろう」 というと、白羽は事務所を出てすぐ右の部屋へと姿を消した。 「…(何かとてつもなく嫌な予感がする)」 しばらくして白羽は戻ってきた。 白凰の目下(もっか)にはオレンジジュースのような溶液が出された。 「そもそもスクリュードライバーというのは、ウォッカとオレンジジュースを混ぜたカクテルなのだ。さぁ飲め」 仕方がないので白凰は偽カクテルに口をつけた。 「…いやぁ、今までのは全て嘘で本当にスクリュードライバーなんだが」 「ヴブゥーッ!!」 「ついでに“ベリチョコ”も」 「いらねーよ!てか何だよ“ベリチョコ”て!!」 おそらくはベリリウムとチョコレートの混合物のことだとは思うが。 日も傾き、暗くなってきたので白凰は家に帰る事にした。 「餞別(せんべつに)“ベリリュードライバーチョコ”をくれてやる」 「いらねーよッ!!」 おそらく“ベリリュードライバーチョコ”とは、ベリリウムとスクリュードライバーとチョコレートのことだと思われる。 白凰はそそくさと事務所を去った。 「…もう一つあったのだが…(“ベリリュードライバーバナなチョコ”が)」 おそらく“ベリリュードライバーバナなチョコ”とは、ベリリウムとスクリュードライバーとバナジウムが入っている感じなチョコレートのことだと思われる(くどい) ――第25話 大・事・件・後【アフター・ケース】終 |
暗黒のジェミニ | #26★2008.11/10(月)17:02 |
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今日は何だか変な雰囲気―― 第26話 報・知【トップ・ニュース】 「ふむ、作者が馬鹿みたいに一話一話を長くしすぎたからだな、移転連載と言うのは」 「白羽…作者に失礼だろうがよ」 今日は何だか変な雰囲気。 …ということで(ぇぇ)、この「電波探偵事務所パルス・ソード」は、私のHP上で移転連載をする事にいたしました。 ここでのログとびの危険が浮上したためです(見ての通り) 第27話より、通常ストーリーを再開いたします。 「…つまりは作者のミスだn――」 「白羽っ!」 「何だ、ベリリュードライバーバナなチョコ【逆回転バージョン】を詰め込m…」 「すいませんでしたぁっ!!」 「…まぁそんなこんなで移転連載するらしいから宜しく」 もう一度、連載場所は、私のHPです(「流星のバニラとふたご座」) 一応URLをば。 ↓ http://plaza.rakuten.co.jp/porukkusu/ ――第26話 報・知【トップ・ニュース】終 |
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