ぴくの〜ほかんこ

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連載[1185] Pocketサーガ

ユキト #1☆2008.09/12(金)04:22
どこかの国のカントーと呼ばれている地域、その地域に存在するハナダシティのとある民家の一室から話は始まる。

−明け方−
 真っ暗で静かな部屋の中、その奥でその部屋の主は静かに寝息を立てている。

Piriririri!…Piriririri!…

 突然の静寂を破るかの電子音。その音と連動するかのようにその部屋のテーブルの上にある小さな機械が振動し、光の点滅を繰り返す。
 そんな状況の中でも部屋の主は一向に起きる気配は愚か、動く気配すら無い。
そうしているうちにその音の発生源は静かになり、部屋にはまた静寂がおとずれていた。


 テーブルの上のその小さな機械はどうやら携帯電話だったようで、その小さな筐体の小さな液晶画面には”着信 一件”とだけ表示され、先ほどとは違うパターンの光の点滅が瞬いているだけだった。


〜Pocketサーガ〜
   Program Start
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ユキト #2☆2008.09/20(土)03:27
朝、一日が始まり多くの人が会社や学校へと向かう時間帯。
彼もまたそんな多くの人と同じ様に学校への道を急ぎ、自転車を走らせていた。
「あーあ、この時間じゃあ遅刻だなぁ」
 自転車を走らせている少年はポツリと呟く。腕に装着されている腕時計型の汎用ツール”ポケギア”その画面には8:25AMとアナログ表記で表示されている。
「流石に授業免除期間明けから遅刻ってのもマズイし…仕方ない。」
 彼はまた一言呟くと腰に装着されたいくつかの球状のカプセルの一つをつかみ、カプセル中央にあるスイッチを”カチリ”と押し自身の上へと放り投げる。

 モンスターボール この世界特有の少年が投げたカプセルの名称である。大きさはテニスボール大で何種類ものデザイン・性能を持ち、その中にさまざまな”ポケモン”と呼ばれるモンスターを格納することができるスグレモノである。

「頼むよ、備前。」
 空中に放たれたボールの中から現れた”ビゼン”と名づけられたポケモン。その容姿はモンスターと言うよりも、鋼の身体に鋼の翼を纏った大人ほどの大きさの鳥に近かった。
 備前はボールから現れるとすぐに体制を整えながら翼をはばたかせ、少年の背後に着く。
その次の瞬間、備前は足を使い少年の肩を掴み上昇する。少年も慣れた身のこなしで乗っていた自転車を別のカプセルへと収納し、備前に指示を与えている。
「”そらをとぶ”…目的地は目の前の建物、3階の一番右のベランダね。頼んだよ 備前。」
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ユキト #3☆2008.09/27(土)03:09
-同刻 とある教室-
「おはよう」
「よう、おはよ。」
「でさー、昨日のあの番組の〜」
「今日の生物の授業内容って何だっけ?」
「あ!!今日の課題忘れて〜」
 どうやらその教室ではまだ朝のホームルーム(朝礼)は始まっていなく、室内では生徒たちが朝のあいさつと共にさまざまな話に花を咲かせていた。朝という事もあってか教室内にいる生徒の表情は明るかった。一人の少女を除いては。

「遅い!」
 その明るくない表情をした少女はそう言い放ち机に”バン!”と両手で机を叩いていた。その様子を見てそばでその少女と話していたもうひとりの少女が、彼女の怒りをなだめるように話しかける。
「まあそう言わずに落ち着きましょうよつばさ、まだ朝の予鈴が鳴ったわけではありませんのよ。」
「でもさぁ樹媛(じゅき)。アイツの授業免除期間が終わってやっと戻って来る!と思っていたから一番のりに教室に来て待っているのにさ。」
「そうは言っても、行(ゆき)君が結構ルーズな性格だって翼も知っているではありませんか。」
「そうだけどさぁ。」
「今日登校されるのは確実なのだから、もう少しだけ待っていてあげましょうよ。」
 どうやらつばさは”ユキ”と呼ばれる少年がなかなかやって来ないことに腹を立てていたようだ。それに対して樹媛がこないことに対してのフォローを入れつばさをなだめる、性格こそ間逆の二人の様だが仲はそれなりに良いのだろう。
 そんなやり取りをしている二人をよそに、窓際の生徒逹がなにやら窓の外を見て騒ぎ出していた。
「おい、何だアレ?」
「こっちに向かってきてるよ。」
「アレ、エアームドじゃね?でも何かぶら下げてねーか?」
「危ないんじゃ…」
「まさかとは思うけれどさ、下にいるの人?」
「突っ込んでくる!?」

 その直後、男子生徒の”うわぁ!”との叫び声と女子生徒の”きゃぁ!”の悲鳴が同時にあがる。誰もがその瞬間、窓ガラスを突き破られたかと思った。
 が、その”何か”は窓ガラスには飛び込みはせず、窓ガラスの手前、ちょうどベランダが位置する場所へと綺麗に降り立った。その横には下にぶら下がっていたと思われる少年も立っている。
「噂をすれば影ね。行きましょうつばさ。行人(ゆきと)君が来たみたいね。」
「来たことは来たみたいだけどさぁ…」
 樹媛はにっこりと微笑み、つばさは半分あきれながら樹媛に手を引かれ、その騒動の主の元へと向かった。
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ユキト #4☆2008.10/03(金)23:44
「どうやら間に合ったようだね。よくやったビゼン、でもちょっと飛行速度を考えないとな。教室の中にいる連中が驚いちゃってるからさ、まあ今後の課題だな。」
 そう言いながらビゼンと名づけられたポケモンをボールに戻し、軽くほこりを払うような仕草をした後彼は窓から教室に入っていく。


「おはよ〜。久しぶり〜」
 なんともユルイ挨拶。そんな状況に呆気にとられている教室内のクラスメート。それでも何人かは「お、おはよう。」とか「国道君ひさしぶり」と、挨拶を返す。そんな様子を尻目に彼は自分の席に向かって行こうとした、その時。


「何やってんの!ユキ!あんたはぁ!!」

 彼、”ユキ”めがけ飛んでくる鉄拳、しかしそれを見越したかの様にかわすユキト。
「何だよつばさ〜、久しぶりに会っていきなりコレかぁ?」
「あんたがまともに登校してくれればこんな事しないわよ!」
「そう言われてもさ、時間がまずかったからさぁ。」
 そんなやり取りが結局予鈴が鳴り、担任の教員が来る寸前に二人が樹媛に諌められるまで続くのであった。
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[1185]

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